月別アーカイブ: 2017年11月

会見の主に「本日の怒られたさん」が何をどう伝えたかを記録する

今回このブログで初めて「報道ステーション」に関しての感想を書こうと思ったのは、本日の夕方にたまたま生中継の元横綱日馬富士関と伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)が多くの記者を集めて行なわれた引退会見の様子を見て、強い違和感を覚えたからです。その時の事については以下のリンクをご参照下さい。

https://tvkansou.net/201711291355ytv

というわけで、番組が始まってメインキャスターの富川悠太アナウンサーは何と言うのか、涙目になって何も言わないのか、それとも苛立って殺気立っていた親方と弟子について批判すべきところはしっかり批判するのか、注目するところはまさにそこにありました。

番組の最初に富川アナウンサーは会見時に最前列にいたということを話した後にVTRに入りましたが、横綱による被害者への明確な謝罪はないことを報道したものの、テレビ朝日のカメラが富川アナウンサーも映しながら問題の場面に入る直前までの場面を映すも、生中継では流れた富川アナウンサーが怒られたシーンはバッサリカットしてそれでおしまいという大変残念な結果となりました。

テレビ朝日はかつて「大相撲ダイジェスト」という生ではありませんが、その日の幕内の全取組を解説付きで流した番組をやっていたこともあるので、大相撲界と良好な関係を続けていきたいという勢力の方が強かったと言うことができると思いますが、夕方の会見を生で見ていた者として言わせていただければ、何をびびって忖度してんのと思います。散々マスコミの役割だなんぞと言いながら、本日のような歯抜けの放送を良くやれたものだと逆に感心します。

そう考えると、よくこの「報道ステーション」を目の敵のようにしてネットで叩いている人達がいるかと思いますが、今回の報道姿勢を見る限りは、叩く価値がないだけでなく、話題に挙げることすら番組のエネルギーになってしまう可能性があるので、無駄に批判することは相手を利することだと思った方がいいような気がします。

とにかく、一番大切な部分をカットしたVTRの後でいくらもっともらしい事を言っても、あの親方のイライラした状況をそのままVTRでも伝えることができないようなら、報道番組たる看板を降ろすべきではないかと、そのくらい個人的には失望しています。このまま行けば日本相撲協会や力士らの悪い慣習は変わらず、正直者が莫迦を見るようなところに相撲界は陥っていってしまうかも知れません。もし今、自分の子供を大相撲に入れようか悩んでいる方々がいましたら、少なくともこの騒動の評価が出るまではご子息の進路については保留にしておくことを強くおすすめします。

(2017.11.30 追記)

テレビ朝日系の番組としてもう一つの注目は、朝のワイドショーである「モーニングショー」でどのように報道するかということでした。結果は同じくVTRで流すことはありませんでしたが、パネルの中で親方のイライラした言動については一応触れていました。

しかし、これはテレビの世界においてちゃんとした素材があって、その部分を流すことによって誰にも同じようにわかるという点で、流さなければいけなかったVTRだったのではないかという思いは変わりません。何の後ろ盾もない兵庫県会議員の野々村議員のVTRや船場吉兆の会見のVTRはもういいといえるほど繰り返し流すのに、きちっとした後援会の組織があり、中には直接テレビ局に圧力をかけられる可能性がある場合は、あくまで伝聞の形でVTRを流すことができないのだというのが今回の騒動から見えてきたことでもあります。

(番組データ)

報道ステーション テレビ朝日
11/29 (水) 21:54 ~ 23:10
【メインキャスター】富川悠太(テレビ朝日アナウンサー)
【サブキャスター】小川彩佳(テレビ朝日アナウンサー)
【コメンテーター】後藤謙次(ジャーナリスト、共同通信社元編集局長)
【スポーツ】松岡修造、澤登正朗、中山雅史、稲葉篤紀、前田智徳、寺川綾、寺川俊平(テレビ朝日アナウンサー)
【気象情報】喜田勝(気象予報士)、森川夕貴(テレビ朝日アナウンサー)

(番組内容)

横綱・日馬富士が引退届を提出、午後には会見…自らの思いをどう語るのか▽挑発を止める手立ては?北朝鮮が弾道ミサイル発射…どうする?日本とアメリカ

テレビは直接権力に介入されると「褒め殺し」しかできないのか

テレビは真実を映し出し、さらにその真実を捻じ曲げようとする人達の姿も垣間見えるというテレビの特性が同時に出たのが本日の大相撲・元横綱の日馬富士関と伊勢ヶ濱親方(元・旭富士)が臨んだ記者会見とそれに関する報道でした。

私自身全ての記者会見の内容を見たわけではないのですが、多くの記者が質疑応答で質問する中では、どうしてもニュアンスの関係では同じ質問に聞こえてしまうこともあるでしょう。最後に登場すればするほどインタビューアーとしては不利になるのですが、その日の最後の質問者はテレビ朝日「報道ステーション」の富川アナウンサーでした。

彼が質問をしたところ、伊勢ヶ濱親方がその質問を遮った上で荒々しい口調で「さっき答えたから」と見ている側としては恫喝とも見える迫力で、親方が元横綱とのコンビネーションよろしくシャットアウトし、明らかにストレスがたまっているような親方が日馬富士関に対しての囁きの会話がマイクで拾われることによって、日常生活での伊勢ヶ濱部屋の中の様子や、日馬富士関が引退を余儀なくされる原因になった飲み会での様子も十分にテレビを見た人たちには類推できるような態度が出てきていました。もし、こんな感じで凄まれるとインタビューアーだけでなく、被害者と言われている力士も黙るしかないだろうなとも思いました。

更にびっくりしたのは全ての会見が終了した後でスタジオでのコメントを出す中一言も被害者の貴ノ岩に対する謝罪がなかったのに「いい会見でしたね」とか「横綱は潔い」というちょっと考えると「褒め殺し」ではないかと思ってしまうほど、彼ら相撲部屋関係者や協会に対する忖度がものすごく、よっぽど相撲ジャーナリストや友人を抱き込むだけの迫力があるのだろうなと思うと同時に、なぜこんなになるまで相撲協会は力士の暴走についてメスを入れられなかったのかと思ったりしました。ちなみに、同じ時刻に会見を中継していたフジテレビやTBSでも同じような状況があったというネット上で番組を見ていた人からの書き込みを見ましたが、この辺は今後の報道とも関わってくると思いますので、各社がどのようにこの内容を伝えていくのかを見て判断しようかと思います。

複数のメディアで同じような報道があると言われている中、唯一直接見させていただいた番組への感想ということで書かせていただきますが、テレビ報道の現場についても、今後この会見についてどのように伝えるのかということはあるものの、この「ミヤネ屋」での扱いというのは全く公平性を欠くことになっていて、恐らくこの番組と同じように日馬富士関サイドを擁護したメディアには、被害者の立場として警察に被害届を出した力士と貴乃花親方は、意地でも彼らに向けて喋ることはないだろうと思います。しかし、そういうメディアほどマイクを持って突進し、コメントが取れないとまた貴乃花親方へのバッシングを始めるのでしょう。

しかし、いくらテレビが今回の生中継の中で会見中にしでかした事をうまく編集して流したとしても、ネットでは手を替え品を替え動画のアップが拡散するでしょう。そして、その様子を見た方々は過去に「船場吉兆」の親子による会見で、女将さんの囁きをことさら強調した「公開いじめ」に近い事をしたことを思い出すかも知れません。テレビは当時船場吉兆の会見の様子を何回もビデオを流して批判しましたが、同じように日馬富士関と伊勢ヶ濱親方について批判をするところはあるでしょうか?

