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単発人気クイズをレギュラー化することによって変わるもの

番組放送前に、この「99人の壁」という視聴者参加型のクイズ番組が2018年10月からゴールデンタイムでのレギュラー化が決定したという報道がありました。前回紹介したように、テレビマンとしての実績のないところから出てきた企画であり、司会となった俳優の佐藤二朗氏もこの展開にはびっくりしているのではないでしょうか。ただ今回の放送は、そうしたレギュラー化を睨んだ内容の手直しが随所に見られるものとなりました。

まずは、2回ほど番組で用意したマニアックなクイズについて、回答者の側からクレームが入るというケースが2件紹介されました。テレビ的には進行について、クイズ作者の作った問題こそが絶対で、それと違う回答をした場合は即座に失格という方向に行くべきなのですが、答えた内容が問題作成者の出した答え以上に詳しかったので不正解になったケースや、問題自体がクイズの問題としては不適切のいうケースが収録中に判明したのです。

このケースはそのまま放送され、番組側は「審議」の上、回答者が納得するような形での対応をして再開しましたが、100万円というお金を掛けてのチャレンジであるということもあり、あらゆる可能性を想定してクイズ問題を作り、少なくともクイズ問題自体の不備を現場で指摘される中で特定のチャレンジャーに対して明らかにえこひいきをしたり、逆に自らの間違いを棚に上げて正当な抗議を却下するような失態があると、レギュラー化した場合にはさらにネットで叩かれるような事も起こるでしょう。週一のレギュラー化を実現することになると、常に100名のマニアに100万円を獲らせないための高度な問題作りのクオリティが必要になります。その点をクリアにできたからこそのレギュラー化の発表なのでしょうが、今回の番組についてはその番組内容を垣間見せるようなクイズも放送されました。

番組前半はガチな一般視聴者に、番組データにあるToshlさんと能町みね子さんだけが入ってクイズを行なっていましたが、後半に出てきた多くの芸能人は私が入手したテレビ番組表の内容でもクレジットされていません。それぞれの人物に思い入れがある100人を集めたということなのですが、実際には勝俣州和さん(萩本欽一)、やくみつるさん(千代の富士)のように、テレビのクイズ番組で見ることの多い人が普通に出てきていて、さらにいわゆる物マネ芸人の方々が多数まじっていましたが、さすがにその方々は芸能人とは言ってもご本人ではないので実際にクイズに関係しなければ司会の佐藤二朗さんが話題にすることもなく、知らないで見ていた人は、「なぜ明石家さんまさんと大竹しのぶさんの娘であるIMALUさんが空気のように番組で触れられないのか?」と思っていた人もいるかも知れませんが、残念ながらその方はご本人ではなくIMALUさんの物マネをされるタレントの方だったのでした。

レギュラー化することになると、番組の認知度にもよりますが、当初は参加希望者が集まらない可能性もあります。そのために考えられた一策とも思えます。しかし、基本的にはギャラが発生しているかも知れない芸能人が100万円を獲っても、参加したいと思っている一般視聴者は萎えるだけなので、今後解答者として普通に予選を勝ち抜いた一般応募者の中にタレントを入れ込むのか、そんなところにも注目をしたいと思います。

個人的には毎週、出場者に賞金のチャンスが有るクイズ番組というのは、存在するだけ貴重なものだと思っているので視聴率が良くなって参加者が増えるようになって欲しいですが、マニアックなジャンルをどこまで許すのかというのもちょっと気になります。

というのも、今回の放送の中で「路線図」に特化したクイズに挑戦された方が見事100万円を獲得されたのですが、さすがに残りの99人の中に海外の路線図について少しなりとも知っている人がいなければ、今後は「いかに人がわかりそうもないマニアックなジャンルを設定するか」というキワモノクイズに終わってしまう可能性もあります。この点は十分に制作側でも考えるとは思いますが、視聴者が付いて行けないようなジャンルの場合、見ている人のためになるウンチクが紹介できるとか、あくまでテレビ的に面白いような形にしないと、見ている方でもわけがわからなくなります。

