月別アーカイブ: 2019年3月

ドラマのリアリズムは現実にどこまで歩み寄るべきか

NHKの朝の連続テレビ小説の99作目「まんぷく」が終わりました。ここのところNHKでは大手企業やその関連する人物を主人公にした作品を多く作っていますが、この作品も日清食品グループの創始者夫婦と思しき人物を主人公にしたもので、今回の番組終了を機に日清食品グループがどのようなアプローチをするのか、そもそも一切ドラマ便乗の商法を行なわないのか、これを書いているうちはわからないので興味があります。

かつての朝ドラ「マッサン」の時は、日本全国でウィスキーブームが起き、そのためずっとウィスキーを好んで飲んできたような人にとっては特定の銘柄のウィスキーが入手が難しくなり、オークションで価格が上がるなど個人レベルでまでNHKがドラマで「ニッカウヰスキー」を取り上げたことによる影響が出ましたが、そういう状況が生まれるからこそ、どのような「事実に基いたフィクション」を作るかということが大事になってくるような気がするのです。

今回の「まんぷく」は日清食品が「カップヌードル」を作り、さらにそれが大成功して大団円ということになるのですが、ドラマのように歩行者天国での試食イベントだけで全国に広まったわけではありません。それこそ当時でも東京の歩行者天国というのは遠い存在で、一大プロモーションで「カップヌードル」という製品があり、自動販売機で売られているというところまでは知られたとしても、全国津々浦々のスーパーマーケットで売られるようになるには、歩行者天国でのキャンペーン後に起こったもう一つの大きな「事件」の産物で、結果的にカップヌードルには幸いしました。

実はこれにはドラマを制作したNHKも十分関わっているところなので、なぜ今回の脚本にその場面が出て来ないまま終わってしまったのか、かなり消化不良の印象があります。おばあちゃんの生前葬をやる時間があるなら、歩行者天国のくだりは前半に行なってしまい、最終回の一つ手前に「あの事件」を持ってきても良かったのではないかと思います。

ちなみに、歩行者天国でのキャンペーンは1971年11月で、その事件「あさま山荘事件」が起こったのが1972年の2月です。過激派が立てこもった「浅間山荘」の周辺は2月の気温がマイナス15度というとんでもない寒さで、差し入れのあらゆる食品がカチンコチンに凍ってしまい、作りおきしたおにぎりやお弁当という携帯食料では、酷寒の中ではまともに食べられないということが事件を生中継し続けたNHKのテレビを食い入るように見ていた全国の人々が知ることになったのでした。

そこで登場したのが「カップヌードル」でした。これなら犯人と対峙する機動隊も交代時間に食べられました。沸騰したお湯を注いで3分待ってすぐ食べるという、自分で調理し、自分で食べるタイミングを決定できる食品の有効性がきちんと伝わったことになります。本来コマーシャルは流せないはずのNHKで、カップヌードルを食べる姿が大写しになって流れたことで国民は商品の存在とセールスポイントを知り、大きな購入動機が生まれました。当時のテレビにとっては民放・NHKを合わせると現場中継を9割の人が見ていたというデータも残る中、広告費を出していない日清食品の一人勝ちで、実にNHKや他の食品メーカーからすると皮肉な結果になったという、テレビの歴史からするとかなり稀有な事件の主役がカップヌードルだったわけです。

実は最終週は、ナレーションだけでも事実として紹介されるのかなと思って見ていたものの、全く触れられずに、「チキンラーメン」や「カップヌードル」が売れるようになったのは今回の朝ドラヒロインのおかげですというような何か変な結論で終わらせるというのは、いくらフィクションとは言え無理がありすぎです。本当に日本の中でもわずかな地域で行なったキャンペーンだけで大ヒットになった? なんてことが本当なのかはちょっと考えればわかることでしょう。

たかがドラマにそこまでのリアリズムは必要ないと思う方もいると思いますが、それなら実在の人物で、さらに現在もテレビコマーシャルを民放局で放送している企業について利益を誘導するようなドラマ制作自体について、もう少し考えるべきでしょう。

(番組データ)

連続テレビ小説 まんぷく(151)[終]「いきましょう!二人で!」NHK総合
3/30 (土) 8:00 ~ 8:15 (15分)
【出演】安藤サクラ,長谷川博己,内田有紀,松下奈緒,要潤,大谷亮平,桐谷健太,瀬戸康史,岸井ゆきの,松井玲奈,呉城久美,中尾明慶,深川麻衣,牧瀬里穂,加藤雅也,松坂慶子,
【語り】芦田愛菜
【作】福田靖

(番組内容)

「まんぷくヌードルの価値が理解できるのは頭の柔らかい若者たちではないか」という福ちゃんの気づきをきっかけに、大勢の若者が集まる「歩行者天国」で、社運をかけてヌードルの大試食販売会をすることになりました。いよいよ勝負の日。誰もが成功を願う中、行き交う人々の反応は…。そして福ちゃんと萬平さんは、ある大きな決断をするのです。


番組で無視された長寿番組について

もはやこの番組は「芸能史」と歌っておきながら全く芸能史ではないジャンルをやるようになり、末期的症状に陥っていると見ます。それは、テレビの「長寿番組」を紹介するはずが、NHKの「のど自慢」や出演者(ビートたけし・所ジョージ・草野仁など)に忖度して、自局や出演者の冠番組を紹介するだけでなく、短命に終わった番組のVTRまで放送するようになってくると、もはやNHKでやる意味も、さらには「芸能史」と銘打って放送する意味も今回の場合はないような気がしますので、番組の名前を変えて続けた方がすっきりするのではないかと思うのですが。

