月別アーカイブ: 2018年5月

字幕放送の限界と今後の問題

今回の番組のメインテーマである、息子によって新進デザイナーとしてデビューすることになってしまった実の母親の成り上がり物語は大変面白かったのですが、今回はその壮大なドラマのすき間に入り込むような形で放送された「激レア」な職業についてのレポートを見ていて、ちょっと気になることがあったのでここで紹介させていただこうと思います。

テレビの設定で切り替えることができる「字幕放送」の文字をリアルタイムで入力しているステノキャプショナーという仕事があるのですが、ここではその仕事をされている方に取材して、どのくらいの早さでどの程度正確に入力ができるのか検証していたのですが、特殊なキーボードを使い、主にニュース用語などを単語登録することによって1分間に300文字以上という驚異のキーボード入力速度を実現しています。

ただ、普段はバラエティ番組を担当していなくて、ニュースの文字化を担っているオペレーターの方一人に、普段全く聞いていないだろうと思われる「ジョイマン」のお笑いネタを文字に起こしてもらうという無謀な依頼をこの番組では出していました。

ちなみに、実際にリアルタイムでテレビからの音声を文字化するにあたり、取材を受けた会社では2人一組で仕事を行ない、一人が入力したものをもう一人が漢字に直したり間違いを直したりした後でアップするような事を行なっていましたので、番組で検証した結果というのはあくまで、特殊なキーボードを使ってどこまで早口で行なわれるコントネタを追い掛けられ正確に記述できるか? というような事だったろうと思います。

私自身はそれまで、実際にお仕事として口述されたものをテキスト文書化するような人達は早く正確にできるものだろうと思っていたのですが、実は意外とそうでもないということに正直びっくりしました。ただ、ネタの早さに付いていける入力スピードだったのはさすがでしたが、「正確に」出力するためには大きな問題があり、それがたとえ特殊なキーボードを使っていたとしても、間違ってしまう根本的な原因があることがわかりました。

それは、私達がキーボードを使って入力する事と同じように、漢字をパソコン上で出すために行なわなければならない「かな漢字変換」の問題です。特に文章をそのまま写すのではなく、喋り言葉を文字化しなければいけないので、喋った内容をそのままかなで打ったとしても、変換をかけると正しいと目視で認識できないような「誤変換」が起こってしまいます。これはいわゆる「かな漢字変換」が基本のキーボード入力では回避できないもので、そこを変えていかないとどうにもならないように感じがするのです。

しかしながら、今後のテレビを考えてみると、生放送の字幕放送についてのニーズは現在よりももっと上がっていくのではないかと思います。というのも、今までは耳が不自由な人のためだけの放送ではなくなっているということがあるからです。

大きなショッピングセンターや高速道路のサービスエリアに設置しているテレビを見た方はおわかりかと思いますが、あえて音声を出さずに字幕放送にしておくと、周辺が騒々しい中でも字幕を読むことでドラマの内容やニュースの内容がわかりますし、それなりに聞こえなくても楽しめてしまいます。こうした形で字幕放送が使われることが多くなれば、やはりどんな番組でも字幕付きで見たいというニーズは出てくると思います。

そうなると、オペレーターの育成が必要になると思うのですが、何しろキーボードが特殊で興味があったとしてもなかなか手に入れることはできないでしょうし、さらに練習用に購入したとしても就職できるかわからない状況でお金を出すだけの人がいるのかどうかということもあります。

個人的な見解を言わせてもらえば、先述の「かな漢字変換」を行なわない入力方法ならば、常に画面に出す漢字を入力者が決定できるので、こうした字幕放送のオペレーターが使う入力方法としてより正確な文字を打つことができます。今使っているキーボードも入力方法も変えてしまい、一般的などこでも手に入るキーボードを使って「漢字直接入力」の行なえるオペレーターを育成することが大切ではないかと思うわけです。

