08フジテレビ系」カテゴリーアーカイブ

渡る世間も「橋田壽賀子」<「クィーン」なのか

今回の内容はたまたま番組宣伝で知り、実は昔からクィーンは聴き込んできたので、地上波でクィーンがどのような扱われ方をするのかということに興味があり、録画で見ました。なぜ録画で見たかというと、今の日本のテレビの世界を考えた時に番組MCの坂上忍さんが、直接脚本家の橋田壽賀子さんのお宅を訪れてインタビューするという方がインパクトがあると思い、クィーンの話は後回しにされると思ったからです。

もし日本の芸能界で橋田壽賀子さんに対抗するだけの人をクィーンに関わった人物の中で挙げるとすれば渡辺プロダクションの渡辺美佐氏以外には考えられず、もし番組で渡辺美佐氏のインタビューが取れたならクィーンを先に出すのかなと思っていたのですが、事前に確認した中でも、実際に見た中でも個別に渡辺プロも渡辺美佐氏の存在も紹介していなかったのに、クィーンを最初に持ってきたというのには、それだけ日本でも映画「ボヘミアン・ラプソディ」がヒットしていることで、視聴者の興味という点で勝った以外には考えられず、改めてクィーンの魅力とは何かということを考えさせられる番組の半分を使った特集になっていました。

ただ、この点というのは番組として見るといかにも放送されている今を切り取って流行りにおもねっているという感じが拭えないものがあります。その分、特集の内容も薄っぺらく感じてしまう方も少なからずいたかも知れませんが、あの映画がなかったらわざわざ地上波でクィーンの事が取り上げられなかったと思い、改めて今回のクィーンの特集に限っての内容の感想を書くことにしました。

今回の特集のポイントとしては、映画には描かれなかった日本でのクィーンのデビュー当時の人気ぶりと、日本の骨董や文化を愛したメンバーの姿を紹介したことと、フジテレビのライブラリの中から「夜のヒットスタジオ」にフレディを除くメンバーがライブ告知のために出演した映像と、当時のFNNのニュース報道でフレディのエイズ感染と訃報がどのように伝えられたかということを改めて紹介してくれたことがあると思います。

さらに、当時のボディーガードや、フレディが来日した際によく訪れたというバー(新宿二丁目か?)のマスター、栃木県足利市にある伊万里焼を集めた栗田美術館の館長さんへのインタビューなど、日本のテレビでなければ見られないオフのフレディの様子を知れたのもファンにとっては嬉しいことだったでしょう。でも個人的にはもう少しディープな話題も教えてくれた方が、特に今回の映画で初めてクィーンを知った人にとってはさらに興味が出るでしょうし、ナベプロがなぜ日本でのクィーンの売り出しに関わったのか? ということについてもしっかりと出してくれたらなお良かったという風に思います。

ただ、クィーンはデビュー当初こそスーパースター扱いであったかも知れませんが、ビートルズのように出す曲が全て1位になるわけでもなく、そこまで今のような勢いで売れ続けていたわけでもなく、当時のラジオチャートでもABBAの後塵を拝していたような印象もあります。ただそれは、表立ってはラジオにハガキを送ったりはしないけれど、気になって楽曲は聴いていて密かに支持していた層によって現在の日本での知名度が形作られていったように思います。

というのも、当時洋楽のチャートを聴いていた人が大人になり、それなりに現場で流す音楽やコマーシャルの後ろで流す音楽を決められる地位に付いたと思われる感じで、クィーンの過去のヒット曲がコマーシャルやドラマの中で使われるようになり、そこで新たなファンを獲得するような流れが出てきたのです。それが、番組でも言われている「楽曲の力」ということにあるのでしょうが、さらに言えるのが、緻密な音作りというものが密かに多くの男性にも支持を受けていたところもあり、そうした緻密な音の編集作業というのは、クィーンのメンバーが揃って高学歴のインテリバンドであったことにも由来するのではないかと思うのです。本来はそうした点こそ、テレビ界やCM界の関係者へのパイプを持っているテレビ局の得意とするところだと思うのですが、今回はそういう話も聞けなかったのは残念でした。

