月別アーカイブ: 2018年3月

今のNHKは人を見て「忖度」する?

後からこの文章を読む方もいるとは思うので、この番組が放送された当時の世の中の動きについて紹介しておきますと、ちょうど前日に国会では元官僚の方が証人喚問で呼ばれ、首相や首相夫人、官邸や官房長官など政府の要人に良かれと思って証言をしたのではないかと野党が攻め立て、今年の流行言大賞は「忖度」ではないかと言われていて、NHKを含めて多くのテレビ局で批判的に「忖度」という言葉を扱っているように感じています。

そんな時に放送されたこのプログラムは、向田邦子さんとのコンビで数々のドラマを作り今なお多くのファンのいる演出家の久世光彦氏を敬愛する小泉今日子さんがホストとなり、「マイ・ラスト・ソング」という久世氏の同名エッセーを基にして数々のテーマとともにそれぞれの人生の最期に聴きたい歌を紹介していくという形の番組でした。

久世光彦氏の話をもっとしてくれるのかと期待していたものの、樹木希林さんが登場した割には大した話もしないで終わってしまったのは個人的には残念でしたが、実は樹木希林さんがスタジオに入ってNHKの紹介する「女子会トーク」を収録している時に、変な動きをする樹木希林さんに気付いたのでした。
見ていた方ならわかると思いますが、希林さんはバッグを本番のスタジオに持ち込んでおり、他の人が話したり自分で喋りながらそのバッグを自分の隣の席に置き、中に手を突っ込んで何かを探しているのを見てしまいました。恐らく、トークの内容に関係あるグッズでも出てくるのだろうと思いながら見ていたら、次のカットではバッグを足元に置いたままその後は手を付けず、結局何のためにバッグを本番の収録に持ち込んだのかはわからずに番組は終了しました。

正直、私はテレビに出ている人がその番組の中で私物の入ったバッグを持ち込むような人というのは、さんま御殿で司会の明石家さんまさんに私物のバッグを見付けられてかなり大きな声でマジ注意された蛭子能収さん以外にはこんな事例を知りません。蛭子能収さんの場合はお笑い中心のバラエティーのためある意味結果オーライで、蛭子さんのテレビからはみ出すような行動をうまく笑いに変えていたなとその時は思ったのですが、もしバッグの中に電話など音を出すものが入っていて収録中に急に鳴り出してしまったらと考えると、普通はスタッフが出演者に私物は持ち込まないで下さいと諌められて終わりなのですが今回はそうはならなかったようです。

特に今回の場合はバッグを自分の隣に置いてゴソゴソやっているところまで番組で見せているのですから、少なくとも共演者はその行動に触れて笑いに変えるとか何とか処理をするようでないと、わざわざ希林さんが私物のバッグをスタジオに持ち込んだ甲斐がありません(^^;)。もっともそれは私が民放を見過ぎているせいかも知れませんが、もしNHKのスタッフが樹木希林さんの勢いに押されて私物のバッグのスタジオ持ち込みを結果的に許してしまっただけだったら、それこそNHKスタッフは樹木希林さんに「忖度」した結果だけが残り、見ているこちら側は違和感だけが残ったというのが正直なところです。

今回は、トークの中で今はもうあれだけ人に対して怒る演出家はいないという久世光彦さんに対しての好意的な評価をしてから番組に入ったのに、NHKのスタッフには困る時でも大女優なら決して怒らずに忖度してしまうという事になったという、本当に残念な番組になってしまったように思います。樹木希林さんの自由な行動を番組で触れないことは、実は当の希林さんが残念に思っていたのかも知れません。

(番組データ)

マイ・ラスト・ソング~人生の最後に聴きたい歌は~ NHK総合
3/28 (水) 22:00 ~ 22:50 (50分)
【出演】小泉今日子,樹木希林,満島ひかり,又吉直樹,浜田真理子,奇妙礼太郎,
【語り】窪田等

(番組内容)

小泉今日子のライフワークがついに番組化!人生の最後に聴きたい日本の名曲を、小泉今日子自身の朗読とともに届ける。樹木希林・満島ひかりとの「いい女」トークも!

小泉今日子の人生において忘れることができない恩師、それがドラマ演出家の久世光彦だ。小泉は、久世が残した「マイラストソング」というエッセイをもとに、朗読と歌の舞台を10年にわたって上演してきた。今回、この小泉のライフワークがテレビ番組になった。小泉の朗読と、聴く人の人生に寄り添う、日本の「いい歌」を届ける。さらに樹木希林、満島ひかりを迎え、「女子会」さながらに人生についてディープなトークを展開する。


NHKのバラエティは民放ゴールデンタイムバラエティともはや遜色なしか

このブログでは最後に、番組のデータと内容を紹介しているのですが、この番組で注目すべきことがあります。それは、番組に出演している人達は司会を含めて全てタレントで固められているということです。NHKのバラエティというのは必ずどこかにNHKのアナウンサーや解説委員などの局の関係者が入り、それがいいという人もいれば、局の人間の出すオーラによってバラエティとしての面白さが台無しになるという人もいます。

今回は民放でバラエティ番組の司会を多く行なっている有吉弘行さんにしたことで、収録中であっても暴走してしまい、その雰囲気が番組に出てしまうのを心配するなら、隣りにいてしっかりと有吉さんの暴走を止めるようなアナウンサーを置いても良かったと思うのですが、実はそれでは今まで私達が見てきたNHKのバラエティーと同じ結果になってしまうことは明白でしょう。たとえそれが有働由美子アナウンサーや桑子真帆アナウンサーであってもです。

恐らく、NHKの中の人の間でもドラマやドキュメンタリー、教養番組では民放よりいいものを作る自信はあっても、バラエティについては民放には敵わないということを感じていたことはあったのではないでしょうか。今後NHK発のバラエティを進化させ、より多くの人に見てもらうためには、あえてNHK側の出演者を出さないバラエティを作ることでよりNHKへの視聴者への注目が集まるのではないか、そうなれば受信料もしっかりいただけるのではないか(この部分については個人的な邪推の域を出ませんが)という風に考えてのキャスティングなのではないかと思ったりもしました。

今回、NHKの局の人間を出さずに有吉さんに暴走させないための方法として、司会を有吉さん一人にしないで、下ネタやえげつない話はNGの鈴木福くんを起用したのは今後のNHKのバラエティを考えた時、ものすごいアイデアだと思いました。鈴木福くん自体は大したことも言えず、有吉さんの隣にいるだけで、下世話な話を振られても愛想笑いをしているだけでしたが、NHK的にはそれで良く、恐らくNHKのスタッフが作ったカンペを指定された時に読むだけで十分でした。キャラの立つアナウンサーが余分な事を言わないことで、有吉さんが自分で考えてしゃべる余地を作ったのが鈴木福くんの存在だったと言えるのではないでしょうか。

