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ジャニーズ事務所から出たことの「逆転人生」は?

SMAPの元メンバーでジャニーズ事務所を出所して元マネージャーの会社で芸能活動を続ける3人について、見事に今の地上波テレビではなかなか出てこないiのは、何かのテレビでは見えない力が働いていて、自由な芸能活動を妨げているのか? と思う今日このごろです。

この番組の前後、同じSMAP元メンバーではジャニーズ事務所に残った木村拓哉さんが主演のドラマ「グランメゾン東京」の番宣でテレビに出まくっていたのとは対照的にジャニーズ事務所を離れた元SMAPメンバーに番組出演のお呼びがかからないというのは、芸能界の掟とは言え誰か何か言ってもいいのではないかと、朝やお昼のワイドショーを見ながら期待していたのですが、今回芸能レポーターがその事をレポートする前に元SMAPの一人である草なぎ剛さんが地上波のテレビに登場するというので(テレビの仕事としては同じNHK総合で放送されている『ブラタモリ』でナレーションを継続していますが)、「これこそ本当の『逆転人生』だ」と思い、ついここで紹介する気になりました。

番組自体は草なぎ剛さんはゲストという扱いで、今回主人公の中国へ行って日本語を教えるカリスマ教師になった男性の人生を見ていき感想を述べていました。別にテレビでの露出度が減ったとは言っても元SMAPの3人は普通に芸能活動は続けられているわけですし、草なぎ剛さんは『ブラタモリ』の収録ではNHKのスタジオに通っていることは以前の変わらず続けられているので、見ていて何か特別なことはありませんでしたが、見ている方はやはり何かが違うと思いつつ番組の進行を見ていたということはあると思います。

そもそもNHKが、一つの壁というか苦難の時代を乗り越えて成果を挙げる人物を呼んでその事について掘り下げる「逆転人生」という番組に草なぎ剛という人物をゲスト出演させたということに、彼自身の逆転人生の足がかりになっていくのか? という風な興味で見てしまったのです。恐らく、草なぎ剛さんは同じアジアの隣国である韓国との関係でチョナン・カンとしての活動があったことからの抜擢なのかという感じもしますが、NHKとしてはキャスティングの英断であることは違いないでしょう。

今回の主人公、笈川幸司さんは元お笑い芸人で、全く売れなかったのですが、そこでがむしゃらに行なってきた経験が生き、まさかの中国での日本語教師の職を得ただけでなく2012年の日本バッシングの中国国内事情の中でもめげずにスピーチコンテストを開催して成功させたVTRを見て、最終的に草なぎさんは「諦めたところからまた出発する」ことの大切さをコメントしていたことが実に印象的でありました。

2019年10月現在は、元SMAPのメンバーの中では当然ながらジャニーズ事務所に残ったメンバー2人の露出が多くなっていますが、まだ彼らの人生は長く、その間に何が起こるかという事はまだわかりません。今回の番組のように、元SMAPのメンバーの中で非ジャニーズのメンバーが各々、テレビから全てパージを受けているわけでもない事を実際に番組に出演することで証明し、徐々にテレビ出演の実績を作っていくことによって今後の元SMAPのメンバーの状況も変わっていくでしょう。そういう意味では、今回の番組は「中国のカリスマ日本語教師」の逆転人生だけでなく、元SMAPの逆転人生のスタートを記録したものとして、ここで紹介させていただきました。

(番組データ)

逆転人生「中国のカリスマ日本語教師 涙の青春スピーチ」NHK総合
10/21 (月) 22:00 ~ 22:50 (50分)
【司会】山里亮太,杉浦友紀,
【ゲスト】教師…笈川幸司,
【出演】草ナギ剛,段文凝

(番組内容)

草ナギ剛と山里亮太が感動!中国のカリスマ日本語教師、激しい反日デモのさなかに起こした知られざる大逆転劇。日本語大会に集まった中国人たちの、涙の青春スピーチとは!?

草ナギ剛と山里亮太がスタジオで大感動!中国で大人気、名門の北京大学や清華大学で教べんをとるカリスマ日本語教師・笈川幸司さん(49)。実はかつて、売れないお笑い芸人だった!?尖閣諸島に端を発する激しい反日デモ。そのさなかに開催された、知られざる奇跡の日本語大会。集まった中国の若者たちの、涙の日本語メッセージを大公開!あのSMAP北京公演、舞台裏の感動秘話も熱く語った。話題の美人過ぎる中国語教師も登場!


ボーカロイド「美空ひばり」は実現するのか?

データを音声に変換する「ボーカロイド」を作ったYAMAHAの技術者が全面協力し、番組タイトルにあるようにAI(自工知能)の技術を使い、できるだけ自然な人間の声に近づけようとして人工的に作った、すでにこの世の人ではない「美空ひばり」の歌を再現することはできるのか? というのが番組の目的で、そのボーカロイドに歌わせるための新曲は秋元康氏が中心になってさらに新曲の詞も秋元氏が書くということで、この番組は成立しています。

さらに、NHKのスタジオで完成披露と番組のラストとして新曲を紹介した際に、動く「美空ひばり」をCGによるホログラムで再現しています。動きの参考として天童よしみさんに今回披露した新曲を歌ってもらい、その仕草をCG作成の参考にしていました。

番組は完成披露したことで終了してしまいましたが、肝心の令和初の美空ひばりの新曲というのはどんな風になっているのかと思ったら、亡くなった頃からの時間の経過とも関係あるのか、ひばりさんが生きている時には決して歌いそうもない曲調のもので、ただ詞は秋元康さんの作品らしく実にわかりやすいもので、曲の間に入った「語り」をそれらしく聞かせるためのYAMAHAの技術者の苦労というものも紹介されていました。

