15その他」カテゴリーアーカイブ

テレビ局の有料コンテンツは本当に払うだけの価値あるものなのか

昨年から今年にかけてスポーツ中継を含んでずっとテレビを見ていたのですが、具体的にこの番組というようなものはそこまでなかった代わりに気付いたのは、それまでのDVDシフトから変わって、各テレビ局が過去に放送された番組を局の有料サイトに加入して見ようというキャンペーンの多さでした。
私自身、ネットによる番組の再配信については「TVer」や「You Tube」(あくまで公式チャンネルのものです(^^;))にお世話になっていますが、多くのキー局が行なっているサービス全てに入るというのはなかなかできませんし、そもそも各局の有料コンテンツに月々の利用料金を支払う価値があるのかということをまずは考えてしまいます。

テレビ局的には放送日から最大一週間までの見逃し配信は無料で認めるものの(NHKは除く)、過去の番組のまとめての視聴にはお金がかかるというスタンスのようです。ただこれは、ネット以前にもCS放送で過去の各局の伝説的な番組が放送されていますが、そこまで視聴者を獲得できていないのではないでしょうか。

過去に放送した番組については、個人の努力でも番組を録画したものを保存しておけばわざわざお金を出さなくてもいつでもお気に入りの番組を見られるわけですし、ここで改めて「有料チャンネル」である必要がどこまであるのか疑問に思います。

無料の番組は地域にもよりますが誰でも見られますが、私が毎月お金を払ってまで見たいということになると、すでにシーズンを終了したサッカーのJリーグの全試合をリアルタイムで見ることができるDAZNでした。テレビ放送では代表戦や一部の試合(ほとんどJ1の試合)しか地上波およびBSでは放送されません。今年のJ1リーグで言えば、来季J2リーグに降格してしまうチームの試合を今年も追い掛けたいと思ったら、DAZNへの加入は必要なものになるでしょう。これはテレビ局とは関係なくオリジナルコンテンツの配信を有料で行なっているサービス全般にも言える事だと思います。

しかし、テレビ局が行なっている有料コンテンツの多くは、オリジナルコンテンツの比率は少なく、好きな人ならその都度録画して楽しんでいる過去のバラエティやドラマを自由に見られるくらいでは有料のサイトになかなか登録しないという人がほとんどなのではないでしょうか。特にバラエティに対しての世間からの風当たりが強い現代、昔のバラエティの破天荒さを地上波バラエティに望むことは難しいという感じがあります。

その想いを強く持ったのが、TBS系で2019年12月30日深夜に放送された「クイズ正解は一年後」という毎年年末に放送されるバラエティ番組でした。2019年は主に吉本興業所属のお笑いタレントの不祥事的な行ないがワイドショーを賑わすことになり、それまで数々のバラエティ番組やこの「クイズ正解は一年後」に出演していたタレントも騒動の渦中に巻き込まれました。

例年、ワイドショーで盛り上がった話題や人物について徹底的にこき下ろすことが「クイズ正解は一年後」のキモであったため、主演者自らが渦中の人になった場合、現場ではどのような判断を下しどう伝えるのかということが昨年末の興味だったのですが、番組を見た方はおわかりかと思いますが、例年普通に放送される年末の事を予想する2019年1月収録のパートは、現在は芸能活動を自粛しているタレントが出演していたためかまさかの全部カットになっていました。

さすがにこれでは、あまりにも身内に甘いという状況を明らかにしたに過ぎず、本当はまだ問題が発覚する前の2019年1月に問題のタレントはどんな顔をしてどんな事を言っていたのかを見たいですし、VTRに一部モザイクを掛けてでも面白いやり取りのところは流してくれるだろうと思っていた人を落胆させる出来となってしまいました。

この点について制作サイドを批判するというよりも、それだけ地上波テレビバラエティについてのコンプライアンスがきつくなっているという分析ができるでしょう。大晦日恒例のダウンタウンの年越しバラエティでも、ギャグの一つが過去に黒人差別だというような事でかなり叩かれたことがあり、今の時代本当に現場が面白いバラエティを地上波で流すことは無理なのではないかと最近は思っているところもあります。