そう私が思ったのはとある一つの長寿番組の存在がありました。番組ではテロップで番組名だけが紹介されたものの、具体的な内容については意図的に無視されたかに思えるのが、1977年から始まって40年以上経った現在まで続いている「テレビ寺子屋」(フジテレビ系列)という番組があります。全国ネットではあるものの、深夜や早朝というかなり番組的には見にくい時間に放送されているので、同じ長寿番組の中でもその存在をご存知の方はあまりいないのではないかと思いますが、それは様々な要因が重なって続いているのではないかと思われます。

この番組はフジテレビ系列で放送されたものの、フジテレビ制作の番組ではありません。静岡県がサービスエリアの「テレビ静岡」が制作した地方制作番組で、番組のスタイルも子どもの教育論について様々な講師の方を呼んで話してもらう収録を行ない、その内容をそのまま(当然番組の枠に収まるようにカットはあるのでしょうが)放送するという「教育論の講演会」そのもので、それ以上でもそれ以下でもないという番組なのです。

番組の収録はほとんど静岡県内を巡回するのみなのでシンプルと言えばシンプルですが、番組制作のスキルも技術もいらず、いるのは会場確保と講師の依頼ということだけで、同じ事を全国どのテレビ局(地方局を含む)でもできるわけですが、だからこそ、わざわざテレビ番組にしてまで自局で作るよりも、全国の中の一地方局に過ぎないテレビ静岡が作ったものをネットすることで、なかなか自局で制作して出すことの難しい「教育番組」を流すという大義を達成できるというメリットがあります。

つまり、これだけ「テレビ寺子屋」が全国ネットで続いている背景には、早朝でも深夜でも、とにかく「ドキュメンタリー」以外に、こういった真面目な番組を放送していきたいというテレビ局のニーズがあると考えられるわけです。
この番組が始まった当初は、いわゆる教育評論家と呼ばれる方が連続して講義をするというスタイルであったのですが、現在ではいわゆる旬の人に子どもの教育論についてという題でお話をお願いすることも多く、出演者によってはどんな話をするのかという興味があるので、事前のチェックはしていますが、逆に考えると様々な演出がうざいと考えた場合、講演者の人となりが出る喋りのみの番組というのは内容によってはかなり面白いものになる可能性もある気もします。

このブログでは度々、地方局の未来についてその現状を憂いた事について書いていますが、ある意味講演会にテレビカメラを持ち込んだだけの企画でも長寿番組として続く可能性があるわけですから、良いと思えるテーマを見付けたらそのテーマを追い続け、それを継続することで良い番組が作れるというケースも十分に有り得るという実例を示したことにもなると思います。興味がある方は以下に番組ページへのリンクを貼っておきますのでご覧になって下さい。

・テレビ寺子屋 番組ページ
http://www.sut-tv.com/show/terakoya/

(番組データ)

たけしのこれがホントのニッポン芸能史▽愛され続けて○年?長寿番組のヒミツに迫る NHK BSプレミアム
2019/03/20 21:00 ~ 2019/03/20 22:30 (90分)
【出演】ビートたけし,所ジョージ,草野仁,久本雅美,メイプル超合金,
【アナウンサー】久保田祐佳

(番組内容)

さすが長寿!思わず「へぇ~」なエピソード満載!「題名のない音楽会」はテレビ東京だった!?「3分クッキング」は全国5バージョンだった!?「のど自慢」は鐘ではなく…

「のど自慢」鐘ではなく「もう結構」だった!?「世界の車窓から」同じ語り出しで1万回!?「新婚さんいらっしゃい」椅子コケギネス!?大発見!長寿番組暗黒時代=テレビ最盛期だった!?たけし・所の短命番組が一周回って面白すぎる件!?「世界ふしぎ発見」第1回の草野仁が若すぎる件!スーパーヒトシくんは最初いなかった!?久本雅美の野望は「徹子の部屋」を…!?最長寿のど自慢の舞台裏に迫ったら爽やかな感動が…


時間が足りなくても伝えて欲しいこと

テレビというものは限られた時間の中で収録を行ない、さらにその内容を編集して放送時間の枠に当てはめる関係から、どうしても伝えたいことがなかなか伝わらなかったり、本当は大事な事が出演者のどうでもいい話の中に隠れてしまって出せなくなったのかもと思えることもあります。

今回の「1番だけが知っているSP」は、まさにそんな感じが極まった内容で、カードマジック対決にMLB元ニューヨークヤンキーズの松井秀喜選手へのロングインタビューという大きな企画がたて続けに流され、その中で放送された見に覚えがないのにコンビニ強盗の犯人にされて300日という長期勾留された冤罪事件については、内容自体を伝える時間および番組内でのコメンテーターがどのように考えたのかという事を伝える時間が足りなかったという印象を受けました。

もっとも、この事件についてのテレビの特集というのはすでにNHK総合が十分満足な内容のものを放送していました。2018年5月26日(土)午後9時から放送された「逆・転・人・生「えん罪・奇跡の逆転無罪判決」」がその番組で、NHKが作った再現ドラマなどのVTRを見ながら、実際に逮捕されて長い勾留を受け、結果的には無罪を勝ち取った土井佑輔さんが実際に出演されて、無罪判決が出たその後についてまで報告をされていました。