ここまで読んでいただいて、「漢字を変換しないで入力する方法があるの?」と疑問に思う方もおられるかも知れませんが、元々日本語の扱えるタイプライターはどうなっていたか調べていただければわかるかと思いますが、和文タイプライターというものがかつてあり、そのオペレーターはかな文字だけでなく漢字も直接タイプして入力することを普通に行なっていました。

日本語ワープロの技術を研究していた時にも、「かな漢字変換」の他にキーの複数入力で直接漢字を画面に出す方法も考えられていたのですが、そうした漢字の出し方をするためにはいわゆる「常用漢字」の二千文字を超える数をそれぞれ直接入力できるように継続した訓練が必要になるディメリットがあります。日本語ワープロは初心者でも文字が打てることをテーマに開発されていたところもあったと思うので、時間はかかってもかな文字さえ入力することができれば漢字は自分の出したいものに何回も変換していくことによって誰でも入力できるような方式に落ち着きました。そのためこれだけ多くの人が日本語をワープロを使って入力できるようになったのですが、今回紹介した特殊技能についてはあえて誰でもできる方法をなぞってそのために正確に入力できないストレスを感じるならば、オペレーターを訓練して早く正確に日本語を入力できる「漢字直接入力」に変えていくのも十分ありだと思うのです。

具体的な「漢字直接入力」の形式としては、T-code、TUT-code、G-code、超絶技巧入力などがあり、そのどれもが「Google日本語入力」の「ローマ字カスタマイズ機能」を使ってその設定ファイルを読み込ませることができれば、普通のノートパソコンのキーボードからでも利用が可能になります。つまり、現在のように専用のキーボードが用意されている会社からでないと文字起こしができないということでなく、自宅でインターネットさえあればそこから直接作業ができるような環境も作ることができます。当然入力の学習におけるコストはかかりますが、一度覚えてしまえば導入のための費用は一切かかりませんし、もしキーボードの調子が悪くなったとしても、普通にお店に買いに行けば簡単に代替キーボードを調達できるメリットも有り、今の方式よりもかなり企業としてのコストはカットできるのではないかと思うのですが。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。 テレビ朝日
2018/05/28 23:15 ~ 2018/05/29 00:15 (60分)
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】東出昌大、高橋みなみ

(番組内容)

本日の激レア研究はこちら!
【激レアさん1】 自分では全く知らないうちに世界が認める洋服デザイナーになっていた主婦とその才能を見出した息子
【激レアさん2】 テレビ番組で話した内容を瞬時に打ち込む字幕放送の文字を入力する人


ネットTVと地上波・BSをまたいだ生中継視聴は便利

先日、テレビ朝日の社員が受けたセクハラ被害についての記者会見の様子をテレビ朝日系列のAbemaTVが中継しなかったことについて書きましたが、急に起こった状況の変化を感じ取って生中継する力というものは、テレビを含めたメディアの中で一番あるなと思えるのがネットのAbemaTVであることは間違いのないところだろうと思います。

今回の塚本幼稚園元理事である国を騙して安い値段で土地を購入されたとされる籠池夫妻の保釈というのは本日ではなくその前にニュース速報で出たのですが、検察が保釈に反対をしたとかでそのニュース速報は結果的に「誤報」になってしまったのですが、その後、裁判所が正式に保釈を決定したということで、検察はまだ籠池夫妻を拘置所に留めておきたかった何かがあったと考えることもできます。そうなると、保釈されたその日に何を発言するかというのは、多くの人の関心事だったはずでしょう。

記者会見の開進が20;00からだということだったので、AbemaTVに切り替えたら案の上記者会見の生中継をしていたので見ているのですが、念のため地上波とBSは全て見てみましたが、唯一生のニュースを放送しているBSフジでも記者会見の様子は流さずに、9時以降のニュースで録画を放送するような形で対応するのだろうと思いました。

