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過去の事は問題にしないテレビに痛烈な皮肉も

2019年3月から4月にかけて、フジテレビのお昼のワイドショー「バイキング」においてコカインを吸っていたことで逮捕された電気グルーヴとしての音楽活動だけでなく、タレント・俳優として毎日テレビでは見ない日はないくらい活躍していたピエール瀧容疑者についての音楽上のパートナー石野卓球氏についてのバッシングが話題になっています。

番組MCの俳優・坂上忍氏や、元宮崎県知事の東国原英夫氏が石野氏が発するピエール瀧容疑者へのツイートが不謹慎で、社会人として大丈夫なのか? というような批判をしているのですが、そういった表面的な正義感あふれる主張というのは果たして見ていて面白いのかと思うのと同時に、先日亡くなったばかりの萩原健一さんや内田裕也さんについて彼らが語る内容と、時期の違いで(現在起こっている事件と過去に決着した事件との違いは当然あるわけですが)そこまで直接逮捕されていない人間を批判する正義感は何なのか? と考えるきっかけになったことは確かです。

今回紹介する「オールスター後夜祭」が、こうした一連の事件をどこまで受けた上で放送したのかはわかりませんが、今回の問題の中にとんでもないVTRを元にした問題があり、その内容は最高に面白かったものの、同時にテレビの中でたびたび主張される表面的な正義感を木っ端微塵に破壊するようなものであったので、ぜひここで紹介させていただきたいと思います。

そのVTRは2019年から数えて28年前(1991年・平成3年)と言いますから、平成の時代にはなっていたものの、今のような社会の雰囲気とはかなりかけ離れていて、今のテレビなら放送できないような内容でも普通に放送されていました。この番組はプロレスや格闘技の世界から問題が出題されることが普通に行なわれますが、その問題もシューティングという元タイガーマスクの佐山サトル氏が主催する合宿に密着したVTRで、佐山氏が合宿参加者に大いなる愛情を持って接しているのか、単に虫の居所が悪いだけなのかわからないのですが、竹刀で思い切り気合いが入っていない参加者をぶっ叩いたり、全力での力が感じられない参加者を大声で威嚇しつつ鼓膜が破れ大怪我をするのではないかと思うくらいの力でビンタする様子がそのまま流れたのです。

番組では、「ビンタをした後、佐山氏は何と言ったでしょう?」という問題と、あまりの佐山氏の行動にあっけに取られている解答者へ向けて、「VTRで佐山氏が着ていたトレーナーの柄は何でしょう?」という二問の問題が出されたのです。当時は戸塚ヨットスクール事件から10年くらい経った後で、決して暴力指導礼賛ということではない状況だと思えるのに、これくらいの事なら問題なく放送していたテレビのおおらかさというのが逆に面白いというのが正直なところなのですが、このVTRを2019年の地上波で流すということは、単に番組を面白くするということだけでなく、その裏に何らかの意図を感じるべきではないか? とも思えるわけです。

この書き込みはいつまで残るのかはわかりませんが、これから十数年度にピエール瀧容疑者が保釈された映像を見て石野卓球さんは何とツイートしたでしょう? というような問題を出す番組があっても何もおかしくないのが現代のテレビでもあります。今後の捜査の展開や裁判の結果、そしてそもそもピエール瀧容疑者が再犯をするかどうかによっても変わってくるとは思いますが、逮捕されてから時間が経たず、ここまでの報道だけでも他の大きなニュースを押しのけるように、当初のコカイン中毒の方々への理解や社会にはびこる覚醒剤に対する意識の変化というところからかけ離れてしまっているのも実にテレビらしくて面白いと思えます。

今回の件に限らず、過去の痛い行動というのは常にネタにされ、笑われてしまう宿命を帯びていることを示しているとも言えるのではないでしょうか。とにかく「不謹慎」と言われても面白ければいいと思っている人がいる限り、同じような番組は無くならないと思いますし、昔そうした番組をやっていた人が正論で糾弾をくりひろげるのも「それが面白いから」という理由があるものと思われ、それはそれでテレビ的な騒動であると思えます。そうした騒動を見ている側としては、あまり本気で怒らないで騒動自体を面白がって見るのがいいのではないかと思います。

