月別アーカイブ: 2019年10月

東京オリンピックを外で見るためには事前対策が必要か

日本で開催された世界的なイベントの準決勝となれば、開催国の日本が出場しなくても大きな注目を浴びる試合であることに違いありません。試合の方は世界ランキング一位で今回の大会で三連覇を狙うニュージーランドに対する同世界二位のイングランドの気迫が上回ったという感じで、イングランドの快勝という結果になり大いに盛り上がったと思うのですが、事前に予定されていたデータに基づいた番組データのところを見ると、なぜだと問い掛けたい点が出てきます。

この試合の開始時間は17時で、前後半40分にハーフタイム10分という形で試合が行なわれます。試合途中にはビデオ判定をする場合や怪我をした選手が出た場合は審判が試合を止めますが、もし17時ちょうどに試合が始まった場合、18時44分までというタイムテーブルではロスタイムが全くなくても14分しか余裕がないことになって、試合終了までしっかり中継できなくなってしまうとも思われます。これでは、急遽BS1から地上波へと放送チャンネルを変更したということは評価できても、クレームの嵐がやってくる可能性も出てきます。

ただ、その点についてNHKでは対策を講じていて、総合チャンネルの18時44分からはサブチャンネルに中継を移行して19時まで放送しそこから定時のニュースにつなげるという方法で完全中継を実現しています。が、その画質はというとデジタルとは言え本放送の隙間を使うこともあっておせじにも綺麗とは言えません。この手法はメジャーリーグの延長放送ではおなじみの方法ですが、普段サブチャンネルを意識して見ることがない人にとっては自分でリモコン操作をしなければならないので、うまくチャンネルを変えられなかった方もいたのではないかとちょっと心配になります。

そして、今回のような世界的な大スポーツイベントの場合、自宅のテレビで見ないで外出先のスマホで見ていた人もいるかも知れません。試合時間も17時からということもあり、試合の様子をワンセグで見ていた人がいたとしたら、これはもう悲劇でしかありませんでした。

というのも、サブチャンネルが利用できるのはフルセグチューナーを搭載した機器だけで、家庭のテレビはフルセグ対応であるものの、スマホの中にはあえてフルセグチューナーを搭載せずワンセグチューナーしか付いていないスマホやガラケーでは、試合途中で中継が終了ということになってしまったということになります。

こうした国際的なスポーツイベントのクライマックスの試合で途中でフルセグ視聴前提のサブチャンネル放送を行なうということは、恐らく2020年の東京オリンピック中継でも同じことを行なおうと思っていると考えなければならないでしょう。ラグビーの試合は延長戦もなく、ある程度余裕を持った中継時間を確保すれば、長時間の中断のようなイレギュラーな事態が起こらなければ、まず問題なく試合をメインチャンネルだけで完全中継できると思います。東京オリンピックの種目にはそうはいかないものも多いため、たとえ日本選手が出場してメダルが決まるような試合であっても肝心なクライマックスをサブチャンネルに移動されて画質の悪さに幻滅したり、ワンセグしか写らない端末で中継が中断されて泣くに泣けないような状況というのも大いに考えられます。

それとも、ネットを通じてライブ配信を積極的に行なってくれるのかという考えがあるのかとも思えます。データ通信の場合、ご利用の通信会社との契約によっては動画を気軽に見られないこともありますが、それでも一定の安定した速度が出たらチューナーが付いていないiPhoneでもスポーツ中継を楽しめるので、このような中継手法をNHKが東京オリンピックでも行なうなら、一部のユーザーはさらにテレビから離れるきっかけを作ってしまう可能性すらあると思っています。

さらに、もし今回の試合に日本が出ていた場合、NHKは今回と同じように試合終盤になってサブチャンネルでのリレー中継を決断したか? という疑問もあります。日本戦の途中でサブチャンネルを見られなかった人が多数出たら、それ自体はNHKの失態ではないにしても、何らかの批判の声は高まることが考えられます。そうなると、それを回避するためにサブチャンネルに移行しないで放送し続けたかも知れません。しかし、東京オリンピックでは日本選手の出場する注目に値する試合が多くある中で、オリンピックもニュースも伝えたいということになると、どうしてもサブチャンネルを活用しなければならないことは必ずあるでしょう。

ユーザー側の対策としては、TVチューナー付きのスマホを購入する際にはワンセグ・フルセグの有無を確認して、できればフルセグチューナー付きの製品を選ぶとか、ネット配信で見られると思っている方は、改めて今のスマホのデータプランを動画がストレスなく長時間見られるものに変更するとか、いざ外で見ていたら肝心のメダルの瞬間を見られなくなる恐れを消すための工夫が必要になるでしょう。

(番組データ)