少なくとも、きちんと会見をノーカットで流した後に見たままの感想が言えるテレビでないと、力の強い人に関しては政治でもスポーツでも芸能でも全て長いものに巻かれて終わりになってしまいます。

とりあえずは会見でこっぴどく叱られてしまった「報道ステーション」の富川アナウンサーが涙を流して謝るのか、会見自体への批判を込めた報道をするのか注目したいところです。

(番組データ)

ミヤネ屋【日馬富士の胸中は?“心の師”が生激白!!▽速報!熊本女性市議】読売テレビ
11/29 (水) 13:55 ~ 15:50
出演 宮根誠司、林マオ、岸博幸、アンミカ、橋本五郎、竹村章(日刊スポーツ)

(番組内容)

▽何を思う?日馬富士!その胸中を“心の師”が生激白!事件後に語った進退&相撲への思い ▽速報!オェー熊本女性市議に動きが

籾井NHK前会長のご意向が却下された「受信料値下げ」

NHKを語る場合、切っても切り離せないのが公共放送であるということと、受信料の存在であると言えます。NHKの受信料が公共料金かということについても異論を挟む方がいるかも知れませんが、一般家庭が家計を考える場合の固定費としてNHKの受信料を払っているご家庭がほとんどだと思うので、ここでは全てのご家庭で払う必要のある費用として考えていきます。

NHKの受信料についての話の中で出ていた話に、NHKは受信料の値下げを行なうのではないかというものがありました。これは、2016年の2017年予算についての話し合いの中で出てきたものです。東京にある放送センターの建て替え計画を決め新規積み立てが不要になることもあり、50円程度の値下げを籾井前会長が意見したところ、経営委員会の面々は軒並み反対したことで、実現せず今にいたります。

その後、4Kや8Kについての技術開発、さらにネットによる放送の常時同時配信にかかる費用なども持ち出され、足りなくなることはあっても余ることはないという感じで事業を拡大しているという感じもあります。返せる時には返して、必要な時にはもらうという籾井前会長の意見は、それなりに腑に落ちるところはあるのですが、現在のNHKはとにかく値下げはしないで新規事業に走ることを明らかにしたと言えるでしょう。

さらに、最近はこのブログでも何度か指摘させていただいていますが、実に民放チックなドラマの番組宣伝でのタレントや俳優を情報番組やバラエティ番組に呼び出して出演させたり、ドラマ内でも露骨に民放ドラマとのコラボレーションを含んだ脚本を俳優に演じさせたりしています。民放のように視聴率至上主義という雰囲気はまだ現場にはないようですが、作り手やスタッフには一刻ごとに変わる視聴率を意識させるように表示はしているという新聞報道もあります。

そうした行動に対する言い訳というのは、「どんなに良い番組を作っても見てもらえなければ意味がない」というものだそうです。しかし、もしNHKが受信料をまともに払ってくれている人に対してNHKアーカイブスの利用料を一部取らないというようにして、制作者が見せたい番組を番組の放送終了時から一定期間のみ無料でネット経由で見られるようにするとか、改善策はあるはずです。人々がNHKを見たいと思う理由の中には、民放のような落ち着かない類の番組は見たくないというものもあると思いますが、NHKの経営方針で本格的に民放との視聴率競争を行なうような事にでもなれば、元ネタがどこかわからない同じような番組が一気に増えてしまうような懸念も出てきます。

そうなると、あえてテレビは見ないでAbema TVだけで十分という方々も出ると思いますが、その頃にはNHKはインターネット回線を引いていたり、ワンセグはなくても通信できるスマホを持っているだけで受信料を徴収するための仕組みを作り上げていて、テレビを止めても受信料支払いから逃げられないようになっている可能性もあります。

何より頭に来るのが、そうした囲い込みのための環境整備(常時同時番組配信のためのネット回線の整備など)自体を受信料で行なおうとしているところで、そこまで来たら個人的にはテレビ自体をいったん売り、さらにワンセグが見られるガラケー・ガラホ・スマホ・タブレットも全て処分し、さらにインターネット回線も光回線を解約しモバイル通信のデータカードをスマホに入れて高速クーポンもないどう頑張ってもNHKが配信するネット中継動画が見られないくらい遅い回線にして、それでもNHKが受信料契約の解約を認めなかったとしたら、実際に部屋にあるものや、手持ちのスマホを使って動画を見られるかどうかやってもらった上でその様子を動画撮影して公表してやろうかと思いますね(^^;)。

インターネットの利用の観点から見るとかなり利便性が損なわれますが、テレビ受信専用のアンテナを建てるならまだしも、単にNHKから配信されてくる放送を見る目的でインターネットを始める人はほとんどいないわけで、そういう点からもかなり広い解釈で受信料を取ろうとしていることがわかります。こんな解釈が許されるのかと、恐らくこんなことになれば裁判も起こってくるでしょうから、そこで日本の司法がどんな判断をするかでもこの国のテレビの未来が決まってしまうと思いつつ、これからもネット配信についての話題には折に触れて紹介して行こうと思っています。

番組は激レアさんが最初に行った歯医者を公表せよ(^^;)

世の中でテレビでエピソードトークをしてもらって面白い人というのは限られていると思うので、どうしても「どこか別のテレビで見た」という人の「かぶり」が発生することがあります。今回の「激レアさんを連れてきた。」で最初に出てきた方も、恐らくTBSの「がっちりマンデー!!」でその事業が紹介されていたのを見た気がしました。こういう時にインターネット検索というのは有難いもので、番組名と内容で検索したらがっちりヒットしました(^^;)。というわけで、最初の方は私にとっては激レアさんではなかったということになります。

ただ、続いて出てきた激レアさんについては初見で、この方は確かに「激レア」さんでした。「消しゴム差し歯」を4年間はめ続けている(へたってきたら新しいものに替えることを繰り返しているそうです)という方で、突っ込みどころ満載でしたが、なぜ4年間も消しゴムを加工した前歯(仮)を付け続けなければならなかったというと、治療のために訪れた歯医者さんで、前歯を一本作るのに30万円かかると言われたので、それは無理だと諦めて消しゴムで代用することになったとのことでした。