ただ、こうしたニュースソースはできるだけ生中継で見ることによってその場の雰囲気とか、質問をする記者がどんな風に何を聞いているのか(マスコミ報道の中にはひどい聞き方をした記者の質問をカットして印象操作をする可能性もあるので)もわかり、その様子を多くの人が共有することで色々な事を隠したい人も隠せなくなるという効用があるわけです。今回の記者会見自体は35分くらいで終了したので、BSフジでは予定を変更しても生で中継して欲しかったです。記者会見の内容的にはそこまで見どころはなかったのですが、ずっと拘置所内にいて多少やつれているのではと思われた籠池夫妻がすこぶる元気で、今後はまたいろんな騒動の種になっていくのではないかと思われるような会見だったように思います。この会見の様子はその後の夜のニュースでも放送されましたが、生で全部見たのとニュース用に切り貼りされたのとは明らかに違います。やはりこうした会見は生で見たいものだとしみじみ思いました。

こうした生中継への欲求というのは何も記者会見だけの話ではなく、昨日の朝日新聞に連載しているプロゴルファーの石川遼さんが、日本のゴルフトーナメントのライブについて書いていた内容が、まさに録画放送でなく生中継をという意見でした。

ゴルフに限らず、テレビでスポーツ中継をする場合、サッカーのように時間が決まっているものならばいいのですが、雨や雷による中断があって予定の放送時間では伝えきれない恐れがあるので試合が終了しているところから逆算して録画放送をするスポーツ中継というのは少なからずあります。それはそれで、雨で何も動きのない映像だけをずっと流しながらアナウンサーが喋っているのを見ているよりは、スポンサーに迷惑を掛けずに時間内で試合の結果まで全てが見られる録画放送の良さというものもあるのですが、生の臨場感が感じられず、さらに最近ではテレビ中継が終わるまで本来速報の機能を果たすはずのネットでの試合結果の情報まで制限するようなことも普通に行なわれているので、こうした事が起こらないためにも、テレビで中継するなら生放送にこだわって欲しいということで、選手会長である石川遼さんはテレビ局やスポンサーと話し合いをしたいということまで書いています。

まさに、そうした生中継への要求が、選手側から出てくるというのが素晴しい事だと思いますし、このような要求がある中でどのくらいのテレビ局がこうした声に応えられるのかということも考えてしまいます。

ちなみに、この記者会見の裏ではBS朝日で男子バトミントンのユーバー杯準決勝、日本対デンマークの試合の模様を生中継していましたし、地上波のフジテレビではボクシングの井上尚弥の三階級制覇のかかった世界戦を生中継していまして、決定的な瞬間を見逃さないようにするのに苦労したのですが(^^;)、籠池夫妻の後にバトミントンの桃田選手(シングルス第一試合で世界ランク1位にストレート勝ち)を見て、その後で井上選手の世界戦(1R KOで三階級制覇)を見るなんてことは、テレビの前にいなければできないことです。だからこそ、テレビであらゆる興味深い事が起こったら追い掛けてでも生で中継するということを追求して欲しいと思ってしまうのです。

そんな中で、今後も急に入った記者会見というようなニーズではAbemaTVの独壇場となりつつあるので、テレビでAbemeTVが見られない方は家のテレビでも見られるようにしておくだけで、生中継の醍醐味をスマホとは比べものにならない大きな画面で見られるようにしておくことをおすすめします。

(番組データ)

AbemaPrime速報/籠池夫妻被告が保釈&会見!10か月は長期勾留なのか?
5/25 (金) 20:00 ~ 20:35(約35分)
籠池泰典・籠池諄子 他(敬称略)

(番組内容)

10ヶ月ぶりに保釈され、その日の夜に行なわれた記者会見の様子を生中継する。


昔のテレビ局の役割と今後のテレビ局の課題を西城秀樹の歌声とともに

歌手の西城秀樹さんが63才という年齢でお亡くなりになりました。昨日のお昼のバラエティで第一報があった後、さまざまなテレビでその訃報が流れました。多くの夜のニュースではトップ扱いであったということは、少なからず時代の流れをテレビの制作者も感じているからに他ならなかったのではなかったのでしょうか。