そうした予備知識があったから不満に感じたということがあったのかも知れませんが、事件のあらましから無罪を勝ち取るに至った経緯までは短い時間の中で十分に伝えていたと思います。ここでごく簡単に事件と裁判のあらましを紹介しておきますと、土井さんの自宅から徒歩3分のところにあるコンビニで強盗事件が起き、いきなり土井さん宅に警察が逮捕状を持ってやってきて、何の弁解もできないまま拘束されたことが事件の始まりでした。

なぜ警察はそこまで強硬に逮捕に至ったかと言うと、現場検証をした際に、過去に一度だけ警察に指紋を取られたことのある土井さんの「左手」の指紋がコンビニの自動ドアの店舗外側に付いていたことから、本人の犯行を証明する重要な証拠だとされたのでした。

ただ、後から母親が思い出したコンビニ強盗が起こったその日の行動は、とても土井さんが強盗を実行したのかと疑問のあるものでした。その日は深夜にテレビでサッカーの生中継があり、友人一人を土井さんは自宅に呼んでテレビ観戦していました。観戦中には土井さんは当時の彼女に電話したり(通話記録もあり)、事件が起きる15分前には友人のスマホカメラで土井さんが自分の部屋ではしゃぐ様子を撮影した写真が撮影時刻とともに残っていることを根拠に無罪を求めました。

しかし公判で検察は、歩いて3分でコンビニまで行けるので十分犯行は可能で、写真の撮影時間の偽装や、アリバイ作りのために写真を撮影した可能性もあるという、友人のアリバイ証言を取り上げない態度に終始しました。それ以上に土井さんがコンビニに残した指紋の存在が決定的だと思っていたとしか考えられません。

しかし、その指紋についても普通に考えるとおかしな点が見付かります。というのも、今回のコンビニ強盗事件の犯人がお店の自動ドアに指紋を残したとされる根拠の店内の防犯カメラに映った映像は、犯人が中から自動ドアをこじ開けるようにして右手をお店の外側のドアに出しながらドアの外側を「右手」で触っているように見えます。しかし、すでに紹介したように、犯人が触ったと言われているコンビニの外側にある自動ドアから出た土井さんの指紋は、彼の「左手」の指紋だったのです。同じ防犯ビデオで犯人の左手はだらっと下に下がっているように見えるので、その下がった手であえて左手で指紋を付けて走り去ることは考えにくいわけです。

しかし、このしごくまっとうな意見についても、「左手で触った可能性は0ではない」とし、あくまで現場に残された指紋という証拠が絶対で、それ以外の捜査は必要ないとすら言えるような反論を公判で行なったのでした(実際、ビデオを注意深く見ると犯人は逃走時に左手にはコンビニのレジから強奪した一万円札を握りしめていたので左手の指紋が自動ドアに付きようがないことがわかります)。

そんな中で、無罪への道を導く希望となったのが、公判でない時に検察官から言われたある言葉だったのです。何を言われたかと言うと、具体的な期間を示し、その期間中にコンビニの自動ドアを素手で触ったことはないか? という質問だったのです。この話を土井さんは弁護士にしたことで公判は動きました。すぐに弁護士は検察官が言ったというコンビニの防犯カメラの映像(裁判の証拠として提出されたもの)を証拠開示請求して認められ、その内容を土井さんの母親が確認したところ、事件の5日前に土井さんが確かにコンビニに入る際に「左手」でコンビニの自動ドアを触りながら入店する姿を発見したのでした。

この事実については、土井さんに質問した検察官か他の検察の職員か誰かが、実際に母親が発見したのと同じ映像を確認していて本人にした質問であると思えなくもありません。もし事件に疑問を持つ検察官が事件を担当していたら、そのビデオを発見した時点で起訴することは難しいとして釈放してもおかしくなかったでしょう。しかし実際は土井さんがかたくなに黙秘を貫いたため、300日も無実の罪で拘束され続けたのです。

無罪判決が出た後、驚くべきことに取り調べた警察官や担当検察官からの謝罪の言葉もなかったのですが、この事についてこの番組で言及されることはなく、その点については大いに不満を覚えました。さらにNHKの番組では土井さんがすぐに国と大阪府を相手取り国家賠償請求を提訴したものの、一審二審で敗訴し、2018年5月時点で更に上告していることを紹介していたのですが、本来今回の番組では、2019年3月現在はどうなっているのかということを報告するくらいはしてもいいだろうと思ったのですがその事にも触れませんでした。いかに企画が多く時間がないと言ってもあんまりなやり方です。NHKに遅れて同じ事をそのまま出すなら、実際に逮捕・尋問した警察署や担当の警察官に取材を申し込んで、NHK番組の後に何かあったのかというところまで他の内容を削ってでも出すべきだったのではないでしょうか。

ここまでの事件報道で一番気にかかるのは、警察の捜査は杜撰で冤罪の匂いを十分感じ取っていたにも関わらず、あえて裁判官の判断が出るまで自分からその事を言い出さなかった検察や担当検察官についても取材を申し込んでも良かったのではないでしょうか。どうせ「本件は裁判中のためコメントは差し控えます」という定番のコメントを出されることになると思うのですが、本人を直撃しテロップでその人の名前を出すくらいのことは公人であるのでしてもいいのではないか? と思えるのですが。もしかしたら警察や検察の報復を恐れているのという風にこんなやり方が続くなら考えてしまいそうです。