あと、これは番組には関係ない話ではありますが、クィーンの魅力一つと考えるところを最後に紹介させていただきます。私が過去に読んだメンバーへのインタビューの中で、確か「バイシクル・レース」や「ドント・ストップ・ミー・ナウ」の入ったアルバム「ジャズ」(1978)が出た後だったと思うのですが、ドラムスのロジャー・テイラーに日本の音楽(特にドラムス)の評価は? という質問に彼がツトム・ヤマシタ氏(当時グラミー賞にノミネートされた打楽器奏者)とともに挙げたのが山下洋輔トリオだったのにはびっくりしました。

今でこそ山下洋輔さんはジャズ界の重鎮ですが、ツトム・ヤマシタ氏のような海外での知名度という点では当時それほど高くなかったと思います。ただ、70年代には山下洋輔(pf)・坂田明(sax)・森山威男(ds)というトリオでのヨーロッパツアーの様子をライブ録音した「クレイ」というアルバムが出ており、ロジャー・テイラーはもしかしたらそのアルバムを取り寄せて聴いていたのかも知れません。その中での森山威男さんのドラミングは素晴しいもので、森山さんが日本が世界に誇ることができるドラマーの一人であると私自身信じて疑わないのですが、まさかロックバンドであるクィーンのロジャー・テイラーの口からその言葉が出るというのは、いかに広い範囲で音楽を聴きながら研究をしているかということの現われではないかと思ったものです。

番組ではそのロジャー・テイラーの作った「レディオ・ガガ」が対訳付きで長く紹介されていましたが、4人のメンバーが全てビックヒットを作ったメロディメーカーであったことも、バンドとしてその生命を全うした理由の一つであろうと思います。

今後、映画のヒットと共にさらに彼らに関するテレビ番組は作られるかも知れませんが、まだまだネタは多くの関係者が持っていると思うので、どこかのテレビ局が特集を組むとしたら、今回の内容とは違う内容で踏み込むか、それこそ渡辺美佐氏に直接話を聞きに行くとか、面白い趣向でやってくれることを期待しています。

(番組データ)

直撃!シンソウ坂上SP【クイーン特集!秘蔵映像&フレディの真相▽橋田壽賀子】
2018/12/13 19:57 ~ 2018/12/13 21:54 (117分)
【MC】 坂上忍
【VTR出演】 橋田壽賀子 他
【チーフプロデューサー】 小仲正重
【総合演出】 島本亮
【ゼネラルプロデューサー】 石塚大志
【プロデューサー】 挾間英行  大川友也
【演出】 山崎貴博
【制作】 フジテレビ 第二制作室

(番組内容)

クイーンはなぜ愛されるのか?日本との意外な絆&フレディ最後の5年に迫る!名曲に込めたメッセージ▽橋田壽賀子“安楽死宣言”の真相!夫の遺産3億に衝撃事実

今夜の『直撃!シンソウ坂上2時間SP』では、『おしん』『渡る世間は鬼ばかり』など数々のヒットドラマを生み出してきた脚本家・橋田壽賀子がたどりついた独自の人生観に、子役時代に橋田作品への出演経験もある坂上忍が迫る!彼女が「私の時代は終わった」と語った真意や、知られざる最愛の夫との出会いと別れ、『おしん』や『渡る世間は鬼ばかり』の驚きの誕生秘話、さらに社会に衝撃を与えた「安楽死宣言」の真相まで、橋田が語り尽くす。

また、公開中の映画『ボヘミアン・ラプソディ』のヒットによりブームになっている伝説のロックバンド「クイーン」。彼らがなぜ日本人に愛されたのか、そしてなぜ彼らが日本人を愛したのか、秘蔵映像を交えひもといていく。


「細かすぎて伝わらないモノマネ」を演者と関係ない所で潰すな

まずは、ユーチューブにアップされている以下の動画を視聴環境のある方はぜひご覧頂きたいと思います。

これは、私の住む静岡県のエリアにしているスーパーチェーン「ヒバリヤ」のテレビコマーシャルなのですが、最後に出てくる店員さんは実は本物ではなく、お笑いコンビ「アップダウン」の阿部浩貴さんで、コマーシャルソングを歌っている相方の竹森巧さんとともに、スーパーのビーアールに一役買っているというわけです。

