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テレビが作る「実績」は本当の実力なのか?

NBC長崎放送が制作した番組に地域情報バラエティ「げなパネ!」がありますが、この番組は静岡県出身の漫才コンビ「トータルテンボス」の冠番組で、現在はネット配信の「TVer」で見ることができます。私が見た回は同じ漫才コンビで茨城県出身の「カミナリ」がゲストで出演していて、現在のお笑いについての興味深いお話をしていたのを見させていただきました。

「カミナリ」は今回紹介する「ものまねグランプリ」にも出場した漫才コンビ「霜降り明星」とは事務所は違うものの活動年数も近く意識するのだそうで、そんな霜降り明星の事を「吉本の宝」という風に表現していました。当然ライバル心もあるでしょうし、露骨に贔屓されることについての不満もあるでしょうが、「げなパネ!」の中ではそんな感じは一切出さず、実に立派な態度だったと見ていて思いました。

番組の感想に先立って直接は関係ない「げなパネ!」の話題を出したのは、お笑い界だけでなくテレビの世界でも番組制作に大きな影響を与える大手芸能事務所の「吉本興業」の意向を考えずして人気バラエティの制作が難しいのではないかという疑念があります。

そこで改めて漫才コンビの「霜降り明星」の活動実績について見ていくと、今回の「ものまねグランプリ」では見事チャンピオンに輝いたわけですが、これで漫才の「M-1グランプリ」、ピン芸のコンテスト「R-1ぐらんぷり」でメンバーの粗品さんがグランプリ受賞と、今回のものまね芸でのグランプリと合わせて「三冠」を取ったというまさに「吉本の宝」とカミナリやトータルテンボスに言わしめたことがお世辞ではない活躍ぶりです。

しかし、番組を直接見た方ならおわかりでしょうが、生放送でなく録画番組で、決勝の際に審査員全員が「霜降り明星」に一位の点を付けてのぶっちぎりのグランプリ獲得に、他の決勝進出者との比較で、審査結果に疑念を持った方も少なくないのではないかと思います。

「ものまねグランプリ」に限らず、新たなスターが出現した場合、いかにその人気を上げるように忖度するかということは別に番組がオリンピックなどの見ばえとは関係ない真剣勝負でなければ、十分演出の範囲であるように思えます。人気を上げたいと思っている人をドラマの主演にキャスティングすることは「やらせ」でも何でもありませんし、見たい人だけが見ればいいわけなので、今回のグランプリ受賞もそうした考えの延長線上にあったものなのかも知れません。

結果としてこうしてできた「実績」は後々まで残り、最初に紹介したように「霜降り明星」は「漫才」でも「ピン芸」でも「ものまね」でも面白いという大きなイメージが形成されます。そうしたイメージを利用して「霜降り明星」のお二人が今以上の実力を発揮することで名実ともに「吉本の宝」となっていくのか、そのイメージに押し潰されてしまうのか大変気になります。

もし私が「霜降り明星」のファンだったら、そこまで色々な事に手を出して受賞歴を増やす事よりも、地に足をしっかり着けて漫才の面白さとテレビでのフリートークの面白さ、さらにロケ回しのうまさを身に付けてずっとテレビで活躍することができるように頑張って欲しいと思うのですが。今後彼ら二人が、「何でもできる芸人」として無茶振りされて滑ってしまった場合、相当お二人にとってのダメージが増えてしまうのではないかと心配になったりします。大きなお世話と言われればそれまでですが、霜降り明星のお二人には、くれぐれもテレビに潰されることのないように、苦言を言ってくれる方を大切にして活動していって欲しいと思います。そして番組に出演したものまね芸人の方についても、今回の結果については悲観せず、次回こそグランプリを取れるように芸道に精進していって欲しいと思っています。

(番組データ)

ものまねグランプリ特別編 ものまねレジェンドが選ぶ次世代ものまね芸人No.1決定戦
2019/05/07 19:56 ~ 2019/05/07 22:54 (178分)日本テレビ
【MC】ネプチューン
【進行】郡司恭子アナ、笹崎里菜アナ
【出演者(審査員含む)】コロッケ、神奈月、ホリ、福田彩乃、荒牧陽子、山寺宏一、アンガールズ、横澤夏子、椿鬼奴、古賀シュウ、イジリー岡田、やしろ優、Mr.シャチホコ、平野ノラ、沙羅、メルヘン須長、山田七海、チョコレートプラネット、朝日奈央、霜降り明星、祭nine.、関根勤、井森美幸、ビビる大木、上白石萌音、池田美優、加藤ナナ、廣瀬智紀

(番組内容)

ものまねレジェンドが感嘆!進化した芸を見逃すな

▽霜降り明星ものまね連射漫才
▽チョコプラ大坂なおみVS和泉元彌
▽歴代朝ドラ主題歌を山田七海が激似熱唱…上白石萌音絶賛
▽CD店QUEENがすべて神奈月になったらバレる?バレない?
▽3年A組菅田将暉が蘇る?▽祭nine.のTT兄弟とは?
▽平成30年名曲45組で20分ノンストップメドレー!ものまねを止めるな
▽広瀬すず、佐藤健、山崎賢人…見た目そっくりさん


番組スタッフのせいでタレントの立場が悪くなるケースも

この番組MCの生瀬勝久さんは、過去にスタッフと司会者の板挟みになり、現在も大人気のバラエティ「探偵ナイトスクープ」(ABC朝日放送)を降板せざるを得なくなった経験のある方であることを番組を見終って思い出しました。

当時は番組降板だけでなく芸能界からも干されていたという事ですが、その原因というのは今から考えると番組に送られてきた一つの依頼に応えて彼が調査し、その内容を発表したことが当時の司会者だった上岡龍太郎氏の逆鱗に触れたのでした。依頼の内容は日本が戦った戦争のとある部隊は俗謡に出てくるような「特別に弱い部隊」だったのかということを調べるというもので、生瀬氏は自らの意志というよりスタッフから依頼を受けて当時の事を調べVTRで発表し、締めの言葉を言ったのが運命の別れ目でした。

私自身は当時の番組を見ていないのでどちらが悪いのかということはわかりませんが、一つだけ言えることは生瀬氏はスタッフからの支持に基づいてロケに出て、スタジオで喋ったわけで、もし生瀬氏自身の物言いや態度が上岡氏の気に入らなかったとしても、上岡氏が怒りの感情を向けたのは生瀬氏に100%ということではないでしょう。上岡氏はその後も探偵個人ではなく、スタッフの中途半端な調べ方(結論を引き出すことなく尻切れトンボのようにVTRを終わらせるような依頼もあった)をした際にはスタッフに向かって切れた様子をそのままオンエアさせたこともありました。

そうしたことを総合して考えると、生瀬氏が探偵の座を追われた事については当時のスタッフの方にも非があると考えられるので、たとえ一時的にせよ生瀬氏がテレビに出られない時期があったことについては、当時のスタッフは生瀬氏に対してきちんとした謝罪なり落とし前をつけたのか? ということは今でも気になっています。そんな中、同じ生瀬勝久氏がMCを務める番組で、出演しているタレントさんとは関係ないところでどうにも気になる点を見付けてしまったのでした。

VTR出演され、スタジオにも登場したのはお笑いコンビの「アイデンティティ」のお二人で、このブログではTBS系「オールスター後夜祭」において見浦彰彦さんがクイズで最下位になったことで今後同番組に出入禁止になってしまったといういわくつきの方々です。まあ、この件についてはご本人にもそれなりの覚悟が有り、スタッフの介在するところではなかったと思いますのであくまで「自業自得」扱いで、見浦さんに対してはこの件で逆に知名度を上げて頑張って欲しいと思っていたのですが、わざわざそんな時に今回紹介しなければならないような事が起こるとは思いませんでした。しかし、今後のテレビのバラエティ番組の事を考えると、いい加減な情報を出しっぱなしでは困るのであえてここで指摘させていただこうと思います。