当然、今回新しく作られた曲は美空ひばりさんの持ち歌としてはカウントされませんし、今の状況ではAIを駆使して機械で美空ひばりさんの色を再現しても、上手なものまね芸人にも劣るレベルではあります。しかし、個人的には今回のような番組が作られたことで、さらなるボーカロイドの可能性が出てきたような気もするので、生身の人間の歌とは違ったボーカロイドAIを使った「美空ひばり」という新しい音色が一般的になればという期待を感じてしまったことも確かです。

今後、ひばりプロダクションが許すかどうかわかりませんが、ボーカロイドで歌う「初音ミク」のように「美空ひばり」バージョンの音源が市販され、誰でもネット上で著作権の切れた楽曲や自作の曲を美空ひばり風に表現できるようになると、これはこれでまた面白くなるような気がします。美空ひばりさんは単なる演歌歌手ではなくポップスやジャズも器用に歌いますし、その声質はきわめて日本的と言えるということから、日本発の新しい音楽が美空ひばりさんの声質で歌われた時、改めて彼女の過去の楽曲が注目されることになるでしょうし、同時にそこから派生した新しい音楽が生まれる可能性もあります。

音楽の面白いところは、事前にきちんと今回の番組のように準備されて多くの人の手がかかったから良い作品が生まれるということではないということがあります。美空ひばりさんの代表曲の中に「リンゴ追分」がありますが、この曲は単にラジオドラマを作る過程の中でやっつけ的に作ったものに過ぎず、歌詞の内容も「リンゴの花びらが月夜の風に散った」という単純なものです。その詞と曲に美空ひばりさんが魂を込めたことにより大ヒットしたのですから不思議です。そんな化学反応が、個人で細々と音楽を作っているクリエイターが美空ひばりさんの声でボーカロイドに歌わせることで起こったとしたらそれはそれで素晴しいことです。ボーカロイドの性能も今後より進化していくでしょうし、新しい技術を人の手が妨げることのないように、少なくともこの番組に関わった方は考えていただけると幸いです。

(番組データ)

2019/09/29 21:00 ~ 2019/09/29 21:50 (50分)NHK総合
NHKスペシャル「AIでよみがえる美空ひばり」
【出演】秋元康,天童よしみ,森英恵,
【語り】三浦大知

(番組内容)

昭和の歌姫・美空ひばりが“復活”。秋元康プロデュースの新曲をAIひばりが熱唱する。人工知能は人々の心を揺さぶる感動を生むのか?今夜、歌謡史の新たな扉が開く。

美空ひばりさんがこの世を去って30年。NHKやレコード会社に残る音源や映像をもとに、人工知能・AIでひばりを現代によみがえらせるプロジェクト。国内最高レベルの技術者がAIを開発。新曲の作詞は秋元康、衣装デザインは森英恵、振り付けは天童よしみという強力布陣。令和の時代に現れる“AIひばり”が歌うのは、これまでにない曲調の新曲。歌声や表現力はどこまで再現できるのか。あなたの目と耳で確かめてください。


震災<人災という現実を垣間見せてくれた2つの番組

テレビ局の編成が力を持つのは、まさに今回のNHKの夜の番組の並びを実現できるような選択ができるからだとしみじみ思いました。昨日、2019年6月3日の午後10時から放送された「逆転人生」から「事件の涙」という2つのドキュメンタリーをノンストップで続けられたことで、チャンネルを変えるタイミングを逸してそのまま見てしまったのですが、こういった意見の伝え方があるのかと感じることになったので、ここで改めてその内容について紹介させていただきたいと思います。

まず、「事件の涙」という番組は再放送で、本放送は2018年の5月に初回放送があったもので、初回放送を見た方からすると、単体で見た番組について消化不良な所もあったのではないかと考えられるような番組の構成だったように思います。

最初に「事件の涙」の方の番組内容を紹介すると、この番組自体は大きな事件のその後の関係者の「涙」に焦点を当てて取材する切ないドキュメンタリーなのですが、今回は雪印の食肉偽装(オーストラリア産の肉を和肉として出荷しようとした)を告発した「西宮冷蔵」の社長とその家族のその後にカメラを向けています。

この番組で改めて知った事に、社長の娘さんは衝動的にマンションの14階から飛び降りて命は取り留めたものの下半身不随になってしまっていたということがあります。正義の告発のはずが利用客には契約を打ち切られ、さらに当時の政府には告発をしたのに不正をしばらく黙認していたのではというイジメのような難癖を付けられ、倉庫への強制捜査を入れられるなど、内部告発について告発した側を守るどころか、何の配慮もない行政の理不尽さなどを前にして家族の事までケアできなかったと社長は自分を責め、取材当時には生活のほとんどを娘さんの介護にあてています。

会社を切りもりしていたのは父の想いを受けた息子さんで、必死の努力で何とか売上を最盛期の7割くらいまで回復させたものの、再び当時の大口の顧客から商品の偽装を持ちかけられ、その申し出を断ったところ他の得意先も契約を止めるという、正に日本の企業の底意地の悪さというのか、事無かれ主義というものの犠牲になり、倒産寸前のところまで追い込まれていることが紹介され、まさに倒産寸前の状況を紹介して番組は幕となりました。西宮冷蔵の今後には全く展望が見えないところまで追いこまれているわけですが、これが世の中の現実であることも確かです。