なぜ地方の一介のスーパーのコマーシャルにこの二人が抜擢されたのでしょうか。別にこの二人は地元出身なわけでも、吉本興業でよくある全国各地の地元で活動していたわけでも、静岡県で局地的な人気があったわけでもありません。

それは、過去に放送された「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で映像の最後に出てきた阿部浩貴さんが経堂駅前のコンビニの店員のモノマネ(「いらっしゃいませ」が「エアロスミス」に聞こえる)をやって見事に優勝し、そこで知名度が一気に上がったため、今回のコマーシャルでは実際に音楽活動をしていて楽曲のクオリティも相当高い相方の竹森巧さんに音楽を依頼してのコマーシャル製作になったということになります。これは地方のコマーシャルとしてはかなり出来がいいのではないかと思っていて、特に竹森さんのCMソングの出来映えに感心するのですが、それもこれも阿部浩貴さんの「エアロスミス」のネタで全国的な知名度を獲得したことが素地になっています。

こんな話から始めましたが、この「細かすぎて伝わらないモノマネ」の番組というのは、単にとんねるずの冠番組という枠を越えて、多くの人が今もユーチューブで見ても楽しめる、テレビや動画の視聴に適した画期的な企画のように私個人は考えています。いわゆる若手芸人の「ネタ見せ」番組よりも短い間に笑いを取る一発芸の才能が求められますし、こうした一発ネタを複数持っていれば、困ったらそうしたネタでつないでもテレビではそれ見たさについつい見てしまうということにもなるので、今後テレビで人気者になりたいという人はプロ・素人問わずに新たに「細かすぎて伝わらないモノマネ」に出られるだけの一発芸を開発し、その面白さをテレビを見ている人に伝えたいと思っているに違いありません。

実はこの番組の放送前に、ある一つの番組に関する話題がありました。今回の番組にとんねるずの木梨憲武さん、くりいむしちゅーの有田哲平さん、そして関根勤さんが出演されないのは、フジテレビのスタッフが元々とんねるずの冠番組の一コーナーであった企画だけを一つの番組にするのは、「終了した番組の1コーナーをそれだけ切り取って復活させるのはおかしい」と木梨さんが異を唱えて出演オファーを断り、それに有田さんと関根さんも同調したというのですが、細かいところでこの話が本当なのかどうかは良くわかりません。

これはあくまでテレビを見て楽しみたいという立場で書き連ねているブログですから、そうした出演者とスタッフとの間でのドロドロしたくだりには全く興味はなく、短い時間で多くの練られた細かいネタを見せてくれ、さらに東京や大阪など現地の会場に行かないと見られないような人達がテレビで見られるという機会を潰さないで欲しいとただただ思うのです。

確かに自分の番組で皆で作ってきたコーナーを横取りされるような気分で今回出なかった人達は出演拒否をしたのかも知れませんが、それではこの日に出演した多くの無名の出演者たちがテレビに出る機会を奪ってしまうことにも繋がりかねません。今回は特番が放送されたことで、「とんねるずの二人に亀裂か?」というような騒ぎになってしまいましたが、別に今回出演拒否したとされる人がいなくても十分盛り上がりましたし、視聴者の興味はもはやテレビから動画の世界に移りつつあることを考えると、こうした良質な企画というのは番組の終焉とともに葬り去るかのような考えというのはテレビにとってどうなのでしょう?

番組内では「一夜限り」という言葉も出ていたようですが、単にこの番組はフジテレビの視聴率のためだけではなく、若手芸人の登竜門としてのものだけでもなく、まだ私たちが見る機会のない未知の才能の発掘場所として、最初に紹介したような地方のテレビ局やクライアントが注目していることも忘れないでいただきたいものです。

(番組データ)

土曜プレミアム・ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ フジテレビ
2018/11/24 21:00 ~ 2018/11/24 23:10 (130分)
【出演者】石橋貴明  バナナマン  今田美桜  細かすぎて伝わらない芸人の皆様
【演出】 鈴木靖広
【チーフプロデューサー】 太田一平

(番組内容)

