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若い女性が大谷翔平選手を見る前に見る番組

表題のような思いを今回紹介する番組を見終えた後に感じざるを得ないということは、実際に番組を見た方にとっては何となくわかっていただけるのではないかと思います。

日本で野球が人気種目になり、太平洋戦争前でも甲子園大会や東京六大学野球は人気を呼び、日本でプロ野球ができたのは、1934年(昭和9年)アメリカのメジャーリーグから選抜チームを招聘した際、メジャーリーガーに対抗するために集められた全日本軍がそれで、当時ホームランでメジャーリーグ界を席巻していたベーブ・ルースが来日したことで多くの人の関心を呼び、その時の全日本軍が「大日本東京野球倶楽部」となり、このチームが今の読売ジャイアンツの前身であったのです。

今後、ロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平選手が活躍する中でこの「ベーブ・ルース」という名前がクローズアップされてくると思いますが、日本ではこの日米野球でベーブ・ルースを抑えた伝説の投手・沢村栄治選手のいた当時の話であり、いかに古い時代のベースボールと比較されているかおわかりでしょう。そういう意味では正に百年に一人の選手といってもいいかも知れません。

日本において、こうしたスポーツの世界にとどまらない、社会現象になるかもしれない人物について、興味を持つのはコアな野球ファンだけではなくトレンドの動きに敏感な若い世代であると言えます。そんな中でさらに爆発的なブームを呼ぶか否かは、今までメジャーリーグどころか野球すら見たことのない人たちだったりすることは、日本のプロ野球における「カープ女子」のように、若い女性がどれだけ食いついてくれるかということにかかっているといっても過言ではありません。

なにせ、普通の「オヤジ」が楽しめることをやってもさっぱり話題にならないのに、そのオヤジがやっていることを若い女性が真似しただけで話題になるというのがこの世の中の流れです。なぜこんなことになるかというと、基本的に若い世代の方が年寄りより行動的であることだけでなく、その世代に引っ張られるように趣味に関する物品の販売が増える傾向があるからです。

テレビというのはスポンサーとつながっていますから、若い男性と比べてレジャーにお金を掛ける傾向があり、若い女性自体が他の世代の男女を巻き込んでブームの牽引車になっていく事例は私がここで挙げるまでもないでしょう。男女差別という観点で考えると若い女性ばかりがちやほやされる事に不快感を覚える方もいるかも知れませんが、景気を上げるためには何でもやらなくてはというところに今のテレビを含めた多くのものが毒されてしまっていることは確かですが、今の大谷翔平選手の活躍というのはマスコミによって作られた偽物のブームでないことは確かなので、大谷選手のニュースを見てその試合を生で見たいと思った野球未経験者のためのこんな番組もありではないでしょうか。

番組自体は若い女の子がまだ片想い中の彼がいるグループでメジャーリーグのワールドシリーズをテレビ観戦するにあたり、メジャーリーグ通の同性の友人からメジャーリーグ観戦のための基礎的な知識をクイズ形式で教えてもらいながらメジャーリーグについての感心を深め、彼に好かれる女の子へと変わっていくというロールプレイングゲーム形式のストーリーが展開していきます。

この番組きっかけでメジャーリーグや日本のプロ野球に興味を持つ人が増えればそれはそれでいいと思いますが、それだけテレビはスマホ民を取り込まないとテレビの一つの醍醐味である生中継の試合ですらも興味を持って見てくれなくなるのではないかと思っているからこそ、こんな番組を作っているという風にも考えられます。あと、それと同時に大谷選手の活躍を「全米が熱狂」とあおっている日本のテレビ関係者がいると思いますが、アメリカにおけるベースボール自体がバスケットやアメリカンフットボールに対して人気で負けていますし、正確には「全米のコアなMLBファンが熱狂」というのが正しい状況分析ではないかと思います。

(番組データ)

our SPORTS!「5min.観戦マニュアル“恋するメジャーリーグ”」 NHK BS1
4/14 (土) 9:00 ~ 9:05 (5分)
【声】金本涼輔,金子有希,吉川未来

(番組内容)

