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一つのアイデアで状況は変わるのか

世の中の全てが数学の計算問題のようにはっきりした答えが出れば簡単でいいのですが、なかなかそうはいかないところに、社会の中で生きて行く面白さがあると紋切り型の感想を述べてしまいそうですが、今回紹介する「正解の出ない問題」という番組はまさに何が正解かわからない中、現状をアイデアだけで変えていく事を目指し、当代一流のクリエイターや映画監督、アーティストが1週間という期限の中で知恵をしぼって出したアイデアを実地検証していく番組です。

今回プレゼンをした方々のアイデアはどれも凡人には思い付かないものでしたが、特に関心したのが先日東京オリンピック・パラリンピックの開会式と閉会式の演出を依頼したことでニュースになっていた映画監督の山崎貴さんのアイデアでした。普段花を買ったことがない人に向けて、花に目を付けて極端に指向性のあるスピーカーから女性の声で「私を買って」と情に訴えることで花を買ってもらうというアイデアだったのですが、このようにアイデアを文字に起こしていても、こんな事で都会に暮らす人々が足を止めてくれるのか(検証は新橋駅構内のお花屋さんで行なわれました)とちょっと莫迦にしていたのですが(^^;)、何とCMプランナーの方々の普通にプレゼンを受けて素晴らしいと思ったアイデアよりも多くの売上を叩き出したのが山崎さんの「喋る花」だったのです。

実際に検証のVTRを見たところ、声を出す役の人はお客さんから見えないように隠れていて、お店の人もあえてこの「喋る花」には触れず、お花屋さんの前を歩いている人にピンポイントに呼び掛けるだけで、この売上げには喋りかける人の力量もあるとは思うのですが、見ていてはたと気付いたのが、言ってしまうと「喋る花」と会話している人は日常生活を普通に送っている中に突然ファンタジーな世界に迷い込んでしまった錯覚を覚えたのではないでしょうか。
花が喋るという仕掛けがわかったとしても、花自体はそこにあるわけで、そこで改めて自分の想いを花に託して伝えようという風に考えることによって花が売れていく様子というのはちょっと凡人には考えられない状況でした。と、同時に花屋さんの前でこんな素敵なファンタジーを生み出す山崎さんの力量にも感心しました。もちろん、このアイデアを継続して普通のお花屋さんで行なうことは難しいですが、今後世界に向けて日本をアピールする場で、果たしてどんなアイデアを出すのか、今から楽しみになっただけでもこの番組を見た価値はあったと思います。

他のアイデアにも本当に感心することが多かったですが、今回のアイデアを出した人選がいかにもアイデアを出しそうという人に依頼することで意外性が出なかったのが残念といえば残念でした。というか、この番組を見ながら私はある番組の事を思い出していたのです。アイデアをどんな人に出させるかをプロデュースすることで、単に番組の内容が良くなるだけでなくその後に続く大きな状況の変化を生み出す可能性もあることを覚えていたのです。

その番組とは今はやっていませんがNHK総合で放送されていた「仕事ハッケン伝」という番組です。この番組は基本的にアルバイト程度にしか働いたことがないだろうと思われるお笑い芸人さんにきちんとした企業に研修に行ってもらい、普通に働くことの尊さを芸人さんが感じたり、働くことに対する認識の甘さを企業担当者から指摘されて涙を流す芸人さんがいたり、反対に企業側の人が単にテレビではふざけているとしか思わなかった芸人さんの思わぬ能力に驚いたりするなど、見ている方も様々な「ハッケン」がある番組でした。

そんな中で、この番組に出たことで新たな才能を多くの人に知らしめた芸人さんがいます。それがお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんが出演した回だったのです。当時のピースは相方の綾部さんの方が目立っていたように思え、又吉さんはサッカーが上手で北陽高校在学中にインターハイに出た経歴は知っていましたが、まさか企業の中でも十分やっていけるアイデアをひねり出す才能を持っているとはこの番組を見るまで全く意識していませんでした。

