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優しくユーチューバーに手を差しのべたテレビスタッフの今後が心配

2020年は新型コロナウィルスの脅威もあって、人の集まるところへの観光から、人が少ないと思われるキャンプを、しかもソロで行なうソロキャンプが芸人のヒロシさんのYou Tube動画あたりから注目が集まり、ヒロシさん自体も仕事でBSや地方局制作のテレビ番組でそのキャンプの様子を紹介する番組に人気が出てきています。

旅番組を多く放送するテレビ東京系列のBSテレ東でも、こうしたブームを当て込んでと言ったらいやな言い方になるかも知れませんが、そこから少しひねった形で出してきたのが、番組での移動手段として前面に出してきた「自転車キャンピングカー」です。

まずこの番組について言いたいのは、ユーチューバーである「ちょもか」さんにその利用をお願いした(彼女の普段のキャンプは軽自動車を利用した車中泊もありのソロキャンプで、自転車を使ってのツーリングは初めてのようなコメントあり)自転車で引くキャンピングカーについて、内部の構造の紹介はあったものの、最後までこのキャンピングカーの内容や価格など、もしかしたら「自転車で引くキャンピングカー」に興味を持って最後まで見ていたかも知れない視聴者に対しての裏切りでしかないでしょう。

自転車キャンピングカーについては、走行時には縮んでいた本体が就寝時には伸びて内部の長さが190センチとなるということくらいしか番組を見てわかった点はありませんでした。さらに、電動アシスト自転車を使っていながら、テレ東の「出川哲朗の充電させてもらえませんか」のように、どこでアシスト自転車の充電をしたのか、さらに番組を見ていてわかったものの、前編で煮沸すれば飲用になる滝の水でコーヒーを沸かして飲んでいる所でも、後で出てきた湯わかしのためのキャンプ用シングルバーナーが出てくる場面はなく、「新しいひとり旅のスタイル」と紹介するには(どこかで同行スタッフの助けがあったから回れたのでは?)無理があるなど、ひどく雑な番組としての作りが目立ちました。

今回出演した「ちょもか」さんについては、女性のユーチューバーでソロキャンプの経験も豊かで、番組で紹介していたキャンプ道具についても、細かな工夫をして使うだけのノウハウを持っているなと番組を見ていて感じましたし、収録時の動画による生配信をそのまま登録ユーザーのコメントと一緒に紹介している時にも、自分のチャンネルの人気を上げるために自分はどうすべきなのかということを心得てやっている感じで、今回の番組をきっかけにしてユーチューバーとしても大きな飛躍のきっかけになるでしょうし、今後の活躍が期待できる方ではないかと思っています。

逆にだからこそ、テレビでこうしたユーチューバーの方と一緒に番組をやるなら、例えば今回VTR出演だけだった石丸謙二郎さんと直接絡ませるとか、テレビでできてYou Tubeでできないことをなぜやらなかったのかという風に感じてしまうのですね。

私がこうしたブログをやっているのも、年代によってはテレビを見る時間よりもスマホから動画配信のコンテンツを見る時間の方が多くなることを危惧し、テレビだって面白いことを多くの人に知ってもらいたいというところもあります。今回の番組について言うと、テレビで見たことをきっかけにして「ちょもか」さんのチャンネルに登録し、そちらの配信動画で満足することでテレビから離れてしまうような事が起こるような番組の作り方をわざわざしているのではないのかと危惧されて仕方がないのですね。

別にYou Tubeをからめてテレビ番組を作ることには異論はありませんが(ある意味、海外や国内のおもしろビデオを見てワイワイ言う番組のようなものなので)、ネット動画やユーチューバーと絡めるなら、個人ないし少数のスタッフではできない、テレビ独自の内容も入れていかないと、本当に今後はテレビ離れをして今回出演したようなユーチューバーの方も、あえてテレビで自分の名前を売らなくても十分だと思われるような「ネット>テレビ」という関係が当り前になるような未来も見えてきてしまいます。

もしかしたら、この番組を作った方々はそうした未来を見すえていて、とっとと自分たちもユーチューバーとしてデビューするために「ちょもか」さんからそのノウハウを得るためにこの番組を企画したのかと思えてしまうような番組でした。こんな想像が現実のものになった時に備え、今回こうして記録しておきます。

