月別アーカイブ: 2019年2月

裏取りをせず情報をそのまま流す番組は止めるべき

この番組は暮らしに役く立ちそうな情報を数多く時間内に一気に紹介する番組で、項目が多いのが特徴ですが基本的には「誰かに話してみたくなる知識」を教えてくれるようなコンセプトの番組であることは確かでしょう。

今回のネタの中で最大の問題をこの番組中で見たのでその内容を指摘して記録しておくためにこれから書きますが、「テレビで言っているから信用できる」ということは決してないことをまずはしっかりと認識していただきたいと思います。

局の提供する番組内容にも書かれていない小ネタではあるのですが、毎日の生活の中でやっておきたいことということで書籍化されベストセラーになっているという「自衛隊防災BOOK」(マガジンハウス)の中味をそのまま紹介した項目が大きな問題をはらむものでした。

というのも、どこの自衛官がやっているのかはわかりませんが、自衛官の自宅では前日に入ったお風呂の水を抜かずに置いておくことで、非常時の断水に対応できるという内容がこの本に書いてあるのですが、番組ではその情報をそのまま伝え、小さなお子さんがいてお風呂で溺れないようにという注意はあったものの、自宅のお風呂の水を抜かないで溜めておくことを推奨し、その知識こそ「ハナタカ!」であるというわけです。

しかし、この内容というのは防災の専門家の現代の常識からするととんでもない行動で、下手をすると多くの隣人に多大な迷惑を掛けてしまうことは広く知られた「新しい常識」であることこそ「ハナタカ!」な情報であるのです。ここで書くよりも専門家の方が書いたブログがありますのでリンクを貼っておきます。

https://ameblo.jp/keinaonao/entry-12396811903.html

上記ブログの記載の通り、「自衛隊防災BOOK」の出版元はもし大きな災害が起きた後にお風呂に溜めた水によって感染症にかかったり、トイレや洗濯をして流した水が漏水を起こして隣人に被害を与えてしまった場合、損害賠償の請求に応じなければならないかも知れません。さらに今回の放送をしたテレビ朝日についても同罪でしょう。今回この件を記録しようと思ったのは、こうした事実関係を示しておくことで、どの番組かどのテレビ局かわからないが、「お風呂に水を溜めておくことが大切だ」という誤った知識を基に行動してしまった場合、そうした生半可な知識をもっともらしく広めた行動について責任を負うことになるでしょう。

テレビというものは後から訂正をすることがあっても、その訂正放送はわからないように字幕だけで済ませることが多く、先の放送で頭に植え付けられた印象はなかなか消えません。ですから、テレビで放送することについては、特に生放送ではなく事前にいくらでも調べることのできる情報番組であれば何回でも知識の裏取りをして、後から致命的な事になるのを防ぐのは当然の事ですが、残念ながらこの番組は以降の情報についても同じように本の内容をそのまま紹介して裏取りをしないのではないかという疑念がわくという点で、私の中では終わった番組になってしまいました。

(番組データ)

日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館 テレビ朝日
2/21 (木) 19:00 ~ 20:00 (60分)
【MC】上田晋也(くりぃむしちゅー)、有田哲平(くりぃむしちゅー)
【ゲスト】柴田理恵、石原良純、千原ジュニア、中村仁美、堀田茜
【進行】山本雪乃(テレビ朝日アナウンサー)

(番組内容)

テレビや雑誌・ネットなどで知ったこと他人に話しても大丈夫?もしかして有名な話かも…アンケート調査でわかった本当に自慢できる日本人の3割しか知らないことをご紹介!!▼知れば試してみたくなる!○○を塗って保存すると野菜が変色しない!?数え方を工夫するだけ…ストップウォッチなしで秒数を計る方法!?お菓子で本格的なコーンスープが!?▼ダッフルコートの留め具が大きい理由は?なぜマネキンには顔がない?知識度を試そう!