最近のドラマでは「半沢直樹」の大ヒットによる影響もあるのかも知れませんが、中小企業が大企業に対して真っ向から戦いを挑んで勝利する「下町ロケット」や、銀行員が会社の内部で行なわれる理不尽な動きに対して、その妨害にもめげずに自らの行動で状況を変えていくという「集団左遷!」などのドラマが人気になっています。そうしたスカッとするドラマを現実の世界でも行なわれているような形で紹介する番組が、直前に放送された「逆転人生」のようにも思うのですが、今回もやはり最後にはスカッとした結論を導き出すようないわゆるベタな展開になっていました。

別にこの番組で取り上げた岩手県陸前高田市の醤油を作る「株式会社八木澤商店」に罪があるわけではありません。むしろ、東日本大震災の影響で工場にあったもろみと微生物を全て津波で流されてしまったことで会社としてもう二度と震災前と同じ製品を作ることができないということを感じつつも会社を再建しようとする中で奇跡的に4kgだけ残ったもろみから過去と同じクオリティを持つ製品を作ることができた過程は十分感動的でした。

今回、なぜこの番組の後に西宮冷蔵の現在をレポートしたドキュメンタリーを直後にもってきたかということを考えると、あまりにも大きな二つの企業の襲われた災難の「差」というものが浮かび上がってくるのです。

八木澤商店が受けた試練である大きな地震と、それにともなった津波の被害というのは今さら言うまでもなく悲惨な結果を生み出し、多くの人命を奪っただけでなく原子力発電所を壊滅させ、今なおその影響で苦しんでいる人を生み出しています。その被害については大なり小なり違いはあれ、被害を受けた地域では全ての人や企業が同じように受けた災難でありました。それに対して西宮冷蔵が受けた災難というのは自然的な災害では全くなく、西宮冷蔵だけがピンポイントに受けてしまったその全てが「人災」とでも呼ぶべきものでした。顧客の大企業にとって都合の悪いことをしたものの、そのおかげで一般消費者が受ける影響を考えると、誰かがこうした告発者を守ってあげないといけない事例だったのではないでしょうか。

現在西宮冷蔵と同じように営業している同業他社がなぜ問題も起こさず営業を続けているのかということを考えると「決して内部告発などをせず、大人しく産地偽装を黙認していればいい」と考えて社会悪をそのままにしているところが生き残っているという風に少々いじわるに考えてしまうこともできると思います。もしかしたら現在日本の産業全体が低迷しているのは、こうした「正直者が馬鹿を見る」ような状況にあるのではないかという風にも考えられるので、この件についてはまずは西宮冷蔵を貶めた本当の悪はどこにあったかという検証をテレビは行なうべきでしょう。

あの悲惨な東日本大震災よりもひどく、長きにわたって絶望しか生み出さないものが「人災」だというのは本当に悲しいことですし、日本を再生するというのならこの象徴的な事件について、事件の被害者親族を執拗に追い詰めたり、芸能人の不倫事件で関係者のところにしつこく取材するよりも力を注いでいただきたいと思うのですが。

(番組データ その1)

逆転人生「復活!奇跡のしょうゆ 被災地の逆転劇」NHK総合
2019/06/03 22:00 ~ 2019/06/03 22:50 (50分)
【司会】山里亮太,杉浦友紀,
【ゲスト】しょうゆ会社社長…河野通洋,
【出演】村上弘明,秋元才加,しょうゆに詳しい専門家…高橋万太郎

(番組内容 その1)

東日本大震災で壊滅的被害を受けた陸前高田の老舗しょうゆ工場。200年受け継がれてきた“もろみ”を使って醸すしょうゆは全国のファンに愛されていたが、その“もろみ”が津波で全て流され、元の味のしょうゆの製造は絶望的状況となる。しかしたった4キロ、研究用に保管されていた“もろみ”が発見された。しょうゆ会社社長の河野通洋さん(45)は、4億円を借金して工場再建を決意。元の味のしょうゆ復活に挑む。

(番組データ その2)

事件の涙 Human Crossroads選▽正義の告発 雪印食品牛肉偽装事件 NHK総合
2019/06/03 22:50 ~ 2019/06/03 23:16 (26分)
【語り】吉田羊

(番組内容 その2)

2002年、大手食品会社の背信として、社会に衝撃を与えた「雪印食品牛肉偽装事件」。発覚のきっかけは「輸入牛肉を国内産と偽っている」と暴露した、「西宮冷蔵」社長・水谷洋一さんの内部告発だった。しかし、取り引き先は次々と去り、国からも処分を受け、経営危機に。経済的理由で高校進学をあきらめた娘は、心を病み、重い障害を負う。それでも水谷さんは、息子とともに会社を死守、「正義」を社会に問う。


伝え方によって印象の違う事故から見る「逆転人生」

事前に今回の番組「逆転人生」の紹介を見て、栃木県の有名な温泉旅館である「加仁湯」の一家が遭遇した雪崩事故についてNHKが放送するのを知り、まず思い出したのは今回の番組で紹介した一連の雪崩からの救出劇のあらましを語ったテレビ朝日制作の「激レアさんを連れてきた」で今回出演した加仁湯の女将さんが出演した回でした。

激レアさんの方では、58時間の雪中遭難の様子については面白おかしく(それがこの番組のクオリティです(^^))、手作りの工作で紹介し、全員助かったからこそのバラエティ番組の出演だったと思います。実は今回の「逆転人生」のナレーションで、今回の主役の女将さんは加仁湯に入る前に芸能界を目指していたもののうまく行かずに、紹介された加仁湯でバイトすることになったことで今のご主人とご縁ができたという話が出てきました。

なぜわざわざ宣伝する必要がないほど有名な温泉旅館の女将がバラエティ番組に? と思ったのですが、その話を聞けば納得できる部分があったのですが、もしかしたら女将さんとご主人が今回のオファーを受けて、あえて同じ話題で2回目のテレビ出演をしたのには、さすがに今回の番組で紹介したような深刻な状況もあり、その中での葛藤があったということを示すことで、「激レアさんを連れてきた」とは違う事実があることを示したかったのではないかと番組を見始める中で思ったのですが、さらにもう一つの理由があったようにも思いました。

