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「TKJPヘビー級選手権」とは?

昨年の11月11日に放送されたBSフジの11時間テレビはこのブログでも紹介したように、一部の人達の熱狂的な支持を受けたことは記憶に新しいですが、そのため一応今年の11月11日にテレビ欄を見て今年も11時間テレビをやらないことを確認し、ちょっとがっかりしたもののやはりというか土曜日の午前中から同じ11時間テレビを仕掛けるのはさすがでした。

この番組の母体として安定した人気を持つ「クイズ!脳ベルSHOW」は連日再放送を含めて放送されており、そこで改めて生存が確認されたり、その言動の面白さを再確認したりする往年のスターが発掘されるという実に昭和的な番組を面白くするシステムが発動しており、それが今回の番組にも生かされていると感じるところが多くありました。

基本は全国をブロックに分けてその地方同士のクイズ合戦ということになるのですが、優勝賞品が「米一俵」という相変わらずのショボさで、出演者もクイズの成績がどうこうではなく心ゆくまで番組を楽しんでいることが見ていて伝わってきました。

まず最初のこの番組のポイントとして挙げなければならないのは、クイズの箸休めとして出演者がお客さんとして座席を埋めた演芸大会に出てきた往年の漫才コンビ「B&B」の進行を無視した往年の漫才披露にありました。島田洋七さんのしゃべくりの力はいささかも衰えず、相方の島田洋八さんが「もうええわ」と適当なところで終わらせようと思っても洋七さんが終わらせてくれず、どうでもいい話をどんどん続けていくところは、まさにかつての漫才ブームの頃の様子を彷彿とさせるこの番組の大きな見どころだったように思います。このために最後がぐだぐだになってしまったことはあるかも知れませんが、B&Bは健在であることを示してくれたことは嬉しく、ぜひまたお二人の漫才を聞く機会があればと思います。

そして、やはり今回も触れなければならないのが往年のプロレスファンとしてはちょっと考えられないような顔合せが起こった表題の「TKJPヘビー級選手権」です(^^)。この言葉は実は番組の中で実況アナウンスをかみまくりながらしていた元・テレビ朝日アナウンサー佐々木正洋さん(アントニオ猪木さんに試合前のインタビューに行き激怒され最初にビンタを食らったアナウンサー)の造語です。具体的には、

「T」…叩いて
「K」…かぶって
「J」…じゃんけん
「P」…ポン

の略称です(^^;)。改めて説明するまでもないですが、昨年と同様に赤青のヘルメットにピコピコハンマーがリングの中に用意され、過去に因縁があるはずの男達が大真面目にこのゲームに興じるさまは2年連続同じことをやっているにも関わらず、当日の最大のメインイベントだったように思います。

前年と比べての変化は、まず長州力さんがゲームの対策をして防御がうまくなっているだけでなく巧みに相手の心を揺さぶったり脅しをかけたりして、相手の動揺を誘うというかなり高度なテクニックをもって対武藤敬司戦、対前田日明戦、対蝶野正洋戦を戦い抜いたのが強烈に印象に残りました。

というのも、普通の人が出すじゃんけんのチョキは人差し指と中指を使った「ピースサイン」がほとんどだと思いますが、長州力さんの出す「チョキ」は親指と人差し指をのばす通称「田舎チョキ」と言われるもので、最初に出したのがその「田舎チョキ」だったことでまず試合がストップし大笑いになったのです。その後、長州さんは田舎チョキを出し続けたのですが、それはどうもわざと負けてすぐにヘルメットをかぶって防御をする作戦だったように感じました。

そして、相手にグーを出させておいてパーを出して勝つと、一気に優勢に転じ現役時代のパワーそのものという感じでヘルメットとハンマーを置いている机の上を乗り越えて相手をめった打ちにしに行くというパターンを繰り返しました。この様子を見ていて実際に長州力さんの攻勢をまともにくらった最終戦の蝶野正洋さんはあわててリング下に逃げ出してしまい(^^;)、最後には長州力さんが前年から引き続きチャンピオンに輝きました。

その中で長州さんが何と「ベルトが欲しい」と言い出し、司会の岡田さんが来年の開催時にはベルトを用意すると言ったので、少なくとも来年の11月にも番組が作られ、そのコーナーの一つとして「TKJPヘビー級選手権」が行なわれることは確かではないでしょうか。

これからまた一年間、通常のレギュラー放送の中で新たな個性的なメンバーがその才能を発揮したら、クイズ出演者だけでなく長州力対武藤敬司・前田日明・蝶野正洋というメンツ以外にもさらに遺恨のある人物が出てくる可能性もありますし、いい大人が真面目にふざける「茶番」には違いありませんが(^^;)、その茶番をおおらかな目で見て笑うということができるのもBSというゆるい放送枠でこそのものではないでしょうか。今後もAbemaに負けないエンターテインメントを年一回、期待して待っている一部の人達に届けていただきたいと切に思います。出演者の皆様およびスタッフの方、11時間お疲れ様でした。

(番組データ)

BSフジ11時間テレビ2018 全国対抗!脳トレ生合戦!! BSフジ
2018/11/17 11:00 ~ 018/11/17 22:00(660分)
【司会】岡田圭右(ますだおかだ) 川野良子(フジテレビアナウンサー)
【解答者】あいざき進也 麻丘めぐみ あべ静江 アキ 伊藤榮子 氏神一番 うつみ宮土理 扇ひろ子 大沢逸美 岡まゆみ 葛城ユキ カルーセル麻紀 神奈月 岸田敏志 北原ミレイ 国生さゆり 小桜京子 斎藤洋介 桜木健一 沢田亜矢子 獣神サンダー・ライガー シェリー 高橋名人 田中健 田中星児 谷隼人 西村知美 ビートきよし ピーター 船木誠勝 堀ちえみ 松村雄基 マリアン 森口博子 山下真司 山本晋也 若林豪 渡辺正行
【ゲスト】藤巻潤 堀田眞三 寺田理恵子 福井謙二 牧原俊幸 大木凡人 BORO 丸の内合唱団 水木一郎 ささきいさお 橋幸夫 森脇健児 ミスターマリック トランプマン すず風にゃんこ・金魚 酒井くにお・とおる B&B ぼんちおさむ 水前寺清子 長州力 武藤敬司 前田日明 蝶野正洋 佐々木正洋 田中ケロ にしきのあきら 松岡きっこ 裕子と弥生 リリーズ こまどり姉妹 JAGUAR 江藤博利 加門亮 島崎俊郎(全ての出演者ではありません)
【企画・編成】谷口大二
【構成】林田晋一/鈴木悟志
【クイズ監修】道蔦岳史
【プロデューサー】小沢英治
【総合演出】丸林徳昭
【制作協力】ディ・コンプレックス ニュー・ジェネレーション ロジック
【制作著作】:BSフジ

(番組内容)

現在、月金曜日22:00~22:55放送中の『クイズ!脳ベルSHOW』をベースに「誕生」をテーマにした大型生放送特番。演芸、歌謡コーナーなどなど、おなじみの脳活性化クイズだけでなく笑いや歌でも脳を活性化しちゃう11時間!出演者は47都道府県・6ブロックを代表する有名人の皆様!トーナメント方式で優勝を競います!第1部は北海道・東北チームと九州・沖縄チームの登場です。

ところどころにスペシャルゲストが登場!オープニングから登場するのでスタートからお見逃しなく! 80年代の人気番組の大ヒット企画・山田邦子のひょうきん絵描き歌がスタジオで実現!?あるなし曲を歌う丸の内合唱団の生歌も聞けちゃいますよ~♪ そして「脳ベルSHOW」ではおなじみ「脳ベルダービー」はもちろんあります!誰が早押しに挑戦するかは見てのお楽しみ!

