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現場任せの企画は大ハマリもあるが面白かったヒッチハイク旅

今回紹介する番組はドキュメンタリーではないので、テレビで映っていない所で何が起こっているのかわかりませんが、見ているこちらで想像するに、できるだけ番組内容に書かれているような有難い車に常に拾ってもらってヒッチハイクができるわけではありません。

そもそも普通にヒッチハイクの旅をしようとして犯罪に巻き込まれたりする場合もあるわけで、視聴者がおいそれとヒッチハイクの旅に出ようとはなかなか思えませんが、テレビを通じて顔の知られたタレントやミュージシャン、文化人などが直接目の前に現われ、さらに運転する側に危害を加えるような危険な事はしないということでもなかなか止まってくれる車がないという現実についてはこの番組でも垣間見えます。もっとも地方の街頭に立ってどれくらいの人がはきはきとインタビューに応えてくれるかということを考えると、車を停めて乗せてくれるような人は、それなりにテレビカメラの前に立つことに躊躇しないだけの度胸を持っているということはわかります。

この「ヒッチハイク旅」の大きな特徴はうまくハマれば「三方一両得」になる可能性があるということでしょう。出演者は車に乗せてもらうことで企画の目的である場所へ向かって進むことができますし、車を運転して出演者を乗せる方の一般の人にとって、単にテレビ出演では大きな謝礼は期待できないところですが、この旅の仕組みというのは独特で、運転者と同乗者が食べたいという外食を、提供するお店が撮影を認めてくれれば、料金の心配をすることなく自分の好きなものを腹いっぱい食べられるということになっています。さらに、出演者もドライバーに奢る時しか食事ができないという決まりになっているので、必死に自分達を乗せてくれるドライバーを見付けて、好きな物を食べて下さいと促すことになります。

そして番組を企画するテレビ東京(この番組は前年にテレビ東京で放送された番組の再放送なので)のメリットとしては、単に出演者の周辺にカメラを用意しておくだけで、タレントの移動はしてもらえるわ、さらに乗せてくれるドライバーによっては、普段食べられないような高額な食事を奢らされるという不安要素もあるものの、いわゆる全国放送のバラエティではなかなか登場することがなさそうな地方にある個人営業の「知る人ぞ知るお店」や「地元の本当の名物を食べさせてくれるお店」をアポを取る努力もせずに取材・紹介できる可能性があるわけです。

ここが、他の番組とは違うところで、一般の方に自腹でなく奢ってくれるということになれば、いつも食べているようなものではなく、何かあったら食べたいグレードアップのできるお店や、一度は食べてみたかった名物を食べたいと思うことも多いはずです。さらに、ヒッチハイクしている出演者の事を考えて、できるだけ自分の町の名物を美味しく食べられる場所を紹介したいと思ってくれるケースが出てくることも考えられます。

もちろんそうした制作者の意図を全く理解せず、ファーストフードのチェーン店に行ってそれでいいという人もいるかも知れませんが、お店宣伝効果ということも考えると、今回出演された方々にとってはどなたもメリットがあったはずで「四方一両得」とも化けかねない番組だと見ていて思いました。特に「満州にらラーメン」のお店は、テレビの気配を際してか営業終了後に撮影及び食材の提供をこの番組のために行なったことで地元でもかなり株が上がったのではないでしょうか。

唯一残念だったことは7日目の日没までに東京出発から札幌でゴールという目標は達成できなかったことです(最終的にはいかめしで有名な森周辺で終了したようです)。テレビ東京で放送したものをBSジャパンで放送し直すということは私と同じように面白いと思った人が多かったからなのかと思いますが、様々なルートを取れるように途中によらなければならないスポットを設定すると、同じ東京から札幌までの旅でも新潟経由で秋田とか、そんな風に違った地域のドライバーや個人営業のお店が見られたりして視聴者も行って見ようと思う度合いは高くなると思われます。

あとは、ヒッチハイクをする人選をどうするかということになるでしょう。ただ今回の出演者の方々はよく考えられているように思えます。お笑い芸人だけのコンビでなく、多少おっとりとしていてもよくバラエティ番組にも出演するエブリリトルシングの伊藤一朗さんを出したことで、レッド吉田さんが苦手だと思ったドライバーにも好評だったように思います。それなら今回のペアと経路を異にしてゴールは同じにし、タイムリミットは設けて更に2チームでより早くゴールした方の勝ちというような形で企画しても面白くなるし紹介できるお店は倍増するのでテレビ的にはあまり面白くないお店ばかり紹介されて放送するのが微妙ということも避けられるかも知れませんし。

