月別アーカイブ: 2018年1月

バラエティ番組で笑われるタレントにも立派な理由がある

久しぶりに復活した「しくじり先生」ですが、今回2人目として登場したにしきのあきらさんは、今ではすっかり「スター」という言葉が似合うバラエティタレントだと思っている方が多いと思います。私の印象というと、今回の番組の中でも出てきましたがフジテレビのスター大運動会や水泳大会では必ず目立った活躍をする身体能力の高い歌い手さんというイメージが強いのですが、今回その芸能界での浮き沈みの様子を聞く中で、一般の人が憧れる芸能界で活躍したからこそ陥る苦悩というものを改めて感じました。

というのも、ある程度顔と名前が売れてしまった場合、活動が停滞したり仕事がなくなったりして本格的にお金に困った場合、普通の人なら外からの目を気にせずにアルバイトでも肉体労働でもやってお金を稼ぐことができますが、過去の栄光にとらわれてプライドがあるような場合や、お子さんが学校に通っているような場合、どこでそうした姿が見られるかわからないということがあります。本人だけならまだしも、子供さんがそうした行動を見咎められた人から口コミで話が広がり、いじめのネタとされない保証はありません。

そんな状況の中だから事業をやろうとか言われて騙されたり、お金のやり取りについてそちらでも騙される可能性があるわけですが、信頼していた知人にだまされて借金が増えたり横領されたりして、遂には家が差し押さえを食らうという最悪な状況の中で声がかかったのが日本テレビ「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」だったのです。

私自身もこの番組でのにしきのあきらさんのバラエティ番組にフィットした姿に大笑いした一人ですが、その裏にどういうことがあったのかというのが今回の番組を見てわかりました。一時期には芸能界のトップと呼ばれた人が、なぜ毎回ドッキリを仕掛けられ、ものの見事にどっきりに引っかかってもめげずにテレビに出てくるのかというのは、今回の番組で語られたような金銭面での苦労があり、自分を呼んでくれて仕事をくれる日本テレビのスタッフにいやな気持ちを持つどころか最悪の状態から救ってくれたことに感謝しているような感じでした。

実はこの「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」は今のロンドンブーツの番組のように親が子どもに見せたくない番組の常に上位をキープしていました。今思えば、かつての大スターであったにしきのあきらさんを笑いものにしているという事もその理由の一つだったのかも知れませんが、現実はまるで違うということが今回の番組を見た人には理解できるでしょう。

確かに無様に落とし穴に落ちたり、くだらないことで体を貼っているタレントを見て眉をしかめる方もいるかも知れませんが、そんなことは十分承知の上でもらった仕事をこなすことでしか生きていけない人もいるということを、多少はテレビを見る側の人も理解して、例えばそこから差別的な感情がお子さんに生まれるかも知れないと思ったら、番組を見終わった後に「タレントさんはああして人を笑わせることが仕事なんだよ」とフォローしてあげることが必要なように思います。

このような、テレビに出ることでしか稼げない事情のある人にとっては、たとえ多くの人から下品だと思われようが気持ち悪いと罵られようが、出演するしかないと腹をくくっていたり、自分がテレビに出ることで多くの人が笑ってくれることに仕事としてのやりがいを感じている場合があるのです。しかし残酷にも、にしきのさんのようにテレビに出て人気をもりかえすことができるケースとは違い、テレビ視聴者の訴えからテレビ出演そのものを降ろされてしまう人たちもいます。

それはドリフターズの「8時だョ!全員集合」(TBS)のコントの中で一瞬出てきて笑いを誘い、子どもたちにも人気があったものの大人の事情で番組を降ろされてしまった「Mr.ポン」や、全日本女子プロレスと一緒に興行をしていながら決してテレビでの放送がされなかった「小人プロレス(後にミゼットプロレスと改名)」の例があります。今でこそNHK Eテレの「バリバラ」で体に障がいを持つお笑い芸人という人が登場したり、番組の中の企画として本格的なバラエティが放送されていますが、この場合は障がい者に関する問題を継続して放送してきたEテレだからこそ許される部分があり、他の地上波チャンネルでは昔も今も誰かが声を挙げたら即テレビに出られなくなる状況は終わっていないと思われます。

今後も地上波では無理かも知れませんが、CSやネット配信の番組でなら地上波では放送が難しいようなケースでも番組として成立する可能性は残ります。今の日本には潜在的にたくさんのテレビに出たい人がいて、たとえそれがいじられて笑われるような立場であってもそれで自分の存在が知られるならテレビに出たいと思う人もいるでしょう。そんな人の中で、とにかく面白ければスターへの道が開ける、かつての「全日本歌謡選手権」のような番組を作ったらどうでしょうか。

今回のにしきのさんのような芸能界を干されて困窮極まった元人気者と、今までは人前に出ることさえ不謹慎だと言われてきたような体に障がいを持つ人などが同じ舞台で明日のスターを夢見て「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」のような、誰がどれだけ笑わせるかをチャレンジする番組が実現できれば、人によっては不謹慎と写っても、全てが平等に審査されるなら、決して一部の人から糾弾されるような番組にはならないように思えるのですが。

(番組データ)

しくじり先生 俺みたいになるな!! 2時間スペシャル テレビ朝日
1/28 (日) 18:57 ~ 20:54 (117分)
【しくじり先生】村主章枝・錦野旦
【担任】若林正恭(オードリー)
【レギュラー生徒】吉村崇(平成ノブシコブシ)
【生徒】あき竹城・伊集院光・岡田結実・澤部佑(ハライチ)・杉山愛・関根勤・高山一実(乃木坂46)・辺見マリ・真野恵里菜・横山だいすけ・遼河はるひ

(番組内容)

過去に大きな失敗を体験した“しくじり先生”が生徒たちにしくじった経験を教える反面教師バラエティ番組「しくじり先生」!今回はスター錦野旦先生と元フィギュアスケート選手の村主章枝先生による熱血授業を開講します!次々飛び出す驚愕エピソードに教室が震撼!そして授業の最後には先生たちによる熱いメッセージで教室は感動の嵐に!お楽しみに!

・村主章枝…「引き際を誤って家族に迷惑をかけないための授業」 オリンピックに2度出場し、その卓越した表現力から“氷上のアクトレス”と評された元フィギュアスケート選手の村主章枝が緊急帰国!“トリノ五輪後に引退しなかった本当の理由”を激白!誰もが冷静な判断を下すことが難しい“引き際”について真摯に向き合い、長く現役を続けた村主先生だからこそ悟ることのできた人生の教訓を伝えます!

・錦野旦…「安易に人を信用して地位も名誉も財産も失わないための授業」 “スター”の愛称で世代を超えて愛され続ける錦野旦が登壇!デビュー1年目にして日本レコード大賞「最優秀新人賞」受賞、さらに紅白歌合戦にも出場。スター街道を歩んできた錦野先生は自身のある性格が原因で、大きなしくじりを犯し、地位も名誉も財産も失うことに。「本当にしくじった!」と反省するスター錦野先生が転落人生を赤裸々に激白します!