NHKの番組では、警察の違法捜査を訴える裁判を起こしても、9割が敗訴になる傾向にあるのだそうです。少なくともTBSでは紹介した土井さんが国家賠償について争っている裁判についてはきちんと取材して後追い報道して欲しいですし、他の局を含むマスコミ全体がもう少しきちんと後追い報道して欲しいというのが正直な気持ちです。

(番組データ)

1番だけが知っているSP全盲の世界No.1マジシャンが25歳天才日本人と対決! TBS
2019/03/18 21:00 ~ 2019/03/18 23:07 (127分)
【MC】 坂上忍/森泉
【ゲスト】 長嶋一茂、カンニング竹山
【パネラー】 北村晴男、黒沢かずこ(森三中)、吉村崇(平成ノブシコブシ)、ヨンア、小芝風花
【進行】 伊東楓(TBSアナウンサー)
【プロデューサー】谷沢美和・井上整・高宮望
【総合演出】竹永典弘

(番組内容)

▽世界NO.1マジシャンが再来日!衝撃の全盲マジシャン、リチャード・ターナー!
▽Mr.マリックが抜擢した日本人トップマジシャンと日米マジック頂上決戦!
▽目の前でカードが消える…25歳の天才日本人マジシャンテレビ初登場!
▽松井秀喜に禁断の質問…イチローのこと…唯一勝てなかったアノ男のこと
▽コンビニに行っただけで逮捕!?明日は我が身…北村弁護士激怒の衝撃冤罪事件!母の驚くべき行動が起こした大逆転裁判!


突然の最終回発表にも理解したい事

このブログにおけるTwellVの番組についての論評のほとんどが「チャリお遍路」ということからもお察しの通り、後発の放送局の作る独自番組としては面白く見られる貴重な存在であったのですが、番組スタートから一年間で無念の最終回になってしまいました。お遍路は足摺岬の金剛福寺で終了となり、お遍路結願まで50ヶ所を残しての番組終了というのは、見ている多くの人にとっても解せないものであるに違いありません。

もちろん、地上波でなくBSでもなかなか見られにくいBS12チャンネルという不利な放送局だけに、スポンサーが集まらないような事が実際に起こっていたとしたら、番組の続行は不可能になることは当然起こり得る話ではあります。

ただ、番組で小島よしおさんが「ファーストシーズンは終了です」と番組の再開に含みを持たせ、番組の公式ツイッターでも、「2ndシーズンに向けて皆さんの応援の声をお待ちしています」とのメッセージがあることから、もう二度と再開されないという話でもなさそうです。もし番組がそのまま続かないのがスポンサーの問題だとしたら、TwellVの営業の方々に頑張ってもらうしかないわけですが、番組のファンとしては春からのセカンドシーズン再開を期待しています。

ただ、今回の放送を最終回としてファーストシーズンを終了ということで番組終了したのは、別の理由があったのではないかということを個人的な想像になりますがこれから書かせていただきたいと思います。

ここまでいわゆる「遍路ころがし」と言われる「焼山寺」「鶴林寺」「神峯寺」という急坂をクリアしてきた二人ですが、特にロードレーサー初心者の狩野英孝さんの安全を考慮し、雨の降る中での坂道(特に下り)を避けるようなスケジュールで撮影をされてきたと思います。狩野英孝さんのブログを見ると、2月14日の更新で高知に行かれているようですので、そこまでは高知県の海岸沿いだということで、多少寒くても安全に走れていたと思いますが、それ以降の遍路道では別の危険が生じます。

それが四国の山の中に入った場合の降雪および凍結の問題です。車やバイクでお遍路する場合も、細心の注意をもってしても、特に下りでの走行では事故により命の危険がつきまといます。もし普通に番組を続けるとしても2月3月に降雪の恐れのあるロケは止めるべきで、今後岩屋寺や横峰寺などのさらなる遍路泣かせの遍路道を自転車で走らせる場合には、少なくとも桜の花が咲き道路の凍結の恐れのない時期までロケを我慢することが必要だと思われます。

今回の最終回を来週に再放送したとしても、新たなロケをする時間も余裕もないというのが正直なところではないかと、車ではありますが遍路道を一回りした身としては思います。それならば今後の遍路道を再検討して、さらにお二人のスケジュールをしっかり押さえた上であと何年かかっても無事に遍路道を回り切れるようにTwellVは最後まで責任を持つべきで、そのための最終回であったということを個人的には信じたいところです。

もし、お金やスポンサーの問題で番組が休止になったようなことが本当だとしても、視聴者の声というものをテレビ局やスポンサーは気にするものだと思いますので、「番組を見たい」という意志をネット上からでも発信することが大切だと思います。幸にも現状では出演者の不祥事があっての休止ではないわけですから(^^;)、そうした誘惑にも出演のお二人には気を付けていただきつつ、ぜひまた「チャリお遍路セカンドシーズン」でまたお会いしたいところです。

(番組データ)

小島よしお&狩野英孝のチャリお遍路 #24 [終] TwellV
3/17 (日) 19:00 ~ 19:55 (55分)
出演:小島よしお、狩野英孝

(番組内容)

芸能界きってのロードバイク乗りの小島よしおと、禊を済ませる理由が満載の狩野英孝が四国八十八ヵ所お遍路を自転車で巡ります。

旅を始めてから16日目、自転車でおよそ510キロを走行し37番札所「岩本寺」を参拝しました。38番札所「金剛福寺」まではお遍路最長およそ85キロの道のり。まずは腹ごしらえ!と、地元の高校生が考えた「カツオたたきバーガー」、偶然見つけたピザ屋の「キムチピザ」を食し一休み。お腹も満たされ機嫌を良くした狩野を待っていたのは、旅館までの理由なき激坂。

しかしその先にあったのは、絶景のお風呂と絶品の食事!!愚痴をこぼしたことを反省する狩野なのでした。そして二人は「金剛福寺」のある足摺岬へ!なんとそこで起きたこととは・・・!?