インフォメーションコーナーでは、視聴者の皆様から寄せられたメッセージをご紹介します!奮ってご応募ください。 目玉企画のお台場障害物マラソンではあのマラソンランナーが駆け抜ける!果たしてランナーは無事ゴールへ辿り着くことができるのか?! そして番組の所々に豪華商品が当たるプレゼントクイズのキーワードが発表されます。キーワードを確認して番組最後のプレゼントクイズに挑戦してみてください!

第2部は近畿チームと関東・甲信越チームが激突!今回もスペシャルゲストが続々登場! VTRクイズでは懐かしの3年B組金八先生シリーズ風ドラマで禁断の恋が…!? そしてもちろん「脳ベルダービー」のコーナーもあります! クイズの合間には脳をリフレッシュ!「脳ベル演芸SHOW」のコーナーもあります。

第3部は北陸・東海チームと中国・四国チームが激突! そして敗者復活戦で勝ち残るのはどのチームなのか!SPコーナーではMr.マリックとトランプマンが夢の共演対決!みなさん、手品の仕掛けわかりますか? 続いては注目の4KPR企画!ガチャピンとムックがスタジオに駆けつけ盛り上げてくれますよ。 皆様からのメッセージも大募集!インフォメーションコーナーを設けてご紹介しちゃいます。第3部も「脳ベルダービー」は続きます! SPコーナーでは、プロレスラー長州力・武藤敬司・前田日明が登場!リング上でどんな対決が繰り広げられるのか!? 第3部にも豪華商品があたるプレゼントクイズのキーワード発表がありますよ!お見逃しなく!

第4部はついに決勝戦! MC岡田圭右の50回目の誕生日も盛大にお祝いしちゃいますよ~!  「脳ベルヒットスタジオ」のコーナーでは、豪華ゲストの皆さんが懐かしのヒット歌謡曲を生披露!岡田圭右・川野良子アナの生の歌声とダンスにもご注目ください♪ おなじみ「脳ベルダービー」のコーナーももちろんあります。 SPコーナーでは、またまたプロレスラーが登場!長州力・武藤敬司に加えて蝶野正洋が参戦!リングでどのような戦いが繰り広げられるのか!? そしてドッキリ企画お宝ハウマッチ! あの芸能人のあのお宝のお値段は? 脳ベルSHOWの締め括りは”すごろく大逆転” 運を味方につけて優勝するのは一体どのチームなのか! 豪華商品があたるプレゼントクイズのキーワード発表もあります。メモを取るのを忘れずに! 11時間テレビも終盤。岡田さんと川野アナ大丈夫かな…ポロリ連発してないかな… 皆さんも岡田さんと川野アナを応援しながら第4部を是非是非最後までお楽しみください。


レギュラー番組から派生した歌番組には付加価値がある

「クイズ脳ベルSHOW」は通常放送が実に安定して一定のシニア層を捉えているようで、昨年に引き続いて特番を行なってくれたのが嬉しく、サッカーのワールドカップを見ないでこちらの方を見てしまいました。今回の番組に出演する資格があるのは、過去にこの番組でクイズに参加したり出題側として出た方に限定されるものの、どなたもそこそこの健在ぶりを示してくれ、懐かしく聞けた方も多かったのではないかと思います。

しかし、ご本人が歌うのに多くのケースでは演奏はDAMのカラオケで、さらに優勝賞品も米30キロという相変わらず予算のない中で頑張っている感が満載の番組は、地上波とは一味も二味も違うなという事を改めて思ったりしました。

基本的にはこの番組は歌番組であり、見ている人も出演者が歌う曲を気にするとは思うのですが、そこはクイズ番組なので番組内でのクイズもあります。今回は歌手の方々の出演だったためか音楽に関する問題(イントロクイズ・歌詞から曲名当てなど)で3つのチームが競ったものの、最後の二問が超難問で、さらに最後の問題の点数が200ノーベルという(それまでの正解では10ノーベル程度)、今までやってきて最高得点だったチームの持ち点より高いというお約束の展開になり、優勝もそれまでリードしていたチームが逆転するというテレビ的には大変面白い展開になったのですが、それは最後の最後までクイズとしての「隠し玉」と言える企画を取っておいた番組スタッフの勝利でしょう。何を隠していたかというと、プロレスラー天龍源一郎氏の「鼻歌イントロクイズ」などという鼻歌では全く何の曲を鼻歌で歌っているのか誰もわからない実にふざけた問題で、天龍源一郎氏が具体的に出すヒントがないと正解への筋道すら出てこないという、テレビの音楽系クイズの中では正真正銘の「超難問」だと思います。

こうした計画された誰もわからない問題をしれっと出すというのは、TBSでかつて放送されていた「クイズスター名鑑」のノリに近いと言えましょう。この番組は残念ながら今後復活するかどうかはわからないので、以前このブログでも紹介したTBSの改編期に必ず放送される「オールスター感謝祭」の後の深夜に突然放送された「オールスター後夜祭」あたりで採用してくれれば、地上波で一気に盛り上がるとともに、最初にこのクイズを企画したBSフジのスタッフの力量が改めて示されると思ったのですが。

そして、この番組が単なる懐かしい曲をご本人が歌う歌番組とは違うと思ったことがあります。大木凡人さんを除く出演者は全て歌手という肩書があったのですが、そんな全てプロの歌手の前でシークレットゲストとして登場し、ご自身の代表曲である「だまってJAGUARについて来い」(何と一部カラオケにも収録されている曲です)を歌ったJAGARさんがこれもしれっと出演して歌ったのは、さすがに他の番組ではできない芸当でしょう。さらにテロップで出演者の年齢を名前とともに紹介するのに、この方だけJAGER(0)となっていたのには笑いました。

