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お金のかからない「トリビアの泉」は居酒屋トーク的クイズ

この「クイズ☆モノシリスト」という番組はいかにもBSらしい、お金を掛けずにアイデアだけでそれなりに成り立たせようと考えられた番組のように思えました。一応この番組のジャンルは「クイズ」になっていますが点数を競うわけでもなく、罰ゲームがあるわけでもなく、「モノシリスト」と呼ばれるパネラーがコースターに何らかのウンチクを含んだクイズを書き、そうしたクイズを出して全員で考えていくという、飲み屋ですぐ真似できそうな企画です。

恐らく地上波で同じようなウンチクを披露することになるとフジテレビの「トリビアの泉」のようになって、VTRを作るのにお金を掛けるようになり、別の意味で番組を続けることが大変になるようなことも出てくるのでしょうが、このシステムはゲストの人選をしっかりやっておけば、毎回違うジャンルの権威を連れてきて、翌日周りに話したいようなネタをクイズの形で提供してもらうことは可能でしょう。それはいつもテレビで見る有名な人である必要性はなく、お話好きな大学教授のような方や、マニアの中で有名な方をオファーして、まず視聴者が知らないような知識をクイズにして解説を他の出演者を巻き込んで行なえれば、さらに面白くなるのではないかと思います。

ただ、テレビを見過ぎている私にとっては、今回のBS朝日が満を持して放送した問題の中に、過去に別のテレビで放送した内容とかぶるものを見付けてしまいました。それは名字の「渡辺」さんに関わる問題で、NHKの「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」で放送されたものと全く内容がかぶってしまって興ざめしてしまいました。

この辺は盗作とは違いますが、番組のオリジナル性を出したいと思えば思うほど、番組担当者は他のクイズやバラエティで同じ内容を扱う企画がないかということを調べてから採用されるようにしないと、いかにBSとは言ってもちゃんと見ている人もいるわけですから、今後も内容が他番組とかぶらないように気を付けて欲しいと思います。

また、今回に限ってはスペシャルだからということもあるかも知れませんが、居酒屋のウンチクトークのような番組で2時間は見ていてかなりだれます(^^;)。出演者の方々は濃いメンツでお話される時には楽しいので、長い話も気にならないのかも知れませんが、テレビを見ている方としては、この種の番組の場合1時間が限度のような感じがします。ともあれ、今後のやり方によってはお金を掛けずに化ける可能性のある番組として今後チェックしていきたい番組ではあると思うのでこれから期待して見ます。

(番組データ)

[新]クイズ☆モノシリスト 初回スペシャル BS朝日
4/10 (火) 21:50 ~ 23:44 (114分)
【MC】いとうせいこう(クリエイター)
【モノシリスト】市川猿之助(歌舞伎俳優)、春風亭一之輔(落語家)、竹俣紅(女流棋士)、武井壮(タレント)、田中寅彦(棋士)、鈴木貴博(経済評論家)、原孝寿(KADOKAWA編集長)、能町みね子(コラムニスト)
【制作】BS朝日、イースト・エンタテインメント

(番組内容)

「寄席で一番最後に出る資格を持つ演者を表す、落語の真打ち、”真”って何?」「芝居が終わることを意味する、芝居がはねるの”はねる”とは?」など、歌舞伎界・落語界で使われる言葉に関するクイズが博識なモノシリストたちを唸らせる。他にも「動く歩道にスムーズに乗る方法とは?」「若者言葉”絶起”とは?」「142857という数字でしばらく楽しむ方法は?」など、すぐ試してみたい裏ワザ的クイズも!

主宰・いとうせいこう進行の下、各界を代表する知識人=“モノシリスト”たちが、無尽蔵の“とっておきモノシリ知識”をクイズ形式で出し合う、全く新しいクイズ番組!全員が出題者・解答者となって知識合戦を繰り広げる!さらに、問題をきっかけにモノシリストたちの雑学知識が次々連鎖。ここでしか聞けないオールジャンルの雑学クイズ満載で、貴方の知的好奇心をくすぐります。


新基軸の音楽バラエティは面白かったが仁義は切らなくて大丈夫?

