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演出され解答を強要するクイズ番組は「忖度」も?

日本テレビのこの時間の番組は、後番組の「沸騰ワード10」のスペシャルが食い込んだり、この番組のために沸騰ワードの方が潰されたりと、連続して見られないのですが、それでも一通り見て、昨年までは一定の流れというものがあると認識していました。

・番組ルールでは10問正解100万円獲得で終了も可だが、それをやった人はいない
・11問目の300万に挑戦した人は難しいランキング問題が答えられず賞金が払われない

ただ、この法則の2つ目については1月10日放送のスペシャルで「番組史上最強の挑戦者」という触れ込みの東大医学部に在籍しながら司法試験に合格したという河野玄斗氏が『子ども年鑑2019』からの出題「JR東日本で1日の平均乗車人数が多い駅トップ3は?」という難問に見事正解し、番組史上初めての300万円獲得となりました(答えは「1位新宿 2位池袋 3位東京」)。こんな問題はクイズ用の知識を持っていても最新のデータを常に見ていないと答えられないような問題で、毎回こんな現在の小学生の教科書に載っているようなデータの順位を11問目に答えさせるえげつなさは変わっていませんでした。

先週は「沸騰ワード10」のタケノコ王のコーナーが伸びて番組は休止になり、今回はスペシャルではない普通の長さの番組になったので、またクイズの方も通常運転に戻るのかなと思って見ていたら、最初に出てきたお笑いコンビのチョコレートプラネットは予想通りだめでした(^^;)。次に出てきたのが新生ジャニーズ事務所イチオシのグループ「Snow Man」から阿部亮平さんが登場し、彼の勉強できるキャラを前面に押し出す中で順調に解答に正解を連ねたところでちょっとしたクイズとは関係ない「演出」が見られたことで、これは「台本」のあるクイズ番組なのか? とちょっと疑ってしまいました。

というのも、回答者をサポートする小学5年生のグループの中の「えいと」くんが、たまたま「バイオリンの弓に使われる毛は何の動物?」という問題に自信満々に回答し、自分はバイオリンを習っていると自慢気に告白しました。普通のクイズ番組ならその話はここで終わりで、すぐにクイズを続けると思うのですが、なぜかえいとくん所有であろうバイオリンが用意されていて(^^;)、演奏を番組内で披露する時間稼ぎ(時間つなぎかも)が行なわれたのです。ちなみに、答えは馬の毛だったのですが、その答えがどうでも良くなるくらいにクイズ以外のところにスポットライトを当てるというのは、この番組のスタッフは何をしたいんだろう? という疑念を生じさせるには十分なところがありました。

そして、阿部さんはうまく小学5年生に回答をさせながら10問をクリアし、止めれば100万円を持ち帰ることができる権利を獲得しました。ここで日本中のテレビを見ている人の反応は、阿部さんはいくら上智大学大学院という学歴を持つジャニーズの頭脳とも言うべき才能はあるにしても、「番組史上最強の挑戦者」くらいの箔が付かないと(ちなみに過去には「東大王」も11問目で敗退しています)正解は難しいから、一緒にデビューするSnow Manの仲間たちと分かち合うためにも、11問目は辞退してくれというものだったと思います(^^;)。しかし、これも台本通りなのか300万円に挑戦する事になり、ああこれでまたスタッフは100万円を出さないで済むのか、まあスペシャルではないからお金は出さないよねと思っていたところ、さらに驚くべき事が起こったのでした。

私が今まで見てきたこの番組の300万円のかかった11問目は、必ず最新のデータを使ったランキング当て問題になっていて、しっかりと予習をしたとしても東大王が答えられなかったことからもわかるように、正解することは非常に困難です。バラエティ番組にこんな事を言うのは野暮かも知れませんが、つい先日の報道で、参加費150万円を支払ってゲームを勝ち抜いたホスト一人に2000万円のランボルギーニをプレゼントするという「欲望の塊」(東京MXテレビ)での賞品およびタレント・スタッフへのギャラ未払い問題が起きているということもあります。番組のルールにのっとって100万円を貰えるのに、ほとんど可能性のない問題を強制的に答えさせるような台本があったとしたら、この番組も大きな問題としてワイドショーのネタになるかも知れません。

