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体操協会バッシング報道の前に過去の報道姿勢を見直すべきでは?

前日の選手と体操協会の記者会見を受けて、8月30日のワイドショーは女子体操選手と朝日生命体操クラブ、体操協会との関係について、朝日生命体操クラブに入らなかった女子選手・コーチが嫌がらせを受けて、パワハラで活動できなくなっているというトーンで報道がされています。

そもそも、この問題の発端は第三者の方が女子選手に対して専属コーチが暴力をふるったという告発があり、それを受ける形でコーチが資格を剥奪され、そのため女子選手が満足な指導を受けられなくなり、それを受けて女子選手が記者会見を開いたことで騒動になっているのですが、この番組を含め多くのマスコミ報道がまさに鬼の首でも取ったように元オリンピック選手であり体操界の重鎮である塚原光男・塚原千恵子夫妻の事を日大アメフト部監督やアマチュアボクシング協会理事のようにバッシングをしています。

それはそれでアスリートファーストということで、選手の活動を阻害する要因についてはできるだけ取り除いてあげる事はいいと思います。しかし、塚原夫妻の行動というのは、直接体操界に関わっていない人であってもそのパワハラ満載なクラブのあり方について過去にも批判されることはあったと思うのに、当時は塚原夫妻に反対するコーチや選手を養護するような報道をしていないから、今回のような事につながっていることを理解すべきでしょう。今回いきなり塚原夫妻をバッシングしているのは、日大やボクシング協会の報道で視聴者の支持が得られるからやっているというようなイヤラシサを感じるのです。もし、当時者が今回のように出てこない状況であったら、大会での選手取材に支障が出るという理由から、ここまでバッシングはしなかったのではないでしょうか。

さらに、今回あえてこの番組に対してこの話題を書く気になったのは、以下のリンクにある過去の体操にまつわる事件報道についてツイッターからの引用に「ゴゴスマ」の文字を発見したからであります。

https://breaking-news.jp/2016/01/18/022443

この事件は、ニュース内に逮捕された体操コーチの実名が出てしまっているのでリンクを貼ることに心苦しさはあるのですが、最後のコメント欄まで読むと、ちょっと違った印象を読む人に与えると思いますので、あえてリンクを貼らせていただきました。

ニュース自体を覚えている方もいるかも知れませんが、当初はこのサイトのようにコーチが生徒に体罰だけでなく重症を与えるような暴力を働き、警察に逮捕され勾留されたことで多くの方に、このコーチ批判のコメントが殺到したのでした。そんなツイッターのコメントの中に「#ゴゴスマ」という文字があったということは、恐らく同じような論調で報道したと思われます(当時のテレビは見ていたのですが、ゴゴスマでどのような報道があったかは細かく指摘できない点はどうかご了承下さい)。

しかし、この事件は結論から言うと告発者の出した資料の一部が虚偽だった事が判明したことで不起訴になり、問題となった体操教室も現在は全く問題なく営業されていますし、逮捕されたコーチも市内の幼稚園などで体操指導をしているなど、リンク先でのバッシングというのは、今となっては実は見当外れの部分も多くあるのではないかと思います。

私個人としては、件の体操コーチの汚名は晴らされたと思っていますが、当時この事件についてリンクさせていただいたネットメディアを含む報道したマスコミはどうなのでしょうか。もし、自らの取材なしに警察の発表する情報だけを受けて、その裏も取らずに新聞やネットに書いたりテレビで放送したりしてしまったら、この事件が不起訴になったことを受けて何らかの対応を取るべきですし、今後同じような事件が発生した場合、まずは関係者に取材して裏を取って報道するというのがテレビとしての義務ではないかと思います。

話は最初に戻りますが、女子体操選手に対して暴力を奮ったと告発した人に取材をしたのかということについてゴゴスマでは明らかにせず、単に協会幹部がコーチを陥れるために誰かが暴力事件で告発することを促したのだろうなどと憶測に基づくコメントを森末慎二氏から引き出すだけでした。その事についてゴゴスマの記者が動いた形跡はありません。今回の放送で見た唯一の記者の行動というのが、塚原光男氏にいきなりマイクを向けてコメントを取ったことだけで、それこそ鬼の首を取ったかのように塚原氏の漏らしてしまった言葉について番組で噛み付いていました。