番組では丹念に遭難した58時間の様子を再現ドラマで紹介していて、雪崩に車がすっぽり埋まった状態でエンジンを掛けて暖房を付けるという行為は、もしマフラーが雪でふさがってしまったら排気ガスが車内に逆流して全員が一酸化炭素中毒で死亡という最悪の結果も考えられました。再現ドラマでは女将の「頭痛」「吐き気」について言及が有りましたが、結局それが多少でも排気ガスが車内に入ってきたためのものなのか、車を閉め切ったための酸欠のためだったのか、明らかにされることはありませんでした。今回の番組では「危機管理アドバイザー」という肩書の人も番組に参加していたので、少なくともその辺の事は明らかにし、実際に同じように雪崩で埋まった中でどのようにするのが正解なのかという事も伝えて欲しかったと思ったのは私だけではないはずです。

まあその点は気になったものの、子供4人を乗せた状態で58時間も子供をパニックにさせることなく過ごすことができたことは立派で、NHKの番組だからこそ伝えられた点があったことは確かです。しかし、番組のテーマである「逆転人生」という事で言うと、この事故の前と後で女将さんには以前のように自分から動くことのない、受け身で温泉旅館の仕事をするのではなく、温泉旅館の仕事を前向きに行なうような意識の変化があったということがあったそうです。番組としてはその事こそが大事で、番組ではそれを伝えるために事故の内容を詳しく紹介したということも言えます。

この番組自体は過去に「コンビニに入店しただけで逮捕され長期勾留された男性」が裁判で無罪を勝ち取るまでの事を詳細な取材で紹介し、「大きな困難に負けずにそこから逆転する人生の達人」を紹介するドキュメントであることはわかっていました。そういう意味では、今回の加仁湯の家族の物語というのはなかなか継続して営業することの難しさもある山の中の一軒温泉がまだまだ続いていく希望を感じさせてくれた点(ご夫婦の長男が旅館を継ごうかと考えていることがテレビで紹介された)については、実に見ていて嬉しかったです。
こうした番組の命は、いかに多くの視聴者の共感を得られる「人生の逆転」をした人を連れて来られるかという事になるかと思いますが、NHKには毎週放送にこだわらず、しっかりとした取材を行なって番組作りをしてほしいものです。

(番組データ)

逆転人生「母は強し!連続雪崩から奇跡の生還」NHK総合
2019/04/08 22:00 ~ 2019/04/08 22:50 (50分)
【司会】山里亮太,杉浦友紀,
【ゲスト】旅館経営者…小松輝久,旅館女将…小松志保,
【出演】北斗晶,松本伊代,危機管理アドバイザー…サニーカミヤ,
【語り】吉川未来

(番組内容)

栃木県の山あいを走っていた車を連続雪崩が襲った。乗っていたのは母親と子供たち。天上の上2mまで雪に覆われ、酸欠や低体温の危険が。八方塞がりの状況から奇跡の生還。

2014年冬。栃木県の山あいを走っていた車を大きな雪崩が襲った。乗っていたのは母親と子供たち。雪崩は連続しておし寄せ、天井の上2mまで雪に覆われる事態となった。低体温を防ぐため、エンジンをかけて暖房をつけると、排気ガス中毒の危険が。密閉されたため酸欠の恐れもあり、まさに八方ふさがりの状況に陥った。しかし母子は58時間後に、奇跡の生還を果たす。生死を分けたのは、母親が土壇場で固めた“決意”だった。


傷の付いた怖い顔が人生を変えた伊東四朗さんについて伝えられなかったこと

81才という年齢を感じさせず、今なお舞台やテレビで活躍する伊東四朗さんが今回の出演でした。最近のテレビでは数少ない主演作(羽田美智子さんとのダブル主演ですが)の「おかしな刑事」(テレビ朝日系列)が最近放送されましたが、ひょうひょうとした演技で年齢を感じさせないという感じがします。

また、TBS系列の「十津川警部シリーズ」では、十津川警部の相棒の亀井刑事を演じ、すっかり喜劇役者というイメージとは違っているような感じです。
そんな中、この番組ではやはりNHKということで、朝ドラの「おしん」や大河ドラマの映像を流していたのですが、喜劇ができれば何でもできるというようなニュアンスでVTR出演の小松政夫さんが伊東さんの演技を評価していたものの、個人的には大変残念ですが、もう一つ役者として大きな役を掴みきれなかった不運さというものも感じてしまいます。

というのも、番組内の伊東さんの芸能界に入るきっかけとなった、高校を卒業する際に受けた就職試験が全て駄目で、仕方なく兄の世話をしたアルバイトをしながら劇場に通ったことが紹介されていたのですが、なぜ就職できなかったのかということが番組では明らかにされます。それは、学生の時にトロッコが倒れて顔に骨まで達する大きな傷の残る怪我をしたことから、相当人相が悪くなり、そのために企業は伊東さんをことごとく採用しなかったということだったのでした。私たちはまず「てんぷくトリオ」での伊東さんを先に見たり、最近の柔和な表情の刑事役で見ていることから、そこまでの人相の悪さは感じないと思いますが、ちゃんとその顔を見ると迫力があり、いわゆる悪人顔であったことが伊東さんの人生を切り開いたと言えるわけです。