私の住んでいる静岡県では少し他の地域の方と違う思い入れがあります。同郷の漫画家のさくらももこさんもその思い出を「ちびまる子ちゃん」の中で形にしていますが、西城秀樹さんがデビューされた1972年から当時の静岡県にあるテレビ局の中の静岡放送が夏休みの時期に合わせたお祭りイベント「フェスタ静岡」を静岡市内の駿府城公園跡で開催していて出店なども出るのですが、オープンステージを作って当時のアイドルや歌手を呼んで入場無料で見せるということをやっていました。

その様子は改めて地元テレビで放送されるのですが、このオープンステージの常連として出演してくれたのが他ならぬ西城秀樹さんだったのです。今のように特定のアーティストのコンサートを見に行くということも地方都市ゆえのハンデというべきかあまりなかった当時、テレビ局のイベントとして無料でその姿を見せてくれる機会というのはそうあるものではありません。もちろん当時のテレビ局としてはそうしたイベントを行なうことにより多くの視聴者を稼ぎ、スポンサーを付けたいということはあったのでしょうが、当時のさくらももこさんのような子供は、ただただ毎年西城秀樹さんが来てくれるのが嬉しくて、多くの人波の中でほとんどその姿が見えなくても無理をして会場まで出向いたのです。それはまだテレビというものが多くの家庭の中で一家団らんで見られていた時代の話です。

こうしたさくらももこさんの経験があったかどうかはわかりませんが、後に西城秀樹さんはアニメ「ちびまる子ちゃん」のエンディングテーマとして「走れ正直者」を歌うことになります。「フェスタ静岡」を主催していた静岡放送(TBS系)とは違いフジテレビでアニメが放送されたのは微妙にイベントの内容をアニメでは紹介しずらかったということはあるでしょうが、西城秀樹さんにとっては単なる一地方での営業でしかなかった事が後年のヒット曲の題材になるというのもまたこれはテレビの力によるところが大きかったように思います。

ただ、ワイドショーやニュースでの西城秀樹さんの楽曲を紹介する時には仕方ないもののどうしても曲が一定のものに固まってしまい、もっと多くの曲が聴きたいという声に応えられないというのもまたこれは現代のテレビの限界であると思えてしまうわけです。

西城さんを悼む新聞のコラムを読んでいて個人的にもう一回聴きたくなった曲がありました。その追悼文は作曲家の小林亜星さんが書いたもので、ドラマ「寺内貫太郎一家」(TBS系)での共演が懐かしいですが、氏の西城さんに関する思い出の歌にちょっとぐっと来ました。小林さんが書いているのですから自作の曲について書いていたのですが、それはいわゆる歌謡曲ではないアニメ『∀ガンダム』のオープニング主題歌「ターンAターン」で、小林さんは西城さんに歌唱を指名し、西城さんも仕事の合間の強行スケジュールの中での収録となったものの、追悼文で「彼は(歌の世界を)完璧に理解して完璧に歌ってくれました」「音楽を通じて理解し合いました」「僕の作ったアニメの曲では一番だと思う」とまで書いています。

私もこんなに難しい曲を完璧に歌いこなす西城さんのすごさを以前から感じていましたが、追悼をしているどのテレビでも(私が見た範囲なのでもしかしてどこかのテレビ局が流しているようだったらすみません)この曲は出てきませんでした。

こうしたテレビでは出てこないものをどうしても見たいという場合、現代はインターネットというものがあるので、そちらの方から検索すればしっかりと西城秀樹さんの歌う「ターンAターン」がフルコーラスで聞けてしまうという現実があります。ただこの話は私が読んだ当日の新聞で見た話題だったので、もしかして『∀ガンダム』を放送したフジテレビだったらやってくれていたのかも知れませんね。