このように、あえてこの番組はそこまで全方向に向けて番組を発信するというよりも、いつも番組を見てくれているシニア世代の人が見て面白く思えるように当時のヒット曲を歌う歌手を中心に、さらにクイズコーナーでアクセントを付けるという若者は置いてけぼり上等といった作りになっていて、それがまた新たな視聴者を引きつけているような感じがあります。面白い事というのは時代によって変わってくるところはあるものの、先に紹介した天龍源一郎氏の「イントロ鼻歌クイズ」などは、それこそプロレスラーとしての天龍源一郎氏を知らなくても十分楽しめます。それは天龍源一郎氏自体が地上波のバラエティやコマーシャルでも活躍しているのを見てもわかる通り、プロレスを通りこすような存在感を放ち続けているからでしょう。

今後、レギュラーのクイズでは40代の人から様々な方がクイズに参加されると思いますので、今回は歌に特化した番組ではありましたが、次には別のジャンルの人達を集めての企画という風に回していけば、番組の改編期にお馴染みの企画としてかなり人気が出るのではないでしょうか。私の場合はとにかく昨年11月の長時間生放送のインパクトがすごすぎたのでそれにつられて見てしまったのですが、2時間という時間でも十分楽しめる番組として仕上がっていて、今後にも期待して次のスペシャル版を待ちたいという気分です。

(番組データ)

脳ベルヒットスタジオSP 昭和スターが一挙集結!名曲が蘇るスペシャルステージ!! BSフジ
6/16 (土) 19:00 ~ 20:55 (115分)
MC:岡田圭右【ますだおかだ】
ゲスト:
城みちる(60)
岡崎友紀(64)
晃【フィンガー5】(57)
嶋大輔(54)
麻倉未稀(57)
西口久美子(67)
ささきいさお(76)
森本英世(69)
つのだ☆ひろ(68)
平山みき(68)
瀬川瑛子(70)
松崎しげる(68)
畑中葉子(59)
サプライズゲスト:
北原ミレイ(69)
JAGER(0)
映像出演:
天龍源一郎(68)
大場久美子(58)
口上:大木凡人(72)
アシスタント:川野良子【フジテレビアナウンサー】
企画・編成:谷口大二/柏村信輔
構成:林田晋一/鈴木悟志
AP:村上ゆかり/荻野好美
ディレクター:井上佳央璃/深海真吾
チーフディレクター:松崎光洋
プロデューサー:小沢英治
演出:丸林徳昭
制作協力:ディ・コンプレックス
制作著作:BSフジ

(番組内容)

クイズ!脳ベルSHOW特別編!昭和の名曲が蘇るスターたちによるスペシャルステージをお届けします!題して「脳ベルヒットスタジオスペシャル!」 クイズ!脳ベルSHOWにはこれまでヒット曲を持つ歌手が多数出演!その中から選りすぐりの総勢15名に今なお愛される昭和のヒット曲を歌っていただきます!どんなヒット曲が歌われるか予想しながらお楽しみください!

《永遠のアイドルブロック》から城みちる(60)「イルカにのった少年」 岡崎友紀(64)「おくさまは18才」 晃(フィンガー5)「学園天国」(57) 嶋大輔(54)「男の勲章」《青春の主題歌ブロック》から麻倉未稀(57)「ヒーローHolding Out For A Hero」 西口久美子(67)「太陽がくれた季節」 ささきいさお(76)「宇宙戦艦ヤマト」 森本英世(69)「行け! タイガーマスク」 《こいうたブロック》からつのだ☆ひろ(68)「メリー・ジェーン」 平山みき(68)「真夏の出来事」 瀬川瑛子(70)「命くれない」 松崎しげる(68)「愛のメモリー」 畑中葉子(59)「カナダからの手紙」

さらに、リーゼントが似合うあの歌姫やあの星からやってきたスペシャルゲストも登場! 番組の合間にはクイズ!出張脳ベルSHOW?! 歌手の皆さんに音楽に関するクイズで競っていただきます!クイズを制するのは果たしてどのチームか!?お楽しみに!


CSの有料放送を無料のBS民放で見せる試み

この番組は、過去の歴史上の人物を「被告」とし、時代劇では出てこない事実を検察官役の渡辺いっけいさんがあぶり出す法廷劇です。NHK教育テレビで「昔話法廷」という番組がありました。これは2015年の番組ですが地上波で放送され一部の新聞でも取り上げられたりするなどしたことで覚えているのですが、実はこちらの番組の方が同じコンセプトで2010年から放送され、さらに2011年に放送された田沼意次を被告にした回がギャラクシー賞を受賞するなど、実はNHKがこの番組のコンセプトをそのままに番組を作って評価を得たということがあるのです。個人的に思うのは、その当時「昔話法廷」を紹介する新聞のテレビ欄の紹介の中にこの番組の事を書いて知らせてくれれば、少なからぬ人たちが、早くにこの番組に触れるきっかけになっていたかも知れないということです。

なぜこんな話をするかというと、この「時代劇法廷」という番組はBSフジの制作した番組ではなく、CS放送の有料放送の会社「日本映画衛星放送」が作ったオリジナル番組で、「時代劇専門チャンネル」で放送されたのですが、何とCS放送専門局がギャラクシー賞を獲得したのはこの番組が初めてであったということなのです。時代劇を心から愛する人はこのチャンネルにお金を払って加入して、こうした番組を見る機会もあるでしょうが、浅く広くまんべんなくテレビ番組を見たいと思う人までには届かなったところもあったのではないかと思うのです。

今回の徳川吉宗と大岡忠相を被告とした回は2011年10月にCSで放送されたものですが、5年以上前の放送ながら、前日のNHKBSプレミアムで新シリーズが放送されたリメイク版の「大岡越前」放送の次の日に放送を持ってくるところはBSフジの方で何か意図があったのかと勘ぐりたくもありますが、無料放送でそのまま話題の番組を見せてくれるのは有難いことです。

BS放送のプログラムの中にはかなりの歴史紀行番組がありますが、このような現代の価値感のもとに時代劇のヒーローを法廷に出すことでかなり人間的な魅力を伝えることができ、新たな歴史についての知識を得ることもできるという点でやはり賞を取るだけのことはあると思われます。

今後、このプログラムをBSフジがどう取り扱うのかと思ってネット上を調べていたら、何と昨年の一月末にも同じ徳川吉宗被告の回がBSフジで放送されていたのを発見しました。このシリーズの中では、現在大河ドラマから朝ドラマで出演されて絶大な人気を誇る高橋一生さんを土方歳三役で出している回など、ぜひ見てみたいと思ったのですが、初放送から時間が経過しているものでも、そのままの形で流すのは難しいのかということも考えられます。

ただ、現状のBS民放のプログラムは興味深いオリジナル番組もあるものの、その多くがQVCやShopチャンネルの同時放送や、中国・韓国のドラマ、放送枠をそのまま使った通販番組であることを考えると、通販番組をバラエティ化したり、ドラマで出演していた中国・韓国で活躍する俳優を出すバラエティ番組というような形での発展の仕方はあるものの、せっかく日本のテレビ番組の中にCS放送のオリジナル番組というストックがあるのですから、その資産を有効に活用して欲しいと思うのは私だけではないでしょう。