サスペンスドラマに新技術と言えば聞こえはいいものの

以前、藤子不二雄Aさんが書いた「少年漫画」に関してのエッセイを読んだことがあり、その中で強く印象に残ったことがあります。今の漫画界は少年漫画も成年コミックも並列に語られることが多いですが、昔は漫画は子供が読むものとして読者層は総じて低年齢が多かったということがありました。

藤子不二雄さんの2人は「オバケのQ太郎」が大ヒットし、アニメ化される中、雑誌とテレビの勝手の違いに戸惑うことになります。視聴率的にはまだまだ十分な数字を叩き出していたにも関わらず、キャラクターを使ったお菓子の売り上げが落ちてきたという理由で、藤子さんは「オバQ」に変わる新しいキャラクターによってテコ入レをする必要に迫られたのです。そうして出てきたキャラクターが「パーマン」「怪物くん」「ウメ星デンカ」と続きますが、その後テレビアニメ界はいわゆる「スポ根」ものの雄である「巨人の星」に取って代わられて、藤子さんらはテレビの世界からいったん退場します。

その後、藤子さんら2人は活動の幅を広げ藤子・F・不二雄さんは「異色短編集」、藤子不二雄Aさんは「黒イせぇるすまん」」(後に「笑ウせぇるすまん」に改題)や「毛沢東伝」のような大人向け作品を描くようになり、仕事の幅を広げていきます。ただ、その頃からは藤子不二雄Aさんの記述によると日々の疲れがひどくなり何か調子の出ない日が続いたとのことでした。

そんな時、藤子不二雄さんの元に運命的な一通の手紙が届きます。その内容は当時小学館の学習雑誌に唯一月イチ連載していた「ドラえもん」に関するファンレターで、最後に藤子さんにとって痛烈な一言が書かれていたと言います。それは「なぜ先生は少年漫画を描かないのですか? もっとたくさんの藤子先生の漫画が読みたいです」というような内容のものだったと言います。

その時、藤子さんにはようやくそれまでの不調の原因がわかったのだそうです。心を動かされるような少年少女からの熱い手紙が届かなくなって久しい中、新しい漫画を描く活力が失なわれていたことに気付き、「ドラえもん」をはじめとした藤子作品を中心に据えた「コロコロコミック」で当時必ずしも少年読者向けのものでないものも混じっていた週刊漫画誌とは一線を画すコドモ向けの漫画に力を入れ出したということがあるのです。

こうして少年漫画と成年向け漫画の両方を描いてきてその違いについて、自分の漫画を熱烈に読んでくれるのは少年漫画の方だという結論の他、漫画の描き方にも大きな違いがあるということをエッセイの中で明かしています。何が違うかというと、少年漫画の方は熱烈にコマの中の細かい部分までしっかりと読み込む傾向があるので、成年漫画なら黒塗りでも済んでしまう車の裏側でもきちんと調べて細かく描きこむ必要があるので、同じ枚数を仕上げるにも成年漫画と比べて倍以上の時間と労力がかかるというのです。

現代と昔とは漫画を描く手段も違ってきているので一概に比較はできませんが、熱心に漫画を見ている人からすると、あからさまにコピー原稿を使い回していたり、背景などの省略が多い漫画についてはすぐに気付くことは間違いないでしょう。漫画家の中にはわざとそうした「手抜き」をギャグにしている人もいますが、逆に丁寧に描きこんでいることで出てくる魅力というものがあり、それが少年少女の心をうち、今だに人気が衰えないことにもつながっているのでしょう。

かなり前置きが長くなってしまいました(^^;)。ここまで私が書いたことは、テレビについても同じような事が言えるのではないかと思えます。よくテレビと映画との違いということを考える時、一番の違いはその予算だと思います。予算の差を埋めるためにテレビは様々な工夫をするわけですが、今回見た「越後純情刑事 早乙女真子」というどらまでは、私の勘違いであればいいのですが、一部のシーンでロケに出ないで俳優と背景をクロマキー合成したのではないか? というようなシーンがありました。こうした処理というのはテレビドラマではしばしば使われ、特に列車や自動車運転のシーンの窓の外の風景というのはなかなか合成しなくてはできない部分であることは十分に理解できます。

しかし、外のシーンでクロマキー合成のようなシーンが出てくると、天候の影響でロケができなかったのか? と思う以前にやはり本放送が土曜夜から日曜朝になり相当制作費も削減されているんだろうなと思うと同時に、今後もお金が掛けられないなら映像的な見どころも減るんだろうと思ってドラマ自体を見なくなるという人も出てくるのではないかと思ってしまうのです。

今の時代は市販されている一眼レフカメラでもテレビドラマを作ることができるくらいのクオリティがあります。もしかしたらそうした機材を使ってアマチュアがネットに投稿した連続ドラマの方が、時間とお金の制約がなく作り手が作り上げられる分面白くなるのではないかとも思えます。そうなれば現在のような「ユーチューバー」による面白動画だけでなく、ドラマの世界においてもテレビ局の存在が失なわれていくのではないかというような事を考えてしまうのは先走り過ぎるでしょうか。

そういう意味では、ナイトドラマのようなあえて低予算で作るようなドラマでは仕方ないにしても、昔から多くの目の超えた視聴者のいるサスペンスドラマについては、細かい所で見ている人に指摘されるようなことのないきちんと作りこんだドラマで勝負して欲しいと思う今日このごろです。

(番組データ)

日曜ワイド「越後純情刑事 早乙女真子」テレビ朝日
1/28 (日) 10:00 ~ 11:50 (110分)
【出演】比嘉愛未、宇梶剛士、近江谷太朗、渋谷謙人、松田悟志、濱田和馬、伊藤貴璃、遠山俊也、仲野元子、朝加真由美
【脚本】吉本昌弘
【監督】坂本栄隆

(番組内容)

長岡中央署刑事・早乙女真子(比嘉愛未)は中学生のときに両親を事故で失ってから、警察庁刑事局長の伯父・実(宇梶剛士)が親代わり。亡き母の故郷である長岡にやって来たのは、口うるさい実から逃げるためでもあった…。ある日、ショッピングモールに爆発物を仕掛けたという電話が署にかかってきた。

先輩刑事・鬼平貫一(近江谷太朗)から連絡を受け、後輩刑事の木下裕也(渋谷謙人)と共に現場に駆け付けた真子は、展示物に違和感を抱き、ぬいぐるみの一体に爆発物が仕込まれていることを見抜く。だが、爆発はとても小規模で、被害が出るようなものではなかった。