どちらにしても、テレビにはネット動画のように今見たいと思ったものをすぐに見ることができないという事があるわけで、その補完ということではありませんが、自局の番組を見ている人にとって他の情報番組やニュース内のコーナーと横並びにしない、テレビで発信できる情報を出すだけの力がこれからますます求められるのではないかという感じがするのです。恐らく今後は地上波やBSで追悼番組が放送されるとは思いますが、ぜひ『∀ガンダム』の映像とともに西城さんの歌声を流して欲しいものであります。


「ディベートバラエティ」をテレビ局が手掛けないのは何故か

見終わってスッキリするドラマや映画の世界とは違って、現実の世界の中にはこちらがこうあって欲しいと思うことでもうまいことまとまることがなくうやむやのまま終わってしまうことがかなりあります。

そうしたフラストレーションをスカッとさせることができる番組に「痛快TVスカッとジャパン」(フジテレビ)がありますが、これは視聴者からの日常の中でのストレスが溜まる対人関係の内容をミニドラマで再現しながらストレス解消へと持って行く作りになっているものの、ミニドラマでストレスの種となるキャラクターが逆に際立ってしまって、その悪役が人気になってしまってくると、なかなか悪いやつをやり込めてスカッとするという方に行かなくなるという番組としての存在の危うさがあるのではないかと個人的には思っています。

そして、できれば収録したVTRでなくスタジオでのやり取りの中でスカッとする方がたとえそれが収録番組であっても放送中にはそれなりのリアリティを持てます。そんな風に考えてぜひテレビのバラエティ番組の中で実行することができないだろうかと思う事があるのですが、今回はそんなスカっとできるかも知れない私の思い描く番組の姿についてちょっと書きたいと思います。

世の中にはイデオロギーの対立があり、そうした事柄に正面からぶつかろうとした番組に「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)があり、更にそこから派生したと思われる「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)という人気番組も生まれました。しかしこの種の番組というのは、どちらの言っていることが正しいのかという討論というよりは、いかに相手より大きな声を出して自分の言いたいことを時間内に言い尽くしたり、相手の発言をいかに妨害するかという事が大切なような感じになり、逆に見ている人の中には「何が話されているのか多くの人が同時に喋るのでわからない」とか、「話を聞きたい人が喋ろうとしたら妨害するように話をかぶせてくるのにムカついた」とか、かえって番組を見てストレスが溜まるということもあるようです。これは、多くの論者がいて話すので時間の制限があるテレビではどっちみちこうなることはわかっているとはいうものの、もう少し見ている人にわかるような形でディベートをするような番組があればなと思うのです。

討論する内容については、あえて政治的なイデオロギーの論争になって本質がわからなくなるようなことがないように、それこそ「痛快TVスカッとジャパン」のような日常の些細な悪人(シチュエーションを十分理解した役者さんにやってもらう)を尋問して最終的に論破すれば成功とするような形にすれば、番組がイデオロギー論争に巻き込まれることはなくなるでしょうし、政府や各種団体からあからさまに抗議を受けることもなくなるでしょうから、あくまで題材については今の政治についての内容は控えた方がいいと思います。

希望する内容というのはあくまで「一対一」でディベートするということです。その際、一定の時間を区切ったりディベートの場所をリングの上にしたりすればバラエティ色も高まるでしょう。何回かに区切ってディベートを行ない、スポーツで言えば審査員役のタレントがそのディベートを判定するようにすれば、時間制限のあるテレビ番組内でもそれなりに面白くまとめられると思います。