普通の社会人ならある程度お金はためてあるのではないか? と思ったのですが、この方は芸人として身を立てようと努力していて、毎月の生活費に7万円を捻出するのが精一杯で、とても30万というお金を用立てることはできなかったということです。

ここで、賢明な方は気付いた方もおられると思いますが、前歯が一本30万円というのには実はカラクリがあるのです。お茶やコーヒーをよく飲む方だとその色が人工の歯では付いてしまうので、そうした汚れが付きにくく落としやすいセラミック製の歯を付けると30万だということで、これには健康保険が効かないため高値になってしまっているのです。

番組では健康保険を使って入れられるプラスチック製の差し歯についてもその価格を調べていて、保険使用の歯なら1万5千円で入れられたとのことです。激レアさんが出掛けた歯医者さんでどんな風に聞いたかはわからないものの、普通の歯医者さんなら、保険使用と不使用の場合の料金を教えてくれ、どちらにするかを患者の意志で決めさせてくれると思うのですが。

もし、そうした保険不使用の金額を提示しないまま高額な治療代がかかるとしかその歯医者さんが言ったとしたら、これはバラエティ番組ではありますが大きな社会的な問題になってくるのではないでしょうか。

というのも、番組内で専門医に差し歯の代わりに消しゴムを使うことについての安全性について尋ねたところ、雑菌が混入する危険やかみ合わせが悪くなるので歯だけでなく姿勢が悪くなるのだそうで、今後腰などにも悪い影響が出る可能性があるということを話していました。

さらに、この激レアさんは前歯だけでなく奥歯も5本ないのだそうで(^^;)、だったら歯医者へ行って保険の適用内で直せよと思うのですが、おそらく前歯一本で30万と言われたら、差し歯と奥歯で6本を直すお金がないと思ったのでしょうね。もし良心的な歯医者さんに当たっていれば、安い費用でとりあえず仮歯を入れてもらう中で治療の計画を立て、差し歯と奥歯を全て保険で直す場合の費用と期間を示し、治療開始時からいつ1万円以上の負担がかかるのかというところまで打ち合わせをしてくれていたはずでしょう。

ロケで激レアさんのお宅に訪れていたのは、朝のワイドショーにも出ていた山本アナウンサーだったので、今回の内容について同じようにどんな人にも保険を使わない場合の治療費しか教えず、高額の治療代でないと診察をしないような歯医者が現実に存在するならその実態をあぶり出して欲しいと最後には思ってしまいました。

最初は消しゴムを差し歯にし続けるエビソードトークを笑って見ていたのですが、さすがに彼女と別れる原因になったりするという、激レアさんにとっては人生を左右するような事態にこの歯医者さんの言葉が影響を及ぼしているというなら、「貧乏人は歯も入れられないのか」ということになってしまいます。もし本当にこんな医者がいるのだとしたら、ぜひ朝のワイドショーの独自取材で明らかにして欲しいと思います。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。 テレビ朝日
11/27 (月) 23:15 ~ 0:15
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香 山本雪乃(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】志尊淳

(番組内容)

とんでもなく珍しい体験をした“激レアさん”を研究室に連れ込んで、体験談を聞きまくる!驚きと笑いにリアルに役立つ知識も交えて激レア体験をトコトン研究します!!

本日の激レア研究はこちら・・・

【激レアさん(1)】 派手に漏らしてしまった苦い経験をバネにトイレのタイミングを予知してくれるマシーンを発明した人。

【激レアさん(2)】 差し歯が取れてしまったが貧乏なので自作の“消しゴム差し歯”を発明し、それをハメて4年間粘っている人。

日本のドラマの質を決める俳優は生き残っていけるのか

このブログを始める前に、テレビ朝日の編成の中でかなり変わったのが、土曜と日曜にも夜の定時に報道ステーション関連番組を持ってきたことにより、長年続いてきた土曜夜9時からの2時間サスペンスの枠を日曜の午前10時からに移動させたことです。

以前は夜だったのでサスペンスを見ていた部分もあったのですが、なかなか日曜の朝からサスペンスドラマを見るという感じではなく、日曜の朝から家にいる時でも実際他番組の方を優先して見ていました。今回この時間帯のドラマを見ようと思ったのは、ちょうど60才の男女を主人公にしたロードムービーのような作品「最後の同窓会」というサスペンスドラマではないものだったからということもあります。

内容自体はありきたりな設定だとは思いましたが、特に死体での演技を長時間行なっていたでんでんさんが一番大変だと思いましたが、周りの役者さんがうまくでんでんさんを「使う」ことで、ドラマのアクセントとして大変いい味を出していたように思います。若い世代から見てもうかなりの年だと思うかも知れない俳優さんたちの若さを感じる姿に、こうした内容は企画としてなかなか実現できないと思われる中、「文化庁芸術祭」というものをうまく使ってこういった稀有なドラマを作ったなという感じはします。もしNHKの朝ドラ「ひよっこ」を見ていた方なら、朝ドラで青春を謳歌していた世代が60代になったら? という感じで楽しむこともできたでしょう(脚本担当はどちらのドラマも岡田惠和氏です)。

ただ、夜のドラマでやっていたような方法をそのまま取り入れて、単にサスペンスドラマの枠にはめ込むというのはさすがに安易すぎると思えます。というのも、この時間帯の裏には強力なTBSの「サンデー・ジャポン」や、フジの「ワイドナショー」があり、親子孫三世代で一つのテレビを見る中で、このドラマ枠を三世代で見るような状況はちょっと想像できないですし、せっかく力を入れて作ったドラマが多くの人に見る機会を与えないま埋没してしまったのではないかとも思われます。

この時間変更というのは、サスペンスを含む一話完結のスペシャルドラマを作っている側にとっては、ボディブローのように効いてくる可能性もあるのではないでしょうか。個人的にはテレビ局はこのまま2時間サスペンスドラマ自体を止めてしまう方向で考えているのではないかという気もするのです。

こういう話をする中でつい思い出してしまうのが、2時間サスペンスドラマではかなりの本数に出演されていた男優の田中実さんが自殺をしてしまった事に関する情報だったりします。自殺の原因としては人間関係がうまく行っていなかったというような理由も取りざたされていましたが、テレビ局に入る広告費が少なくなったことで、経費のかかるドラマの中でまず時代劇が減らされ、次に来るのがサスペンスドラマの休止になるのではと言われた未来を悲観したのではないかという話もあります。

実際、そうした憶測の通りにテレビにおけるドラマの立ち位置がなってしまっていますし、なまじそれまで再現VTRや単発のサスペンスドラマに出演することで安定した収入を得られていた中堅の役者さんにとっては真剣に転職を考えなくてはならない状況も今後起こり得ますし、50代を過ぎた方の場合は一般的に正社員としての再就職すらままならない状況です。