日本のドラマは「確信犯」で満ちあふれている

のっけからテレビドラマではありませんが、ネット配信のアマゾンプライムビデオのオリジナルドラマ「チェイス」について、清水潔著「殺人犯はそこにいる/隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」との類似性が指摘され、清水氏や出版元の新潮社には何の相談もないまま「チェイス」というドラマが作られたことがニュースになっています。

このブログではアマゾンプライムビデオのオリジナル作品について、主に吉本興業制作のバラエティ番組について感想を書いていますが、もはやテレビや映画だけが映像作品鑑賞の場とは言えない中、一気に加入者を増やすためのテコ入れとして、ドラマ制作の現場では細かな検証をすっ飛ばしたとか思えない形で仕事が進んでいることが予想されます。今回問題になったのは実際の事件に取材したノンフィクションであったので、もし多少のクレームが来ても、同じ事件に題材を取った作品であるので似てくるのは当り前だという言い訳で何とかなるとも思ったのかも知れませんが、もはやアマゾンプライムビデオはテレビで放送されるドラマと同じくらいの認知度を持っているということの裏返しでもあるということも今回の騒動は表しているように思います。

そういう流れの中で、天下のNHK朝ドラ「わろてんか」の1月25日放送分でまたNHK大阪放送局がやらかしてしまいました(^^;)。漫才師の横山エンタツ・花菱アチャコのモデルとして描かれている「キース」と「アサリ」の新しい漫才を作る過程の中で、どんな格好で寄席へ出るのかという思案の中、様々な小道具が出てくるのですが、支配人役の濱田岳にその中から「金太郎の前かけ」を当て、セリフで「ピタッと」「どんどん」と言わせるところは、当然auの格安SIM対策として出した「ピタッとプラン」一連のシリーズCMを連想させます。さらに花菱アチャコのモデルであるアサリを演じているのは、今はCMに登場していませんが、auの昔話シリーズの途中で一寸法師として出演していた前野朋哉さんなのですから、まさに確信犯的な演出だと言わざるを得ません。

まさかNHK大阪放送局はauの展開を行なっているKDDIにおける筆頭株主である京セラと何か関係あるのかとか、主演の葵わかなさんも関西の通信の雄であるケイ・オプティコムの運営する格安SIM(しかもサービス開始当初はauの回線を使うSIMカードのみの提供でした)を提供するmineoのイメージキャラクターをやっていたから起用されたのかとか、全く荒唐無稽な私の頭の中で考えただけの説もそれらしい話になってしまう恐さがあり、単に面白いからコラボしようというのは違う気もします。

確かにテレビで見掛けるいろんなものがつながってドラマも面白くなるということはあるでしょう。現代のテレビは民放であってもNHKから資料映像として朝ドラや大河ドラマの映像を借り、そのドラマに出演した役者さんを自局のドラマに出す中で、朝ドラとからめて自局の番宣に使うことはどのネット局でもありますので、持ちつ持たれつということはあるのかも知れませんが、でも今回のNHKの悪ノリはいただけません。

そもそも、このドラマを録っている中だったり、編集してチェックしている時に、これはあからさまにauという特定企業を見ている人に連想させるからまずいのではないかと口を挟む人はいなかったのでしょうか? もしそういう人たちも了解の上で流れたものだとしたら、もし私がauの競合している他社の人間だとしたら何らかの抗議をするように働きかけると思います。

一つ言えることは、今回のような番組をNHKが放送したことで、「日本の公共放送とは何か?」という問題を考える場合、ある程度企業活動の宣伝をしたり、他の民放局とのコラボレーションを行なってもいいということになると、NHKにも企業から圧力を掛けることができるという可能性を持つことになってしまいます。具体的な会社名や商品名さえ出さないからいいというくらいの判断しか上層部がしていないのなら、今後はかなり高度なサブリミナルコントロールが日本国中多数が見ているNHKのドラマを使って実行され、特定の企業の利益に寄与する可能性があることを関係者は肝に銘じるべきではないでしょうか。


「おしどり夫婦」と「代理母出産」

芸能ジャーナリズムというものの存在意義を問われている現象が2018年になって起こってきています。音楽家の小室哲哉さんが脳梗塞で介護の必要な奥さんのKEIKOさんとの関係がありながら看護師の女性との不倫疑惑を週刊文春により報道されたことによっていや気が差したのか、表舞台からの引退を表明しました。

これは、自分のプライバシーを公にすることで多くのチャンスと利益を得てきた小室氏にとってはご自身の生き方を見付め直すいい機会になったのではないかと思います。一部の方々は週刊文春の報道に怒り心頭に達していますが、文春がやらなかったら他の週刊誌やテレビバラエティに売り込みがあるような事なので、個人的にはどこがやったかということは関係ないのではないかと私は思っています。

ここで、改めて芸能人・アーティスト・俳優・タレントなど、自らの存在を公に晒すことで生活の糧を得ている人(事務所含む)と、そのプライベートを報道する芸能ジャーナリズムとの関係を見ていくと、どちらも金銭的な利益を目標に置いている所は同じでも立場の違いから対立することになる構図が伺えます。

取材を受ける側というのは、自分が出演した映画・コンサート(アルバム)・テレビ番組などを広く日本全国の人に知ってもらいたいという目的で自ら記者会見を開くことがあります。そこでタレントは仮に自分のプライベートが記事になったとして、その事により新たにスポンサーが付いたり、自分の出た媒体がヒットして次の機会を得ることになることを望みますが、逆にスポンサーが撤退したり、今まで見ようと思っていた人が止めるような動機付けになるような情報が流れるとまずいので、都合の悪いプライベートの情報をしつこく聞くような事をする芸能ジャーナリズムにはいい顔はしないでしょう。

ただ、昔の芸能記者の中には狡猾に取材者の本音を小出しにさせるために条件を付けるようなやり方をする人もいました。全て宣伝だらけのコメントなど、記事にしたところで誰も買わないし読まないので、ある程度タレントにとって都合の悪い内容を載せる代わりにさりげなく新しい仕事の内容を紹介するとか、さらに不都合な事をその後深掘りされないように、逃げ道を教えて炎上しすぎないようにある程度の火消しも同時にはかるとか、こうした丁々発止のやり取りの中で芸能スクープが生まれていた時代もありました。

しかし、今の時代はそうしたお約束とは無縁に、事務所の力がある所に所属している人には何も起きないものの、事務所の力がない人には徹底的に報じてフォローもしないという場合もあるかも知れませんので、今後ワイドショーのニュースの主役として出るには覚悟が必要になるでしょう。

そんな中、ちょっと気になったのがフリーアナウンサーの女性と映画評論家の夫との間で、「代理母出産」をして子供ができたことがニュースになったことです。今のところおおむね好意的な報道で、さらにスポーツ新聞での写真には子供を抱いた母親と父親が並んで写っている会見の模様が出ています。