だからこそ、「有料チャンネル」や「有料サイト」限定のコンテンツとしてTBSは「クイズ正解は一年後」の一連の不祥事がなければ普通に流れるはずだった2019年1月収録のパートを最低限の画像処理で出すことで、一定の地上波のバラエティのぬるさに不満を持つ視聴者の受け皿になれるのではないかと思うのですが。

もちろん、制限がきびしい中でいかに面白いものを出していくのかというのが番組制作者の力量であるということも十分理解できますが、今年の「クイズ正解は一年後」はある意味交通事故のようなものであり、今後の謹慎しているお笑いタレントはどうなっていくのかということが世間の注目になっているという背景もあります。過去には地上波では全く出演することができなかった極楽とんぼの山本圭壱さんを出したのがアマゾンプライム会員限定のネット配信専用のプログラムであったことを考えると、ネットの有料配信の方向性をはっきりさせる意味でも、「地上波では流せないが、流すこと自体は悪いものではない」コンテンツを出すというやり方も十分あってもいいと思うのです。

逆に、有料サイトであるNetflixで配信されることで多くの人に認知されたドラマコンテンツ「全裸監督」は、その本編でなくオリジナルを面白がって真似するシチュエーションやお笑い芸人が地上波のバラエティで出てきています。そうなると本来はドラマのターゲットではない層の人たちの間にまで「あれは何だ?」ということでその内容と元ネタが広がってしまうことになり、それはオリジナルコンテンツの制作者からしても必ずしもいい事だとにはならないかも知れません。2020年は無料と有料コンテンツをごっちゃにせず、それぞれのテリトリーの中でそれぞれ楽しむようにしないと、どちらのメディアもネットによる批判にさらされるような状況が起こってくることも予想されます。少なくとも有料サイトをうたうなら、毎月の料金に見合うだけのコンテンツを用意した上でおすすめして欲しいものです。


NHK受信料の徴収が「合憲」との判断 その時テレビは?

全てのテレビニュースを見てはいないのですが夕方のニュースで今回紹介する裁判のニュースを項目として取り上げた民放局はまだ確認していません。実は私はネットや新聞で2017年12月6日に最高裁判所で行なわれたNHKの受信料制度が憲法が保障する「契約の自由」に反するかどうかが争われた上告審判決を注目していました。

今まではテレビを持っていても「NHKを見ないから」、「受信料を払うだけの価値をNHKの番組には見出せない」、「受信料を払っていても教育番組テキストを有料で買わせるのはおかしい」、「4K8Kの費用をなぜ受信機を持っていない世帯に負担させるのか」、など様々な理由を付けて受信料の支払いを行なわない人が全国にいます。そんな中で、一人の男性の起こした裁判で、テレビがあれば義務的に受信料を支払わなければならないのかという判断を初めて最高裁がするということで注目されていたのです。

結論から言いますと、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は受信料制度を「合憲」と判断しました。今後はこの判例を根拠に、同じようにテレビが有るのに受信料を払わない人たちに対して徴収を積極的に行なってくることが予想されます。

ただ、現状では意地でもNHKの受信料を払いたくない場合には、テレビとアンテナを捨てるなり人にあげるなりして部屋から撤去し、常に持っているガラケーやスマホにはワンセグ受信のできるものを使わないようにすれば、とりあえずは受信料の契約を解約することは可能だと思います。しかし、そうした行動についてもしっかり対応するようにNHKは受信料を使って着々と準備を進めているのです。

それは、インターネット回線を使った地上波の番組の常時同時配信と言われるものです。今でも生中継でスポーツなどを中継するサービスはありましたが、何か大きなイベントやニュースが入ったりしてより多くの人が同じサイトから動画を見ようとすると、回線がパンクするようになって動画が止まってしまうということは今でも起こっていますが、恐らくNHKは相当のアクセスが集中しても回線が落ちないくらいの回線設備の増強を行なった上で、満を持してたとえテレビが家にない家庭であってもインターネットが使える環境が整っていれば同時配信のネット経由放送を見られるから受信料の支払義務があると言ってくるだろうと思われます。