敵に塩を送るだけでなく反面教師的な珍しいバラエティ

日本では日本人がおすすめする温泉を番組にするよりも、最近では日本に旅行に来た海外からの渡航者が評価する温泉の方が有り難いようで、このような番組の企画が通ったのだろうと思いますが、個人的には反面教師的な見方をすることで役に立ちそうです。

なぜかというと、海外からの観光客が多くなればなるほど、人が多く集まっていわゆる「鄙びた雰囲気」というものが損なわれるからです。ですから、この番組で海外からの渡航者531人にアンケートを取った結果のベスト12の温泉というのは、インターネットやガイド本を見て多くの外国人観光客が押し寄せる可能性が今後もある場所ということになるので、その場所を避ける目安になるということでもあります。

ちなみに、東京や名古屋、大阪から近い温泉がことごとくランクインしていることも旅行客に便利という温泉そのものにはあまり関係ないところで評価されていそうな温泉地があったり、朝市や昔ながらの町並みのある新しい温泉地である高山がランクインしているとは思いませんでした。これも温泉の効能とはあまり関係ないところで人気がある感じでした。私がランキングを見た中では、登別・草津・別府・乳頭あたりならランクインも十分ありという気もしますが、逆に有名な温泉地に海外からの観光客が流れてくれるなら、今後温泉旅行を計画するような場合には、今回のランクに入っていない温泉に行こうかなと思ってしまいました。

また、この番組が面白かったのはテレビ朝日でこの番組が終了した後すぐに他局であるフジテレビで放送された「テルマエ・ロマエ2」は草津温泉など番組で紹介されたばかりの有名温泉地でもロケが行なわれていて、この番組を見て十分に温泉に行きたくなった人は、そのまま「サタデー・ステーション」を見るのではなく、フジテレビにチャンネルを変えてしまっただろうと思えます。この辺の真偽はわかりませんが、もしフジテレビが事前にテレビ朝日で全国温泉ランキングの番組を放送することがわかっていて「テルマエ・ロマエ2」を持ってきたとしたら、かなりの策士だと思いますし、逆にこの番組のプロデューサーは大いに悔しがっているに違いありません。

そういう意味で、司会の爆笑問題が全く面白い事を言わないまま終わってしまったことを含め(^^;)、ことごとく番組制作者の意志とは違う方向に見る人が感じてしまうという実に稀有な番組が放送されたことをここに記録しておきます。さすがに今後もこんな偶然が起こることはないでしょうが、こんな事が楽しめてしまうのもテレビの面白さであると言えるかも知れません。

(番組データ)

2/16 (土) 18:56 ~ 20:54 (118分)テレビ朝日
ニッポン視察団!日本の温泉地“満足度”ベスト12!「おもてなし」を支える職人に密着
【MC】爆笑問題(太田光・田中裕二)
【番組ナビゲーター】綾小路きみまろ
【進行】井澤健太朗(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】井森美幸、東貴博、鈴木紗理奈

(番組内容)

3000か所の温泉地がある「温泉大国」ニッポン!外国人客531人に聞いた…温泉地“満足度”ベスト12が決定!温泉地を支える職人に密着…おもてなしの心&命がけの作業に感動

日本の温泉地に世界から観光客が殺到! 人気の理由は、街をあげて取り組む「工夫」と「おもてなしの心」にあった。 「おもてなし」を裏で支える様々な職人たちに密着!

○熱海…一時はさびれた温泉街が復活!素泊まり2名で7776円?アジの干物を持ち込んで格安朝食?新しい魅力が満載!
○有馬…金泉&銀泉!至福の温泉の裏では、お湯を清潔に保つパイプ交換職人の命がけ作業が…全身に大やけどを負っても続けるワケとは。
いま外国人がはるばる訪れる 「本当に行って良かった」日本の温泉地“満足度”ベスト12が今夜決定!
○飛騨高山…平成元年に生まれた新しい温泉街が大ブレイク!北アルプスの雪解け水が温泉に。朝市の食べ歩きが大人気!
○草津…温泉の効能を最大限に活かす「時間湯」! 湯長が導く“最高の3分”の正体とは?岡本太郎作の幻想的な湯畑も!
★1位は意外な温泉地…雪見露天の名湯!
★綾小路きみまろの温泉川柳も!


10代の世代にテレビ時代劇をどうすれば見てもらえるか

今回主演した山本耕史さんは、NHKの大河ドラマや、単発の時代劇枠で主役を務めて人気のあるある意味無難な配役で、脇を固める人達もバイプレーヤーが揃っていて、民放での時代劇を何とか復活させようとする作り手の意気込みが感じられる番組だとまずは感じました。ただ、そのNHKでもいわゆるCSの「時代劇専門チャンネル」を契約して見るような人からすれば邪道とも言える10代から20代に人気のアイドルや俳優をキャスティングしたり番組テーマ曲を流したりして、若年層の引き付けに必死である中、BS朝日が行なった手は2つありました。

