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「闇営業での反社会勢力との交友」をネタにしたバラエティがあった

吉本興業は所属タレント11人が闇営業で反社会勢力(振り込め詐欺のグループ?)から金銭をもらっていたことを理由にして活動を自粛させると発表しました。ちなみにワタナベエンターテインメント所属のタレント2人についても謹慎処分になったそうです。そうした事は過去に遡ると常態化していたのでは? と思われることもありますが、私が克明に覚えているのが、この件を題材にした「ドッキリ企画」を行なった番組があったことです。改めてその番組のデータを紹介しましょう。

(引用ここから)

(番組データ)
金曜★ロンドンハーツ 2時間スペシャル 予想外すぎ!涙と笑いの新作ドッキリSP テレビ朝日
2018/10/26 20:00 ~ 2018/10/26 21:48 (108分)
【出演者】ロンドンブーツ1号2号/志尊淳/カンニング竹山、くっきー(野性爆弾)、小宮浩信(三四郎)、コロコロチキチキペッパーズ、チョコレートプラネット、Niki、藤田ニコル、藤本敏史(FUJIWARA)、山崎弘也(アンタッチャブル)、渡辺直美、他 [50音順]

(番組内容)

ブレイク前から現在に至るまで渡辺直美を支えてきた、「ある男性」に感謝の気持ちを伝えるために、直美がサプライズドッキリ企画を。しかし、決行当日に思いもよらない展開に…。直美も涙してしまった波乱の結末とは!? そして、現代社会で重要視されるコンプライアンスをおとり捜査!! 闇営業、怪しい薬、反社会的勢力からどんなに甘い誘惑があっても断る事ができるか!?チョコプラやニコル、くっきーの新作ドッキリも!

(引用ここまで)

お笑いコンビのコロコロチキンペッパーズ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー東京本部所属)の「ナダル」さんがドッキリのターゲットで、闇営業のお金につられてつい反社会勢力と思しき(これは番組の仕込んだもの)男性にとり入ってしまうナダルさんのモラルの無さを嘲笑気味に笑い飛ばした事を覚えています。

この頃からナダルさんは「人間性を疑われる」ようなキャラクターでブレイクした感があり、当時は笑って見ることもできたのですが、この番組の出演者の中には今回よしもとから発表があった謹慎処分を受けた人物が一人混ざっており、もし彼がこのドッキリのVTRを見て心から笑っていたとしたら、もはや自分のやっていることを棚に上げての人のダメさ加減を笑っていたことになります。

そもそもこんな「闇営業で反社会勢力の人間からお金を受け取るか」ということをドッキリのネタにするということは、もはや芸人たちは当り前にこうした誘惑を受け、今回処分を受けていない人であっても実は裏で同じような事をやっていると思われるような状況があるからなのではなかったのでしょうか。だからこそドッキリにもリアリティがあったと考えることもできるという風に考えが及んでいくと、当時のロンドンハーツのスタッフもちょっと暴走してしまったのでは? と思わざるを得ません。

テレビバラエティは多少暴走するくらいでないと面白くないという意見を持たれる方もいるのではないかと思います。ただ、今回の場合は具体的に「振り込め詐欺」を行ない善良な視聴者の懐からなけなしのお金をだまし取った人達からお金を受け取って自分の遊びや生活のために使っていたということになるわけなので、もはやタレント本人がどんなにお詫びしても許されない可能性があります。単に他人の悪口を言ったり放送禁止用語(実際は各放送局の定めた自粛すべき言葉のリストにある言葉)を連呼したり、全裸になったりする「暴走」の場合は時間とともにほとぼりが冷める事がありますが、詐欺被害者はそのタレントを見ただけで過去の過ちを思い出したりするかも知れないので、なかなか難しい部分があります。

今回の報道では主にタレント個人に対する処分ということだけですが、今回あえて過去に遡って特定の番組を紹介させていただくことで、番組の企画を考える中でも注意したいものが存在するということを紹介させていただきました。