今回は「時代劇専門チャンネル」と「BSフジ」との間での話ですが、例えばCSのテレ朝チャンネル1で放送されている「ゲキレア珍百景」をBS朝日で通常放送にするとか、様々なやり方はあると思うので、そうした試みも今後されて欲しいなと思うところです。

(番組データ)

時代劇法廷 被告人は徳川吉宗 BSフジ(制作・日本映画衛星放送)
1/13 (土) 15:00 ~ 16:00 (60分)
<出演者>
渡辺いっけい 福士誠治 眞島秀和 森下哲夫 茅島成美 井沢元彦  ほか

(番組内容)

享保の改革・目安箱など、まさに”スーパースター”と呼ぶにふさわしい吉宗は本当に名君だったのか?罪名は「詐欺罪」。「被告人・徳川吉宗は庶民の味方という揺るぎないスターダムを築き上げたが、それは吉宗自身による自己像のでっちあげであり、その実像は苛烈な倹約政策と重税を推し進め、庶民を疲弊させた張本人」というのが時代劇検察官の主張だ。 「大岡越前」でおなじみの大岡忠相が弁護人側証人として出廷し、”時代劇黄金コンビ”で余裕の構えの吉宗だが、やがてそのスター然とした態度の裏に潜む弱気で孤独な本性が垣間見え…。時代劇検察官が歴史の嘘に切り込み、”スターの孤独”を浮き彫りにする!


新旅番組のキーワードは「同郷」

昨年末から出川哲朗さんの「充電させてもらえませんか?」(テレビ東京)が人気になったこともあり、新たな旅番組のパターンを求めて様々な番組が誕生しています。今回新番組ということと、まさにこの文章を書いている私の出身地である静岡県を最初の舞台としてスタートした「同郷どらいぶ」について、どんな形に仕上がっているのか気になったので拝見しました。

最初から「富士山は静岡のものだ!」という事と、静岡県側から見た富士山が「表富士」だと、出演した筧利夫さんと中山雅史さんが一致し(^^;)、山梨県人の方が見たらこの部分だけで番組を見るのを止めてしまうかも知れませんね。お二人はこれが初対面だとは思えないほど打ちとけていましたが、番組を見ている人が静岡県の人がお二人のようなテンション高過ぎの人間ばかりではないということはわかって欲しいと思いながら見ていました。

お二人は三保の松原で富士山からパワーを受けた後、中山さんの実家のある静岡県藤枝市(中山さんが何度も番組内でおっしゃっていましたが、実家があるのは平成の大合併で藤枝市の一部となった「岡部町」です)に訪れ、母校の藤枝東高を訪れてグラウンドでサッカーを楽しみます。芝のグラウンドのある練習場は立派ですが、中山さんがいた当時は土のグラウンドだったとのこと。

番組からの「ルール」としてスマホの自撮りをピンポイントで取るということと、自分の故郷で「おもてなし」をするということが基本なのだそうです。最初に故郷にやってきた中山さんが筧さんをおもてなすためにしたことは、サッカーワールドカップの時には中山さんのことを「小僧!」と呼び、中山さんからも「儀助!」と呼ばれていた父親の中山儀助さんのいる実家に招待することでした。

静岡の方言丸出しの儀助さんは、たまたま同時のゴールデンタイムに見た静岡の有名人「たけのこ王」と同じ静岡方言の面白さがあり、同郷の旅の魅力の片鱗は感じられたかなという感じもします。

翌日に浜松に移動して筧さんの地元のお宮で小学生当時からの友人とともに三角ベースを遊んでいるところをじっくり映したりしているのを確認し、これはもはや観光のための番組ではないと思ったら、コンクリの「マンモス滑り台」が出てきて、ここは県外の方でも一度は来て滑ってみたいと思えるものでした。適当に回っているところでも外から見て魅力的な場所を見付けることができれば、他にない旅番組になるかも知れないなと思った瞬間でした。

筧さんの「おもてなし」は「いそやき」という浜松のお祭りの屋台で出たソウルフードでした。一本100円のいそやきはお好み焼きのようなものですが、イカのすり身に海のものを入れ、ハマグリの型に入れて焼きソースをかけていただくものでした。おもてなしにしてはかなりしょぼいものだと思う方も多いと思いますが、小さい頃においしいと食べていたものというのは案外そういうものが多く、かえって事業化された「B級グルメ」として昔と違う洗練された物になってしまうのも地元民からするとちょっと違うと思えますし、次回以降にもこのセンスで地元のソウルフードを紹介していってくれる方が、他の番組との差別化ができるのではないかと思えます。

最後に訪れたのは、2002年のサッカーワールドカップ日本チームの合宿地として使われた宿泊施設「北の丸」でしたが、ようやく普通の旅番組になってきたかなと思ったら終了という感じでした。

果たしてこの番組を見た方々が静岡県を訪ねてみたいと思うだろうかという疑問がわくというのが正直なところなのですが、全国に知られた観光地は三保の松原しか行っていませんし、最後に出てきた「北の丸」で食事をするというのもなかなか難しいことを考えると、番組でキャスティングする人選によっても変わってきますし、決して有名でないところであっても、番組を見た人が行きたくなるような場所とソウルフードを紹介してくれるなど、普通の旅番組では決して出てこないものが生まれるような番組として化けて欲しいと思います。

(追記)

番組に登場した「マンモス滑り台」について補足します。改めて観光地ではありませんので、地元の方に配慮した楽しみ方がされるといいと思います。このすべり台のある公園というのは、静岡県浜松市中区中沢町54-8の「住吉公園」にある滑り台かと思われます。ちなみに、ネット口コミによる情報によると駐車場なしということなので、周辺への駐車にもご注意下さい。

(番組データ)

<金曜+1>『同郷どらいぶ』筧利夫・中山雅史 静岡編 BSフジ
1/5 (金) 23:00 ~ 23:55 (55分)
<出演者>筧利夫、中山雅史

(番組内容)

同郷の芸能人が、一緒にふるさとへ帰郷。同郷を通じて、お互いが新たな一面を引き出しあう予測不能でハートフルな“帰郷旅バラエティー”が誕生する! 番組には、3つのルールがある。 レンタカーに乗って、ドライブで帰郷。 帰省した際に必ず立ち寄る店や、地元で一番の絶景、再会したい人などを紹介。 同郷人だからこそ、お互いを最高のもてなしで親睦を深める。 普段では見られない異色の組み合わせが、化学反応を引き起こすとき、地方の新たな魅力が見えてくるハズ~ 記念すべき第1回の舞台は、静岡県。浜松市出身の俳優・筧利夫と藤枝市出身のサッカー・中山雅史が、それぞれの故郷を案内してまわる。


