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今のNHKは人を見て「忖度」する?

後からこの文章を読む方もいるとは思うので、この番組が放送された当時の世の中の動きについて紹介しておきますと、ちょうど前日に国会では元官僚の方が証人喚問で呼ばれ、首相や首相夫人、官邸や官房長官など政府の要人に良かれと思って証言をしたのではないかと野党が攻め立て、今年の流行言大賞は「忖度」ではないかと言われていて、NHKを含めて多くのテレビ局で批判的に「忖度」という言葉を扱っているように感じています。

そんな時に放送されたこのプログラムは、向田邦子さんとのコンビで数々のドラマを作り今なお多くのファンのいる演出家の久世光彦氏を敬愛する小泉今日子さんがホストとなり、「マイ・ラスト・ソング」という久世氏の同名エッセーを基にして数々のテーマとともにそれぞれの人生の最期に聴きたい歌を紹介していくという形の番組でした。

久世光彦氏の話をもっとしてくれるのかと期待していたものの、樹木希林さんが登場した割には大した話もしないで終わってしまったのは個人的には残念でしたが、実は樹木希林さんがスタジオに入ってNHKの紹介する「女子会トーク」を収録している時に、変な動きをする樹木希林さんに気付いたのでした。
見ていた方ならわかると思いますが、希林さんはバッグを本番のスタジオに持ち込んでおり、他の人が話したり自分で喋りながらそのバッグを自分の隣の席に置き、中に手を突っ込んで何かを探しているのを見てしまいました。恐らく、トークの内容に関係あるグッズでも出てくるのだろうと思いながら見ていたら、次のカットではバッグを足元に置いたままその後は手を付けず、結局何のためにバッグを本番の収録に持ち込んだのかはわからずに番組は終了しました。

正直、私はテレビに出ている人がその番組の中で私物の入ったバッグを持ち込むような人というのは、さんま御殿で司会の明石家さんまさんに私物のバッグを見付けられてかなり大きな声でマジ注意された蛭子能収さん以外にはこんな事例を知りません。蛭子能収さんの場合はお笑い中心のバラエティーのためある意味結果オーライで、蛭子さんのテレビからはみ出すような行動をうまく笑いに変えていたなとその時は思ったのですが、もしバッグの中に電話など音を出すものが入っていて収録中に急に鳴り出してしまったらと考えると、普通はスタッフが出演者に私物は持ち込まないで下さいと諌められて終わりなのですが今回はそうはならなかったようです。

特に今回の場合はバッグを自分の隣に置いてゴソゴソやっているところまで番組で見せているのですから、少なくとも共演者はその行動に触れて笑いに変えるとか何とか処理をするようでないと、わざわざ希林さんが私物のバッグをスタジオに持ち込んだ甲斐がありません(^^;)。もっともそれは私が民放を見過ぎているせいかも知れませんが、もしNHKのスタッフが樹木希林さんの勢いに押されて私物のバッグのスタジオ持ち込みを結果的に許してしまっただけだったら、それこそNHKスタッフは樹木希林さんに「忖度」した結果だけが残り、見ているこちら側は違和感だけが残ったというのが正直なところです。

今回は、トークの中で今はもうあれだけ人に対して怒る演出家はいないという久世光彦さんに対しての好意的な評価をしてから番組に入ったのに、NHKのスタッフには困る時でも大女優なら決して怒らずに忖度してしまうという事になったという、本当に残念な番組になってしまったように思います。樹木希林さんの自由な行動を番組で触れないことは、実は当の希林さんが残念に思っていたのかも知れません。

(番組データ)

マイ・ラスト・ソング~人生の最後に聴きたい歌は~ NHK総合
3/28 (水) 22:00 ~ 22:50 (50分)
【出演】小泉今日子,樹木希林,満島ひかり,又吉直樹,浜田真理子,奇妙礼太郎,
【語り】窪田等

(番組内容)

小泉今日子のライフワークがついに番組化!人生の最後に聴きたい日本の名曲を、小泉今日子自身の朗読とともに届ける。樹木希林・満島ひかりとの「いい女」トークも!