ポイントは「無料」「深夜」「休み期間中」

TBSテレビの「水曜日のダウンタウン」で事前告知された安田大サーカスのクロちゃんが檻の中に収監されている様子を見に行こうと遊園地の「としまえん」に押しかけた人があまりに多く、テレビ局が用意した警備の範疇を超えていたのか、渋谷のハロウィン並みの馬鹿騒ぎを画策した人物がいたからなのかわかりませんが、深夜の大騒ぎに警察が出動しイベントは中止され、TBSは警察から厳重注意を受ける羽目になりました。

今回の事件は、今年立教大学の学園祭でアイドルの橋本環奈さんが来るというデマが流れて人が殺到するような事はありましたが、そこまで熱狂的なファンがいるとは思えない、お笑い芸人のクロちゃんを見るためだけになぜそれだけの人が集まったのかという点を見ていかないと、今後も同じようなトラブルが起こる可能性があります。

今回の騒動は、何かとインターネットがあればテレビは要らないと言われることも多い中、さらにデータ上の視聴率もそれほど上がらない中でも見ている人は人気番組をリアルタイムで見ているし、さらにそこから自分の意志で動いてイベントにも向かうという能動性を合わせ持つ、テレビに扇動されやすい人がこれでもかというほどいることを関係者にも認識させてくれる結果となりました。

私は直接現地に行ったわけではないので直接はわかりませんが、現地へ行ったり近くに住んでいる人がTwitterに上げたコメントを見ていると、きちんと警備員をTBSでは配置していたようですが改めて日本人は「無料」という言葉に弱いなということを感じてしまいました。

東京近郊に住んでいても深夜には公共交通機関は止まってしまうので、車を使ってガソリン代をかけてまでお笑い芸人一人を見に行こうと思うというのはちょっと普通では考えられません。しかし、時期は小中高生の冬休みの時期でもあるし、深夜にお出掛けしてテレビの続きの光景が見られるとすればある種の「一大イベント」になります。さらに、今回も多くの人が現場の檻に入ったクロちゃんの写真を投稿しているように、とにかくSNS映えのするネタの原場に行きたいというニーズも持っていました。

さらに、あまりの人の多さに開催元がイベントの中止を発表しましたが、こうした情報が拡散する中で、現地にやってきた人の中には、もしかしたら「もうワンチャン」があるかもと期待したり、この騒動自体を楽しんだり、あえて中止しているとしまえんの中に入ろうと強引に押し入る人がいたりと、まさにこの年に渋谷で起きたハロウィンの騒動を連想させるような状況になってしまいました。

今回の批判の矢面には当然TBSおよび、「水曜日のダウンタウン」制作スタッフが立つことになるかとは思うのですが、今回のようなケースだけでなく深夜に人が集まって騒ぐようなイベントに掛けつけて、騒ぐことを目的にする日本のフーリガンとおぼしき限られた人がきっかけになっている面も拭えません。この点については今後日本の警察やイベントを開く主催者で情報を共有してそうした人物を見付けたら排除するというまさに海外のフーリガン対策が必要になると思いますが、もしこのイベントは深夜はライブカメラからのネット配信にとどめ、翌朝からスタートし有料での入場がクロちゃんを見る条件にしたら、いわゆる騒動狙いや面白そうだからと思うだけで来る人は減り、ここまでの騒動にはならなかったでしょう。

また、場所をとしまえんにしたのも失敗だったと思います。無料で深夜の開催になるにしても、ちょっとやそっとでは行けないような場所にするとか、まともに視聴者がすぐに行こうかと思わせるような条件から外すという配慮も必要になってくるでしょう。改めて地上波のゴールデンタイムに小中学生も見ている中で、視聴者との距離をどのように広げたり縮めたりできるか、そのバランスを取るのが難しいことは十分にわかります。

逆にそう思えばこそ、今回のようなトラブルで番組が打ち切りになるようなことにはなって欲しくないですし、こうしたテレビ局の仕掛けたイベントを利用して人暴れしようと企む人達をイベント参加に躊躇させつつも、番組のファンに思恵を与えられるような方法を来年は考えていただきたいところです。