スポーツの魅力を伝えるourSPORTS。今回はアニメゲーム感覚でメジャーリーグの観戦マナーやオモシロ情報などを紹介。

なぜMLBのポストシーズンの試合は最後までもつれるのか

ワールドシリーズの第2戦は約50分の延長になり、両チームホームランを中心に得点を重ね、延長に入ってからも試合の流れはもつれにもつれました。終盤までドジャースが2点リードしていてこのまま行くかと思ったところ、ホームラン2本でアストロズが追い付き、延長戦に入るとすぐにアストロズが2点勝ち越し、さすがにこれで終わったと思ったところ、その裏のドジャーズの攻撃はいきなりトップバッターがホームランで1点差になったものの、普通ならここで終わるパターンでした。

しかしフォアボールから再度チャンスを掴んだドジャースは二塁にランナーを進めて適時打が出て同点になり、延長戦は続きます。その後、また2点をアストロズが勝ち越したので、これでその裏のドジャースの攻撃も力なく終わるかなと思ったら、またソロホームランが出て1点差となり、これはまた同点になるかと思ったところさすがにそこまでの奇跡は起きず、アストロズが勝って対戦成績は一勝一敗のタイになったという試合でした。

日本でアメリカのMLBが生で見られるようになり、特にポストシーズンの試合はなかなか目が離せない試合が多いです。レギュラーシーズンが終わってすぐにポストシーズンに移ることもあり、さらに地区一位になってもそれがリーグ優勝ではないことをチーム全員がわかっているためか、レギュラーシーズンそのままのモチベーションを保てるのではないでしょうか。10月に入るとそれまでのレギュラーシーズンをリセットして、0からのスタートになるために相手がどこでも一切選手は手を抜かず最後まで競った試合になるのではないかと思うのですが。そうして最後の最後まで試合を諦めることなく全力を尽くすため、思いも掛けないドラマが演出されることが多いです。これは、比較する対象が全く違うという批判をあえて承知で言うと、一戦ごとで負ければそれで終わりという高校野球の甲子園と似たドラマ性があるのではないかとも思います。

同じような仕組みで勝ち上がれる日本のポストシーズンと比較してもその違いは明らかなように思います。その想いを個人的に強くしたのは、読売の不動の四番として惜しまれつつMLBのニューヨークヤンキーズに行き、ワールドシリーズのMVPまで獲得した松井秀喜選手のプレーを見てからでした。

後から調べると、その試合というのはワールドシリーズではなく2003年のアメリカンリーグ優勝決定戦(勝ち抜けたチームがワールドシリーズに行ける試合)で、しかも対戦成績が3勝3敗のタイで、勝った方がワールドシリーズ出場となる試合の8回裏、5対2とリードされたヤンキーズが当時の不動のエース・ペドロ・マルチネスを攻略し松井選手が同点となるホームインをした際のガッツポーズは日本のプロ野球では決して見せることのない歓喜の表情だったのです。

本日の試合もそうですが、まずMLBには引き分けという概念がないので日本のクライマックスシリーズのように、リーグ戦上位のチームが全試合引き分け狙いで戦っても勝ち抜けられるのと違い、状況によっては投手を使い果たして野手が投げるということも考えつつ試合に臨まなければなりません。

さらに、MLBのポストシーズンに出場するためには3つある各地区で1位になるか、2位以下のチームの中で勝率が2位までに入らなければいけません。各地区での1位のチームのうち勝率が2位と3位のチームがリーグ優勝決定戦の準決勝を戦い、勝率1位のチームは2位以下で勝率の高い2チーム(ワイルドカード)の1試合だけの代表決定戦を勝ち抜いてきたチームと準決勝を行ないます。そうしてリーグ優勝した後にワールドシリーズが待っているということで、今回ワールドシリーズに出場してきた2チームというのは、そこに至る数々の苦しい試合を勝ってきたというわけです。

