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テレビドラマを多元利用すればするほどパワーは落ちる?

このドラマの題名「さすらい温泉 遠藤憲一」に普通のドラマとはちょっと違う匂いを感じ、見てみましたがさすがにそのあざとさに苦笑するしかありませんでした。

物語は全てフィクションで、現実の遠藤憲一さんがこの番組を最後に芸能界を引退するわけでもなく、ドキュメンタリーでもないでしょう。素足に雪駄を履いて革のトランクを持って上着を一枚ひっかけただけという姿は、渥美清さんの演じた「フーテンの寅」そのものです。

ただ寅さんと違うのは、遠藤憲一さんは全国を渡り歩く温泉宿の仲居という設定でこれから全国の有名な温泉地をさすらうように回るのでしょう。働いた温泉宿には必ずマドンナがいて、淡い恋心は全て打ち砕かれ、番組の最後には次の温泉地に向かって流れていくということになるのでしょう。

次回のマドンナは誰になるのかとか、そもそも働く温泉はどの温泉でどこの温泉宿が撮影に使われるのかとか、さらに宿のお風呂で誰が脱ぐのかとか(^^;)、ドラマの進行とは関係ないニーズを追い、「ドラマ」「温泉(旅番組)」「お色気」という3つの要素を詰め込んだものにしたいのでしょう。

それは、ちょっと違った方から見ると、単なるストーリーを工夫したドラマだけではとても持たないということで、エンドロールに「さすらい温泉 遠藤憲一 製作委員会」とありましたが、有料サイトのParaviで全話配信するというのもリアルタイム視聴にこだわる世代を莫迦にしているようです。また、番組の裏側についても配信するということになっているのだそうで、今後はさらに計算された色んな仕掛けでこのドラマの元を取ろうとされるのだろうと思うと、単に面白がって見ているわけにもいかないと思ったりするのです。

そもそも、映画だけでなくテレビドラマの製作にも製作委員会方式の作り方が当り前になるような未来があるというのなら、当時の流行りに沿った作りになればなるほど、時間が経過した後に見てみるとつまらなく思えてしまうようなものになるかも知れません。

ともあれ、このドラマのあらすじもその内容も一回見ればわかるくらいの陳腐なものであることは確かなので、これをこのまま続ける意味はあるのか? と久しぶりに思ってしまったドラマとなりました。

(番組データ)

さすらい温泉 遠藤憲一 第一湯 草津温泉~湯畑慕情~ BSテレ東
2019/04/05 00:00 ~ 2019/04/05 00:30 (30分)
【出演】
中井田健一…遠藤憲一
富永理恵…ともさかりえ
富永勇介…五十嵐陽向
橋本…大高洋夫
美貴…松野井雅
ヒトシ…升水柚希
カズヨシ…高橋曽良
【監督・プロデューサー】
後藤庸介
【脚本】
田中眞一
【音楽】羽深由理

(番組内容)

俳優を辞めた?遠藤憲一が仲居となって温泉宿で働き、恋した女性を助けるドキュメンタリー風人情ドラマ。草津温泉で一人息子を育てる理恵(ともさかりえ)と出会う。

遠藤憲一が仲居の“中井田健一”として、全国の温泉宿で働き始める。草津温泉の旅館「奈良屋」で働き出した中井田は同僚の仲居・理恵(ともさかりえ)と出会う。中井田は理恵に、胸の奥がうずくような、甘酸っぱい感覚を味わう…。だが、理恵には小学生の息子・勇介(五十嵐陽向)がいた。夫は豪華客船の船長で、勇介は航海中の父に長く会っていないのだという。勇介は父に会いたいと理恵に訴えるが…。