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テレビが作る「実績」は本当の実力なのか?

NBC長崎放送が制作した番組に地域情報バラエティ「げなパネ!」がありますが、この番組は静岡県出身の漫才コンビ「トータルテンボス」の冠番組で、現在はネット配信の「TVer」で見ることができます。私が見た回は同じ漫才コンビで茨城県出身の「カミナリ」がゲストで出演していて、現在のお笑いについての興味深いお話をしていたのを見させていただきました。

「カミナリ」は今回紹介する「ものまねグランプリ」にも出場した漫才コンビ「霜降り明星」とは事務所は違うものの活動年数も近く意識するのだそうで、そんな霜降り明星の事を「吉本の宝」という風に表現していました。当然ライバル心もあるでしょうし、露骨に贔屓されることについての不満もあるでしょうが、「げなパネ!」の中ではそんな感じは一切出さず、実に立派な態度だったと見ていて思いました。

番組の感想に先立って直接は関係ない「げなパネ!」の話題を出したのは、お笑い界だけでなくテレビの世界でも番組制作に大きな影響を与える大手芸能事務所の「吉本興業」の意向を考えずして人気バラエティの制作が難しいのではないかという疑念があります。

そこで改めて漫才コンビの「霜降り明星」の活動実績について見ていくと、今回の「ものまねグランプリ」では見事チャンピオンに輝いたわけですが、これで漫才の「M-1グランプリ」、ピン芸のコンテスト「R-1ぐらんぷり」でメンバーの粗品さんがグランプリ受賞と、今回のものまね芸でのグランプリと合わせて「三冠」を取ったというまさに「吉本の宝」とカミナリやトータルテンボスに言わしめたことがお世辞ではない活躍ぶりです。

しかし、番組を直接見た方ならおわかりでしょうが、生放送でなく録画番組で、決勝の際に審査員全員が「霜降り明星」に一位の点を付けてのぶっちぎりのグランプリ獲得に、他の決勝進出者との比較で、審査結果に疑念を持った方も少なくないのではないかと思います。

「ものまねグランプリ」に限らず、新たなスターが出現した場合、いかにその人気を上げるように忖度するかということは別に番組がオリンピックなどの見ばえとは関係ない真剣勝負でなければ、十分演出の範囲であるように思えます。人気を上げたいと思っている人をドラマの主演にキャスティングすることは「やらせ」でも何でもありませんし、見たい人だけが見ればいいわけなので、今回のグランプリ受賞もそうした考えの延長線上にあったものなのかも知れません。

結果としてこうしてできた「実績」は後々まで残り、最初に紹介したように「霜降り明星」は「漫才」でも「ピン芸」でも「ものまね」でも面白いという大きなイメージが形成されます。そうしたイメージを利用して「霜降り明星」のお二人が今以上の実力を発揮することで名実ともに「吉本の宝」となっていくのか、そのイメージに押し潰されてしまうのか大変気になります。

もし私が「霜降り明星」のファンだったら、そこまで色々な事に手を出して受賞歴を増やす事よりも、地に足をしっかり着けて漫才の面白さとテレビでのフリートークの面白さ、さらにロケ回しのうまさを身に付けてずっとテレビで活躍することができるように頑張って欲しいと思うのですが。今後彼ら二人が、「何でもできる芸人」として無茶振りされて滑ってしまった場合、相当お二人にとってのダメージが増えてしまうのではないかと心配になったりします。大きなお世話と言われればそれまでですが、霜降り明星のお二人には、くれぐれもテレビに潰されることのないように、苦言を言ってくれる方を大切にして活動していって欲しいと思います。そして番組に出演したものまね芸人の方についても、今回の結果については悲観せず、次回こそグランプリを取れるように芸道に精進していって欲しいと思っています。

(番組データ)