例えば、今多くの人がおかしいのではないか? と思っているかも知れない「共謀して何かを隠そうとしている人が口裏を合わせて証言をし、さらにその中で追求されたくない質問をされた場合に『記憶にない』と言う人の嘘をどうやって追求するか?」というような事でも、国会で繰り広げられているやり取りを見てもっともらしく「野党は追求が甘い」と言い放つ人が本当にそうした人物を追いつめられるのか見てみたいです。当然そこまで言う方なら自分の実力を示そうとしてくれるでしょうから、弁護士や元刑事、さらに政治評論家という立場の方がガチですごい人なのかが証明されるわけで、本当に自信のある方なら喜んで出演してくれるだろうと思います(^^)。

こうした番組が軌道に乗れば、番組内で卓越したディベート能力を示した人が国会議員としてスカウトされたり、それこそ橋下徹さんのように首長や政党の代表として最初は単なるテレビに出ている人だったのが世間に大きな影響を与えるような人材を輩出するようなものに化けるかも知れません。ただその際、番組出身の国会議員が国会で何かの疑惑で追求した内容が現在と同じように批判されることがないよう、スターを作リ出すためのヤラセは避けてくれれば、見て楽しいし社会にも役に立つかも知れないバラエティになるのではないかと思うのですが、この考えはかなり甘いのでしょうか(^^;)。


卓球で中国に勝つ瞬間を全国で見られるようにするために

前回までの卓球の世界選手権は地上波のテレビ東京のみで放送され、BSジャパンではハイライトが放送されるだけでしたが、日本チームの実力が上がり注目度が上がってくるにつれて節目が変わり、テレビ東京系列の地上波放送局のない地方でもBSジャパンで生の試合が中継で見られるようになったのは実にうれしい事です。ただ、女子の準決勝はBSでは途中で中継打ち切り、男子の準々決勝は放送されずということで、改めて地上波とBSとの同時放送についての課題も出たのではないかと思える今回の世界選手権の中継だったように思います。

来年の世界選手権は個人戦なので、さらにテレビ中継をするには難しい編成の中で行なわれるようななるとは思いますが、ぜひ地上波との同時放送を行なっていただいて、今後あるかも知れない日本選手の快挙を生中継で見る機会を与えて欲しいと切に願っています。ただ、今回の決勝は地上波でもBSジャパンでも生中継の予定にはなっていなかったのを、結局試合を完全生中継し、翌日の0時半くらいまで放送し続けてくれたのは本当に感謝です。おかげで、日本女子と中国チームとの差がどのくらいになっているのかを理解することができました。

今回の出場選手、伊藤・石川・平野についてこの3人は中国以外には無双とも言えるような強さを発揮したものの、対中国に限ってはその能力の差というものを改めて感じるとともに、テレビ局や他マスコミの発する「過度な期待の大きさ」を出しすぎであるということも感じてしまいました。

今回の大会は冷静に見て優勝を本気で狙えるかというとそこまでの実力は付いていなかったと思います。唯一中国に対抗できていたのは伊藤美誠選手で、彼女には他の二人にはないパワーと、ボールを擦り上げて繋ぐドライブを決め球にするのではなく、バウンドした時の頂点を強くひっぱたくスマッシュを打ったり、逆チキータという従来のチキータとは回転の質を変えるレシーブを試合で普通に使えるだけの戦術の幅の広さがあり、十分に日本選手対策を行なってきた中国選手にも勝てるだけのポテンシャルを持っていたように思います。

対中国選手という面では伊藤選手より先に平野選手が中国選手を倒したことは記憶に新しいですが、昨日の試合ではすでに中国選手に対策をされて、為す術がなかったという状況でした。しかし希望はあります。というのも、早いピッチで打ち抜く平野選手の打球に対応するために、相手の丁寧選手は少し台から下がって余裕を作ってほぼ完璧に平野選手の攻撃を壁のように打ち返していました。