大間のマグロ漁師・山本秀勝さん父子の絆 その時二男は?

今回の番組のテーマは「絆」ということでしたが、若手漁師の南さん兄弟とともに最後に登場したのは番組の看板スターで、視聴者の方でも「今回はマグロが釣れた?」とつい気にしてしまう悲運の漁師・山本秀勝さんとその息子の山本剛史さんがお二人で協力してマグロを揚げたことが理由になっていると思われます。

毎回、番組の取材中にマグロは揚がるのだろうかとハラハラしながら見るのがこのドキュメンタリーの面白さだと思うのですが、何と今回は取材中に三匹ものまぐろを山本秀勝さんは獲りました。しかし、見ているこちらが期待していたマグロが揚がったのを祝うための「スーパーのお寿司」での夕食は今回もありませんでした。山本さんの気持ちとしては50キロ台、60キロ台、70キロ台と3匹トータルで100キロを超えても意味はなく、一匹で100キロ超えのマグロを獲らないとスーパーのお寿司でのお祝いは無しということのようでしたが、ちょっとそこで気になることがないわけではありません。

スーパーのお寿司なら、お惣菜とお刺身を合わせて買うより安く上がるのでは? とつい余計な事を考えてしまいますが、その辺は山本さんなりのこだわりということで、次回こそ自宅で一緒に暮らす二男といっしょにお寿司を頬張る姿というものを見たいという気になるから不思議ですが、この山本さんと二男との関係は良好なのか? ということも気になるのです。

まあこういうことは、山本さん一家からすると余計なお世話にしかなりませんが、漁師として着実に成長している長男の山本剛史さんとの「絆」は、番組の後半に親子で協力して(電気ショッカーが壊れた山本秀勝さんの元に助け船としてやってきた息子の剛史さんとの漁の様子が紹介され、さらにスーパーのお寿司は買って来ないのに、二人で協力してマグロを揚げた日の夜に近所の女の人のいるスナックには行き(^^;)、そこで長男の話をはにかみながらする姿というものが実に微笑ましく描かれていると思います。しかし、山本さんのもう一人の息子である二男については、同居しているにも関わらずほんのわずかの出演場面しかなく、一応廃品回収の仕事をしているものの、その際の親子の会話も紹介されず、その点がとても気になりました。

一般的なことで言うと、毎日が博打のようなマグロ漁師の世界に、すでに家庭がありお子さんもいる中で飛び込んだ長男の方が無謀で心配すべき存在ではあるのですが、全て自分の釣果ではないにしても今年も取材中に195キロのマグロを揚げた長男の剛史さんは、近い将来には漁師として一本立ちし、家族を養って行けるのではないかという気もしますが、陸の仕事に就いて生活も安定するはずなのに父との同居を続けている二男が今後どうなっていくのかというのが本当に気がかりになってしまうのです。

今回の山本秀勝さんの姿についても、船の中に潜って自分で船を修理している時についバールに頭をぶつけてしまうなど、テレビ的な面白さを滲み出しているという感じがするのですが、それは決して山本さんがテレビカメラを前にしても意識しないでその場その場で一生懸命に漁師の仕事を行なっているからこそ出る面白さであると思います。果たして二男はそうした父親の姿を見てどう思っているのでしょうか。年齢的なことから父親の事を軽蔑したり莫迦にするような事もあるかも知れませんが、このシリーズに最初に登場してから視聴者の話題を一気にさらい、現在も山本さんが出るからこの番組を見るという人がいるのは、一生懸命な生きざまの中からにじみ出てくる自然な面白さというものが不変で、今なおその輝きを失っていないことの表われでもあるのです。

山本さんの飼い猫の「ピコ太郎」についても、その生存を確認し、山本さんの不安な心を癒やす存在であるところに見ていて本当に微笑ましく思いました。テレビスタッフが、「もし今年になって猫を飼いだしていたら『ひょっこりはん』になっていた?」と聞いていましたが、山本さんは「ひょっこりはんなんて猫の名前じゃねえ」と至極まっとうに答えていて、そんなきちんと常識があり取材にも正面から応える人間としての素朴さがひどくなつかしく、また次回があるとこの番組を見てしまうんだろうなと思います。

テレビ局の方でもこれだけ山本秀勝さんにおんぶにだっこして番組の人気が出ているのですから、テレビに出しても恥ずかしくないようテレビ局がお金を出して山本さんの前歯をきちんと入れさせてほしいということを最後にお願いしておきたいと思います。

(番組データ)

マグロに賭けた男たち2019“絆” テレビ朝日
2019/03/16 18:56 ~ 2019/03/16 20:54 (118分)
【ナレーション】渡辺篤史

(番組内容)

青森・大間が「記録的な不漁」あの“悲運の漁師”山本秀勝さんは千載一遇のマグロとの格闘で体力が限界になり…電気ショッカーも故障で絶体絶命!その時…あの男が現れる!