ちなみに前回の時に書いた「優勝者に何も賞品・賞金がない」という点について、苦情が殺到したようで今回は5万円の優勝賞金が出ることになりました。そして、今回の最下位(今後「オールスター後夜祭」出入禁止)の栄冠は、マジカルラブリーの野田さんに決まりました。同率で途中退場した流れ星・ちゅうえいさんと同じく一問を正解がないというクイズに答える気のない人物を切ったということになるのでしょうが、残念ながら今回の番組では全て「佐山サトル」さんと流れ星・瀧上伸一郎さんの奥さん(番組最初からずっと白のビキニを着てアシスタントガールを行なっていた)に持って行かれて他の事はあまり印象に残らなかったというのが正直なところです。その点では今後のクイズへの取り組み方にも影響が出てくるのではないかと思います。出入禁止になっても一問も答えずに目立とうとしても、今回のような強烈な問題や人物が出てきたら一瞬のうちに埋もれて単に出入禁止になるだけということがわかってしまったわけですから。

今回の番組を通しで見てみて、「獣神サンダー・ライガー」(マスクのみの出演でしたが)「ザ・グレート・カブキ」「佐山サトル」(VTR出演)「前田日明」といった今ではなく昔のプロレス界で活躍した人が出演したりクイズになったりクイズに協力したりと大活躍でしたが、これは純粋にMCの有吉弘行さんの好みに合わせたに過ぎないでしょう。これは過去に紹介した「クイズ脳ベルSHOW」の特番でもあったように、出演者やスタッフの一部の方が好きで面白いと思った「プロレスに熱中した時代」の事をやっているに過ぎないと思います。それがこれだけ面白く、恐らく今回出たVTRの「佐山サトル」氏と「シューティング」だけでなくさっそうとデビューした「初代・タイガーマスク」との関係を何も知らない人でも楽しめてしまうのは、テレビの「笑い」というのは、時代に関係なく面白いものは十分面白いということでもあります。まだまだ当時のプロレス界には面白い逸話は豊富にあるので、ネタが尽きるという事はないでしょうが、今回のようなネタがあればプロレス・格闘技に関わらずどんどん放出して視聴者を楽しませて欲しいなと思っています。

(番組データ)

オールスター後夜祭’19春 TBS
2019/04/07 00:58 ~ 2019/04/07 02:58 (120分)
【MC】有吉弘行、高山一実(乃木坂46)
【解答者】あぁ~しらき、あかつ、アキラ100%、あばれる君、アマレス兄弟、AMEMIYA、荒ぶる神々、アルコ&ピース、アンガールズ、イジリー岡田、イワイガワ、インスタントジョンソン、ウエスP、エルシャラカーニ、おいでやす小田、岡野陽一、おばたのお兄さん、お宮の松、ガリットチュウ、河邑ミク、ガンバレルーヤ、キンタロー。、グレート義太夫、
クロちゃん(安田大サーカス)、小石田純一、コウメ太夫、小坂なおみ、紺野ぶるま、サイクロンZ、ザ・ギース、ザ・たっち、サツマカワRPG、ザブングル、沙羅、サンシャイン池崎、Gたかし、シオマリアッチ、ジグザグジギー、ジャッキーちゃん、ジャングルポケット、じゅんいちダビッドソン、しゅんしゅんクリニックP、ジョイマン、新宿カウボーイ、スーパー・ササダンゴ・マシン、ずん、だーりんず、ダーリンハニー、
TAIGA、タイムマシーン3号、田島直弥(アイデンティティ)、たんぽぽ、チョコレートプラネット、テル、東京ホテイソン、どきどきキャンプ、トム・ブラウン、トンツカタン、流れ星、ニッチロー’、にゃんこスター、脳みそ夫、ノッチ(デンジャラス)、パーパー、バイク川崎バイク、Hi-Hi、X-GUN、バッドナイス常田、花香よしあき、ハナコ、ハマカーン、浜ロン、原口あきまさ、ハリウッドザコシショウ、
ビックスモールン、平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)、フォーリンラブ、ブリリアン、HEY!たくちゃん、ぺこぱ、ペンギンズ、槙尾ユウスケ(かもめんたる)、マシンガンズ、マヂカルラブリー、三浦マイルド、Mr.シャチホコ、宮下草薙、むらせ、もう中学生、もりせいじゅ、やさしい雨、ゆってぃ、ゆりやんレトリィバァ、ゆんぼだんぷ、四千頭身、ラバーガール、ラブレターズ、ルシファー吉岡、ロッチ、ロビンフット、
和賀勇介、わらふぢなるお、他
【プロデューサー】金原将公、福田健太郎
【演出】藤井健太郎