有吉さんはメチャクチャな事をやっているようでいて、場の雰囲気を読んでうまく立ち回ることができるスキルを、ピン芸人として復活していく中で身に付けていった苦労人です。だからこそ、あらゆるジャンルのタレントにフィットさせることができます。さらに、ゲストも民放のバラエティの司会とゲストという立場で何回もやり取りしている人ばかりです。こうなるともう、NHKスタッフのもくろみ通り、少し失礼にも苔を取ってお金設けをしている人のパーマの頭をアップにするようなVTR素材も入れながら、スタジオでのトーク回しは民放バラエティとほとんど同じで、その中でもあまり過激な話はしないなどNHKの方としても安心できる内容でNHKの新たなバラエティ番組の方向性を打ち出したように思えます。

となると、こうしたNHKの動きを受けて民放のバラエティ班がどのような番組作りを目指すのかということが気になります。VTRを見ながらゲストと司会者がやり取りするような番組においては、もはやNHKは今回の番組を成功させたことで、そのノウハウを十分に持ったと言っていいと思います。まだ深夜のクセがすごいバラエティは安泰かと思いますが、少なくともゴールデンタイムに放送されているバラエティのいくらかは、NHKとの競争に負けてしまう恐れが出てきたように思います。

過去の例としてフジテレビで放送され、人気抜群だった「ほこ×たて」にやらせが発覚して打ち切りになった後、NHKがしれっと「超絶 凄ワザ!」という一切やらせなしという類似番組を始めたということもあります。受信料収入をバックに資金をかければやらせなしでバラエティ番組だって民放より多くの視聴者を楽しませる番組を作れるということなのかも知れませんが、工夫すればテレビ東京のようにお金を掛けずに人気番組を作ることもできるのも確かです。今回の番組はまだそれほど民放の脅威にはなっていないと思っている方も多いと思いますが、私は民放のバラエティ班もNHKに対しての危機感を持った方がいいのではないかと思ってしまいました。

(番組データ)

有吉・福くんのお金発見 突撃!カネオくん NHK総合
3/24 (土) 20:15 ~ 20:45 (30分)
【司会】有吉弘行,鈴木福,
【ゲスト】高橋英樹,田中美佐子,岡田結実,
【カネオくんの声】ノブ(千鳥)

(番組内容)

日頃、気になるけどなかなか聞けないお金のヒミツに“おカネ大好きキャラクター・カネオくん”が突撃取材!家族で楽しめる生活マネーバラエティー!ぶっちゃけみんなのお給料っていくら?街で景気調査!1年で1000万貯めた主婦のスゴ技とは?知ってるようで知らない、世の中のお金事情&仕組みをわかりやすくお届け!MCはテレビ初のコンビとなる有吉弘行&鈴木福くん。彼らと一緒に世の中のおカネのヒミツを解き明かします!


思い出の品はどう処分する?

前回の番組も面白かったですが、今回の断捨離シリーズ第3弾もいろいろ考えさせられる番組でした。今回の番組ではそれぞれの「思い出の品」をどう処分するか(処分しないで残すかというケースを含めて)についての話が心に残りました。

出演者として登場した俳優の鈴木正幸さん家族は引っ越しにともなって部屋数が少なくなる関係から断捨離を決断したのですが、その際に捨てようか残そうか悩んだものが、ドラマ「3年B組金八先生」出演時の台本とテレビ放送を録画したテープでした。

鈴木さんにとってはこのドラマに出演したからこそ俳優への夢をあきらめないで今回の取材を含めてテレビの仕事もある「思い出のつまった品」なので、普段見なければいらない品であることには変わらないのですが、捨てるのか残すのかで悩む中で一つの考え方として示されたのは「昔を懐かしんで気分が沈むものは捨てる」ということでした。

いわゆる「過去の栄光にすがる材料」になっているのなら置いていても今後の人生にとっては良くないので捨て、時々そうした品を見て、自分らしく生きて行くための糧になっているなら捨てずにとっておくのもいいという考えでした。

この考えは後に出てきた3家族にもあてはまることがあり、自分の今までの人生や肉親との思い出とともに捨てられないで溜まってしまっているものを捨てるべきか残すべきか選択を迫られます。エステで儲かっている時に飲食店に手を出し失敗した女性の方は、高いお金を出して買ったレストラン用の器具を捨てられなかったのですが、それは捨てるとまだ残っている借金を返すモチベーションが落ちると考えで残しておいたことが仇となり、エステの事業からもお客さんが逃げるという状況になっていたのですが、本来エステに通う人というのは日常の生活感を極力感じたくないものなのに、依頼者のサロンのあちこちに飲食店にあった道具などが散乱しているのを目にすれば、別のサロンに行きたくなってしまうのは仕方のないことでしょう。しかしこの依頼者も番組の力添えで何とか過去の忌まわしい思い出を断ち切り、今後のサロンの復活に期待が持てそうな感じでした。

親族の思い出が詰まった品々というのは魂がこもっていると考えてしまうとなかなか捨てづらいものです。しかし、その魂というものは人間の心の中にあるものでもあるので、番組では出てきませんでしたが、例えば自分の場合なら思い出のものの写真を撮り、それをクラウド上に保管していつでも見られる状況を作っておくことで、本体を捨てられるということもあるかも知れません。そうした「分身」ではダメだと思ったらその分は残せばいいのです。前回の番組もそうでしたが、自分で納得して自分で行動することが断捨離では大切で、決して肉親であっても「人のものを勝手に捨てる」というのはルール違反です。

特に今回の依頼者はそれぞれ断ち難い思い出を持ち、単に捨てたり残したりするのではなく実際に親の所に会いに行って話をする中で何を残し何を捨てるかということを自分で決めた上で断捨離を実行した女性の場合は、母親にずっと反発してきたのは、実は愛情の裏返しだったことにだんだん気付いていく様子というのはテレビを見ている多くの人にとって共感できるところだったのではないでしょうか。

そして、最初に紹介した鈴木正幸さんの大切な台本とビデオテープについては、捨てるというよりも地元の図書館への寄贈ということも考えたみたいですが、結局は自分の俳優人生を作ってくれたものとして台本の梱包の紐を解き、改めてビデオテープと一緒に自分の生活とともに今後も残すということに鈴木さんがご自身で決められていました。今後新生活をスタートするのを機に、いらないものを捨てたいと思っている方は多いと思います。この番組は捨てるための方法というよりも、決断を促すための心の問題を解くことで断捨離が進むことを示してくれています。BS朝日ではまた忘れた頃に再放送があると思いますので、もし放送に気付いた断捨離を行なおうと思っている方は、今回の第三弾はなかなか見ごたえがある回ということでおすすめだと紹介しておきます。

(番組データ)

ウチ、“断捨離”しました!3 BS朝日
3/22 (木) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【出演】やましたひでこ(断捨離 代表/クラター・コンサルタント)、鈴木正幸 他
【ナレーター】平泉成

(番組内容)