ただ、番組が化けるのは出演者自体が視聴者に「この人選でなければ」と思わせるくらいのインパクトがないと人気番組として継続していきにくいので、個人的には今回出演したお二人には、できるだけ未知のお店をドライバーが教えてくれるように話を持って行ったり、食事風景も楽しいものとなるように気を配るなど、次回の企画があるとしたらさらに番組に人気が出るように力を入れてロケを行なって欲しいというところもあります。そんなわけで、久し振りに番組の企画に唸った旅ロケ番組だったことをここで紹介させていただきました。

(番組データ)

ごちそうヒッチハイク旅~何かおごるから乗せてって!~ BSジャパン
2018/06/21 17:58 ~ 2018/06/21 19:55 (117分)
出演者
伊藤一朗(Every Little Thing)
レッド吉田(TIM)

(番組内容)

東京→北海道1300kmガチ乗り継ぎ旅!!ELTいっくん&レッド吉田の7日間ふれあい珍道中…車乗せてくれた御礼に何でもゴチ!地元民しか知らない穴場ご当地グルメを続々発掘

東京駅から北海道・札幌までの1300kmを7日間のヒッチハイクで目指すガチンコ旅企画。 ルールは1つ「車に乗せてもらうお礼として、“ドライバーさんが今1番食べたい物”を何でもごちそうする」こと。 2人は無事にゴールの札幌までたどり着くことができるのか?最後は衝撃の結末が…!?

旅の見どころは、偶然出会ったドライバーさんが知っている“地元のウマい店”に行ってごちそうすること。 普通のリサーチでは出てこない、知られざる ご当地グルメ店が続出!例えば… ・行列必至!“満州にらラーメン” ・地元で60年愛される“あんかけカツ丼” ・炭鉱の男たちがハマった“ホルモン鍋” 旅先で出会う“人情&グルメ”をお楽しみに!


卓球で中国に勝つ瞬間を全国で見られるようにするために

前回までの卓球の世界選手権は地上波のテレビ東京のみで放送され、BSジャパンではハイライトが放送されるだけでしたが、日本チームの実力が上がり注目度が上がってくるにつれて節目が変わり、テレビ東京系列の地上波放送局のない地方でもBSジャパンで生の試合が中継で見られるようになったのは実にうれしい事です。ただ、女子の準決勝はBSでは途中で中継打ち切り、男子の準々決勝は放送されずということで、改めて地上波とBSとの同時放送についての課題も出たのではないかと思える今回の世界選手権の中継だったように思います。

来年の世界選手権は個人戦なので、さらにテレビ中継をするには難しい編成の中で行なわれるようななるとは思いますが、ぜひ地上波との同時放送を行なっていただいて、今後あるかも知れない日本選手の快挙を生中継で見る機会を与えて欲しいと切に願っています。ただ、今回の決勝は地上波でもBSジャパンでも生中継の予定にはなっていなかったのを、結局試合を完全生中継し、翌日の0時半くらいまで放送し続けてくれたのは本当に感謝です。おかげで、日本女子と中国チームとの差がどのくらいになっているのかを理解することができました。

今回の出場選手、伊藤・石川・平野についてこの3人は中国以外には無双とも言えるような強さを発揮したものの、対中国に限ってはその能力の差というものを改めて感じるとともに、テレビ局や他マスコミの発する「過度な期待の大きさ」を出しすぎであるということも感じてしまいました。

今回の大会は冷静に見て優勝を本気で狙えるかというとそこまでの実力は付いていなかったと思います。唯一中国に対抗できていたのは伊藤美誠選手で、彼女には他の二人にはないパワーと、ボールを擦り上げて繋ぐドライブを決め球にするのではなく、バウンドした時の頂点を強くひっぱたくスマッシュを打ったり、逆チキータという従来のチキータとは回転の質を変えるレシーブを試合で普通に使えるだけの戦術の幅の広さがあり、十分に日本選手対策を行なってきた中国選手にも勝てるだけのポテンシャルを持っていたように思います。