誤解して欲しくないのですが、私自身も塚原夫妻の支配する女子の体操界というのは男子に比べると選手のやる気を削ぐ部分があり、それが女子が男子に比べると国際大会の成績に違いがある原因だと思っていて、民主的な協会運営を求めたいと思ってテレビを見ています。しかし、過去に行なった報道を棚に上げて、弱った犬をみんなで打ち据えるような見苦しい事をする前に、しっかりとした取材をしてきっちりと本丸を追い詰めるのがジャーナリズムとしてのやり方なのではないでしょうか。

(番組データ)

ゴゴスマ【会見バトル…被害選手VS体操協会▽男子リレー今夜決戦!】中部日本放送
8/30 (木) 13:55 ~ 15:50 (115分)
【MC】石井亮次(CBCアナウンサー)
【アシスタント】古川枝里子(CBCアナウンサー)
【出演】博多華丸(博多華丸・大吉),田中ウルヴェ京,JOY
【中継出演】森末慎二

(番組内容)

会見バトル…被害選手VS体操協会「権力を使った暴力」本部長を名指しで批判▼男子リレー今夜決戦!▼台風21号最新進路は? ほか(※予定)


テレビ制作者はどこまで視聴している人の事を考えているのか

今回のゲスト梅沢富美男さんは「下町の玉三郎」と呼ばれ、テレビ界に進出された方で、その裏表のなさそうな下町の庶民感覚を持ったキャラクターで現在でも多数のテレビ番組に出演して人気になっている現代の「大御所」的雰囲気を醸し出す方です。

今回はそうした下町の庶民感覚というものが反作用を起こした悪い例として、梅沢さんがそのキャラクターで自分の事にまつわる「金言」があり、さらに番組もそのまま放送してしまった状況がありましたのでここで紹介させていただこうかと思います。個人的には出演者がその想いの丈を見ている人の事に考えが回らずにぶちまけるような事があっても仕方ない部分はあるかと思うのですが、もし行き過ぎがあったり誤解を招くような発言や表現があれば放送時までにはテロップでもフォローをするのが常だと思うのですが、今回はそうしたフォローもなかったので、少々気に掛かってしまったのです。

問題の場面は、幼い頃といっても舞台に出ていた時にインフルエンザにかかってしまった梅沢さんを診ていたお医者さんに向かって言った母親の「金言」でした。その言葉とは、医者が舞台を休みなさいという言葉に反発して「この子は舞台で殺しますから」と言ったというものです。

この言葉は、たとえ自分の可愛い子であっても、お客さんのためなら這ってでも舞台に出てお客さんを喜ばせることが大切だという想いがこもった言葉だと紹介されました。さらにこうした親子の話が描かれた梅沢さんの書き下ろしの本とともに紹介するというテレビを使っての宣伝も入っていたので、余計違和感を感じたのでした。

この一連の状況というのは確かに昔の時代なら無理をしても舞台に出ることが大切だと思えるある一つの価値感として存在することは認められるところでしょう。しかし、こうした行動を肯定したままフォローもしないというのは、現在も梅沢富美男劇団では役者がインフルエンザにかかっても構わず舞台に出て、最前列に陣取っているお客様に向かってインフルエンザウィルスを撒き散らすような事を普通に行っているの? という風にも感じられてしまいます。そうなると、少なくとも私はインフルエンザの勢いが完全に止まる時期までは梅沢富美男劇団のお芝居を見に行かないかと誘われてもお断りすることになるでしょう。むしろ今の価値感では、人にうつす病気を役者が発症したらお客様のために舞台を休むことこそ大事なのではないかと思うのですが。

当然ここまで私が書いたような事を危惧したテレビスタッフはいたと思うのですが、今回は「金言」の話が直接梅沢富美男さんが書かれた本の紹介も兼ねていたため、それこそ忖度をして誰も文句を言わなかったのではないかと考えることもできます。しかし、先に私が書いたようにウィルスで感染するような病にかかった役者がいても、平気で舞台に上げることが当り前なのかとテレビ視聴者に思われるのなら、「舞台は見に行かないでテレビで十分だよね」という考えを後押しすることにもなりかねない危険な放送ではなかったかと思えます。