そうしたマニアックな点とのバランスをいかに取るかというのが、この番組が多くの人に支持されるかどうかにもかかってくると思います。今回はテレビ朝日の家族みんなで楽しめる「ミラクル5」の裏にぶつけてきましたが、できれば貴重なクイズ番組同士、お互いをつぶさないような編成で放送して欲しいということも合わせてお願いしたいですね。

(番組データ)

超逆境クイズバトル!! 99人の壁 夏の大花火【全員が敵!勝てば100万円】フジテレビ
2018/08/15 19:00 ~ 2018/08/15 21:00 (120分)
【MC】 佐藤二朗
【解説】 長嶋一茂  YOU  立本信吾(フジテレビアナウンサー)
【“無差別級”芸能人出場者】 Toshl(X JAPAN)  能町みね子  (※五十音順)
【チーフプロデューサー】 濱野貴敏
【プロデューサー】 木月洋介
【演出】 千葉悠矢
【制作】 フジテレビ第二制作室

(番組内容)

昨年の大みそか、今年の4月に特別番組として放送され、一部のテレビマニアやクイズフリークたちの話題をさらった早押しクイズ番組『99人の壁』。2018年夏、満を持して3回目のスペシャル放送が決定!MCは前回・前々回に引き続き俳優の佐藤二朗が務める。 早押しクイズ番組『99人の壁』は、100人の一般公募の参加者の中から選ばれた1名のチャレンジャーが、ブロッカーとなった残り99人の参加者を相手に早押しクイズで対決するというもの。チャレンジャーが5問連続で正解すれば賞金100万円をゲットできるが、1問目は25人のブロッカー、2問目は50人と増えていき、最終的には99人がブロッカーとなった“99人の壁”を乗り越えなければならない。 当然人数で圧倒的に不利なチャレンジャーに与えられた唯一のアドバンテージは、自分の「得意ジャンル」を指定してクイズに挑戦できること。“刀”“イントロ”“カーリング”などジャンルは何でもOK!自分のためだけに作られたクイズで100万円獲得を狙うことができるのだ。 2時間放送の今回は2部構成でお届け。参加者100人の個性あふれるジャンルで対決する〈無差別級〉に加え、平成最後の年にちなんで“安室奈美恵”や“イチロー”など“平成時代に活躍した日本人”に詳しい100人を集めた早押しクイズバトル〈平成の日本人編〉も開催する。

フジテレビの新しい番組制作の試みに拍手

この番組はたまたま新聞のコラムで成り立ちを知ったことをきっかけにここで紹介させていただくものです。現在の民放の視聴率トップと言えは言わずと知れた日本テレビで、春の改変期の現在でも、人気番組が多いためか多くの番組は継続ということになっており、そこまで変化というものが見えませんが、フジテレビだけは違います。

古くは「笑っていいとも!」、今年に入ってからは「とんねるずのみなさんのおかげでした」「めちゃイケ」「ウチくる?」、さらにBSで放送されていた「ポンキッキーズ」も終了し、その後の展開をどのようにして視聴率を回復させていくのかというのは、今後地上波のテレビを見ていく中での個人的な興味にもなっています。

新聞のコラムによると、今回紹介する「99人の壁」という番組は2017年の大晦日に放送されて好評を博し、今回が第2回目になりますが、実はこの番組は入社2年目の社員のプレゼンが番組としての形になったものなのだそうです。今回が初見という方の中には番組内容を見ても良くわからないところがある方もいるかも知れませんが、恐らく見続けていくうちにその面白さに引き込まれていくだろうと思います。