小泉今日子の人生において忘れることができない恩師、それがドラマ演出家の久世光彦だ。小泉は、久世が残した「マイラストソング」というエッセイをもとに、朗読と歌の舞台を10年にわたって上演してきた。今回、この小泉のライフワークがテレビ番組になった。小泉の朗読と、聴く人の人生に寄り添う、日本の「いい歌」を届ける。さらに樹木希林、満島ひかりを迎え、「女子会」さながらに人生についてディープなトークを展開する。


NHKのバラエティは民放ゴールデンタイムバラエティともはや遜色なしか

このブログでは最後に、番組のデータと内容を紹介しているのですが、この番組で注目すべきことがあります。それは、番組に出演している人達は司会を含めて全てタレントで固められているということです。NHKのバラエティというのは必ずどこかにNHKのアナウンサーや解説委員などの局の関係者が入り、それがいいという人もいれば、局の人間の出すオーラによってバラエティとしての面白さが台無しになるという人もいます。

今回は民放でバラエティ番組の司会を多く行なっている有吉弘行さんにしたことで、収録中であっても暴走してしまい、その雰囲気が番組に出てしまうのを心配するなら、隣りにいてしっかりと有吉さんの暴走を止めるようなアナウンサーを置いても良かったと思うのですが、実はそれでは今まで私達が見てきたNHKのバラエティーと同じ結果になってしまうことは明白でしょう。たとえそれが有働由美子アナウンサーや桑子真帆アナウンサーであってもです。

恐らく、NHKの中の人の間でもドラマやドキュメンタリー、教養番組では民放よりいいものを作る自信はあっても、バラエティについては民放には敵わないということを感じていたことはあったのではないでしょうか。今後NHK発のバラエティを進化させ、より多くの人に見てもらうためには、あえてNHK側の出演者を出さないバラエティを作ることでよりNHKへの視聴者への注目が集まるのではないか、そうなれば受信料もしっかりいただけるのではないか(この部分については個人的な邪推の域を出ませんが)という風に考えてのキャスティングなのではないかと思ったりもしました。

今回、NHKの局の人間を出さずに有吉さんに暴走させないための方法として、司会を有吉さん一人にしないで、下ネタやえげつない話はNGの鈴木福くんを起用したのは今後のNHKのバラエティを考えた時、ものすごいアイデアだと思いました。鈴木福くん自体は大したことも言えず、有吉さんの隣にいるだけで、下世話な話を振られても愛想笑いをしているだけでしたが、NHK的にはそれで良く、恐らくNHKのスタッフが作ったカンペを指定された時に読むだけで十分でした。キャラの立つアナウンサーが余分な事を言わないことで、有吉さんが自分で考えてしゃべる余地を作ったのが鈴木福くんの存在だったと言えるのではないでしょうか。

有吉さんはメチャクチャな事をやっているようでいて、場の雰囲気を読んでうまく立ち回ることができるスキルを、ピン芸人として復活していく中で身に付けていった苦労人です。だからこそ、あらゆるジャンルのタレントにフィットさせることができます。さらに、ゲストも民放のバラエティの司会とゲストという立場で何回もやり取りしている人ばかりです。こうなるともう、NHKスタッフのもくろみ通り、少し失礼にも苔を取ってお金設けをしている人のパーマの頭をアップにするようなVTR素材も入れながら、スタジオでのトーク回しは民放バラエティとほとんど同じで、その中でもあまり過激な話はしないなどNHKの方としても安心できる内容でNHKの新たなバラエティ番組の方向性を打ち出したように思えます。

となると、こうしたNHKの動きを受けて民放のバラエティ班がどのような番組作りを目指すのかということが気になります。VTRを見ながらゲストと司会者がやり取りするような番組においては、もはやNHKは今回の番組を成功させたことで、そのノウハウを十分に持ったと言っていいと思います。まだ深夜のクセがすごいバラエティは安泰かと思いますが、少なくともゴールデンタイムに放送されているバラエティのいくらかは、NHKとの競争に負けてしまう恐れが出てきたように思います。

過去の例としてフジテレビで放送され、人気抜群だった「ほこ×たて」にやらせが発覚して打ち切りになった後、NHKがしれっと「超絶 凄ワザ!」という一切やらせなしという類似番組を始めたということもあります。受信料収入をバックに資金をかければやらせなしでバラエティ番組だって民放より多くの視聴者を楽しませる番組を作れるということなのかも知れませんが、工夫すればテレビ東京のようにお金を掛けずに人気番組を作ることもできるのも確かです。今回の番組はまだそれほど民放の脅威にはなっていないと思っている方も多いと思いますが、私は民放のバラエティ班もNHKに対しての危機感を持った方がいいのではないかと思ってしまいました。