彼はローソンで働くことになり、何と「販売促進部」に配属されます。恐しいことに企画会議でアイデアを出すことを要求され、又吉さんはかなり追いつめられるのですが、会議に参加している社員もうなるような素晴しいアイデアを出し、そのアイデアは店頭のディスプレイに採用されることになります。テレビを見ている時には、これだけのアイデアを出せる才能があればお笑い芸人として煮詰まってもすぐにローソンが社員として迎えてくれるだろうと思っていましたが、お笑い芸人として煮詰まってしまったのは相方の綾部さんの方でした(^^;)。その時には執筆した小説が芥川賞を取るとは思いませんでしたが、その才能というのは業界では知っている人は多かったとは思うのですが、単にテレビのネタ番組を見ている人にとっては、この番組発で広く認知されたのではないかと思っています。

そんなこともあり、できれば当初はアイデアの「オチ担当」というようなポジションであっても、この人にアイデアが出せるのか? と思うような人にもオファーをして新たな才能を発掘するような方向でも面白いものになるのではと思いました。今回の番組を見ていると売上げが伸びるなら現実離れした人件費がかかっても面白ければいいという感じなので、職業として企業のためにアイデアを出している人でない人が出すようにした方が個人的には期待が持てます。

それにしても、アイデアを出すだけならお金もかかりませんし、そのアイデアで多くの人が幸せになるようなものが自分でもできるといいのですが。

(番組データ)

正解のない問題 日本テレビ
12/28 (木) 23:00 ~ 23:59 (59分)
【MC】劇団ひとり、佐藤栞里
【ゲスト】伊藤萌々香、小峠英二(バイきんぐ)、高田延彦、滝沢カレン
【キレモノ様】佐藤ねじ、たじまなおこ、松尾卓哉、山崎貴 ※50音順

(番組内容)

『何でもない日に花を買いたくなるアイデアを考えて下さい』世の問題に対し山崎貴監督CMクリエーター、各界の一流達が1週間考えたアイデアをガチプレゼン&実際に検証!

映画監督山崎貴、超有名CMの演出家、各界のキレモノ達に正解のない問題を出題!1週間考えに考え抜いたアイデアをスタジオでガチプレゼン!『何でもない日に花を買いたくなるアイデア』検証してみると心温まる意外な展開に!『バッティングセンターの新サービス』かつてないサービスにお客さんのテンション爆上がりでスタジオ爆笑!さらに!超大物歌手から持ち込まれた意外すぎる問題とは!?アイデア世界を救う…正解のない問題


昔の企画をそのままやれない現代のテレビ

現在、多くのテレビにはBSだけでなくCSチューナーが付いていて、有料でCSチャンネルを見ることができます。有料チャンネルを契約していなくても、テレビ局の方でスクランブルを解除することで、全てのBSアンテナを付けている人に放送を見せることができ、一年の中で数は少ないものの無料で番組が見られるキャンペーンを行なっていることがあります。

そんな中で、地上波を持つテレビ局が主導するCSチャンネルの中には、過去に地上波で放送された「伝説の番組」を再放送しているチャンネルがあります。そんな中で私が久しぶりに見ることができた懐かしくさらに面白かった番組として「天才たけしの元気が出るテレビ」(日本テレビ系)があります。

この番組の面白さはとにかくロケでのVTR作りにあり、今では大御所として腫れ物に触るようにテレビバラエティに出ることの多い「X JAPAN」も若かりし頃に出演して莫迦みたいな姿を晒していました。特に、「ヘビメタ」のコーナーの一環として、お客の減少で苦しんでいると番組に連絡した「やしろ食堂」の売り上げを立て直すために、「X JAPAN」のメンバーが自作の曲をひっさげてゲリラ的にその食堂でライブを行なった時には本当に腹が痛くなるほど笑ってしまいました。ネットで調べるとHIDEが加入して初めての仕事だったそうですが、店を壊したり火を吹いたり、食事をしているお客さんに目掛けて大声で「食えー!」と叫ぶライブは、まだ残っていればYouTubeで見られるかも知れませんので、当時のX JAPANが見たい方は探してみるといいでしょう。