(番組データ)

金曜アドバンス ソロキャン女子が行く!自転車キャンピングカー旅 BSテレ東
2020/10/16 21:00 ~ 2020/10/16 21:54 (54分)前編
2020/10/23 21:00 ~ 2020/10/23 21:54 (54分)後編
【出演者】
<旅人> ちょもか (チャンネル登録数2.1万人/最多再生回数36万回 ユーチューバー)
<ネーチャーナビゲーター> 石丸謙二郎

(番組内容)

・2020/10/16放送分
ソロキャンプ系女子ユーチューバーが自転車用キャンピングカーを引っぱって富士山の裾野をゆったり旅します。キャンパーならではの技や美味しいキャンプごはんも大公開。
ソロキャンプ系女子ユーチューバーが自転車用キャンピングカーを引っぱって富士山の裾野を旅します。電動アシスト自転車でマイペースに。朝な夕なに顔を出す霊峰富士や白糸の滝など絶景を仰ぎ見て、出会う人々と交流。キャンパーならではの技を繰り出して地元の食材でつくる美味しいキャンプごはんも大公開。絶品!富士宮やきそばや高原のソフトクリームも寄り道していただきます。新しいひとり旅のスタイルをお楽しみください。
・2020/10/23放送分
ソロキャンプ系女子ユーチューバーが自転車用キャンピングカーで富士山の裾野を旅します。キャンパーならではの技やキャンプごはんも大公開。前編に続き河口湖・山中湖へ!
ソロキャンプ系女子ユーチューバーが自転車用キャンピングカーを引っ張りながら富士山の裾野を旅します。電動アシスト自転車でマイペースに。絶景に出会い地元の人々と交流。もちろんソロキャンパーならではのキャンプ技や美味しいキャンプごはんも大公開。気ままに&ゆったり、新しい“ひとり旅”のスタイルをお楽しみください。前編で宿泊した富士五湖・本栖湖のキャンプ場を出発したちょもかは、西湖、河口湖を経て山中湖へ!


現場任せの企画は大ハマリもあるが面白かったヒッチハイク旅

今回紹介する番組はドキュメンタリーではないので、テレビで映っていない所で何が起こっているのかわかりませんが、見ているこちらで想像するに、できるだけ番組内容に書かれているような有難い車に常に拾ってもらってヒッチハイクができるわけではありません。

そもそも普通にヒッチハイクの旅をしようとして犯罪に巻き込まれたりする場合もあるわけで、視聴者がおいそれとヒッチハイクの旅に出ようとはなかなか思えませんが、テレビを通じて顔の知られたタレントやミュージシャン、文化人などが直接目の前に現われ、さらに運転する側に危害を加えるような危険な事はしないということでもなかなか止まってくれる車がないという現実についてはこの番組でも垣間見えます。もっとも地方の街頭に立ってどれくらいの人がはきはきとインタビューに応えてくれるかということを考えると、車を停めて乗せてくれるような人は、それなりにテレビカメラの前に立つことに躊躇しないだけの度胸を持っているということはわかります。

この「ヒッチハイク旅」の大きな特徴はうまくハマれば「三方一両得」になる可能性があるということでしょう。出演者は車に乗せてもらうことで企画の目的である場所へ向かって進むことができますし、車を運転して出演者を乗せる方の一般の人にとって、単にテレビ出演では大きな謝礼は期待できないところですが、この旅の仕組みというのは独特で、運転者と同乗者が食べたいという外食を、提供するお店が撮影を認めてくれれば、料金の心配をすることなく自分の好きなものを腹いっぱい食べられるということになっています。さらに、出演者もドライバーに奢る時しか食事ができないという決まりになっているので、必死に自分達を乗せてくれるドライバーを見付けて、好きな物を食べて下さいと促すことになります。

そして番組を企画するテレビ東京(この番組は前年にテレビ東京で放送された番組の再放送なので)のメリットとしては、単に出演者の周辺にカメラを用意しておくだけで、タレントの移動はしてもらえるわ、さらに乗せてくれるドライバーによっては、普段食べられないような高額な食事を奢らされるという不安要素もあるものの、いわゆる全国放送のバラエティではなかなか登場することがなさそうな地方にある個人営業の「知る人ぞ知るお店」や「地元の本当の名物を食べさせてくれるお店」をアポを取る努力もせずに取材・紹介できる可能性があるわけです。