ものまねグランプリ特別編 ものまねレジェンドが選ぶ次世代ものまね芸人No.1決定戦
2019/05/07 19:56 ~ 2019/05/07 22:54 (178分)日本テレビ
【MC】ネプチューン
【進行】郡司恭子アナ、笹崎里菜アナ
【出演者(審査員含む)】コロッケ、神奈月、ホリ、福田彩乃、荒牧陽子、山寺宏一、アンガールズ、横澤夏子、椿鬼奴、古賀シュウ、イジリー岡田、やしろ優、Mr.シャチホコ、平野ノラ、沙羅、メルヘン須長、山田七海、チョコレートプラネット、朝日奈央、霜降り明星、祭nine.、関根勤、井森美幸、ビビる大木、上白石萌音、池田美優、加藤ナナ、廣瀬智紀

(番組内容)

ものまねレジェンドが感嘆!進化した芸を見逃すな

▽霜降り明星ものまね連射漫才
▽チョコプラ大坂なおみVS和泉元彌
▽歴代朝ドラ主題歌を山田七海が激似熱唱…上白石萌音絶賛
▽CD店QUEENがすべて神奈月になったらバレる?バレない?
▽3年A組菅田将暉が蘇る?▽祭nine.のTT兄弟とは?
▽平成30年名曲45組で20分ノンストップメドレー!ものまねを止めるな
▽広瀬すず、佐藤健、山崎賢人…見た目そっくりさん


たかをくくってマスコミ対応を誤ると大変なことになる

2018年8月、日本大学に関する様々な話題がテレビのワイドショーで伝えられる中、日本大学に関わるタレントのスキャンダルまでも週刊誌で報道されてしまいました。日本大学に裏口入学したのではないかという疑惑を持たれたのが漫才師「爆笑問題」の太田光さんで、この騒動も大きくなるのかも知れませんが、どのようにテレビで喋るかによって今後のタレントとしての仕事にも影響してきてしまう可能性も出てきます。

この問題はまだどうなるかはこの文章を書いている時点ではわかりませんが、タレントと不正入学という事で思い出すのは、タレントのなべおさみさんのご子息のなべやかんさんの明治大学替え玉入学の事件でした。この時に、何をやっても何を発言してもバッシングを受けたのは、それまでのなべおさみさんの芸能活動についてのスタンスと、替え玉受験をした事実が発覚した後の態度がいちいちテレビを見ている人たちから突っ込みを入れたくなるような発言や行動をしてしまったからだと思われます。同じことを立川談志さんが行なったり発言したりすれば世間は許すのに、なべおさみさんが同じことをしたら何が何でもバッシングの方向に向かってしまうなど、後年騒動の主役であったなべやかんさんがテレビ朝日系列の「しくじり先生」でその顛末について説明しましたが、細かいところでたかをくくっているように見られる行動があり、それを正さなかったことでどんどんテレビ視聴者との感覚がずれ、バッシングが強まっていったというところがあったようです。

現代の芸能界でそのように何をやってもバッシングを受けがちになっている方の一人としてやり玉に挙がりやすいのが、ぱっと見てあまり苦労をしているようには見えないのに、普通に努力してもなかなか出演するのが難しいと思われる「笑点」のレギュラーとして抜擢された二代目の林家三平さんだというのは多くの人の意見が一致するところだと思います。

「笑点」のレギュラー出演者になることができれば、数多くいる日本の落語家の中でも一番顔が売れ、様々な営業のお誘いも掛かります。たまたま今回の放送の中で、放送日が8月12日ということがあったのか、二代目林家三平さんの挨拶の中で、徳島市で行なわれる「阿波おどり」についての告知をしていたのです。

この件についてちょっと気になって調べてみたら、ネットで地元の徳島新聞の記事がひっかかり、何と当日の12日に笑点のスポンサーであるサントリーが出している「サントリー ザ・プレミアム・モルツ連」に配偶者の国分佐智子さんといっしょに踊りに参加するということがわかりました。