番組ではオープニングトークの後に、ビートたけしさんの唯一の番組内ネタコーナーとして行なわれていたのが、「こんな○○はイヤだ!」という、かつてのツービートでの漫才ネタを彷彿とさせるかなり不謹慎な言葉も飛び出すコーナーでした。今回の「こんな世の中はイヤだ!」はそのコーナーを継承したものだと思われますが、様々な番組のエッセンスが入っていまして、長時間のスペシャル番組を作るのは大変だなあとしみじみ感じてしまいました。

というのも、番組名の「こんな世の中はイヤだ!」とし、視聴者からの投稿(少なくともテレビで募集しているのを見た記憶が無いので、インターネット経由で募集したものかも知れません)で「こんな医者はイヤだ!」という事で作った再現VTRはほぼ「さんま御殿」のノリで、最初のVTRには漫才コンビの「馬鹿よ貴方は」の平井ファラオ光さんがお医者さんに扮して出ていたのを確認したのですが(オフィス北野・俳優部のツイッターで「馬鹿よ貴方は」が出るという告知から裏取り済)、VTR出演者にはお笑い系の人達もいたのにその事については触れることもなく淡々と番組が進行していったのは、ちょっと悲しかったです。せめてたけしさんには、再現VTRで面白い事も言わず、淡々と演技をしているお笑い芸人さん達に突っ込んで欲しかったですが。

また、ネットのトラブルや日本にやってくる海外旅行客の旅行マナーについて、鈴木宗男さんまで出して主に中国をターゲットにして語るのは局の違う、そのまんま「TVタックル」のノリでしたし、車の事故のVTRにいたっては、海外のニュース映像としてすでにどこかで見たものばかりで、個人的にはそれほど新鮮さはありませんでした。とにかくそうしたごっちゃ煮的なエッセンスで番組を進行させようとしている中、コーナーとコーナーの間に入ってきたのが、懐かしの「こんな○○はイヤだ!」ネタで、実はこの番組のメインコーナーと言っても良かったのではないでしょうか。

最終的にはたけしさんの育った「足立区」を題材に「こんな足立区はイヤだ!」というネタをやりましたが、面白かったのは「災害義援金に30円しか集まらない」というネタがあり、そんな事はないだろうと視聴者を含む出演者が突っ込みを入れたところ、実は実際にスタッフが足立区を回り、恐らくコンビニのレジ前に置かれていた募金箱の写真を撮った上でしっかりと裏取りをしてネタをしていたことがわかり、本当に30円しか義援金が足立区では集まっていなかったのかと爆笑すると同時に、昔のように勝手な思い込みで面白い事を言ったら必ず苦情が入るから、ここまで裏を取った上でネタにするような方法しか今はできないのだろうなとも思えてきて、ちょっと笑えなくなりました。

元々、たけしさんは不謹慎な毒を吐くことで人気が出、見ている視聴者もそれを喜んで見ていたはずなのに、いつの間にか適当に毒を吐くような方法はテレビではやりにくくなってしまったということがあります。個人的には、このような番組もそれなりに楽しむことはできたのですが、今の若手芸人が大挙して出演する「お笑いウルトラクイズ」をぜひ見たいのですが、過去のものを放送する事はできても、昔やっていたことを現在に置き替えてそのままやるということができなくなってしまったのかなとも思えます。

テレビ自体は若者を中心にテレビ離れが言われ、それこそ有料のCS放送に加入して過去の伝説のバラエティ番組が見たいと思っている人もいるというのに、昔からテレビを見てきた者としても、「天才たけしの元気が出るテレビ」や「お笑いウルトラクイズ」のような番組を現代で復活させることのできないテレビというよりも社会的な状況というものに危機感を感じてしまいます。地上波がだめならBS日テレの深夜にテレビショッピングの間あたりにでも忍ばせて告知もなしにすれば新作を放送できるのではないかとも思うのですが。

(番組データ)