過去にはCDで、さらに前の時代にはレコード盤で楽しんでいた音楽も、今ではインターネットのストリーミングでいつでも聴ける時代になってしまいました。しかし、その分楽曲を所有することに固執する人は減ってきたような気がしています。

さらに、一部のコレクターによるものかYouTubeには蓄音機にSPレコードを載せて演奏するところを動画にして公開しているものも少なからずあり、そうしてアップされている楽曲については十分パソコン上からも楽しむことができます。将来的にAIスピーカーに聴きたい曲名を喋ると、ネット上のサービスの中から該当の曲を流してくれるようなサービスが行なわれる可能性すらある今、「レコード発掘の旅」というのはどんなものかということで見てみたのがこの番組です。

現在のテレビ番組のスタイルというのは、例えば「路線バスの旅」というものが受けたらすぐに同じような番組が他の放送局でも作られて拡散されていく中で元祖の番組も埋没してしていってしまう傾向があります。そんな中で、なかなか新しいパターンの旅をテレビがやることは難しい部分もあると思いますが、今回のレコード発掘の旅は、一般庶民が集めたレコードの思い出をその演奏とともに蘇らせることのできるドキュメンタリーとしても見ることができます。

さらに、私の家でもそうですが、レコードがあってもそれを聴くための機器がなく、単にその場を占拠する粗大ごみと化している場合が多く、その中から想い出の一枚をターンテーブルに乗せたとたん、まさに時が戻ったように当時の曲が再生されるというシチュエーションは、それはそれでドラマチックであり、安い制作費でも魅力ある番組作りができるという一つの例であると思います。

番組ではまず、ディレクターがマイクを持って東京の商店街からスタートして色んな所にインタビューに出て、その方の思い出の曲を聴きながら、実際に自宅にレコードを置いている人を探して自宅へ直行、持ってきたプレーヤーでその曲を直接聴くという形で進行していきます。

ちなみに、番組データにあるMCの野口五郎さんはこの取材に直接同行しておらず、スタジオ収録でVTRを見ながら喋ったり、収録場所にギターを持ち込んで歌いながら喋ったり、おすすめのレコードを紹介したりという形での登場の仕方で、さらにMCのアシスタントとして犬山紙子さんが出ていたのですが、テレビ番組表のデータでは犬山さんの名前が漏れていて、これはちょっと可哀想なので、ここで改めて番組データの方でも紹介させていただきます(^^;)。

一通り見終ってみて、この番組は旅番組ではなくテレビ東京のやるインタビュー系の番組に近いと思いましたが、まずこの人がこんな曲やジャンルのものを聴くのかという意外性がまず面白いですし、ジャケットはCD時代とは違いテレビ映りが良く、同じものを買って持っていた人なら思わず懐かしいとMCの野口五郎さんのように叫んでしまうような感じでもあります。さらに、番組が用意したプレーヤーでない自前のプレーヤーを使おうとしたら回転数を間違えたり針の調子が悪かったりでまともに聴けなかったというレコードを実際に聴いている人であれば必ず通る「あるある」を実践したりと、やはりBSはバラエティでも対象年令が高いなと思わせるものがあります。

取材先のお宅は、それでも50代から60代くらいなので思い出の曲ということではほとんどが歌謡曲でしたが、ラストのお宅訪問で茅ヶ崎の78才の女性が少し前に亡くなったばかりのご主人の事について、残してあるクラシックのレコードを聴いていたと、しみじみ話している時にバックグラウンドで流れていた曲がビートルズの「レット・イット・ビー」で、ご自宅にお邪魔してインタビューというシチュエーションに合わせると(本当にその状況が放送されました)この番組が急にテレビ東京の「家ついて行っていいですか?」になってしまったような気がしたのは私だけの事ではないでしょう。

こんな演出をして、テレビ局同士の争いの種にならないかなと思ったのですが、まあビートルズのレット・イット・ビーはテレビ東京のものじゃないしいいのかと思いつつも、レコードを探しての旅というコンセプトは今までテレビ東京でもやらなかった画期的なものなのに、収録した後の編集の現場で、安易にテレビ東京の番組に近づけようとそれなりの雰囲気に乗った番組作りはどうなのかなと思いました。

しかし、その後に奥様がご主人の生前を思い出すように流れた曲がチャイコフスキーの「悲愴」だったというのは実に取材者の心情を突いていて、個人的にも感動を覚えました。できればもう少しじっくりと曲を聴かせて欲しかったですが。次回はテレビ東京的な編集はまずやめてもらって、お気に入りの一枚が日本の歌謡曲に偏らないように多くのサンプルを確保した上で第二弾をお願いしたいところです。

(番組データ)

お宝レコード発掘の旅 あなたの思い出の曲かけさせてください BS朝日
11/9 (木) 21:00 ~ 22:54
【MC】野口五郎 犬山紙子

(番組内容)

プレーヤーがなく、何十年も押入れにしまいっ放しのシングルレコード…息子の思い出の品だからと、捨てられなかったLPレコード…様々な理由で見向きもされなくなっていた思い出のメロディーが、よみがえる!さらに、再生したその場で持ち主にレコードにまつわるエピソードを聞いてみると、笑いあり、涙あり、感動あり…!“お宝レコード”と当時の思い出を発掘する、新感覚の旅番組!