それは、過去の男子の水谷隼選手のように後ろからラリーに持ち込んで時には拾いながら逆襲をするプレイスタイルに近いような気がしますが、残念ながらそうした戦術は今は主流ではありません。今年男子の日本選手権で水谷選手が何もできずに張本選手に負けたのは、台から離れずに早いピッチで、さらに力強いボールを打つ張本選手が相手では後ろに下がって返す形の戦い方では勝負にならないからで、今では水谷選手も台から下がらないで打つ戦術に変更しつつあります。

つまり、平野選手がもう少しパワーを付け、今の高速卓球を維持したまま一発で打ち抜けるだけの威力のあるボールを出せるようにできれば、現在の中国の主力選手では対策をしても十分に戦うことができる存在になるでしょう。ただ、石川選手と中国選手とのパワーの差が大きいので、その点を克服するか新たに中国を粉砕できるパワーとスピードを兼ね備えた選手を育成するかというところが鍵になるでしょう。しかし、石川選手は現在世界ランク3位の選手であり、今回補欠として大会に参加した早田選手や長崎選手が石川選手に勝てるようになるには時間もかかるでしょう。そうした選手同士の切磋琢磨の中、時間の経過とともにさらに日本女子チームの実力は上がり、中国との差も縮まってくると思いますので、来年の世界選手権でどうなるか興味は尽きません。

このように考えると、次回の世界選手権は男子の巻き返しもあるでしょうし、女子も相当期待できるだけに、来年の放送はぜひ決定的な瞬間をせめてBSでも見られるように柔軟な編成をぜひお願いしたいです。

(番組データ)

世界卓球2018 団体戦 女子決勝 日本対中国 BSジャパン
2018/05/05 20:54 ~ 2018/05/05 22:48 (114分)
【解説】 宮崎義仁(前日本代表男子監督) 河野正和(前日本代表男子ジュニア監督) 平野早矢香(ロンドン五輪団体銀メダリスト)
【実況】 植草朋樹(テレビ東京アナウンサー) 中川聡(テレビ東京アナウンサー) 増田和也(テレビ東京アナウンサー)
【インタビュアー】 鷲見玲奈(テレビ東京アナウンサー)
【メインキャスター】 福澤朗
【キャスター】 福田典子(テレビ東京アナウンサー)
【ゲスト】 武井壮
【ゲスト解説】 森薗政崇(世界卓球2017男子ダブルス銀メダリスト)、藤井寛子(世界卓球2010団体銅メダリスト)
【日本女子チーム】 石川佳純(3位)、平野美宇(6位)、伊藤美誠(7位)、早田ひな(18位)、長崎美柚(81位)

(番組内容)

五輪を超えるハイレベルな世界最強国決定戦!それが世界卓球。今年は国の誇りとチームの絆を賭けた団体戦!男女共に新時代の才能が集結し、史上最強メンバーで戦う初めての団体戦で卓球ニッポンは半世紀ぶりの世界一を狙う! ※延長の場合あり


江頭2:50を天然記念物にしてはいけない

今回の「アメトーーク!」で江頭2:50さんが取り上げられたのは、もはや江頭さんのような芸人さんが絶滅の危機に見舞われていることの表われだということが言えるでしょう。同じテレビ朝日のバラエティで、一定の需要のもと呼ばれていた「ぷっスマ」や、フジテレビの「めちゃイケ」が終了し、今後江頭さんを生かすようなバラエティが消えていく中、業界関係者の視聴が多いと言われるアメトーーク!で江頭さんを取り上げることで、何とか地上波のテレビバラエティにその居場所を残してあげたい(自番組に出すだけでなく、他局の番組にオファーをお願いしたいなど)という番組スタッフの願いが込められているように見えます。

私自身が江頭さんの存在を知ったのはテレビではなく、彼が所属する大川興業総裁の大川豊さんが書いた「金なら返せん!」という本の中で、当時から今も借金が減っていないその大川さんからもその借金グセを問題視されていたのが江頭さんでした。当時住んでいた住まいで家賃を払うことができず、大家さんが催促に来た時に逃げられるように、木を使った骨組みまで付け地下に脱出用のトンネルを掘った話などは、それだけの労力を使って脱出用のトンネルを掘るならバイトをやってお金を返せばいいのにと思うところですが、これら様々なエピソードは「芸人・江頭2:50」の伝説となり、存在感を高めているところもあります。ただ、このような人が今後出てきたとしてもテレビで良く見る芸人としてデビューできるのかという疑問が出てきます。