テレビの企画に真っ向から対抗するタレントはいないのか

過去の番組の話題を出して恐縮ですが、このブログでは機会さえあればテレビの番組として流されたさまざまな企画について、現場まで見に行くこともあります。今回そうしたアンテナに引っかかったのは、タレントで俳優の石田純一さんが沖縄・那覇の沖映通り沿いにお店を出し、そのお店が1年以内に潰れる可能性が何%か? という苦労してお店を出した方にとっては余計なお世話という企画「芸能人の心配な店」です。

ちなみにこの企画は、日本テレビの「有吉ゼミSP」(2018/05/14 19:00 ~ 2018/05/14 21:00 120分)の中で放送されたもので、収録されたのはそれより物理的に前になるので、少なくとも番組内で指摘されたお店としてのダメな点というものを真摯に改良するつもりがあるなら、私の行った5月末から1~2ヶ月の期間があったということがあります。ここからは実際に私が撮ってきた写真とともに紹介しましょう。

お店は、写真の通りですが「沖映通り」(昔は映画館があったためそう呼ばれています)沿いにあるというテレビからの情報だけを鵜呑みにして通りを歩いていったのですが、那覇のメインストリートの国際通りから入ったためか、結構歩きます。お店は石田さんが大好きな冷麺を出す専門店で、コンサルタントの方は、道を歩いていてもお店がどこにあるかわからないという、おしゃれさにこだわった店作りをしているために風景の中に埋もれてしまっていて、隣のメガネ屋さんの大きな看板に負けないような工夫をしないと一見の観光客は入りづらいし入って来ないだろうという意見を言っていました。すると、5月31日現在下の写真のようになっていました。

恐らく「有吉ゼミSP」を見てなかった人は、この写真のどこに石田純一さんのお店があるかわからないと思います。私もうっかり見落しそうになってしまったのですが、この状況はテレビ放送時(ということはオンエア時よりも前)と全く同じ状況になっているのです。木を張りつめた一角がメガネ屋さんの手前にあると思いますが、六角形が二つ重なったところから地下に向かって入るお店が石田さんのお店です。そして、正面に回ると残念ながらお店は昼休憩に入っている時間のようでクローズしていたため、実際にメニューやお店の内装、冷蔵庫の位置について確認することはできませんでしたが、この外観を見ただけで石田さんの「ある思想」というものを感じないわけにはいきませんでした。

おしゃれな雰囲気のお店であることはこの外観からはわかりますが、お店が休憩中にしてもメニューの内容すら外からはわからない状況に、この店は何の店なのか、ことによると観光客をぼったくるお店ではないかと思う人がいても不思議ではないでしょう。もちろん、テレビで悪い言われ方をしたものの店内やメニューの紹介をしてもらい、現地でお会いした沖縄在住の方も知らなかったこのお店が石田純一さんのプロデュースでオープンしていることを世間に知らしめる効果は私が訪問したことで十分あったことは間違いないと思います。しかし、これだけテレビの多少ふざけた企画とは言え、辛辣にアドバイスしたことを軽く受け流して営業を続けるというのは、さすが芸能人は副業にも余裕があるなとしか感じることができませんでした。

私自身は、このようなディスられるような企画に乗って自分のお店を何とか宣伝してもらおうと考える芸能人やタレントがいても問題はないと思うのですが、番組で見た石田さんはいちいちもっともだというように番組の用意した専門家の意見を聞いているように見えたので、ここまで意固地に自分の意志を通そうとするのがちょっと意外でした。

でしたら、石田さん自体がスタジオで大見得を切るなどして「自分の店なんだから人に指図される筋合いはない」と対決を煽れば、逆に番組の方でその後はどうなっているのかという追加取材が店が続いているうちに来る可能性だってあったでしょう。お店のTwitterを見たら5月末でオープン半年になり、ドリンクサービス終了という寂しいお知らせが残っていました。このままではお店がだめになった後に取材に来るというのがパターンになってしまう可能性もあります。

個人的には今からでも、石田さんにはご自身で番組登場を直訴してでもテレビの企画の目論見どおりにはならないと主張しつつお店を良い方に変えていって欲しいとこれは本心で思っています。このままテレビのバラエティー班および、視聴者の思い通りの結果になってしまっては、大物俳優としてのメンツも立たないでしょうし、ご自身の経営努力でお店を沖映通りの人気店にすることができれば、石田さんはテレビのバラエティー班の鼻を明かすこともできます。

