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テレビは直接権力に介入されると「褒め殺し」しかできないのか

テレビは真実を映し出し、さらにその真実を捻じ曲げようとする人達の姿も垣間見えるというテレビの特性が同時に出たのが本日の大相撲・元横綱の日馬富士関と伊勢ヶ濱親方(元・旭富士)が臨んだ記者会見とそれに関する報道でした。

私自身全ての記者会見の内容を見たわけではないのですが、多くの記者が質疑応答で質問する中では、どうしてもニュアンスの関係では同じ質問に聞こえてしまうこともあるでしょう。最後に登場すればするほどインタビューアーとしては不利になるのですが、その日の最後の質問者はテレビ朝日「報道ステーション」の富川アナウンサーでした。

彼が質問をしたところ、伊勢ヶ濱親方がその質問を遮った上で荒々しい口調で「さっき答えたから」と見ている側としては恫喝とも見える迫力で、親方が元横綱とのコンビネーションよろしくシャットアウトし、明らかにストレスがたまっているような親方が日馬富士関に対しての囁きの会話がマイクで拾われることによって、日常生活での伊勢ヶ濱部屋の中の様子や、日馬富士関が引退を余儀なくされる原因になった飲み会での様子も十分にテレビを見た人たちには類推できるような態度が出てきていました。もし、こんな感じで凄まれるとインタビューアーだけでなく、被害者と言われている力士も黙るしかないだろうなとも思いました。

更にびっくりしたのは全ての会見が終了した後でスタジオでのコメントを出す中一言も被害者の貴ノ岩に対する謝罪がなかったのに「いい会見でしたね」とか「横綱は潔い」というちょっと考えると「褒め殺し」ではないかと思ってしまうほど、彼ら相撲部屋関係者や協会に対する忖度がものすごく、よっぽど相撲ジャーナリストや友人を抱き込むだけの迫力があるのだろうなと思うと同時に、なぜこんなになるまで相撲協会は力士の暴走についてメスを入れられなかったのかと思ったりしました。ちなみに、同じ時刻に会見を中継していたフジテレビやTBSでも同じような状況があったというネット上で番組を見ていた人からの書き込みを見ましたが、この辺は今後の報道とも関わってくると思いますので、各社がどのようにこの内容を伝えていくのかを見て判断しようかと思います。

複数のメディアで同じような報道があると言われている中、唯一直接見させていただいた番組への感想ということで書かせていただきますが、テレビ報道の現場についても、今後この会見についてどのように伝えるのかということはあるものの、この「ミヤネ屋」での扱いというのは全く公平性を欠くことになっていて、恐らくこの番組と同じように日馬富士関サイドを擁護したメディアには、被害者の立場として警察に被害届を出した力士と貴乃花親方は、意地でも彼らに向けて喋ることはないだろうと思います。しかし、そういうメディアほどマイクを持って突進し、コメントが取れないとまた貴乃花親方へのバッシングを始めるのでしょう。

しかし、いくらテレビが今回の生中継の中で会見中にしでかした事をうまく編集して流したとしても、ネットでは手を替え品を替え動画のアップが拡散するでしょう。そして、その様子を見た方々は過去に「船場吉兆」の親子による会見で、女将さんの囁きをことさら強調した「公開いじめ」に近い事をしたことを思い出すかも知れません。テレビは当時船場吉兆の会見の様子を何回もビデオを流して批判しましたが、同じように日馬富士関と伊勢ヶ濱親方について批判をするところはあるでしょうか?

少なくとも、きちんと会見をノーカットで流した後に見たままの感想が言えるテレビでないと、力の強い人に関しては政治でもスポーツでも芸能でも全て長いものに巻かれて終わりになってしまいます。

とりあえずは会見でこっぴどく叱られてしまった「報道ステーション」の富川アナウンサーが涙を流して謝るのか、会見自体への批判を込めた報道をするのか注目したいところです。

(番組データ)

ミヤネ屋【日馬富士の胸中は?“心の師”が生激白!!▽速報!熊本女性市議】読売テレビ
11/29 (水) 13:55 ~ 15:50
出演 宮根誠司、林マオ、岸博幸、アンミカ、橋本五郎、竹村章(日刊スポーツ)

(番組内容)

▽何を思う?日馬富士!その胸中を“心の師”が生激白!事件後に語った進退&相撲への思い ▽速報!オェー熊本女性市議に動きが


もしもワイドショーの司会者自らが文春砲の餌食になったら???