大好評企画の第3弾!挑戦するのは、「78歳建具職人が挑む!明るい“終活”にむけて!人生と家族の思い出を閉じ込めたままの家」「隠れモノメタボな家!隠されていたのはモノではなく母娘の確執」「再起不能!?ガラクタで埋め尽くされた名古屋のお城」の3家族。片付けを通じて家族の悩みと向き合う。 さらに、俳優・鈴木正幸さんが登場。母親との同居にむけて、思い出の品や食器類との“断捨離”に向き合う。

不要なモノを減らし、生活に調和をもたらすことを目指す「断捨離」を提唱するクラター・コンサルタントのやましたひでこのアドバイスのもと、片付けに悩む家族が整理整頓に挑む様子を追ったドキュメンタリー。年齢を重ねるに連れて増えていく、「思い出の品」や「捨てられないモノ」を片付けることで、自分が本当に望むものを見つめなおす。


テレビ制作者はどこまで視聴している人の事を考えているのか

今回のゲスト梅沢富美男さんは「下町の玉三郎」と呼ばれ、テレビ界に進出された方で、その裏表のなさそうな下町の庶民感覚を持ったキャラクターで現在でも多数のテレビ番組に出演して人気になっている現代の「大御所」的雰囲気を醸し出す方です。

今回はそうした下町の庶民感覚というものが反作用を起こした悪い例として、梅沢さんがそのキャラクターで自分の事にまつわる「金言」があり、さらに番組もそのまま放送してしまった状況がありましたのでここで紹介させていただこうかと思います。個人的には出演者がその想いの丈を見ている人の事に考えが回らずにぶちまけるような事があっても仕方ない部分はあるかと思うのですが、もし行き過ぎがあったり誤解を招くような発言や表現があれば放送時までにはテロップでもフォローをするのが常だと思うのですが、今回はそうしたフォローもなかったので、少々気に掛かってしまったのです。

問題の場面は、幼い頃といっても舞台に出ていた時にインフルエンザにかかってしまった梅沢さんを診ていたお医者さんに向かって言った母親の「金言」でした。その言葉とは、医者が舞台を休みなさいという言葉に反発して「この子は舞台で殺しますから」と言ったというものです。

この言葉は、たとえ自分の可愛い子であっても、お客さんのためなら這ってでも舞台に出てお客さんを喜ばせることが大切だという想いがこもった言葉だと紹介されました。さらにこうした親子の話が描かれた梅沢さんの書き下ろしの本とともに紹介するというテレビを使っての宣伝も入っていたので、余計違和感を感じたのでした。

この一連の状況というのは確かに昔の時代なら無理をしても舞台に出ることが大切だと思えるある一つの価値感として存在することは認められるところでしょう。しかし、こうした行動を肯定したままフォローもしないというのは、現在も梅沢富美男劇団では役者がインフルエンザにかかっても構わず舞台に出て、最前列に陣取っているお客様に向かってインフルエンザウィルスを撒き散らすような事を普通に行っているの? という風にも感じられてしまいます。そうなると、少なくとも私はインフルエンザの勢いが完全に止まる時期までは梅沢富美男劇団のお芝居を見に行かないかと誘われてもお断りすることになるでしょう。むしろ今の価値感では、人にうつす病気を役者が発症したらお客様のために舞台を休むことこそ大事なのではないかと思うのですが。

当然ここまで私が書いたような事を危惧したテレビスタッフはいたと思うのですが、今回は「金言」の話が直接梅沢富美男さんが書かれた本の紹介も兼ねていたため、それこそ忖度をして誰も文句を言わなかったのではないかと考えることもできます。しかし、先に私が書いたようにウィルスで感染するような病にかかった役者がいても、平気で舞台に上げることが当り前なのかとテレビ視聴者に思われるのなら、「舞台は見に行かないでテレビで十分だよね」という考えを後押しすることにもなりかねない危険な放送ではなかったかと思えます。

番組の次のコーナーでは同じ局の報道番組であれだけ批判していた豊洲市場に番組出演者が入り、その素晴しさを延々と放送していたり、もしかしたらスタッフに危機管理能力がないだけなのかなと思ったりもするのですが、現在はすぐにSNSで話題になって炎上してしまう事がテレビ番組をきっかけに起きていたりもしますので、もう少し慎重に番組を使っていただきたいと切に願っています。やはり面白い番組は地上波で多く見たいというのが正直な気持ちでありまして、自分でも面白いと思った番組が今回指摘させていただいたような事がきっかけで続けられなくなるようなことがあったらそれは悲しいことですし、改めてテレビを見ている側の様々な状況についても考えた番組作りをお願いしたいです。

(番組データ)

教えてもらう前と後【体の老化(秘)改善法4連発▼滝クリ華丸大吉が豊洲市場ロケ】TBS
3/20 (火) 19:00 ~ 20:57 (117分)
【MC】
滝川クリステル
【レギュラー】
博多華丸・大吉
【専門家(50音順)】
桑原靖(足のクリニック表参道院長) パックン(タレント) 平岡孝将(平岡歯科院長) 平松類(彩の国東大宮メディカルセンター)
【スタジオゲスト(50音順)】
梅沢富美男 鈴木奈々 竹俣紅 田中美佐子 中山秀征 松嶋尚美 眞鍋かをり

(番組内容)

【体に隠れた危険度チェック】 体のズレを“ある方法で”チェック!どんなリスクが!?日々の改善策を徹底解説!

【知らないうちに体の衰えが進む!?】 つまようじと1円玉を使ってチェック! 集中してモノを見ようとした時に出来る“おでこ”のシワは○○のサイン?病院に行かずとも、少しの心がけで予防も改善も!!

【大好評!足の健康を簡単チェック!】 さまざまな不調の原因となる巻き爪。ゲストの深刻な状態を処置

【梅沢富美男が再現ドラマに挑戦!日本が誇る金言】 卓越した手腕から“経営の神様”と言われた松下幸之助の金言を、梅沢富美男が紹介!松下が会社の採用試験で必ず聞いた言葉とは!?

【滝クリ&華丸・大吉 潜入ロケ】 豊洲市場マイナス60度冷凍庫からリポート

【外国人から見たニッポンの魅力~日光東照宮と盆栽~】 「外国人が撮った写真にはある共通点がある」パックンが様々な魅力について紹介!

あるジャンルのスペシャリストが登場し、独自の視点で選んだ“決定的瞬間”を紹介する。番組のみどころは一度見たVTRをスペシャリストが解説し、知識を得たうえでもう一度同じVTRを見ること・・・「教えてもらう前と後ではあなたの世界がガラリと変わる!」を合言葉に、見方が一変する“知のビフォーアフター”体感を、メインMCの滝川クリステルとレギュラー出演の博多華丸・大吉が皆様にお届けする!