私自身は次にいつ沖縄に出掛けられるかはわかりませんが、次回訪問時にはきちんと営業時間を調べて行って、お店おすすめのメニューがいただければいいなと思っています。


「ディベートバラエティ」をテレビ局が手掛けないのは何故か

見終わってスッキリするドラマや映画の世界とは違って、現実の世界の中にはこちらがこうあって欲しいと思うことでもうまいことまとまることがなくうやむやのまま終わってしまうことがかなりあります。

そうしたフラストレーションをスカッとさせることができる番組に「痛快TVスカッとジャパン」(フジテレビ)がありますが、これは視聴者からの日常の中でのストレスが溜まる対人関係の内容をミニドラマで再現しながらストレス解消へと持って行く作りになっているものの、ミニドラマでストレスの種となるキャラクターが逆に際立ってしまって、その悪役が人気になってしまってくると、なかなか悪いやつをやり込めてスカッとするという方に行かなくなるという番組としての存在の危うさがあるのではないかと個人的には思っています。

そして、できれば収録したVTRでなくスタジオでのやり取りの中でスカッとする方がたとえそれが収録番組であっても放送中にはそれなりのリアリティを持てます。そんな風に考えてぜひテレビのバラエティ番組の中で実行することができないだろうかと思う事があるのですが、今回はそんなスカっとできるかも知れない私の思い描く番組の姿についてちょっと書きたいと思います。

世の中にはイデオロギーの対立があり、そうした事柄に正面からぶつかろうとした番組に「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)があり、更にそこから派生したと思われる「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)という人気番組も生まれました。しかしこの種の番組というのは、どちらの言っていることが正しいのかという討論というよりは、いかに相手より大きな声を出して自分の言いたいことを時間内に言い尽くしたり、相手の発言をいかに妨害するかという事が大切なような感じになり、逆に見ている人の中には「何が話されているのか多くの人が同時に喋るのでわからない」とか、「話を聞きたい人が喋ろうとしたら妨害するように話をかぶせてくるのにムカついた」とか、かえって番組を見てストレスが溜まるということもあるようです。これは、多くの論者がいて話すので時間の制限があるテレビではどっちみちこうなることはわかっているとはいうものの、もう少し見ている人にわかるような形でディベートをするような番組があればなと思うのです。

討論する内容については、あえて政治的なイデオロギーの論争になって本質がわからなくなるようなことがないように、それこそ「痛快TVスカッとジャパン」のような日常の些細な悪人(シチュエーションを十分理解した役者さんにやってもらう)を尋問して最終的に論破すれば成功とするような形にすれば、番組がイデオロギー論争に巻き込まれることはなくなるでしょうし、政府や各種団体からあからさまに抗議を受けることもなくなるでしょうから、あくまで題材については今の政治についての内容は控えた方がいいと思います。

希望する内容というのはあくまで「一対一」でディベートするということです。その際、一定の時間を区切ったりディベートの場所をリングの上にしたりすればバラエティ色も高まるでしょう。何回かに区切ってディベートを行ない、スポーツで言えば審査員役のタレントがそのディベートを判定するようにすれば、時間制限のあるテレビ番組内でもそれなりに面白くまとめられると思います。

例えば、今多くの人がおかしいのではないか? と思っているかも知れない「共謀して何かを隠そうとしている人が口裏を合わせて証言をし、さらにその中で追求されたくない質問をされた場合に『記憶にない』と言う人の嘘をどうやって追求するか?」というような事でも、国会で繰り広げられているやり取りを見てもっともらしく「野党は追求が甘い」と言い放つ人が本当にそうした人物を追いつめられるのか見てみたいです。当然そこまで言う方なら自分の実力を示そうとしてくれるでしょうから、弁護士や元刑事、さらに政治評論家という立場の方がガチですごい人なのかが証明されるわけで、本当に自信のある方なら喜んで出演してくれるだろうと思います(^^)。