インタビューでは母親が、将来その子に自分がロシア人の代理母から生まれた事を言う事も考えていると述べたとされていますが、ネットでは様々な意見が出ているようです。日本ではできない代理出産というのはお金もかかりますし、うまく行かない場合もあるでしょう。さらに、なまじ芸能ジャーナリズムから取材を受け、テレビのバラエティ番組にも「おしどり夫婦」として出演する機会もあるだけに、こうした「妊活」および子供を授かるという事もネタされることで、さらにテレビから声がかかる場面も増えるという戦略が全くないとは言えないでしょう。

それは逆に、できるだけ自分の子供に健やかに育って欲しいという点においては難しい面も出てくるところもあると思います。もちろん、様々なシミュレーションを重ねた上でのロシア行きだったのでしょうし、少子化社会と言われる中で40代でお子さんを産んで育てるというのは素晴らしいことです。しかし、これだけのネット社会の中、先日出た親子3ショットの写真とともに出したコメントはネット上にずっと残り、親が知らないうちに成長した子供さんが見てショックを受ける可能性も十分に有りえます。

個人的にはお子さんには健やかに伸びやかに成長していってほしいとは思いますが、全ての芸能ジャーナリズムが同じように考えているわけではなく、親が有名人であることの闇というものも今後出てくることが想像されます。そんなわけで、その「おしどり夫婦」の具体名はあえて書きませんでしたが、今後の週刊誌やワイドショーの動向によってはいつバッシングの方向になるやも知れませんので、その事を想定はされているとは思うのですが、一度出してしまった以上はこれまで以上にお二人でバラエティ番組に出まくって、むしろ日本でも代理母出産についての議論が巻き起こるような問題提起をされるのもいいのではないでしょうか。


地上波TVバラエティへの文句を電波にのせる千原せいじのしたたかさ

漫才コンビ「千鳥」の二人の冠番組ということですが、千鳥はスタジオのみの出演で、VTRを好きな所で止める権限があるという「笑神様は突然に」(日本テレビ)のシステムをそのまま使っています。もっとも「笑神様は突然に」には島シリーズということで千鳥も出演しているのでネット局の垣根を超えて仁義は切ってあるのかなという気もしますが、ツッコミの鋭い千鳥なので、全く違和感を感じることはありません。

また、VTRの内容もロケで決まった場所を訪れたタレントさんがアポ無しで地元食堂に入り、相席をお願いした後でその人のお宅におじゃまするという、何やら「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK総合)や「家、ついて行ってイイですか」(テレビ東京)の2番組を合わせたような作りになっています。ただ、この種の番組の面白さを決めるのは出演するタレントさんの技量や、VTRにツッコミを入れる側の力量があれば二番煎じでも十分面白い番組として成立するでしょう。今後、この組合せ以外にもこの種の番組が量産される予感がしなくもありません。

今回の「相席食堂」が面白かったのが、2ヶ所訪れたゲストがどちらもキャラが立っていて、菊池桃子さんは意外とロケに強いということがわかったということと、この種の田舎まわりに強い千原せいじさんの安定した面白さでした。
ちなみに、吉本興業が私の住む静岡県沼津市に専用の劇場を持っている関係もあって、ネットで言うと日本テレビ系の「静岡第一テレビ」の夕方のワイドショーに千原せいじさんが地元の名物キャスターとコンビを組んで静岡県内を回るコーナーを行なっているのですが、口は悪いわ下品だわ、おまけに企業訪問をして少しでもお金の匂いを嗅ぎ分けると、自分ならこうすると言い放ったり、自分のところで商売にしたいなどと言ったりと、その味を存分に発揮して笑いを誘っています。

今回千原せいじさんは長崎県五島列島を訪れようとして、飛行機が機材故障で飛ばず、高速船も高波で運休の中、8時間遅れで島に入り、そのまま飲み屋街をはしごするのですが、そこで出会ったお店の方とお客さんに教えられたのが五島列島の酒飲みの風習が、人にお酒をすすめる前に杯を空にして相手にも杯を空にしてもらい、延々と酒をすすめ続けるという大変恐ろしいものなのですが、せいじさんが入った居酒屋さんでは焼酎のロックでそれをやっていたのですから相当なものです。

ここで、その風習をせいじさんもやるのかと思って見ていたら、これが関西ローカルの強みなのか、せいじさんは自分がなぜそのお客さんやお店の方と一緒に杯を空にしないのかを説明し始めました。賢明な方ならもうおわかりでしょうが、テレビでタレントが「一気飲み」を奨励するような飲み方をするとテレビを見ている人が真似をする恐れがあるのでテレビ内での一気飲みというのは自粛されているということなのです。

もしこれがドラマで、登場人物を酔わせて何かするという設定であれば違うのかも知れませんが、あくまでタレントが飲むという点についてはローカル放送であってもダメなラインはしっかり線引きがされているということになるのでしょう。ただ、昔のテレビを知っている人なら、昨年LGBTに対する配慮に欠けるとフジテレビが謝罪するという騒ぎになったとんねるずの曲で、あの秋元康さんがプロデュースして作詞もした「一気!」という曲です。当時は若者の飲み会の熱気をそのまま伝える曲として数々の賞も受賞したのですが、さすがに今はこの曲を地上波で歌うことは難しいでしょう。

この一連の流れの中で千鳥はVTRを止めることもなくそのまま流していましたが、東京で出ないのならここでもう一笑い千鳥からもコメントが欲しかったと思います。というのも、現在アマゾンプライム会員限定でネット配信されている「ドキュメンタル シーズン4」において、地上波では絶対に放送できないくらいの醜態を晒してまで笑いを取っているのを先日見たばかりだったので(^^;)、ついそんな事も考えてしまいました。ただ、ネット配信の「醜態」については、見る人が見ると全く今の千鳥を許せなくなると思いますので、見るにも覚悟が必要だと思いますが。

今回、本放送からは遅れたものの、偶然深夜の静岡で私は見ることができました。番組ホームページを見たところ今回の番組の内容について記載はあったものの、次回への言及がなかったのでもしかしたら特番扱いなのかとも思いますが、次回があるとしたらぜひロケに出掛けるタレントさんを厳選していただき、ローカル番組の色として構成は有名な番組をなぞるような形であっても、その内容で千鳥の個性を出して欲しいと思います。

(番組データ)

相席食堂~ついて行ったらチョメチョメじゃった 朝日放送(関西ローカル)
2018/01/04 23:20 ~ 2018/01/04 00:15 (55分)
出演者
千鳥(大悟・ノブ)
VTR出演
菊池桃子
千原せいじ

(番組内容)

芸能人が田舎の食堂に突然現れ、地元の人にいきなり相席をお願いしたら、どんなドラマが生まれるのか?さらに、相席した人について行ったら、どんなチョメチョメが待っているのか!?そんな行き当たりばったりの展開を“田舎出身&ロケマスター芸人”の千鳥がツッコミながら見守る“芸能人と地元民のガチ交流バラエティー”!

