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10代の世代にテレビ時代劇をどうすれば見てもらえるか

今回主演した山本耕史さんは、NHKの大河ドラマや、単発の時代劇枠で主役を務めて人気のあるある意味無難な配役で、脇を固める人達もバイプレーヤーが揃っていて、民放での時代劇を何とか復活させようとする作り手の意気込みが感じられる番組だとまずは感じました。ただ、そのNHKでもいわゆるCSの「時代劇専門チャンネル」を契約して見るような人からすれば邪道とも言える10代から20代に人気のアイドルや俳優をキャスティングしたり番組テーマ曲を流したりして、若年層の引き付けに必死である中、BS朝日が行なった手は2つありました。

後に名奉行と呼ばれ、同名のテレビシリーズはTBSの作ったそのままの台本と音楽でNHKがキャスティングを代えただけで再ドラマ化した大岡越前(忠相)に関係する町娘として登場したのがAKB48の元メンバー渡辺麻友さんで、番組中のツイートの時点で「まゆゆ(渡辺麻友さんの愛称)」見たさにこの番組を見ている人がいることを示していました。こうした手法は、とにかく「人」を見るためだけでもいいから時代劇を見てもらいたいというスタッフの気持ちを感じることができました。

これは放送翌日の日本テレビ「メレンゲの気持ち」に親子で出演していた高橋英樹・真麻さんが語る中で高橋英樹さんの言っていたこととかぶる感じでした。英樹さんがいくら時代劇のスターと言っても、娘の真麻さんにとっては自分の好きなジャニーズのタレントと一緒に出ないので、友達に話しても自分の父親のテレビでの活躍を知らないと真麻さんが訴えたところ、すぐに英樹さんは恐らくバラエティ番組だと思いますがSMAPと共演することで自分の存在を娘に見せつけるだけでなく若い人の興味を時代劇に向けさせようと思ったのでしょう。時代劇好きな人にとっては10代20代のアイドルに時代劇のスターがわざわざ歩み寄ることはないだろうと思うかも知れませんが、すでに今回のようなスペシャル番組でしかテレビでの時代劇は見られないという状況を作ったのがそうした思い上がりとは言いませんが、自らファンを獲得する努力を怠った結果だったのではないかという反省があったことは確かでしょう。

恐らくBS朝日では、現在夕方に再放送している松平健主演の「吉宗評判記 暴れん坊将軍」のレギュラー番組での復活を目指しているのかも知れませんが、そのためには毎週続けて見てくれるコアなファンの中に若い世代を取り込んでいかないとだめだという気持ちがあるのでしょう。そうした事のためにもう一つ考えたのが、時代劇が好きでないと良くわからない登場人物同士の因縁や設定などをその都度解説しながらドラマを進めていくことでした。

今回はその解説役を落語家の林家三平さんが行なったわけですが、過去にTBSの「水戸黄門」でのレギュラー主演の経験があり、女優の国分佐智子さんとの結婚のきっかけも水戸黄門での共演だったということもあり、それなりに時代劇復活のために想いはあるのかも知れません。ただ、このキャスティングが10代の若者に刺さるのかどうかということも考えて欲しかったのは私だけでしょうか。10代20代にも良いイメージが有り、学校の歴史の授業のようにいかつくない状態で設定を理解させるようなキャスティングができれば、意外と歴史について興味がある若い世代を引き付けることは可能だと思うのですが。三平さん自体をディスる気は毛頭ありませんが(^^;)、何もかも時代劇を後世に残すためです。それこそ、時代劇出演経験はないものの若手の中で人気のある俳優・女優さんに解説をさせるとか、何とかして時代劇に興味を持つ人の幅を広げる試行が大切ではないかと思います。

もし今後、今のキャストで「吉宗評判記 暴れん坊将軍」として、まだまだ主要なキャストはいます。町火消のキャスティングもそうですが、その中で新たな人材も発掘しながら特に新しい「悪役」についても今有名な人を使うだけでなく、新たなシリーズから知名度が上がるようになれば、その時には世代問わず世に知られるようになり、時代劇の復活の芽も出てくるのではないかと思うのですが。

(番組データ)

4K大型時代劇スペシャル 「紀州藩主 徳川吉宗」
2019/02/08 19:00 ~ 2019/02/08 21:54 (174分)BS朝日
【脚本】長谷部幕臣王
【監督】濱龍也
【出演】山本耕史、渡辺大、渡辺麻友、芦名星、戸塚純貴、正名僕蔵、梶原善、津田寛治、宮崎美子、小野武彦、吹越満、中村梅雀 (他)
【解説】林家三平

(番組内容)

主演・山本耕史のほか豪華キャストが集結!徳川吉宗が若き紀州藩主だった時代の新たな吉宗像を描く!!紀州を狙う影の正体を探るため、身分を隠し調査を始めた吉宗は…。

時は宝永2(西暦1705)年、5代将軍徳川綱吉の治世。父、兄が相次いで亡くなり、21歳の若さで徳川御三家・紀州家藩主の座に就いた吉宗。綱吉に招かれた御前試合観覧の場で、のちに大岡越前となる大岡忠相と出会う。その頃、紀州の用人を狙う刺客が吉宗の家来を次々に襲っていた。藩主交代で不安定な紀州家を狙った、何者かの策略か。家来・小次郎からそれを聞かされた吉宗は、紀州の一般藩士を装って市中で調査を始める。