番組の次のコーナーでは同じ局の報道番組であれだけ批判していた豊洲市場に番組出演者が入り、その素晴しさを延々と放送していたり、もしかしたらスタッフに危機管理能力がないだけなのかなと思ったりもするのですが、現在はすぐにSNSで話題になって炎上してしまう事がテレビ番組をきっかけに起きていたりもしますので、もう少し慎重に番組を使っていただきたいと切に願っています。やはり面白い番組は地上波で多く見たいというのが正直な気持ちでありまして、自分でも面白いと思った番組が今回指摘させていただいたような事がきっかけで続けられなくなるようなことがあったらそれは悲しいことですし、改めてテレビを見ている側の様々な状況についても考えた番組作りをお願いしたいです。

(番組データ)

教えてもらう前と後【体の老化(秘)改善法4連発▼滝クリ華丸大吉が豊洲市場ロケ】TBS
3/20 (火) 19:00 ~ 20:57 (117分)
【MC】
滝川クリステル
【レギュラー】
博多華丸・大吉
【専門家(50音順)】
桑原靖(足のクリニック表参道院長) パックン(タレント) 平岡孝将(平岡歯科院長) 平松類(彩の国東大宮メディカルセンター)
【スタジオゲスト(50音順)】
梅沢富美男 鈴木奈々 竹俣紅 田中美佐子 中山秀征 松嶋尚美 眞鍋かをり

(番組内容)

【体に隠れた危険度チェック】 体のズレを“ある方法で”チェック!どんなリスクが!?日々の改善策を徹底解説!

【知らないうちに体の衰えが進む!?】 つまようじと1円玉を使ってチェック! 集中してモノを見ようとした時に出来る“おでこ”のシワは○○のサイン?病院に行かずとも、少しの心がけで予防も改善も!!

【大好評!足の健康を簡単チェック!】 さまざまな不調の原因となる巻き爪。ゲストの深刻な状態を処置

【梅沢富美男が再現ドラマに挑戦!日本が誇る金言】 卓越した手腕から“経営の神様”と言われた松下幸之助の金言を、梅沢富美男が紹介!松下が会社の採用試験で必ず聞いた言葉とは!?

【滝クリ&華丸・大吉 潜入ロケ】 豊洲市場マイナス60度冷凍庫からリポート

【外国人から見たニッポンの魅力~日光東照宮と盆栽~】 「外国人が撮った写真にはある共通点がある」パックンが様々な魅力について紹介!

あるジャンルのスペシャリストが登場し、独自の視点で選んだ“決定的瞬間”を紹介する。番組のみどころは一度見たVTRをスペシャリストが解説し、知識を得たうえでもう一度同じVTRを見ること・・・「教えてもらう前と後ではあなたの世界がガラリと変わる!」を合言葉に、見方が一変する“知のビフォーアフター”体感を、メインMCの滝川クリステルとレギュラー出演の博多華丸・大吉が皆様にお届けする!


通販番組はこんな番組が標準であってもいい

最初にお断りさせていただきますが、この番組は関東でTBS制作によって放送された時間とはかなり時間が空いてしまっていますが、TBSで1月5日と12日に再放送があったものを16日に地元テレビ局で放送があったものについて書いているので、ブログの日付と実際の番組データとのズレがあります。その点はどうかご了承下さい。

番組を見ていない方のために説明しますと、あらゆる商品に対して一言ある泉ピン子さんを他に出演しているタレントさんが通販商品を買わせるために説得して、最終的にはテレビを見ている人にも買わせてしまう。かなりバラエティー番組のノリに近づけた通販番組ということになるでしょうか。

普通、通販番組に出ているタレントさんというのはあくまでも羽目をはずすことなく上品に笑ったり不自然に驚いたりして、それが逆に面白いということはあっても、積極的に通販番組を目当てに見る方というのは他のテレビを良く見ている人の中でも少ないのではないかと思います。それが、この番組にはIKKOさんの物真似をするお笑いコンビ「チョコレートプラネット」の松尾駿さんをわざとIKKOさんの隣に立たせて宝石のプレゼンをハイテンションでさせたり、今まで多くのバラエティで出してきた定番をフル活用して出演者は知らないうちに通販で売られている商品にも興味を持つような構成になっています。