そんな、迫力ある顔を全面に押し出すことで伊東さんが主演に抜擢された映画がありました。本来はこの番組で伊東四朗さんを語る際に出てくるべき代表作になるはずでしたが、これが伊東さんの顔とは全く関係ない理由で映画が上映されない、いわゆるお蔵入りになってしまった不運があったのです。その映画の題名は「スパルタの海」という作品で、あの戸塚ヨットスクールが大きな問題を起こす前、不登校の生徒を更生させる施設だというような、スクール側の視点から描かれたもので、伊東さんは戸塚校長役としてすごい迫力で主演を全うしています。

現在はソフト化されて見ることができますが、暴力事件で戸塚校長が逮捕される中、さすがに一般の映画館での公開は不可能で、もしこの映画が普通に公開されて、伊東さんの迫真の縁起が広く紹介されていたとしたら、役者としての評価ももう一つ進んだのではないか? と思えます。

さすがにこうした事は「ファミリーヒストリー」という番組とは関係のない話なのですが、これほど自分の顔によって人生が変わった人を知りませんし、テレビと違って映画は現在のビデオオンデマンドでもネット配信で見られるようになるなど、時代を越えて生きのびる永続性を持っています。

最初に紹介した伊東さん主演・助演のTVシリーズは確かに人気ではあるのですが、例えば渡瀬恒彦主演の十津川警部シリーズは内藤剛志さんが引き継いだことによって、十津川警部と言えば渡瀬恒彦というイメージも今後はどうなるかわかりません。常に今が大切なテレビでは過去の人になってしまうととたんに忘れられる宿命を持っているとも言えるわけで、その点を伊東さんがどう考えているのか、そしてやはりビートたけしさんのように、舞台はライフワークとして続けるにしても、テレビより映画の方向に進みたいと思っているのかどうかということも、ちょっと気になります。

こうしたことは、あまり御本人は気に掛けないのかも知れませんが、この番組で紹介されていた「てなもんや三度笠」などは見たいと思っても全編を見ることはかないませんし、逆に映画なら古いものでもフィルムが残っている可能性があり、お蔵入りした「スパルタの海」もネットで今後配信されるようなことがあれば、そこから新たな伊東四朗さんの再評価が起こってくるかも知れません。もっと言うと、テレビ番組のアーカイブもいつでも見たい時に簡単に多くの人が見ることができるようになれば、また状況は変わってくるのではないかと思います。

現在のテレビのアーカイブは、一部YouTubeに違法アップロードされるものが担っている部分があり、そこからどのように誰でも見られるようにしていくかということが大切になってくると思います。時代はすでに一度収録したビデオテープを再利用しなくても保存できるわけですから、テレビの番組であってもいいものは残すことで、本当にいいものを未来に渡っての共有財産として活用することも不可能ではありません。ちょっと大風呂敷を広げすぎたかとも思いますが、テレビ業界に関わる人達には、テレビ番組のアーカイブをどう保存していくかということについても考えて欲しいものです。

(番組データ)

ファミリーヒストリー「伊東四朗~思いがけず平氏と源氏 たどりついた喜劇の道」NHK総合
1/28 (月) 19:30 ~ 20:43 (73分)
【ゲスト】伊東四朗,
【司会】今田耕司,池田伸子,
【語り】余貴美子

(番組内容)

81歳になった今もドラマやバラエティ、舞台で活躍する伊東四朗さん。父は洋服の仕立て職人だった。しかし、仕事をせず極貧生活の中で、一家は夜逃げ同然で転々とする。家族を支えたのは明るく朗らかな母。そんな両親のルーツに、驚きの事実が浮かび上がる。父方は平氏、母方は源氏との関わりを示す証拠が見つかる。さらに、伊東さんの知られざる半生が、数々の証言で明らかになる。激動の歳月に、伊東さんは驚いてばかりだった。


NHKのトーク番組は生放送でないと本音が出ない

NHKが民放のプロデューサーやAbemaTVの仕掛人、タレントさんを集めて2017年のテレビについて語るトーク番組ですが、まず疑問に思ったのはNHKへの表立った批判が出てこなかったことです。これは、過去に聞いた話ですが全国放送でない地方局のトーク番組に知り合いで身体障害のある方が出演した際に、事前にあれやこれやの制約が多すぎて、自分が喋りたかったことについてはほとんど喋ることができなかったと憤懣やるかたない感じで話を聞いたことを思い出します。

地方でしか放送されないトーク番組でさえこれですから、今回の番組についても事前にきついお達しがあった事が想像されます。本気でテレビの行く末を心配するのなら、まずは1月2日の夜からやるなら生放送にして自局のテレビ離れの象徴とも言える「紅白歌合戦」についてのパネラーの意見を伺うようなことができないなら、少なくともNHK自体が何も変わらないということになってしまいます。また、生放送ならもしNHKからきついお達しが出ていたとしても、後で怒られることを覚悟した人がいれば、かなりの本音を吐ける訳で、それだけでも番組は数倍面白くなったと思います。というわけで、今回の番組にある程度の制約があると仮定した中で、番組で話された内容について、気付いたことを書いていこうと思います。

まず出てきたのは「視聴率以外に番組を評価する別の指標はないのか?」という話です。私の家にはもちろん視聴率を計る機械が付けられたことはありませんが、もしそうしたお宅があったらテレビを付けてさえいれば、その前で居眠りしていようとネコがリモコンのスイッチを押してしまっても視聴率の数字としてカウントされてしまいます。

最近ではリアルタイムで見ないで録画したものを見る人や、ネットの見逃し配信で見るようなケースも有るのですが、一般的に若い人ほどリアルタイムでの視聴にこだわらないような感じになっているそうです。ただ、録画された回数についてそれを番組の評価の指標にしたとしたら、番組を提供しているスポンサーの広告は飛ばされてしまうようになるだけです。ビデオデッキによる視聴の習慣が一般的になってもリアルタイムでテレビを見ることにこだわった背景は、こうしたこともあると思います。