今回の題名は昔懐かしい「ドリフ大爆笑」のコント、「もしもシリーズ」にならって付けさせていただきました。普段の番組では週刊文春をはじめとする週刊誌やスポーツ新聞などで数々のスキャンダルが報道された場合、後追いで笑いのエッセンスなども入れながらスマートにその内容を伝えるフリーアナウンサーの宮根誠司さんですが、今回のスキャンダルは過去にあった「隠し子発覚」というような個人的なものではなく、読売テレビの看板番組である「ミヤネ屋」という自身の名前の付いた番組自体が無くなってしまう可能性があり、状況によっては宮根さん自身が窮地に追い込まれないとも限らない「フジテレビへの移籍問題」の報道を受けてのものです。

すでに宮根さんはフジテレビ日曜夜の「Mr.サンデー」という番組を持っていて、その事を言っているのではないかと思われる方も少なくないかと思いますが、フジテレビでは新たに始める予定の月曜から金曜まで夕方に放送される報道番組の司会としてヘッドハンティングしたのではないかと週刊文春は報じています。もしその仕事を宮根さんが本当に受けるなら、物理的に「ミヤネ屋」を続けることはできなくなります。

となると、「ミヤネ屋」という番組名は無くなることについて読売テレビとの話し合いはどうなっているのだとか、どうして大阪を裏切るような形で東京へ出て行ってしまうのかなど、「ミヤネ屋」を楽しみに見ている方々にとっては、報道が出てしまった以上、本人の口からはっきりと事の真相について話してほしいと思いながらこの日の放送を見ていたのではないでしょうか。
そうして始まった「ミヤネ屋」ですが、リアルタイム視聴したその内容は、以下のような項目で進んでいきました。

・オープニング 台風と天気の話題
・いしだ壱成(タレント)の二度目の離婚
・本田三姉妹揃ってフィギュアスケートで読売新聞のCM出演
・中国の宇宙ステーション地球落下の危機?
・少子高齢化や人口減少によって起こる可能性を指摘した恐ろしい「未来の年表」(ボードによる解説あり)
・日本テレビより最新ニュース
・「未来の年表」ネタの続き
・北朝鮮への対応とともに各党の安保法制のあり方を探る
・お天気コーナー エンディング

番組最初からしばらくは報道された話題に触れずに番組は進み、このまま最後まで触れないまま終わってしまうのかと思いながら見ていました。そして番組中盤の最新ニュースの最後に出てきたAI囲碁のコンピューターに関するニュースに触れる中で宮根さんは、今年3月まででミヤネ屋降板、4月から(フジ新番組が開始されるので)司会がAIを駆使したロボットになって「AI屋」として番組名が変わってしまうのではないかと文春砲を笑いに変えた後に、4月以降も宮根さんは「ミヤネ屋」を続けるということを明言しました。この発言を受ける形でアシスタントの林マオアナウンサーが、朝から電話が掛かってきて大変だったというような話をし、テレビの画面からでもほっとしている感じが伝わってきました。その場の状況から類推すると、この言葉をもって全くのデマであったというような形で番組は決着したように思えます。

しかし、普通に考えるとこのような宮根さんの対応はちょっとおかしいのではないかと思わざるを得ません。普通なら自分でも思ってもいないことを活字という形で番組開始直前に出されたのですから、例えば大阪を裏切って東京へ行くのかと宮根さんに対する悪い感情を持つ人が今回の報道で生まれてしまった可能性があります。今後、宮根さんならびに宮根さんの所属事務所が週刊文春編集部に対してどのような対応をされるかはわかりませんが、もし本当に根も葉もない話を記事にされたとしたら、宮根さんは自分の意見をテレビ上で出し、週刊文春の記事を書いた責任者に対して何らかのアクションをしなければおかしいのではないかと思うのです。

もし、週刊文春に対して何のリアクションも取らなかった場合、もしかしたらこの記事は本当で、すぐにではなくてもフジテレビに電撃的に移籍するというシナリオが起こる可能性はまだ完全に消えたわけではないとも思われます。何しろ、過去には「出馬は20,000%ない」と言いながらも大阪府知事選挙に出た橋下徹氏のケースもあります。今回は政治に関することでもありませんし、生き馬の目を抜くような芸能界の移籍の話でありますから、今回の言動をそのまま宮根さんが通すことで筋を通すのか、不義理をしてまで移籍に舵を切るのかということは、まだはっきりとはわからないということだけは確かなのではないでしょうか。

ともあれ、番組終了時には単なる週刊文春が間違った事を書いて発表したとしか思えない結末に落ち着いてしまった感があります。しかし文春が白旗を挙げてそのまま終わるのか更に「ミヤネ屋」で取リ上げざるを得ないような騒動になっていくのか、今後の状況に興味を持ってテレビを見ていくのも面白いのではないでしょうか。

(番組データ)

情報ライブ ミヤネ屋 ytv(大阪)制作
2017年10月19日(木) 13時55分~15時50分
宮根誠司、林マオ、手嶋龍一、住田裕子、春川正明、城下尊之(他)敬称略

(番組内容)

▽台風21号最新&さらに寒い ▽いしだ壱成何語った ▽少子高齢の未来に何が…話題本の著者生出演 ▽争点(4)外交・安保(他)