(番組内容)

有吉弘行&高山一実(乃木坂46)司会で「感謝祭」深夜の延長戦!芸人156人が深夜ならではのクイズ&企画に生放送で挑戦!最下位になって番組を永久追放となるのは誰?

オールスター感謝祭の延長戦生放送「後夜祭」では、感謝祭からの居残り組に追加メンバーを加えた、合計156人の芸人たちが深夜ならではの笑いに振ったクイズや企画に挑戦!恒例の毒霧にロード地獄に特殊競走に…超強力罰ゲームで3人目の永久追放となるのは?


優勝者に何も賞品・賞金のない深夜のクイズ番組の「チキンレース」

TBSの番組改編期に放送される「オールスター感謝祭」のセットと出演者の一部をそのまま使い、余った席にお笑い芸人を参加させて深夜のクイズ・ゲームで競う企画も今回で2回目となりました。前回は探り探りやっていた感が満載でそれ自体が面白かったのですが、不確定な事を生放送でやると大変危険なことも改めてわかったような感じで、今回はいかにして「真面目にクイズに取り組んでもらうか」ということをテーマにしてクイズ中心に番組は進行していきました。ここではまず、今後見返すために番組で起こったことを、まずは思い付くまま書いていきます。

前回は、お笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳さんが最下位になったのですが、一部の番組を見た人の間では、これは完全な「最下位狙い」の態度ではないか? と思わせるに十分な状況でした。そうした経緯を受けて、クイズで最下位になった人は、今後のオールスター後夜祭には出入禁止にするとし、前回最下位の新道さんも参加せず、「馬鹿よ貴方は」からは、平井”ファラオ”光さんだけが参加していました。

まず、相撲を題材にしたネタをするタレントの「あかつ」さんは、なぜオールスター感謝祭の赤坂5丁目ミニマラソンに出ないのか(延々とすり足で進むのみ)と、感謝祭の中でも指摘があったのですが、後夜祭の最初にその謎が判明しました。個人的には痛風が再発した影響か? と思っていたのですが、後夜祭の生放送企画で、「オールスター感謝祭」が始まった午後6時半に青森をスタートし、後夜祭の生放送が終了する翌日午前3時頃までにスタジオに帰ってこられるか? という問題一問のためにヒッチハイクの旅に行かされたのでした。結局、青森から八戸までという約束で乗り込んだものの、自宅のある八戸から何と東京のスタジオまでご好意で送ってくれたトラックの運転手の方のおかげで、番組終了ぎりぎりで放送に間に合いました。

そして、これはネットニュースにもなっていましたが、最初のクイズのピリオドが終わった後のCM明けに、いきなり司会の有吉弘行さんが特定の出演者である「ハナコ」の3人に詰め寄り、周辺の芸人も心配して集まってきて、アシスタントの高山一実さんも一体何が起こったのかとこわばった表情をしたハプニングらしきスタジオの状況から始まりました。その後、有吉弘行さんは司会の位置に戻ったものの、ほっぺたを膨らませて「ハナコ」の面々を許さないとでも言うような表情をカメラにわざと映させていました。

実はこれは、恐らく高山さんとも打ち合わせなしで、かつて「オールスター感謝祭」で自分のところに挨拶に来なかったと言って今回と同じように「キングオブコント」勝者の「東京03」の3人にご立腹した今は芸能界を引退されている島田紳助さんの動きをなぞって行なっただけの話なのですが、番組でも字幕でも何の説明もなかったので、この騒動を知らない人は、ネットの実況を確認しながら見ていないと何が起こったのかわからない人もいたかも知れません。そういう意味では、現在はテレビとネットというのはある意味相関関係にあり、テレビで起こった事が何なのかわからなかった場合は、「5ちゃんねる」や「Twitter」の実況を確認することも必要なのかと改めて思った次第です。