クイズとしての面白さももちろんありますが、100人いる出演者でありクイズ回答者がこの番組のキモのように思えます。オーディションをしていかに番組が面白くなるかを考えて人選をしていると思うのですが、100人の回答者にはそれぞれ自分の得意とするジャンルがあり、なぜそのジャンルを選んだのかにもドラマがあり、クイズを答えていく中でパーソナリティがはっきりとしてきます。さらに出演者は司会者にやじを浴びせるガヤとしての役割も持つため、うまく収録を編集していけばかなり面白い部分を抜き出して楽しめるものとなるでしょう。というか、今回の放送はそういう意味でも十分楽しむことができました。

番組を見た方ならお気付きでしょうが、今回の番組ではかなりの部分を切って編集しており、それはあまりにもガチすぎてブロックする側の回答者がつまらないミスを連発したり、どんどんチャレンジャーが変わっていくことが繰り返されるだけの状況が今回の番組でもあったことが想像できます。素人いじりのうまさを見せてMCとしての評価を上げた俳優の佐藤二朗さんでもどうにもならない中だるみの状況があったかとは思いますが、そういった部分は削った方がテレビを見ている側としては有難かったりします。

さらに、今回は特別ゲストとしてギャラを貰って(回答者として出演した方の中にはノーギャラでオーディションから参加した能町みね子さんのような方も出ていたので)クイズに挑戦するゲスト回答者のコーナーも有りました。

今回はゲストが出てくる前に、前回の出演で全く実力を発揮できなかった切手通の出演者が百万円を獲得したこともあり、さらに出演者はゲストの存在を全く知らされていなかったため普通に場内が盛り上がっていましたが、さらにXジャパンのToshiさんのクイズのお題が音楽関係でなく「ガトーショコラ」というのも意外でしたし(結果はまさかの5問連続正解で百万円獲得でした(^^))、そこからゲストの人間性が垣間見える感じがしてチャレンジはかなり見ている人にとっては面白く見られたと思います。

そういう意味でもこの番組は単なるクイズ番組ではなく、1人のチャレンジャーの人間性を見せてくれるものであり、今後のさらなる番組としての発展が期待できると思います。今後も回答者のオーディションを丁寧に行ない新たなキャラクターを開拓し、今までクイズとは無縁だと思われた人と出演交渉をするなどして、今度は秋にでもさらにパワーアップした内容で楽しませていただけると嬉しいですね。

(番組データ)

超逆境クイズバトル!!99人の壁・春の乱【1人VS99人!全員敵の新型クイズ】フジテレビ
4/5 (木) 22:00 ~ 23:34 (94分)
【MC】 佐藤二朗
【スペシャルワンマッチ・ゲスト】 滝沢カレン  Toshl  長嶋一茂  (五十音順)
【チーフプロデューサー】 濱野貴敏
【プロデューサー】 木月洋介
【演出】 千葉悠矢
【制作著作】 フジテレビ

(番組内容)

挑戦者1人VSブロッカー99人の早押しクイズ!挑戦者は5問連続正解で100万円!99人を撃破し100万円を獲得するのは誰か!?俳優・佐藤二朗が司会

MCは、俳優の佐藤二朗が務めます。  この早押しクイズは、100人の一般公募の参加者の中から選ばれた1名のチャレンジャーが、それを阻止しようとする99人のブロッカーを相手に早押しクイズで対決するというもの。

見事5問連続で正解すれば賞金100万円をゲットできるのですが、1問目は25人のブロッカーが2問目は50人と増えていき、最終的に99人となります。その“99人の壁”を乗り越えなければなりません。当然、人数で圧倒的に不利なチャレンジャーに与えられた唯一のアドバンテージは、自分の“得意ジャンル”を指定してクイズに挑戦できることです。“将棋”“刀”“イントロ”“カーリング”などジャンルは何でもOK!

自分のためだけに作られたクイズで100万円獲得を狙うことができるのです。今回のスペシャルではボーナスステージとして芸能界から3人のスペシャルゲストが参戦。Toshl、長嶋一茂、滝沢カレンが、スペシャルワンマッチで「このジャンルならば誰にも負けない自信がある」という得意ジャンルを掲げて、99人の壁に挑戦します。芸能人たちのガチファイトにもご期待ください。