対中国選手という面では伊藤選手より先に平野選手が中国選手を倒したことは記憶に新しいですが、昨日の試合ではすでに中国選手に対策をされて、為す術がなかったという状況でした。しかし希望はあります。というのも、早いピッチで打ち抜く平野選手の打球に対応するために、相手の丁寧選手は少し台から下がって余裕を作ってほぼ完璧に平野選手の攻撃を壁のように打ち返していました。

それは、過去の男子の水谷隼選手のように後ろからラリーに持ち込んで時には拾いながら逆襲をするプレイスタイルに近いような気がしますが、残念ながらそうした戦術は今は主流ではありません。今年男子の日本選手権で水谷選手が何もできずに張本選手に負けたのは、台から離れずに早いピッチで、さらに力強いボールを打つ張本選手が相手では後ろに下がって返す形の戦い方では勝負にならないからで、今では水谷選手も台から下がらないで打つ戦術に変更しつつあります。

つまり、平野選手がもう少しパワーを付け、今の高速卓球を維持したまま一発で打ち抜けるだけの威力のあるボールを出せるようにできれば、現在の中国の主力選手では対策をしても十分に戦うことができる存在になるでしょう。ただ、石川選手と中国選手とのパワーの差が大きいので、その点を克服するか新たに中国を粉砕できるパワーとスピードを兼ね備えた選手を育成するかというところが鍵になるでしょう。しかし、石川選手は現在世界ランク3位の選手であり、今回補欠として大会に参加した早田選手や長崎選手が石川選手に勝てるようになるには時間もかかるでしょう。そうした選手同士の切磋琢磨の中、時間の経過とともにさらに日本女子チームの実力は上がり、中国との差も縮まってくると思いますので、来年の世界選手権でどうなるか興味は尽きません。

このように考えると、次回の世界選手権は男子の巻き返しもあるでしょうし、女子も相当期待できるだけに、来年の放送はぜひ決定的な瞬間をせめてBSでも見られるように柔軟な編成をぜひお願いしたいです。

(番組データ)

世界卓球2018 団体戦 女子決勝 日本対中国 BSジャパン
2018/05/05 20:54 ~ 2018/05/05 22:48 (114分)
【解説】 宮崎義仁(前日本代表男子監督) 河野正和(前日本代表男子ジュニア監督) 平野早矢香(ロンドン五輪団体銀メダリスト)
【実況】 植草朋樹(テレビ東京アナウンサー) 中川聡(テレビ東京アナウンサー) 増田和也(テレビ東京アナウンサー)
【インタビュアー】 鷲見玲奈(テレビ東京アナウンサー)
【メインキャスター】 福澤朗
【キャスター】 福田典子(テレビ東京アナウンサー)
【ゲスト】 武井壮
【ゲスト解説】 森薗政崇(世界卓球2017男子ダブルス銀メダリスト)、藤井寛子(世界卓球2010団体銅メダリスト)
【日本女子チーム】 石川佳純(3位)、平野美宇(6位)、伊藤美誠(7位)、早田ひな(18位)、長崎美柚(81位)

(番組内容)

五輪を超えるハイレベルな世界最強国決定戦!それが世界卓球。今年は国の誇りとチームの絆を賭けた団体戦!男女共に新時代の才能が集結し、史上最強メンバーで戦う初めての団体戦で卓球ニッポンは半世紀ぶりの世界一を狙う! ※延長の場合あり


三島由紀夫を現代に蘇らせる新ドラマ

当日の新聞のテレビ欄でこのドラマのことを知り、夜のサスペンスでは松本清張や西村京太郎、森村誠一はシリーズ化して放送しても、なかなかこの人の作品はドラマとして見る機会のない三島由紀夫氏の作品をドラマ化するということで見ようと思ったのですが、これが連続ドラマだとわかり、続けて見られるか不安に思ったのですが、オープニングからかなりぶっ飛んでいて素晴しいと心より思いました。