(番組データ)

有吉・福くんのお金発見 突撃!カネオくん NHK総合
3/24 (土) 20:15 ~ 20:45 (30分)
【司会】有吉弘行,鈴木福,
【ゲスト】高橋英樹,田中美佐子,岡田結実,
【カネオくんの声】ノブ(千鳥)

(番組内容)

日頃、気になるけどなかなか聞けないお金のヒミツに“おカネ大好きキャラクター・カネオくん”が突撃取材!家族で楽しめる生活マネーバラエティー!ぶっちゃけみんなのお給料っていくら?街で景気調査!1年で1000万貯めた主婦のスゴ技とは?知ってるようで知らない、世の中のお金事情&仕組みをわかりやすくお届け!MCはテレビ初のコンビとなる有吉弘行&鈴木福くん。彼らと一緒に世の中のおカネのヒミツを解き明かします!


紅白のPRに「さんま&しのぶ」のデュエットは役に立ったか

いわゆる、大晦日にNHKホールで行なわれるNHK紅白歌合戦の事前告知番組であると書いてしまえば、この番組の説明はできてしまうのですが、今回で第3回を数えるということになると3年連続で、明石家さんまさんを出してまで番組告知をしているという風にも見えますが、実際の中味を見るとそこまで紅白のPRをしていないので、改めて何をやりたかったのかという疑問が残る番組であったことを最初に告白しておきます。ただし番組をさらに台無しにしかねない局のアナウンサーをMCにしなかった点については評価します。

何と3回目の今年は大竹しのぶさんとさんまさんがセットで出してしまうというのは、ある意味NHKが頼んだからと言えるのかも知れませんが、安易に元夫婦を番組内でデュエットさせると煽る手法などは民放を含めての視聴率競争に参戦している印象を強く持たざるを得ません。

さらに、乃木坂46とのからみでは、案の定というか「恋のから騒ぎ」(日本テレビ)状態になっていました。乃木坂46目当てでこの番組を見ている人ならそれなりに楽しめるでしょうが、そうでない人にとってはわざわざこんなからみをNHKニュースの後でまで見たくないという人の方が多いのではないでしょうか。

一体これからどうなるのかなと思いながら見ていたのですが、とにかく46人いるメンバーとさんまさんが次々とアンケートの結果を受けてメンバーに話を振り、個人的にはあまり噛み合っていないように見えたところもあったので、早く歌に移行した方がいいのではと思いながら結構見ながらハラハラしてしまいました(^^;)。しかし、そんな中でもやりとりは続き、ついにはメンバーの一人がさんまさんのコメントにうまく答えられずに涙目になった時には、「さんまのまんま」(関西テレビ)に出演した山瀬まみさんを泣かせた伝説の回を思い出しました。

結局、その後歌になったものの、乃木坂46は一曲を歌ったのみだったので、せっかくNHKのゴールデンタイムの歌番組に出てきたのですから、もう一曲ぐらい歌を入れて、その分メンバーへのいじりについてはさんまさんの厳しいツッコミをしっかり返すことができるメンバーに限定した方が、何よりさんまさんと乃木坂46のお互いのファンのためにも、テレビを見ている側が安心して見ていられたように思ったのですが。

その後、大竹しのぶさんが登場し、元夫婦の軽妙なトークが始まりました。大竹しのぶさんの過去の紅白出場時の映像として、役者顔で「愛の讃歌」を歌ったVTRをさんまさんに相当突っ込まれていましたが、真剣にやればやるほど面白くなるというのは良くあることで、こうしたいわば小学生のような親しい人へのいじりは微笑ましいものです。しかし大竹さんの方がそうしたツッコミを真に受けてしまって喧嘩になったであろうことがもしかしたら離婚の原因の一つになっていたとしたら悲劇ですが、今ではそれを逆手にとって、NHKでも大竹さんの還暦記念コンサートの時、出演者を含む全員から2万5千円取ったという話で非難の応酬をするなど、今やすっかりNHKでもやれる「営業化」したお二人のトークを楽しませていただきました。