こうした番組が軌道に乗れば、番組内で卓越したディベート能力を示した人が国会議員としてスカウトされたり、それこそ橋下徹さんのように首長や政党の代表として最初は単なるテレビに出ている人だったのが世間に大きな影響を与えるような人材を輩出するようなものに化けるかも知れません。ただその際、番組出身の国会議員が国会で何かの疑惑で追求した内容が現在と同じように批判されることがないよう、スターを作リ出すためのヤラセは避けてくれれば、見て楽しいし社会にも役に立つかも知れないバラエティになるのではないかと思うのですが、この考えはかなり甘いのでしょうか(^^;)。


「おしどり夫婦」と「代理母出産」

芸能ジャーナリズムというものの存在意義を問われている現象が2018年になって起こってきています。音楽家の小室哲哉さんが脳梗塞で介護の必要な奥さんのKEIKOさんとの関係がありながら看護師の女性との不倫疑惑を週刊文春により報道されたことによっていや気が差したのか、表舞台からの引退を表明しました。

これは、自分のプライバシーを公にすることで多くのチャンスと利益を得てきた小室氏にとってはご自身の生き方を見付め直すいい機会になったのではないかと思います。一部の方々は週刊文春の報道に怒り心頭に達していますが、文春がやらなかったら他の週刊誌やテレビバラエティに売り込みがあるような事なので、個人的にはどこがやったかということは関係ないのではないかと私は思っています。

ここで、改めて芸能人・アーティスト・俳優・タレントなど、自らの存在を公に晒すことで生活の糧を得ている人(事務所含む)と、そのプライベートを報道する芸能ジャーナリズムとの関係を見ていくと、どちらも金銭的な利益を目標に置いている所は同じでも立場の違いから対立することになる構図が伺えます。

取材を受ける側というのは、自分が出演した映画・コンサート(アルバム)・テレビ番組などを広く日本全国の人に知ってもらいたいという目的で自ら記者会見を開くことがあります。そこでタレントは仮に自分のプライベートが記事になったとして、その事により新たにスポンサーが付いたり、自分の出た媒体がヒットして次の機会を得ることになることを望みますが、逆にスポンサーが撤退したり、今まで見ようと思っていた人が止めるような動機付けになるような情報が流れるとまずいので、都合の悪いプライベートの情報をしつこく聞くような事をする芸能ジャーナリズムにはいい顔はしないでしょう。

ただ、昔の芸能記者の中には狡猾に取材者の本音を小出しにさせるために条件を付けるようなやり方をする人もいました。全て宣伝だらけのコメントなど、記事にしたところで誰も買わないし読まないので、ある程度タレントにとって都合の悪い内容を載せる代わりにさりげなく新しい仕事の内容を紹介するとか、さらに不都合な事をその後深掘りされないように、逃げ道を教えて炎上しすぎないようにある程度の火消しも同時にはかるとか、こうした丁々発止のやり取りの中で芸能スクープが生まれていた時代もありました。

しかし、今の時代はそうしたお約束とは無縁に、事務所の力がある所に所属している人には何も起きないものの、事務所の力がない人には徹底的に報じてフォローもしないという場合もあるかも知れませんので、今後ワイドショーのニュースの主役として出るには覚悟が必要になるでしょう。

そんな中、ちょっと気になったのがフリーアナウンサーの女性と映画評論家の夫との間で、「代理母出産」をして子供ができたことがニュースになったことです。今のところおおむね好意的な報道で、さらにスポーツ新聞での写真には子供を抱いた母親と父親が並んで写っている会見の模様が出ています。

インタビューでは母親が、将来その子に自分がロシア人の代理母から生まれた事を言う事も考えていると述べたとされていますが、ネットでは様々な意見が出ているようです。日本ではできない代理出産というのはお金もかかりますし、うまく行かない場合もあるでしょう。さらに、なまじ芸能ジャーナリズムから取材を受け、テレビのバラエティ番組にも「おしどり夫婦」として出演する機会もあるだけに、こうした「妊活」および子供を授かるという事もネタされることで、さらにテレビから声がかかる場面も増えるという戦略が全くないとは言えないでしょう。