ここまでの多くのタレントを出さなくても十分面白い通販番組は作れるということを証明したのが、お笑いコンビ「ドランクドラゴン」の二人がメインで出演するBS12の「バカ売れ研究所」という番組だったりするのですが、このような番組を作れるのなら地上波の通販中心の時間帯や、BS放送の通販枠について、もう少しお金を出してバラエティ番組に近い通販番組を作った方がもっと売り上げが伸びて、タレントさんもその能力を十分に発揮することができるような気がするのです。

また、かつてあったマツコ・デラックスさんのアンドロイドが日テレポシュレという通販番組に一切事前告知をすることなく深夜というより早朝という、見ている人の注意力が散漫になるような時間帯に登場し、人間が出て売るのとアンドロイドとでは売り上げに違いがあるのかという実験を行なっていたのを見ましたが、もし何の事前情報もなく早朝にテレビを付けて、マツコ・デラックス本人でないアンドロイドが通販番組をやっていたとしたら紹介している商品に関係なく見てしまうケースがほとんどでしょう。

このように、通販を行なうスポンサーの了解さえ取れれば、まだ通販番組の演出や構成のやり方には無限の可能性があり、さらに商品が売れることでの直接的な利益をテレビ局にもたらすということで、相当メリットの有るコンテンツになり得るのではないでしょうか。

そういう意味ではいち早くこうしたバラエティ寄りの通販番組を地上波で放送したことで、TBSが一歩進んでいる感じもするわけですが、面白いコンテンツは全て真似されて他の放送局にも使われるのがこの国のテレビの習いでもあるので、この種の番組についてはぜひその局の個性を生かすような形での新たな通販番組を作って欲しいと思います。

通販業界ではアマゾンに勝てないという恨み節が出ているところもあるかも知れませんが、テレビ通販の面白さというのは、テレビを見て興奮した乗りですぐ電話して購入手続きを取ってしまうクロージングの早さにあるのではないかと思います。恐らく型番をメモしてネット検索をかけて価格比較を行なうような人は番組を楽しみながら最後まで見ないと思いますので(^^;)、むしろ自局のバラエティ番組の面白さを食ってしまうような勢いでこの種の番組が出てくればさらにテレビの世界も面白くなっていくのではないでしょうか。

(番組データ)

ピン子、通販やるってよ~本日開店!ピン子デパート~ TBS
1/12 (金) 9:55 ~ 10:50 (55分)
<支配人(ねびきひき子)> 泉ピン子
<副支配人> 土屋伸之(ナイツ)
<販売員> 出川哲朗 塙宣之(ナイツ) 鈴木あきえ
<ゲスト> IKKO チョコレートプラネット(長田庄平・松尾駿)
<VTR出演> 佐藤弘道
<ナレーター> 野沢雅子

(番組内容)

テレビショッピングが大好きだという芸能界きっての買い物女王、泉ピン子が、お客様目線で商品を値切りまくる! いい商品をどこよりも安く!をモットーに、販売員である出川哲朗、塙宣之(ナイツ)、鈴木あきえが全力交渉!なんと今回は通販番組最安値を目指す! 特別セットを特別価格で次々ご紹介! “ダメなものはダメとはっきり言う”通販番組の常識を覆す新感覚の通販エンターテインメントをお見逃しなく!


「サンデー・ジャポン」がだんまりを決め込んだ理由は?

サンデー・ジャポンという番組は基本的に月曜から土曜までに起こったことを時系列的に紹介していく中で、いわゆる「サンジャポファミリー」と番組が命名した人達のコメントとともに司会の爆笑問題が笑いの方向に誘導することが多く、普通のワイドショーと比べるとちょっとくだけているというか、悪ノリだと見ている側が感じることもある構成になっています。

番組ではさらに、いわゆる普通のタレントさんではなく、夜の街にも積極的に繰り出し、そこで目立っていたり面白いと思われる人についても積極的にテレビにVTR出演させ、そこで評判が良かった人について番組自体に登場させたり、世間ではバッシングがひどくて他の番組に出られない、例えは前東京都知事の舛添要一氏のような方でもテレビに出してしまう大らかさというか、面白ければ何でもありというような気風がある番組のように思えます。