今宵アノ名物爆笑企画が一夜限りSP番組化!全国巨大オーディション選抜の総勢122名、おなじみ大人気常連&驚異の新人大量参戦で今田美桜も笑いっ放しの超豪華版

あまりに「細かすぎる」が故に、笑いにはなりにくいと思われてきたマニアックなモノマネや、アンダーグラウンドな芸にも光を当て、お笑い芸人、モノマネ芸人の登竜門ともいえる存在にもなった人気企画『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』。  今回、視聴者の皆様からの熱い要望に応えるべく、出演者の1人であった石橋貴明主宰で、フレッシュな顔ぶれも新たに加わり、まったく新しい番組として2時間超えのスペシャルが実現しました。延べ3カ月に及ぶ厳しい全国一大オーディションを勝ち上がってきたのは、おなじみのベテランモノマネ芸人から新人まで、総勢およそ50組。常連出演者が安定した“鉄板”芸を見せる一方で、新人がまったく予想もつかないシュールなモノマネを展開するなど爆笑の連続。果たしてファイナリストに残り、優勝を勝ち取るのは円熟のベテラン芸人か?新しい笑いを作り出すニューカマーか?


ヒット曲がないロッカーはなぜカリスマたりえたのか

世間ではまだ樹木希林さんの亡くなったショックは続いているような感じで、ようやく夫である内田裕也さんのコメントが報道されたような状況です。今後樹木希林さんを追悼する番組が多く流れることになるかと思いますが、個人的には全国ネットで今回紹介する「転がる魂」を放送してくれないかなと思います。

このブログでは少々掟破りになるかも知れませんが、今回たまたま番組を録画された方にお願いして前・後編をまとめて見せてもらうことができました。ただ、録画したものはテレビの大画面で見たので、東京の方々から少し時間を置くことになってしまいましたが、本番組のナレーションと、実際に出演もされている樹木希林さんの語る内田裕也さんについて感じたことなどを書いていきたいと思います。

番組では内田裕也さんに密着していますが、そうして密着したのは映画監督の崔洋一さんで、その様子はたびたび出てきます。内田さん自身がちょっとしたことで感情の変化が激しく、何とか穏便に怒りをやり過ごし、番組として成立させるためにかなり気を遣われているという感じがひしひしと伝わってきました。常に傍らに付いているマネージャーの女性の態度はそうした内田裕也さんの気質を当然知り尽くしているでしょうから、ぞんざいな言葉遣いになることはあるものの、その奥にある尊敬の念が感じられ、心なしか樹木希林さんの心情とシンクロする部分もあるのではないかとすら思いました。ステージに立っていない素の内田裕也さんは、やはり体の衰えもあり年相応に見えてしまう一瞬もありましたが、しかし只の78才ではない迫力も併せ持っていました。

番組の中で印象的な一言としては、

「ヒット曲が何もなくてやってきたなんてすごいな」

という言葉があります。これは、ネットなどでも内田裕也さんをディスる際に出てくる言葉の一つではありますが、この事についても番組内で生い立ちの話などを聞いていると、さもありなんと思えるところがあります。元々関西のジャズ喫茶のステージに出て歌っていた時は、ご自身でも練習などほとんど若い頃はしなかったと言っていましたし、東京へ出てあの渡辺プロダクションと契約し、さらに後にグループサウンズの大スターになるザ・タイガースと行動をともにしながら、その渡辺プロダクションから沢田研二らザ・タイガースのメンバーから引き離されるなど、ヒット曲を出す以前にプロダクションとうまくやれないような気質ではなかなかプロデュースしてもらえなかったというのが正直なところではないでしょうか。

個人的にはヒット曲があるから何だという感じもしてしまいます。例えば、過去の大ヒット曲をカバーして歌ってそれが代表曲だと思われてしまうのは特に内田裕也さんにとってはあるでしょうし、「売れた曲=いい曲」でもないわけですから、自分の好きな歌を思い切り歌ってファンが熱狂するなら、それはそれでいいのではないかと思います。

というか、それ以上に内田裕也さんはその行動力とプロデュース力をいかんなく発揮して日本のロックシーンで欠くことのできない存在になっていくと同時に、多くのメディアに出現していきます。そんな中で、やはり音楽と同じくらい大きな印象を残したのが映画の世界での活躍だったと言えるでしょう。