しかし、そこまでは個人的に許容できたものの、番組内でデュエット曲として披露されたあの大竹しのぶさんとの夫婦喧嘩を模したデュエットソング「キライナヒト」は明らかにやり過ぎではないのか? と思ったことも事実です。なんでもこの曲は「還暦記念パーティでの二人のやり取りからヒントを得て作られたそうで、11月23日のいい夫婦の日に大竹さんのアルバムの中の一曲として既に発売されているということですが、まさかテレビの歌番組でデュエットをさせるとは、NHKも罪なことをするものです。

この曲は冷静になって聞けばさんまさんのパーティでのアドリブをそのまま固めたような歌詞になっているので、時が経ては経つほど古くさくなり、将来においては歌っているお二人にとって、特にさんまさんにとっての「黒歴史」になりそうな、ある意味貴重な楽曲だと思えます。これが紅白のPRに役に立ったのかは疑問ですね。単に人目を引くためにこのデュエットが行なわれたのだとしたら、大竹さんには全く影響はないものの、さんまさんにとっては今後も人前で歌えと強要されればされるほど、地獄の沙汰になってしまう可能性さえあるように思います。

個人的には「さんま&しのぶ」のからみというのは、そう頻繁に行なわないから面白味が増すと思っているので、できれば今後しばらく二人の顔合せは封印してもらって、できればNHKでなく民放のラジオで(ニッポン放送での過去のお二人の掛け合いは何しろ邪魔が入らないで続いたので絶妙でした)やるくらいにとどめておいた方がいいのではないでしょうか。

(番組データ)

第3回明石家紅白! NHK総合
12/18 (月) 19:30 ~ 20:43 (73分)
【司会】明石家さんま,
【出演】大竹しのぶ,T.M.Revolution,高橋優,乃木坂46

(番組内容)

さんま流紅白に、なんと禁断のゲスト・元妻「大竹しのぶ」が参戦!別れても息ぴったりの爆笑トークがさく裂。さらに初デュエットで歌も披露!乃木坂のものまねや悩み相談も。さんまの激しいトークに涙するメンバー?!西川貴教とさんまの思い出の曲をさんまが飛び入りでコラボ!高橋優はさんまが大好きな名曲「糸」を弾き語る。そしてライブのトークに、さんまが笑いのダメ出しも!今回もお笑い怪獣がNHKで歌に笑いに大暴れする


民放キラーの番組紹介番組 さらに特定のお店の宣伝まで?

中高年に向けて、「水戸黄門」無き後、月曜夜の定番の番組になりつつある「鶴瓶の家族に乾杯」ですが、今回は再放送の深夜に見ました。番組のコンセプトとしては、ゲストが選んだ地域に、アポイントを取らないで直接カメラを回し、その地域の家族を訪ねるというコンセプトの番組ですが、当初は今のようなNHKのドラマや新番組に出るゲストがゆかりの場所を回ることでちゃっかりそのドラマの広報までやってしまおうというような番組ではなかったのですが、現在の番組のテーマ曲を作曲した「さだまさし」さんが出なくなって変わってしまいました。

さらに、現在の番組の放送時間はかなり計算されて変えられているという印象です。最初はさだまさしさんと笑福亭鶴瓶さんとの2人旅で、月一回の特集バラエティという扱いでしたが、2005年から月曜夜8時からの45分番組になり、前後編を2週に分けて放送するという形式で月曜夜の視聴率競争に殴り込みを掛けたかのようにすごい勢いで視聴者を増やしていきました。

当時の月曜の夜と言えば、TBSの一人勝ちといった状況で、午後7時からの「東京フレンドパーク2」からの同8時には「水戸黄門」、さらに9時からは一話完結のサスペンスで渡瀬恒彦さんの十津川警部シリーズなど個性の強いキャラクターが登場と、ゴールデンの勢いをそのまま深夜まで保つような勢いがあったのですが、その中に割って入ろうとしたのが他の民放でなくNHKだったのですから当時はNHKもえげつないことをするなあと思いながら見ていました。