さらに悪いことに、昔なら一社提供の番組という番組の内容を意気に感じてスポンサーが援助してくれるような番組もあったわけですが、今ではそんな番組は数えるほどしかないというのも問題でしょう。松下・東芝など一社提供のドラマをなくしてしまった頃からテレビの凋落は激しくなり、番組でも出ていましたが視聴者のクレームに及び腰になりやすい体質が生まれてきてしまったようにも思えます。

実際、テレビを見ている視聴者はテレビ局のスポンサーはどのような経緯で付くのか、さらにスポンサーの意向がどの程度番組に反映されるのかということについては知ることができないため、はっきりとした事は言えないながらも、テレビの制作だけに日が当たり、営業部については紹介されることがない今の状況が変わらない限り、視聴率至上主義が払拭されることはないのではないかと思うのです。営業の手法で、視聴率以外の一定の条件さえクリアできればあとは自由な番組作りが一定の期間できる(つまりスポンサーが付く)という形でスポンサー契約をし、その経緯が公開されるようなら、営業職にも日が当たることになるだけでなく、視聴者もスポンサーの想いを感じることにもなり、結果としてもっと面白いものができる可能性があります。

では視聴率以外の評価点とは何かということで言うと、今ならSNSでつぶやかれる回数であったり、見逃し配信で見られた回数であったりするかも知れません。コマーシャルを流さない代わりに、スポンサーの製品を番組内で使い、それをわかるように映すことにも注意して番組を作っても(昔の西部警察でよくあったタイアップ手法)、ドラマならストーリーに影響がなければコマーシャルで切らずに民放でもノンストップで番組が作れるかも知れません。この点については視聴率に関係ないNHKでそんな話をしている事自体は面白かったです。

後、気になったのは、今の日本のテレビではテレビ東京の伊藤プロデューサーの言う「企画の保険」が必要で、それが安定した人気のあるキャストの出演だったりする場合、その時点で他のテレビ番組と似たものになってしまって詰まらなくなるというお話は、具体的な芸能事務所には触れなくてもかなりテレビが詰まらなくなる原因の核心を付いていたのではないかと思えました。

また、出演者の方々の発言の中で気付いた点として、フジテレビが「とんねるずのみなさんのおかげでした」と「めちゃイケ」を終了させる点について話が及んだ時、フジテレビは高齢者向けのバラエティでも始めたらどうかと言っているパネラーの方がいらっしゃいましたが「クイズ脳べるShow」はBSフジの番組で、このブログでも特番を11月に11時間ぶっ続けでやったことについて書かせていただきました。今回の番組ではBSの番組について語られる事はありませんでしたが、地上波とネット配信(ネットテレビも含む)の間にはBS放送があるという根本的なことを理解しなければ地上波はさらにおかしな方向に行ってしまうのではないかという危惧も持ったことをお知らせしておきます。

また、文春と新潮という週刊誌が芸能人の不倫現場や事故などの動画を撮影してその動画をテレビ局に売り込むことで利益を上げているという指摘をされているパネラーの方がいましたが、そうなると一般の視聴者には無料で動画を流す権利をもらおうとスクープ映像を募集する各テレビ局の所業とは何だと改めて問いたくなります。もし個人で撮影したスクープ映像があれば、自分でYouTubeに流す方が良いということに視聴者が気付いたら、そちらの方面でも地上波テレビ局は困ることになります。ただそれは本当に自業自得でしかないでしょう。

もしNHKが今回の内容で、深夜から早朝まで生放送の枠で自局への批判も受けて立つという形で番組を作ったとしたら、他の民放も焦るだろうと思いますが、この程度で毎回終わってしまうトーク番組であれば、来年も紅白歌合戦ではその年のヒット局や視聴者が見たい人の歌が聞かれない「国民的番組」というおかしな方向性のまま迷走していくだけだと思います。さらにAbemaTVの藤田氏を出すなら、亀田興毅氏でなく朝青龍のあの番組(朝青竜に勝ったら1,000万円)とNHKとの相撲中継をからめての話をしなければ、相撲協会もNHKも変わらないまま問題はさらに根深くなっていくだけだと思います。他の民放でもいいので、そんな題材の生トーク番組をぜひ実現させて欲しいものだと思いますね。

(番組データ)

新春TV放談2018 NHK総合
1/2 (火) 22:55 ~ 0:15 (80分)
【パネリスト】テリー伊藤,ヒャダイン,カンニング竹山,藤田晋(サイバーエージェント),高橋真麻,品田英雄,伊藤隆行(テレビ東京プロデューサー),小田玲奈(日本テレビプロデューサー),
【司会】千原ジュニア,首藤奈知子(NHKアナウンサー),
【語り】サンシャイン池崎

(番組内容)

放送局の垣根を越え、今のテレビをぶった斬る討論番組。今年も熱く語ります。2017年の人気番組ランキングを発表!あの感動ドラマは何位に?池が舞台の民放バラエティーはどのように生まれたのか?第一線の制作者たちが秘密を明かす。ネット業界からは72時間番組の仕掛け人が登場。過激な企画の狙いとは?テレビ離れ、長寿番組終了、課題いっぱいのテレビ界はどうなる?テレビのこれからがわかる78分。


真面目なNHKと不真面目なテレビ東京が訪れた同じ場所とは

所ジョージさんの出演するテレビ番組というのは、まるで枕詞のように「所さん」という言葉が付く番組が多いのが特徴です。この「所さん!大変ですよ」もそうですが、思い付くままに挙げてみると、