というのも、ドラマのオープニング舞踏に田中泯、語りが美輪明宏、そして主題歌がロックバンド「人間椅子」の書き下ろしという、まさに三島由紀夫の世界を現代の視聴者に見せる気満々という気合いが、これらの名前を列挙しただけでもわかる方にはわかるでしょう。でも、たまたま見るテレビがなくて、たまたま土曜夜9時になった時にBSジャパンに合わせてしまって、このドラマのオープニングを見てしまった方にとっても、何だこれは? と思わせるだけのインパクトは大きく、恐らく地上波で毎日番宣をやっているドラマと比べて見ている人は少ないんだろうなと思ってしまう悲しさもあります。

このドラマの元となった同名小説は50年前のものであり、ちょっとストーリーのテンポがゆっくりかなという感じを持つ方もいるかも知れません。さらに今回のパターンを見てしまうと、毎回死のうとする主人公が死ねないで続くというありがちなラストも見えてしまうのですが、実際のところ三島の描く「生」と「死」をからめた世界観を楽しむドラマでもあると思うので、何回か見続けることで感じてくる味というものを感じられるとしたら、ぜひそういう方には三島由紀夫の小説にも手を出して欲しいと思います。さらに、エピソードとともにどんなゲスト俳優さんが出てどんな怪演を見せてくれるかも楽しみです。

(番組データ)

[新]連続ドラマJ 三島由紀夫「命売ります」 BSジャパン
1/13 (土) 21:00 ~ 21:54 (54分)
episode.1『開業。命売ります』
【出演者】
・山田羽仁男…中村蒼
・井上薫…前田旺志郎
・宮本…田口浩正
・杉元杏子…YOU
・岸宗一郎…田中泯
【第1話ゲスト】
・岸宗一郎…田中泯
・岸るり子…橋本マナミ
・李正道…大杉漣
【原作】 三島由紀夫『命売ります』(ちくま文庫)
【脚本】 小山正太、大林利江子
【監督】 金澤友也
【音楽】 瀬川英史
【主題歌】「命売ります」人間椅子 (徳間ジャパンコミュニケーションズ)

(番組内容)

三島由紀夫が自決する直前に書いた怪作「命売ります」が初映像化!自殺を図るも失敗した羽仁男(中村蒼)は、自分の命を売り出す商売を始める。毎回舞い込む奇妙な依頼は…

変わらぬ社会、延々と続く日常に見切りをつけ、自殺を図った山田羽仁男(中村蒼)。しかし、死ぬことに失敗した羽仁男は、自分の命を売り物にして商売をすることを思い立つ。最初の客、岸(田中泯)の依頼は、自分の若き妻(橋本マナミ)と関係を持ち、その愛人に見つかって殺されてほしい、という奇妙なものであった…。


日本卓球躍進の影に「テレビ東京」あり

日本のスポーツ中継というものは最近特に地上波ではスポンサーの理解と視聴者が見たいと思わせる競技でないとなかなか難しいものがあります。過去にうまく行っていたのはプロ野球で、シーズンのゴールデンタイムに常にメインを占めていたのはセントラルリーグの黄金カード「読売巨人 対 ○○」の試合を中継することが、スポンサー収入および視聴率が取れる優良プログラムでありました。その後、読売巨人軍が常勝ではなくなり、他のプロスポーツも一般化することによって、見事に地上波でのプロ野球中継は衰退しました。スポーツ中継の場合は予定時間内に終わらない可能性があるので、視聴率が上がらないスポーツからBS波・ネット中継へと見る方法が移りつつあります。

それでもサッカーの代表戦やオリンピックのような大きなイベントの時には通常の放送を中止してでも魅力的な世界の技を地上波で見せるだけのテレビの度量はあると思っていたのですが、個人的に何を考えているんだろうと思ったのは、2006年に日本で行なわれたバスケットボールの世界選手権について、地上波で放送されたのは決勝戦のみで、しかも生中継ではなく深夜の中継録画だったというTBSの仕打ちです。

普通に考えれば、早めに放映権を確保した上で事前の広報番組だけでなく、漫画の「SLAM DUNK」のように今でも人気のあるバスケットボールを題材にした物語を当時の人気絶頂の若手俳優らにより実写ドラマ化して、バスケ人気を盛り上げるような事もできたのではないかと思えます。しかし、地上波が生中継をせず、当時のCS放送(スカパー)のみで全試合生放送という状況では、相当バスケに思い入れのある人しかリアルタイムで見られなかったでしょうし、当時は日本でそんな大会が行なわれていたことすらも知らない人も多かったでしょう。そうなると、そもそもなぜ日本が世界選手権を誘致したのかすらよくわからないわけで、大会が大赤字だったと言われても、それは勝手に誘致して何の宣伝もしなからだとしか言いようがありません。