クイズの内容についても過去に覚醒剤取締法で逮捕された酒井法子さんが正解になるクイズがあったり、長嶋一茂さん宅の落書きがテーマになった問題があるなど、それなりに深夜帯ということで攻めている感じはしましたが、もう少し突き抜けた問題や、マニアックな問題が出ても良かったのではないかとも思えました。ただこれは、今後も続いていく番組のことなので、一気に爆発してすぐに打ち切りにならないように、まともな問題の中にとんでもない問題が隠れているというようなスタンスが良いのかも知れませんが。

クイズ以外の企画も最初に紹介した「あかつ」さんの青森から東京へのヒッチハイク企画など色々ありましたが、ハプニングでピンチを笑いに変えた場面がありました。スタジオに用意された体重計に乗りジャスト1トンにするというゲームがあったのですが、一回目は無事に終了したものの、二回目に大勢の芸人が体重計に押し寄せるように集まったところでエラーになって企画そのものがストップしてしまったのです。

しかし、体重計の表示のところに「Load」という表示が出たことから、何か変な流れになってしまったのでした。この文字にかぶせるように「The虎舞竜」の「ロード」が流れてきたので、これはあらかじめ計算されたハプニングなのでは? と見た私自身も思ってしまいました。しかし、実際は本当のトラブルだったようで、「この「Load」という単語は日本語では「負荷」という意味で、この表示が体重計に表示されたというのはヤラセでも何でもなく、単に機械の調子がおかしくなってしまったということだったのです。

それにしても、音効の中に後のクイズでくり返し流される予定の「The虎舞竜」の「ロード(こちらの綴りは「Road」です(^^;))」を流したのは現場の判断とは言え実にスタッフと出演者との連携が取れているという感じを受けました。恐らくボタン一つで「ロード」が流れるようにセットされていたものを、この機会に押すしかないと判断した音効の技術スタッフにここは拍手を送りたいと思います。

今回の優勝はGAG宮戸さん、最下位はアイデンティティ見浦さんでした。番組で最初から宣言されていたように、この番組は優勝を争うものではなく最下位を決める番組であったため、優勝したGAG宮戸さんには一切の賞品・賞金はありませんでした。こんなクイズ番組は本当に珍しいもので、実際のところはできるだけ面白解答を連発しながら皆で最下位にならないように競うチキンレースのようになっていました。ですから、途中にザ・グレート・カブキさんの毒霧を1分間で何人分吹けるか(正解は27人)という問題が出て、実際に毒霧を食らう人を決めるのに使われたのは、そこまでのクイズ成績が下位60名というリストでした。これではすぐに自分が多少は頑張らないと最下位になるという危機感を煽ることができます。さらに、最初に書いた通り最下位になってしまうと、これからの「オールスター後夜祭」への出演はできず出入禁止になってしまうというペナルティと、獣神サンダー・ライガーさんとザ・グレート・カブキさんに痛めつけられるという罰ゲームも待っています。

そこで本当に負けてしまったアイデンティティ見浦さんは、恐らくほとんど正解はなかったと記憶していますが、もしそこで同じように全問解答を拒否するように人が複数出てきたらどうなるのか? という妄想が頭をもたげてきました。芸人の皆さんにはそんなチキンレースにもチャレンジしてほしいという気もしますし、もしそんな「同点最下位」が多数出た場合どうするのかという事についても注目して見ていきたいと思います。

(番組データ)