「ウチの島にも食堂が一軒だけあったからわかるけど、田舎の食堂は、毎日、同じ人が同じ時間に来るだけで、何もハプニングは起きない」と、大悟が“田舎あるある”を披露。「そこに芸能人が行ったら、どうなるかじゃ」と、ノブは未知数の展開に期待を込める。そんな2人の目の前にあるのが、VTRをいったん止めることができる“待てぃボタン”。VTR中に気になる箇所があれば、どんどんボタンを押して止め、自由にツッコんでいく。

今回とある田舎の食堂に向かう芸能人は、何と菊池桃子、そして千原せいじ。まさかの菊池桃子登場にいきなり仰天の千鳥。早くも“待てぃボタン”を押す。菊池は食堂で相席した女性に、「20万人以上が訪れる」という地元の一大イベントがあるという話を聞く。果たしてそのイベントとは!?

一方、せいじは数々のトラブルによって行く手を阻まれる…「この人にブッキングするからこういうトラブルになるんよ!」と大悟が声を荒げるが、せいじは悪態をつきながらも持ち前の強運で何とか乗り切り、地元の漁師とふれあう。


「気」の世界を無いとするテレビの検証は正しいのか?

かつて、その名も「ガチンコ」というテレビ番組(TBS制作)がありましたが、あまりにあからさまな番組タイトルと違う「ヤラセ」で問題になったという、今となっては笑い話にもならない状況の中でテレビは視聴率を求めてゴールデンのバラエティ番組を作っていた時代もあったのですが、さすがにネットで自由に声を挙げることができるようになったこともあり、節目はさすがに変わっているのではないかと今までは思っていました。

そもそも、この「ガチンコ」という言葉は大相撲やプロレスの中で言われていた言葉で、「真剣勝負」の事を差し、テレビバラエティでは略されて「ガチ」という風にも使われることがあります。元々プロレスは作られたショーではないか? という疑問を持つ人もいたことは事実ですし、最初は週刊ポストだったと思いますが、大相撲の八百長疑惑を報じる際にその反対の行動を取る力士の事を「ガチンコ力士」という風に使っていたのを覚えています。

その後、大相撲では疑惑では済まない形で告発がなされ、多くの力士が処分されたのですが、またぞろ「八百長相撲」をやっているのではないか? というきな臭い話が週刊誌を中心に報じられるようになりました。テレビをずっと見ている立場として面白いと思うのが、いつも「週刊文春」「週刊新潮」のトップで芸能人の不倫についてのスクープが出た時には必ずといっていいほどその週刊誌提供の動画とともに同じスキャンダルを報道するのに、本日のワイドショーは週刊誌でトップ見立しになっていた大相撲の八百長報道について全く触れることなく、相撲に触れても八百長の「八」の字にも踏み込めない始末です。テレビとして大相撲の八百長疑惑に突っ込んでいけないなら、他のもはやどうでもいい個人攻撃をしている様は、テレビの無力さを現しているに過ぎないのではと思う今日このごろですが、今回は別の面から「ガチンコ」にチャレンジしたバラエティーについて報告します。

まず、何よりも素晴しいことは、「本当なのか?」と疑われた上での取材依頼にも関わらず、きちんと取材に応じて館長自らがテレビに出て演武を行なってくれた群馬県太田市の村松気功太田道場の村松館長のご英断です。テレビの裏側がどうなっているかということは見ている側なので私には全てわかるわけではありませんが、明らかに自分達のやっている事に疑いを向けた中での取材であるのに、最後まできちんとその内容を紹介しつつ出演したということは、他の道場や流派と違って信頼に足るべきものがあると思います。

幸いなことにその道場はホームページを持っていて、道場としての告知とともに様々なグッズを売っているのも目に付きます。意地の悪い方はそれが胡散臭く感じるかも知れませんが、何の実体もない「ビットコイン」を売る仲介をして大儲けしている人もいる中で、こうした「気」のためのグッズとしてはそこまで胡散臭くないのではないかと思うのですが、気になる方は以下のリンクからぜひその内容を確認してみて下さい。

http://www.muramatsuqigong.jp/

番組ではこの村松道場にドランクドラゴンの鈴木さんが乗り込み、体に触れないで吹っ飛ぶような体験がしたいということで、とにかく「ヤラセ」なく館長の「気」をあびたのですが、残念ながら全く鈴木さんは反応しませんでした。

恐らく番組MCである有吉さんとマツコさんがいるために番組スタッフも安易に「お約束」である道場のお弟子さんと同じように吹っ飛ぶような演技をせず、MCの二人も取材に応じてくれた館長さんをかばうような苦笑いを浮かべていたのですが、そもそもこうした大きなテーマをテレビで検証するような場合は、専門の番組を作って中国の気功から日本の合気道まで様々なものについて解説しながらやっていかないといけないくらいの複雑な題材であると私には思えます。

番組では実際に演武を行なう前に5分間の「気を送る時間」を設けていましたが、これは催眠術と同じで、いかに相手の精神力を乱すことができるかという事が鍵になっているような気がします。今回の場合は絶対に動かないことを信念とするかのごとく鈴木さんが道場に乗り込んでいるのですから、「気」というものが存在しないという結論になりましたが、実は「気」だけでふっ飛ぶような事はそもそもテレビのバラエティ番組がその瞬間を何回も捉えているのです。

具体的には本当に「ガチ」なドッキリ番組において、本当にターゲットの気が抜けていたり、別の事に意識が集中している中で思わぬ所から仕掛け人が出現するような場合、人によっては決して仕掛け人が体に触れていないのにびっくりしてふっ飛ぶという場面を私たちは年末年始の特番で色々見たのではないでしょうか。

例えば、毎年恒例の日本テレビのドッキリ番組で、ターゲットの自局アナウンサーを待たせておくデスクの中に仕掛け人である上司のアナウンサーを忍ばせて、デスクを壊しながら正面に大声を出しながら登場する場面は、本当にその声と音だけで、ターゲットの新人あるいは入局の浅いアナウンサーは座っていた椅子からころげ落ちるように崩れ去りました。さらに面白いのは、もう一つ後に出てくる仕掛け人です。

いつもはそうしてびっくりさせた後で仕掛け人がアナウンス原稿を読ませるだけなのですが、今年はテレビ朝日の「報道ステーション」を卒業して他局にも出られるようになった古舘伊知郎さんが登場したのです。

若手アナウンサーにとっては古舘アナは実際に目にすることも少ない存在ということで、本当に古舘氏がすぐ目の前にいるということを理解した後でヘナヘナとその場にうずくまってしまったアナウンサーもいたのですが、これこそその人物の持つ「オーラ」や「気」だけで相手にダメージを与えるということの一つの例です。