というのも、今回の番組に出演した江頭さんを敬愛するお笑い芸人たちは、そのほとんどがお笑い養成所やスクールの主身です。今後もお笑い芸人になろうとする人は、いかにして面白くするかということ以上にいかにしてテレビの中で生きていくかというような、芸人にとっての限界を最初から決めるようなことを養成所内でレクチャーされ、そうした指示を守る人が合格になってテレビに出られる方向になってしまう可能性があります。番組内でもそうしてデビューしたと思われる「お笑い芸人」の面々は、次に何をするかわからない江頭さんの行動を諌めたり苦笑いするといったようなテレビ内での「常識」を強要するようなところが見えてしまい、テレビを見ている方は安心して見られる半面、そんな芸人だけだと視聴者が想像する以上の笑いはなかなか生まれないという状況になっていってしまう恐れも出てきます。

江頭さんとテレビとの関係は本当に特別で、多くの番組で問題を起こしながらも深夜とはいえ地上波で特別に放送してもらっているのですが、普通に芸人道を突き詰めて信念を曲げないと思えばまずはテレビという場から離れ、舞台のような自由にやれる所を選ぶのが普通です。事務所社長の大川豊さんはまさにそうした方法論を現在は取っているわけですが、江頭さんは今でもテレビに出ることにこだわった活動をしているように見えます。それは、本人がそこまで言わないかも知れませんが、同業者である今回共演した人を含むお笑い芸人に対するもどかしさについて、何とか状況を変えたいという想いからなのではないかと思えます。

ただ、こうした「江頭2:50」という人を前面に立ててその面白さを伝承しようとする番組は、今まさに消えようとする技術や芸能を後世に残すための記録としての意味しか見出せないような気もします。しかしそれではテレビは今以上に面白くなっていかないのではないでしょうか。今のお笑い界はほぼ吉本興業のコントロールの中にあり、それ以外のチャンネルから出て行けないような方向になることがないように、テレビ業界の方々も考えるきっかけにこの番組がなって欲しいという感じがするのです。

お笑いとは違う部分もありますが、今まで男性アイドルの世界を牛耳ってきた「ジャニーズ事務所」も、かつては事業所や所属タレントについて批判すら許されず、不祥事やスキャンダルがあってもテレビでは全く放送されなかった時代もありました。しかし数年前から所属タレントが自らの意志で事務所を離れたり、所属タレントが事件を起こして世間を騒がせたりした時には社長自らお詫びのコメントを出すなどかつての勢いは感じられず、事務所としても曲がり角に来ているように思います。そんな時代だからこそ、テレビの枠からはみ出るようなパフォーマンスを追求する江頭さんがあえて地上波のテレビの中で存在感を示そうとする中で、大手事務所の保護の下になく、「お笑い学校」に通わないでもテレビに居場所を持てる芸人さんが出現してきてくれることも期待したいところです。

(番組データ)

アメトーーク! 緊急!江頭2:50SP テレビ朝日
2018/05/03 23:15 ~ 2018/05/04 00:15 (60分)
【MC】雨上がり決死隊
【ゲスト】江頭2:50/出川哲朗&品川庄司・品川&原口あきまさ&FUJIWARA藤本&ロッチ中岡&アンガールズ田中

(番組内容)

▽江頭2:50で1時間▽数々の凄まじい伝説を振り返る▽どんな少年時代?▽食レポ&コメンテーターに挑戦▽江頭に聞きたい事▽熱湯風呂にも挑戦▽最後は伝説を残すぞ!