これは別に悪いことではないのですが、2018年の徳島市で行なわれる阿波おどりについては、何かときな臭い話が持ち上がっています。表面上は、長年にわたって赤字を垂れ流していたとされた観光協会が破産宣告され、今年の阿波おどりは市と徳島新聞の方で取り仕切っている印象なのですが、有名な「総踊り」や街の路地に入って踊ることが禁止されてしまったことによって、一部の人たちが反発しているなんて、祭りの盛り上がりに水を差すような、なまぐさい話が週刊誌やネット上で話題に挙がっているのです。

これが単なる地元だけの話題で済んでいれば問題はないのですが、今後の祭りの状況によってや、関係者の暴露によって日本大学やボクシング協会のような形で全国放送のテレビ上で問題化された場合、当然祭りに参加することによって出演料や経費などが支払われているわけですから、週刊誌やテレビが面白おかしく、関連付けてバッシングされる可能性はないわけでもありません。当然、まだ大きな問題になっていない段階ですので、別に二代目林家三平さんの方では危機感も何もないでしょうが、いくらご実家の力が強くても、笑点のデータ放送による視聴者参加の座布団を上げたり取ったりするコーナーではほとんどの回で出演者では最低枚数で、多くの回で「0枚」というご本人にとっては屈辱的な仕打ちを受け続けているということを忘れてはいけません。何かきっかけがあれば一斉バッシングを受ける可能性を考え、自分のイメージが良くなるような芸能活動を心掛けないと、なべおさみさんの二の舞になる可能性もあります。

私自身は二代目林家三平さんとは何の関係もありませんが、もし阿波おどりについての話題が沸騰するような事があれば、三平さんには自分のところにやってくるマスコミに対して真摯な対応をすることが、かえってピンチをチャンスに変えられる事になるかも知れないので、この時点で個人的にエールを送っておきます。

(番組データ)
笑点 円楽が見えた!?昇太の横に緑の爺さん 日本テレビ
8/12 (日) 17:30 ~ 18:00 (30分)
【司会】春風亭昇太
【大喜利】三遊亭小遊三、三遊亭好楽、林家木久扇、林家三平、三遊亭円楽、林家たい平、山田隆夫
【演芸】笑福亭鶴笑
【チーフプロデューサー】東井文太(NTV)
【統轄プロデューサー】倉田忠明(NTV)
【プロデューサー】福田一寛(NTV)、飯田達哉(ユニオン映画)、大畑仁(ユニオン映画) 【ディレクター】高木裕司(ユニオン映画)、加藤健太(日テレアックスオン)

(番組内容)
老舗のお笑い演芸バラエティー。大喜利では、笑点クロスワード遊び。真ん中に「中」の付く言葉を考えてショートストーリーを発表▽笑福亭鶴笑のパペット落語
【演芸コーナー】笑福亭鶴笑のパペット落語 【大喜利】▽笑点クロスワード遊び。真ん中に「中」の付く言葉を考えてショートストーリーを発表▽風鈴をもって鳴らすなどして一言。「どうしたの?」に対してもう一言。


おバカな面々は飽きられるが出川哲朗さんが生き残る理由

この番組のコンセプトとしては、最近はリアクション芸人としての姿というよりも多くの世代に好かれるキャラクターとしての魅力があり、言い間違いや常識のなさをあえて前面に出すことでも面白い姿をテレビのこちら側にいる多くの人に見せて楽しませてくれる出川哲朗さんがメインになっています。ただ、表面的に出川さんの発言や行動を「おバカな面々」というゲストの人たちと同一に捉えていいのか、個人的には疑問に思っていました。

確かにみやぞんさんや滝沢カレンさん、丸山桂里奈さんなどは多くのバラエティ番組に出演なさっていて、その普通よりちょっと違った感性を口に出すことで、テレビ番組的にかなり面白い素材であることは確かです。