たけし&東野が叫ぶ「こんな世の中はイヤだ!」衝撃の病院&迷惑運転&(秘)飲食店潜入 日本テレビ
12/13 (水) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【MC】ビートたけし、東野幸治、桝太一(日テレアナウンサー)
【ゲスト】石原良純、柴田理恵、滝沢カレン、竹森現紗(弁護士)、夏木マリ、ブルゾンちえみ、山崎弘也 五十音順
【ロケ】児嶋一哉(アンジャッシュ)、小峠英二(バイきんぐ)、中岡創一(ロッチ) 五十音順

(番組内容)

ビートたけしと東野幸治の強烈タッグ!国民の不満を一刀両断!▼全国から告発されたトンデモ病院&飲食店に小峠、中岡、児嶋が潜入取材!▼鈴木宗男緊急参戦!マナーの悪い外国人をアメ横で徹底取締&スタジオで柴田理恵が中国人に大激怒!▼ネット通販トラブル&石原良純エロ動画での大失態が明らかに!▼驚愕足立区の真実!たけしがアノ伝説のコーナーで大暴れ!▼味見しない居酒屋のマル秘酒をザキヤマ&ブルゾンが決死の試食


テレビは直接権力に介入されると「褒め殺し」しかできないのか

テレビは真実を映し出し、さらにその真実を捻じ曲げようとする人達の姿も垣間見えるというテレビの特性が同時に出たのが本日の大相撲・元横綱の日馬富士関と伊勢ヶ濱親方(元・旭富士)が臨んだ記者会見とそれに関する報道でした。

私自身全ての記者会見の内容を見たわけではないのですが、多くの記者が質疑応答で質問する中では、どうしてもニュアンスの関係では同じ質問に聞こえてしまうこともあるでしょう。最後に登場すればするほどインタビューアーとしては不利になるのですが、その日の最後の質問者はテレビ朝日「報道ステーション」の富川アナウンサーでした。

彼が質問をしたところ、伊勢ヶ濱親方がその質問を遮った上で荒々しい口調で「さっき答えたから」と見ている側としては恫喝とも見える迫力で、親方が元横綱とのコンビネーションよろしくシャットアウトし、明らかにストレスがたまっているような親方が日馬富士関に対しての囁きの会話がマイクで拾われることによって、日常生活での伊勢ヶ濱部屋の中の様子や、日馬富士関が引退を余儀なくされる原因になった飲み会での様子も十分にテレビを見た人たちには類推できるような態度が出てきていました。もし、こんな感じで凄まれるとインタビューアーだけでなく、被害者と言われている力士も黙るしかないだろうなとも思いました。

更にびっくりしたのは全ての会見が終了した後でスタジオでのコメントを出す中一言も被害者の貴ノ岩に対する謝罪がなかったのに「いい会見でしたね」とか「横綱は潔い」というちょっと考えると「褒め殺し」ではないかと思ってしまうほど、彼ら相撲部屋関係者や協会に対する忖度がものすごく、よっぽど相撲ジャーナリストや友人を抱き込むだけの迫力があるのだろうなと思うと同時に、なぜこんなになるまで相撲協会は力士の暴走についてメスを入れられなかったのかと思ったりしました。ちなみに、同じ時刻に会見を中継していたフジテレビやTBSでも同じような状況があったというネット上で番組を見ていた人からの書き込みを見ましたが、この辺は今後の報道とも関わってくると思いますので、各社がどのようにこの内容を伝えていくのかを見て判断しようかと思います。

複数のメディアで同じような報道があると言われている中、唯一直接見させていただいた番組への感想ということで書かせていただきますが、テレビ報道の現場についても、今後この会見についてどのように伝えるのかということはあるものの、この「ミヤネ屋」での扱いというのは全く公平性を欠くことになっていて、恐らくこの番組と同じように日馬富士関サイドを擁護したメディアには、被害者の立場として警察に被害届を出した力士と貴乃花親方は、意地でも彼らに向けて喋ることはないだろうと思います。しかし、そういうメディアほどマイクを持って突進し、コメントが取れないとまた貴乃花親方へのバッシングを始めるのでしょう。

しかし、いくらテレビが今回の生中継の中で会見中にしでかした事をうまく編集して流したとしても、ネットでは手を替え品を替え動画のアップが拡散するでしょう。そして、その様子を見た方々は過去に「船場吉兆」の親子による会見で、女将さんの囁きをことさら強調した「公開いじめ」に近い事をしたことを思い出すかも知れません。テレビは当時船場吉兆の会見の様子を何回もビデオを流して批判しましたが、同じように日馬富士関と伊勢ヶ濱親方について批判をするところはあるでしょうか?