ただ、こうした心配は逆の意味で杞憂だったことが明らかになります。というのも、なぜか阿部さんに出題された問題はこれまでの非常に難しい最新データのランキング問題ではなく、それこそ小学生のテストで回答できる知識で解けてしまう優しい問題だったからです。

その問題とは「星座の冬の大三角が含まれる星座の3つを答えよ」というもので、大してしっかり勉強してきていない私でも「おおいぬ座・こいぬ座・オリオン座」と簡単に答えられるものだったのです。

今回の問題の出し方は2020年になってスタッフが突然賞金を出すように方向転換したのか、それとも出演者に賞金を取らせようと「忖度」したのかは次回以降の11問目の出題傾向を見ないと何とも言えませんが、今回の300万円獲得は偶然ではなく、やはり何らかのスタッフの意向が働いたのではないかとつい疑ってしまうのは、私がひねくれているせいなのかも知れません。

とにかく、今回の放送では昨年の放送の流れからは全く考えられないような事が起こったことだけは確かです。300万円獲得者がスペシャルでない通常回でも出たことで、今後も出るかも? という期待は出来ましたが、また次から難しいランキング問題に終始したら、さらに疑念は高まってしまいます。できればそういう方向にこの番組が行かないで欲しいものですが。

(番組データ)

クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?チョコプラとジャニーズ初勉強アイドル登場 日本テレビ
2020/01/24 19:00 ~ 2020/01/24 19:56 (56分)
【MC】劇団ひとり、佐藤隆太
【挑戦者】阿部亮平(Snow Man)、チョコレートプラネット
【解説】寺田心
【小学5年生】えいと、のん、みひろ、ゆうき、りょう

(番組内容)

クイズ初挑戦!チョコレートプラネットとジャニーズ最強の勉強キャラ・Snow Man阿部亮平が登場!間違えたら即終了!11問連続正解して目指せ!賞金300万円!クイズ初挑戦のチョコプラには小5「伝統芸能」から狂言に関する問題!果たして”そろり”長田の答えは…?さらに上智大学院卒、ジャニーズ初の勉強キャラ・阿部亮平の登場で300万円の期待度MAX!
阿部には小6「社会」からQ:日本で一番小さな国宝は?Aハンコ、B仏像、C種…間違えれば即刻終了!あなたは小5より賢いの?Q1億円を千円札にすると何枚?Qバイオリンの弓に使われる毛は何の動物?えいとの特技も初披露
関口 拓
えすと ランブルビー AXON

平成の終わりに「アメリカ横断ウルトラクイズ」の流れも消えるか

今まで、高校生クイズと言えば往年の名クイズ「アメリカ横断ウルトラクイズ」の手法をスポンサーである「ライオン」の力によって実現してくれるものだと思っていたのですが、今年はスポンサーは同じでも「地頭力対決」という形を取り、スタジオならびに宿泊先の東京のホテルでの収録というお金の掛からない方向に変わってしまいました。

もちろん、出場した高校生にとってはいい夏の思い出にはなったでしょうし、今年の番組については例年の視聴率と比べてもそこまで大きな変化はないだろうと思います。しかし、あえて言いたいのは「アメリカ横断ウルトラクイズ」の伝統をかろうじて繋いでいた高校生クイズの変化によって、クイズ番組らしさは出てきたように思いますが、反面バラエティやドキュメンタリーとしての面白さは無くなってしまったように思います。これは、準決勝前の収録休みの一日についてVTRでなく静止画の写真とナレーションだけで勝ち残ったメンバーの様子を極力短く済ませたことによって、完全にドキュメンタリーや人間ドラマ色を廃してクイズ番組化まっしぐらなんだなという確信に変わりました。

