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テレビがカバーしにくい「天体ショー」こそネットの独断場か

2019年12月26日の午後2時過ぎから、普段は全国の天気を伝え続けているウェザーニューズのYou Tubeチャンネルはライブの特別番組に切り替わりました。というのも、この日は日本で部分日食が見られる日で、さらにアジアの一部地域では金環日食が見られたのでした。

番組は日本国内の天気を紹介しつつ、国内での日食の画像を伝えようとしましたが、あいにく日本のほとんどの地域で曇りないし雨の天気で、北海道や東北、沖縄など限られた地域でしか部分日食は見られませんでした。

しかし、多くの会員を持つウェザーニューズの番組内では会員が雲の向こうがわでかろうじてその姿を見せている部分日食の様子が紹介されました。こうした事がリアルタイムで行なわれることは重要です。というのも、今回のような基本的に日本国内では見られないながらも、奇跡的に雲の切れ間から太陽が顔をのぞかせることはあるわけで、番組では会員からの写真や気象衛星からの雲の画像を紹介しつつ、番組を室内で見ている人であっても番組内の情報で自分の回りが晴れているのに気付けば、自ら外に出て部分日食の様子を直接見られるような可能性が出てくるわけです。こういうことは、今の日本のテレビではなかなか行なえない事で、今後のネット動画のあり方についての一つの方向性を見せてくれているようです。

番組の方はグアムにカメラを用意していて、たった数分間の金環日食の撮影のために用意したカメラが見事に金環日食の始めから終わりまでを克明に映し出してくれました。私の住んでいるところでは太陽の姿を拝むことはできませんでしたが、大画面のテレビにYou Tubeの動画を映していたので、それなりの迫力で安全に見ることができました。こうしたリアルタイムで天体ショーを生中継してくれるのは本当に有難いことです。

ウェザーニューズでは日食・月食だけでなく、有名な流星群の極大日には結構生中継をやってくれます。この中継も、全国各地にカメラを置いて多元中継を行なうので、全く流れ星が見られないということはなく、スタジオのキャスターの伝える楽しい中継に外で見るよりつい中継の方を見てしまうということも起こり得ます。

このような中継がない時代には、自分で天気を調べて場所を決め、もし到着時に曇っていたとしても一瞬の雲の切れ間を狙うか、さらに移動した方がいいかを自分で決める必要があったのですが、今ではネット中継の様子を見てどこに移動すればいいか判断しやすくなっています。

今後、ネットでの天体ショーの同時中継に期待していることは、一時間に数千個も流れることがあるという「しし座流星群」のリアルタイム観測につながるのではないかということです。しし座流星群は毎年11月というかなり寒い時期に出現するものの、普段は一時間に数個くらいしか流れないのですが、ごくまれにではありますが大出現を見せることがあります。

ちなみに前回の大出現は事前にある程度予測されていて、さらに日本より早く流星が見られるオーストラリアで異常と思えるほどの流星の動画かリアルタイムでウェザーニューズではありませんが配信されてきていたので、深夜から夜明けにかけて出現を確信して待ち、多くの流星を見ることができたのですが、これと同じ事が今後起こるかも知れません。

現代の流星予測の精度は上がっているとは言っても、地域によっては見えない事もあり、果たして日本で見えるのか、見えるとしたらどこへ行けばいいのか、さらに見える時間はいつまでかというような情報を逐一報告してくれるのも天体ショーの同時中継の役割になってくると思います。

ネットでの中継を見ながら暖かい部屋か車の中で待機し、出現し出したら一気に外に出て直に見るということもできますし、本当に大出現があったとしたら時間制限のあるテレビよりも、いくらでも放送延長が可能なネット動画の方が有利です。さらにスマホでどこにいても見られるような形で現在も放送しているので、本当に車で移動しながらいい条件で見られる場所を探すこともできるでしょう。

今回の部分日食は皆既日食や金環食よりはマイナーな天体ショーで、直接的には見られなかったことで世間からの注目は少ないと思われますが、風邪を引かないように自宅からでも動画で事前に確認して出現の確実性が増したところで満を持して外で見るというスタイルをおすすめしたいですね。

午前3時8分発生の地震はどう伝えられたか

北海道の内陸部を震源にし、最大震度7(厚真町)という激しい揺れがあり大きな被害となった9月6日の地震は、発生した時刻がテレビ放送がクロージングするのとオープニングになる時間の狭間で起こりました。さすがに私も地震前後にどのような形で各局が特番を始めたかというところまでは寝ていて見ていませんでした。