要は大人は自分の若かった時代を懐かしむものなのだ

この番組は「不良」を正当化したり過去の「不良」の悪行を美化するものなのか? という風に感じる人がいるかも知れませんが、当時のファッションを紹介したり、彼らが住んでいたと思われる部屋を再現したセットに入り、マツコ・デラックスさんと土田晃之さんが懐かしそうにトークしている姿を見ると、単に出演者またはスタッフが青春時代を過ごしたその世代にとっては「古き良き時代」を懐かしんでいる自己満足に近い番組だろうと思いながら見ていました。

というのも、番組の中で「昔はヤンキーの喧嘩は一対一だった」「ヤンキーは今より礼儀正しかった」というような発言がありましたが、それはあくまで出演者の側の感想であり、そうでない思い出を持つ人もいるはずです。思い出は美化されるものだとは言え、いじめられたりカツアゲをされた側の人から見ると、被害を受けたことが「いい思い出」になるとは思えません。その点について、当時の常識からしても正しくない事をやっていただろう人達を持ち上げるこうした番組を作る難しさというのはあると思うのですが、個人的には「不良」の全てを否定的にとらえて糾弾しようとは思いません。番組内のコーナーで過去に販売されていたという本物の女性の暴走族の構成員に取材した紹介VTRなどは、これはこれで当時の風俗の貴重な記録であり、今の時代によく日の目を見たなと個人的には別の感動を覚えたりします。

今では限られた地域によっては残っている「文化」(この番組ではそのように扱っていたのでそのまま書いておきます)は、テレビニュースで中学の卒業式や成人式に「特攻服」を着て現れる若者を非難するようなスタンスで報道する方が多いのが普通なのですが、日本のバラエティーにはこうしたものを「やんちゃ」という言葉で片付けて大目に見るという風潮も一部にはあります。取り上げるテーマとしては興味深いもののクレームが来ることが予想される中でこの番組を成立させるために、この番組ではある技術が使われていました。

それが、番組内できわどい話題をしている時に出てきた注意テロップというもので、私は番組を録画していなかったので一言一句同じような形で再現はできていないかと思いますが、何回も以下のようなテロップが番組内で表示されていました。

「当番組が注目するのは不良の精神性や文化であり法律違反を肯定するのもではないことを明言する」

このようなテロップを出さなければ番組自体が放送できないという事情はあったのだろうと思いますが、まだこうした言い訳をすればギリギリこのような番組を作って放送できるだけいいのかなという風に思ったりもします。そもそも不良が文化なのか? という疑問を持つ方もいるかも知れませんが、例えばビートルズが来日する前後、エレキギターを持つだけで「不良」というレッテルを貼られた時代もありました。ビートルズの来日公演を見に行くだけで「不良」と呼ばれ、泣く泣くコンサートに行くことを諦めたケースもあったといいます。今から考えると、ロックをやったりビートルズを目の敵にする方が新しいカルチャーを理解せずに潰しにかかる勢力として批判されるべき存在ではなかったかと考えることもできます。

今の若い世代の中にも目立とうと莫迦な事をやったり、かなり奇抜な格好をしてみたりする人がいると思いますが、現代はそういう事がインターネットで拡散されることによって、仲間うちの笑い話になることもなくなり、それこそテレビニュースで報道されたり、多くの人を巻き込んで炎上するような事になった話などは、後年になっても「昔はこんなことをして楽しかった」というような思い出にはならないでしょう。それどころか、若気の至りがそのまま未来永劫に動画や写真としてネットにアップされ、さらに名前や住所が特定されることになってしまえば、楽しかった思い出がたちまち消し去ろうとしても消せない暗い過去ということになってしまいかねないのが今の世の中だからです。

そういう意味からすると、今回の番組に出てきた大人たちは、自分達だけ昔話を楽しんでいてずるいというような感想を持つ人もいるかも知れませんが、それはちょっと違います。自分達だけでちょっとまずいかな? と思ったことはtwitterにもInstagramにも投稿しないであくまで仲間うちだけの秘密の楽しみにするような形で行なえばいいだけの話です。ほとばしる感情をより広く伝えられないもどかしさはあるかも知れませんが、それが現代の不良が生き残り新たな文化を作り出していくカギになるような気がします。一つ言えることは、本当にすごいことは自分でネットにアップして拡散するような事をしなくてもテレビの方から取材に来るという事です。そういう意味では、多少世の中からはみ出しているような行動をする若年層のやっている事を一概に糾弾するのではなく、その中に何か光るものがあった場合それを指摘して褒めるような事も今後のテレビはやっていった方がいいのではないかという気がします。

最後に一つ、残念だったのが番組が何とも中途半端に終了してしまったことです。コメンテーターの言葉も相当カットされていたような感じがして、最後にVTRが出ていた当時の不良のアイドルという女性が現在の姿を披露したところでもうエンディングロールが出てきたので、この女性は何のために番組に出てきたのか? という疑問が生じてしまったことも確かです。こういったテーマで語りたいことが製作者の側で多すぎ、尺の中に収まり切れないということのなのかも知れませんが、もう少しちゃんと番組を作ることが続編を放送するためには必要なことではないのかという気もして、最後の最後にちょっと違和感が残りました。

(番組データ)

仲村トオルが地井武男にワッパを掛けられた時代…とマツコ 日本テレビ
3/19 (月) 23:59 ~ 0:54 (55分)
【司会】マツコ・デラックス
【ゲスト】土田晃之、岩橋健一郎(青少年不良文化評論家)、中森明夫(アイドル評論家)、阿部真大(東京大学卒・社会学者)
【演出】高橋敬冶(オフィスぼくら)、大輪和孝(ザ・ワークス)
【統轄チーフプロデューサー】森實陽三(日本テレビ)
【プロデューサー】鈴木淳一(日本テレビ)、山口敦司(ザ・ワークス)

(番組内容)

マツコが「不良が最も輝いていた時代」をディープに振り返る!ヤンキーの変形制服や憧れていたアイドルの変遷、そしてヤンキーの部屋を黄金比で完全再現!さらに(秘)ビデオも

パンタレイ…万物は流転する。この番組は「あるモノ」が最も妖しい輝きを放っていた時代をマツコがディープに振り返る。今回のテーマは「不良が最も輝いていた時代」。「変形制服」「裏ボタン」でヒエラルキーを紹介。またヤンキーの部屋を黄金比で完全再現!そしてヤンキー御用達の原付「クレージュタクト」にマツコが試乗!?さらにヤンキーが憧れたアイドルの歴史…工藤静香は凄かった!レディースアイドルの幻のビデオも登場!