オールスター後夜祭’18秋 TBS
2018/10/07 01:03 ~ 2018/10/07 03:03 (120分)
【MC】有吉弘行、高山一実(乃木坂46)
【解答者】アイデンティティ、アインシュタイン、アキラ100%、阿佐ヶ谷姉妹、アルコ&ピース、アンガールズ、安藤なつ(メイプル超合金)、いかちゃん、EXIT、イワイガワ、岩井勇気(ハライチ)、インスタントジョンソン、ウエストランド、うしろシティ、大西ライオン、岡野陽一、お侍ちゃん、オジンオズボーン、おばたのお兄さん、カミナリ、ガリットチュウ、かんちゃま、
神奈月、菊地優志(ワンワンニャンニャン)、きつね、桐野安生、Groovy Rubbish、クロコップ、小石田純一、コウメ太夫、小坂なおみ、コロコロチキチキペッパーズ、紺野ぶるま、ザ・ギース、サツマカワRPG、さらば青春の光、サンシャイン池崎、三四郎、GAG、Gたかし、ジャッキーちゃん、ジャングルポケット、じゅんいちダビッドソン、ジョイマン、新宿カウボーイ、ずん、だーりんず、ダーリンハニー、
タイムマシーン3号、たんぽぽ、ちゅうえい(流れ星)、チョコレートプラネット、どきどきキャンプ、とにかく明るい安村、トンツカタン、西村瑞樹(バイきんぐ)、ニッチェ、ニッチロー’、脳みそ夫、ノッチ(デンジャラス)、パーパー、バイク川崎バイク、Hi-Hi、X-GUN、花香よしあき、ハナコ、ハマカーン、浜ロン、原口あきまさ、ハリウッドザコシショウ、ピーマンズスタンダード、平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)
ブリリアン、HEY!たくちゃん、ペンギンズ、槙尾ユウスケ(かもめんたる)、牧野ステテコ、マシンガンズ、街裏ぴんく、マヂカルラブリー、Mr.シャチホコ、宮下草薙、ミラクルひかる、むらせ、モグライダー、やさしい雨、やさしいズ、安田大サーカス、U字工事、ゆーびーむ☆、ゆってぃ、四千頭身、ラブレターズ、ルシファー吉岡、レイザーラモン、ロビンフット、和賀勇介、ワタリ119(キラキラ関係)、わらふぢなるお
【プロデューサー】福田健太郎
【演出】藤井健太郎

(番組内容)

有吉弘行&高山一実(乃木坂46)司会で「感謝祭」深夜の延長戦!芸人160人が感謝祭セットをそのまま使って深夜ならではのクイズや企画に生放送で挑戦!生電話に毒霧も


現代の「お笑いウルトラクイズ」に「オールスター後夜祭」はなれるか?

日付こそ翌日になっていますが、今回紹介する「オールスター後夜祭」は、年度末にゴールデンタイム5時間通しで放送された「オールスター感謝祭」のセットをそのまま使い、ある意味本家帰りとも言うべきクイズを中心にしたバラエティに仕上がっていました。

「オールスター感謝祭」がクイズよりも改編期の新番組の出演者を大挙して番組に出し、さまざまな定番企画に出すことで番組名を売る番宣中心の内容になり、さらに賞金もここのところの経済状況を象徴するように賞金額も賞品もしょぼくなっているという中、深夜からの放送の後夜祭はどうなるのだろうと思っていたら、意外にも真面目な引っ掛け問題が多いクイズ勝負で、それほど見ている人がいないと思われる中でスタッフの地道な仕事が垣間見え、良質なプログラムであるということをまずは感じました。番宣や出演者やその事務所に対しての忖度を考えなければお金はなくてもこれだけ面白いプログラムが組めるという事を示してくれた今回の改編期一番の深夜番組だったのではないかと思います。

見ていない人のために簡単に説明すると、以前「感謝祭」の一コーナーとしてビートたけしさんがクイズの問題を出す時間があり、常識が通用しないひっかけ問題ばかりを出して真面目に問題に答えていた出演者からひんしゅくを買ったのと似ています。ただ後夜祭の出演者は感謝祭から居残っている番宣とは何の関係もないお笑い芸人と、さらに多くの人が名前も顔も知らないお笑い芸人を総勢160人集めているだけなので、こうした格下の芸人いじりには定評のある有吉弘行さんにとってはかなり自由に回せたことが想像されます。