ただ、普通の人は何回も同じような事を答え、受け答えに慣れてくると言っていることに新鮮味がなくなり、単に自分の感性だけで受け答えをしているだけではテレビを見ている人達を笑わせられなくなる事も確かです。過去にはフジテレビ系の「クイズ ヘキサゴン」でおバカな解答者として歌まで出した「羞恥心」の中の2人、つるの剛士さんと上地雄輔さんは今では過去におバカキャラだったことを知らない人がいるのではないかと思うほど、普通にタレントとして活躍されていますし、元AKB48の川栄李奈さんも、過去にはおバカキャラで通していたものの、今の活躍を見るとそんな風には思えず、それだけ努力をして今の芸能界での居場所を作り出してきたと言えるでしょう。

逆に言うと、年を重ねていくに従っていわゆる「おバカな言動」というものがチャーミングに見えなくなり、単にこの人は莫迦だというイメージが形成される中で、当然テレビでの活躍の場は限られています。何しろテレビに出たい若い才能は今も掃いて捨てるほどいるのです。そういう点ではこの番組のゲストとして出ていた「おバカな面々」と呼ばれている人は、これからどのようにして芸能界をわたっていくのかを真剣に考えなければならないのではと、テレビを見ているこちら側が心配になるほどです。

そんな中、これは番組の演出としてわざとやっていたのか、そのまま素が出てしまったのかはわかりませんが、一つの象徴的な場面がこの番組の中で出てきました。番組の講師役として様々な知識を説明するパートがあるのですが、特定のゲストがそうした話をまるで聞いていないところがしっかり映ってしまっていたのでした。

学校の勉強ができる子とできない子は確かに出てしまうことはあるのですが、私個人の印象にはなりますが、出川哲朗さんは少なくとも真剣に講師の方の発言を聞いた上で「全然わからない」と言い放つものの、わかろうと努力したり、自分の得意なものを伸ばそうとしているように思います。だからこそ多くの人が入れ替わるお笑い界の中でも生き残り、現在ブレークするほど注目を浴びているのだと思います。しかし今回出演したゲストの中にはそうした講師の方のお話をおしゃべりや他の事をしていて全く聞いていないのでできないしわからないというような感じでそのままテレビに出ているという風に感じる人がおりました。こういう人というのは次に自分とかぶるような人が出てきたらとたんにお呼びがかからなくなることを理解しなければならないでしょう。

逆にそうした人に向かって講義をしなければいけない講師役として番組に呼ばれた方々は本当に大変だったろうと思います。スタジオでの講義でも出川さんはわからないなりに講師の方の話を集中して聞いていましたが、そうでない人たちの注目を集めて多くの人に物を教えなければならない教師という職業は本当に大変な仕事だということも改めてわかりました。

ただそんな中面白かったのが、講師役として出演した橋下徹さんの印象でした。最近は政治的な動向が見え隠れする中で、どうしても今の与党か野党かという勢力争いの中でどうしても橋下氏とそれに対抗する人達との間でギスギスするような番組に出演することが多く、見ていて後味を悪い事が個人的には多かったのですが、今回の橋下講師の話にもゲストはまるでトンチンカンな反応を見せ、あまりの受け答えに苦笑いからしだいに表情がゆるみつつ自説を述べるのですがそれがまたゲストの芸能人には一向に伝わらないという状況になってしまっていました。そんな時にはいつもは強い口調で相手をやり込めるのが得意な橋下氏でも、こうした人が相手だとまさに暖簾に腕押しで、テレビ的にはにこやかに終了したということでこれはこれで十分楽しめました。

(番組データ)

出川哲朗のアイ・アム・スタディー 知っとかなきゃヤバイよ日本のピンチSP 日本テレビ
4/17 (火) 19:00 ~ 20:54 (114分)
【MC】出川哲朗
【進行】羽鳥慎一
【ゲスト】みやぞん、滝沢カレン、丸山桂里奈、渚(尼神インター)、定岡ゆう歩、平沼ファナ
【講師】小池百合子、橋下徹、原晋、デヴィ夫人、齋藤孝、河野玄斗、左巻健男
【企画・演出】石崎史郎
【監修】古立善之
【プロデューサー】笹部智大

(番組内容)

小池都知事が「東京の秘密」を初授業!出川のアブナイ質問攻め▽デヴィ夫人の「終活」に密着!みやぞん歌う感動&爆笑の模擬葬式▽橋下徹も参戦!おバカ軍団と激論で降参?