なお、MLBではプレーオフからワールドシリーズを10月に行なうので、レギュラーシーズンは9月で終わります。ワイルドカードの試合で相手の決まる勝率一位チームは一試合待たされるものの、日本のクライマックスシリーズのように長く待つことはなく、ファンも選手もモチベーションを維持したままポストシーズンに入って行けることが、プレーオフやワールドシリーズでの名勝負や大逆転の試合が多い原因かも知れませんが、この点において、日本のプロ野球はもっとクライマックスシリーズのあり方だけでなくプロ野球という今までの仕組みも合わせて変えていかないと、プロスポーツとしての野球の将来は明るくならないのではないかと思ってしまうわけです。

一部の野球ファンの中で、今までの2リーク6球団ごとの12チームという編成を新たに地区別にした上でプロ野球球団を増やし、現行12チームを3地区各4チームに再分配するという案があります。基本的に地区別のリーグ戦を争い、地区優勝チームの3チームと地区優勝以外の2位以下のチームの中で勝率5割以上の2チームが(勝率5割を切った場合は次に進めないようにする)ワイルドカードで雌雄を決し全手のリーグの中の勝率1位との日本シリーズ行きをかけたポストシーズンを戦うようにすれば、アメリカと同じように10月を全てポストシーズンにすることで、日本中が野球で盛り上がることもできるでしょうし、この場合の代表というのは国内の地区の代表となるので、高校野球のように地域ごとの盛り上がりも期待できます。

地区分けには色々な方法がありますが、2017年現在の地区別のチームと言えば、
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・北海道 日本ハム
・宮城 楽天
・千葉 ロッテ
・埼玉 西武
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・東京 巨人 ヤクルト
・神奈川 DeNA
・愛知 中日
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・大阪 阪神
・兵庫 オリックス
・広島
・福岡 ソフトバンク
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このように関東に集まってはいるものの東京に2チームあるのが目立つくらいで、うまく全国にばらけていますので東・中・西という3つの地域リーグになります。もし地域的にもう少し球団が欲しいなら、各地区2チームずつ増やして(1チームだけだと15チームになり、1球団があぶれるため)18チームにするとかいろいろ案は出てくるでしょう。新しく参入するチームと既存のチームとの戦力の差を心配される方もいるかも知れませんが、あの楽天だって最初は全然勝てませんでしたし、本日のワールドシリーズで記念すべき1勝目を挙げたアストロズも、球団創設2年目以降6年連続で90敗以上を記録するほどのチームで、さらにそれまでのナショナルリーグからアメリカン・リーグに移った当初は100敗するのが当り前であったほど弱い時代があったにも関わらず、ここまで強くなってきたわけですから、あながち荒唐無稽な提案でもないような気がするのですが。

上記12チームの数を守りたい場合、もっと面白い案もあります。現在日本全国で行なわれている野球リーグを2部リーグとして再編し、リーグ1位のチームと現12チームの最低勝率のチームが入れ替え戦を行ない、負ければ2部に落ちるというものです。地区別のチーム割りについての意見もあるでしょうが、微妙な位置にあるチームが地区移動することで対応は可能なのではないかと思います。そうなれば、万年最下位にいるようなチームだってうかうかしてはいられません。今の経済だけ自由競争をうたっていながら下に落ちる心配もなくのうのうと戦っているチームを無くすという意味でもこうした2部リーグ制というものは地区分けより前に実際してくれれば確実に盛り上がる事は間違いありません。

こんな風にでも考えないと、たとえドラフト会議でスター選手が入るにしてもなかなか日本のプロ野球への注目は今後も集まることがなく、ドラフト対象選手がアメリカの大学に行くなど、本格的なプロ野球離れが起こってくるのではないかと、本日の死力を尽くしたワールドシリーズの試合を見て感じてしまったわけです。少なくとも、これから始まる日本シリーズでは両チームの選手に、最後まで諦めないひたむきなプレーをお願いしたいところです。

(番組データ)

MLB・アメリカ大リーグ ワールドシリーズ 第2戦「アストロズ×ドジャース」
10/26 (木) 8:50 ~ 12:49(試合終了まで放送 延長有)
【解説】斎藤隆,【アナウンサー】高瀬登志彦

(番組内容)
~ドジャースタジアムから中継~