少なくとも、きちんと会見をノーカットで流した後に見たままの感想が言えるテレビでないと、力の強い人に関しては政治でもスポーツでも芸能でも全て長いものに巻かれて終わりになってしまいます。

とりあえずは会見でこっぴどく叱られてしまった「報道ステーション」の富川アナウンサーが涙を流して謝るのか、会見自体への批判を込めた報道をするのか注目したいところです。

(番組データ)

ミヤネ屋【日馬富士の胸中は?“心の師”が生激白!!▽速報!熊本女性市議】読売テレビ
11/29 (水) 13:55 ~ 15:50
出演 宮根誠司、林マオ、岸博幸、アンミカ、橋本五郎、竹村章(日刊スポーツ)

(番組内容)

▽何を思う?日馬富士!その胸中を“心の師”が生激白!事件後に語った進退&相撲への思い ▽速報!オェー熊本女性市議に動きが


日テレの「超能力」に関する「いいとこ取り」を敢えて指摘する

視聴率争いのトップを最近は走っている日テレの「いい加減的な面白さ」が濃縮されたような番組で、かなりぎりぎりのVTR出演する素人についてのツッコミがその面白さを支えているような感じもするのですが、放送される人にとってはたまったものではないでしょう。今回はだったら作る側もしっかり突っ込まれないようにしましょうよという話です。

同じような地域の取材や視聴者の投稿を元にしたネタの報告でVTRを作っていると、どうしても過去に他局や同局の番組でやったネタとかぶることもあります。今回出てきた品数の多いお好み焼き屋さんも、しれっと初突入のいうような感じで紹介していましたが、過去に見た事があるものを初めて取材が入ったかのように見せられても、「このネタ知ってる」で終わってしまいます。少なくとも番組制作をされる方は、そういった情報についても当然知っているはずですから、あえて知っていても知らないふりをして放送しているとしか思えない疑惑というのがこの番組については常につきまとってしまうのです。

そもそも、この番組で「再び」有名になった千葉のローカルタレントのJAGUARさんについて全国に紹介したのは、「ゆるキャラ」や「マイブーム」の名付け親としても有名なみうらじゅん氏であって、彼のテレビでの設定(JAGUAR星で生まれJAGUAR号で地球にやってきたなど)についてもみうらじゅんさんがそのストーリーに関与しているというのは公然の秘密であって業界の方なら知らないとは言えないでしょう。MCのマツコ・デラックスさんが千葉出身で見ていたということはあっても、初めてこの人を取リ上げるというような体で番組内紹介をするというのも何だかあざといと思ってしまったのでした。

最近ではそのJAGUARさんと千葉テレビの特番を行なったフリーアナウンサー田中美和子さんのことを、さもMCの2人が「あのおばさん誰?」というようなテンションで紹介していましたが、元東京ディズニーランドのアンバサダーということで千葉県とも大きな関わりがあり、長年ニッポン放送のお昼の番組「鶴光の噂のゴールデンアワー」でアシスタントを務めていて、多くのファンのいる有名人であることについては全くスルーしているのを見て、そんな番組のスルー疑惑は一層高まったのでありました。

そして、今回放送された視聴者からの投稿に答えるVTRの中で、「変な宿特集」というのがあったのですが、その中の一つとして出てきたのが、「その宿に泊まると誰でもスプーン曲げができるようになる」という宿を調べてきて欲しいという内容がありました。

私はテレビと関係なくこの宿の事は知っていたのですが、その宿は愛媛県松山市にある「松山ユースホステル」で、現在までこの宿が「ユースホステル」という形態を変えずに営業し続けているという事の方がびっくりしました。私自身はそのスプーン曲げを体験したことはありませんでしたが、宿主(昔から変わっていない)の集客を減らさないための営業努力という面は当然あるでしょう。