ここが、他の番組とは違うところで、一般の方に自腹でなく奢ってくれるということになれば、いつも食べているようなものではなく、何かあったら食べたいグレードアップのできるお店や、一度は食べてみたかった名物を食べたいと思うことも多いはずです。さらに、ヒッチハイクしている出演者の事を考えて、できるだけ自分の町の名物を美味しく食べられる場所を紹介したいと思ってくれるケースが出てくることも考えられます。

もちろんそうした制作者の意図を全く理解せず、ファーストフードのチェーン店に行ってそれでいいという人もいるかも知れませんが、お店宣伝効果ということも考えると、今回出演された方々にとってはどなたもメリットがあったはずで「四方一両得」とも化けかねない番組だと見ていて思いました。特に「満州にらラーメン」のお店は、テレビの気配を際してか営業終了後に撮影及び食材の提供をこの番組のために行なったことで地元でもかなり株が上がったのではないでしょうか。

唯一残念だったことは7日目の日没までに東京出発から札幌でゴールという目標は達成できなかったことです(最終的にはいかめしで有名な森周辺で終了したようです)。テレビ東京で放送したものをBSジャパンで放送し直すということは私と同じように面白いと思った人が多かったからなのかと思いますが、様々なルートを取れるように途中によらなければならないスポットを設定すると、同じ東京から札幌までの旅でも新潟経由で秋田とか、そんな風に違った地域のドライバーや個人営業のお店が見られたりして視聴者も行って見ようと思う度合いは高くなると思われます。

あとは、ヒッチハイクをする人選をどうするかということになるでしょう。ただ今回の出演者の方々はよく考えられているように思えます。お笑い芸人だけのコンビでなく、多少おっとりとしていてもよくバラエティ番組にも出演するエブリリトルシングの伊藤一朗さんを出したことで、レッド吉田さんが苦手だと思ったドライバーにも好評だったように思います。それなら今回のペアと経路を異にしてゴールは同じにし、タイムリミットは設けて更に2チームでより早くゴールした方の勝ちというような形で企画しても面白くなるし紹介できるお店は倍増するのでテレビ的にはあまり面白くないお店ばかり紹介されて放送するのが微妙ということも避けられるかも知れませんし。

ただ、番組が化けるのは出演者自体が視聴者に「この人選でなければ」と思わせるくらいのインパクトがないと人気番組として継続していきにくいので、個人的には今回出演したお二人には、できるだけ未知のお店をドライバーが教えてくれるように話を持って行ったり、食事風景も楽しいものとなるように気を配るなど、次回の企画があるとしたらさらに番組に人気が出るように力を入れてロケを行なって欲しいというところもあります。そんなわけで、久し振りに番組の企画に唸った旅ロケ番組だったことをここで紹介させていただきました。

(番組データ)

ごちそうヒッチハイク旅~何かおごるから乗せてって!~ BSジャパン
2018/06/21 17:58 ~ 2018/06/21 19:55 (117分)
出演者
伊藤一朗(Every Little Thing)
レッド吉田(TIM)

(番組内容)

東京→北海道1300kmガチ乗り継ぎ旅!!ELTいっくん&レッド吉田の7日間ふれあい珍道中…車乗せてくれた御礼に何でもゴチ!地元民しか知らない穴場ご当地グルメを続々発掘

東京駅から北海道・札幌までの1300kmを7日間のヒッチハイクで目指すガチンコ旅企画。 ルールは1つ「車に乗せてもらうお礼として、“ドライバーさんが今1番食べたい物”を何でもごちそうする」こと。 2人は無事にゴールの札幌までたどり着くことができるのか?最後は衝撃の結末が…!?

旅の見どころは、偶然出会ったドライバーさんが知っている“地元のウマい店”に行ってごちそうすること。 普通のリサーチでは出てこない、知られざる ご当地グルメ店が続出!例えば… ・行列必至!“満州にらラーメン” ・地元で60年愛される“あんかけカツ丼” ・炭鉱の男たちがハマった“ホルモン鍋” 旅先で出会う“人情&グルメ”をお楽しみに!