そんな、サンデー・ジャポンのアンテナに引っかかって2017年10月に番組に生出演したのが、まさに今回のサンデー・ジャポン放送の対象である1月11日にマスコミ各社で報道され、恐喝未遂の疑いで逮捕された「サンジャポファミリー」の「平成バブル男」でした。ここでは、あえてTBSニュースのインターネット版で報じられた容疑者の説明の部分について引用による紹介をさせていただきます。

(ここから引用)
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「平成バブル男」としてテレビ番組に出演していた男が恐喝未遂などの疑いで逮捕された事件で、男が、ともに逮捕された男らへの指示役だったとみられることが分かりました。
(中略)
警視庁は○○容疑者(注・引用者の判断で本名の表示は控えました)が主犯とみて、調べています。
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(2018年1月11日 11時36分配信 TBS NEWSより一部引用)

この辺はさすがTBSの配信だと思うところがあります。他の媒体では映画に出ていたりDJをやったり歌を出したりしているということと、テレビ出演がサンデー・ジャポン以外にもTOKYO MX「バラいろダンディ」、テレビ朝日「お願い! ランキング」にも出演されているということで、「サンデー・ジャポン」という番組名も、「タレント」という呼び方も使っていません。

しかし、やはり「サンデー・ジャポン」に出たことで調子に乗って他のマスコミにも出演したことには変わりないわけで、この事件の報道をした媒体の中に彼の事を「自称」の付かない「タレント」と報じたところもあるだけに(中にはさらに慎重に「自称 音楽プロデューサー」としているところもありましたが)、テレビに出す側の判断には難しいものがあるということがわかります。

で、今回この番組を取り上げたのは、さすがに番組の中でVTR紹介だけでも何かコメントがあるのではないか? と思ってずっと見ていたのですが残念ながら全くこの事件については番組からもサンジャポファミリーで固められたコメンテーターからも言及がありませんでした。

恐らく今回の容疑者もテレビに出たことによって、ことさら自分の事をセルフ・プロデュースして大きく見せようとして、利用しようとしていたのだとも思います。しかし、いざ不祥事を起こせばそれまでお願いして番組に出ていただいていたような人でも、取るに足らない人物だとスタッフから判断されたような人は、たとえ一時期「サンジャポファミリー」と認定されていても最初からいなかった事にされてしまうのがわかっただけでも今回の番組視聴には収穫がありました。いわゆる「時の人」扱いでいくらテレビに出ていても、その実力がある程度評価されなければ舛添要一さんのようにテレビに出してはくれないという、テレビの厳しさを改めて思い知ったということになるでしょうか。

多くの視聴者は「サンデー・ジャポン」を単なる馬鹿番組だと見なしているかも知れませんが、当然ふざけている中にも厳しさがあります。テレビに取り上げられた事で調子に乗り過ぎるような傾向のある人は、何のフォローも後追いもされない現実があるのだという事を理解しておいた方がいいのかも知れません。

(番組データ)

サンデー・ジャポン 桂文枝師匠 年下女性との18禁音声▽ホリエモン芸人転向? TBS
1/14 (日) 9:54 ~ 11:30 (96分)
【レギュラー】爆笑問題(太田光・田中裕二) テリー伊藤 デーブ・スペクター 西川史子 細野敦 山本里菜(TBSアナウンサー)
【準レギュラー】 杉村太蔵
【ゲスト】 堀江貴文 神田松之丞 ダレノガレ明美 Niki
【VTRゲスト】 松本潤 香川照之 木村文乃 ・ ガリットチュウ 福島善成 (順不同)

(番組内容)

今週もニュースが盛りだくさん! ▽桂文枝師匠と愛人報道があった18歳年下の一般女性との年齢制限がある音声が流出▽渡辺直美さんが窃盗被害!? 一体誰が…そしてデヴィ夫人の芸能事務所運営費を着服した元経理担当者の初公判が…傍聴したデヴィ夫人が怒りの一言▽浅野ゆう子さん(57)が昨年末に一般男性と結婚していたことが…▽19歳少女のお尻に寝てる間に刺青を!?彫った自称投資家の男を逮捕!