問題にしたいのは番組前半で放送された「1000円の中古車でドライブ!?」というネタです。番組で登場した埼玉県桶川市の中古車販売店について、自動車販売のネットで検索したところ、1000円どころではなく車両本体価格1円という中古車の値付けをしている販売店だということがわかりました。

番組を見ていた方の中には、本当に1,000円しか出さないで車に乗れるのか? と誤解をした方もいたかも知れませんが、この点については番組では業者さんにきちんと購入する場合の金額を聞き、税金や自賠責保険や諸経費が70,070円になるということを、一瞬ではありますが画面で紹介していました。

ただ、この番組についてネットでまとめている方のホームページを見たら、番組では一瞬しか映らなかった購入時費用の内訳をじっくりと見ることができ、これは大きな問題をはらんでいるとピンと来たのです。

販売店が車に付ける価格というのは、中古車の場合は1円でも1,000円でもいいのですが、実際にナンバープレートが付いて自走できる状態になっている場合、本体以外の別の費用がかかっているので、その分の費用負担が必要になります。番組の紹介では、その車は17年落ちの走行距離が9万キロくらいのスズキ・ワゴンR(軽自動車)で、バンパーが取れかかり、回りは傷やヘコミも多く、車内についても前オーナーが乗ったままの状態で、金目のものであるかも知れないオーディオすら取り外されているような車でした。番組ではそれでもナンバープレートが付いていて、車検はわずかに残っているというような説明の仕方だったので車両本体価格が1,000円だったら、残りの費用の内訳はどうなっているのか気になりました。以下に番組で紹介された1,000円の車の購入時の費用内訳をそのまま書き起こしてみます。

(ここから引用)

【車両本体価格】  1,000円
【自賠責保険料】 25,880円
【重量税】     8,800円
【登録代】     1,480円
【リサイクル料金】 8,910円
【車両管理費】  24,000円
合計70,070円

(引用ここまで)

もっともらしく書いてあるのですが、気になったのは3点あります。上記の【自賠責保険料】は軽自動車の25ヶ月間の保険料になっていて、【重量税】についても17年落ちの軽自動車の2年分の税金の額になっています。番組の説明からするとなぜ車検の残り期間が少ない車を購入するのに前のオーナーが車検を通す時に支払った諸費用を負担しなければならないのでしょうか?
また最後にある【車両管理費】についても、納車前に整備をしていない事が前提の企画であることを考えると(ナンバープレートが外れないように固定したという説明は番組内のナレーションでありましたが)、これだけの金額を請求される根拠がはっきりしません。

番組の企画で「1000円の中古車」という事実ありきの面白VTRを作っているのですから、もしかしたらきちんと整備して納車しているのにわざと古い車の状況を誇張して騒ぐ「やらせ」をしている可能性もありますし、スタッフが車の購入金額の内訳も良く知らないのに業者に確認もしないでそのまま電波に料金内訳を乗せてしまった事で、この業者に関する視聴者のイメージが悪くなる可能性も出てきます(この内訳が本当だったら、利用してもいない車検費用を取られていると思われても仕方がありません)。

可哀想なのは、そうした中古車の販売事情を知らないまま出演させられたタレントだということにもなります。現在は上岡龍太郎さんは芸能界を引退していますが、こんな杜撰なVTRを見て何も疑問に思わずただ笑っているということで、MCとしての生瀬勝久さんについて何を想うでしょうか。ただ、番組を見ている私でさえも、いちいち画面を静止画にして記録してくれているサイトを見たからこんな事が書けるわけで、本当に悪いのは今回のケースでは企画を担当したスタッフだと思えるのですが。

深夜のバラエティだと言っても、いい加減な内容で面白ければいいというのであれば、テレビにはもっとメチャクチャなことをやって欲しいという気持ちもあるのですが、放送コードに触れることはやらない代わりに今回のように誰も見ていないで指摘されなければその部分はいい加減でもいいと思っているのだとしたら、この番組を作っている人にもはや未来はありません。全国放送でこんないい加減な番組制作がまかり通る今、やはり時代からはテレビは取り残されていくのでしょうか。

(番組データ)

それって!?実際どうなの課 中京テレビ
2019/04/24 23:59 ~ 2019/04/25 00:54 (55分)
【MC】生瀬勝久
【出演】博多華丸・大吉/田島直弥・見浦彰彦(アイデンティティ)
【構成】松本建一
【演出】立澤哲也
【企画・プロデュース】簑羽 慶(中京テレビ)

(番組内容)

(1)【1000円の中古車でドライブ!?】 1000円で販売されている中古車ってどれだけ走るのか!?アイデンティティ率いるドラゴンボール芸人が日光いろは坂をドライブ!果たして無事に走り切れるのか!?

(2)【YouTuberになったら稼げるのか!?】 素人がYouTuberになってみたら、実際1か月でどのくらい稼げるのか!?番組のチーフ放送作家が作家のプライドをかけて、実際どうなのかチャレンジ!動画をバズらせ一攫千金はなるか!?人気YouTuberとのコラボも!!


ネット実況までテレビが誘導する節操の無さ

まず、2018年の日本映画の話題作「カメラを止めるな!」をノーカットでこんなに早く放送してくれた日本テレビの英断には感謝します。製作費が少なくて宣伝もなかなかできない映画というのは人が見に来る可能性も少ないので、どうしても人の集まる首都圏や日本の主要都市でのロードショーに限られ、いわゆる田舎ではなかなか見ることができません。さらにインターネットでも映画を見ながら隠れて録画し、その内容をそのまま動画サイトにアップすれはたちまち「映画泥棒」で捕まってしまいますので、日本ではそんな危険をあえて犯す人はいないでしょうし、テレビで放送されるのを気長に待つしかない人達がいます。そんな中でこれだけ早いタイミングでテレビ放送したのは、これから説明するインターネットと連動した企画をからめたテレビ局の思惑があったからこその事でしょう。

マイナーながらその映画の名前は多くの人に知られている「カメラを止めるな!」ですが、今回の放送では劇場で見た人でも、今回が初見である人にも楽しめるように、副音声で出演者の方々がネタバレや撮影裏話をすることにより、主音声と副音声で見る人の層を分ける試みがされていました。仲間うちで見た人は、もう一回見る際にはいちいち解説を付けて見ることができるわけですから、多くの人が副音声で見たのではないかと思われます。

さらに、姑息だと思ったのは生放送と同時に様々なネットメディアで生配信もされたのです(細かい内容は「番組内容」の項を参照してください)。これは、ある程度ネットを楽しみながらテレビを見ている方にはおなじみだと思いますが、ネットメディアを使って多くの人とともに実況しながらテレビを見ることを楽しみにしている人への配慮ということになるでしょう。こうした「実況民」を増やすことは、テレビ局にとってはコマーシャルを含めて全ての内容を見てくれる人が増えるということになりますので、スポンサーに対しての大きなアピールになります。逆に録画で見る人が増えるとコマーシャルは飛ばされてしまう傾向になるので、スポンサーからの評価は低くなるでしょう。そういう事を避けるために、テレビ局が積極的にネットによる実況を煽る行為というのがここまで露骨に出た例というのは、今回がかなり顕著だったのではないでしょうか。

個人的にはこれはテレビ局の出した一つのネット対応の一つの方法だと思えますが、ネットと正面からぶつかることを避け、「ながら視聴」を推奨する方法というのは、ネットユーザーからすると当り前のことで、あえてテレビ局にとやかく誘導されるものではないと思う方もいるでしょう。逆に言うとそこまでテレビ局は追い詰められていて、本来、テレビ局とは何の関係もない(普通は広告会社やテレビ局などがその後のDVDリリース、さらにはテレビでの放映までを見越して実行委員会形式で作ることが多い)話題の映画を引っぱってくることで視聴率争いに勝ちたいのかと思ってしまいます。