それは逆に、できるだけ自分の子供に健やかに育って欲しいという点においては難しい面も出てくるところもあると思います。もちろん、様々なシミュレーションを重ねた上でのロシア行きだったのでしょうし、少子化社会と言われる中で40代でお子さんを産んで育てるというのは素晴らしいことです。しかし、これだけのネット社会の中、先日出た親子3ショットの写真とともに出したコメントはネット上にずっと残り、親が知らないうちに成長した子供さんが見てショックを受ける可能性も十分に有りえます。

個人的にはお子さんには健やかに伸びやかに成長していってほしいとは思いますが、全ての芸能ジャーナリズムが同じように考えているわけではなく、親が有名人であることの闇というものも今後出てくることが想像されます。そんなわけで、その「おしどり夫婦」の具体名はあえて書きませんでしたが、今後の週刊誌やワイドショーの動向によってはいつバッシングの方向になるやも知れませんので、その事を想定はされているとは思うのですが、一度出してしまった以上はこれまで以上にお二人でバラエティ番組に出まくって、むしろ日本でも代理母出産についての議論が巻き起こるような問題提起をされるのもいいのではないでしょうか。


禁断の魔力「マツコ・デラックス」の魅力について考える

2017年11月20日の日本テレビ系「月曜から夜ふかし」は、マツコ・デラックスさんが健康上の問題で休まれた影響が一番早く来た番組になってしまいました。司会としては2人体制で、しかもある程度はマツコ・デラックスさんがいなくてもその場でのやり取りをこなしてくれそうな関ジャニ∞の村上信五さんがいるにも関わらず、過去のVTRを編集して流すだけのものになりました。ただもしかしたらマツコさんの体調不良の症状が意外に軽かったという報道があったので、いっそのこと番組ごと一回休みにしてしまおうと思っての番組観覧中止という形になったのかも知れません。

改めてマツコ・デラックスさんが出ている地上波の番組ということで調べてみましたが、以下の8つ(地域によっては7つ)ということになります。これら全ての番組で影響がしばらく出ると思いますが、単なるコメンテーターの一人として出演する「ホンマでっかTV」は別にして、メインMCを務める番組はどうなるのかということで、各番組担当は頭を痛めていることでしょう。

・月曜から夜ふかし(日本テレビ系)
・5時に夢中!(TOKYO MX系)
・マツコの知らない世界(TBS系)
・マツコ&有吉 かりそめ天国(テレビ朝日系)
・アウト×デラックス(フジテレビ系)
・マツコ会議(日本テレビ系)
・夜の街を徘徊する(テレビ朝日系)
・ホンマでっかTV(フジテレビ系)

今回はそれほど番組に穴を開けるほどの離脱にはならなかったので上記の番組でも総集編を流して終わりという風にするか、マツコさんの穴を他の出演者をMCにして埋めるか(アウト×デラックスのような番組形態ならそうした方法も可能)という方法も取れますが、マツコ・デラックスさんが出ないとどうにもならないメインMC一人番組も中にあります。

まさに、タレントさん一人の能力におんぶにだっこという形の番組というのは、うまく回っている分にはいいですが、少しでも歯車がずれてしまうとそこからマツコ・デラックスさんの芸能活動自体にも影響が出てくるような形にもなってしまいかねず、テレビ局にとってもタレントにとってもなかなか苦しいものです。

改めてこの「マツコ・デラックス」さんの存在というものを考える場合、人的な交換が利かないことが魅力の一つとして挙げられるでしょう。例えば「開運なんでも探偵団」で司会を降板した石坂浩二・島田紳助のコンビが福澤朗・今田耕司に変わったとしても番組のメインは司会者ではなくあくまでお宝であるので、何事もなかったように番組は続いていますが、マツコ・デラックスさんがメインMCをやっている番組を誰にやらせるのか、それこそ細木数子さんくらいしかその存在感を持てるだけの人はいないのではないでしょうか(^^;)。

しかし、細木数子さんの場合は番組に出てもらうだけでマツコ・デラックスさんを相手にする以上に周辺がピリピリすることを覚悟しなければならないでしょう。さらに現在のテレビで発言する場合、言っていいことと悪いことをしっかりと自己規制して言ってくれるかというと、恐らくそんなことはないでしょう。そんな方々の中でぎりぎりバラエティ番組に出演できるような形はデヴィ夫人くらいで、恐らく彼女自身もメインMCを引き受けるようなこともしないでしょうし、「世界の果てまでイッテQ!」では出川哲朗さんとセットになっているからこそ面白いということをご本人も意識されているのではないでしょうか。