▽成人式の当日に貸衣裳会社「はれのひ」が営業停止…振袖が着られなく欠席する新成人などとトラブルが相次ぐ中、社長を大追跡!▽東京五輪を前に前代未聞の不祥事!カヌーの日本代表入り有力候補選手がライバル選手の飲み物に禁止薬物を混ぜた!?▼ホリエモンがお笑い芸人に!?次は何を企んでいるのか、スタジオで生・徹底追及!いま最も勢いのある超毒舌講談師・神田松之丞が初登場!毒舌バトル…ダレノガレ明美vsNiki


女芸人のネタより「人の不幸」の方が見る側にとっては面白い

この日の裏番組には女芸人のナンバーワンを決定する「THE W」(日テレ系で放送)があったのですが、正直ネタ番組でないコンペというのは笑いという要素以外の出場者の人生を凝縮したVTRを見せられるなど、普通にお笑い好きでないとなかなか通しで見るにはきついものがあるというのが正直なところです。

そんなわけで、今回は「THE W」は少しCMの間に変えてどんな様子か見たくらいで、人の余命を勝手に付けてランキング化する「名医のTHE太鼓判!余命宣告3時間SP」の方をメインに見ていました。

何が面白いかって、やはり他人の不幸ほど面白いことはないということで、今回の出演者では(敬称は略させていただきました)、

・河中あい(元亭主がアパホテル不倫の袴田吉彦さん)
・高橋ジョージ(泥沼不倫騒動から今は豪邸での単身生活)
・とにかく明るい安村(不倫騒動の後で仕事激減)
・若狭勝(小池百合子さんに怒られて無念の選挙落選)

など、ツッコミどころ満載で、番組内では実際の生活の様子をあの「サンデー・ジャポン」ばりの演出を加えて見ている人を笑わかしにかかるので、この番組が健康な生活を目指す医療番組であることを忘れてしまいます。

なお、今回の出演者のうち余命の短いとされたランキングの一位と二位は若狭勝さん(一位で7年)と高橋ジョージ(二位で9年)さんで、このままの生活を続けないで生活習慣の改善を促すという番組構成になっています。この二人とも生活改善前のVTRは演出でかなり面白く作られていて、すでにもう自分の人生を笑われるのを覚悟でこうした番組に出て、テレビを見ている「人の不幸を見るのが好き」という視聴者に向かって、自ら不幸を背負い込んだような演技らしい表情を作っていたのが高橋ジョージさんでした。

今回の番組で余命の短かさを改善するためのメニューを実践し、余命が12年に伸びましたが、このバラエティ的に出した余命以上に高橋ジョージさんはこれからもテレビに出演し、それなりにテレビをうまく使って芸能界でしぶとく生き残っていこうとする気合というものを感じます。もちろん、スタジオでの返しも抜群で、ロックミュージシャンと言うよりも常に話題を提供し、笑いを届けてくれる突き抜けた存在として大変面白く見させていただきました。VTRの最後に歌っていた元奥様との思い出を題材に作られたという、新しい「ロード」が元奥様の代理人から文句を付けられないといいのですが(^^;)。

それに反して、どうにもぱっとしない表情のまま単に余命の短さと、その余命の短さを改善するためにバランスボールに乗って体を鍛える事を実践していた若狭勝さんの方は、何か表情も番組スタートから終わりまでとにかく中途半端な感じで、果たして今後バラエティ番組で「笑われる存在」になることを許容されたのかがどうもはっきり伝わってこなかったのは残念でした。

あえて「笑われる」存在になってしまったとしても、最初に紹介した「THE W」に出ていた人達よりよっぽど面白く、さらに小池百合子さんが東京都知事なり国会議員なり、政治の世界にいる間はテレビ的にも需要は続くと思うので、あえて今回自らのかっこ悪いところをさらけ出したわけですから、進んでも下がっても今回の番組で固定された「選挙落選ストレスで余命7年」というイメージを逆手に取ってもっと突き抜けた精神で活動するのも、実際健康にもいいのではないかと思うのですが。

(番組データ)

名医のTHE太鼓判!余命宣告3時間SP★ストレスで寿命縮む!?由美かおる健康法 TBS
12/11 (月) 19:00 ~ 22:00 (180分)
★MC 渡部建(アンジャッシュ) 山瀬まみ
★進行 高畑百合子(TBSアナウンサー)
★レギュラー 児嶋一哉(アンジャッシュ) 原西孝幸(FUJIWARA) 藤本敏史(FUJIWARA)
★ゲスト アキラ100% 麻丘めぐみ 河中あい 須藤凜々花 高橋ジョージ とにかく明るい安村 野村宏伸 はるな愛 若狭勝
★特別ゲスト 由美かおる
★医師 大竹真一郎 大谷義夫 川村優希 菅原道仁 高橋通 丸田佳奈 森田豊