その後、テレビ時代劇全般の視聴率低迷が言われ、「水戸黄門」でさえも苦戦する中、「鶴瓶の家族に乾杯」は支持を中高年層に広げていき、その圧力や他民放の月曜夜7時台の攻勢に押し出されるような形で2009年に「東京フレンドパーク」が月曜から木曜に時間を変更したあたりから雲行きがさらにおかしくなりました。その状況を察したのか、1年後にフレンドパークの放送は月曜に戻りましたが1年木曜日へ行っている間に視聴者は他の民放に取られ、そのおかげであの水戸黄門でさえも、2011年末に最終話を迎えることになってしまいます。

パナソニック提供のドラマ枠は残ったものの、現代劇を見慣れない中高年の方々は、裏番組の水戸黄門を気にせずに鶴瓶の家族に乾杯を見られるようになったことで、さらにTBSの状況はおかしくなってしまったのではないかと私自身は思っています。それでも、現在の放送時間である午後7時半からの放送に変わるまでは、「鶴瓶の家族に乾杯」→「月曜ミステリー劇場(番組名は当時のもの)」という形でまだTBSは見られていたのではないかと思うのですが、現在は一話完結のドラマ枠が午後8時からと一時間開始時間が早まってしまったので、恐らく中高年の視聴者は途中からミステリー・ドラマを見ることはせず、他のチャンネルかNHKを見続ける方の方が多くなっているのではないかと思います。

こういった経緯を見ると、鶴瓶の家族に乾杯はTBSが自分で転んだという面はあるにせよ、きっちりと視聴者の流出を防ぐ形で巧みに編成されているということをまずは感じます。
番組内容はゲストが誰かによって面白さが違ってくるということはあるものの、安心して見ていられ、さらに露骨なNHKの番組とのタイアップであるにも関わらず(話題のドラマで人気の俳優はほとんど出ますので(^^;))、そうした姑息さを感じさせない笑福亭鶴瓶さんの働きはさすがというしかありません。

ただ、現在の一回完結のパターンになって唯一問題がある点といいますか、こんなものを流していいのか? と思うのが女優の常盤貴子さんがナレーションをする「家族に一杯」というコーナーです。

本編の中でもその土地の有名なお店に鶴瓶さんやゲストが突撃するので、これはそのお店にとってはかなりいい宣伝になるなと思っていて、本来NHK自体が商標登録をされた言葉を出さないなど、特定の人や会社が潤うような宣伝については厳しいはずなのに大丈夫かと思いながら見ていたのですが、「家族に一杯」というコーナーは鶴瓶さんとゲストの旅とは全く関係ない独自のコーナーなので、きちんとロケハンをして撮っているのに、明らに見る人が見ればわかるお店の有名なメニューを紹介したと思えば、番組を見た人が放送された土地に行ってあの一杯を食べてみたいと思っても、土地の人達の集まりのようなところでカメラを回し、土地の人が食べる家庭料理の紹介で終わってしまう場合もあるなど、首尾一貫していない中途半端なものになっている気がするのです。

そもそも、番組内でのあからさまなNHKで放送する番組宣伝以外の宣伝もどきの行動について、この番組だから許されるのか、NHKも変わってきたのかということもちょっとわかりかねます。番宣という行為すら、NHKの公共放送という理念とはちょっと違うのではないかと思う方もいるかも知れませんし、その辺を全てなあなあで済ましてしまっている感じがある、その象徴的なコーナーとして私はあの「家族に一杯」というコーナーを見ています。

ちなみに、今回のゲスト、リオデジャネイロオリンピック重量挙げ銅メダリストの三宅宏実さんをゲストで出したのも、政府が推進しNHKが主になって放送する2020年の東京オリンピックについて、多くの人に知ってもらうための告知という目的があってのものです。個人的にはNHKにはどこの部分が番宣だなんて野暮なことを民放を見ている時のように考えなくていいバラエティを放送して欲しいと思っているのですが、今のところそういった希望を叶えるためには、ネット放送の方に逃げるしかないのかなという感じになっているのが残念です。

(番組データ)

鶴瓶の家族に乾杯[再] NHK総合
11/3 (金) 0:10 ~ 1:25
【ゲスト】三宅宏実
【司会】笑福亭鶴瓶,小野文惠
【語り】久米明,常盤貴子

(番組内容)

「東京2020SP メダリスト三宅宏実とぶっつけ本番旅」
素敵な家族を求めて笑福亭鶴瓶とゲストのウエイトリフティングの三宅宏実が青森県黒石市でぶっつけ本番旅。二人は次々と素敵な出会いを繰り広げていく。