痒いところに手の届くスポーツ中継はネット配信の真骨頂

土曜日の午前中のテレビというのは、旅番組か情報番組が主で、この手の番組を好まない人にとってはテレビを消して出掛けるという方もいるかも知れませんが、それこそお出掛けしなくても自宅に居ながらにして決してメジャーではないスポーツ観戦ができるという状況もあります。

平昌オリンピックの女子カーリングで銅メダルを獲得したLS北見のメンバーは、現在も注目度がすごく、例年なら数えるほどしか観客がいないという「日本ミックスダブルスカーリング選手権」も前売券は完売で、当日券を求めて全国から青森まで前日入りして当日早朝から会場の前に並んでいる人もいるというほどです。民放各局のスポーツニュースも予選リーグ初日から報道があり、相当注目度が高いのですが、恐らくBSを含むテレビ局がカーリングをテレビ中継するにあたっては問題があります。

それは、各局とも決まったタイムテーブルがある中で、注目のLS北見のメンバーが複数のチームに分散しているため、彼女たちの試合の様子を放送するためにはスポンサーの了解を得て通常番組を中止あるいは繰り延べにしなくてはなりません。しかし、ネット上でチャンネルを多く持っていて、プログラムありきのスケジュールが組めるAbemaTVなら、問題なく予選リーグから中継をすることができます。

この大会は翌日の日曜日に決勝トーナメントと3位決定戦が行なわれるので、テレビで中継するなら日曜日だけという選択もあったかと思いますが、予選リーグから生中継ということだとカーリングを見たい視聴者も、見てもらいたいカーリング関係者にとっても好むべき状況になっていると言えるでしょう。

午前中の試合は、オリンピックに出場したチーム吉田・両角ペアと北海道の妹背牛協会との対戦でしたが、注目が吉田・両角ペアに集まる中、最終エンドに4点が入るミラクルショットを妹背牛協会の三浦好子選手が決め、オリンピック出場チームに勝利する瞬間を観戦することができました。実はミラクルショットの裏には、前のショットで吉田選手のミスショットもあったわけですが、ミックス競技に不慣れな点はあるにしても、日本のカーリングのレベルは決して低くはなく、注目される選手以外にも素晴らしい選手がいるということをこうした生中継を見ることによって確認することができます。

今回は現在盛り上がっているカーリングでしたが、このように世間が注目しているスポーツや、スター選手が出てくるところにはAbemaTVをはじめとするネット配信中継が当り前に行なわれるようになれば、従来のテレビのスポーツ中継というもののあり方も考え直さなければならなくなるかも知れません。今後ともAbemaTVにはフットワーク軽く世間の注目が集まっているスポーツイベントの生中継に力を入れていって欲しいと思います。

(番組データ)

第11回 全農 日本ミックスダブルスカーリング選手権大会 予選リーグ AbemaGOLDチャンネル
3月17日(土) 07:50 〜 16:00

(番組内容)

平成30年3月15日から青森・みちぎんドリームスタジアムにて開催される、第11回 全農 日本ミックスダブルスカーリング選手権大会。
AbemaTVでは、17日の予選リーグと18日の準決勝・決勝・3位決定戦の模様を生中継!


テレビに出てくる人の言葉遣いは大丈夫か

この番組は、東日本大震災の特別番組の直後に放送されたのですが、それまでの雰囲気とはかけ離れたバラエティーで、これはこれで考えさせられました。表現を抑えると「かかあ天下なご家庭」、かつて流行った言葉に置き換えると「鬼嫁のいるご家庭」に訪問し、女性の元で耐えるような生活を送っている男性の意見をテレビカメラが入ることによって聞いてもらおうという企画で、基本的には強い女性の姿を見て驚いたり男性に同情したり、パネリストの男女が様々な意見を面白おかしくまとめるという番組になるでしょうか。

この手の番組は過去にも他局で放送されていましたが、男性が暴力的で女性がその暴力に耐えているような場合は番組にならないのか、今回の2家族も女性の方が強いという設定でより強烈なご家庭にはプレゼントを持って再度訪問という形で女性のごきげんを取って番組は終了していました。

実際にテレビカメラを前にしたら普段の行動なり態度はそこまで出ないものですが、この番組に出てきた最初の「元ヤンキー」の女性は、もしカメラが入らずに男性とその中をとりもとうとして知らない人がいきなり入ってきたらどうなってしまうのか、心配してしまうほど「テレビ向き」のリアクションをされていました。元来、こうした状況を画に収めたかったのでしょうし、女性にやりこめられる男性という姿というのはそこまでテレビ局に抗議の電話やメールが来ないということなのかも知れませんが、この家庭での父親たる男性の訴えは、最初こそ「仕事で遅くなる時には洗濯物を取り込んで欲しい」とか、「食べ終わった食器を洗うのに、水に浸けておいて欲しい」というような当たり障りのないものでしたが、その後男性の口から出て来た言葉に、かなり深刻なものを感じました。

どういう事かというと、自分達の子供に女性の荒くて厳しい言葉遣いが移ってきたので、できれば普段使いの言葉については子供の前では気を付けて欲しいというのが最終的に男性の想いだったという事だったのです。子どもにとってはお父さんお母さんという形で見るとどうしてもお母さんの方とより多く接し(このご家庭の場合は男性が営業職で帰りが遅いのでなおさら)、母親である女性とのコミュニケーションが多くなる傾向にあります。就学前ならなおさら、さらに学校へ行く段階になってもこうした家庭内での言葉遣いが当り前のように育ってしまった場合、特に女のお子さんだったらこのケースでは男女の力関係的には女性の方がかなり荒い言葉遣いをしてしまっても許されると誤解する可能性が多くなります。

個人的にはご家庭によって父親と母親の間で力関係に差が出ることは当り前だと思いますが、ここまで極端になってしまうとそのお子さんが集団生活を送るようになって友人や先生、近所の人達とトラブルになった場合に解決をするための手段というのは当然自分の家族の中で見本とする人に求めるようになると思いますので、あくまでそのご家庭独自のものに過ぎない価値感の行使が、どこまで社会に受け入れられるのか心配になります。恐らくテレビで男性が主張したかったことは、特に営業職として自分で正しいと思っていることが通らずに、その想いを押し殺しても家族のために仕事を続けなければならないような事を自分の子が迫られた場合、今のまま大人になってしまって大丈夫なのかと思ったからテレビにまで出て伝えようとしたのではないかと思ってしまいました。

ただ、そのテレビではここまで紹介したような事に類する乱暴な言葉遣いをする番組があったりします。今回紹介した番組を含め、これはあくまでバラエティ番組で、番組を盛り上げるためのエッセンスが入っているかも知れないので、その点についてはお子さんと一緒に見ている場合にはその都度のフォローをしていけば、かえって番組の内容が反面教師のようになる可能性もあります。しかし、そう考えると同じバラエティとは言え、イデオロギーの対立で自説を訴えたいあまりに相手の人格まで攻撃するような論客の出演するニュース番組やニュース系バラエティというのは、その内容によっては大人が子どもに配慮して見せないということも必要になってくるのかなと思います。普通に考えて社会的地位の高い方が罵り合う姿というのは、大人への尊敬を失いかねないかも知れませんし。

よく夏休みの時期に小学生を国会に招いて子ども国会というイベントが開かれることがありますが、国会中継および地上波の政治バラエティの内容を小学生に授業の一環として見せても大丈夫なのか? という風にテレビを作る側の方が考えることが今後は必要になりのではないでしょうか。テレビに出演されたり国会に出たりする方々も、罵り合いでなく皮肉を効かせた「ディベート」で視聴者を唸らせていただきたいものです。

(番組データ)