たまたま、夜中トイレに起きたのが午前3時半くらいだったので、時刻の確認のためにテレビを付けたらこの地震の報道をやっていたので一気に目が覚めてしまったのですが、BSの数局では特番に行かずに通常の番組を流していました。個人的な考えを言わせていただければ、今回地震特番を流さなかった局にもしニュースを流すネットワークがないのなら、ウェザーニュース社あたりと緊急時だけでも提携してYoutubeと同じものでも公共の電波で流してもらえば、これから書く各局の報道の中でもかなり利用価値のある放送になるのではないかと期待しているのですが。

ともあれ、地上波およびBSでは地震発生後しばらくして全て地震に関する報道になりましたが、ざっとこちらで見られるチャンネルを見た限りでは、地震が起きた時間に首都圏の地上波(東京ローカルを除く)ではニュースを流しているところはほぼなかったのですが、地元静岡のローカル局ではBSと同じように日本テレビ系の「静岡第一テレビ」がインターネットの「日テレNEWS24」をオープニングの前に同時放送していたので、そこからすぐに地震のニュースを流すことができ、機動力は高かったように見えました。

その「日テレNEWS24」ですが、私が見出してすぐに地震の起こった北海道を放送エリアにしている日本テレビ系の系列局「STV札幌テレビ放送」が主導する放送に切り替えていました。これは、まず現地はどうなっているのかと思って見る立場で言うと、東京と札幌、そして現場というような形でのやり取りがない分、かなりスムーズに現場の様子が伝わってきたような感じがします。この点は全国にキー局が少ないテレビ東京や、独立系のBS局には厳しいかも知れませんが、それこそ先に提案させていただいたようにウェザーニュースとの提携など地元提携以外にも災害の様子を伝える手段はあると思いますので、その点は各局で考えながらいかに早く正確に今起こっている状況を伝えるかということを考えていただけると幸いです。

今回のように深夜に災害が起こった場合、とるものも取りあえずまずスマホを持って逃げる人が少なくないと思います。被災した場所によってはネットが通じない場所というものもあると思いますので、ワンセグ付きのスマホなら電波が届かなくてもテレビのワンセグ電波を受信して災害の状況を知ることができます。ただ逆に、ワンセグの付いていないいわゆる格安SIM系のスマホを使っている場合、テレビ放送は見られないわけでもあります。もしネットに繋ぐことが可能であるなら、以下の事を今後試してみて下さい。格安SIMの場合一定の高速クーポンが付いた契約がほとんどだと思いますが、もし高速クーポンを使わない「低速通信」にアプリなどで切り替えて使えるような場合は、まずはいざという時のために高速クーポンを使わない設定にし低速通信でネットを使うようにするのをおすすめします。

低速通信ではウェブサイトからの文字情報を見るくらいしかできないと思いがちですが、実はそうでもありません。アプリを利用してラジオ放送の同時放送を聞く場合(NHKの「らじる★らじる」や民放の「radiko」)、低速でも十分に聞くことができます。さらに、動画による放送についてもテレビ朝日系列の「AbemaTV」のアプリの設定で「通信節約モード」のところにチェックを入れ、画質の「モバイル回線時」の設定で「通信節約モード(1GBあたり約10時間)」にチェックを入れると、低速でもそれほどストレスなくAbemaTVを見られます。

これは、低速専用回線ということで個人的に導入した「ロケットモバイル」の神プランのSIMを利用して車での移動中にもAbemaTVが見られたという実体験に基づいた情報です(ちなみにロケットモバイルの低速専用「神プラン」のスピードは120kbps程度と相当遅いです)。被災地では多くの人がネットに接続しようとするので同じようにはいかないかも知れませんが、AbemaTVのニュースでも地上波と同等の情報をリアルタイムで流してくれますし、今持っているスマホが格安SIM契約と同時に購入した安い海外製のワンセグの付かないタイプの場合、今後の事を考えて「らじる★らじる」「radiko」「AbemaTV」という3つのアプリは入れておいて、いざという時に使えるようにしておくだけでも状況は変わってくるのではないかと思います。

北海道ではまだ大きな余震が来る可能性も言われていますので、口コミではなくこうした公共の電波やネットで流れる情報を入手して今後の避難などにお役立ていただければ幸いです。