実は、このドキュメンタリーの中で一番の不満がある点が、内田裕也さんの映画の中では代表作として、メガホンを取った滝田洋二郎監督にインタビューをしているのにその映画「コミック雑誌なんかいらない!」をほとんど紹介しなかったことです。この題名は元々、番組にも登場したPANTAさんが頭脳警察の活動をしていた70年代に出した「頭脳警察2」に入っている同名のナンバーから題名を拝借したものですが、この歌の世界をテレビのワイドショーの世界に移し、自身が芸能リポーターの役で出演した、ある意味このようなテレビに関するブログなど読まずにこの映画を見た方がテレビのバカバカしさがわかるのではないかと今でも思える秀作だと思います。

また、楽曲の「コミック雑誌なんかいらない!」については、内田裕也さんが東京都知事選挙に出馬した際に政見放送の最後に内田さん自らがアカペラで歌い、多くの人の印象に残っている楽曲であったので、この曲が番組の中で一度も鳴らなかったというのは、崔洋一さんが監督をしたからなのかと思ったりもします。

この番組では、樹木希林さんがナレーションを付けつつもインタビューに答える形で出演していて、内田裕也の歌う「朝日のあたる家」についての想いも語っています。こちらの方はしっかりと本人が歌っている様子が流れたのですが、浅川マキやちあきなおみの歌う「朝日のあたる家」も好きですが、やはり樹木希林さんが好まれるのももっともな感じもします。

話をヒット曲と内田裕也さんとの関係に戻しますが、自作自演の曲をヒットさせるのが偉いという前提で言うと、「ヒット曲も書けないくせに」といってディスる理由になるとは思いますが、過去には明らかに盗作であるのにさも自分が一人で考えたような体で出した曲がヒットしたことで盗作騒動に巻き込まれ、後に作詞作曲のクレジットを変えなくてはならなくなったシンガーソングライターもいるわけです。今回の樹木希林さんの遺言のような「朝日のあたる家」や、「コミック雑誌なんかいらない!」はどちらも内田さんのために最初から書かれた曲ではありませんが、ロックの魂を込めて様々な活動をくりひろげる中で自分の歌として成立してしまった紛れもない内田裕也さんの代表曲であると思います。

そんな楽曲がヒットしようとしなかろうと、それは問題ではないのです。番組にはありし日のジョー山中さんもインタビューされた様子が放送され、コンサートで曲を歌う場面が出てきましたが、それが「人間の証明のテーマ」であり、多くの人はジョー山中さんと言うと映画「人間の証明」から抜け出すことができなくなっていることも同時に感じるのです。実はそうでない活動の方が多いにも関わらず、ヒット曲の呪縛で身動きが取れなくなるような状況は内田裕也さんは望まなかったはずですし、逆にヒット曲がなかったからこそ、「ロックンロール」とともにある人生を今まで送って来られたのではないかと強く思いました。

今年は紅白は見なくても、「ニューイヤーズワールドロックフェスティバル」はぜひ見たいと番組を見て思いましたし、フジテレビでもBSフジでも紅白にぶつけて生放送してくれないかなあと思います。

(番組内容)

ザ・ノンフィクション 転がる魂 内田裕也 前編・後編
前編 2018/07/29 14:00 ~ 2018/07/29 14:55 (55分)
後編 2018/08/05 14:00 ~ 2018/08/05 14:55 (55分)
【出演者】内田裕也 樹木希林 崔洋一 竹中直人 仲野茂(アナーキー) 本木雅弘 PANTA(頭脳警察) 近田春夫 内田也哉子 鮎川誠(シーナ&ザ・ロケッツ) ビートたけし ジョー山中 山中ひかり(ジョー山中の長男) 山中マイ(ジョー山中の長女) 石間秀樹(フラワー・トラヴェリン・バンド) 篠原信彦(フラワー・トラヴェリン・バンド) 佐川満男 上条英男(芸能プロデューサー) 田川譲二 岸部一徳 滝田洋二郎(映画監督) トルーマン・カポーティ 秋元康 HIRO 中村獅童
【語り】 樹木希林
【チーフプロデューサー】 張江泰之
【プロデューサー】 石川剛
【監督】 崔洋一
【制作協力】 NEXTEP
【制作著作】 フジテレビ
【エンディング・テーマ曲】 〈曲名〉サンサーラ  〈作曲〉山口卓馬  〈編曲〉YANAGIMAN  〈歌〉宮田悟志

(番組内容)