この番組がここまで面白くなったのはスタッフによる構成の力であることは見ていてわかりましたが、一つだけ失敗した事があるとしたら、クイズで最下位を取った人に獣神サンダー・ライガーさんとザ・グレート・カブキさんから驚愕の罰ゲームを受けることを最初に発表してしまったことでしょう。ネットでの口コミでは「最下位ではなくブービーに罰ゲームを与えた方が良かったのでは?」という意見も多く書き込まれていましたが、全員がお笑い芸人のため、今回の最下位になった芸人を含めてわざと回答しないで最下位になりテレビに映ろうと考える人も出てくることは十分に予想できたわけで、クイズ最下位が罰ゲームということを最後に発表するか、番組全体を通して一番ポンコツ臭がする芸人を有吉さんの独断で決定するようにした方が(当然、指名される芸人には罰ゲームのリアクションを期待されるので)テレビを見ている視聴者側も最後まで十分楽しめるものになったのではないかと思います。

ただ、これも試行錯誤した中での結果であるので、次回があるとしたら秋になると思いますが、新しいクイズや企画だけでなく見ている人が興ざめしないような内容で続けていってほしいと思いますね。この日はめちゃイケが最終回でしたが、テレビの世界に限らず過去を振り返って懐かしむということより、新しく作っていくもので楽しむことこそテレビ的であるのではないかと思います。

その日のTBSオールスター感謝祭の裏番組で日テレでは「月曜から夜ふかしスペシャル」を放送していて、そこで将棋の加藤一二三九段と桐谷広人七段との対談があったのですが、恐らく多くの方が過去の対局で1勝1敗だった将棋の話を期待していたと思うのですがお二人の興味は過去でなく未来にあるようでした。

加藤九段がワタナベエンターテインメントに所属していることから、桐谷七段が今後事務所に所属して仕事を管理てもらおうかなと、お二人ともこれからの仕事についてのお話ばかりしていたのは、実に人間として素晴しい事だと思います。人間年をとったり物事に慣れてしまうと新しい事へのチャレンジを忘れてしまい、いつまでも過去の栄光にすがることで傍目から見ても老害だと思われてしまう人が少なくない中、いつまでも現在や未来の事を見ていくからこそ面白くなるということを示してくれています。

願わくばこの番組もそんな風に進化していってもらい、もし本編のオールスター感謝祭が終わったとしても「お笑いウルトラクイズ」のように単体でこの番組が残るような進化を期待しています。

(番組データ)

オールスター後夜祭 TBS
2018/04/01 00:58 ~ 2018/04/01 02:58 (120分)
【MC】有吉弘行、高山一実(乃木坂46)
【解答者】アイデンティティ、あかつ、アキラ100%、阿佐ヶ谷姉妹、あばれる君、AMEMIYA、アルコ&ピース、アンガールズ、イーちゃん(マリア)、いかちゃん、いけだてつや、イジリー岡田、井下好井、イワイガワ、岩井勇気(ハライチ)、インスタントジョンソン、インディアンス、ウエストランド、うしろシティ、エル・カブキ、エルシャラカーニ、岡野陽一、お侍ちゃん、
オジンオズボーン、オテンキ、鬼ヶ島、おばたのお兄さん、河邑ミク、神奈月、ガンバレルーヤ、キック、きつね、キャプテン渡辺、コウメ太夫、小島よしお、紺野ぶるま、ザ ツネハッチャン、サツマカワRPG、サンシャイン池崎、Gたかし、シオマリアッチ、ジグザグジギー、磁石、ジャッキーちゃん、新宿カウボーイ、スーパー・ササダンゴ・マシン、スパローズ、ゾフィー、だーりんず、ダイアン、TAIGA、
タイムマシーン3号、高田紗千子(梅小鉢)、デニス、テル、どきどきキャンプ、どんぐりパワーズ、なかやまきんに君、ニッチロー´、脳みそ夫、ノッチ(デンジャラス)、パーパー、パーマ大佐、バイク川崎バイク、Hi-Hi、馬鹿よ貴方は、X-GUN、8.6秒バズーカー、花香よしあき、浜谷健司(ハマカーン)、原口あきまさ、ハリウッドザコシショウ、バンビーノ、ピスタチオ、ビックスモールン、フォーリンラブ、
福島善成(ガリットチュウ)、FUJIWARA、プラス・マイナス、ぶらっくさむらい、HEY!たくちゃん、ペンギンズ、槙尾ユウスケ(かもめんたる)、牧野ステテコ、マシンガンズ、マツモトクラブ、マテンロウ、まんぷくフーフー、みかん、宮下草薙、ミラクルひかる、むらせ、メルヘン須長、モグライダー、餅田コシヒカリ、もりせいじゅ、安田大サーカス、八幡カオル、山本高広、ゆーびーむ☆、ゆってぃ、ラブレターズ、
ルシファー吉岡、ロビンフット、和賀勇介、わらふぢなるお
【プロデューサー】福田健太郎
【演出】藤井健太郎