夫はつらいよ ~鬼嫁直談判バラエティ 願い事を一つだけ聞いてください!~ テレビ朝日
2018/03/11 15:20 ~ 2018/03/11 16:30 (70分)
【スタジオ出演者】 ヒロミ 榊原郁恵 小峠英二(バイきんぐ) 平井理央
【ロケ出演者】
1組目 ~タレント応援団~ 飯尾和樹(ずん)、りゅうちぇる ~ご夫婦~ 河原夫婦(元ヤン鬼嫁)
2組目 ~タレント応援団~ 流れ星(瀧上・ちゅうえい) ~ご夫婦~ 尾崎夫婦(犬好き鬼嫁)

(番組内容)

鬼嫁に歯向かえない気弱な夫が、タレント応援団の後押しを受けて勇気を振り絞って願い事を妻に直談判するバラエティ「夫はつらいよ」。今回、世の気弱夫の背中を押すのは、先日おめでた発表をしたばかりのりゅうちぇる、愛妻家の飯尾和樹(ずん)の2人と、コンビ共に既婚者の流れ星。また鬼嫁お宅ロケの様子を既婚者であるヒロミ&榊原郁恵&平井理央、そして独身者のバイきんぐ小峠がスタジオから見守り鬼嫁度を判定!!

最初の依頼は、元ヤン鬼嫁を持つ32歳の夫から。つらいと思っているのは、「嫁が怖すぎて家族全員がビビってしまっている」こと。元ヤン鬼嫁の口撃にノックアウト寸前の夫をりゅうちぇるとずん飯尾は助けながらも願い事を直談判させることができるのか!?2組目の依頼者は「嫁が勝手に飼い始めた犬によって家庭崩壊の危機を迎えている」26歳の夫から。果たして犬より愛されていない夫から溢れ出る直談判したい切なる願いとは!?


最後の役名が「大杉漣」だったドラマをネット経由で見る気持ち

このドラマの前のシリーズから興味を持って見ていたこともあり、新たに名脇役と言われる人たちを中心として「ドラマ内朝ドラ」を島で撮るという設定に、見たいなと思いながらテレビ東京の見られない地域にいる私はまだるっこしい思いをしていたのですが、そんな時に入ってきたのがこのドラマを撮影中に心筋梗塞でお亡くなりになったドラマの主役中の主役と言える大杉漣さんの訃報でした。

亡くなった時の状況が、ロケ地近くのホテルに宿泊中、腹が痛くなってドラマ共演者のグループLINEでその旨を発信したところ、劇中でも他の出演者の食事や生活の世話をかいがいしく焼きながら「バイプレーヤーズ」の中でも一番の年下ということから貧乏くじを引くという風に描かれていた松重豊さんで、臨終にも家族や番組スタッフとともにドラマで共演したメインキャスト4名(松重豊・田口トモロヲ・光石研・遠藤憲一の各氏)の方が立ち合ったということでしたので、当初はこの後のドラマは放送されるのか、放送されたとして私の住んでいる地域で放送してくれるのはいつになるのかと半ば絶望的な気分になりました。

大杉漣さんについては多くのテレビドラマや映画で悪役だけでない様々な役をされているのを拝見しているだけでしたが、サッカー好きでギターも弾けて、人生を楽しみながらも役者としての存在感の高さから、これからどんなドラマや映画で活躍してくれるのだろうと思っていただけに66才という若さでの急逝というのは全く実感がわいてきませんでした。そんな中で、もしかしたらテレビ東京のネットがない場所でも見られるかも知れないと一縷の望みを持ってアクセスしたのが民放の番組を放送直後に配信してくれる「TVer」というサイトでした。

大杉さんの訃報があった時には第3話放送前だったので、私が気付いた時には「TVer」では第3話からしか見ることができなかったのですが、その3話では田口トモロヲさんが熱を出して寝込んでいる設定で、大杉さんは第3話ゲストの女性版バイプレーヤーズに囲まれてカラオケに没頭して前シリーズのエンディングテーマ「フォーエバーヤング」を歌いながら田口トモロヲさんのLINEからのSOSに気付かないという、まさにご自身の経験の逆を演じていられていたことに、もしかしてこんなシーンを撮ったから連絡をグループLINEで発信したのかと見て思ったりしました。

その翌週、ご遺族の好意によってドラマ終了まで(第5話)放送が続くことになり、第4話の配信があったと思ったら、これもテレビ東京のご好意なのか前週には見られなかった第1話から第3話までも見られるようになっていました。そこで改めて時間を作って第1話から通しで第4話まで見ることができました。これはテレビ東京の非ネット地方民にとっては大変ありがたいことであり、テレビ東京が見られない地域にいる人が大杉漣さんが最後にどんなドラマに出ていたのかという想いに応えてくれた近年まれにみる英断だったと思います。

そんなこんなで先日、本放送から若干のタイムラグがあるものの、無事にネット経由で第5話の最終回を見ることができました。最後まで大杉さんが撮影をこなしたわけではないので、ドラマ内朝ドラの打ち上げパーティーが開催しているのに大杉さんだけドラム缶風呂に入っているという変な演出になってしまっていますが、それでもオフショットの大杉さんのブルースハープの奏でている様子などをドラマ内でそのまま流したりしながら、見事に大杉さんが撮影を全うしたような形に仕上げていたのはさすがでした。

それにしても、まだ大杉さんが元気でお芝居をしている中で、島で共同生活をしていた家を改造して「大杉漣記念館」にしようとか、しかも有料で大人から800円入場料を取るなどと大杉さんの神格化をドラマ内でしていたというのは改めてドラマとして見るだけでたまらない気持ちになってしまいます。その後の現実の結果を知っているというのは何と残酷なことか、そんな事を思いながらドラマを堪能させていただきました。

残念なのは、私自身はラッキーにもこのドラマをネットを通して全て通して見ながら大杉漣さんを偲ぶことができましたが、第5話が配信されると同時に第1話から第4話については見られなくなってしまいましたし、「TVer」で再配信されることを早めに気付いた人以外のテレビ東京非ネット地域にお住まいの人は、ドラマを見られるかどうかは地元の放送局が番組をテレビ東京から購入するか、それともビデオオンデマンドで配信されるのを待って見るかというように、見る手段が限られてしまうということです。

このドラマは大杉漣さんの役者としての生き様ということを考えると、もっと多くの人に見て欲しいものであったのですが、地域差で見られない人が出てしまうというのは本当に残念です。テレビ東京のドラマだからということで終わりにしないで、やはり都市部と地方との情報格差を無くすという意味でも、地上波で放送されている番組については何とか民放連ででも話し合ってテレビ東京ないし他の民放がネットされていない地域で同時配信が行なえるような事はできないのかと改めて思った今回のネットによるドラマ視聴でした。

(番組データ)

バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~ テレビ東京
2018/03/07 21:54 ~ 2018/03/07 22:48 (54分)
【メインキャスト】遠藤憲一 大杉漣 田口トモロヲ 松重豊 光石研 (※あいうえお順)
ジャスミン…北香那
【朝ドラキャスト】 本田望結 吉田羊 野間口徹 森下能幸 滝藤賢一 でんでん 渡辺いっけい
【脚本】 ふじきみつ彦
【監督】 松居大悟 佐藤洋介
【オープニングテーマ】 10-FEET「Fin」 (BADASS / EMI Records)
【エンディングテーマ】 竹原ピストル「ゴミ箱から、ブルース」 (SPEEDSTAR RECORDS / VICTOR ENTERTAINMENT)
【制作】 テレビ東京 ドリマックス
【製作著作】 「バイプレイヤーズ2018」製作委員会

