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番組スタッフのせいでタレントの立場が悪くなるケースも

この番組MCの生瀬勝久さんは、過去にスタッフと司会者の板挟みになり、現在も大人気のバラエティ「探偵ナイトスクープ」(ABC朝日放送)を降板せざるを得なくなった経験のある方であることを番組を見終って思い出しました。

当時は番組降板だけでなく芸能界からも干されていたという事ですが、その原因というのは今から考えると番組に送られてきた一つの依頼に応えて彼が調査し、その内容を発表したことが当時の司会者だった上岡龍太郎氏の逆鱗に触れたのでした。依頼の内容は日本が戦った戦争のとある部隊は俗謡に出てくるような「特別に弱い部隊」だったのかということを調べるというもので、生瀬氏は自らの意志というよりスタッフから依頼を受けて当時の事を調べVTRで発表し、締めの言葉を言ったのが運命の別れ目でした。

私自身は当時の番組を見ていないのでどちらが悪いのかということはわかりませんが、一つだけ言えることは生瀬氏はスタッフからの支持に基づいてロケに出て、スタジオで喋ったわけで、もし生瀬氏自身の物言いや態度が上岡氏の気に入らなかったとしても、上岡氏が怒りの感情を向けたのは生瀬氏に100%ということではないでしょう。上岡氏はその後も探偵個人ではなく、スタッフの中途半端な調べ方(結論を引き出すことなく尻切れトンボのようにVTRを終わらせるような依頼もあった)をした際にはスタッフに向かって切れた様子をそのままオンエアさせたこともありました。

そうしたことを総合して考えると、生瀬氏が探偵の座を追われた事については当時のスタッフの方にも非があると考えられるので、たとえ一時的にせよ生瀬氏がテレビに出られない時期があったことについては、当時のスタッフは生瀬氏に対してきちんとした謝罪なり落とし前をつけたのか? ということは今でも気になっています。そんな中、同じ生瀬勝久氏がMCを務める番組で、出演しているタレントさんとは関係ないところでどうにも気になる点を見付けてしまったのでした。

VTR出演され、スタジオにも登場したのはお笑いコンビの「アイデンティティ」のお二人で、このブログではTBS系「オールスター後夜祭」において見浦彰彦さんがクイズで最下位になったことで今後同番組に出入禁止になってしまったといういわくつきの方々です。まあ、この件についてはご本人にもそれなりの覚悟が有り、スタッフの介在するところではなかったと思いますのであくまで「自業自得」扱いで、見浦さんに対してはこの件で逆に知名度を上げて頑張って欲しいと思っていたのですが、わざわざそんな時に今回紹介しなければならないような事が起こるとは思いませんでした。しかし、今後のテレビのバラエティ番組の事を考えると、いい加減な情報を出しっぱなしでは困るのであえてここで指摘させていただこうと思います。

問題にしたいのは番組前半で放送された「1000円の中古車でドライブ!?」というネタです。番組で登場した埼玉県桶川市の中古車販売店について、自動車販売のネットで検索したところ、1000円どころではなく車両本体価格1円という中古車の値付けをしている販売店だということがわかりました。

番組を見ていた方の中には、本当に1,000円しか出さないで車に乗れるのか? と誤解をした方もいたかも知れませんが、この点については番組では業者さんにきちんと購入する場合の金額を聞き、税金や自賠責保険や諸経費が70,070円になるということを、一瞬ではありますが画面で紹介していました。

ただ、この番組についてネットでまとめている方のホームページを見たら、番組では一瞬しか映らなかった購入時費用の内訳をじっくりと見ることができ、これは大きな問題をはらんでいるとピンと来たのです。

販売店が車に付ける価格というのは、中古車の場合は1円でも1,000円でもいいのですが、実際にナンバープレートが付いて自走できる状態になっている場合、本体以外の別の費用がかかっているので、その分の費用負担が必要になります。番組の紹介では、その車は17年落ちの走行距離が9万キロくらいのスズキ・ワゴンR(軽自動車)で、バンパーが取れかかり、回りは傷やヘコミも多く、車内についても前オーナーが乗ったままの状態で、金目のものであるかも知れないオーディオすら取り外されているような車でした。番組ではそれでもナンバープレートが付いていて、車検はわずかに残っているというような説明の仕方だったので車両本体価格が1,000円だったら、残りの費用の内訳はどうなっているのか気になりました。以下に番組で紹介された1,000円の車の購入時の費用内訳をそのまま書き起こしてみます。

(ここから引用)

【車両本体価格】  1,000円
【自賠責保険料】 25,880円
【重量税】     8,800円
【登録代】     1,480円
【リサイクル料金】 8,910円
【車両管理費】  24,000円
合計70,070円

(引用ここまで)

もっともらしく書いてあるのですが、気になったのは3点あります。上記の【自賠責保険料】は軽自動車の25ヶ月間の保険料になっていて、【重量税】についても17年落ちの軽自動車の2年分の税金の額になっています。番組の説明からするとなぜ車検の残り期間が少ない車を購入するのに前のオーナーが車検を通す時に支払った諸費用を負担しなければならないのでしょうか?
また最後にある【車両管理費】についても、納車前に整備をしていない事が前提の企画であることを考えると(ナンバープレートが外れないように固定したという説明は番組内のナレーションでありましたが)、これだけの金額を請求される根拠がはっきりしません。

番組の企画で「1000円の中古車」という事実ありきの面白VTRを作っているのですから、もしかしたらきちんと整備して納車しているのにわざと古い車の状況を誇張して騒ぐ「やらせ」をしている可能性もありますし、スタッフが車の購入金額の内訳も良く知らないのに業者に確認もしないでそのまま電波に料金内訳を乗せてしまった事で、この業者に関する視聴者のイメージが悪くなる可能性も出てきます(この内訳が本当だったら、利用してもいない車検費用を取られていると思われても仕方がありません)。

可哀想なのは、そうした中古車の販売事情を知らないまま出演させられたタレントだということにもなります。現在は上岡龍太郎さんは芸能界を引退していますが、こんな杜撰なVTRを見て何も疑問に思わずただ笑っているということで、MCとしての生瀬勝久さんについて何を想うでしょうか。ただ、番組を見ている私でさえも、いちいち画面を静止画にして記録してくれているサイトを見たからこんな事が書けるわけで、本当に悪いのは今回のケースでは企画を担当したスタッフだと思えるのですが。

深夜のバラエティだと言っても、いい加減な内容で面白ければいいというのであれば、テレビにはもっとメチャクチャなことをやって欲しいという気持ちもあるのですが、放送コードに触れることはやらない代わりに今回のように誰も見ていないで指摘されなければその部分はいい加減でもいいと思っているのだとしたら、この番組を作っている人にもはや未来はありません。全国放送でこんないい加減な番組制作がまかり通る今、やはり時代からはテレビは取り残されていくのでしょうか。

(番組データ)

それって!?実際どうなの課 中京テレビ
2019/04/24 23:59 ~ 2019/04/25 00:54 (55分)
【MC】生瀬勝久
【出演】博多華丸・大吉/田島直弥・見浦彰彦(アイデンティティ)
【構成】松本建一
【演出】立澤哲也
【企画・プロデュース】簑羽 慶(中京テレビ)

(番組内容)

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