「番宣が必要なドラマ」と「番宣とは関係無いドラマ」との違い

最近の日本映画を見ていても同じようなことを思うのですが、製作会社やスポンサーの利益を大きく上げるために多くの人に見に来てもらったり、番組の視聴率を上げたりするためにはいわゆる人気俳優や人気タレントの力を借りることがごく普通に行なわれています。そもそも、コマーシャルに芸能人を使うということ自体が企業活動の一環であるわけで、民放テレビ局の収益の柱が広告収入に依存している以上、いかに多くの人に番組を見てもらって、スポンサーの売上を伸ばすかというのがテレビでも映画でも安定して続けるための要件になるでしょう。ただ、その動きがあまり度を越してしまうと興ざめするようなところがあるのが正直なところです。

クリスマス・イブの夜9時から、TBSのドラマ「陸王」を家族がどうしても見ると譲らないので(^^;)、今回紹介するドラマ「レモン・ハート」はリアルタイムで見ることはできませんでした。地上波のゴールデンタイムに放送され、TBSが局を挙げて多くの視聴者に見てもらうためのプロモーションをしているドラマ「陸王」と比べると、BSフジという衛星放送でしか見られない「レモン・ハート」の方がかなり劣勢になります(^^;)。

何と言っても「陸王」の方は主演の役所広司さんを始め、今年の話題を独占した若手男優の竹内涼真さん、さらに山崎賢人さん、若手女優として映画「君の名は」で主演声優を務めた上白石萌音さんを起用し、さらに檀ふみさんと一緒に阿川佐和子さんをキャストとして引っぱリ出すなど、本筋に関係ない話題にも事欠きません。

それに対し、「レモン・ハート」の方はゲストで女性は出てくるものの、レギュラーメンバーは「マスター(中村梅雀さん)」「松っちゃん(松尾諭さん)」「メガネさん(川原和久さん」というレギュラーメンバーで色気も何もありません。松尾諭さんは映画「シン・ゴジラ」での演技が印象的でしたが、そうでない情けなさと優しさを持つ松っちゃんを好演しています。川原さんはテレビ朝日系「相棒」の警視庁捜査一課の刑事、伊丹さんが夜にはコートをはおりサングラスを掛けてバー「レモン・ハート」に出入りしているのではないかと漫画を読みながら思ってしまうほどぴったり「メガネさん」の役にはまっている感じがします。マスターの中村梅雀さんについては漫画の姿とは松っちゃんと同様に違いますが、多趣味でウンチクを言うのが好きそうなので、バーのマスター役はけっこうはまっていると思います。

「レモン・ハート」のキャスティングについては、少なくとも「陸王」など地上波の視聴率(この計算で大体どのくらいの人がリアルタイムでテレビを見ているかの判断になります)が要求されるドラマのように、スポンサーの取り扱う商品の売上が上がるなんてことも緻密に計算して人気の俳優をキャスティングするのではなく、あくまで漫画の「レモン・ハート」の雰囲気を実写で出すために考えられたキャスティングであります。制作側とスポンサーの方々の考え方についても、地上波のように全ての世代に見てもらえるとは思っていないと思うので、私のように漫画をずっと読んでいるような世代の人に確実に見てもらうためには、人気の俳優を起用するのではなく、あくまで原作の雰囲気を壊さずに楽しんでもらえるような感じで考えていたのではないかと思います。

もちろん、「陸王」の方は地上波でお金もかかっているドラマなので人気の若手俳優でも実力のない人は出していませんし、脇を固める俳優陣もきっちりと揃えてきており、ドラマとしての好みは別として、単に俳優の人気取りとして使っているものではなくドラマとしても十分見ごたえがあるものであります。ただ、それだけお金を掛けていることもあるので、出演させた俳優さんには積極的に同局のバラエティ番組に出演することでドラマの番宣をし、より多くの視聴者を引き付けて視聴率を上げる努力をしなければなりません。

「レモン・ハート」の方は、今のところあえて番宣をする必要がないと思われますが、その代わり番組の途中では気に入って見ている人に向けてこれまでの作品が詰まったDVDBOXの宣伝をしっかりしていました(^^;)。それでも、一定のファン層を確保できれば、細々と続けられるだけの支持をこのドラマは持っていると思います。個人的にはこのドラマが深夜の地上波ドラマでなく、BSのオリジナルドラマとしてこじんまりと始まったことに感謝しなければならないかも知れません。そのために、出演者もいちいち番宣に出ることなく、もちろん当代の人気若手俳優を無理して出すこともなく、オリジナルメンバーを変えずに続けられることにもなるのでしょう。今の時代、なかなかそんなドラマはないのでとりあえず今回新作が一本作られたことに感謝しながら改めてじっくりと見させていただきました。

今回のクリスマススペシャルは待望の新作として今日のクリスマスイブに寄せた一本と、過去の名作を3本という構成の2時間番組になっています。もちろん、ドラマとドラマの間にはDVDBOXの紹介だけでなく、都内のバーの一品やカクテルを紹介するお酒を愛する人のためのコーナーもありました。

ちなみに、今回のクリスマス用の新作のゲストは斉藤暁さんで、相変わらず色気もへったくれもありません(^^;)。しかし、かわいい女の人の格好をした妖精でなく、丸顔で笑顔が愛らしいおじさんが運んでくれる福というのもあるのかも知れないなと思いつつほっこりした気分になれました。また、番組の最後を飾ったのは過去の名作の中でも温水洋一さんが幽霊の役になった回で、温水さんの顔芸の凄さを感じて怖くも楽しかったのですが、ラストの挨拶もなくフェイドアウトするように番組が終わってしまったというのは、このドラマらしいといえるのかも知れませんね。

ともかく、今回スペシャルがオリジナルキャストで新作を入れて放送されたということで、次のシーズンの放送があるかも知れないという期待は持てることになりました。コミックスの内容はそれこそ毎週放送しても追い付かないくらいの量がありますので、決してバラエティの番宣には出ることがないであろうキャストの都合が許す限り、次のシーズンも新作が作られることを期待しています。

(番組データ)

BARレモン・ハートクリスマスSP「クリスマスの神様」BSフジ
12/24 (日) 21:00 ~ 22:55 (115分)
【出演】中村梅雀 川原和久 松尾諭 斉藤暁ほか

(番組内容)

BSフジ開局15周年記念番組としてスタートした、ドラマ版「BARレモン・ハート」。30年以上連載が続くハートウォーミングな原作の中から、厳選したストーリーをチョイス・放送し、視聴者から好評の声を集めてきた。 今回のスペシャルは、新作ドラマ(「クリスマスの神様」)に加え、「クリスマス」をテーマにぽっと心温まる旧作(「めおと鶴亀」「悪魔という名のビール」「停電の夜に」)を3本、さらに誰もが行きたくなるBAR情報を松ちゃんが紹介する。 クリスマスの夜は、ぜひBARレモン・ハートにご来店下さい。