番組の中でその「誰でもできるスプーン曲げ」というものの種明かしをされてしまったのは残念ですが、そのVTRの中で流れていたのが、その昔「木曜スペシャル」という日本テレビの番組で、超能力者来たるということで日本に大ブームを起こした「ユリ・ゲラー」の出したレコード(現在はCDもあり)「ユリ・ゲラー」から「ムード」というBGMに乗せて彼が日本語で語っているだけの曲(?)でした。この曲をマツコ・デラックスさんが絶賛したのですが、それはそれとしてVTR上での松山ユースホステルの宿主の事をさもインチキのように紹介したのは、それは天に向かってつばを吐くような真似だと言わねばならないでしょう。

というのも、ユリ・ゲラーの曲げるスプーンこそ普通の人では曲げられない硬い材質のスプーンを使ってショーを行なっていたのだろうと思いますが、この番組をきっかけにして生まれたのが、家のスプーンをしこたま曲げてしまう「超能力少年・少女」の出現です。自宅だったり学校の給食で出たスプーンの中には軸が細く、子供の力でも簡単に曲がってしまうものもありました。その事に気付いた少年少女の中には、本当は力を入れて曲げているのに、さも超能力のように徐々に曲っていくように「演技」をすることで、自分にも超能力があるのだと周囲の大人に認めさせ、それでテレビにも出た人もいると思います。

その時、恐らくテレビ局スタッフの中には、これは明らかにインチキだと思っても、面白いからとそのままテレビでスプーン曲げをさせて、その子の人生を狂わせてしまった大人もいたはずではないかと思います。松山ユースホステルでの超能力ショーも、種を明かせば子供でも簡単に曲がるスプーンを一個500円で買わせて曲げさせるというたわいのないお遊びなのですが、そうした「インチキではないか?」と疑わせるには十分な宿の超能力ショーを全否定しながら、ユリ・ゲラーについては曲がらなかったら自分が調子が悪いからという言い訳を飲んでしまう(上記「ムード」という楽曲の中にそうした意味の言葉をご丁寧にユリ・ゲラー自身が日本語で喋ってくれています。YouTubeで「ユリ・ゲラー」と検索すれば誰でも聴けるので興味のある方は聴いてみて下さい。)日本テレビというのは、過去の番組制作への反省なしに今も番組を作り続けているのかと思ってしまいます。

(番組データ)

月曜から夜ふかし 日テレ
11/13 (月) 23:59 ~ 0:54
【MC】村上信五(関ジャニ∞)、マツコ・デラックス

(番組内容)

関ジャニ∞村上信五とマツコ・デラックスの2人がMC…世間で話題の件をあれこれ語り合うバラエティー

 


もしもワイドショーの司会者自らが文春砲の餌食になったら???

今回の題名は昔懐かしい「ドリフ大爆笑」のコント、「もしもシリーズ」にならって付けさせていただきました。普段の番組では週刊文春をはじめとする週刊誌やスポーツ新聞などで数々のスキャンダルが報道された場合、後追いで笑いのエッセンスなども入れながらスマートにその内容を伝えるフリーアナウンサーの宮根誠司さんですが、今回のスキャンダルは過去にあった「隠し子発覚」というような個人的なものではなく、読売テレビの看板番組である「ミヤネ屋」という自身の名前の付いた番組自体が無くなってしまう可能性があり、状況によっては宮根さん自身が窮地に追い込まれないとも限らない「フジテレビへの移籍問題」の報道を受けてのものです。

すでに宮根さんはフジテレビ日曜夜の「Mr.サンデー」という番組を持っていて、その事を言っているのではないかと思われる方も少なくないかと思いますが、フジテレビでは新たに始める予定の月曜から金曜まで夕方に放送される報道番組の司会としてヘッドハンティングしたのではないかと週刊文春は報じています。もしその仕事を宮根さんが本当に受けるなら、物理的に「ミヤネ屋」を続けることはできなくなります。