ラグビーワールドカップ2019 準決勝「イングランド」対「ニュージーランド」NHK総合
2019/10/26 (土) 16:40 ~ 18:44 (124分)
【解説】廣瀬俊朗,
【アナウンサー】伊藤慶太,
【スタジオ解説】五郎丸歩,
【スタジオアナウンサー】酒匂飛翔,中川安奈

(番組内容)

エディーHC率いるイングランド対3連覇を目指す王者ニュージーランドの戦い▽意地とプライドを賭けた激闘に注目!▽ゲスト五郎丸歩
(試合開始 17:00)
【解説】廣瀬俊朗,
【アナウンサー】伊藤慶太,
【スタジオ解説】五郎丸歩,
【スタジオアナウンサー】酒匂飛翔,中川安奈
~横浜国際総合競技場から中継~
<中断>ハーフタイムに [字]ニュース(約3分)
[6:44-(7:00)総合2で放送継続]


早速「シルシルミシル」化した「かりそめ天国」

もはやこのタイトルだけで説明不要かと思いますが、市販のパスタソースのベスト10を決める企画というのは本当に金曜夜8時からの視聴者層に合わせたプログラムで、いったいランキングインしたパスタソースを出している企業からテレビ局はいくらもらっているの? なんてことも疑ってかからなければならない番組に成り果てたという感じがしますね。

深夜の時には実際に出店している食事のできるお店のランキングを作り、その中に完全に取材NGで店名すら出ないところもあり、その点は嘘がないランキングでしたが、手法は同じでもその本気度を疑うような内容に変わり果ててしまいました。

このままだと同じマツコさんが出演する「マツコの知らない世界」のように、スーパーや各種小売店の棚に「かりそめ天国で紹介!!」なんて風にポップが付いて販売促進の材料にされることになります。こういう手法というのは本当に危ない傾向で、もし事前に特定の企業に忖度して順位を決めていて、MCの2人がその製品を台本上で褒めなければならないというような噂が出たとしたら、番組は「発掘あるある大辞典」のような運命をたどる可能性も考えられます。

もしかしたら番組MCのお二人も、ゴールデン昇格の話があった時点から今回のような番組の構成になることを予想し、いいペースで自分の出演する番組を絞っていこうかと思って、こうした状況になっていることをわかってカメラの前で踊っているのかも知れませんが、このままこんなネオ企業宣伝番組になるなら、やはり「ゴールデン昇格は番組の墓場」という流れにこの番組も乗ってしまうのかと思ってしまいますね。

それにしても、表題にした「シルシルミシル」がゴールデンに昇格したのに合わせて放送時間を移動したのがこの番組の前番組である「マツコ&有吉の怒り新党」だったそうで、テレビ朝日はなぜまた同じ事を繰り返すのかという感じがあります。現在の水曜の報道ステーションの後番組は「家事ヤロウ!!!」(バカリズム・中丸雄一・カズレーザー出演のバラエティ)ですが、この番組も人気が出てきてゴールデンに昇格すれば今の内容よりもいかに家事に関連するグッズをランキング化してその商品を売らんがための番組に変わっていくだろうなんて思うと、もはや深夜番組の時点にも関わらず、今後の展開を期待して見られなくなってしまいます。

民放は企業からのコマーシャルがなければやっていけないのは重々承知ですが、新聞でさえ広告のページには「全面広告」という文字が載って通常の紙面とは区別しているのに、シルシルミシルにしろかりそめ天国にしろ、バラエティと広告の境目がわからなくなるような番組の作り方にするなら、いっそのこと「全部広告」の内容でMCの二人から褒め殺しされるような番組にした方が、バカバカしくて笑えるのではないかと本気で思います。

そういう意味では、深夜や午前中枠のテレビショッピングをいかに面白く作るかということを考えておられる番組制作者の方に私はこれからのテレビの可能性を感じます。こういった番組の変化を見てテレビそのものに愛想をつかす人が出てきたとしたら、それはこうした番組を作る決断をしたテレビ局が自分で自分の首を締めていると言っても過言ではありません。このままでいいのか? という根本的な問い掛けを改めてこの番組には申し上げたいです。

(番組データ)

マツコ&有吉 かりそめ天国 テレビ朝日
10/25 (金) 20:00 ~ 21:00 (60分)
【MC】マツコ・デラックス、有吉弘行
【進行】久保田直子(テレビ朝日アナウンサー)
【VTR出演】岡部大(ハナコ)、後藤拓実(四千頭身)

(番組内容)

◇マツコ、スマホのキャッシュレス決済に苦悩!
◇「ガチガチランキング」はいま絶対食べるべきパスタソース編! 約1000種のパスタソースからベスト10が決定!

「子供の習い事、何がベスト?」 マツコ有吉、親主導の習い事に苦言…教育論を語る! 「クーポンやポイントカード、使うのがちょっとはずかしい…」 マツコ、スマホのキャッシュレス決済に苦悩! VTRは「ガチガチランキング いま絶対食べるべきパスタソース編」 マツコ有吉も絶賛! 約1000種の中から、有識者が癒着・忖度なし、ガチで選んだパスタソースベスト10が今夜決定!