『クリスマスの神様』

クリスマスイブ。店内装飾が少しだけクリスマス気分のBARレモン・ハート。 いいことがないーと、ぼやく松ちゃん。BARレモン・ハートの表では、一見浮浪者風の男が寝ころんでいた。心配したマスターはその男を店内に招き入れる。みれば、男の額には立派な福ボクロ、厚みのある耳、丸みを帯びた顔…完璧な福顔。みすぼらしい姿と顔があってない。何者だろうか。名前を聞くと好きなように呼んでいいという。松ちゃんはその男を福ボクロさんと呼ぶことに。 ポケットから出した盃に松ちゃんとメガネさんのお酒をおすそ分けされ、美味しそうに飲む福ボクロさん。立派なホクロを持つのに、どうして福に見放されたのだろうか?と不思議がる松ちゃん。ところが、福ボクロさんはマイ盃があるだけで最高に幸せだという。その盃に秘密があるのだろうか?マスターはある酒をプレゼントする代わりに盃の秘密を聞こうと…。 今夜もレモン・ハートの常連との楽しい一夜が始まる。 人にとっての「幸せ」とは? そしていったいこの男は何者なのか!?


2回目になって「聴きやすく」なった「聴くメンタリー」

前回の放送の後で、第一回目の放送が地上波深夜で放送されたり、BSフジでも再放送がありながら、「珍盤アワー 関根勤の聴くメンタリー」もついに2回目の放送となりました。2回目ということもあり、ある程度は手探り状態を脱してより多くのレコードを聞くことができましたし、前回はあまり感じなかったのですが、改めて落ち着いて見てみたら、一つ感心した演出方法がありました。

テレビとは見るもので、聴くものではないのですがラジオだとずっと聴いていないと大事な音源を流す場合に聴きどころを外してしまう場合があります。これは情報が音だけでしか入って来ないのですから仕方のない部分ではあるのですが、今回特に思ったのが、レコードを掛け、その音源が聴こえている時間には共通の「よく聞いてください」というマークが画面に出ることによって、このマークが出ている時には画面を注視するよりも耳をそばだててテレビから出てくる音に集中しようというテレビを見ている人達への共通認識を促す効果を出しています。今回のネタの中では、赤ちゃんの鳴き声の聞き分け方のレコードというのが個人的には秀逸でした。

今回は特に出てきたネタが多かったこともあって、こうした共通マークの出現によってかなり自分自身の視聴にメリハリを付けられたのではないかと思います。そして、番組中盤に行なわれた「未来の聴くメンタリー」とでも言うべき音を、出演者の井川さんが録ってきてそれが何の音なのか当てるというコーナーが有り、現在において失なわれつつある音があるという事を感じるとともに(フルサービスのガソリンスタンドや幼稚園の子供の遊ぶ声など)、もしこの番組が毎週でなくてもいいのでレギュラー放送がなったとしたら、ぜひ視聴者からの「音の投稿コーナー」を作っていただいて、その中から未来に残していきたい音を紹介できるくらいの事ができれば面白いなとも思います。

この番組で紹介している「聴くメンタリー」の要素の詰まったレコードというのは、いわゆる生録ブームで街にカセットデンスケとマイクを持って生活音や環境音、SLの走行音などを録りに行く「生録マニア」の存在が支えていたのではないかと思います。当時はアナログのカセットテープに録音するので大変だったと思いますが、そのようにしてマイクと録音機を持って外に出た人が日本中に出現したことによって、多くの珍しい音源が後世に伝わるというところもあったでしょう。恐らく素人の録った音というものは、そのほとんどは既にきちんとしたものが録られていたり、あまりに普通のものだったりして後世に残せるというところまで行なかいことが多いとは思いますが、多くの音を聞き込んだ専門家に判定してもらうことによって、道端にダイヤモンドが落ちているくらいのとんでもないお宝が混ざっているかも知れません。

さらに動画と違って、録音機の進化というのは現在でもある程度落ち着きを見せているということも、野外録音をしてみようという人にとってはいい環境であると言えるでしょう。というのも、私の手元にあるTASCAMのDR-05というICレコーダーは2011年に購入して今年で6年目というものですが、メーカーの製品ページを見るとまだ現行製品で、本体のファームアップ用のプログラムが2017年11月にも最新のものが出たりしているのです。

ですから、ステレオでの録音ができないスマホでは難しいですが、評価の安定した1万円前後のレコーダーとバイノーラル録音のできるマイクとイヤホンが一緒になったローランドのCS-10EMあたりをを合わせて使えば、だいたい2万円くらいの予算でも十分に使える機材が手に入ります。これらの機材を組み合わせると生録に興味がない人から見れば、単にミュージックプレイヤーを歩きながら聞いているようにしか見えないのが、常に自分の両耳のところにセットしたステレオマイクから入って来た音をイヤホンでモニターしながら録音することができます。しかもまさか録音しているように見られることはないはずなので、特別な機材も必要とせず、どんな所へ行ってもそこでの生活音や自然音を録ることが怪しまれずにできるということになるのです。

このように気軽に音を録ることができるようになれば、自分で自分の興味あるものの音のライブラリーが作れます。私自身も今回の放送を見させていただいて、暮れからお正月に掛けて、録音機とバイノーラルマイクをセットにして初詣にでも行ってみようかなと思いました。それだけでなく、旅行へ行った時にはスマホで撮った写真とセットになるように、音の記録を取るというのも面白そうです。興味がある方はネット上には様々なエキスパートの方々が残した情報がつまっていますので、ぜひご自身で調べてみて下さい。

(番組データ)

珍盤アワー 関根勤の聴くメンタリー BSフジ
12/15 (金) 23:00 ~ 23:55 (55分)
出演者:関根勤 清水ミチコ 井川修司(イガイガワ)
ナレーター:よしいけいこ
編成:大森慎司
企画構成:若木康輔
演出:粂田剛
プロデューサー:河野孝則

(番組内容)

「レコードといえば音楽」と思っていませんか?しかし、ビデオがまだなかった時代、音楽以外の音、効果音や肉声、ドキュメンタリーなどが録音されたレコードが存在しました。 「聴くメンタリー」とは、耳で聴くドキュメンタリー。これはテレビ史上初、音楽じゃないレコードを「聴く」番組です。 出演者にモノマネ芸人として「音」を繰り出すプロである関根勤と清水ミチコを迎え、ひたすらマニアックな迷盤・珍盤を数々のモノマネを交えいじり倒す贅沢な1時間です。 第2回目のラインナップは、赤ちゃんの泣き声やイタコの口寄せ、音の出る雑誌、砂漠を歩く音の現地録音など、1回目に輪をかけてマニアックなレコードが登場します。 また、1980年代に大旋風を巻き起こした女子プロレスタッグ「クラッシュギャルズ」の試合実況やインタビューを収めたレコードを、現在の長与千種に聞かせに行く感動のVTRも必見です! さらにベトナム戦争をテーマにした珠玉のドキュメンタリー盤では普段見ることのできない社会派の関根さんも見所です。