その反面、4月からは2時間サスペンスのドラマ枠が消え、相変わらず残っているテレビドラマは今回の「カメラを止めるな!」とは正反対の大手事務所からのタレントを出演させることを目的にした(当然そうして起こった人気によって多くの企業とのタイアップを狙っているのでしょうが)ドラマ作りがメインになってしまっています。まさにテレビとそれを利用する芸能プロダクションにとって、そんな構造とは無縁の映画が放送され、自分達の今までやってきた矛盾が明らかになった放送でもあったよううな気がしてなりません。

ただ、そんなテレビの現状をあざ笑うかのように本作は大変面白く、無名の俳優にも思い入れ感が出てくるというのも面白いものです。現在の画像機器の進歩によって、一眼レフデジカメの動画機能でもそこそこの映像が録れ、さらに録音についても気軽に高音質のハンディタイプのレコーダーが入手できるので、今のテレビマンにも志さえあれば、人気俳優に依存せずアイデアだけでも話題作が作れる環境は整っています。今回の放送がそんな機運を盛り上げることに役立ってくれればこれからのテレビも面白くなると思うのですが。

(番組データ)

金曜ロードSHOW!「カメラを止めるな!」完全ノーカット早くもテレビ初放送 日本テレビ
2019/03/08 21:00 ~ 2019/03/08 23:04 (124分)
【監督・編集】上田慎一郎
【脚本】上田慎一郎
【音楽・作曲】鈴木伸宏&伊藤翔磨、永井カイル(ZIPANG ENTART)
【出演者】<日暮隆之>濱津隆之<日暮真央>真魚<日暮晴美>しゅはまはるみ<神谷和明>長屋和彰<細田学>細井学<山ノ内洋>市原洋<山越俊助>山崎俊太郎<古沢真一郎>大沢真一郎<笹原芳子>どんぐり(竹原芳子)<吉野美紀>吉田美紀<栗原綾奈>合田純奈<松浦早希>浅森咲希奈<松本逢花>秋山ゆずき<谷口智和>山口友和<藤丸拓哉>藤村拓矢<黒岡大吾>イワゴウサトシ ほか
【副音声解説進行】森圭介(日本テレビアナウンサー)

(番組内容)

日本アカデミー賞優秀賞8部門受賞★今年度最大の話題作!製作費300万円の作品がクチコミで大ブームに!絶賛する芸能人も続出!最後まで見れば笑って元気になれる大傑作

ある山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影が行われていた。クライマックスのシーンで監督がなかなかOKを出さず撮影は難航中…そんな中、建物の外では様子がおかしくなったカメラマンが助監督に襲い掛かっていた!?異例の大ヒットを記録した、これまで誰も見たことがない最高のエンターテインメント作品★放送中は監督と主要キャスト4名が副音声で映画の解説を生で実況中継!撮影の裏話や(秘)エピソードなど生トークをお楽しみ下さい!

番組後半にステキなプレゼントのお知らせがあります♪

▼監督と出演者による生解説の様子は、番組公式Twitter、番組公式Facebook、日テレ公式youtube、ニコニコ生放送で生配信します!


平成の終わりに「アメリカ横断ウルトラクイズ」の流れも消えるか

今まで、高校生クイズと言えば往年の名クイズ「アメリカ横断ウルトラクイズ」の手法をスポンサーである「ライオン」の力によって実現してくれるものだと思っていたのですが、今年はスポンサーは同じでも「地頭力対決」という形を取り、スタジオならびに宿泊先の東京のホテルでの収録というお金の掛からない方向に変わってしまいました。

もちろん、出場した高校生にとってはいい夏の思い出にはなったでしょうし、今年の番組については例年の視聴率と比べてもそこまで大きな変化はないだろうと思います。しかし、あえて言いたいのは「アメリカ横断ウルトラクイズ」の伝統をかろうじて繋いでいた高校生クイズの変化によって、クイズ番組らしさは出てきたように思いますが、反面バラエティやドキュメンタリーとしての面白さは無くなってしまったように思います。これは、準決勝前の収録休みの一日についてVTRでなく静止画の写真とナレーションだけで勝ち残ったメンバーの様子を極力短く済ませたことによって、完全にドキュメンタリーや人間ドラマ色を廃してクイズ番組化まっしぐらなんだなという確信に変わりました。

こうした番組の作り方というのは、最近テレビ界で東大の学生が出演するクイズ番組が多数出てきて、知識や能力の高いエリートの頭の良さを強調するような番組が人気になることで多くのキー局が追随したことと関係があるのでしょうか。この種の番組は恐らく少ないギャラとスタジオ収録でそれなりの視聴率を稼いでいるであろうことから、高校生クイズも極力経費をかけずに、勝ち残った日本のエリートが地頭の良さを出して盛り上がって行くような形式にしたかったのか? という感じもします。もしそうだとしたら、クイズ形式を切り替えたので過去の有力な高校が予選で敗退してしまったというのは制作側としても想定外のことだったのかも知れません。

さらに、制作者の想いとしてクイズに負けた学校にインタビューする時など、出演者の一生懸命さを伝えようと努力していたことは認めますが、やはり日本を出発してアメリカを転戦しながら連日クイズをやる中で参加校同士でもそれなりの関係ができ、さらにチーム内でも普段とは違う状況になっていくようなところを、東京での滞在期間があるとは言え短期間のスタジオ収録だけで出してもらうことは難しいと言わざるを得ません。その点でも昨年の番組と比べると画力に違いがあるということは見ていて本当に感じました。

今後の高校生クイズが単なるクイズとパズルで頭の柔らかい学校はどこか? ということを決めるだけであればこの方向で行くことについて何も文句を言うことではありませんが、視聴者の中には「金の切れ目が縁の切れ目」とばかり、毎年の視聴から離れる方も出るのではないかということも心配になります。

何より、やはり日本テレビのクイズというとあまりにも「アメリカ横断ウルトラクイズ」の印象が強いだけに、その流れを遂に平成の終わりとともに捨ててしまったという印象が個人的には大きく、もしこの方針転換がお金とは関係なく試されたパターンだったとしたらまた私たちはアメリカ横断する高校生の姿を見られるかも知れませんが、単に番組の制作資金の問題だとしたら大変残念に思います。

同じ高校生の全国大会のうちでも野球なら甲子園というように、予選を通って全国大会に出場した多くの高校生にとってもこの番組を大きな目標になっていると思いますが、アメリカへ行かなくなったことおよび、一次予選のクイズを一気に15問も省略してしまうことで、全出場校のメンバーも放送しないまませっかくスタジオ収録に臨んた学校の紹介も省略されてしまうのは、中途半端な地方のエリートはいらないという番組の意思表示であるとも考えることができます。

どちらにしても普通の高校生がいくら頑張っても太刀打ちできず、上位に入ってテレビに映る高校が固定されてしまうようだと、あえて予選を行なうよりもテレビ的に面白くなりそうな高校対抗戦のようにした方が余分なクイズがあったことを紹介することもないですし、スッキリするのではないでしょうか。ただそうなったら番組自体の魅力が薄れてくるような気がします。単にお金の問題でアメリカ横断ができなくなったのだとしたら、スポンサーがテレビに多額の広告費を出さなくなったことがわかってしまうわけですから、そこから日本のテレビ自体の衰退が始まるのではないかという危惧を感じざるを得ません。

(番組データ)

ライオンスペシャル 第38回全国高等学校クイズ選手権 日本テレビ
9/14 (金) 21:00 ~ 23:24 (144分)
【総合司会】桝太一(日テレアナウンサー)
【メインパーソナリティー】千鳥
【スペシャルパーソナリティー】千葉雄大
【メインサポーター】乃木坂46
【ゲスト】石原良純、岡井千聖、菊川怜、小島よしお、滝沢カレン、辻岡義堂(日テレアナウンサー)、ブリリアン、ブルゾンちえみ、ホラン千秋 五十音順
【有識者】猪子寿之、大村芳昭、川村康文、高橋智隆、湯本博文 五十音順

(番組内容)

千鳥、千葉雄大、乃木坂も大興奮&先の読めない展開に絶句!▼各地の代表50校・総勢150名の精鋭が地頭力クイズに立ち向かう▼プロジェクションマッピングで出題される実物大建造物のクイズとは!?海外で問題解決した実際のアイデアもクイズに!たばこのポイ捨て激減作戦とは?水不足対策の画期的商品とは?▼想像超える巨大セットに高校生茫然!高さ5mの壁を最も早く越える高校は一体どこか?前代未聞の熱戦が幕を開ける!