【前編】主人公はお茶の間を賑わす内田裕也▽78歳で人生初密着▽脱水症状で入院それでも‥▽モックン家族が見守る中‥怒りあらわに何故?▽そして故郷へ‥語り始めた本音

主人公は、内田裕也、78歳。現役のロックンローラーである。 去年の暮れ、今もライフワークとしてステージに立ち続ける「ニューイヤーズワールドロックフェスティバル」が、記念すべき45回の節目を迎えた。番組では、最後の力を振り絞りながら、ロックフェスに取り組む内田裕也の1年間に密着しながら、波乱と矛盾に満ちた人生を振り返る。 去年は、脱水症状での入院など、78歳の内田は数々の逆境に襲われるも、バラエティ番組の収録やCM撮影などを精力的にこなしてきた。そんなある日、内田は、生い立ちを振り返る旅に出る。 大阪の資産家に生まれ育ちながらも没落し、高校を中退。エルヴィス・プレスリーに衝撃を受けてロカビリーに目覚めバンドデビュー。ウェスタンカーニバルに憧れて渡辺プロに所属するも、もめ事が絶えない反抗児だった。そして、そこから転がる魂の音楽人生が始まる。

内田の日常に迫るのは、40年来の親交がある映画監督・崔洋一。カメラは、内田の日常、リハーサルなどに密着。 取材時間は、実に300時間にも及んだ。 番組では、テレビ史上初、いまだにお茶の間を賑わす内田裕也という「異端のおじいさん」の人生に迫る。

【後編】

主人公はお茶の間を賑わす内田裕也▽78歳で人生初密着!▽渡辺プロを飛び出した本当の理由▽45年に及ぶ不思議な夫婦生活‥妻・樹木希林が初めて語る真実とは?

先週に引き続き主人公は、内田裕也、78歳。現役のロックンローラーである。 去年の暮れ、今もライフワークとしてステージに立ち続ける「ニューイヤーズワールドロックフェスティバル」が、記念すべき45回の節目を迎えた。番組では、最後の力を振り絞りながら、ロックフェスに取り組む内田裕也の1年間に密着。波乱と矛盾に満ちた人生を振り返る内田の人生初の密着ドキュメンタリー。

1950年代のロカビリーブームに乗って上京した内田は、渡辺プロに所属。ザ・ビートルズの前座を務めたり、ザ・タイガースを発掘した。番組では、北野武、秋元康など縁の深い人たちも内田に関する証言者となり、その波乱万丈なエピソードが明らかになる。 内田の人生に迫るのは、40年来の親交がある映画監督・崔洋一。カメラは、内田の日常、リハーサルなどに密着。取材時間は、実に300時間にも及んだ。

そして、妻・樹木希林から初めて語られる二人の出会いから結婚生活の真実、そしてこれから…。 45年間に及ぶ「不思議な夫婦生活」の末、二人が選んだ人生の行方を見つめる。


特番なのに収録でテロップも出さないのは怠慢では?

今回あえて日本テレビの24時間テレビについてこのブログで書くことはありませんでした。それこそ、第一回目から批判的な意見というものはあり、最近の予定調和的なノリもどうかと思うことはありますが、今回紹介するFNS27時間テレビと比べると一つだけ確実に優れていることがあります。それは、思いっきり録画による収録番組を垂れ流していたからです。

プログラム的には2番目に放送された『FNS対抗!メシの祭典』のコーナーは録画だと思いつつ見ていましたが、とある場面に出くわしたことで、それ以降は別番組にチャンネルチェンジしました。それは、コーナーの中でメインのビートたけしさんに食べさせたい食べ物を全国のFNSネット局のアナウンサーと地元出身のタレントがプレゼン合戦をするのですが、その中ではからずも先日大きな災害で多くの人が被災した場所同士という「北海道」と「広島」で対決になりました。大切なのは2つの地域の勝ち負けではありません。プレゼン対決の最後に、「どうしても言いたい事がある」と言ったのが広島でしらすを用意した漁師でレストランのオーナーで、それは先日広島県を襲った豪雨災害について全国から支援を受けたことの感謝コメントでした。