(番組内容)

ストレスで寿命は縮むのか!?落選でストレス…離婚でストレス…2017年精神的に大変だった芸能人が人間ドックを受診!さらに67歳由美かおる若さ保つ呼吸法&食事


これじゃテレビは政治家の疑惑を追求できない

中国の作家、魯迅の随筆の中に「『フェアプレイ』はまだ早い」という作品があります。魯迅の生きた時代が中国で革命が起こっている時であったため、どのように権力と戦うべきかということを考えて書かれたものかと思いますが、その中の一説で、「打落水狗」という言葉が出てきます。

「狗」とは犬のことで、「水に落ちた犬は打て!」ということになりましょうか。自分達に向かって吠えたり襲ってくる犬は、水に落ちて溺れていたとしてもその姿が可哀想だからと、親切心から水から上げようと手を差しのべたとしたら、そんな親切心など介することのない犬のこと、その攻撃性を再度発揮し差し伸べた手を噛んでくるかもしれない、だから情を捨てて更に打てというわけです。

この辺の感情というのは理解が難しいと思われる方も少なくないかも知れませんが、例えば親切心から弱っている人に施しをしようとしたら、その人は道行く人の懐を狙っていて財布を取られたり最悪の場合は命を失くしたりするようなケースも有りえます。

見ないふりをして無視するということはかっこ悪い事だと思い親切心から人を許してしまう人の方が好意的に受け入れられるかも知れませんが、いつ自分が裏切られてもいいと思って行動しないと、裏切られる度に心に深い傷を負うことになるでしょう。

これは政界とマスコミの関係でも同じような事があったりします。ある時には全マスコミとネットまで含めて対象の人物に向けて大バッシングをしたものの、一切そうしたバッシングに対して答えず、追求しても逃げ出した上に引きこもって表舞台から消えてしまった人物がいたとします。しばらくはテレビでもその人物に対する批判はするかもしれませんが、一定以上の時間が経った頃を見計らうように、今まで糾弾してきた相手をすぐに許して騒動が起こる前のようにテレビ出演させている事例には事欠きません。ここでは、たまたま本日のテレビを付けていて出演していることを確認した前東京都知事の舛添要一氏がTBSのワイドショーに出ていて、正面から小池現都知事を批判するコメントを言ったり、同席しているタレントが舛添氏擁護のコメントを出しているのを見て、さもありなんと思った次第です。

既に舛添氏は日曜午前のトークバラエティ「サンデー・ジャポン」に出演していますが、この番組は情報番組と言ってもバラエティに近く、ある程度出演者の人選については批判の来るのを承知でキャスティングを行なっており、出演するのに不快感を感じる人がいたとしても、「あの番組だから」と許されるような感じの番組に過ぎませんが、朝の情報バラエティではかなり真剣に当の舛添前都知事の疑惑追求を行なっていたはずです。

今回の衆議院選挙では、主に自民党や安倍首相を中心に、TBSを含めたマスコミを「安倍首相の印象を悪くするような操作をした報道をしている」事をマスコミ名を名差しして批判したプラカードを持って演説会に参加していた方がいらっしゃったと思いますが、この主張はある意味正しいと言わねばなりません。なぜなら、あれだけ別荘を売却すると言ったことや、チャイナ服がどうの(前知事は墨を使って字を書くために公費でチャイナ服を購入したとのこと)や、ホテル三日月でどんな会議が行なわれたのか(実際は家族で遊びに行っただけなのを自費で払わなかっただけなのではとの疑惑があります)というような事は未だに舛添氏が公に向かって説明されない中、まるで全てが許されたかのようにコメンテーターとして出演させ、ギャラまで払っているのです。

現在自民党および安倍晋三首相にまつわる「森友学園の国有地払い下げについての疑惑」や、「加計学園が獣医学部を愛媛県今治市で新設することになった経緯」についてマスコミの中でも朝や昼のワイドショーではどの局も一斉に報道していた時がありましたが、これらの事も、今回の舛添要一氏のテレビコメンテーターへの復帰を認めたということから考えると、テレビ報道のスタンスとしては時間とともに「水に落ちた犬に手を差しのべる」という結果になっていくだろうことが見えてきてしまいます。