たかをくくってマスコミ対応を誤ると大変なことになる

2018年8月、日本大学に関する様々な話題がテレビのワイドショーで伝えられる中、日本大学に関わるタレントのスキャンダルまでも週刊誌で報道されてしまいました。日本大学に裏口入学したのではないかという疑惑を持たれたのが漫才師「爆笑問題」の太田光さんで、この騒動も大きくなるのかも知れませんが、どのようにテレビで喋るかによって今後のタレントとしての仕事にも影響してきてしまう可能性も出てきます。

この問題はまだどうなるかはこの文章を書いている時点ではわかりませんが、タレントと不正入学という事で思い出すのは、タレントのなべおさみさんのご子息のなべやかんさんの明治大学替え玉入学の事件でした。この時に、何をやっても何を発言してもバッシングを受けたのは、それまでのなべおさみさんの芸能活動についてのスタンスと、替え玉受験をした事実が発覚した後の態度がいちいちテレビを見ている人たちから突っ込みを入れたくなるような発言や行動をしてしまったからだと思われます。同じことを立川談志さんが行なったり発言したりすれば世間は許すのに、なべおさみさんが同じことをしたら何が何でもバッシングの方向に向かってしまうなど、後年騒動の主役であったなべやかんさんがテレビ朝日系列の「しくじり先生」でその顛末について説明しましたが、細かいところでたかをくくっているように見られる行動があり、それを正さなかったことでどんどんテレビ視聴者との感覚がずれ、バッシングが強まっていったというところがあったようです。

現代の芸能界でそのように何をやってもバッシングを受けがちになっている方の一人としてやり玉に挙がりやすいのが、ぱっと見てあまり苦労をしているようには見えないのに、普通に努力してもなかなか出演するのが難しいと思われる「笑点」のレギュラーとして抜擢された二代目の林家三平さんだというのは多くの人の意見が一致するところだと思います。

「笑点」のレギュラー出演者になることができれば、数多くいる日本の落語家の中でも一番顔が売れ、様々な営業のお誘いも掛かります。たまたま今回の放送の中で、放送日が8月12日ということがあったのか、二代目林家三平さんの挨拶の中で、徳島市で行なわれる「阿波おどり」についての告知をしていたのです。

この件についてちょっと気になって調べてみたら、ネットで地元の徳島新聞の記事がひっかかり、何と当日の12日に笑点のスポンサーであるサントリーが出している「サントリー ザ・プレミアム・モルツ連」に配偶者の国分佐智子さんといっしょに踊りに参加するということがわかりました。

これは別に悪いことではないのですが、2018年の徳島市で行なわれる阿波おどりについては、何かときな臭い話が持ち上がっています。表面上は、長年にわたって赤字を垂れ流していたとされた観光協会が破産宣告され、今年の阿波おどりは市と徳島新聞の方で取り仕切っている印象なのですが、有名な「総踊り」や街の路地に入って踊ることが禁止されてしまったことによって、一部の人たちが反発しているなんて、祭りの盛り上がりに水を差すような、なまぐさい話が週刊誌やネット上で話題に挙がっているのです。

これが単なる地元だけの話題で済んでいれば問題はないのですが、今後の祭りの状況によってや、関係者の暴露によって日本大学やボクシング協会のような形で全国放送のテレビ上で問題化された場合、当然祭りに参加することによって出演料や経費などが支払われているわけですから、週刊誌やテレビが面白おかしく、関連付けてバッシングされる可能性はないわけでもありません。当然、まだ大きな問題になっていない段階ですので、別に二代目林家三平さんの方では危機感も何もないでしょうが、いくらご実家の力が強くても、笑点のデータ放送による視聴者参加の座布団を上げたり取ったりするコーナーではほとんどの回で出演者では最低枚数で、多くの回で「0枚」というご本人にとっては屈辱的な仕打ちを受け続けているということを忘れてはいけません。何かきっかけがあれば一斉バッシングを受ける可能性を考え、自分のイメージが良くなるような芸能活動を心掛けないと、なべおさみさんの二の舞になる可能性もあります。

私自身は二代目林家三平さんとは何の関係もありませんが、もし阿波おどりについての話題が沸騰するような事があれば、三平さんには自分のところにやってくるマスコミに対して真摯な対応をすることが、かえってピンチをチャンスに変えられる事になるかも知れないので、この時点で個人的にエールを送っておきます。

(番組データ)
笑点 円楽が見えた!?昇太の横に緑の爺さん 日本テレビ
8/12 (日) 17:30 ~ 18:00 (30分)
【司会】春風亭昇太
【大喜利】三遊亭小遊三、三遊亭好楽、林家木久扇、林家三平、三遊亭円楽、林家たい平、山田隆夫
【演芸】笑福亭鶴笑
【チーフプロデューサー】東井文太(NTV)
【統轄プロデューサー】倉田忠明(NTV)
【プロデューサー】福田一寛(NTV)、飯田達哉(ユニオン映画)、大畑仁(ユニオン映画) 【ディレクター】高木裕司(ユニオン映画)、加藤健太(日テレアックスオン)

(番組内容)
老舗のお笑い演芸バラエティー。大喜利では、笑点クロスワード遊び。真ん中に「中」の付く言葉を考えてショートストーリーを発表▽笑福亭鶴笑のパペット落語
【演芸コーナー】笑福亭鶴笑のパペット落語 【大喜利】▽笑点クロスワード遊び。真ん中に「中」の付く言葉を考えてショートストーリーを発表▽風鈴をもって鳴らすなどして一言。「どうしたの?」に対してもう一言。


おバカな面々は飽きられるが出川哲朗さんが生き残る理由

この番組のコンセプトとしては、最近はリアクション芸人としての姿というよりも多くの世代に好かれるキャラクターとしての魅力があり、言い間違いや常識のなさをあえて前面に出すことでも面白い姿をテレビのこちら側にいる多くの人に見せて楽しませてくれる出川哲朗さんがメインになっています。ただ、表面的に出川さんの発言や行動を「おバカな面々」というゲストの人たちと同一に捉えていいのか、個人的には疑問に思っていました。

確かにみやぞんさんや滝沢カレンさん、丸山桂里奈さんなどは多くのバラエティ番組に出演なさっていて、その普通よりちょっと違った感性を口に出すことで、テレビ番組的にかなり面白い素材であることは確かです。

ただ、普通の人は何回も同じような事を答え、受け答えに慣れてくると言っていることに新鮮味がなくなり、単に自分の感性だけで受け答えをしているだけではテレビを見ている人達を笑わせられなくなる事も確かです。過去にはフジテレビ系の「クイズ ヘキサゴン」でおバカな解答者として歌まで出した「羞恥心」の中の2人、つるの剛士さんと上地雄輔さんは今では過去におバカキャラだったことを知らない人がいるのではないかと思うほど、普通にタレントとして活躍されていますし、元AKB48の川栄李奈さんも、過去にはおバカキャラで通していたものの、今の活躍を見るとそんな風には思えず、それだけ努力をして今の芸能界での居場所を作り出してきたと言えるでしょう。