この番組は、皆様に有益な情報をお伝えするのではなく、出川率いるおバカな面々がコミカルに学ぶ様を楽しむものです…
(1)小池都知事が初めて案内!東京を災害から守っている巨大地下○○潜入!総理大臣になりたい?出川が切り込む!
(2)神脳で話題の天才・現役東大生が直伝!偏差値上がる記憶術をみやぞん実践
(3)青学・原監督が教えるマラソン速く走る裏ワザとは
(4)ベストセラー作家から学ぶ「大人の語彙」出川・滝沢カレンの爆笑食リポ


昔の企画をそのままやれない現代のテレビ

現在、多くのテレビにはBSだけでなくCSチューナーが付いていて、有料でCSチャンネルを見ることができます。有料チャンネルを契約していなくても、テレビ局の方でスクランブルを解除することで、全てのBSアンテナを付けている人に放送を見せることができ、一年の中で数は少ないものの無料で番組が見られるキャンペーンを行なっていることがあります。

そんな中で、地上波を持つテレビ局が主導するCSチャンネルの中には、過去に地上波で放送された「伝説の番組」を再放送しているチャンネルがあります。そんな中で私が久しぶりに見ることができた懐かしくさらに面白かった番組として「天才たけしの元気が出るテレビ」(日本テレビ系)があります。

この番組の面白さはとにかくロケでのVTR作りにあり、今では大御所として腫れ物に触るようにテレビバラエティに出ることの多い「X JAPAN」も若かりし頃に出演して莫迦みたいな姿を晒していました。特に、「ヘビメタ」のコーナーの一環として、お客の減少で苦しんでいると番組に連絡した「やしろ食堂」の売り上げを立て直すために、「X JAPAN」のメンバーが自作の曲をひっさげてゲリラ的にその食堂でライブを行なった時には本当に腹が痛くなるほど笑ってしまいました。ネットで調べるとHIDEが加入して初めての仕事だったそうですが、店を壊したり火を吹いたり、食事をしているお客さんに目掛けて大声で「食えー!」と叫ぶライブは、まだ残っていればYouTubeで見られるかも知れませんので、当時のX JAPANが見たい方は探してみるといいでしょう。

番組ではオープニングトークの後に、ビートたけしさんの唯一の番組内ネタコーナーとして行なわれていたのが、「こんな○○はイヤだ!」という、かつてのツービートでの漫才ネタを彷彿とさせるかなり不謹慎な言葉も飛び出すコーナーでした。今回の「こんな世の中はイヤだ!」はそのコーナーを継承したものだと思われますが、様々な番組のエッセンスが入っていまして、長時間のスペシャル番組を作るのは大変だなあとしみじみ感じてしまいました。

というのも、番組名の「こんな世の中はイヤだ!」とし、視聴者からの投稿(少なくともテレビで募集しているのを見た記憶が無いので、インターネット経由で募集したものかも知れません)で「こんな医者はイヤだ!」という事で作った再現VTRはほぼ「さんま御殿」のノリで、最初のVTRには漫才コンビの「馬鹿よ貴方は」の平井ファラオ光さんがお医者さんに扮して出ていたのを確認したのですが(オフィス北野・俳優部のツイッターで「馬鹿よ貴方は」が出るという告知から裏取り済)、VTR出演者にはお笑い系の人達もいたのにその事については触れることもなく淡々と番組が進行していったのは、ちょっと悲しかったです。せめてたけしさんには、再現VTRで面白い事も言わず、淡々と演技をしているお笑い芸人さん達に突っ込んで欲しかったですが。