【山本秀勝さん(65歳)~悲運の漁師!息子に見せる親父の意地~】

番組が17年追い続けているマグロ一本釣り漁師。2年前には、4年ぶりとなる100キロ超えの大物マグロを釣り上げた。だが今シーズンの大間は記録的な不漁!マグロは1日に1度現れるかどうか…。

それでも、こだわりのポイントでマグロ漁を続ける山本さんに、マグロのアタリが来た!しかし、千載一遇のマグロとの格闘の最中、なんと電気ショッカーが故障!さらに、体力も限界になり、絶体絶命の大ピンチ!その時…『あの男』が現れる!

【南芳和さん(34歳)~大間トップを争う男!若手ナンバーワン漁師~】

南芳和さんは『若手ナンバーワン漁師』として、大間でも名の知れた兄弟船の船頭。昨シーズンは、弟・竜平さん(25歳)と共に連日何本ものマグロを釣り上げてみせた!しかし今シーズンの大間は記録的な不漁。『若手ナンバーワン』でも例外ではない。

苦境を打開すべく、これまであまりやらなかった『苦手な漁法』に挑戦し、悪戦苦闘!弟・竜平さんも、尊敬してやまない兄の力になりたいと奮闘!巨大マグロを釣り上げる!

【泉健志さん(32歳)~船頭6年目のスゴ腕マグロ漁師!~】

山本さんの長男・剛史さんの心に火をつけた後輩、『もうひとりのタケシ』。 かつて1日に4本のマグロを釣り上げるなど、マグロ漁の実力はベテランをも凌ぐ勢い。5年前はサラサラの長髪だったが、今ではヒゲを蓄え漁師らしい風貌になり気合十分!しかし今シーズンは極度の不漁。健志さんは1カ月もマグロを釣り上げていない…。

2歳になった可愛い盛りの娘のため、プライドと意地をかけ巨大マグロを釣り上げる!


タレント頼みの地域創生は危険

過去には様々な芸能界・スポーツ界の薬物依存による麻薬使用による逮捕劇がありましたが、今回音楽ユニット「電気グルーヴ」の構成員で、俳優・タレントとして幅広く活躍していたピエール瀧こと瀧正則容疑者の逮捕というのは、私自身が現在も静岡市在住だったこともあり、かなりびっくりしました。

電気グルーヴの活動で海外公演をしていた時に使用していたという第一報がありましたが、テレビ中心のタレント業だけでなく、音楽関係の仕事など幅広くこなしていただけに、薬物の誘惑はかなり多かったのだろうと推測します。ただそれにしても、これで現在放送中の大河ドラマの撮り直しになるでしょうし、地方番組としては異例とも言える人気のあった静岡朝日テレビ(テレビ朝日系列)の冠番組「ピエール瀧のしょんないTV」も打ち切りで、将来的にも復活の見込みは消えたと言えます。

日本のテレビというのは現在ほとんど東京や大阪という大都市圏のテレビ局の製作した番組を地方でも流すようになっています。視聴者の方もキー局制作の番組と比べてつまらないと見られがちな地方制作の番組よりも、東京のテレビ局の作った番組の方を見たいという声が挙がるほどです。それがNHKを含む東京キー局のテレビ放送をインターネットでそのまま再配信すると、地方局を見る人がいなくなる事が問題だとして、今だにインターネットによるテレビ放送というものは実現していません。

そんな中で、地方のテレビ局において、現状に危機感を覚えた地方局が、東京の局が作る番組よりも面白い番組を作りたいという目的であの手この手で地方独自の番組が作られていますが、正直言ってその多くはおせじにも好んで毎回見ようとは思えないものです。そんな中で、多くの地方局が行なっているのが、全国区のタレントやお笑い芸人を出演させて地元のお店のPRをさせようという番組の多さです。これは、地元のテレビ局の収益がその土地の小さな企業やお店の払ってくれる広告料によって一部成り立っているということから、しょうがない所もあるのですが、「お店や企業の紹介」というコンテンツを動かせない分、その番組は全国区にはなり得ないというジレンマも抱えることになります。地元の視聴者に見てもらうために、出演者を自局のアナウンサー以外に求め、全国区で知名度がある人に出演してもらうことで興味を引き付けるという、まるで東京発の東京ローカルの番組をなぞるような番組が大量に発生する傾向にあるものの、それらの番組はあくまで地方限定の番組になることが歯がゆくもあるでしょう。

そこで、地元限定の番組からもう一つ抜け出すための方法として、全国区で知名度のあるタレントという条件に加えて、地元出身の人を起用し、地元の話題を全国に拡散させる効果を狙った番組作りをするという方法があります。
しかし、まさに今回容疑者となったピエール瀧の冠番組「ピエール瀧のしょんないTV」がそのやり方で作られた番組と言うことで、これまで静岡発の全国に売れる番組という評価もあったのに、まさにバブルで消えた泡のようにテレビ局も番組のホームページの存在を消すなど、一気に状況は変わってしまいました。

このように、カリスマ的な人物ありきということで作られた番組というのは、ここまでのトラブルでなくても、メインの出演者が体調を崩して長期離脱なんていうことにでもなったらすぐに行き詰まってしまうことになりかねません。番組がうまく回っているうちは番組も作りやすく、人気も出ていいことずくめのようですが、今回のケースでもこれで静岡発の全国に向けたバラエティ番組が無くなってしまうことによる関係者の落胆は相当のものでしょう。