(番組内容)

大杉漣さんありがとう!
バイプレイヤーより愛を込めて…「しまっこさん」撮影中止の危機をバイプレイヤーが救う!おじさん達の共同生活もついに最終回…

【第5話】 「バイプレイヤーより愛をこめて」
「しまっこさん」のクランクアップを間近に控えたある日、予知夢のような夢を見た大杉は、スタッフへの恩返しを決意する。そんな中、島おじさんと島ママの撮影は終了!その日に島を離れることにした遠藤、田口、松重、光石の4人だが、島ハウスを出る前に大杉が書いたある手紙を発見する…。
スタッフ不足で混乱中の現場で、ひとり残った大杉が取った行動とは?「しまっこさん」は一体どうなるのか!?おじさん達の共同生活もついに最終回!


「テレビ・芸能プロデュースの歴史」を忖度するとナベプロの歴史になる?

今回の番組は納豆の食べ方に興味があって何となく見ていたのですが、納豆の話題が終わったと思ったらとんでもない展開になっていくのが自分でもわかりました。何故か脈絡もなく「テレビ・芸能プロデュースの歴史」としてその時だけ新たな【学友】が加わりました。「番組データ」の中にある出演者の中で、「/」の後に名前があるのが後半から番組に出演した人たちです。

個人的には後半の講師を努めていたマキタスポーツさんに同情を禁じえませんでした。番組内のパネルでは一応芸能の歴史ということもあり、今日まで続くアイドルの中には「スター誕生!」からデビューした「花の中3トリオ」とか、松田聖子さんなど「非ワタナベエンターテインメント」に所属しているタレントを主に解説があってしかるべきところもあったのですが、番組で流されたのは最後に渡辺晋氏がプロデュースした吉川晃司さんまでで終了し、途中マキタスポーツさん自らがバンド形式で昔のバラエティの音楽ネタをやったのが一瞬一ネタだけ放送に乗ったものの、まさかあの一瞬のためにバックバンドのメンバーがセッティングしたわけではないでしょう。

恐らくバンド形式による数々のネタ披露とともにそれなりの楽しい芸能の歴史についてのレクチャーがスタジオ内では行なわれたように思いますが、番組の方は主に昔の「ナベプロ」の「渡辺晋」さんはすごい(渡辺美佐さんは若い頃の写真だけ出ただけで何も番組では触れられていませんでした)というように現在のワタナベエンターテインメントは芸能界とテレビを結ぶプロデュース力はすごかったんだというそれだけの内容を番組後半には紹介しただけのものになってしまったのです。

ちなみに、加藤茶さんおよびドリフターズのメンバーは元はナベプロ所属でドリフターズ時代に円満独立。中尾ミエさんにもその事務所名からもわかるように円満にナベプロから独立したので今回の出演となったのでしょう。独立時にいろいろあった森進一さんや沢田研二さん(吉川晃司さんはなぜナベプロに入ったのかという問いに沢田研二さんがいる事務所だからと答えていました)は当然出てきませんでした。元々、メインMCの林修さんが現在所属しているのがワタナベエンターテインメントで、彼の出る番組は軒並み視聴率を取るということから、テレビ朝日は林先生の所属事務所に忖度して今回のような企画が実行し、放送した内容を編集したのではないかと私は推測します。個人的にはもう少し林さんには他の芸能界のプロデュースの歴史についても触れるだけの余裕は持っていて欲しかったと思いますが。

少なくとも、今後の林先生がテレビに出て時の政治に意見を言ったとしても、大きな芸能事務所にとって都合の悪い事については発言できなそうな事が今回の忖度たっぷりのワタナベエンターテインメント礼賛プログラムを許した事でわかってしまったことは今回テレビを見ていての収穫でした。もし、同業他社のタレントが事務所ともめた時に林先生が何かを言ったとしても、話半分に聞いておいた方がいいような気がします。

それにしても、この番組の後半からなぜマキタスポーツさんが講師として起用されたのか、もし今回のような内容になるとわかっていてもマキタスポーツさんは出演を受けたのかという疑問は残ります。あの内容なら講師は中山秀征さんか恵俊彰さん(どちらもワタナベエンターテインメント所属タレント)の方が見ている方もすっきりしたと思うのですが。

(番組データ)

林修の今でしょ!講座 3時間スペシャル テレビ朝日
2018/03/06 19:00 ~ 2018/03/06 21:48 (168分)
【MC】林修(ワタナベエンターテインメント)
【進行】松尾由美子(テレビ朝日アナウンサー)
【講師】赤石定典 市原淳弘 伊藤明子 白澤卓二 津川尚子/マキタスポーツ(オフィス北野)
【学友】秋元真夏(乃木坂46合同会社) ビビる大木(ワタナベエンターテインメント) 吉田栄作(ワタナベエンターテインメント) 高橋英樹(アイウエオ企画) メイプル超合金(サンミュージックプロダクション)/加藤茶(イザワオフィス) 中尾ミエ(アスレティック・ミエ・カンパニー) 平野ノラ(ワタナベエンターテインメント) ブルゾンちえみ(ワタナベエンターテインメント) ミッキー・カーチス(ワタナベエンターテインメント)
【VTR出演】(公式データには記載なし)
吉川晃司(アクセルミュージックエンターテイメント)

(番組内容)

『健康長寿がよく食べる発酵食品~老化STOP 納豆の力を徹底解明』と『テレビ&芸能のプロデュースの歴史』2本立て!!健康長寿の方々に大調査!納豆、味噌…普段食べてる発酵食品は?今回は「納豆」をフィーチャー!血管・骨を老けさせない驚くべきパワーとメカニズムを紹介。納豆の栄養を無駄なく摂取できる「医学的に正しい食べ方」は?Q食べる前に良く混ぜる?混ぜない方が良い?皆さんの食べ方は大事な栄養を損してる?

テレビ放送開始65周年!バラエティや音楽番組、アイドルやタレント、今では当たり前になった「テレビ」の歴史に迫る特別講座!今回は多くのヒットプロデューサーの中でも、その草分け的存在と言われる渡辺プロダクションの創始者「渡辺晋」の功績を見ながら、テレビと芸能の「プロデュース」の歴史を学ぶ!才能ある人を見つけスターにする。面白い番組を作る。そこには私たちの想像を超える、情熱と創意工夫の歴史があった!