音声だけでも十分に面白い素材を発掘できるか? 「聴くメンタリー」

地上波とは違うBS波での新たな挑戦として、BSフジが出す新たな企画には単なる旅番組やドラマの再放送にはない面白さがあるので、興味深く見守っていきたいと思っています。今回は新番組としてシリーズ化を狙っているのかも知れない「珍盤アワー」という、何やらテレビ朝日の「タモリ倶楽部」のコーナー、「空耳アワー」のような感じの名前の番組が始まりましたので見てみました。

のっけから出演者のタレント頼みのような感じではありますが、MCをイワイガワの井川さんがやってレコードの説明などを行ない、関根勤さんと清水ミチコさんがそれに対しておしゃべりをするというかなりぬるい番組で、スタジオ内にいる全員の事を良く知っている人であれば、テレビでなくラジオの番組としてあってもおかしくはありません。

ただ、テレビでこういった企画をやるというのは、実際のレコードジャケットや中の解説がどんなもので、画像のない音だけという中でレコードを聴く人ができるだけ具体的にイメージが湧くようなものを作っていたのかを見せるには大事な事ではなかったかと思います。番組内でF1の日本グランプリが富士スピードウェイで行なわれていた時の実況録音盤を紹介していましたが、コースの一覧及び、どこにどういった機材をセットして録ったのか、さらに機材の名前までクレジットしているということは、やはり現物を見てこそ実感できるものですし、実際に持っていたという人にとっては懐かしさいっぱいのものですので、しっかり紹介することは必要でしょう。この辺は、最近のBSフジの傾向である、簡単に若者におもねったりせず、中高年で昔を懐かしむような人向けのコンセプトをキープしていることがわかります。

ただ、番組はそれだけではなく、この番組で紹介する「音によるドキュメンタリー」を「聴くメンタリー」と称し、まだ家庭用の動画撮影機材としては8ミリフィルムしかなく、カセットデンスケを担いで集音マイクをセットしてあらゆる生活音を「生録」して悦に入っていた生録マニアがいた時代、何とかして音で時代の雰囲気を残そうと努力しようとした人々の悪戦苦闘した結果としての作品をピックアップするというようなコンセプトがあるようです。

しかし、ネットではスマホで動画を撮ってアップして共有するのが当り前の時代にあって、音楽でもない音だけを楽しむのは時代遅れではないか? と思われる人もいるかも知れませんが、実は案外そうでないところもあるのです。

最近はある意味では動画はあえて撮影せず、スマホやICレコーダーを隠し持つことで決定的な瞬間を狙う「隠し録り」をする人も出てきています。例えばそれは、正々堂々とカメラを向けたらその人は自分の正体を隠してしまい、決定的な証拠となる暴言を吐いてはくれないということがあるからだと言えるでしょう。2017年に多くの人に強い印象を残したテレビワイドショーの題材の一つは、画面ではICレコーダーを映しただけの豊田真由子・前衆議院議員の肉声でした。私たちは実のところ、動く豊田前議員の姿は見ていたものの「このハゲー!」や「違うだろ違うだろ」や、ミュージカル調でネチネチと秘書を追い詰める姿については一切見ていないのに、あの音声だけで想像の翼を働かしてご本人が再起不能になるくらいの強い印象を受けてしまったわけで、現在の世の中であっても今後この番組で紹介されるような変な音のレコードのような企画が受ける可能性を持っていると思います。

ただし、この番組が化けるかどうかというのはまた別の問題で、やはり一番大事なのはテレビ受けする素材をどこまでテレビで紹介できるのかということと、この番組の主題はあくまでレコードの音源であるので、むだなおしゃべりを中心にしないで、素材の面白さをじっくりと聴かせていただけるかが鍵になるような気がします。

この時間には地上波のフジテレビでは人気番組の「全力!脱力タイムズ」とかぶってしまうので同時視聴はきびしいとは思いますが、こちらは一時間番組なので、裏番組録画をして追っかけ再生をするようにすれば、ほぼリアルタイムで2番組を続けて見られます。ただ、面白そうな音源を少ししか掛けず、つまらないおしゃべりが主になってしまうようなら、個人的には早めの離脱も仕方ないかなと思っていますので、今後に期待というところでしょうか。

(番組データ)

[新]珍盤アワー 関根勤の聴くメンタリー BSフジ
12/1 (金) 23:00 ~ 23:55
出演者:関根勤 清水ミチコ 井川修司(イワイガワ)
ナレーター:よしいけいこ
編成:大森慎司
企画構成:若木康輔
演出:粂田剛
プロデューサー:河野孝則

(番組内容)

「レコードといえば音楽」と思っていませんか? しかし、ビデオがまだなかった時代、音楽以外の音、効果音や肉声、ドキュメンタリーなどが録音されたレコードが存在しました。「聴くメンタリー」とは、耳で聴くドキュメンタリー。これはテレビ史上初、音楽じゃないレコードを「聴く」番組です。出演者にモノマネ芸人として「音」を繰り出すプロである関根勤と清水ミチコを迎え、ひたすらマニアックな迷盤・珍盤を数々のモノマネを交えいじり倒す贅沢な1時間です。

第1回目は、ドドンと豪華に6枚のレコードを紹介します。日本初のF1グランプリの爆音が収められたレコードはなぜ・どのように作られたのか?当時の録音技師を尋ね直撃取材するなどVTRも充実。日本の名鐘を集めた重厚なレコード「梵鐘」に収められる、今では聴くことのできない名寺の鐘を聞き比べは必聴! さらに7連覇達成当時の読売巨人軍の王や長嶋のプライベートのひとコマを録音したレコードから、蓄音機を発明したエジソンの肉声の演説や、「ヒトのいびき」を集めた変り種のレコードまで、懐かしさと真新しさが同時におしよせるレコードの数々を大放出します。


若年層を切り捨てるとこれだけ面白い!? 11時間生放送の脳トレ生合戦

BSフジの平日夜に連日放送されている「クイズ!脳ベルSHOW」から派生して、11月11日に11時間通しての生放送をしてしまおうという相当思い切った企画に、つい最初から見続けてしまいました。基本的には出演者も演出の手法も昭和の香りが満載ということで、完全に若者の視聴者を置き去りにしているような感じなのですが、特番になったことで更にびっくりするようなゲストがやってきたりして、これはかなり番組として化けたのではないかと思われます。

通常の番組ではどちらかというと脳トレという本来の目的や解答者の珍回答にスポットが当たったりすると思いますが、今回はとにかく豪華な昭和時代に活躍したゲストの面白さが抜群でした。優勝賞品や視聴者プレゼントのしょぼさは民放BSらしさを感じますが、それが番組自体の面白さのスパイスにもつながっているようにも思えました。