逆に言うと、年を重ねていくに従っていわゆる「おバカな言動」というものがチャーミングに見えなくなり、単にこの人は莫迦だというイメージが形成される中で、当然テレビでの活躍の場は限られています。何しろテレビに出たい若い才能は今も掃いて捨てるほどいるのです。そういう点ではこの番組のゲストとして出ていた「おバカな面々」と呼ばれている人は、これからどのようにして芸能界をわたっていくのかを真剣に考えなければならないのではと、テレビを見ているこちら側が心配になるほどです。

そんな中、これは番組の演出としてわざとやっていたのか、そのまま素が出てしまったのかはわかりませんが、一つの象徴的な場面がこの番組の中で出てきました。番組の講師役として様々な知識を説明するパートがあるのですが、特定のゲストがそうした話をまるで聞いていないところがしっかり映ってしまっていたのでした。

学校の勉強ができる子とできない子は確かに出てしまうことはあるのですが、私個人の印象にはなりますが、出川哲朗さんは少なくとも真剣に講師の方の発言を聞いた上で「全然わからない」と言い放つものの、わかろうと努力したり、自分の得意なものを伸ばそうとしているように思います。だからこそ多くの人が入れ替わるお笑い界の中でも生き残り、現在ブレークするほど注目を浴びているのだと思います。しかし今回出演したゲストの中にはそうした講師の方のお話をおしゃべりや他の事をしていて全く聞いていないのでできないしわからないというような感じでそのままテレビに出ているという風に感じる人がおりました。こういう人というのは次に自分とかぶるような人が出てきたらとたんにお呼びがかからなくなることを理解しなければならないでしょう。

逆にそうした人に向かって講義をしなければいけない講師役として番組に呼ばれた方々は本当に大変だったろうと思います。スタジオでの講義でも出川さんはわからないなりに講師の方の話を集中して聞いていましたが、そうでない人たちの注目を集めて多くの人に物を教えなければならない教師という職業は本当に大変な仕事だということも改めてわかりました。

ただそんな中面白かったのが、講師役として出演した橋下徹さんの印象でした。最近は政治的な動向が見え隠れする中で、どうしても今の与党か野党かという勢力争いの中でどうしても橋下氏とそれに対抗する人達との間でギスギスするような番組に出演することが多く、見ていて後味を悪い事が個人的には多かったのですが、今回の橋下講師の話にもゲストはまるでトンチンカンな反応を見せ、あまりの受け答えに苦笑いからしだいに表情がゆるみつつ自説を述べるのですがそれがまたゲストの芸能人には一向に伝わらないという状況になってしまっていました。そんな時にはいつもは強い口調で相手をやり込めるのが得意な橋下氏でも、こうした人が相手だとまさに暖簾に腕押しで、テレビ的にはにこやかに終了したということでこれはこれで十分楽しめました。

(番組データ)

出川哲朗のアイ・アム・スタディー 知っとかなきゃヤバイよ日本のピンチSP 日本テレビ
4/17 (火) 19:00 ~ 20:54 (114分)
【MC】出川哲朗
【進行】羽鳥慎一
【ゲスト】みやぞん、滝沢カレン、丸山桂里奈、渚(尼神インター)、定岡ゆう歩、平沼ファナ
【講師】小池百合子、橋下徹、原晋、デヴィ夫人、齋藤孝、河野玄斗、左巻健男
【企画・演出】石崎史郎
【監修】古立善之
【プロデューサー】笹部智大

(番組内容)

小池都知事が「東京の秘密」を初授業!出川のアブナイ質問攻め▽デヴィ夫人の「終活」に密着!みやぞん歌う感動&爆笑の模擬葬式▽橋下徹も参戦!おバカ軍団と激論で降参?

この番組は、皆様に有益な情報をお伝えするのではなく、出川率いるおバカな面々がコミカルに学ぶ様を楽しむものです…
(1)小池都知事が初めて案内!東京を災害から守っている巨大地下○○潜入!総理大臣になりたい?出川が切り込む!
(2)神脳で話題の天才・現役東大生が直伝!偏差値上がる記憶術をみやぞん実践
(3)青学・原監督が教えるマラソン速く走る裏ワザとは
(4)ベストセラー作家から学ぶ「大人の語彙」出川・滝沢カレンの爆笑食リポ


要は大人は自分の若かった時代を懐かしむものなのだ

この番組は「不良」を正当化したり過去の「不良」の悪行を美化するものなのか? という風に感じる人がいるかも知れませんが、当時のファッションを紹介したり、彼らが住んでいたと思われる部屋を再現したセットに入り、マツコ・デラックスさんと土田晃之さんが懐かしそうにトークしている姿を見ると、単に出演者またはスタッフが青春時代を過ごしたその世代にとっては「古き良き時代」を懐かしんでいる自己満足に近い番組だろうと思いながら見ていました。

というのも、番組の中で「昔はヤンキーの喧嘩は一対一だった」「ヤンキーは今より礼儀正しかった」というような発言がありましたが、それはあくまで出演者の側の感想であり、そうでない思い出を持つ人もいるはずです。思い出は美化されるものだとは言え、いじめられたりカツアゲをされた側の人から見ると、被害を受けたことが「いい思い出」になるとは思えません。その点について、当時の常識からしても正しくない事をやっていただろう人達を持ち上げるこうした番組を作る難しさというのはあると思うのですが、個人的には「不良」の全てを否定的にとらえて糾弾しようとは思いません。番組内のコーナーで過去に販売されていたという本物の女性の暴走族の構成員に取材した紹介VTRなどは、これはこれで当時の風俗の貴重な記録であり、今の時代によく日の目を見たなと個人的には別の感動を覚えたりします。

今では限られた地域によっては残っている「文化」(この番組ではそのように扱っていたのでそのまま書いておきます)は、テレビニュースで中学の卒業式や成人式に「特攻服」を着て現れる若者を非難するようなスタンスで報道する方が多いのが普通なのですが、日本のバラエティーにはこうしたものを「やんちゃ」という言葉で片付けて大目に見るという風潮も一部にはあります。取り上げるテーマとしては興味深いもののクレームが来ることが予想される中でこの番組を成立させるために、この番組ではある技術が使われていました。

それが、番組内できわどい話題をしている時に出てきた注意テロップというもので、私は番組を録画していなかったので一言一句同じような形で再現はできていないかと思いますが、何回も以下のようなテロップが番組内で表示されていました。

「当番組が注目するのは不良の精神性や文化であり法律違反を肯定するのもではないことを明言する」

このようなテロップを出さなければ番組自体が放送できないという事情はあったのだろうと思いますが、まだこうした言い訳をすればギリギリこのような番組を作って放送できるだけいいのかなという風に思ったりもします。そもそも不良が文化なのか? という疑問を持つ方もいるかも知れませんが、例えばビートルズが来日する前後、エレキギターを持つだけで「不良」というレッテルを貼られた時代もありました。ビートルズの来日公演を見に行くだけで「不良」と呼ばれ、泣く泣くコンサートに行くことを諦めたケースもあったといいます。今から考えると、ロックをやったりビートルズを目の敵にする方が新しいカルチャーを理解せずに潰しにかかる勢力として批判されるべき存在ではなかったかと考えることもできます。

今の若い世代の中にも目立とうと莫迦な事をやったり、かなり奇抜な格好をしてみたりする人がいると思いますが、現代はそういう事がインターネットで拡散されることによって、仲間うちの笑い話になることもなくなり、それこそテレビニュースで報道されたり、多くの人を巻き込んで炎上するような事になった話などは、後年になっても「昔はこんなことをして楽しかった」というような思い出にはならないでしょう。それどころか、若気の至りがそのまま未来永劫に動画や写真としてネットにアップされ、さらに名前や住所が特定されることになってしまえば、楽しかった思い出がたちまち消し去ろうとしても消せない暗い過去ということになってしまいかねないのが今の世の中だからです。