すでにテレビがあって現在受信料を普通に払っている場合は関係ありませんが、今の世の中にはテレビも持たないでスマホだけで生活をしている単身の世帯もあったりするので、そうした人からも受信料を取ろうとするNHKの活動は、今回の「受信料は憲法で保障された契約の自由には抵触しない」という最高裁からのお墨付きを得たことで、今後何も対策をしていないと積極的に受信料を払うことになってしまうだろうと思います。

しかし、テレビもなくネットから情報を主に得ている人が見られるからと言ってNHKの配信を長時間見るわけもありませんし、今回の最高裁の判断というのは将来に集金人と特定の世帯主との間に問題を引き起こす可能性があります。

今後NHKは強権的に力で受信料を取ろうとし、NHKから訴訟を起こすような傾向が出てくるかも知れませんが、そのような大きな力が働くと、日本人というのはほとんどが大人しく従って受信料を払うとは思いますが、違う作用を引き起こす可能性もあります。

というのも、インターネットを提供する会社というのはテレビ放送のように免許制ではなく、小さなところは大手キャリアから帯域を借りる中でユーザーにどのような形で回線を提供するかは業者の判断に任されているところがあります。例えばNHKが常時同時地上波放送配信を開始したとして、もしどこか勇気ある業者がNHKの動画配信サイトにのみ国内からの接続ができなくなるような「機能」を付けたSIMカード(eSIMを含む)を出したとしたら、そこに生まれるのが「NHKの受信料が単体のネット利用では発生しないインターネット回線」になるわけです。

恐らくそうした動きはNHKから圧力を掛けて防ぐようにするのかも知れませんが、放送と違ってインターネットは少なくともNHKを見るためにできたものでも使われるべきものでもありませんので、将来民放の同時配信や見逃し配信は見られるが、NHKだけは見られないというプランを出すと宣言するMVNO業者があれば、今後の注目になると思いますが、やはり気になるのが、今回のこのニュースを民放も報道しないことなのですね。触れたら都合の悪い何かがあるのでしょうか?

もし一切の抜け道を作ることが許されず、大手キャリアがMVNOの弱少業者に圧力をかけてNHKだけが見られないSIMカードを出すことができなくなったとしたら、その時も国民は粛々と文句も言わずに受信料を全ての人が払うようになるのでしょうか。まだインターネット回線を引いているだけで受信料が請求されない今、こうした将来を見越したインターネットサービスの提供について多くの人を巻き込んで考えるべきだと思います。そして現在のNHKの地上波常時同時配信の方向性に反対を打ち出している民放の方々の意見も聞きたいところです。

(追記)
夜のニュースの時間となって、ようやくテレビ朝日の「報道ステーション」では2番目のニュースとして取り上げられました。そこで報道されていたことで、「NHKは裁判に勝ったらいつの時点にさかのぼって受信料を請求できるのか?」という裁判官の判断で、テレビを設置した日からなのだそうです。

つまり、もめて裁判の期間が長くなればなるほど、請求される金額が高くなるわけです。報道ステーションでは、そうして取る受信料が公共放送として適切なものかが問われるなどともっともらしい批評をしていましたが、すでに自局のドラマの宣伝のために番組を使ったり、朝ドラで特定の営利企業を利するような内容のものを過去に何度も放送しています。このブログではしっかりとNHKの番組についてはいい所も悪い所もしっかりと見た上で感想という形で紹介し、公共放送としてNHKがふさわしいのかどうかという観点からも今後は問題提起をしていきたいなと思っています。