先日紹介したマツコ・デラックスさんがテレビに出まくっているのも、比較的ギャラが安くて済む文化人扱いであるからで、ひな壇に座るお笑い芸人の方も安いギャラでも我慢して露出を増やすことによって食べているような状況があるでしょう。

果たしてこれで明るいテレビの未来があるのか? という事を真剣に考えてしまうのです。もし、ドラマの題材とするとしたら、今活躍している若手の俳優さんが60才という年齢に届いた時に彼らはどんな事をしているのか、リタイヤしたとしたらどうなっているのかなんてことの方が、より多くの人にとって身につまされるドラマになるのかも知れないと思うのです。

(番組データ)

スペシャルドラマ 最後の同窓会 テレビ朝日
11/26 (日) 10:00 ~ 11:50
平成29年度文化庁芸術祭参加作品
【出演】市村正親、角野卓造、でんでん/大路恵美、安藤玉恵、河井青葉、浦山可児/片岡鶴太郎(特別出演)/かとうかず子、松坂慶子
【脚本】岡田惠和
【監督】内片輝

(番組内容)

50年ぶりに再会した小学校の同級生たちが人生最大の大冒険!?連続テレビ小説『ひよっこ』の岡田惠和が贈る大人のための笑いと涙のロードムービー。高槻功(市村正親)が定年を迎えた日。小学校時代の同級生・坂田典夫(角野卓造)から、同窓会の誘いの電話が入る。欠席の返事を出していたが、典夫から「リーダーがいないとはじまらない」などとおだてられ顔を出すことに決めた。

当日、会場の小さなスナックに到着してみると、集まったのは功のほか、幹事の典夫、お調子者の田村実(でんでん)、影の薄い米倉正一(片岡鶴太郎)、マドンナの花岡真知子(松坂慶子)のたった5人。夜通し騒いだ明け方、功たちが目覚めると仲間の一人実が死んでいた。暗く沈んだ気持ちになった一同に無性に腹が立った功は、孫娘のピアノ発表会の会場まで実の遺体を連れて行ってあげようと一同に提案する。

ワイドショーによる松村邦洋さんのネタ潰しについて考える

ブログで一時の熱狂に過ぎないと思えるワイドショーの話題を扱うと、一年後あたりでも見返すと何を書いているのか誰もが忘れてしまっている可能性もあるので、本来はこうしたネタに触れるべきではないのかも知れませんが、今後も同じような状況が出てくる可能性はありますし、それがテレビの力だと言えはそのように考えられもすると思いますので、2017年11月あたりからずっと連日テレビのワイドショーを占拠しているように繰り広げられている、大相撲の横綱・日馬富士による貴乃花部屋の貴ノ岩関を飲み会の席で殴打して大怪我を負わせたと言われている事件の余波について考えてみたいと思います。

毎日新たな事件が起こる中において一つの話題が長く続くというのは、登場人物が多岐にわたり、議論の中心が別のところにずれて迷走することで扱う内容が増えるということが原因であり、どんどん「新事実」が報道されていくに従ってヒートアップしていくからと考えられます。この一連の報道についても、当初はモンゴルからやってきた関取衆の中だけの話であったのが、被害者側の直近の上司で暴行の事実を警察に告発した貴ノ岩関の所属する貴乃花親方(花田光司氏)について、相撲協会側の論理によるバッシングへと変化していっています。少なくとも貴乃花親方が過去にあった相撲部屋での暴力事件のように、直接ビール瓶で弟子を殴打するような話もなく、事実として貴乃花親方自身が逮捕されたとか容疑者になったのでもないのにです。

この文章を書いている段階ではまだ九州場所が終わっていないため、本場所終了後に貴乃花親方が口を開いたり警察による発表があるかも知れないので事実関係についてはっきりした事は言えませんが、日本のテレビというのは「事件告発者」に対して同情するよりもバッシングをする体質というものが変わっていないなと思います。

とりあえず、「新事実」としてワイドショーが伝えている内容の多くは、加害者や被害者本人が直接述べた事ではなく、いくら同胞の大先輩や親戚であっても、そうした人から記者が聞いたりネットの書き込みをなぞった伝聞情報であることに違いなく、必ずしも正確な情報とは断言できないのです。そうした前提なしに、伝聞情報を基にしてあーだこーだコメンテーターが言い合う内容がほとんどの朝のワイドショーで繰り広げられている光景というのは、見ている方も感覚が麻痺しかかっていると言えるかも知れません。

ワイドショーでは番組のかなりの時間を使って個人攻撃に費すなんてことは、犯罪者でもない人をなぜここまで悪く言えるのか? と個人的には思うのですが、ワイドショーに出演してテレビカメラの前に立つと、何らかの魔術にかかってしまって、テレビ局の意図するような発言しかできなくなるのがテレビの持つ内なる力だと言えない事もありません。もちろん、民放の場合はスポンサーへの配慮があってしかるべきなので、興行主としての日本相撲協会を悪く言う事は難しいかも知れませんが、それならこの事件については伝聞でない確かな情報が入らないうちは扱わないというのも一つの手段だと思うのですが。

何より今回の加害者非難から被害者側の貴乃花親方&貴ノ岩関へのバッシングを既成事実化することで、残念だと思うことがあります。それは、ものまね芸人の松村邦洋さんが「貴乃花部屋へ稽古を見に行った時の親方のマネ」という至極のネタを封印しなければならないことにつながってくると思うからです。

まだYouTubeを探せば出てくると思いますが、貴乃花親方は相撲関係者ではない松村さんには実に紳士的で優しい対応をするのですが、稽古中に気を抜いた貴ノ岩関については、態度を一変させて「オイ、貴ノ岩! 何やってんだ! 莫迦野郎!」「水飲むな!」などの厳しい言葉が浴びせられるというそのギャップが何より面白く、私自身も松村さんのものまねがあったことで貴ノ岩という関取の事を知ったということもあります。

もし今後、松村さんがこの一連のものまねをやったとしたら、テレビは放送しないでしょう。それは貴乃花親方と貴ノ岩関とのセットというのは、これまで紹介したワイドショーでのバッシングを想像させるからで、今後の状況によってはテレビが一つの芸を潰したと言われても仕方のない面があるように思います。

こうした芸の封印については、ものまね芸人で特定の人の真似だけで営業しているような方の場合はさらに大変です。例えば元プロ野球選手の清原和博氏のものまねを専門にやっている「リトル清原」さんのように、本人が不祥事を起こした事で本人とは同一人物でない単なるものまね芸人がテレビにすら呼ばれなくなってしまう事例もあるわけですが、逆にあえてテレビに呼ばれるというパターンもあります。それは、本人でないものまねであるということを逆手に取って、ニュース映像の本人にはできない「茶番」をテレビ上で演じてもらうために依頼するという場合です。

さすがにそうした依頼については断わってテレビ以外に活躍の場所を見付けながらリトル清原さんは活動していたそうですが、本人と似ているものの本人ではない芸人さんを騒動に乗じて演出の手段として使おうというような考え方は今までもテレビではありましたし、今後も同じような事例は出てくるでしょう。それでいて芸人さんの渾身のネタは決してテレビでは披露させないのもテレビ的なものであるのです。