また、ロケでめったにテレビカメラが入って来ないような所に有名なタレントが出向き、それが本人であるとわかったとたんに一気にその場にしゃがみこんだりその場から無意識に遠のいたりすることがあることも、私たちはテレビバラエティを数多く見る中で出てくるお馴染みの場面であるとわかるでしょう。そうした頭がパニックになってしまった人に、例えば「私は気功の心得がある」とでも言ってその場に立たせた人に気合いとともに空の拳を勢いよく繰り出したら、恐らく演武で見たような触れずに吹っ飛ぶ様をヤラセ無しで見ることができるでしょう。ぜひ自分の事を見て正常でいられなくなるようなファンを持っているタレントさんには試して欲しいものです。

人間の精神世界というものはここまで語ってもなおわけのわからないものなので、ぜひこうした「気」の世界についてヤラセ無しでとことん検証する番組があればいいのにと思います。今回の番組内容について、やっぱりヤラセなんだと思う人も多くいるとは思いますが、個人的には今回の検証を機に、さらに深く掘り下げる別番組が出て来ないかなと期待しています。

(番組データ)

マツコ&有吉 かりそめ天国 テレビ朝日
2018/01/17 23:15 ~ 2018/01/18 00:15 (60分)
【MC】マツコ・デラックス、有吉弘行
【進行】久保田直子(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】ガンバレルーヤ、白鳥久美子(たんぽぽ)、鈴木拓(ドランクドラゴン)、土屋圭市

(番組内容)

◇視聴者からのお耳に入れたい話は…(1)どんなワードを入れればいいかわからない!ネット検索が苦手です(2)甘納豆ブームはいつ来るのでしょうか?(3)回転寿司店のボックス席の上座下座ってどっち?◇欲望!!(1)ステーキ激戦区・六本木で最高のステーキを食べまくる!(2)気功の達人に思いっきり吹き飛ばされたい!(3)ドリフトキング土屋圭市のドライブテクを助手席で体感したい!
視聴者から寄せられた『二人のお耳に入れたい話』や、様々なジャンルの有識者たちから届けられた各業界の幸せニュース、視聴者の皆さんの「こんなことやってみたい、見てみたい!」という“欲望”を叶えるVTRをもとに、マツコ・デラックスと有吉弘行がトークするバラエティ番組!進行は久保田直子アナウンサー。今週は二人からどんな「お言葉」が生まれるのでしょう?お楽しみに!


通販番組はこんな番組が標準であってもいい

最初にお断りさせていただきますが、この番組は関東でTBS制作によって放送された時間とはかなり時間が空いてしまっていますが、TBSで1月5日と12日に再放送があったものを16日に地元テレビ局で放送があったものについて書いているので、ブログの日付と実際の番組データとのズレがあります。その点はどうかご了承下さい。

番組を見ていない方のために説明しますと、あらゆる商品に対して一言ある泉ピン子さんを他に出演しているタレントさんが通販商品を買わせるために説得して、最終的にはテレビを見ている人にも買わせてしまう。かなりバラエティー番組のノリに近づけた通販番組ということになるでしょうか。

普通、通販番組に出ているタレントさんというのはあくまでも羽目をはずすことなく上品に笑ったり不自然に驚いたりして、それが逆に面白いということはあっても、積極的に通販番組を目当てに見る方というのは他のテレビを良く見ている人の中でも少ないのではないかと思います。それが、この番組にはIKKOさんの物真似をするお笑いコンビ「チョコレートプラネット」の松尾駿さんをわざとIKKOさんの隣に立たせて宝石のプレゼンをハイテンションでさせたり、今まで多くのバラエティで出してきた定番をフル活用して出演者は知らないうちに通販で売られている商品にも興味を持つような構成になっています。

ここまでの多くのタレントを出さなくても十分面白い通販番組は作れるということを証明したのが、お笑いコンビ「ドランクドラゴン」の二人がメインで出演するBS12の「バカ売れ研究所」という番組だったりするのですが、このような番組を作れるのなら地上波の通販中心の時間帯や、BS放送の通販枠について、もう少しお金を出してバラエティ番組に近い通販番組を作った方がもっと売り上げが伸びて、タレントさんもその能力を十分に発揮することができるような気がするのです。

また、かつてあったマツコ・デラックスさんのアンドロイドが日テレポシュレという通販番組に一切事前告知をすることなく深夜というより早朝という、見ている人の注意力が散漫になるような時間帯に登場し、人間が出て売るのとアンドロイドとでは売り上げに違いがあるのかという実験を行なっていたのを見ましたが、もし何の事前情報もなく早朝にテレビを付けて、マツコ・デラックス本人でないアンドロイドが通販番組をやっていたとしたら紹介している商品に関係なく見てしまうケースがほとんどでしょう。

このように、通販を行なうスポンサーの了解さえ取れれば、まだ通販番組の演出や構成のやり方には無限の可能性があり、さらに商品が売れることでの直接的な利益をテレビ局にもたらすということで、相当メリットの有るコンテンツになり得るのではないでしょうか。

そういう意味ではいち早くこうしたバラエティ寄りの通販番組を地上波で放送したことで、TBSが一歩進んでいる感じもするわけですが、面白いコンテンツは全て真似されて他の放送局にも使われるのがこの国のテレビの習いでもあるので、この種の番組についてはぜひその局の個性を生かすような形での新たな通販番組を作って欲しいと思います。

通販業界ではアマゾンに勝てないという恨み節が出ているところもあるかも知れませんが、テレビ通販の面白さというのは、テレビを見て興奮した乗りですぐ電話して購入手続きを取ってしまうクロージングの早さにあるのではないかと思います。恐らく型番をメモしてネット検索をかけて価格比較を行なうような人は番組を楽しみながら最後まで見ないと思いますので(^^;)、むしろ自局のバラエティ番組の面白さを食ってしまうような勢いでこの種の番組が出てくればさらにテレビの世界も面白くなっていくのではないでしょうか。

(番組データ)

ピン子、通販やるってよ~本日開店!ピン子デパート~ TBS
1/12 (金) 9:55 ~ 10:50 (55分)
<支配人(ねびきひき子)> 泉ピン子
<副支配人> 土屋伸之(ナイツ)
<販売員> 出川哲朗 塙宣之(ナイツ) 鈴木あきえ
<ゲスト> IKKO チョコレートプラネット(長田庄平・松尾駿)
<VTR出演> 佐藤弘道
<ナレーター> 野沢雅子

(番組内容)

テレビショッピングが大好きだという芸能界きっての買い物女王、泉ピン子が、お客様目線で商品を値切りまくる! いい商品をどこよりも安く!をモットーに、販売員である出川哲朗、塙宣之(ナイツ)、鈴木あきえが全力交渉!なんと今回は通販番組最安値を目指す! 特別セットを特別価格で次々ご紹介! “ダメなものはダメとはっきり言う”通販番組の常識を覆す新感覚の通販エンターテインメントをお見逃しなく!