「所さんの目がテン!」(日本テレビ)
「所さんお届けものです!」(TBS)
「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」(テレビ東京)
「所さんの世田谷ベース」(BSフジ)

なんて番組が引っ掛かってきました。一通り見てみると、最後の世田谷ベース以外は「所さん」の他に「!」が必ず入っていますし、「笑ってこらえて!」(日本テレビ)には「所さん」の文字が入っていないのが意外でした。基本的には所ジョージさんの人柄に依存して番組を作ってしまおうという意図とも取れてしまいます。今回紹介する「所さん!大変ですよ」も、本来はもっと真面目なドキュメンタリーにしたいところ、視聴者の支持が低いだろうと「所さん!」という題名を付けて視聴者の興味を引き付け、番組は所さんに報告するという形を取りながら堅い内容を柔らかく伝えようとしているように感じます。実に真面目なNHKらしい番組だと言えます。

今回のテーマは温泉で、番組の中では温泉旅館で働く仲居さんが減っていて求人を出しても人が集まらないという問題を提起する中で、前橋市にある「NIPPONおもてなし専門学校」を取材していました。学校の方の話によると、当初は日本人の学生と留学生を合わせた形でやっていこうと思っていたものの、留学生だらけの状況になってしまったとのことでした。

番組ではこうした状況に、日本で生まれた人は、幼い時から生活をしている中でなかなか温泉旅館を利用する機会がなく、旅館の良さを感じないまま一人でビジネスホテルを渡り歩くような旅をしているからではないかと分析されていました。それは裏を返すと、一人で泊まると割高になるなど同じ部屋でも人数によって料金が跳ね上がる温泉旅館のあり方が時代とは一部ずれてしまっているということでもあると思うのですが、番組ではそうした事には触れることなく温泉に関する話題をてんこ盛りに「所さん!これもこれも」という感じでたたみかけていきます。かなり民放の所ジョージさんが出ている番組を意識しているなという感じもします。

ところで、番組で出てきた前橋市の「NIPPONおもてなし専門学校」ですが、以前全く別の番組でその中で行なわれていることや、留学生のアルバイト事情などを紹介していたのを見たことがありました。その番組こそテレビ東京の「YOUは何しに日本へ?」です。その経緯というのは、「YOUはナゼここに?」というコーナーで視聴者から外国人の集まる場所についての情報をもらい、その場所へ行ってみるという企画の中で、その場所がこの専門学校だったという事で男女2人でこの学校で勉強しているという人に密着して紹介していたのでした。

何と言ってもおもてなしの心を教える学校だけに、アルバイトも取材を受けた方は飲食店で行なっていて、夢に向かって日本式のおもてなしの心を真面目に学んでいる様子を見ることができたのですが、同じ場所を取材するにもその番組色の違いに今回は注目してみました。

NHKの取材というのは「温泉」をキーワードにして出てきたキーワードの中で日本の温泉旅館の中にも外国人が進出してくるというような感じのする取り上げ方で、ドキュメンタリー色が強いものだったのに対し、「YOUは何しに日本へ?」の方は、とにかく群馬県前橋市の特定の場所に外国人が集まって来るのはナゼ? という興味から取材をして、改めて外国人達が日本のおもてなし文化というものに興味を持って、その文化を真剣に学びに来ているということを番組を見ている日本人に気付かせてくれるという、ある意味安定した内容をユーモアとともに紹介してくれるといった感じでした。

どちらの方が番組として面白いのかというような意見はそれぞれにあるとは思いますが、「所さん!大変ですよ」の今回の取り上げ方としては、はっきり言って詰め込みすぎのきらいがあるように思います。それも真面目に温泉についての問題をリサーチする中で、あれもこれも所さんに伝えたいと思っての事だろうとは思いますが、一つの項目を伝える時間が短くなるとどうしても見ている方に誤解が生じやすくなりますし、内容を見たことでわかってしまう気になってしまうのがテレビの特質だと言うことになると、NHKには同じ真面目でもじっくりと今回の内容については伝えて欲しかったという気がしました。

個人的な想いとしては、おもてなしを受けるような旅館に泊まるというのは、番組で紹介されていた海外資本に買収された贅を尽くした一泊12万円なんて宿に泊まらないと無理になっていくのではないか? というような所に話を持って行っても欲しくはないのです。

一泊1万円以内の宿やそれより安く泊まれる民宿やとほ宿のような所でも、おもてなしの心を感じて十分に命の洗濯のできる宿はありますし、海外から評価を受けているのはおもてなしの「心」であって金にあかせておもてなしの押し売りをすることではないというところもあると思います。まずは温泉旅館には「一人客をいやがる」「日によって大幅な料金の違いがある」というような現代の日本人旅行客がネットで料金を見ながら予約しずらい所を改善するような旅館についても取り上げて欲しいものです。

(番組データ)

所さん!大変ですよ「温泉!仰天スペシャル」[再] NHK総合
12/24 (日) 9:00 ~ 9:45 (45分)
【司会】所ジョージ,黒崎めぐみ,徳永圭一,
【ゲスト】橋本マナミ,
【出演】澤口俊之,牛窪恵,モーリー・ロバートソン,
【リポーター】獣神サンダー・ライガー,
【語り】吉田鋼太郎

(番組内容)

温泉大好き女優・橋本マナミが「現代湯治」を初体験。短期間で体のメンテナンスができると、女子たちの間で人気だという。プロレスラー獣神サンダー・ライガーが体を張って紹介するのは温泉好きすら見たことがない「幻の秘湯」!さらには外国人が選ぶ「ニッポンナンバー1」の温泉や自宅で温泉気分を味わえる絶品温泉料理も登場。温泉通すら知らない温泉宿の裏側にも密着!この冬イチオシ、知られざる温泉の魅力を深掘りします!