この時点までさすがに収録と言っても、先日まさに北海道が台風と地震で大きな被害を受けたばかりであり、もし台風や地震の起こる前の収録であったとしたら「この番組は○月○日に収録したものです」というようなテロップを入れてくれないと、北海道を代表してきた居酒屋の店主さん、地元テレビ局のアナウンサー、そしてタレント代表で出演している平成ノブシコブシのお二人と菊地亜美さんは、何故北海道の災害について一言も述べないのかといらぬ誤解を生じさせる可能性もあります。

最近のネットはそうした誤解が一気にバッシングを生むということもありますので、せめて27時間の特番の多くの部分は生放送にした方が盛り上がると思いますし、今回のような特殊な状況にも対応できるように、どうしても収録番組を放送しなければならない場合にはきちんとテロップを入れて処理することがあっても良かったのではないかと思うのです。

そもそも、27時間にもおよぶ長丁場の中、当然録画放送の部分は出演者の休憩のためにも必要ではありますが、24時間テレビでは他の場所から中継を入れたり、テーマに関連したドラマが主であって、基本生放送で流していることで視聴者に対するアピール度もあったのではないかと思います。普通なら生放送でもやれそうなバラエティ部分を生で放送できないというのは単にビートたけしさんにそこまでの体力がないからなのかも知れませんが、それならそれで、ピンポイントで生のビートたけしさんがいつ出てくるのか? というような見せ方での出演のさせ方はあったように思います。手ぬきとまでは言えないかも知れませんが、今回私が別の局に変えたのも、そうした雑な番組の作り方にこれ以上同じコーナーを見ていたくないと思ったからというのが正直なところです。

当然その後に魅力的なコーナーもあるわけなのですが、根本的なことですがあえて27時間ではなくもっと少ない時間での特番をやった方が司会のなり手も増えるでしょうし、番組の内容も絞れて面白くなるのではないかと思うのですが、

(番組内容)

FNS27時間テレビ にほん人は何を食べてきたのか?【たけし村上&修造上戸】フジテレビ
9/8 (土) 18:30 ~ 1:30 (420分)
【総合司会】 ビートたけし
【キャプテン】 村上信五(関ジャニ∞)
【食のれきしサポーター】 林修
【食堂長】 バカリズム
【タビビト】 上戸彩
【にほん人食堂】 ビートたけし、村上信五、林修、バカリズム、上戸彩  【FNS対抗!メシの祭典(1)】 〈MC〉ビートたけし、村上信五、山崎夕貴(フジテレビアナウンサー)  〈食のれきしサポーター〉林修  〈出演〉あき竹城、ガダルカナル・タカ、菊地亜美、具志堅用高、滝沢沙織、瀧本美織、壇蜜、平成ノブシコブシ、前園真聖、モーリー・ロバートソン、森口博子、よゐこ 他
【たけし村上農場】 ビートたけし、村上信五、藤井弘輝(フジテレビアナウンサー)
【ホンマでっか!?TV】 明石家さんま、村上信五、加藤綾子、ブラックマヨネーズ、マツコ・デラックス、磯野貴理子、島崎和歌子、渡部建(アンジャッシュ)、ギャル曽根 他
【さんまのお笑い向上委員会】 明石家さんま、村上信五、久代萌美(フジテレビアナウンサー)  今田耕司、雨上がり決死隊、堀内健(ネプチューン)、関根勤 他 総勢36人の芸人
【チーフプロデューサー】 中嶋優一
【総合演出】 竹内誠
【テーマソング】 関ジャニ∞「今」(INFINITY RECORDS)
【制作】 フジテレビ

(番組データ)

ビートたけしと村上信五が、楽しくも奥深い「にほんの食」にたっぷり向き合う27時間。もっと、もっと日本食が好きになる! 〈18時30分~〉『にほん人食堂』 たけし、村上、林修先生、上戸彩が「にほん人食堂」に入っていくところから、ストーリーが始まります。旧石器時代から現代まで私たちが食べてきたものについて、バカリズム食堂長がフリップでおもしろく発表!さらに楽しく学べる林先生の解説も満載です。

〈18時55分頃~〉『FNS対抗!メシの祭典』 FNS27局から、アナウンサー、そして各都道府県にゆかりのあるタレントが集結! トークテーマ:食の発祥宣言、あの大スターが愛した飯、日本一のバカヤロウ飯、あっぱれ!殿(ビートたけし)への献上飯、愛され続ける名店 〈20時10分頃~〉『たけし村上農場』 たけしの思い出の味を再現すべく、村上と藤井弘輝アナウンサーたちが約60年前の種から半年かけて田んぼでお米を栽培するドキュメント企画