迷走した番組からデビューする人へのフォローはどうなる

すでにネットニュースで広く知られていると思いますが、「今夜、誕生!音楽チャンプ」は2018年3月でいわゆる「打ち切り」になるそうです。そんな状況がわかっているためなのかどんどん変な事をやり出していて、まさにテレビ番組はこうやって終わるんだよという事例を目の当たりにさせてくれている感じがするので改めてまた番組をネタに書いてしまいました(^^;)。

まず「ダンス企画」って何なの? と思ってはいけないのかなと思わせるほど当り前に「音楽チャンプ」なのに「ダンス」を競う企画を入れてしまうディレクターの厚顔無恥さはすごいですね。昨年から女子高校生による集団ダンスについては多くのバラエティーが取り上げて映画やドラマも作られましたが、このまま3月終了せずに番組が続いたら、いつの間にかお笑いのネタを競う番組にもなりかねないのではないのかと正直思ってしまいました。

放送時間が60分しかないのにこんな企画を入れるということは必然的にこの番組の本筋であるチャンプに挑戦者が挑む部分をカットしなければならなくなります。番組後半に、番組終了までに何とかこの番組からデビューさせるという命題を達成させるためのコーナーもあるので、さらに時間が取られるということになります。こうなると、もはや新たな才能の発掘ということではなく、他の番組で人気のある部分を切り取って流すという形でのなりふり構わなさを感じ、残りの放送日までを何とかしなければというスタッフの苦労がしのばれる部分でもあります。

たまたま前日、NHKのど自慢チャンピオン大会の放送があったのですが、こちらの方は毎週全国を回って続く長寿番組のチャンピオンの中から厳選された人達が出演し、2017年のチャンピオンを決めるというもので、審査員は音楽チャンプと違ってぬるい人選のような気がしたものの、まず出演者の年齢に幅があり、優勝者も男性でかわいい女性を優遇しているような感じはしなかった点はさすがNHKだと思いました。しかしNHKのど自慢はまだ素人時代の美空ひばりさんを落としたという致命的な判断ミスをしています。それは強烈な個性よりも大人しくまとまった才能を選ぶ傾向を感じ、その点はNHKだからこその壁であるという気もします。

本来はそうした点を突いて、決してNHKでは出てこなそうな人を選ぶ新たな歌のオーディション番組を作ろうと考えてできた番組ではなかったのかという風に思うのですが、やはり真面目にオーディション番組を作ろうと考えたら、大手芸能事務所所属タレントを司会に起用し、最初から視聴率や視聴者の評判を気にしたということが良くなかったのではないかと番組打ち切りという結果がわかってしまった今感じるところです。スターは狙って作るということはあるにしても、この番組はオーディション番組なのですから、やはり普通に応募してくる人の中からきらりと光る原石を見付け育てるようでなければならず、新たなスターが出るまでは視聴率が上がらなくても番組自体の人気が上がらなくても、放送する曜日や時間を変えてでも(早朝や深夜に移動しても)我慢して続けるべきでした。さらにその際に、ネットの評判によって番組での態度を変えるような審査員はやめさせるくらいでないと、結果の公平性は担保できないでしょう。

さらに、今回のような結果になってしまっても、番組スタッフの中で番組で育てた人材をどこまで世に出すための手助けをするつもりなのかという点も今後に向けては試される部分だと思います。せめて今、番組で推している丸山純奈さんと琴音さんをテレビ朝日がどのように育てていくのか、その結果きちんとした形でデビューさせるのが一つのケツのまくり方だと思うのですが、丸山さんをCDでなくあえてネット配信でデビューさせて多くの人が聴いてくれるのかというのが個人的には疑問が残ります。もちろん、今後フォローしながら本格的に歌手への道を進ませて行くのがこの番組を作って彼女らを送り出した責任として、今後のフォローを期待していますが、今後の状況によっては本気の音楽オーディション番組の企画はなかなか実現されないようになっていくのではないかと危惧をするところもあります。

(追記)
番組打ち切りの後で新たな情報が入り、どこまで続くのかは未知数なものの、今後は特番という形で番組の名前は残すような事も言われています。特番になれば私が心配していた合格者へのフォローも行なわれるでしょうし、今回のようなダンス勝負だったり、ピアノなどの演奏、バンド対抗の企画なども入れられるでしょう。しかし出演者の傾向は毎週続けていなければその分見ている人も限られるので、その中である程度の出演者のクオリティを保とうとすれば、テレビ関係者の目に止まったような人が主に集まるような気もします。テレビを見ていて、全く今まで表舞台に円のなかった人が「自分もテレビに出られるかも」と思って応募するような、いわゆる「スーザン・ボイル」さんのような方が出て来るような番組になるのは今後難しいと思われます。

どちらにしても、こうしたオーディション番組はできるだけ選考過程をガラス張りにして、見ている人たちも巻き込んだ形で作っていかないと、事務所とか関係ない才能を発掘する場にはならないような気がします。オリンピックになぜ多くの人の目が釘付けになるのかを考えてみれば、それは確かでしょう。ダンス企画でもいきなり「関東対関西」という形でやるのではなく、大々的に応募を募り、学校のクラブ活動から離れた草の根レベルで活動している才能を拾い上げ、決してクラブ活動で賞を取っているところだけが素晴らしいのではないということを提示するのもテレビの一つの役割ではないかと思います。歌にしても、カラオケバトルやのど自慢では集まらない異種の才能と番組常連の歌うま軍団を競わせるとか、そんなストーリーを探して欲しかったなと今となっては思います。

(番組データ)

今夜、誕生!音楽チャンプ テレビ朝日
3/4 (日) 21:58 ~ 23:05 (67分)
【MC】村上信五、黒木瞳
【審査員】
<カラオケ企画> 大本京、小柳ルミ子、菅井秀憲、田中隼人、森公美子
<ダンス企画> 蛯名健一、CRE8BOY秋元類、夏まゆみ、振付稼業air:man杉谷一隆
【ゲスト】 川田裕美、剛力彩芽
【挑戦者】
<カラオケ企画> 荒金理香、武田優一、濱住夏海 琴音(現チャンプ) 丸山純奈(デビューへの道)
<ダンス企画> 同志社香里高等学校ダンス部、山村国際高等学校ダンス部

(番組内容)

■徳島の合唱ガール・丸山純奈(中2)が5つの課題をクリアし、ついに配信デビュー!デビュー曲をスタジオで初披露する!作詩・作曲は昨年の日本レコード大賞で作曲賞を受賞した、番組審査員でもある杉山勝彦!スタジオ感動の熱唱を披露する!
■新潟県の女子高生、チャンプ・琴音(高1)が3度目の防衛戦に挑戦!今回も3人の強敵がその道を阻む!果たして、3連覇出来るのか!?
■さらに特別企画!高校生ダンスチャンプを開催!関東と関西の強豪校が激突!
■関東は…山村国際高等学校ダンス部!エンターテインメントを重視したダンスで近年、躍進中の実力校!今回、「ある昭和歌謡曲」を選曲し、「見ていて楽しく、元気になる」ダンスを披露!果たしてどんなダンスなのか!?
■関西は…同志社香里高等学校ダンス部!昨年の日本高校ダンス部選手権であの登美丘高校を抑えて優勝!その実力とは!?