こうした事は、何でも人々の興味ある事なら出して人々を食いつかせようとする「見せ物小屋」的な発想から来ているものだと思います。確かにそうした手法で多くの人がテレビに群がった時期もあったのかも知れませんが、今後ネットを含むテレビの多チャンネル化が現実のものとなり、見たくないものは見なくても別のチャンネルで充足できるようになれば、いくらワイドショーが外に向かって晒し者を作ったとしても、そこに人々は決して群がることもなくなるでしょう。

今回の騒動自体も、相撲など全く興味ない人にとってはどうでもいいことですが、この騒動の後で好きで見ていたものまね番組で披露できないタブーができたということになれば、そのタブーが付いて回らないところのチャンネル(今のところ地上波からBS→CS→ネット)に移っていくことになるかも知れません。そうなれば地上波放送を見たいと思う人が少しずつではありますが減っていくわけでしょう。地上波のテレビでは、視聴者が愛想をつかさないような配分で必要な事を中心に放送し、決して告発者をないがしろにせず、関係のないところまで自粛すべきでないと思いますが、恐らくここまで説明した状況は変わらないでしょう。かくしてさらにおぞましい侃々諤々の言いっ放しの番組が今後もたれ流されるわけです。逆に言うとそれこそがテレビの本質が行き着く先なのかも知れません。

(2018年12月23日追記)

上の文章を書いている時にも心配していた松村邦洋さんの元・貴乃花親方ネタですが、たまたま昨日2018年12月22日のNHK第一放送のラジオ、「DJ日本史」の中で「貴乃花親方退職」→「貴ノ岩暴力事件からの引退」を受けたネタを披露していました。どんなものかと言うと(全て一字一句同じではありません)、

「貴ノ岩の行なった暴力行為は決して許すことができません」
「今度貴ノ岩に会ったらぶっ飛ばしてやりますよ(^^;)」

という、外と内についての態度が違うというギャップが元・貴乃花親方にあることを大いに誇張してのネタなのですが、こうした試みをラジオとは言え松村さんが継続して披露していることにホッとするとともに、やはりテレビとラジオの媒体の違いによってできることも変わってくるということを再認識したということもあります。

バラエティ番組では大変珍しい「自局批判」の顛末

テレビをよく見ている人なら気付くことだと思うのですが、もしとあるテレビ局の人が何か新聞種になるような事件を起こしたりしても、自局でその事件を詳しく報道する前に他局の方が集中的に報道することがほとんどで、あまり自局にとって都合の悪い事を、しかもニュースではなくバラエティで発表することはあまりないでしょうし、今回私自身初めて見たと思うのです。

というのも、この文章の一番下の「番組内容」にも説明がありますが、「博多駅前道路陥没事故」の起こった瞬間の動画を撮影した一般人の方が番組に投稿されていて、その裏側について紹介していたのです。投稿者はその現場で多くのテレビ局から撮影した動画や写真の二次利用をさせてほしいとお願いされ、その時に承諾したことで事故直後に多くの人が道路が陥没していく瞬間の動画を見られることになったのでした。

それはそれでいいとして、番組MCの二人が進行の久保田アナウンサーやテレビ朝日社員であるだろうスタッフに文句を言ったのは、テレビ局各社はスマホなどで撮影したスクープ動画の投稿を奨励しているものの、その動画使用について一切謝礼金の発生がないという事実がわかったからです。

テレビ局のバラエティでは海外の動画を利用する場合、その動画を撮った人と交渉して動画をテレビで流すために使用料を払うという話を聞いたことがあります。海外ではそうしておもしろ動画やスクープ映像を売り込んで生活をしている人もいるということで、日本のテレビで放送されるものの中にもそうして買ってきた動画があると思います。しかし、日本国内から動画を提供してもらう場合にはあくまで撮影者の善意にすがるような形で一切謝礼を出さないというのは、ちょっとけち臭いのではないかと私も思うのですが。

投稿された博多の陥没事故を撮った方も、その動画や写真が賞を取ったことで入ってきた賞金が150万円くらいある(複数のテレビ局から同じもので表彰を受けたそうです)とは紹介したものの、ちょっとしたスクープ映像ではそんな賞にかからなければ、テレビのトップニュースで紹介されても全くの無償で動画や写真を提供させれられる事になってしまいます。

この種の話はネット上でも以前から問題視する方がいて、さすがに大スクープの決定的瞬間だと誰もが認める動画には、一定の謝礼を出すというのも仕方ないのではないかと思っていたのですが、はからずもテレビの内側の世界で、有吉さんとマツコさんがテレビ朝日の「みんなが報道カメラマン」というサイトからの投稿について一切謝礼を出さないという事にかみついていたのは、多くの人が共感したのではないでしょうか。

こうしたテレビ局のスクープ映像の無償提供強要のような事実が明らかになっていけば、例えば週刊誌や、個人でもYouTuberのやっているサイトでスクープ映像には一定の謝礼金を出すとやれば、スクープはテレビで放送されずに、ネットにのみ出現するようになるケースも十分に考えられます。今までのような個人対テレビ局ではなく、きちんとテレビ局との対応もするスタッフを揃えたネット業者が契約を代行する形でテレビには出るかも知れませんが、当然ながらすぐテレビに出すということにはならず、スクープ映像はまずネットからというような状況に変わっていく可能性もあります。

現状でテレビ局の制作についてなかなか予算が下りないということもあるのでしょうが、だからといって多くの人が注目する動画を無償提供させようとするのは、さすがに図々しいにも程があるわけで、私の予想通りにテレビではすぐにスクープ映像は流せなくなるような状況はすぐにでもやってきかねないと思います。せっかく自局の番組内でタレントの口から出た話にしても自局の批判を出したのですから、まずテレビ朝日からトップニュースで使えるような素材を提供してくれた人には一定の謝礼を出す方向で検討してみてはいかがかと思います。

(番組データ)

マツコ&有吉 かりそめ天国 テレビ朝日
11/22 (水) 23:15 ~ 0:15
【MC】マツコ・デラックス、有吉弘行
【進行】久保田直子(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】ガンバレルーヤ、大自然、西村瑞樹(バイきんぐ)

(番組内容)

◇今夜は温泉の欲望スペシャル!(1)箱根超高級旅館の室内風呂だけ入りまくり!(2)混浴風呂にどんな人が来る!? 1日密着!(3)1杯5万円!? 風呂あがりに超高級フルーツを使って最高のフルーツ牛乳◇「博多駅前道路陥没事故」ニュースで流れたアノ映像の撮影者が語る裏話!「みんなが報道カメラマン」時代の弊害とは?◇仕事のことを聞かれたら…子どもにはどこまで夢のある話をするべき? あなたなら現実的な悪い面も伝える?