「サンデー・ジャポン」がだんまりを決め込んだ理由は?

サンデー・ジャポンという番組は基本的に月曜から土曜までに起こったことを時系列的に紹介していく中で、いわゆる「サンジャポファミリー」と番組が命名した人達のコメントとともに司会の爆笑問題が笑いの方向に誘導することが多く、普通のワイドショーと比べるとちょっとくだけているというか、悪ノリだと見ている側が感じることもある構成になっています。

番組ではさらに、いわゆる普通のタレントさんではなく、夜の街にも積極的に繰り出し、そこで目立っていたり面白いと思われる人についても積極的にテレビにVTR出演させ、そこで評判が良かった人について番組自体に登場させたり、世間ではバッシングがひどくて他の番組に出られない、例えは前東京都知事の舛添要一氏のような方でもテレビに出してしまう大らかさというか、面白ければ何でもありというような気風がある番組のように思えます。

そんな、サンデー・ジャポンのアンテナに引っかかって2017年10月に番組に生出演したのが、まさに今回のサンデー・ジャポン放送の対象である1月11日にマスコミ各社で報道され、恐喝未遂の疑いで逮捕された「サンジャポファミリー」の「平成バブル男」でした。ここでは、あえてTBSニュースのインターネット版で報じられた容疑者の説明の部分について引用による紹介をさせていただきます。

(ここから引用)
——————————————————————————–
「平成バブル男」としてテレビ番組に出演していた男が恐喝未遂などの疑いで逮捕された事件で、男が、ともに逮捕された男らへの指示役だったとみられることが分かりました。
(中略)
警視庁は○○容疑者(注・引用者の判断で本名の表示は控えました)が主犯とみて、調べています。
——————————————————————————–
(2018年1月11日 11時36分配信 TBS NEWSより一部引用)

この辺はさすがTBSの配信だと思うところがあります。他の媒体では映画に出ていたりDJをやったり歌を出したりしているということと、テレビ出演がサンデー・ジャポン以外にもTOKYO MX「バラいろダンディ」、テレビ朝日「お願い! ランキング」にも出演されているということで、「サンデー・ジャポン」という番組名も、「タレント」という呼び方も使っていません。

しかし、やはり「サンデー・ジャポン」に出たことで調子に乗って他のマスコミにも出演したことには変わりないわけで、この事件の報道をした媒体の中に彼の事を「自称」の付かない「タレント」と報じたところもあるだけに(中にはさらに慎重に「自称 音楽プロデューサー」としているところもありましたが)、テレビに出す側の判断には難しいものがあるということがわかります。

で、今回この番組を取り上げたのは、さすがに番組の中でVTR紹介だけでも何かコメントがあるのではないか? と思ってずっと見ていたのですが残念ながら全くこの事件については番組からもサンジャポファミリーで固められたコメンテーターからも言及がありませんでした。

恐らく今回の容疑者もテレビに出たことによって、ことさら自分の事をセルフ・プロデュースして大きく見せようとして、利用しようとしていたのだとも思います。しかし、いざ不祥事を起こせばそれまでお願いして番組に出ていただいていたような人でも、取るに足らない人物だとスタッフから判断されたような人は、たとえ一時期「サンジャポファミリー」と認定されていても最初からいなかった事にされてしまうのがわかっただけでも今回の番組視聴には収穫がありました。いわゆる「時の人」扱いでいくらテレビに出ていても、その実力がある程度評価されなければ舛添要一さんのようにテレビに出してはくれないという、テレビの厳しさを改めて思い知ったということになるでしょうか。

多くの視聴者は「サンデー・ジャポン」を単なる馬鹿番組だと見なしているかも知れませんが、当然ふざけている中にも厳しさがあります。テレビに取り上げられた事で調子に乗り過ぎるような傾向のある人は、何のフォローも後追いもされない現実があるのだという事を理解しておいた方がいいのかも知れません。

(番組データ)

サンデー・ジャポン 桂文枝師匠 年下女性との18禁音声▽ホリエモン芸人転向? TBS
1/14 (日) 9:54 ~ 11:30 (96分)
【レギュラー】爆笑問題(太田光・田中裕二) テリー伊藤 デーブ・スペクター 西川史子 細野敦 山本里菜(TBSアナウンサー)
【準レギュラー】 杉村太蔵
【ゲスト】 堀江貴文 神田松之丞 ダレノガレ明美 Niki
【VTRゲスト】 松本潤 香川照之 木村文乃 ・ ガリットチュウ 福島善成 (順不同)

(番組内容)

今週もニュースが盛りだくさん! ▽桂文枝師匠と愛人報道があった18歳年下の一般女性との年齢制限がある音声が流出▽渡辺直美さんが窃盗被害!? 一体誰が…そしてデヴィ夫人の芸能事務所運営費を着服した元経理担当者の初公判が…傍聴したデヴィ夫人が怒りの一言▽浅野ゆう子さん(57)が昨年末に一般男性と結婚していたことが…▽19歳少女のお尻に寝てる間に刺青を!?彫った自称投資家の男を逮捕!

▽成人式の当日に貸衣裳会社「はれのひ」が営業停止…振袖が着られなく欠席する新成人などとトラブルが相次ぐ中、社長を大追跡!▽東京五輪を前に前代未聞の不祥事!カヌーの日本代表入り有力候補選手がライバル選手の飲み物に禁止薬物を混ぜた!?▼ホリエモンがお笑い芸人に!?次は何を企んでいるのか、スタジオで生・徹底追及!いま最も勢いのある超毒舌講談師・神田松之丞が初登場!毒舌バトル…ダレノガレ明美vsNiki


三島由紀夫を現代に蘇らせる新ドラマ

当日の新聞のテレビ欄でこのドラマのことを知り、夜のサスペンスでは松本清張や西村京太郎、森村誠一はシリーズ化して放送しても、なかなかこの人の作品はドラマとして見る機会のない三島由紀夫氏の作品をドラマ化するということで見ようと思ったのですが、これが連続ドラマだとわかり、続けて見られるか不安に思ったのですが、オープニングからかなりぶっ飛んでいて素晴しいと心より思いました。

というのも、ドラマのオープニング舞踏に田中泯、語りが美輪明宏、そして主題歌がロックバンド「人間椅子」の書き下ろしという、まさに三島由紀夫の世界を現代の視聴者に見せる気満々という気合いが、これらの名前を列挙しただけでもわかる方にはわかるでしょう。でも、たまたま見るテレビがなくて、たまたま土曜夜9時になった時にBSジャパンに合わせてしまって、このドラマのオープニングを見てしまった方にとっても、何だこれは? と思わせるだけのインパクトは大きく、恐らく地上波で毎日番宣をやっているドラマと比べて見ている人は少ないんだろうなと思ってしまう悲しさもあります。