そういう意味からすると、今回の番組に出てきた大人たちは、自分達だけ昔話を楽しんでいてずるいというような感想を持つ人もいるかも知れませんが、それはちょっと違います。自分達だけでちょっとまずいかな? と思ったことはtwitterにもInstagramにも投稿しないであくまで仲間うちだけの秘密の楽しみにするような形で行なえばいいだけの話です。ほとばしる感情をより広く伝えられないもどかしさはあるかも知れませんが、それが現代の不良が生き残り新たな文化を作り出していくカギになるような気がします。一つ言えることは、本当にすごいことは自分でネットにアップして拡散するような事をしなくてもテレビの方から取材に来るという事です。そういう意味では、多少世の中からはみ出しているような行動をする若年層のやっている事を一概に糾弾するのではなく、その中に何か光るものがあった場合それを指摘して褒めるような事も今後のテレビはやっていった方がいいのではないかという気がします。

最後に一つ、残念だったのが番組が何とも中途半端に終了してしまったことです。コメンテーターの言葉も相当カットされていたような感じがして、最後にVTRが出ていた当時の不良のアイドルという女性が現在の姿を披露したところでもうエンディングロールが出てきたので、この女性は何のために番組に出てきたのか? という疑問が生じてしまったことも確かです。こういったテーマで語りたいことが製作者の側で多すぎ、尺の中に収まり切れないということのなのかも知れませんが、もう少しちゃんと番組を作ることが続編を放送するためには必要なことではないのかという気もして、最後の最後にちょっと違和感が残りました。

(番組データ)

仲村トオルが地井武男にワッパを掛けられた時代…とマツコ 日本テレビ
3/19 (月) 23:59 ~ 0:54 (55分)
【司会】マツコ・デラックス
【ゲスト】土田晃之、岩橋健一郎(青少年不良文化評論家)、中森明夫(アイドル評論家)、阿部真大(東京大学卒・社会学者)
【演出】高橋敬冶(オフィスぼくら)、大輪和孝(ザ・ワークス)
【統轄チーフプロデューサー】森實陽三(日本テレビ)
【プロデューサー】鈴木淳一(日本テレビ)、山口敦司(ザ・ワークス)

(番組内容)

マツコが「不良が最も輝いていた時代」をディープに振り返る!ヤンキーの変形制服や憧れていたアイドルの変遷、そしてヤンキーの部屋を黄金比で完全再現!さらに(秘)ビデオも

パンタレイ…万物は流転する。この番組は「あるモノ」が最も妖しい輝きを放っていた時代をマツコがディープに振り返る。今回のテーマは「不良が最も輝いていた時代」。「変形制服」「裏ボタン」でヒエラルキーを紹介。またヤンキーの部屋を黄金比で完全再現!そしてヤンキー御用達の原付「クレージュタクト」にマツコが試乗!?さらにヤンキーが憧れたアイドルの歴史…工藤静香は凄かった!レディースアイドルの幻のビデオも登場!


オリンピック終わりに他局を巻き込んだとんでもない企画が

番組自体は先月末の放送でしたが、この文章を書くにはとにかく金曜日まで待とうと思っていたので、少々報告が遅くなりました。今回の放送は「長嶋一茂」氏の内面にまで突っ込んだ番組関係者の努力にまずは感謝したいと思います。

プロ野球選手としての長嶋一茂氏を知らない人は、この人はなぜこんなに偉そうなのかと思う場面がテレビを見ているとかなりあるように思えるのですが、朝のモーニングショーで政治や経済について辛口発言をしたり、番組の進行を無視して延々と違う話を振ってきたりしてもずっと金曜レギュラーを続けているこの人は一体何者だと思う一般視聴者に答えるような内容になっていました。

まずびっくりするのが、コメンテーターとして出演するにも関わらず台本も見ないで進行を妨げるようなコメントをするのが普通であるということと、その件で番組を止めさせられるということは今のところないという事実です。もちろん、他の出演者とは全く違うオーラを出してその自由奔放な言動を元日テレの看板アナウンサーであった羽鳥慎一さんがどのように面白おかしくまとめていくのかというのが金曜日のテレ朝のモーニングショーの見どころであるわけで、その役者としての才能は他に真似するような人がいないということもあります。

番組内ではそれだけでなく「長嶋一茂被害者の会」というのが主にテレ朝のモーニングショーのスタッフの中で作られているらしいことを紹介し(^^;)、特に気象予報士の河波貴大さんが、本来は全国の視聴者のために天気を伝えなければならないところを、金曜日には長嶋一茂氏の気まぐれで、彼の行く場所のピンポイント天気について喋らされたというように、本来は日本テレビ製作の番組であるにも関わらず、長嶋一茂氏が収録でなく生放送で暴れ回るテレビ朝日のモーニングショーをひとしきり紹介するような番組になってしまっていたのです。

ちなみに、金曜日の番組コメンテーターはエッセイストの吉永みち子さんと、テレビ朝日社員でネトウヨもその言動に注目するという玉川徹さんなのですが、特に玉川さんと長嶋一茂さんが一緒に喋りだしてしまうとさすがに制御が効かなくなる場合もあり、テレビ朝日としては玉川さんの発言だけに注目が集まらないように「毒には毒をもって毒を制す」という感じで長嶋一茂さんをキャスティングしているのかなとも思ってしまいます。

ただ、これだけでもすごいのですが、今回の番組ではなかなかテレ朝の番組でも言えない衝撃の事実が明らかになっています。というのも、毎週モーニングショーを見ていると、かなりの回で長嶋一茂さんがお休みしている時があるのですが、普通は番組がある時にはインフルエンザにかかったとかずっと出ていて夏休み冬休みの時期にならなければ休まないのが普通です。

しかし、長嶋一茂さんが番組を休む際には、出演している金曜日にスタッフに「来週は休むので」と言って勝手に休んでしまうのだそうです。その休みの理由は、ハワイでリフレッシュするからだということで、この番組内で他の出演者から大ブーイングを浴びた長嶋一茂氏は、「金曜の夕方から翌木曜の夜までという5泊7日では体が休まらない」「一週間体を慣らしてようやく翌週にリフレッシュできる」という事を話したのですが、本当に単なる遊びでハワイに行く時は番組を休んでまで2週間の予定でバカンスに行くんだということが明らかになったことで、この金曜日にテレ朝のモーニングショー内で羽鳥さんあたりから何か嫌味の一つでもあるかなと思ったのですが、そんな事は全くなく番組は進行していきました。

まさに、日本のプロ野球界に燦然と輝く長嶋茂雄氏の息子である長嶋一茂氏には誰も何も言えないまま来てしまったので、このようなテレビで変な人を見慣れている人からも一目置かれるような人間に進化してしまったのだということが今回の放送を見て良くわかりました。

ただ、今後の事を考えると不安材料がないわけでもありません。番組では「お坊ちゃま」という言葉を多用して2世であることを強調していましたが、今やそのキャラクターは流石に生放送では使うのに勇気がいるものの、何が飛び出してくるかわからず、本当のところ悪気はないだろうと思われる天性の明るさはテレビの企画で必要になってくることも多く、もし長嶋茂雄氏の身に何かあったとしても、長嶋一茂氏のテレビ出演にすぐに影響が出てくることはないと思います。

しかし、今回のテレビ番組ではあくまでも明るく「長嶋一茂被害者の会」という言葉が出ていましたが、年月とともに自分で言いたいことがなかなか言えなくなってしまっているのに更に今と同じように尺を取って自説を延々と語り続けるようになってしまうと、現場の評判もどう変わってくるかはわかりません。