現在のテレビはたとえ東京キー局であっても有名なタレントを出してお店めぐりとか観光地のレポートをするような変わりばえのしないものばかりで、逆に有名なタレントを出すことのできないテレビ東京の番組に評価が与えられるような状況も一方ではあります。今後、地方局が全国に向けた番組を作るような場合、やはり安易に外から有名タレントを連れて来てその人の魅力による番組作りをするよりも、地方の何を全国に発信したいのかという、コンテンツについてじっくりと考えて出演者も全国的には知名度のない地元の人をスターに押し上げるくらいの心意気が欲しいものです。

地方局の全国区になった番組ということで言うと北海道HTBの「水曜どうでしょう」がありますが、この番組は大泉洋さんだけに依存しているわけではなく、TEAM NACSという劇団で活動しているメンバーが道内のTVバラエティに出演したことで徐々に北海道から全国に向けて浸透していきました。誰かにカリスマ的な影響力があるのではなく、メンバー一人一人の実力もあるので、たとえ一人が長期離脱したとしても番組自体が消えることもないでしょうし、お互いに協力し合っていくこともできます。さらに、道内から新たな人気者を生み出すような形での進化も期待することができます。

地元の視聴者としては、「ピエール瀧のしょんないTV」が休止することで木曜深夜の楽しみが減るのは寂しいですが、そういった状況を含めて受け取め、新たな展開を待ちたいと思います。このままでは東京のテレビ局と比べて地域のテレビ局発の情報は埋もれ、なかなか全国に浸透しなくなってしまうと思いますので、関係者の方には全国に向けた面白いバラエティを作る心意気をぜひ見せていただきたいと切に思います。


ネット実況までテレビが誘導する節操の無さ

まず、2018年の日本映画の話題作「カメラを止めるな!」をノーカットでこんなに早く放送してくれた日本テレビの英断には感謝します。製作費が少なくて宣伝もなかなかできない映画というのは人が見に来る可能性も少ないので、どうしても人の集まる首都圏や日本の主要都市でのロードショーに限られ、いわゆる田舎ではなかなか見ることができません。さらにインターネットでも映画を見ながら隠れて録画し、その内容をそのまま動画サイトにアップすれはたちまち「映画泥棒」で捕まってしまいますので、日本ではそんな危険をあえて犯す人はいないでしょうし、テレビで放送されるのを気長に待つしかない人達がいます。そんな中でこれだけ早いタイミングでテレビ放送したのは、これから説明するインターネットと連動した企画をからめたテレビ局の思惑があったからこその事でしょう。

マイナーながらその映画の名前は多くの人に知られている「カメラを止めるな!」ですが、今回の放送では劇場で見た人でも、今回が初見である人にも楽しめるように、副音声で出演者の方々がネタバレや撮影裏話をすることにより、主音声と副音声で見る人の層を分ける試みがされていました。仲間うちで見た人は、もう一回見る際にはいちいち解説を付けて見ることができるわけですから、多くの人が副音声で見たのではないかと思われます。

さらに、姑息だと思ったのは生放送と同時に様々なネットメディアで生配信もされたのです(細かい内容は「番組内容」の項を参照してください)。これは、ある程度ネットを楽しみながらテレビを見ている方にはおなじみだと思いますが、ネットメディアを使って多くの人とともに実況しながらテレビを見ることを楽しみにしている人への配慮ということになるでしょう。こうした「実況民」を増やすことは、テレビ局にとってはコマーシャルを含めて全ての内容を見てくれる人が増えるということになりますので、スポンサーに対しての大きなアピールになります。逆に録画で見る人が増えるとコマーシャルは飛ばされてしまう傾向になるので、スポンサーからの評価は低くなるでしょう。そういう事を避けるために、テレビ局が積極的にネットによる実況を煽る行為というのがここまで露骨に出た例というのは、今回がかなり顕著だったのではないでしょうか。

個人的にはこれはテレビ局の出した一つのネット対応の一つの方法だと思えますが、ネットと正面からぶつかることを避け、「ながら視聴」を推奨する方法というのは、ネットユーザーからすると当り前のことで、あえてテレビ局にとやかく誘導されるものではないと思う方もいるでしょう。逆に言うとそこまでテレビ局は追い詰められていて、本来、テレビ局とは何の関係もない(普通は広告会社やテレビ局などがその後のDVDリリース、さらにはテレビでの放映までを見越して実行委員会形式で作ることが多い)話題の映画を引っぱってくることで視聴率争いに勝ちたいのかと思ってしまいます。

その反面、4月からは2時間サスペンスのドラマ枠が消え、相変わらず残っているテレビドラマは今回の「カメラを止めるな!」とは正反対の大手事務所からのタレントを出演させることを目的にした(当然そうして起こった人気によって多くの企業とのタイアップを狙っているのでしょうが)ドラマ作りがメインになってしまっています。まさにテレビとそれを利用する芸能プロダクションにとって、そんな構造とは無縁の映画が放送され、自分達の今までやってきた矛盾が明らかになった放送でもあったよううな気がしてなりません。

ただ、そんなテレビの現状をあざ笑うかのように本作は大変面白く、無名の俳優にも思い入れ感が出てくるというのも面白いものです。現在の画像機器の進歩によって、一眼レフデジカメの動画機能でもそこそこの映像が録れ、さらに録音についても気軽に高音質のハンディタイプのレコーダーが入手できるので、今のテレビマンにも志さえあれば、人気俳優に依存せずアイデアだけでも話題作が作れる環境は整っています。今回の放送がそんな機運を盛り上げることに役立ってくれればこれからのテレビも面白くなると思うのですが。