もし、森友学園の問題が何らかの決着を得たとしたら、元理事長の籠池氏夫妻をどのようにしてテレビのコメンテーターやバラエティ番組の出演者として引っぱリ出そうかと手ぐすねを引いて待っているというのがテレビ局の思惑であると考えることもできます。そうすると、テレビ局には「水に落ちた犬に手をさしのべる」覚悟はあるものの、自分が怪我をしないように万全の体制を整え、歯向かってきたら徹底的に打ちすえるだけの用意があった上での親切であるということになるのかも知れません。

これは、テレビが単にニュースを伝えるだけの新聞のようなメディアではなく、四角四面の真面目な事を言っていても、次の瞬間にはバラエティ番組で悪ふざけをする番組もあるなど、振り幅の広さを持っているからだと思っていますが、そうした振り幅に応じて複数のキャラクターを使い分けることができるテレビ慣れした人と比べると、今回紹介した疑惑の渦中にあった中でテレビに出てくる人というのは、なまじ渦中にいた人だけに、脇を固めて当たり障りのない事だけを言ってお茶を濁すようなコメントの仕方をするということは難しいでしょうし、テレビ局にとっては「いいお客さん」として視聴者が食い付いている間だけでも使っておけと思っているのかも知れません。

もしかしたら今後の舛添氏も、過去の栄光を取り戻すことなく人気が落ちればお払い箱になってしまうかも知れませんが、これではとても彼の疑惑を視聴者の前で明らかにすることはできませんし、かつての疑惑に答えて欲しいと思って見ている視聴者にとっても見ていてあまり面白い存在ではなくなるでしょう。

このあたりは、同じテレビ局内でもきちんと疑惑を追求したい派と、視聴者が食い付いてくれればそれでいいと思う派との葛藤があるとは思いますが、疑惑について徹底的に追求するぞと正義感をふりかざしていた当のテレビ局が、それほど期間も空かないうちに同じ番組のコメンテーターをやってもらう事をお願いするような番組の作り方をしているならば、最初から正義感を見せない方がいいでしょう。今回のケースは、報道とバラエティでやっていることが違うということではなく、過去に舛添氏を直接批判していた番組が本人のほとぼりが冷めた頃を見はからって、それまで彼を批判してきたコメンテーターと並べて番組に出すところに、テレビ番組だからいいかという感情が作り手にあるのかはわかりませんが、見てる方としては作り手のこざかしさを感じてしまうのです。

少なくとも番組で公人の疑惑を批判するなら(ネットで「ビビット 舛添批判」というキーワードで検索すると具体的な当時の批判について書かれたページがヒットします)、魯迅の書く「打落水狗」の姿勢を貫いてきちんと過去の疑惑について明らかにした上でテレビに出すことで、視聴者も納得するのではないでしょうか。

今後は同様な事が起こった時に過去の内容を振り返ることができるように、気付いた点があった番組については、その内容を記録するような形でブログを更新していきたいと思います。制作に携わっている方も、テレビ番組で過去にやったことは視聴者も忘れてくれるだろうと軽々しく考えない方がいいのではないでしょうか。

(番組データ)

ビビット TBS制作
10/23 (月) 8:00 ~ 9:55 (115分)
国分太一 真矢ミキ 堀尾正明 カンニング竹山 雪野智世 増田雅昭(気象予報士)上路雪江 ゲスト 舛添要一 有馬晴海 赤荻歩 古谷有美 吉田明世(以上TBSアナウンサー)

(番組内容)

舛添要一元都知事がスタジオ生出演!失速・希望の党、二足のわらじ・小池知事に吠える? ▽新潟4区 菊田VS金子 女の戦いは意外な結末に! ▽不倫報道で逆風の戦い 大激戦を制した無所属・山尾志桜里氏の選挙戦に雪野智世が密着! ▽暴言・暴行の豊田真由子氏 リポーター初挑戦の上西小百合が直撃! ▽東京で全敗「希望の党」に風吹かず!小池知事のおひざ元をカンニング竹山が取材! ▽全国で進次郎フィーバー