何しろ11時間も続く番組だったのでみどころも多すぎでここではとても書き切れないのですが、ゲスト関連で言うとアダモステの格好でスタジオに乱入した島崎俊郎さんが昭和のノリそのままでなかなかスタジオからはけようとしなかったぐだぐだな状況をそのまま垂れ流したというのも冒険のできるBSの番組ならではのことでしょう。また、クイズとクイズの間の箸休めに登場したケーシー高峰さんの生エロ漫談は見ていてハラハラした方もいたのではないでしょうか。

レギュラー番組のコーナー「クイズ脳ベルダービー」の回答者は江藤博利さん、小金沢昇司さんに何とJAGUARさん(千葉のローカルタレントで最近では日本テレビ「月曜から夜ふかし」にも出演)がそろって、あの「からくりTV」の「ご長寿早押しクイズ」を髣髴とさせるようなクイズバトルを編集なしの生放送で行なったのですが、編集が無くてもそれなりにボケ回答連発で、見ていて大笑いするものに仕上がったのは単なる怪我の功名だったのか計算されていたのかわかりませんが、このコーナーは都合3回行なわれ、生放送の緊張感が消えるにしたがって面白くなっていったように思います。

そして、ゲスト出演の企画で最高だったのが特設リングに机とヘルメット、ピコピコハンマーを置いてプロレスラーの武藤敬司さんと長州力さんにプロレスではなく「叩いてかぶってじゃんけんぽん」を真面目にやらせたものでした。勝負自体は長州力さんのじゃんけんが弱かったためあっという間に武藤敬司さんが勝利してしまったのですが、そこに至る経緯のうち、長州力さんの発つ言葉と存在感が最高だったので大いに笑えるものになっていたのです。最初の武藤敬司さんとの試合があまりに面白かったため、本当は数時間後に行なわれたメインイベントとして番組スタッフが考えていただろうと思われる、「長州力対藤波辰爾」の戦いは対武藤戦とは違う対決方法にする予定だったのが、現場判断で同じ「叩いてかぶってじゃんけんぽん」の試合になってしまったのにも笑いました。

藤浪さんとの勝負も最初は長州さんがじゃんけんで負けてそのまま一本取られて(二本先取で勝ち)、このまま終ってしまうかに思えましたが、途中から獣神サンダー・ライガーさんのじゃんけんアドバイスの耳うちのおかげでまさかの藤浪さんに逆転勝ちし、そのまま終わるかと思ったらそうではなく、一人で熱くなっている長州力さんが武藤敬司さんにリベンジマッチを申し込み、これも獣神サンダー・ライガーさんのじゃんけんアドバイスによってじゃんけんに勝った勢いで見事リベンジを果たしたのでした(^^)。

もしかしたら武藤敬司さんが手加減されたのかも知れませんが、このまま負け犬となって終わる長州力さんの姿は見たくなかったので、この結果は良かったと心から思いましたし、生放送の中で丸く収まるという奇跡的なパターンになったのは心底ほっとしました。流血などは当然ありませんでしたが、古き良き昭和のプロレスの抗争をやんわりとユーモアを付け足して表現したということでも、11時間の番組の中でも一番のハイライトであったと思います。あんな面白さはとても地上波のバラエティでは出せないとも思えましたし、あの一連の流れを生で見られただけでもこの番組を見た意味があったのではないかとすら思っています。

元々、この番組は中高年の脳トレ用のクイズの拡大版ということで、対象とする視聴者は少なくとも回答者として出ているタレントに合わせるような感じとして40代以上を想定しているようで、さらに出演者の中には高齢の方もいるので、普通に振る舞っているだけでも突っ込みどころ満載な状況というのがそこかしこにあり、それがまた作られたものではないおかしさを誘ったりしていました。

全体的には出演者にやさしく、さらに出演者がなかなか正解を出さないので、ゆっくり正解まで考えることがでるようになっています。そこにあるのは、昭和の時代を生きてきた中高年を主な対象にして全ての世代におもねらない番組制作の姿勢であったのではないかと思います。

実際のところ、この番組が対象としていない年代にはどう映ったのかはわかりませんが、地上波と同じことをやるよりも11時間という長丁場でもそれほど変わったことはせずに、さらに司会の岡田圭右さんの適度な出演者いじりが面白さを倍増させ、実際は年代を問わず多くの人が笑える番組になっていたのではないでしょうか。

本家フジテレビは視聴率が低迷したり、とんねるずの番組の件で社長が謝罪にまで追い込まれたり、あまりいい話は聞きませんが、お金をかけなくてもこれだけの面白い番組が作れるわけですから、今後のBSの番組についても考えていただきたいところです。深夜に安易に通販番組を突っ込むのではなくてもっともっと実験的な番組を地上波でなくBSで試してみるというような事を真面目に行っていくことによって、その才能が今度はBSだけの面白さではなく、地上波でも通じる面白さを持った番組を作ることのできるように成長していくのではないでしょうか。単に、BSで受けたからその企画を地上波に持って行くのではなく、まずはBSで見るから面白いという番組を多く作っていって欲しいと正直なところ感じます。

(番組データ)

BSフジ11時間テレビ 全国対抗!脳トレ生合戦!! BSフジ
11/11 (土) 11:00 ~ 22:00
MC:岡田圭右(ますだおかだ)
アシスタント:川野良子(フジテレビアナウンサー)福井謙二アナウンサー
ゲスト:あいざき進也/相本久美子/赤座美代子/麻丘めぐみ/石橋正次/氏神一番/海原はるか・かなた/江藤博利/大川栄策/大木凡人/大沢逸美/おぼん・こぼん/風見しんご/葛城ユキ/カルーセル麻紀/川上麻衣子/神奈月/北原ミレイ/ケーシー高峰/小金沢昇司/小桜京子/コント山口君と竹田君/桜木健一/シェリ ー/島崎俊郎/嶋大輔/JAGUAR/獣神サンダー・ライガー/鈴木正幸/瀬戸内美八/多岐川裕美/谷隼人/仲八郎/ナポレオンズ/板東英二/ピーター/ビートきよし/細川ふみえ/堀ちえみ/堀江淳/松崎しげる/マッハ文朱/松村雄基/マリアン/真理アンヌ/村野武範/森口博子/山本晋也/ゆーとぴあ/芳本美代子/若林豪/若原瞳(50音順)             スペシャル(秘)ゲストがぞくぞく登場!

(番組内容)

とうとうやってまいりました! 11月11日11時間の生放送!! 『BSフジ11時間テレビ 全国対抗!脳トレ生合戦!!』 月曜~金曜の22時から放送中の「クイズ!脳ベルSHOW」をベースに演芸、歌謡コーナーなどなど、おなじみの脳活化クイズだけでなく笑いや歌でも脳を活性化しちゃう11時間となっております! 出演者は47都道府県・6ブロックを代表する有名人の皆様! トーナメント方式で優勝を競います!