こうした番組の作り方というのは、最近テレビ界で東大の学生が出演するクイズ番組が多数出てきて、知識や能力の高いエリートの頭の良さを強調するような番組が人気になることで多くのキー局が追随したことと関係があるのでしょうか。この種の番組は恐らく少ないギャラとスタジオ収録でそれなりの視聴率を稼いでいるであろうことから、高校生クイズも極力経費をかけずに、勝ち残った日本のエリートが地頭の良さを出して盛り上がって行くような形式にしたかったのか? という感じもします。もしそうだとしたら、クイズ形式を切り替えたので過去の有力な高校が予選で敗退してしまったというのは制作側としても想定外のことだったのかも知れません。

さらに、制作者の想いとしてクイズに負けた学校にインタビューする時など、出演者の一生懸命さを伝えようと努力していたことは認めますが、やはり日本を出発してアメリカを転戦しながら連日クイズをやる中で参加校同士でもそれなりの関係ができ、さらにチーム内でも普段とは違う状況になっていくようなところを、東京での滞在期間があるとは言え短期間のスタジオ収録だけで出してもらうことは難しいと言わざるを得ません。その点でも昨年の番組と比べると画力に違いがあるということは見ていて本当に感じました。

今後の高校生クイズが単なるクイズとパズルで頭の柔らかい学校はどこか? ということを決めるだけであればこの方向で行くことについて何も文句を言うことではありませんが、視聴者の中には「金の切れ目が縁の切れ目」とばかり、毎年の視聴から離れる方も出るのではないかということも心配になります。

何より、やはり日本テレビのクイズというとあまりにも「アメリカ横断ウルトラクイズ」の印象が強いだけに、その流れを遂に平成の終わりとともに捨ててしまったという印象が個人的には大きく、もしこの方針転換がお金とは関係なく試されたパターンだったとしたらまた私たちはアメリカ横断する高校生の姿を見られるかも知れませんが、単に番組の制作資金の問題だとしたら大変残念に思います。

同じ高校生の全国大会のうちでも野球なら甲子園というように、予選を通って全国大会に出場した多くの高校生にとってもこの番組を大きな目標になっていると思いますが、アメリカへ行かなくなったことおよび、一次予選のクイズを一気に15問も省略してしまうことで、全出場校のメンバーも放送しないまませっかくスタジオ収録に臨んた学校の紹介も省略されてしまうのは、中途半端な地方のエリートはいらないという番組の意思表示であるとも考えることができます。

どちらにしても普通の高校生がいくら頑張っても太刀打ちできず、上位に入ってテレビに映る高校が固定されてしまうようだと、あえて予選を行なうよりもテレビ的に面白くなりそうな高校対抗戦のようにした方が余分なクイズがあったことを紹介することもないですし、スッキリするのではないでしょうか。ただそうなったら番組自体の魅力が薄れてくるような気がします。単にお金の問題でアメリカ横断ができなくなったのだとしたら、スポンサーがテレビに多額の広告費を出さなくなったことがわかってしまうわけですから、そこから日本のテレビ自体の衰退が始まるのではないかという危惧を感じざるを得ません。

(番組データ)

ライオンスペシャル 第38回全国高等学校クイズ選手権 日本テレビ
9/14 (金) 21:00 ~ 23:24 (144分)
【総合司会】桝太一(日テレアナウンサー)
【メインパーソナリティー】千鳥
【スペシャルパーソナリティー】千葉雄大
【メインサポーター】乃木坂46
【ゲスト】石原良純、岡井千聖、菊川怜、小島よしお、滝沢カレン、辻岡義堂(日テレアナウンサー)、ブリリアン、ブルゾンちえみ、ホラン千秋 五十音順
【有識者】猪子寿之、大村芳昭、川村康文、高橋智隆、湯本博文 五十音順

(番組内容)

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