視聴者から寄せられた『お悩みメール』や『お怒りメール』、視聴者の皆さんの「こんなことやってみたい、見てみたい!」という“欲望”を叶えるVTRをもとに、マツコ・デラックスと有吉弘行が好き勝手にトークするバラエティ番組!進行は久保田直子アナウンサー。


ジャニーズ事務所から出たことの「逆転人生」は?

SMAPの元メンバーでジャニーズ事務所を出所して元マネージャーの会社で芸能活動を続ける3人について、見事に今の地上波テレビではなかなか出てこないiのは、何かのテレビでは見えない力が働いていて、自由な芸能活動を妨げているのか? と思う今日このごろです。

この番組の前後、同じSMAP元メンバーではジャニーズ事務所に残った木村拓哉さんが主演のドラマ「グランメゾン東京」の番宣でテレビに出まくっていたのとは対照的にジャニーズ事務所を離れた元SMAPメンバーに番組出演のお呼びがかからないというのは、芸能界の掟とは言え誰か何か言ってもいいのではないかと、朝やお昼のワイドショーを見ながら期待していたのですが、今回芸能レポーターがその事をレポートする前に元SMAPの一人である草なぎ剛さんが地上波のテレビに登場するというので(テレビの仕事としては同じNHK総合で放送されている『ブラタモリ』でナレーションを継続していますが)、「これこそ本当の『逆転人生』だ」と思い、ついここで紹介する気になりました。

番組自体は草なぎ剛さんはゲストという扱いで、今回主人公の中国へ行って日本語を教えるカリスマ教師になった男性の人生を見ていき感想を述べていました。別にテレビでの露出度が減ったとは言っても元SMAPの3人は普通に芸能活動は続けられているわけですし、草なぎ剛さんは『ブラタモリ』の収録ではNHKのスタジオに通っていることは以前の変わらず続けられているので、見ていて何か特別なことはありませんでしたが、見ている方はやはり何かが違うと思いつつ番組の進行を見ていたということはあると思います。

そもそもNHKが、一つの壁というか苦難の時代を乗り越えて成果を挙げる人物を呼んでその事について掘り下げる「逆転人生」という番組に草なぎ剛という人物をゲスト出演させたということに、彼自身の逆転人生の足がかりになっていくのか? という風な興味で見てしまったのです。恐らく、草なぎ剛さんは同じアジアの隣国である韓国との関係でチョナン・カンとしての活動があったことからの抜擢なのかという感じもしますが、NHKとしてはキャスティングの英断であることは違いないでしょう。

今回の主人公、笈川幸司さんは元お笑い芸人で、全く売れなかったのですが、そこでがむしゃらに行なってきた経験が生き、まさかの中国での日本語教師の職を得ただけでなく2012年の日本バッシングの中国国内事情の中でもめげずにスピーチコンテストを開催して成功させたVTRを見て、最終的に草なぎさんは「諦めたところからまた出発する」ことの大切さをコメントしていたことが実に印象的でありました。

2019年10月現在は、元SMAPのメンバーの中では当然ながらジャニーズ事務所に残ったメンバー2人の露出が多くなっていますが、まだ彼らの人生は長く、その間に何が起こるかという事はまだわかりません。今回の番組のように、元SMAPのメンバーの中で非ジャニーズのメンバーが各々、テレビから全てパージを受けているわけでもない事を実際に番組に出演することで証明し、徐々にテレビ出演の実績を作っていくことによって今後の元SMAPのメンバーの状況も変わっていくでしょう。そういう意味では、今回の番組は「中国のカリスマ日本語教師」の逆転人生だけでなく、元SMAPの逆転人生のスタートを記録したものとして、ここで紹介させていただきました。

(番組データ)

逆転人生「中国のカリスマ日本語教師 涙の青春スピーチ」NHK総合
10/21 (月) 22:00 ~ 22:50 (50分)
【司会】山里亮太,杉浦友紀,
【ゲスト】教師…笈川幸司,
【出演】草ナギ剛,段文凝

(番組内容)

草ナギ剛と山里亮太が感動!中国のカリスマ日本語教師、激しい反日デモのさなかに起こした知られざる大逆転劇。日本語大会に集まった中国人たちの、涙の青春スピーチとは!?

草ナギ剛と山里亮太がスタジオで大感動!中国で大人気、名門の北京大学や清華大学で教べんをとるカリスマ日本語教師・笈川幸司さん(49)。実はかつて、売れないお笑い芸人だった!?尖閣諸島に端を発する激しい反日デモ。そのさなかに開催された、知られざる奇跡の日本語大会。集まった中国の若者たちの、涙の日本語メッセージを大公開!あのSMAP北京公演、舞台裏の感動秘話も熱く語った。話題の美人過ぎる中国語教師も登場!