となると、「ミヤネ屋」という番組名は無くなることについて読売テレビとの話し合いはどうなっているのだとか、どうして大阪を裏切るような形で東京へ出て行ってしまうのかなど、「ミヤネ屋」を楽しみに見ている方々にとっては、報道が出てしまった以上、本人の口からはっきりと事の真相について話してほしいと思いながらこの日の放送を見ていたのではないでしょうか。
そうして始まった「ミヤネ屋」ですが、リアルタイム視聴したその内容は、以下のような項目で進んでいきました。

・オープニング 台風と天気の話題
・いしだ壱成(タレント)の二度目の離婚
・本田三姉妹揃ってフィギュアスケートで読売新聞のCM出演
・中国の宇宙ステーション地球落下の危機?
・少子高齢化や人口減少によって起こる可能性を指摘した恐ろしい「未来の年表」(ボードによる解説あり)
・日本テレビより最新ニュース
・「未来の年表」ネタの続き
・北朝鮮への対応とともに各党の安保法制のあり方を探る
・お天気コーナー エンディング

番組最初からしばらくは報道された話題に触れずに番組は進み、このまま最後まで触れないまま終わってしまうのかと思いながら見ていました。そして番組中盤の最新ニュースの最後に出てきたAI囲碁のコンピューターに関するニュースに触れる中で宮根さんは、今年3月まででミヤネ屋降板、4月から(フジ新番組が開始されるので)司会がAIを駆使したロボットになって「AI屋」として番組名が変わってしまうのではないかと文春砲を笑いに変えた後に、4月以降も宮根さんは「ミヤネ屋」を続けるということを明言しました。この発言を受ける形でアシスタントの林マオアナウンサーが、朝から電話が掛かってきて大変だったというような話をし、テレビの画面からでもほっとしている感じが伝わってきました。その場の状況から類推すると、この言葉をもって全くのデマであったというような形で番組は決着したように思えます。

しかし、普通に考えるとこのような宮根さんの対応はちょっとおかしいのではないかと思わざるを得ません。普通なら自分でも思ってもいないことを活字という形で番組開始直前に出されたのですから、例えば大阪を裏切って東京へ行くのかと宮根さんに対する悪い感情を持つ人が今回の報道で生まれてしまった可能性があります。今後、宮根さんならびに宮根さんの所属事務所が週刊文春編集部に対してどのような対応をされるかはわかりませんが、もし本当に根も葉もない話を記事にされたとしたら、宮根さんは自分の意見をテレビ上で出し、週刊文春の記事を書いた責任者に対して何らかのアクションをしなければおかしいのではないかと思うのです。

もし、週刊文春に対して何のリアクションも取らなかった場合、もしかしたらこの記事は本当で、すぐにではなくてもフジテレビに電撃的に移籍するというシナリオが起こる可能性はまだ完全に消えたわけではないとも思われます。何しろ、過去には「出馬は20,000%ない」と言いながらも大阪府知事選挙に出た橋下徹氏のケースもあります。今回は政治に関することでもありませんし、生き馬の目を抜くような芸能界の移籍の話でありますから、今回の言動をそのまま宮根さんが通すことで筋を通すのか、不義理をしてまで移籍に舵を切るのかということは、まだはっきりとはわからないということだけは確かなのではないでしょうか。

ともあれ、番組終了時には単なる週刊文春が間違った事を書いて発表したとしか思えない結末に落ち着いてしまった感があります。しかし文春が白旗を挙げてそのまま終わるのか更に「ミヤネ屋」で取リ上げざるを得ないような騒動になっていくのか、今後の状況に興味を持ってテレビを見ていくのも面白いのではないでしょうか。

(番組データ)

情報ライブ ミヤネ屋 ytv(大阪)制作
2017年10月19日(木) 13時55分~15時50分
宮根誠司、林マオ、手嶋龍一、住田裕子、春川正明、城下尊之(他)敬称略

(番組内容)

▽台風21号最新&さらに寒い ▽いしだ壱成何語った ▽少子高齢の未来に何が…話題本の著者生出演 ▽争点(4)外交・安保(他)