(番組データ)

金曜ロードSHOW!「カメラを止めるな!」完全ノーカット早くもテレビ初放送 日本テレビ
2019/03/08 21:00 ~ 2019/03/08 23:04 (124分)
【監督・編集】上田慎一郎
【脚本】上田慎一郎
【音楽・作曲】鈴木伸宏&伊藤翔磨、永井カイル(ZIPANG ENTART)
【出演者】<日暮隆之>濱津隆之<日暮真央>真魚<日暮晴美>しゅはまはるみ<神谷和明>長屋和彰<細田学>細井学<山ノ内洋>市原洋<山越俊助>山崎俊太郎<古沢真一郎>大沢真一郎<笹原芳子>どんぐり(竹原芳子)<吉野美紀>吉田美紀<栗原綾奈>合田純奈<松浦早希>浅森咲希奈<松本逢花>秋山ゆずき<谷口智和>山口友和<藤丸拓哉>藤村拓矢<黒岡大吾>イワゴウサトシ ほか
【副音声解説進行】森圭介(日本テレビアナウンサー)

(番組内容)

日本アカデミー賞優秀賞8部門受賞★今年度最大の話題作!製作費300万円の作品がクチコミで大ブームに!絶賛する芸能人も続出!最後まで見れば笑って元気になれる大傑作

ある山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影が行われていた。クライマックスのシーンで監督がなかなかOKを出さず撮影は難航中…そんな中、建物の外では様子がおかしくなったカメラマンが助監督に襲い掛かっていた!?異例の大ヒットを記録した、これまで誰も見たことがない最高のエンターテインメント作品★放送中は監督と主要キャスト4名が副音声で映画の解説を生で実況中継!撮影の裏話や(秘)エピソードなど生トークをお楽しみ下さい!

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▼監督と出演者による生解説の様子は、番組公式Twitter、番組公式Facebook、日テレ公式youtube、ニコニコ生放送で生配信します!


技術的には十分可能な「国会中継延長のサブチャンネル化」だが

2019年3月5日に地上波のNHK総合チャンネルで放送されていた「国会中継」は午後6時までで終了し、定時のニュースへと移行しました。番組の編成上の都合とは言え、国会での審議というのはスポーツ中継よりも国民に伝えなければならない情報だということは多くの人が一致する見解だと思いますが、NHKではサブチャンネルでの中継継続をしないで、深夜などに中継録画(ラジオの場合は録音)で残りを放送するという形を崩していません。

これは、放送技術の発達にともなってテレビが変わると地デジに変わる時に相当宣伝されたことと反するのではないかという気がしていて、NHKの真意を計りかねる思いを多くの人が抱いているのではないかと思います。

サブチャンネルの取扱について、スポーツ中継では主にNHKで頻繁に利用されているにも関わらず、民放ではほとんど利用されていないという問題もあります。ただこれは、定時の番組の裏に継続するスポーツを持ってくることによって、そのサブチャンネルでのコマーシャルはどうするのか? また、当初予定されていた番組のスポンサーがサブチャンネルを多くの人が見ることによって、広告効果が上がらなかったと言われたらどうするのかというような、民放の経営基盤を揺るがすかも知れない大きな問題をはらんでいます。しかし、最近ではスポーツ中継を延長するよりも、ドラマやバラエティを定時に見たいという人も少なからずいるため、今後はいい具合の棲み分けによって民放でのサブチャンネルの活用がうまくできるようになって欲しいと思っています。

さて、改めてスポンサーの影響のないNHKでの国会中継におけるサブチャンネルの扱いについて考えてみます。実に皮肉な話ですが、テレビが今でもアナログ放送だったら、現在の録画中継で十分だというところで話は終わっていたのですが、今後もNHKが同じような形を続けていくと、違ったところでの影響が考えられます。

ご存知の方も多いでしょうが、注目の国会質疑についてはインターネットテレビのAbemaTVで緊急中継を続ける場合もありますし、通常の国会中継の場合ではYouTubeのチャンネルで中継されています。つまり、今までテレビの方を見ていた人がネットの方に移動し、そのままテレビの方に戻ってこなくなってしまう可能性をNHKの中の人は考えたことがあるのでしょうか。2019年の映画の祭典アカデミー賞では、初めてビデオオンデマンドによる配信をしているNetflixが製作した映画が受賞したことでもわかるように、テレビと映画がタッグを組んで進めるビジネスモデルにも影響がこれから出てくるのではないかとすら思います。

そのNHKも、近い将時には総合テレビの内容をネットで同時配信しようとしているのですが、確かに停電でテレビが見られなくなったり、大きな災害時にはネットで配信する意義はあるかと思いますが、途中で打ち切られる様々な中継の続きを見たい人は、そのサイトから去られてしまう可能性をはらんでいるということも確かでしょう。

最近のスマホの中にはテレビのフルセグ(サブチャンネルを見ることが可能)を搭載している機種もありますので、いざという時には高速クーポンを消費するネット配信よりも、サブチャンネルを活用して様々な情報を流してくれる放送局があれば、スマホでテレビを見る人も増える可能性すらあると思っているのですが、今の状況ではそんな事も期待できないのではないでしょうか。