(番組内容)

オールスター感謝祭の延長戦生放送「後夜祭」では、感謝祭からの居残り組に追加メンバーを加えた、合計160人の芸人たちが深夜ならではの笑いに振ったクイズや企画に挑戦!
■ガチ相撲トーナメント2018春~後夜祭場所 ・あかつ vs ジョシュ・バーネット ・ボビー・オロゴン vs ???(登場したのは大相撲を解雇された大砂嵐) トーナメントで優勝を決定、なお4人目の選手は生放送で発表
■後夜祭版「ホンモノだぁ~れ?」
■深夜の生電話企画


地方局と全国キー局の深夜番組の扱いは視聴者優先を望む

この番組、例年楽しみにしてきたのですが、実は私の住む静岡県地方では昨年末にTBSを含む系列局で生放送された「クイズ☆正解は一年後2016」が放送されることはありませんでした。この番組は、毎年1月の収録でその年に起こるであろうことを予想し、年末の生中継で答え合わせをするのですが、1年に1回しかない放送をそれまで続けて放送しておきながら4年目にして打ち切るというのは、連続ドラマの最終回を放送中止にするようなもので、この事実を知った時には地上波の東京キー局(民放)がネットによる常時同時配信を始めたら、少なくとも静岡のTBS系列局は見ないようにしようかと本気で考えました。

恐らく地方局の編成の担当の人はその辺の事情をあまりわかっていないのだろうと思いますが、多くの視聴者がこの一年のスパンで放送される番組を楽しみにしていることは忘れて欲しくないです。

考えてみれば、この「クイズ☆正解は一年後」と出演者が同じで内容的にもかぶることもある「クイズ☆スター名鑑」も2017年に奇妙な打ち切りにあって、最後の最後の結末を地元のテレビ局では放送してくれませんでした。これは実害とまでは言えないかも知れませんが、2017年が明けて早々に、「クイズ☆スター名鑑」打ち切リに伴って知り合いと自分との間でちょっと気まずい関係になったことがあったので、こんな機会ですしその事も少し書いておこうと思います。

というのも、本当に個人的な話で恐縮ですが友人に2016年の長野県飯島町の「米俵マラソン」に出場した方がいまして、たまたまそのマラソンのホームページを見たら何と「クイズ☆スター名鑑」の取材が入っていたようで、ボビー・オロゴンさんが他の参加者と同じように5KGの米俵をかついで走る姿を1月末の放送で紹介するという事が載っていたので、もしかしたらその友人が映るかも知れないと、具体的な放送予定日を教えてあげたところ、急に予定が変わりマラソンの様子が紹介されないまま番組自体が1月末で終了してしまうという大変異例な状況での打ち切りになってしまったのです。

番組での米俵マラソンの紹介を楽しみにしていた出場者やその周辺の人たち、マラソン運営のスタッフの方々からすると、かなりがっかりする結果だったのですが、その後の対応はさらにひどいものでした。米俵マラソンの様子は、最後の「特別編」で放送されたのですが、それは番組終了から1ヶ月あまり経った2017年3月3日3:20~3:50(実質的には2日の木曜深夜)という録画しなければ視聴が無理な時間帯に、さらに関東地区のみの放送ということで終わってしまったのでした。恐らく米俵マラソン関係者の方々のTBSへの不信は今でも相当たまっているのではないかと思います。