後に名奉行と呼ばれ、同名のテレビシリーズはTBSの作ったそのままの台本と音楽でNHKがキャスティングを代えただけで再ドラマ化した大岡越前(忠相)に関係する町娘として登場したのがAKB48の元メンバー渡辺麻友さんで、番組中のツイートの時点で「まゆゆ(渡辺麻友さんの愛称)」見たさにこの番組を見ている人がいることを示していました。こうした手法は、とにかく「人」を見るためだけでもいいから時代劇を見てもらいたいというスタッフの気持ちを感じることができました。

これは放送翌日の日本テレビ「メレンゲの気持ち」に親子で出演していた高橋英樹・真麻さんが語る中で高橋英樹さんの言っていたこととかぶる感じでした。英樹さんがいくら時代劇のスターと言っても、娘の真麻さんにとっては自分の好きなジャニーズのタレントと一緒に出ないので、友達に話しても自分の父親のテレビでの活躍を知らないと真麻さんが訴えたところ、すぐに英樹さんは恐らくバラエティ番組だと思いますがSMAPと共演することで自分の存在を娘に見せつけるだけでなく若い人の興味を時代劇に向けさせようと思ったのでしょう。時代劇好きな人にとっては10代20代のアイドルに時代劇のスターがわざわざ歩み寄ることはないだろうと思うかも知れませんが、すでに今回のようなスペシャル番組でしかテレビでの時代劇は見られないという状況を作ったのがそうした思い上がりとは言いませんが、自らファンを獲得する努力を怠った結果だったのではないかという反省があったことは確かでしょう。

恐らくBS朝日では、現在夕方に再放送している松平健主演の「吉宗評判記 暴れん坊将軍」のレギュラー番組での復活を目指しているのかも知れませんが、そのためには毎週続けて見てくれるコアなファンの中に若い世代を取り込んでいかないとだめだという気持ちがあるのでしょう。そうした事のためにもう一つ考えたのが、時代劇が好きでないと良くわからない登場人物同士の因縁や設定などをその都度解説しながらドラマを進めていくことでした。

今回はその解説役を落語家の林家三平さんが行なったわけですが、過去にTBSの「水戸黄門」でのレギュラー主演の経験があり、女優の国分佐智子さんとの結婚のきっかけも水戸黄門での共演だったということもあり、それなりに時代劇復活のために想いはあるのかも知れません。ただ、このキャスティングが10代の若者に刺さるのかどうかということも考えて欲しかったのは私だけでしょうか。10代20代にも良いイメージが有り、学校の歴史の授業のようにいかつくない状態で設定を理解させるようなキャスティングができれば、意外と歴史について興味がある若い世代を引き付けることは可能だと思うのですが。三平さん自体をディスる気は毛頭ありませんが(^^;)、何もかも時代劇を後世に残すためです。それこそ、時代劇出演経験はないものの若手の中で人気のある俳優・女優さんに解説をさせるとか、何とかして時代劇に興味を持つ人の幅を広げる試行が大切ではないかと思います。

もし今後、今のキャストで「吉宗評判記 暴れん坊将軍」として、まだまだ主要なキャストはいます。町火消のキャスティングもそうですが、その中で新たな人材も発掘しながら特に新しい「悪役」についても今有名な人を使うだけでなく、新たなシリーズから知名度が上がるようになれば、その時には世代問わず世に知られるようになり、時代劇の復活の芽も出てくるのではないかと思うのですが。

(番組データ)

4K大型時代劇スペシャル 「紀州藩主 徳川吉宗」
2019/02/08 19:00 ~ 2019/02/08 21:54 (174分)BS朝日
【脚本】長谷部幕臣王
【監督】濱龍也
【出演】山本耕史、渡辺大、渡辺麻友、芦名星、戸塚純貴、正名僕蔵、梶原善、津田寛治、宮崎美子、小野武彦、吹越満、中村梅雀 (他)
【解説】林家三平

(番組内容)

主演・山本耕史のほか豪華キャストが集結!徳川吉宗が若き紀州藩主だった時代の新たな吉宗像を描く!!紀州を狙う影の正体を探るため、身分を隠し調査を始めた吉宗は…。

時は宝永2(西暦1705)年、5代将軍徳川綱吉の治世。父、兄が相次いで亡くなり、21歳の若さで徳川御三家・紀州家藩主の座に就いた吉宗。綱吉に招かれた御前試合観覧の場で、のちに大岡越前となる大岡忠相と出会う。その頃、紀州の用人を狙う刺客が吉宗の家来を次々に襲っていた。藩主交代で不安定な紀州家を狙った、何者かの策略か。家来・小次郎からそれを聞かされた吉宗は、紀州の一般藩士を装って市中で調査を始める。