マツコ・デラックスさんのメディアの中での発言を聞いていると、まかり間違っても自分の立場が危うくなるような「コメントとしての痛さ」を見ている人に感じさせるようなコメントはしないですし、さらに今から自分が成り上がってやろうという野心も見えず、一部従順にテレビに従う場面もあり(コマーシャル出演など)、見ている方は安心してテレビでの発言を聞いていられます。今でもマツコさんが美味しい! と発言すればその商品が売れるという伝説は続いていますし、とにかく人や企業におもねることなく、基本的に嘘は言わなそうだというある意味誠実さを見ている側に感じさせてくれるという、変なコメントの魅力を持つ方だと思います。

そんなマツコさんの代わりの人材を考える場合、ゲイ関係や女装家と呼ばれる人たちの中で、冠番組を引き継げる人材はいるかということになりますが、ご自身が今までどのような形でテレビに向き合ってきたかということからメインMCをすることが難しいはるな愛さんやIKKOさんのようなケースもあります。ある意味、男のような女であることを生かして、テレビを見ている人たちが面白がるようなスタンスを取る中で、マツコ・デラックスさんくらいのバランス感覚をなかなか保てないというのが正直なところです。それは、最初からテレビコメンテーターとしてテレビに登場された方ではないというところもあるかと思います。

また、カルーセル麻紀さんに任せるにはご本人が大変だと思いますし、クリス松村さんの場合は場面場面によっての顔が全く違うため、かなり真面目な話題もMCとしてこなせる方だとは思いますが、マツコさんのような体つきとは180度違うため、そうした絵面から受ける感じが変わってしまうことでうまくいくかどうかは正直なところわかりません。ミッツ・マングローブさんの場合も背が高くてマツコさんとの体形差があるのが不確定要素になるかと思います。ただ、今挙げた方の中ではポスト・マツコ・デラックスの一番手にいる方なのではないかと思いますが、親戚に徳光和夫さんがいることが番組によってはマイナスに作用することもあるのではないかと思われます。

このように簡単に代わりがない個性で、コメントも正直で文句の付けようのない本音を出しまくる姿を当り前のように見るにつけ、テレビ番組をマツコさんといっしょに作っている人にとっては、マツコさんいつまでも元気でいてくださいと願わずにはおられない大切な存在であるでしょう。

そういう意味からすると、マツコ・デラックスさん以上に長い期間休まずに長年冠番組を続けている明石家さんまさんというのは、テレビ界を席巻するモンスターだとも言えます。しかし、テレビの世界には悲しい掟もあります。というのも、今から50年後、このブログがもし残っていたりしても、今の明石家さんまさんやマツコ・デラックスさんの存在自体を知っている人は少なくなるでしょうし、その面白さがわかる人というのもほとんどいなくなることが予想されます。それは、映画と違ってテレビの番組は数が多いし権利関係で長く見られる状態になるものは少ないという差が出てくるはずです。

さらに時代が進んで今から100年後には北野武さんは映画監督としてまだ名前を残していると思われますが、明石家さんまさんの名前はそこまで残っているかどうかという感じになるでしょう。でもテレビというのは泡沫の夢であることを自覚されて出ているならば、未来に名前が残らなくてもいいと思っている方も少なくないでしょう。恐らくマツコ・デラックスさんも自分の名前が後々まで残るかどうかという点についてはあまり執着せず、それが魅力を多くの人が感じる源になっているのではないかと思っています。

個人的にはマツコ・デラックスさんにはテレビの仕事に忙殺されて年を重ねるよりも、太く短くというならあえてテレビの仕事を全てこなすことにはこだわらずにご自身で好きな事をやっていただきたいと思っています。ただ完全休業という事にはせず、タモリさんのように好きな番組にだけ出ながらも、思わず口から出てくる正直な物言いというものを忘れずに、私達にこれからも面白いコメントの力を見せていただけると有難いです。