管理人

2017-10-28

ネット検索で一番最初に出てくるという渋谷のスマホ修理店に72時間密着し、その店を訪れる人たちのスマホと、その中味を見せてもらうという企画なのですが、番組内で取材を受けた東大の学生という人でも全てを一台のスマホに集約してバックアップの方法を用意していなさそうという状況を見てなんだかなあと思ってしまったのが大きな感想というか疑問になりました。

さらに多くの人が修理に持ってくるスマホの画面がバキバキに割れていることが多いのですが、長くスマホを使っていればどこかにぶつけたり、落下の事故が多いことがわかっているにも関わらず、その対策になるであろうストラップや画面保護用のカバーを付けていない人がテレビに連続して出てくるという違和感も同時に感じていました。

これは、単にスマホをおもちゃの用途にも使えるような形で物心が付いた時から与えられている人が多いからなのでしょうか。さらに、最近の製品こそ防水機能が付いてきたiPhoneですが、防水機能が付いていないにも関わらず、水没の恐さを感じないで使っている人もいるのだろうなという事が、画面割れしたまま多くの人がスマホを修理しないで使っている状況からも推測でき、この番組で改めて確認できたような感じです。

さらに番組のコンセプトとして出ていたのが、修理しないと改めて見ることができないというスマホで撮影した写真や動画の数々でした。もちろん、単体で撮影した写真や動画、さらに本体で受けたメールは本体の画面が映らなくなったら確認すらできない事は確かです。しかし、きちんと対策をしておくことで、端末自体が修理不可能なほど壊れたとしても、データを復活させることは十分可能なのですが、世間というものは本当に無知だということが、テレビの向こう側では起こっていることを知り、ただただ愕然とするしかありませんでした。

例えば、カメラで撮影したものをまるまるバックアップする方法(例えばDropboxやOneDriveのようなクラウドに自動的に保存する設定とかGoogleフォトを使って同じように自動保存の設定をするとか)があることすら知らないの? とか、メールもキャリアメールにこだわらず、Gmailに一元化すれば端末がなくなっても古いメールを過去に遡ってパソコンや新しいスマホやタブレットを使えば見ることはできるのに(ネットカフェのパソコンを使ってクラウドにアクセスし、手持ちのUSBメモリ(千円前後で家電量販店で購入可能)にダウンロードするような事も可能)、ドキュメンタリー番組ということもあってかそんな情報を取材者には提供せずというのも何か切ないなあと感じてしまいます。

ただ、このドキュメンタリーに「やらせ」は無いという風に仮定すると、本当にパソコンを使わないでスマホのみを情報源にしている若年層(番組には年配の方はほとんど登場しませんでした)の方は、本当に何の対策もせず裸のままのスマホを使い、もしデータが見られなくなったらということを考えずにスマホに依存した生活を送っているということになってしまいます。

これは一般的な問いとしての「人はなぜスマホに依存するのか」という答えを考える上でも大事な観点になります。パソコンでのインターネットとスマホやタブレットという風に、用途によって使うものを分けている人なら、深刻なスマホ依存にならずに、インターネットを楽しむことができるかもしれませんが、全てをスマホ一台に集約することでたとえ一瞬でもスマホを使えない状態になった場合にパニックになることは十分ありえます。きちんとIDとパスワードを管理しておけば、メールだけでなくLINEをパソコンで使うことも可能ですし、スマホがなくても代替手段があることを知っていれば精神的にも安定するでしょう。

ただ、一日でもスマホを手放したくないと思う人々の存在によって取材先のようなスマホ修理専門店が流行るというオチまで付いてしまうのですが、買って2週間で画面が割れてしまい、手を切ってしまったと嘆くフリーターの子が修理に時間がかかったり、高額になった修理代に文句を言う場面があったので、あえて一つの提案をします。きちんとバックアップさえしていれば、修理金額よりも安くスマホを使い続けたいなら、とりあえずの連絡だけはSIM入れ替えでできるスペアの中古スマホでも購入した方が安く済むでしょう。そしてそもそも、どの通信業者もやっている「スマホの保証サービス」に入れば、買ってすぐ画面が割れてしまっても、買ったお店で少ない負担で修理してもらえるのに何で入らないの? という根本的な疑問もあります。

ただこれは、番組では直接明らかにしない裏の事情があることが考えられます。フリーターで毎月使えるお金が少ないために、つい契約の時に毎月の支払い額が多くならないように、補償サービスに掛けるお金も出し惜しみしてしまう人が少なからずいるのではないかという点です。実はこの部分が今回番組を最後まで見ていて強く違和感を感じた部分で、大手キャリアでスマホを買って使っている人がほとんどな中、なぜキャリアのショップではなく修理専門のショップへ人々は向かうのか。そこにあるのは、実はスマホを売ることによって利益を得るために、肝心な事を説明しないまま売っているお店の存在があるからではないかと勘ぐってしまうのです。無知な利用者を増やし、そこからお金を絞り取るような姑息な商売というのは止めて欲しいですし、スマホが再生不可な状態になったとしても、データを無料で取り戻す手段があるということを多くの人に知って欲しいと番組を見ていて思った次第です。

(番組データ)

ドキュメント72時間「渋谷 スマホ修理店」(再放送)
10/28 (土) 11:25 ~ 11:50 NHK
【語り】仲里依紗

(番組内容)

舞台は東京・渋谷にあるスマホ修理店。故障で動かなくなったスマホが次々と持ち込まれる。人々は何を守り、残したいのか。修理を終えたスマホの中身をのぞかせてもらう。