こんな事がもし2019年にあるラグビーのワールドカップでも起こらないか心配になるのですが、まず気になるのがテレビ中継は局を挙げてワールドカップをサポートし、ちゃんと地上波のゴールデン帯で注目の試合をやってくれるのかということです。ラグビーの場合はバスケとは違い、日本がそれなりに世界に対して戦えるなら地上波で見る人も多いでしょうが、その他の試合について、地上波での放送がなくスカパーかDAZNのみで全試合放送なんて形で放送されてしまうのか、改めて日本のスポーツイベントに対する力の入れ方が、今後どの局が試合の放送を行なうか発表された時点で問われると言えるでしょう。せめて予選リーグから全試合を無料で見られるBSで放送することのできる系列局に放映権を獲得して欲しいものです。

特にラグビーのワールドカップについては、国土交通省を巻き込んで、すでに自動車の記念ナンバープレートを発行するほどの力の入れようではあるのですが、サッカーのワールドカップのようにあそこまで盛り上がることは難しいだろうという話もあります。これはテレビとは関係のない話になってしまいますが、少なくともその開催について赤字が出たらその赤字を税金で補填なんてことは止めてほしいと思っています。

さて、今回紹介する卓球については、政府や協会だけの主導で盛り上がったのではないということは十分言えると思います。そもそもは中国どころか韓国・北朝鮮などアジアの国々にも簡単には勝てないくらいの実力に、かつての「卓球日本」とまで呼ばれたナショナルチームが落ち込んでいたこともあり実力だけでなく人気もていめいしていました。しかし、あの「福原愛」という一人の選手がたった一人で卓球のマスコミ人気を牽引して5才のころから民放のテレビバラエティに出演することで、変化が起きました。

元々福原愛さんがテレビに出た頃には、まだ「卓球=暗い」というイメージがタモリさんの発言に多くの人が同意するような形であった頃で、逆にそうしたタモリさんのネガティブイメージが浸透していたからこそ、卓球協会は福原愛さんをはじめとする小学生以下の子でもテレビに出したということもあるかも知れません。

卓球というスポーツは実はテレビのバラエティ番組と大変相性が良く、お金を掛けてコートを作らなくても、スタジオ内に卓球台を一台運んでくるだけで試合ができるので、番組の予算もほとんどかかりません。さらに、ちょっと運動神経の有りそうなタレントさんが卓球の試合を行なったとしても、恐らく今も当時も小学生の全国レベルにはとても歯が立たないだけの技術が必要なスポーツでもあります。つまりは体力的にはとてもかなわない大人と小学生が試合をしても、少しだけ卓球をかじってそうした技術を会得しさえすれば、子供が大人をこてんぱんに負かすことのできるスポーツで、視聴者はラケットを握ったタレントが「こんな子供には負けない」と大きな口を叩けば叩くほど、その負けっぷりがバラエティの絵となり、盛り上がるというわけです。

ただ、当時の福原愛さんは背が小さすぎて台上で2バウンドするようなサーブを出すことができれば(打ち返すことができないので)簡単に素人が対戦しても得点できました。しかしそんな大人のずるさを発揮して勝とうとするような事をする人はいないだろうと思われたのですが、あえてテレビの中でそんな大人気ない事を本番でやることによって当時5才の福原愛さんを泣かせるお笑い芸人がいたのです。そのため、全国の視聴者にその負けず嫌いで泣き虫の「愛ちゃん」の姿がより強く印象付けられることになりました。

その後、愛ちゃんの成長に合わせてその芸人さんとリベンジ・マッチを行なうなどシリーズ化することによって、テレビを見たお子さんの中には「愛ちゃんみたいになりたい」ということで、卓球を始めた子も少なくなかったと思います。その中の一人こそリオデジャネイロオリンピック男子シングルスで銅メダルを獲得した水谷隼選手であったりしたのです。同じようにテレビを見ながら卓球選手を志した現在日本の卓球界を背負っている多くの選手がいたであろうことを考えると、福原愛さんとえげつない勝負を繰り広げた明石家さんまさんお得意の素人いじりが日本の卓球界をも変えてしまったとも言えるかも知れません。日本卓球協会はタモリさんやとんねるずだけではなく、ぜひ明石家さんまさんにも何らかの謝意を示すことをお勧めする所以です。