また、ネットのトラブルや日本にやってくる海外旅行客の旅行マナーについて、鈴木宗男さんまで出して主に中国をターゲットにして語るのは局の違う、そのまんま「TVタックル」のノリでしたし、車の事故のVTRにいたっては、海外のニュース映像としてすでにどこかで見たものばかりで、個人的にはそれほど新鮮さはありませんでした。とにかくそうしたごっちゃ煮的なエッセンスで番組を進行させようとしている中、コーナーとコーナーの間に入ってきたのが、懐かしの「こんな○○はイヤだ!」ネタで、実はこの番組のメインコーナーと言っても良かったのではないでしょうか。

最終的にはたけしさんの育った「足立区」を題材に「こんな足立区はイヤだ!」というネタをやりましたが、面白かったのは「災害義援金に30円しか集まらない」というネタがあり、そんな事はないだろうと視聴者を含む出演者が突っ込みを入れたところ、実は実際にスタッフが足立区を回り、恐らくコンビニのレジ前に置かれていた募金箱の写真を撮った上でしっかりと裏取りをしてネタをしていたことがわかり、本当に30円しか義援金が足立区では集まっていなかったのかと爆笑すると同時に、昔のように勝手な思い込みで面白い事を言ったら必ず苦情が入るから、ここまで裏を取った上でネタにするような方法しか今はできないのだろうなとも思えてきて、ちょっと笑えなくなりました。

元々、たけしさんは不謹慎な毒を吐くことで人気が出、見ている視聴者もそれを喜んで見ていたはずなのに、いつの間にか適当に毒を吐くような方法はテレビではやりにくくなってしまったということがあります。個人的には、このような番組もそれなりに楽しむことはできたのですが、今の若手芸人が大挙して出演する「お笑いウルトラクイズ」をぜひ見たいのですが、過去のものを放送する事はできても、昔やっていたことを現在に置き替えてそのままやるということができなくなってしまったのかなとも思えます。

テレビ自体は若者を中心にテレビ離れが言われ、それこそ有料のCS放送に加入して過去の伝説のバラエティ番組が見たいと思っている人もいるというのに、昔からテレビを見てきた者としても、「天才たけしの元気が出るテレビ」や「お笑いウルトラクイズ」のような番組を現代で復活させることのできないテレビというよりも社会的な状況というものに危機感を感じてしまいます。地上波がだめならBS日テレの深夜にテレビショッピングの間あたりにでも忍ばせて告知もなしにすれば新作を放送できるのではないかとも思うのですが。

(番組データ)

たけし&東野が叫ぶ「こんな世の中はイヤだ!」衝撃の病院&迷惑運転&(秘)飲食店潜入 日本テレビ
12/13 (水) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【MC】ビートたけし、東野幸治、桝太一(日テレアナウンサー)
【ゲスト】石原良純、柴田理恵、滝沢カレン、竹森現紗(弁護士)、夏木マリ、ブルゾンちえみ、山崎弘也 五十音順
【ロケ】児嶋一哉(アンジャッシュ)、小峠英二(バイきんぐ)、中岡創一(ロッチ) 五十音順

(番組内容)

ビートたけしと東野幸治の強烈タッグ!国民の不満を一刀両断!▼全国から告発されたトンデモ病院&飲食店に小峠、中岡、児嶋が潜入取材!▼鈴木宗男緊急参戦!マナーの悪い外国人をアメ横で徹底取締&スタジオで柴田理恵が中国人に大激怒!▼ネット通販トラブル&石原良純エロ動画での大失態が明らかに!▼驚愕足立区の真実!たけしがアノ伝説のコーナーで大暴れ!▼味見しない居酒屋のマル秘酒をザキヤマ&ブルゾンが決死の試食