AbemaTVの「通信節約モード」を賢く使う

今まで地上波放送こそがテレビだと思っていた人にとっても、元SMAPの三人が同じ元メンバーの森且行さんと会って話した「72時間テレビ」が注目を集めたテレビ朝日系の「AbemaTV」について興味が出てきた方もいるかも知れません。

AbemaTVはインターネットを使った放送なので、自宅や特定の野外でWi-Fiが使える場所でならほとんどテレビの画質くらいのクオリティで多くのチャンネルを見ることができます。ここでは公式ページに紹介のあるアプリを入れれば見られるチャンネルを以下に紹介します。

01.AbemaNewsチャンネル
02.AbemaSpecialチャンネル
03.AbemaSpecialチャンネル2
04.AbemaGOLDチャンネル
05.ドラマチャンネル
06.韓流・華流チャンネル
07.K WORLDチャンネル
08.REALITY SHOWチャンネル
09.MTV HITSチャンネル
10.Documentalyチャンネル
11.アニメ24チャンネル
12.深夜アニメチャンネル
13.なつかしアニメチャンネル
14.家族アニメチャンネル
15.新作TVアニメチャンネル
16.HIPHOPチャンネル
17.格闘チャンネル
18.SPORTSチャンネル
19.ゴルフチャンネル
20.釣りチャンネル
21.将棋チャンネル
22.麻雀チャンネル

何とこれだけのチャンネルがあり、常に新たな番組が流れています。有料会員になることで、見逃した番組をいつでも見られるようになる機能もありますが、そこまでAbemaTVにはまった段階で考えればいいでしょう。

個人的には好きなドラマやアニメ、テレビ朝日の本放送から少し遅れてテレビと同じ放送を流したり、逆にAbemaTVオリジナルの番組では決して地上波では流せないような過激な内容があったしりて、はまってしまう可能性は常にあると思われます。

そんなAbemaTVはスマホ用として始まったということもあり、家にいる時だけでなく野外でも楽しめるというのが最大のポイントなのですが、一つ問題があります。というのも、スマホを使っている方は一定の高速通信に使える容量が決まっていて、その量は3GBとか7GBというように月ごとに高速通信できる量を超えてしまうと、月末まで低速(大手キャリアの場合最大128kbps、格安SIMの多くは最大200kbps)という制限を受けてしまいます。

そこで、新たにAbemaTVではアプリの画質設定に新たに今までの最低画質(5時間で1GB消費)よりデータ通信量を抑えた「通信節約モード」を新設しました。

こちらのモードに変更すると10時間の視聴で1GBと、今までの最低画質での半分しかデータ量を消費しなくなります。つい毎月動画視聴でデータ容量を消費しがちという方にとっては、あえてこうしたモードでAbemaTVを見ることで、他の事にも高速クーポンを利用するようにもできるのでお得です。

また、格安SIMの中でも低速での安定感に定評のある「OCNモバイルONE」の一番安い「一日コース」であえて高速通信を使わずにこのAbemaTVアプリの「通信節約モード」を使えば、画質は荒くちょっと止まることはあるものの、何とか見られるレベルまで到達させることも可能です。この場合は、あえてAbemaTVを見る時だけ高速クーポン(専用アプリで高速と低速を切り替えることができます)を切って利用するのが毎日の高速クーポンを減らすことなく無制限にAbemaTVを見ることができるので、おすすめの方法です。

他の格安SIMでも同じようにできるものもあるかも知れませんが、「OCNモバイルONE」の場合はこちらで試しての結果なので、他の業者では満足に見られなかったりすることもあるかも知れません。もし実際に格安SIMを利用している方で、高速と低速を切り替えることのできるものを使っている場合には、一度低速にして見られるかどうか試してみるといいでしょう。

特にデータダウンロードの制限なく使えるような環境を整えることができれば、屋内屋外を問わず、いつでもどこでもAbemaTVを見られる状況ができるわけで、特に山の中などスマホのワンセグが使えないような場合には代替手段として使える可能性も出てくるわけです。

このようなテレビ媒体はちょっと前には技術的に不可能だったものの、今回のアプリのアップデートによってさらに多くの人達がAbemaTVから発信される番組を見て、その内容について議論するような状況が出てくればテレビ界の新しい波として期待するところが大きいと言えるでしょう。まだ経験されていない方がおられるようでしたら、ぜひ見たいテレビがない時間にでも試してみていただきたいです。

禁断の魔力「マツコ・デラックス」の魅力について考える

2017年11月20日の日本テレビ系「月曜から夜ふかし」は、マツコ・デラックスさんが健康上の問題で休まれた影響が一番早く来た番組になってしまいました。司会としては2人体制で、しかもある程度はマツコ・デラックスさんがいなくてもその場でのやり取りをこなしてくれそうな関ジャニ∞の村上信五さんがいるにも関わらず、過去のVTRを編集して流すだけのものになりました。ただもしかしたらマツコさんの体調不良の症状が意外に軽かったという報道があったので、いっそのこと番組ごと一回休みにしてしまおうと思っての番組観覧中止という形になったのかも知れません。

改めてマツコ・デラックスさんが出ている地上波の番組ということで調べてみましたが、以下の8つ(地域によっては7つ)ということになります。これら全ての番組で影響がしばらく出ると思いますが、単なるコメンテーターの一人として出演する「ホンマでっかTV」は別にして、メインMCを務める番組はどうなるのかということで、各番組担当は頭を痛めていることでしょう。

・月曜から夜ふかし(日本テレビ系)
・5時に夢中!(TOKYO MX系)
・マツコの知らない世界(TBS系)
・マツコ&有吉 かりそめ天国(テレビ朝日系)
・アウト×デラックス(フジテレビ系)
・マツコ会議(日本テレビ系)
・夜の街を徘徊する(テレビ朝日系)
・ホンマでっかTV(フジテレビ系)

今回はそれほど番組に穴を開けるほどの離脱にはならなかったので上記の番組でも総集編を流して終わりという風にするか、マツコさんの穴を他の出演者をMCにして埋めるか(アウト×デラックスのような番組形態ならそうした方法も可能)という方法も取れますが、マツコ・デラックスさんが出ないとどうにもならないメインMC一人番組も中にあります。

まさに、タレントさん一人の能力におんぶにだっこという形の番組というのは、うまく回っている分にはいいですが、少しでも歯車がずれてしまうとそこからマツコ・デラックスさんの芸能活動自体にも影響が出てくるような形にもなってしまいかねず、テレビ局にとってもタレントにとってもなかなか苦しいものです。

改めてこの「マツコ・デラックス」さんの存在というものを考える場合、人的な交換が利かないことが魅力の一つとして挙げられるでしょう。例えば「開運なんでも探偵団」で司会を降板した石坂浩二・島田紳助のコンビが福澤朗・今田耕司に変わったとしても番組のメインは司会者ではなくあくまでお宝であるので、何事もなかったように番組は続いていますが、マツコ・デラックスさんがメインMCをやっている番組を誰にやらせるのか、それこそ細木数子さんくらいしかその存在感を持てるだけの人はいないのではないでしょうか(^^;)。

