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東京中心なのは新聞のテレビ欄にも

地方住まいの身としては、例えば地元で災害が起こった場合になかなか地元の事なのに報道されないような事も起こるのを常々何とかして欲しいと思うのですが、今回指摘したいのはメディアをまたいだ一つの東京偏重の報道のパターンとして記録しておこうと思ったからです。

新聞には「全国紙」と「地方紙」があり、全国紙ではどうしても地方の情報が少なくなり、逆に地方紙では東京を中心とした情報が得られないという状況があります。それはそれで仕方のない事ではあるのですが、さらにそこにテレビがからむとさらなる首都圏と地方との格差が感じられることがあります。

今回取り上げたい番組は、フジテレビのみで日曜日の午後に放送されている「ザ・ノンフィクション」という番組で、2018年7月29日と2018年8月5日の日程で2回に分けて放送される「転がる魂 内田裕也」と題する崔洋一氏が監督している内田裕也氏の人生に迫るドキュメントなのですが、後編の放送の前に大手全国紙のテレビ欄にこの番組のコラムが載りました。

どうせなら前編の放送がある前に紹介した方が良かったのではないかと思うのですが、かく言う私もこのコラムを見てこんな面白そうなプログラムが放送されているのを知ったので、せめて後編だけでも見てみたいと思うのですが、残念ながら地方ではこの番組は見られないのです。

もしやと思って民放テレビ局が共同で運営している「TVer」でこの番組が見られないかとも思ったのですが、残念ながら番組のラインナップに「ザ・ノンフィクション」はありませんでした。さらに、有料の「FODプレミアム」でも探したのですが、全ての放送が見られるわけでなく人気のあるシリーズのみ配信という感じで、前回の放送が対象作品には入っていませんでした。

こういう状況があるので、YouTubeに不法にテレビ番組がアップされることにつながるのではないかと思うのですが、地方で生活している身としてはそんな違法アップローダーに頼ることになるというのはやはり本筋から外れています。

そもそも、全国で一律に見られない番組を「おすすめ番組」として新聞で紹介するというのは、やはり新聞社の思慮が足りないと言うしかありません。コラムニストが紹介する紙面が東京だけでなく全国で見られるなら、合法な手段でネットから見ることができるということをきちんと確認してから載せるというのが当り前のやり方ではないかという気がするのです。まさに地方の人達がテレビ視聴においてどれだけの格差を感じて悔しい想いをしているかは、コラムを書いた人にはわからないでしょう。

かくして、こうして番組に興味を持ったものの、いつ見られるのかもわからないまま生殺しのようにされる地方在住者の恨みだけが溜まっていくわけです。せめて今後NHKがインターネットによる常時中継放送を実現するのなら、画質を落とすことは全く厭わないのでテレビ東京を含む東京エリアの民放テレビも同時に中継することを実現しないのなら、新聞のテレビ欄では地方のテレビ放送に即した内容に編集して出すべきです。ただこうしたことが一般化されれば、同じ日本に住んでいる人における露骨な差別主義をテレビ局と新聞社が後押しすることにもなります。地上波で見るのは電波を使った地元のネット局が中心になっても、ネット局が揃わない地方だったり微妙に放送している番組が違ったりしている場合に補填的にネット中継からカバーできたり、それこそ「TVer」で扱う番組を多くしたりとかいくらでも方法があると思うので、関係される方にはぜひとも考えて欲しいところです。