長嶋一茂氏へのツッコミが明るい方に向かうのではなく、何らかのきっかけで暗い方向に向いてしまえば、そこは「文春砲」の出番となり本気の「長嶋一茂被害者の会」の座談会が匿名で語られ、記事として世に出るような事にもなりかねません。テレビを見ている側から言うとかなり不謹慎と取られるかも知れませんが、長嶋一茂氏が究極の素人コメンテーターとして政治家と堂々と渡り合う姿というのはある意味街のおじさんが直接政治や経済に対して物申しているという感じがするところでもあり、思想的なものを飛び越えた爽快感を感じることもあります。

とにかく、こんな面白い人をテレビがまだ十分活躍できるうちにパージすることのないように、週刊誌の方々は忖度し、テレビ業界の方も大変かと思いますが今までのように取りはからっていただければと思います。できればこの番組の感想を、来週あたりしれっと羽鳥さんが長嶋一茂氏のいない時に言っていただけると視聴者としては最高なのですが。

(番組データ)

今夜くらべてみました 長嶋一茂が言いたい放題!中村江里子&羽鳥慎一がクレーム! 日本テレビ
2018/02/28 21:00 ~ 2018/02/28 21:54 (54分)
【MC】徳井義実(チュートリアル)、後藤輝基(フットボールアワー)、指原莉乃(HKT48) 【ゲスト】中村江里子、長嶋一茂、羽鳥慎一/鈴木美羽、河波貴大
【演出】上利竜太
【チーフプロデューサー】伊東修
【統轄プロデューサー】南波昌人
【プロデューサー】原 司、合田伊知郎

(番組内容)

一茂お坊ちゃま伝説…実家は都内300坪の豪邸で庭に二宮金次郎&小学校でお年玉50万!全く怒らない父長嶋茂雄を一度だけ激怒させた思い上がり事件▽中村江里子パリ豪邸

スーパースター長嶋一茂が面倒くさすぎる!謎行動…朝瞑想で死ぬ&夜風呂でギリギリまで息止め「今日も生きててよかった」▽ネットでサプリ大量買い…80種類愛用の自称「サプラー」!でも正月から風邪気味?▽年7回もハワイ旅行で羽鳥MCのレギュラー番組欠席!羽鳥ボヤキ「みんな麻痺してる」一茂被害者の会も…▽中村江里子がパリの高級マンションでガチ格闘家のマンツー指導!パリで大人気の高級チョコ&ゼリーに徳井興奮!


一つのアイデアで状況は変わるのか

世の中の全てが数学の計算問題のようにはっきりした答えが出れば簡単でいいのですが、なかなかそうはいかないところに、社会の中で生きて行く面白さがあると紋切り型の感想を述べてしまいそうですが、今回紹介する「正解の出ない問題」という番組はまさに何が正解かわからない中、現状をアイデアだけで変えていく事を目指し、当代一流のクリエイターや映画監督、アーティストが1週間という期限の中で知恵をしぼって出したアイデアを実地検証していく番組です。

今回プレゼンをした方々のアイデアはどれも凡人には思い付かないものでしたが、特に関心したのが先日東京オリンピック・パラリンピックの開会式と閉会式の演出を依頼したことでニュースになっていた映画監督の山崎貴さんのアイデアでした。普段花を買ったことがない人に向けて、花に目を付けて極端に指向性のあるスピーカーから女性の声で「私を買って」と情に訴えることで花を買ってもらうというアイデアだったのですが、このようにアイデアを文字に起こしていても、こんな事で都会に暮らす人々が足を止めてくれるのか(検証は新橋駅構内のお花屋さんで行なわれました)とちょっと莫迦にしていたのですが(^^;)、何とCMプランナーの方々の普通にプレゼンを受けて素晴らしいと思ったアイデアよりも多くの売上を叩き出したのが山崎さんの「喋る花」だったのです。

実際に検証のVTRを見たところ、声を出す役の人はお客さんから見えないように隠れていて、お店の人もあえてこの「喋る花」には触れず、お花屋さんの前を歩いている人にピンポイントに呼び掛けるだけで、この売上げには喋りかける人の力量もあるとは思うのですが、見ていてはたと気付いたのが、言ってしまうと「喋る花」と会話している人は日常生活を普通に送っている中に突然ファンタジーな世界に迷い込んでしまった錯覚を覚えたのではないでしょうか。
花が喋るという仕掛けがわかったとしても、花自体はそこにあるわけで、そこで改めて自分の想いを花に託して伝えようという風に考えることによって花が売れていく様子というのはちょっと凡人には考えられない状況でした。と、同時に花屋さんの前でこんな素敵なファンタジーを生み出す山崎さんの力量にも感心しました。もちろん、このアイデアを継続して普通のお花屋さんで行なうことは難しいですが、今後世界に向けて日本をアピールする場で、果たしてどんなアイデアを出すのか、今から楽しみになっただけでもこの番組を見た価値はあったと思います。

他のアイデアにも本当に感心することが多かったですが、今回のアイデアを出した人選がいかにもアイデアを出しそうという人に依頼することで意外性が出なかったのが残念といえば残念でした。というか、この番組を見ながら私はある番組の事を思い出していたのです。アイデアをどんな人に出させるかをプロデュースすることで、単に番組の内容が良くなるだけでなくその後に続く大きな状況の変化を生み出す可能性もあることを覚えていたのです。

その番組とは今はやっていませんがNHK総合で放送されていた「仕事ハッケン伝」という番組です。この番組は基本的にアルバイト程度にしか働いたことがないだろうと思われるお笑い芸人さんにきちんとした企業に研修に行ってもらい、普通に働くことの尊さを芸人さんが感じたり、働くことに対する認識の甘さを企業担当者から指摘されて涙を流す芸人さんがいたり、反対に企業側の人が単にテレビではふざけているとしか思わなかった芸人さんの思わぬ能力に驚いたりするなど、見ている方も様々な「ハッケン」がある番組でした。

そんな中で、この番組に出たことで新たな才能を多くの人に知らしめた芸人さんがいます。それがお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんが出演した回だったのです。当時のピースは相方の綾部さんの方が目立っていたように思え、又吉さんはサッカーが上手で北陽高校在学中にインターハイに出た経歴は知っていましたが、まさか企業の中でも十分やっていけるアイデアをひねり出す才能を持っているとはこの番組を見るまで全く意識していませんでした。

彼はローソンで働くことになり、何と「販売促進部」に配属されます。恐しいことに企画会議でアイデアを出すことを要求され、又吉さんはかなり追いつめられるのですが、会議に参加している社員もうなるような素晴しいアイデアを出し、そのアイデアは店頭のディスプレイに採用されることになります。テレビを見ている時には、これだけのアイデアを出せる才能があればお笑い芸人として煮詰まってもすぐにローソンが社員として迎えてくれるだろうと思っていましたが、お笑い芸人として煮詰まってしまったのは相方の綾部さんの方でした(^^;)。その時には執筆した小説が芥川賞を取るとは思いませんでしたが、その才能というのは業界では知っている人は多かったとは思うのですが、単にテレビのネタ番組を見ている人にとっては、この番組発で広く認知されたのではないかと思っています。

そんなこともあり、できれば当初はアイデアの「オチ担当」というようなポジションであっても、この人にアイデアが出せるのか? と思うような人にもオファーをして新たな才能を発掘するような方向でも面白いものになるのではと思いました。今回の番組を見ていると売上げが伸びるなら現実離れした人件費がかかっても面白ければいいという感じなので、職業として企業のためにアイデアを出している人でない人が出すようにした方が個人的には期待が持てます。

それにしても、アイデアを出すだけならお金もかかりませんし、そのアイデアで多くの人が幸せになるようなものが自分でもできるといいのですが。

(番組データ)

正解のない問題 日本テレビ
12/28 (木) 23:00 ~ 23:59 (59分)
【MC】劇団ひとり、佐藤栞里
【ゲスト】伊藤萌々香、小峠英二(バイきんぐ)、高田延彦、滝沢カレン
【キレモノ様】佐藤ねじ、たじまなおこ、松尾卓哉、山崎貴 ※50音順

(番組内容)

『何でもない日に花を買いたくなるアイデアを考えて下さい』世の問題に対し山崎貴監督CMクリエーター、各界の一流達が1週間考えたアイデアをガチプレゼン&実際に検証!