籾井NHK前会長のご意向が却下された「受信料値下げ」

NHKを語る場合、切っても切り離せないのが公共放送であるということと、受信料の存在であると言えます。NHKの受信料が公共料金かということについても異論を挟む方がいるかも知れませんが、一般家庭が家計を考える場合の固定費としてNHKの受信料を払っているご家庭がほとんどだと思うので、ここでは全てのご家庭で払う必要のある費用として考えていきます。

NHKの受信料についての話の中で出ていた話に、NHKは受信料の値下げを行なうのではないかというものがありました。これは、2016年の2017年予算についての話し合いの中で出てきたものです。東京にある放送センターの建て替え計画を決め新規積み立てが不要になることもあり、50円程度の値下げを籾井前会長が意見したところ、経営委員会の面々は軒並み反対したことで、実現せず今にいたります。

その後、4Kや8Kについての技術開発、さらにネットによる放送の常時同時配信にかかる費用なども持ち出され、足りなくなることはあっても余ることはないという感じで事業を拡大しているという感じもあります。返せる時には返して、必要な時にはもらうという籾井前会長の意見は、それなりに腑に落ちるところはあるのですが、現在のNHKはとにかく値下げはしないで新規事業に走ることを明らかにしたと言えるでしょう。

さらに、最近はこのブログでも何度か指摘させていただいていますが、実に民放チックなドラマの番組宣伝でのタレントや俳優を情報番組やバラエティ番組に呼び出して出演させたり、ドラマ内でも露骨に民放ドラマとのコラボレーションを含んだ脚本を俳優に演じさせたりしています。民放のように視聴率至上主義という雰囲気はまだ現場にはないようですが、作り手やスタッフには一刻ごとに変わる視聴率を意識させるように表示はしているという新聞報道もあります。

そうした行動に対する言い訳というのは、「どんなに良い番組を作っても見てもらえなければ意味がない」というものだそうです。しかし、もしNHKが受信料をまともに払ってくれている人に対してNHKアーカイブスの利用料を一部取らないというようにして、制作者が見せたい番組を番組の放送終了時から一定期間のみ無料でネット経由で見られるようにするとか、改善策はあるはずです。人々がNHKを見たいと思う理由の中には、民放のような落ち着かない類の番組は見たくないというものもあると思いますが、NHKの経営方針で本格的に民放との視聴率競争を行なうような事にでもなれば、元ネタがどこかわからない同じような番組が一気に増えてしまうような懸念も出てきます。

そうなると、あえてテレビは見ないでAbema TVだけで十分という方々も出ると思いますが、その頃にはNHKはインターネット回線を引いていたり、ワンセグはなくても通信できるスマホを持っているだけで受信料を徴収するための仕組みを作り上げていて、テレビを止めても受信料支払いから逃げられないようになっている可能性もあります。

何より頭に来るのが、そうした囲い込みのための環境整備(常時同時番組配信のためのネット回線の整備など)自体を受信料で行なおうとしているところで、そこまで来たら個人的にはテレビ自体をいったん売り、さらにワンセグが見られるガラケー・ガラホ・スマホ・タブレットも全て処分し、さらにインターネット回線も光回線を解約しモバイル通信のデータカードをスマホに入れて高速クーポンもないどう頑張ってもNHKが配信するネット中継動画が見られないくらい遅い回線にして、それでもNHKが受信料契約の解約を認めなかったとしたら、実際に部屋にあるものや、手持ちのスマホを使って動画を見られるかどうかやってもらった上でその様子を動画撮影して公表してやろうかと思いますね(^^;)。

インターネットの利用の観点から見るとかなり利便性が損なわれますが、テレビ受信専用のアンテナを建てるならまだしも、単にNHKから配信されてくる放送を見る目的でインターネットを始める人はほとんどいないわけで、そういう点からもかなり広い解釈で受信料を取ろうとしていることがわかります。こんな解釈が許されるのかと、恐らくこんなことになれば裁判も起こってくるでしょうから、そこで日本の司法がどんな判断をするかでもこの国のテレビの未来が決まってしまうと思いつつ、これからもネット配信についての話題には折に触れて紹介して行こうと思っています。