時間的には私の住む静岡県内で「クイズ☆正解は一年後2016」が放送されなかった後にまたも「クイズ☆スター名鑑」の最後の内容も放送されなかったわけですが、TBSも系列局も視聴者の事など蚊帳の外で編成を行なっているのがわかり、改めてキー局と地方局との関係で視聴者が振り回されているということを感じた次第です。視聴者を莫迦にするのもいいかげんにして欲しいと思いつつ、何とか今年の「クイズ☆正解は一年後」が見られることがわかり、とりあえずほっとしています。今後はTBSの方でぜひとも見逃し配信による「TVer」での配信をお願いしたいところです。

で、今年1月に収録したクイズ出題部分で出た、今年に起こることについて予想したクイズに答えた有吉弘行さんの予想回答の中に「クイズ☆スター名鑑」が終わるという回答があったのには驚きました(^^;)。相変わらず一般視聴者の人気はない番組であり、そもそもゴールデンタイムに放送する番組ではなかったということが明らかになったのではないでしょうか。

番組の出題は多岐にわたり、1月の収録時(問題を出題するのみの収録)に予想した問題、日本シリーズの勝敗予想を外した出川哲郎さんに罰ゲームとして獣神サンダー・ライガーさんが出川さん出演の人気番組「充電してもらえませんか?」を収録中の山梨県清里に原付バイクで乱入し、テレビ東京のカメラが回っている中でビンタを食らわしました。番組の流れる時間の関係で、「充電してもらえませんか?」の方が先に放送されたため、何故獣神サンダー・ライガーさんが罰ゲームを行なったのかわかっていたのは現場では出川さんしかいなかったのでしょう。結局この事は今回の放送で初めて明かされ、「充電してもらえませんか?」の方で、なぜ急に出川さんの頬が途中から腫れていたのか? と疑問に思った視聴者には納得が行ったことでしょう。

このように、テレビ局をもまたいで思いも掛けない出方をするのがこの番組の面白いところで、年一回しか放送しなくてもその番組と番組の間を楽しみながら毎年この番組が放送されることを待っている人が少なからずいることを特に地方局の編成の方には理解していただきたいですね。出演するタレントさんも、特に番組が勝手にピックアップして一年後にその動向についてクイズを出すとしたものまね芸人の「キンタロー。」さんについて、彼女の単独ライブやDVDを自費で購入し、手当ても出ないのにブログやツイッターもチェックして一年後に本人が出すクイズに答えまくった劇団ひとりさんのような人もいる番組であることが番組を編成される人に少しでも伝わることを祈っています。

(番組データ)

クイズ☆正解は一年後 2017 TBS
12/30 (土) 23:55 ~ 2:05 (130分)
【MC】田村淳(ロンドンブーツ1号2号)、枡田絵理奈(元・TBSアナウンサー)
【パネラー】有吉弘行、おぎやはぎ(小木博明、矢作兼)、FUJIWARA(原西孝幸、藤本敏史)、田村亮(ロンドンブーツ1号2号)、バカリズム、劇団ひとり、小籔千豊、ハリセンボン(近藤春菜(お休みでパネル出演)、箕輪はるか)、レイザーラモンRG、くっきー(野性爆弾)
【今が旬チーム】出川哲朗、りゅうちぇる、平野ノラ、永野
【コーナーゲスト】獣神サンダー・ライガー、ザ・グレート・カブキ
藤井健太郎(企画・演出・プロデューサー)

(番組内容)

「2017年に起こりそうな事」予想クイズを今年1月に収録済!約1年寝かせた映像を見ながら生放送で答え合わせ!誰が不倫?誰が逮捕?今年は過去最大の正解ラッシュ!!

今年で5年目!やはり番組は1月に始動していた…!「今年、離婚する芸能人は?」「今年、芸能界で起こる出来事は?」「あの人の謹慎はいつ明ける?」「今年、HUNTER×HUNTERは何回掲載される?」「淳の子供が…?」などなど、『2017年に起こりそうなこと』を年始にクイズ形式で予想し収録…年末の生放送で答え合わせする未来予想型一年振り返り特番!あの人が実は!?過去最大の正解ラッシュを見逃すな!