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時代劇のターゲット層を考えた放送を

最近、時代劇とジャニーズ事務所との関係が良好らしく、TBSの人気番組だった「大岡越前」を当時のシナリオ通り再現したNHK BSプレミアムでは少年隊の東山紀之氏が大岡越前役を演じたり、今回紹介するTOKIOの松岡昌宏氏が彼自身も大好きという遠山左衛門尉の役を熱演しています。

今回のドラマは絵師歌川国芳役の吹越満氏など、松岡氏を支える脇役もしっかりしていて筋書きも安定していてじっくり見ることのできる作品に仕上がっていたと思っています。しかし、見る側にとってはこのドラマをスタートから終了まで見続けることはかなりの荒行だったということもここで明らかにしておきます。

テレビの場合は映画と違ってコマーシャルが入るとはいえ、夜の8時から11時まで3時間を超える長さというのは見る方も体力が必要になります。通常、夜8時からの単発ドラマ枠というのは2時間で、かく言う私もその当日の徳島市の阿波踊りの「総踊り」が夜の10時から開始という話が入っていたので、その中継はテレビ朝日の「報道ステーション」でやるだろうと目論み、ドラマを見た後に見ようと思っていたら10時を過ぎても一向に終わる気配がないので、ここでザッピングを繰り返して徳島市からの中継が始まってからはテレビ朝日の方を見ていました。

もしストーリーをコンパクトにまとめ、通常の2時間で収めていたら個人的な評価は上がったと思いますし、ドラマのテンポも良くなって、主演の松岡昌宏氏の印象もさらに良くなったのではないかと思うのですが。

現代の時代劇は新作が作られることが少なくなったものの、中高年の方々に対して過去の時代劇が人気を博し、CSの「時代劇専門チャンネル」もあります。そうした状況を捉えれば、お盆の時期に久し振りに三世代が茶の間に集まり、そこでおじいちゃんやおばあちゃんが好きな時代劇を見る中で、出演キャストに渡辺麻友さんのような、お子さんだけでなくお孫さんも知っている人が出演している中で、幅広い世代に時代劇の面白さを知ってもらおうとする努力はわかります。しかし、あまりにドラマが長すぎると見ている側がだれてきて、そんな中でつい時代劇を見たいはずのおじいちゃんがコックリと寝てしまったらお孫さんはこれ幸いと自分の見たい番組に変えられてしまうという状況が私には見えます。そういう意味では、かつての「ナショナルアワー」の時代劇「水戸黄門」「大岡越前」は一話完結の1時間番組だったので、小さいお子さんでも飽きることなく見ることができ、それで時代劇が好きになった人も少なからずいるでしょう。

確かに良質なシナリオと良質な芝居があれば評価されるドラマは作ることができるとは思いますが、だからといって関係者が見るにも長いというくらいの3時間を超えるものにする意味というのが個人的には見出せません。この点についてはそれこそ「次はない」くらいの意気込みで、本気で時代劇を多くの人に見てもらって好きになってもらうにはどうするのかという話し合いを行なった上でさらなる作品を企画して欲しいと切に思います。

(番組データ)

ドラマ特別企画 名奉行!遠山の金四郎 TBSテレビ
2018/08/13 20:00 ~ 2018/08/13 23:07 (187分)
(出演)
松岡昌宏 稲森いずみ 中原丈雄 神山智洋 加藤雅也 渡辺麻友 不破万作 生島勇輝 伊藤洋三郎 山崎裕太 村上新悟 中西良太 黒木真二 冨樫真 河合雪之丞 菅原大吉 吹越満 平田満 里見浩太朗 原田美枝子
吉川清之
(脚本)いずみ玲
(監督)下山天
(プロデューサー)金丸哲也 小柳憲子

(番組内容)

去年好評を博した松岡昌宏の遠山の金さんが帰ってくる!水野忠邦の天保の改革が吹き荒れ、江戸の庶民の鬱屈が溜まっている中、謎の連続失火と禁止されたはずの隅田川の花火大会での大爆破、江戸庶民の味方遠山金四郎が女鼠の助太刀、おたねの出生の秘密を明かしつつ見事に解決します!事件の鍵を握る謎の絵師歌川国芳に吹越満、花火師の棟梁役に里見浩太朗が友情出演!