しかし、愛ちゃんが人気でもなかなか卓球という競技について、本格的に試合の中継をする民放局というものはありませんでした。毎年1月に行なわれる全日本卓球選手権はNHKが地上波とBSで生中継していますが、オリンピックはともかく、隔年で行なわれる世界選手権というのはかつて日本選手が強かった頃にはNHKが放送したことはあったものの、民放が行なうことはありませんでした。しかしそんな中、地道に中継を始めたのがテレビ東京だったのです。

ちなみに、テレビ東京が見られない地域に住んでいる私としては、肝心な生中継が見られないという現実に、過去何度も煮え湯を飲まされました。仕方がないので中国のテレビが見られるサイトを探しだして日本選手が決勝に行ければ中国選手との試合は見られましたが、当然日本選手中心のプログラムにはならないわけで、テレビ東京の卓球中継における熱意には感服しながらも、どうせならBSでも同時にやってくれと思っていたのですが、今回は世界ジュニア選手権の様子について、リアルタイムでないのは残念ですが、何とかBSで放送してくれました。以前このブログで書いた池上彰さんの選挙番組もテレビ東京の地上波とBSジャパンの同時放送が実現していますので、この調子で次回の世界選手権も地上波との同時中継を行なってほしいです。

今回の放送では女子シングルス準決勝での加藤美優選手の活躍と、男子の団体決勝の様子を見ましたが、どちらも中国に敗れてしまい、改めて中国との力の差を感じることになりました。特に男子団体を見てびっくりしたのが、団体シングルスに出てきた中国人選手3人のうち2人が、日本には一人もいない中国式ではありますがペンホルダーのグリップを使っている選手だったということです。

今や世界の卓球界は超攻撃的な戦術になっていまして、昔にはちらほらいて世界選手権で活躍した選手も出た守備型の「カットマン」とともに絶滅危惧種な戦型がペンを握るようにラケットを持つ「ペンホルダーラケット」を使う選手です。

中国の卓球は日本の影響からか昔からペンホルダーが主流でしたが、そんな中でヨーロッパの進化したシェイクハンド(テニスのように持つグリップ)の攻撃型選手に対抗するために、中国ではそれまでの片側のラバーだけで左右のボールを打つ(右利きの場合左側に来たボールはブロックが主で、当時の日本でも同じように片側だけにラバーを貼って試合していました)というやり方を改め、ペンホルダーでも両面にラバーを貼って両面打ちをする技術に進化させたことにより、常にナショナルチームでもペンホルダーの選手はいますが、今は日本を含む他のアジア地域でもほとんどがシェイクハンドグリップが幅を利かせています。

かつてはアジアの選手が多く採用していたペンホルダーが、かつてヨーロッパで主流のシェイクハンドグリップにとって変わられたというのは、合理的な理由はあるものの、今後を考えると日本のチームがどう中国に対抗していくかということで、改めてペンホルダーを使った選手の育成についても考えて欲しいのです。

というのも、両面を使って打つシェイクグリップが今の日本の卓球では主流で、トップ選手にペンホルダーグリップを採用している選手がいないので、もし今回男子団体で優勝したメンバーがそのまま世界のシニア大会でも活躍するようになったら、彼らへの対策ができなくなるということです。日本でペンホルダーがすたれたのは、昔には右利きの場合体の右側で打つ「フォア」の威力は素晴らしいもの、反対の「バック」側が弱いということで集中して狙われると、特にシェイクハンドのバック対バックの打ち合いになった場合どうしても劣勢になってしまうということがあります。

しかし、今回見た中国のペンホルダーの選手は裏面にもラバーを貼って台上のボールをこすり上げるようにして回転を掛け強烈に打ち込む「チキータ」をシェイクと同じように自分のものにしています。そうなると、バックでもそこそこの対応が可能で、「フォア」対「フォア」での打ち合いならペンホルダーの方がボールに力を乗せやすく、打ち合いの中で圧倒できます。さらに台上でのボールの扱い方はペンの方がやりやすいということから、今回の日本との試合でも常に先手を取って攻撃をしているという印象がありました。