しかし、細木数子さんの場合は番組に出てもらうだけでマツコ・デラックスさんを相手にする以上に周辺がピリピリすることを覚悟しなければならないでしょう。さらに現在のテレビで発言する場合、言っていいことと悪いことをしっかりと自己規制して言ってくれるかというと、恐らくそんなことはないでしょう。そんな方々の中でぎりぎりバラエティ番組に出演できるような形はデヴィ夫人くらいで、恐らく彼女自身もメインMCを引き受けるようなこともしないでしょうし、「世界の果てまでイッテQ!」では出川哲朗さんとセットになっているからこそ面白いということをご本人も意識されているのではないでしょうか。

マツコ・デラックスさんのメディアの中での発言を聞いていると、まかり間違っても自分の立場が危うくなるような「コメントとしての痛さ」を見ている人に感じさせるようなコメントはしないですし、さらに今から自分が成り上がってやろうという野心も見えず、一部従順にテレビに従う場面もあり(コマーシャル出演など)、見ている方は安心してテレビでの発言を聞いていられます。今でもマツコさんが美味しい! と発言すればその商品が売れるという伝説は続いていますし、とにかく人や企業におもねることなく、基本的に嘘は言わなそうだというある意味誠実さを見ている側に感じさせてくれるという、変なコメントの魅力を持つ方だと思います。

そんなマツコさんの代わりの人材を考える場合、ゲイ関係や女装家と呼ばれる人たちの中で、冠番組を引き継げる人材はいるかということになりますが、ご自身が今までどのような形でテレビに向き合ってきたかということからメインMCをすることが難しいはるな愛さんやIKKOさんのようなケースもあります。ある意味、男のような女であることを生かして、テレビを見ている人たちが面白がるようなスタンスを取る中で、マツコ・デラックスさんくらいのバランス感覚をなかなか保てないというのが正直なところです。それは、最初からテレビコメンテーターとしてテレビに登場された方ではないというところもあるかと思います。

また、カルーセル麻紀さんに任せるにはご本人が大変だと思いますし、クリス松村さんの場合は場面場面によっての顔が全く違うため、かなり真面目な話題もMCとしてこなせる方だとは思いますが、マツコさんのような体つきとは180度違うため、そうした絵面から受ける感じが変わってしまうことでうまくいくかどうかは正直なところわかりません。ミッツ・マングローブさんの場合も背が高くてマツコさんとの体形差があるのが不確定要素になるかと思います。ただ、今挙げた方の中ではポスト・マツコ・デラックスの一番手にいる方なのではないかと思いますが、親戚に徳光和夫さんがいることが番組によってはマイナスに作用することもあるのではないかと思われます。

このように簡単に代わりがない個性で、コメントも正直で文句の付けようのない本音を出しまくる姿を当り前のように見るにつけ、テレビ番組をマツコさんといっしょに作っている人にとっては、マツコさんいつまでも元気でいてくださいと願わずにはおられない大切な存在であるでしょう。

そういう意味からすると、マツコ・デラックスさん以上に長い期間休まずに長年冠番組を続けている明石家さんまさんというのは、テレビ界を席巻するモンスターだとも言えます。しかし、テレビの世界には悲しい掟もあります。というのも、今から50年後、このブログがもし残っていたりしても、今の明石家さんまさんやマツコ・デラックスさんの存在自体を知っている人は少なくなるでしょうし、その面白さがわかる人というのもほとんどいなくなることが予想されます。それは、映画と違ってテレビの番組は数が多いし権利関係で長く見られる状態になるものは少ないという差が出てくるはずです。

さらに時代が進んで今から100年後には北野武さんは映画監督としてまだ名前を残していると思われますが、明石家さんまさんの名前はそこまで残っているかどうかという感じになるでしょう。でもテレビというのは泡沫の夢であることを自覚されて出ているならば、未来に名前が残らなくてもいいと思っている方も少なくないでしょう。恐らくマツコ・デラックスさんも自分の名前が後々まで残るかどうかという点についてはあまり執着せず、それが魅力を多くの人が感じる源になっているのではないかと思っています。

個人的にはマツコ・デラックスさんにはテレビの仕事に忙殺されて年を重ねるよりも、太く短くというならあえてテレビの仕事を全てこなすことにはこだわらずにご自身で好きな事をやっていただきたいと思っています。ただ完全休業という事にはせず、タモリさんのように好きな番組にだけ出ながらも、思わず口から出てくる正直な物言いというものを忘れずに、私達にこれからも面白いコメントの力を見せていただけると有難いです。

「今夜、誕生!音楽チャンプ」は「THEカラオケ★バトル」と何が違うか

審査員4名に判断されるとは言え、審査員1人の持ち点は25点で合計100点、残りの100点はカラオケマシンの入ったロボットによって決定され、得点の高い人が勝ち抜けるというトーナメント戦を制して優勝するとプロデビューのチャンスが与えられるというのが「今夜、誕生!音楽チャンプ」という番組の基本的なシステムです。あえて書くとすでにカラオケマシンを使った歌のうまい人のNo1決定戦といえば、テレビ東京の「THEカラオケ★バトル」があり、さらにそこで優勝しなくても目立った女子高生はすでにコマーシャルでデビューするなどの実績もあります。そんなわけで2つの番組の違いについて考えながら番組を見てみました。

この「今夜、誕生!音楽チャンプ」という番組は今回で2回目ですが、前回はどんな番組であるのかというお披露目の感じが強く、審査員のコメントも前回はわざときつめに出場者に発していたようでもありました。今回もきつめに行くのかなと思ったら辛辣にではあるもののかなり優しく、さらに別の進路のおすすめまでアドバイスをするという感じに変わっていて、審査員の技術的な意見についてはご丁寧にVTRで後追いの解説まで付くという感じで、本気で歌がうまくなりたいと思う同年代の視聴者にとってはそうした審査員の意見がそのまま歌をうまく歌うための汎用的なアドバイスとしても機能しているようにも思いました。その点は「THEカラオケ★バトル」とは違いましたが、その分審査員の本気の言葉の強さが薄まってしまい、出演者と審査員のやり取りを楽しみたいという視聴者にとっては何か物足りないという感じがしたのも確かでした。これならシビアにカラオケマシンの採点だけで決めた方がすっきりするのではないかとも思いましたし。

せっかく人間の審査員を出すわけですし、今回の予選でも2名しか準決勝には行けず、6人の予選出場者のうち4人落ちるわけですから、あえて審査員は出演者からいい人だと思われなくてもいいというような形での厳しい言葉があった方がオーディション番組としては盛り上がると思いますし、生半可な気持ちで応募してくる人を減らす効果もあると思います。