映画監督山崎貴、超有名CMの演出家、各界のキレモノ達に正解のない問題を出題!1週間考えに考え抜いたアイデアをスタジオでガチプレゼン!『何でもない日に花を買いたくなるアイデア』検証してみると心温まる意外な展開に!『バッティングセンターの新サービス』かつてないサービスにお客さんのテンション爆上がりでスタジオ爆笑!さらに!超大物歌手から持ち込まれた意外すぎる問題とは!?アイデア世界を救う…正解のない問題


昔の企画をそのままやれない現代のテレビ

現在、多くのテレビにはBSだけでなくCSチューナーが付いていて、有料でCSチャンネルを見ることができます。有料チャンネルを契約していなくても、テレビ局の方でスクランブルを解除することで、全てのBSアンテナを付けている人に放送を見せることができ、一年の中で数は少ないものの無料で番組が見られるキャンペーンを行なっていることがあります。

そんな中で、地上波を持つテレビ局が主導するCSチャンネルの中には、過去に地上波で放送された「伝説の番組」を再放送しているチャンネルがあります。そんな中で私が久しぶりに見ることができた懐かしくさらに面白かった番組として「天才たけしの元気が出るテレビ」(日本テレビ系)があります。

この番組の面白さはとにかくロケでのVTR作りにあり、今では大御所として腫れ物に触るようにテレビバラエティに出ることの多い「X JAPAN」も若かりし頃に出演して莫迦みたいな姿を晒していました。特に、「ヘビメタ」のコーナーの一環として、お客の減少で苦しんでいると番組に連絡した「やしろ食堂」の売り上げを立て直すために、「X JAPAN」のメンバーが自作の曲をひっさげてゲリラ的にその食堂でライブを行なった時には本当に腹が痛くなるほど笑ってしまいました。ネットで調べるとHIDEが加入して初めての仕事だったそうですが、店を壊したり火を吹いたり、食事をしているお客さんに目掛けて大声で「食えー!」と叫ぶライブは、まだ残っていればYouTubeで見られるかも知れませんので、当時のX JAPANが見たい方は探してみるといいでしょう。

番組ではオープニングトークの後に、ビートたけしさんの唯一の番組内ネタコーナーとして行なわれていたのが、「こんな○○はイヤだ!」という、かつてのツービートでの漫才ネタを彷彿とさせるかなり不謹慎な言葉も飛び出すコーナーでした。今回の「こんな世の中はイヤだ!」はそのコーナーを継承したものだと思われますが、様々な番組のエッセンスが入っていまして、長時間のスペシャル番組を作るのは大変だなあとしみじみ感じてしまいました。

というのも、番組名の「こんな世の中はイヤだ!」とし、視聴者からの投稿(少なくともテレビで募集しているのを見た記憶が無いので、インターネット経由で募集したものかも知れません)で「こんな医者はイヤだ!」という事で作った再現VTRはほぼ「さんま御殿」のノリで、最初のVTRには漫才コンビの「馬鹿よ貴方は」の平井ファラオ光さんがお医者さんに扮して出ていたのを確認したのですが(オフィス北野・俳優部のツイッターで「馬鹿よ貴方は」が出るという告知から裏取り済)、VTR出演者にはお笑い系の人達もいたのにその事については触れることもなく淡々と番組が進行していったのは、ちょっと悲しかったです。せめてたけしさんには、再現VTRで面白い事も言わず、淡々と演技をしているお笑い芸人さん達に突っ込んで欲しかったですが。

また、ネットのトラブルや日本にやってくる海外旅行客の旅行マナーについて、鈴木宗男さんまで出して主に中国をターゲットにして語るのは局の違う、そのまんま「TVタックル」のノリでしたし、車の事故のVTRにいたっては、海外のニュース映像としてすでにどこかで見たものばかりで、個人的にはそれほど新鮮さはありませんでした。とにかくそうしたごっちゃ煮的なエッセンスで番組を進行させようとしている中、コーナーとコーナーの間に入ってきたのが、懐かしの「こんな○○はイヤだ!」ネタで、実はこの番組のメインコーナーと言っても良かったのではないでしょうか。

最終的にはたけしさんの育った「足立区」を題材に「こんな足立区はイヤだ!」というネタをやりましたが、面白かったのは「災害義援金に30円しか集まらない」というネタがあり、そんな事はないだろうと視聴者を含む出演者が突っ込みを入れたところ、実は実際にスタッフが足立区を回り、恐らくコンビニのレジ前に置かれていた募金箱の写真を撮った上でしっかりと裏取りをしてネタをしていたことがわかり、本当に30円しか義援金が足立区では集まっていなかったのかと爆笑すると同時に、昔のように勝手な思い込みで面白い事を言ったら必ず苦情が入るから、ここまで裏を取った上でネタにするような方法しか今はできないのだろうなとも思えてきて、ちょっと笑えなくなりました。

元々、たけしさんは不謹慎な毒を吐くことで人気が出、見ている視聴者もそれを喜んで見ていたはずなのに、いつの間にか適当に毒を吐くような方法はテレビではやりにくくなってしまったということがあります。個人的には、このような番組もそれなりに楽しむことはできたのですが、今の若手芸人が大挙して出演する「お笑いウルトラクイズ」をぜひ見たいのですが、過去のものを放送する事はできても、昔やっていたことを現在に置き替えてそのままやるということができなくなってしまったのかなとも思えます。

テレビ自体は若者を中心にテレビ離れが言われ、それこそ有料のCS放送に加入して過去の伝説のバラエティ番組が見たいと思っている人もいるというのに、昔からテレビを見てきた者としても、「天才たけしの元気が出るテレビ」や「お笑いウルトラクイズ」のような番組を現代で復活させることのできないテレビというよりも社会的な状況というものに危機感を感じてしまいます。地上波がだめならBS日テレの深夜にテレビショッピングの間あたりにでも忍ばせて告知もなしにすれば新作を放送できるのではないかとも思うのですが。

(番組データ)

たけし&東野が叫ぶ「こんな世の中はイヤだ!」衝撃の病院&迷惑運転&(秘)飲食店潜入 日本テレビ
12/13 (水) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【MC】ビートたけし、東野幸治、桝太一(日テレアナウンサー)
【ゲスト】石原良純、柴田理恵、滝沢カレン、竹森現紗(弁護士)、夏木マリ、ブルゾンちえみ、山崎弘也 五十音順
【ロケ】児嶋一哉(アンジャッシュ)、小峠英二(バイきんぐ)、中岡創一(ロッチ) 五十音順

(番組内容)

ビートたけしと東野幸治の強烈タッグ!国民の不満を一刀両断!▼全国から告発されたトンデモ病院&飲食店に小峠、中岡、児嶋が潜入取材!▼鈴木宗男緊急参戦!マナーの悪い外国人をアメ横で徹底取締&スタジオで柴田理恵が中国人に大激怒!▼ネット通販トラブル&石原良純エロ動画での大失態が明らかに!▼驚愕足立区の真実!たけしがアノ伝説のコーナーで大暴れ!▼味見しない居酒屋のマル秘酒をザキヤマ&ブルゾンが決死の試食