現代の卓球が超攻撃的卓球であることは紹介しましたが、昔は台上のボールをこすり上げて打つチキータの技術だけで相手を打ち抜くことができましたが、今はあえて相手にチキータで打たせて返ってきたボールをさらに強打するような戦法も見られるようになりました。それと同時に増々重要になるのがボールを台上で短く簡単に打てないような場所に返す技術であり、チキータで強打する事が難しいほどの短いボールを叩くように強打したり、払うようにして打つフリックという技術になるでしょう。これらの台上での技術について、ペンホルダーとシェイクハンドのどちらが上手にできるかという事で、現在の中国のナショナルチームが出した答えが中国式ペンホルダーを使いこなす選手もシェイク選手とともに育成し、その結果として主戦の2人がペンホルダーということになったと思われます。

となると、中国のペンホルダー選手に勝つためには、日本でもそうした戦術を使いこなせるペンホルダーの選手養成が必要になるのではないかと思うのですが。現実的には近づいた東京オリンピックに備え、中国式のペンホルダーを使いこなす仮想中国のコピー選手としてペンホルダー選手を育成するということも必要になるのではないでしょうか。すでに中国では日本人の選手を自国リーグに参加させないなど、日本選手に中国対策をさせずに中国が金メダルを取るための道筋を作りつつあります。

今回の男子団体戦でも中国のペンホルダー選手に手も足も出ずに負けてしまったことを考えると、日本としても中国のコピー選手を育成する中で世界で戦えるペンホルダーの強豪を作って欲しいですし、日本のペンホルダーの強さというのを改めて世界に向けて発信していってくれれば見ている卓球ファンの多くは溜飲が下がるのではないかと思えるのですが。

(番組データ)

卓球世界ジュニア選手権 BSジャパン
2017/12/10 13:30 ~ 2017/12/10 16:00 (150分)
MC 中川聡(テレビ東京アナウンサー)
解説 福澤朗 三原孝博(日本ペイントホールディングス女子卓球部監督/元日本代表コーチ)

(番組内容)

18歳以下の世界一を決める戦い!世界ジュニア選手権!昨年、団体戦で男女W優勝を飾るなど歴史的な活躍を見せた卓球NIPPON!果たして連覇なるか!?
【大会日程】 2017年11月26日(日)~12月3日(日)
【開催場所】 イタリア リヴァ・デル・ガルダ
【種目】 男女団体戦、男女シングルス、男女ダブルス、ミックスダブルス
昨年大会で日本は団体戦男女W優勝、さらに張本智和が史上最年少で男子シングルスを制するなど、若い世代でも世界で戦える強さを存分に見せつけた。特に張本はこの後、世界卓球やワールドツアーなどシニアの戦いで大活躍。世界ジュニアが飛躍への足掛かりとなった。いわばこの大会は世界的スターへの登竜門。若き新星が続々と誕生している卓球ニッポン、果たしてこの大会から次なるスター候補は現れるのか!?


池上無双の「選挙特番」が地上波とBSの関係に投じた一石

今回、池上彰氏をメインキャスターにして選挙特番を行なったテレビ東京は一つの大きな決断をしたと思います。というのも、前回までも地上波でテレビ東京が見られない地域でもBSアンテナとチューナー付きテレビがあれば全国で見ることのできるBSジャパンの番組として「池上彰の総選挙ライブ」を開票スタートと同時の午後8時前からスタートさせていたのですが、前回まで多くの人が見たいと思われる池上彰氏と自民党総裁(安倍晋三首相)との掛け合いの激しいインタビューが行なわれる午後10時を前にして番組は終了してしまっていたのでした。今回はそうした制限をなくし、まるまる地上波と同じ内容の放送を最後まで行なったのです。

前回の選挙特番まで制限を付けてBSで放送していたのはなぜかということになるかと思いますが、政治的な何かがあるというのではなく、地上波と全く同じ内容の番組を系列の局とは言えBSで同時配信することで、テレビ東京系の民放のない地域においては、自分の地元の地上波テレビ局を見てくれないということで地方で放送している民放局からのプレッシャーがきつかったのではないかと類推します。というのも、BS放送が始まった時に、特に地上波の難視聴地域に対して行なわれたBSによるキー局の同時配信というシステムが存在したものの、その配信されたものを見るためには申告が必要であると同時に、かなりの制約があったのです。