このドラマの元となった同名小説は50年前のものであり、ちょっとストーリーのテンポがゆっくりかなという感じを持つ方もいるかも知れません。さらに今回のパターンを見てしまうと、毎回死のうとする主人公が死ねないで続くというありがちなラストも見えてしまうのですが、実際のところ三島の描く「生」と「死」をからめた世界観を楽しむドラマでもあると思うので、何回か見続けることで感じてくる味というものを感じられるとしたら、ぜひそういう方には三島由紀夫の小説にも手を出して欲しいと思います。さらに、エピソードとともにどんなゲスト俳優さんが出てどんな怪演を見せてくれるかも楽しみです。

(番組データ)

[新]連続ドラマJ 三島由紀夫「命売ります」 BSジャパン
1/13 (土) 21:00 ~ 21:54 (54分)
episode.1『開業。命売ります』
【出演者】
・山田羽仁男…中村蒼
・井上薫…前田旺志郎
・宮本…田口浩正
・杉元杏子…YOU
・岸宗一郎…田中泯
【第1話ゲスト】
・岸宗一郎…田中泯
・岸るり子…橋本マナミ
・李正道…大杉漣
【原作】 三島由紀夫『命売ります』(ちくま文庫)
【脚本】 小山正太、大林利江子
【監督】 金澤友也
【音楽】 瀬川英史
【主題歌】「命売ります」人間椅子 (徳間ジャパンコミュニケーションズ)

(番組内容)

三島由紀夫が自決する直前に書いた怪作「命売ります」が初映像化!自殺を図るも失敗した羽仁男(中村蒼)は、自分の命を売り出す商売を始める。毎回舞い込む奇妙な依頼は…

変わらぬ社会、延々と続く日常に見切りをつけ、自殺を図った山田羽仁男(中村蒼)。しかし、死ぬことに失敗した羽仁男は、自分の命を売り物にして商売をすることを思い立つ。最初の客、岸(田中泯)の依頼は、自分の若き妻(橋本マナミ)と関係を持ち、その愛人に見つかって殺されてほしい、という奇妙なものであった…。


CSの有料放送を無料のBS民放で見せる試み

この番組は、過去の歴史上の人物を「被告」とし、時代劇では出てこない事実を検察官役の渡辺いっけいさんがあぶり出す法廷劇です。NHK教育テレビで「昔話法廷」という番組がありました。これは2015年の番組ですが地上波で放送され一部の新聞でも取り上げられたりするなどしたことで覚えているのですが、実はこちらの番組の方が同じコンセプトで2010年から放送され、さらに2011年に放送された田沼意次を被告にした回がギャラクシー賞を受賞するなど、実はNHKがこの番組のコンセプトをそのままに番組を作って評価を得たということがあるのです。個人的に思うのは、その当時「昔話法廷」を紹介する新聞のテレビ欄の紹介の中にこの番組の事を書いて知らせてくれれば、少なからぬ人たちが、早くにこの番組に触れるきっかけになっていたかも知れないということです。

なぜこんな話をするかというと、この「時代劇法廷」という番組はBSフジの制作した番組ではなく、CS放送の有料放送の会社「日本映画衛星放送」が作ったオリジナル番組で、「時代劇専門チャンネル」で放送されたのですが、何とCS放送専門局がギャラクシー賞を獲得したのはこの番組が初めてであったということなのです。時代劇を心から愛する人はこのチャンネルにお金を払って加入して、こうした番組を見る機会もあるでしょうが、浅く広くまんべんなくテレビ番組を見たいと思う人までには届かなったところもあったのではないかと思うのです。

今回の徳川吉宗と大岡忠相を被告とした回は2011年10月にCSで放送されたものですが、5年以上前の放送ながら、前日のNHKBSプレミアムで新シリーズが放送されたリメイク版の「大岡越前」放送の次の日に放送を持ってくるところはBSフジの方で何か意図があったのかと勘ぐりたくもありますが、無料放送でそのまま話題の番組を見せてくれるのは有難いことです。

BS放送のプログラムの中にはかなりの歴史紀行番組がありますが、このような現代の価値感のもとに時代劇のヒーローを法廷に出すことでかなり人間的な魅力を伝えることができ、新たな歴史についての知識を得ることもできるという点でやはり賞を取るだけのことはあると思われます。

今後、このプログラムをBSフジがどう取り扱うのかと思ってネット上を調べていたら、何と昨年の一月末にも同じ徳川吉宗被告の回がBSフジで放送されていたのを発見しました。このシリーズの中では、現在大河ドラマから朝ドラマで出演されて絶大な人気を誇る高橋一生さんを土方歳三役で出している回など、ぜひ見てみたいと思ったのですが、初放送から時間が経過しているものでも、そのままの形で流すのは難しいのかということも考えられます。

ただ、現状のBS民放のプログラムは興味深いオリジナル番組もあるものの、その多くがQVCやShopチャンネルの同時放送や、中国・韓国のドラマ、放送枠をそのまま使った通販番組であることを考えると、通販番組をバラエティ化したり、ドラマで出演していた中国・韓国で活躍する俳優を出すバラエティ番組というような形での発展の仕方はあるものの、せっかく日本のテレビ番組の中にCS放送のオリジナル番組というストックがあるのですから、その資産を有効に活用して欲しいと思うのは私だけではないでしょう。

今回は「時代劇専門チャンネル」と「BSフジ」との間での話ですが、例えばCSのテレ朝チャンネル1で放送されている「ゲキレア珍百景」をBS朝日で通常放送にするとか、様々なやり方はあると思うので、そうした試みも今後されて欲しいなと思うところです。

(番組データ)

時代劇法廷 被告人は徳川吉宗 BSフジ(制作・日本映画衛星放送)
1/13 (土) 15:00 ~ 16:00 (60分)
<出演者>
渡辺いっけい 福士誠治 眞島秀和 森下哲夫 茅島成美 井沢元彦  ほか

(番組内容)

享保の改革・目安箱など、まさに”スーパースター”と呼ぶにふさわしい吉宗は本当に名君だったのか?罪名は「詐欺罪」。「被告人・徳川吉宗は庶民の味方という揺るぎないスターダムを築き上げたが、それは吉宗自身による自己像のでっちあげであり、その実像は苛烈な倹約政策と重税を推し進め、庶民を疲弊させた張本人」というのが時代劇検察官の主張だ。 「大岡越前」でおなじみの大岡忠相が弁護人側証人として出廷し、”時代劇黄金コンビ”で余裕の構えの吉宗だが、やがてそのスター然とした態度の裏に潜む弱気で孤独な本性が垣間見え…。時代劇検察官が歴史の嘘に切り込み、”スターの孤独”を浮き彫りにする!