恐らく、前回の放送を見た方々がインターネット上でかなり審査員についての批判を繰り広げていましたので、そうしたネットの反応にも配慮したのかと思われますが、過去のオーディション番組では「スター誕生!」の阿久悠さんや、「全日本歌謡選手権」の淡谷のり子さんや竹中労さんのように、時には出場者に厳しい事を言ってあげないと、中途半端な希望を持ったまま人生の大切な時間を無駄に過ごしてしまう人も出てきてしまうかも知れません。厳しい物言いだけをとらえて、何様だ! と怒る人達がいるのは十分わかりますが、あなたくらいの才能では、とても歌手としてやってはいけないと、いかに厳しい言葉であってもはっきり言ってあげることがその人にとっての優しさであるかも知れないのです。そうした厳しい言葉を言われたからと諦めるようならすでに見込みはなく、それでも何回もチャレンジする中で出てくる才能も(歌手以外の才能も含めて)あるかも知れません。

そういった意味で、やはり審査員はいい人と思われなくてもいいから、真剣に厳しい物言いをされる方にもきちんと依頼すべきだと思いましたし、個人的には前回かなり厳しい発言をしていた方がその方針を変えてしまったのが何よりも残念でした。

そして、もう一つ番組を見ていて残念に思ったことがあります。今回見事予選を勝ち抜いた2人は、準決勝で歌う歌が勝ち抜いた時点ですでに決まっていたのです。Mr.Childrenの「イノセントワールド」というアップテンポの曲が課題曲として与えられたのですが、アイドルに楽曲を提供する審査員の方によると、バラードだけでは歌手としての活躍の場が限られるので、ポップスが歌えてコマーシャルでも活躍できるように用意した課題曲の歌い方を見たいとのことです。つまり、この番組をステップにして歌手デビューするにしても、純粋に歌で勝負できるような形で売り出してもらえるかどうかはわからず、場合によってはいいように所属事務所に使われてしまうリスクもあるというわけです。

もし、本当に歌だけを純粋に多くの人に聴いてもらいたいと思っている人がいるなら、YouTubeで自分の歌っている姿をアップすることでも番組出場のチャンスを得られる可能性のある「THEカラオケ★バトル」で存在感を示しつつ、並行してYouTubeで自分のチャンネルを作るなどして自分自身の歌う姿を売り込んでゆくという手もあります。極端な例を出すようで恐縮ですが、もし日本にスーザン・ボイルさんのような美声を出すことのできる才能があったとしたら、その人にあえて「イノセントワールド」を歌わせることもないと思うのです(別にMr.Childrenをディスっているわけではありません。それくらい両者の音楽的な立場が違うということです)。その辺は個人の感じ方として、歌えるなら何でもいいと思えはあえて止めはしませんが、そもそもジャニーズ事務所所属タレントが司会をしている時点で、彼らの引き立て役としての立場を抜け出すには、相当の才能を番組で見せないとならない点でも大変だと正直なところ思ってしまいます。

(2017.11.27追記)

とりあえず、トーナメントの優勝者が決まるまでは継続して見続けようと思って、リアルタイム視聴ができなかったので録画視聴をしましたが、前回は60分で予選ブロックの全員の歌唱を聞くことができたのですが、なんと今回は同じ60分で残りのBブロック予選と準決勝と決勝をやるというのはまさかと思ったのですが、やはり出場者の歌唱をカットしていました。

しかも、予選ブロックで出場した人全員です。Bブロックで運良く準決勝に出られた人は良かったですが、そうでない人は出たのか出なかったのか、視聴者にとってどうでもいい人になっていましたので、真剣に歌手を目指してこの番組に出場した人に失礼です。事前にこの番組に出ると伝えていた出場者の気持ちなど全く考えないスタッフの番組の作り方はびっくりするほどですが、先週出場者の歌を全員聞くことができたAブロックはシードだったのかの説明もなくBブロックの人たちをカットするような番組に、将来を託すのはどうかと本気で思います。

カラオケマシンを導入して歌唱を判断する前に、番組を見ている人にも同じ土俵で争っている様を流してくれないと、本当に才能があるかもしれない人たちを見逃してしまいます。例えば、TBSの「いかすバンド天国」では審査員の判断で完奏できないバンドもありましたが、スタッフによって勝手に編集されることはありませんでした。視聴者は出演する全てのバンドを見て自分なりのランキングを付けられたことでバンドブームが起き、今でも活躍するBEGINのようなバンドも生まれたのですがはっきり言ってあくまでこの番組は「THE カラオケ★バトル」から派生した番組として認知されるだけのものだと思えてきました。

今回決勝まで見てBブロックから出てきた人が優勝しましたが、まずは視聴者はその優勝した人が予選を勝ち抜けるだけの力量を持っていたのかというところについては予選の様子がわからないので(他の出場者との比較も含めて)判断ができず、さらに一部の審査員の中には空気を読まずにその方に満点を付けた方もいて、今後もし今回の優勝者よりも素晴らしいとその審査員の方が考えるような人が出てきたらどうするつもりだろうと番組の根本的な審査方法にすら疑念が出てきてしまいました。

あくまでこの文章は番組全体を見た感想ということで書かせていただきましたが、出演者の一人ひとりに思い入れができないオーディション番組の形式を今後も続けるのであれば、勝手にやって盛り上がっていてくれとしか見ている方としては思えないということを最後に加えさせていただきたいと思います。

(番組データ)

今夜、誕生!音楽チャンプ テレビ朝日
11/19 (日) 22:18 ~ 23:35
【MC】村上信五、黒木瞳
【審査員(五十音順)】小柳ルミ子、菅井秀憲、杉山勝彦、森公美子
【ゲスト】ホラン千秋
【挑戦者(五十音順)】織田智朗、柿原穂乃佳、柏野昌俊、菜摘、fumika、三木真里亜

(番組内容)

■いよいよ本格スタート!「本気で歌手を目指す」歌の実力者が全国から集結!1回戦・準決勝・決勝、3つのステージで「第1回歌唱チャンプ」が決定する! ■本当に歌の上手いアマチュアvsプロ審査員!本気と本気のぶつかり合いで、オーディションは白熱! ■「未来のスターを発掘したい!」という審査員の熱い思い。中には「こんなに愛のあるコメントがもらえるとは思わなかった」と涙する挑戦者も!

■今回は1回戦Aブロックの6人が挑戦。得点上位2名が準決勝ステージに進出できる。「信用金庫マンから脱サラして歌手を目指す」30歳の男性や、「広島出身!15歳の歌うま女子高生」など実力者ぞろい。 ■審査員には、声楽家・ヴォーカルディレクターの菅井秀憲、作詞家・作曲家の杉山勝彦のほか、歌手・女優の小柳ルミ子や、オペラ・ミュージカルでも活躍する森公美子が参戦! ■前代未聞のオーディションが開幕する!