これは「BS17問題」というもので、詳しく知りたい方はネットで検索をかけていただければ過去にあったこの問題について書かれているものに辿り着けると思いますが、要は難視聴地域に住んでいた人が地上波が見られずBSのチャンネルで代替の形で見る場合、全てのチャンネルが見られるわけではなく(BSで見られたのは東京で見られる地上波の全チャンネルでした)、同じ県内でネットしていないキー局を見ようとするとスクランブルが掛けられていたということです。

これは好意的に解釈すれば、同じ地域に住んでいる人が地元局を見なくなると、地元局に入ってくる広告収入が減って放送局としての経営が維持できなくなるからと言えるのかも知れません。ただ現在ではテレビすら見ないと公言する人がいるほどのテレビ受難の時代であることも考慮されたのかも知れませんが、選挙特番について池上彰氏の番組が見たいと思った人には天気の影響さえなければ平等に見られる環境というものができたわけです。

ちなみに、私の住む静岡県ではテレビ東京系の民放がない地域なので、今回の特番の途中カットなしという放送形態は歓迎すべきものでした。特に今回の安倍晋三氏と池上彰氏との中継については、自民党が完膚なきまでに他の勢力を引き離して勝利した結果がすでに出ていて、余裕の状況でやり取りをされるかと個人的には思っていました。しかし、必要以上に池上氏の質問を恐れたと思われてもしようがないような感じで、花付けの実施およびマイクによる花付けについてのアナウンスをインタビューに被せるように行なったのがまるまる中継されてしまいました。

いくらなんでもここまで露骨な中継妨害はしないだろうと思ってチャンネルを替えたところ、安倍晋三氏に次につないだNHKではそのアナウンスがぴたっと止んでしまったのでさらにびっくりした事は言いまでもありません。さすがに露骨すぎると思われたのか、後で池上氏が自民党政調会長の岸田文雄氏とやりとりをする前にクレームを入れたところまでしっかり全国に流れてしまったので、こうした与党自民党が選挙結果の大勝利にを関わらず必要以上に東京ローカルの局の報道にナーバスになっていることがわかってしまったわけです。

こうした状況は、以前の状態でもYouTubeに番組をアップするなどして動画が出回ることで広まることはあるでしょうが、今回はネットが使えない人でもリアルタイムに一連の内容を見てしまった人が少なからずいたわけで、今後の政局にも影響が出てくるかも知れません。

テレビ東京の番組については、ネット局のない私のいるところでも、深夜などの空き時間や土曜日曜の昼間などの時間を使ってテレビ東京著作の番組はかなり多く放送されていますし、ニーズ自体はあるわけですし、テレビ東京がないと生中継が見られないスポーツ中継のうちでも卓球の世界選手権を見たいという要望はあるはずです。地元の民放がテレビ東京が放映権のあるスポーツの生中継を行なう事はまず不可能ですから、今後はそういったソフトについても、BSジャパンを使って同時放送する流れができてくれればいいなと思っています。

(番組データ)

池上彰の総選挙ライブ テレビ東京制作
2017年10月22日(日) 19時50分~23時48分
キャスター 池上彰、大江麻理子(テレビ東京キャスター)
サブキャスター 大浜平太郎(テレビ東京キャスター)
アシスタント 相内優香(テレビ東京アナウンサー)
ゲスト 峰竜太、宮崎美子、東貴博、坂下千里子、小島瑠璃子、宮澤エマ

(番組内容)

池上彰が政治家に鋭い質問で迫り「無双ぶり」を発揮。さらには「候補者の面白プロフィール」、どこまでも追いかける「池上バスツアー」等々…これまで築いてきた“分かりやすく家族皆で楽しめる池上選挙特番”に今、危機が迫っています。それは各局に真似され始めたから…そこで先日、池上彰&テレ東の報道局が知恵を絞って、過去のヒットを超える企画を思いつきました。それは何なのか…番組開始すぐにわかります。池上彰の総選挙ライブはさらに進化!投票した人もしなかった人も楽しめる、これまで見たことがない選挙特番を目指します。