微妙に中途半端な気がする「芸能生活35周年」記念番組

番組放送前から、金曜日のお昼の「バイキング」に告知名目でこの番組出演の船越英一郎さんが出演し、すぐNHKの自らが司会を務める番組にそれこそ「レコード大賞→紅白歌合戦」ばりの移動をしたことが話題になりました。恐らく、本人役で出演する船越英一郎さんが冤罪疑惑を掛けられるというストーリーだけに、世の中で一番船越英一郎さんに対しての屈折した感情を持つと思われる松居一代さんが何らかの形で出てくるのではないかと期待を持たせたことは確かでしょう。

しかし、ドラマの内容というのはいわゆる「2時間サスペンスあるある」を散りばめ、ついでに船越英一郎さんの離婚というところでお相手の名前は出さずにストーリーは進行していきます。正直言って、犯人が木下ほうかさんだったことは意外ではありませんでしたが、なぜそこまで船越英一郎さんを殺人者としてハメる必要があったのか、その動機についてはかなりの説明不足だったと思います。

結局の所、今回の制作を担当したホリプロは、最近の船越英一郎さんに対するかなりなスキャンダラスな報道を利用して、内容的には通常の2時間サスペンスとしては相当内容のないドラマを見せようとしたと考えることもできると思います。

しかし、こうした手法は今の世の中ではあまり通用しません。江戸時代には「珍獣イタチ」の興業と称して「普通の板っぺらに朱をぬったもの」を「板血」だとする看板と内容の違いが甚だしい見世物小屋でも、全国を渡り歩く中でそのカラクリを知っている者というのはそれほどいません。都市部でなく地方の村だけを回るような興業なら、かなり稼げたのではないかと思いますが、今はネットでそのカラクリは簡単に全国に伝わります。

そして、もう一つ思う事には、もしこの番組が船越英一郎さんではなく渡瀬恒彦さんの芸能生活○○周年の特別企画という風な形だったら、もし渡瀬さんにスキャンダルが発生していたとしても、このような半分ふざけたような内容にできるのかということも問いたいです。それほど番組の内容に文句を言わないで粛々とその仕事を遂行する船越さんだからこそこの企画が成り立ったのだとしたら、逆に船越さんが可愛そうにも思えてきます。

それこそ、後日ドキュメンタリーで今回のプロデューサーと船越さん本人が2時間サスペンスについて真面目に激論するような番組が出てくればそれはそれで、討論の土台としての作品として価値は出てくるとは思いますが、そんな風にサスペンスドラマについて考えていない人たちが多いからこそ、あのような番組が成り立ったのでしょう。

しかし、ドラマとしては時代劇がほぼ終了し、2時間サスペンスも昔のように制作できないとなると、今後のテレビドラマはどうなってしまうのか、本気で心配になってしまいます。バラエティや若年層を主なターゲットにしたドラマで十分というならそれでもいいでしょうが、そうなると他の民放とは毛色が違ってきて、ドラマ視聴者の棲み分けが起こるような感じもあります。今後、船越英一郎さんが主演のきちんとしたサスペンスドラマがフジテレビで作られるのかどうか、それにも今後注目したいと思います。

(番組データ)

金曜プレミアム・芸能生活35周年特別企画 船越英一郎殺人事件 フジテレビ
2018/08/24 19:57 ~ 2018/08/24 21:55 (118分)
【配役】
船越英一郎…船越英一郎(本人役)
桜庭彩乃…夏菜
柳万奈美…内山理名
源田孝介…木下ほうか
花巻裕也…桐山漣
山村紅葉…山村紅葉(本人役)
萬田久子…萬田久子(本人役)
吉田鋼太郎…吉田鋼太郎(本人役)
内藤剛志…内藤剛志(本人役)
北大路欣也…北大路欣也(ナビゲーター)
【脚本】 波多野都
【編成企画】 加藤達也(フジテレビ編成部)
【プロデューサー】 平部隆明、大健裕介、白石裕菜、鈴木俊明(ホリプロ)
【監督】 猪原達三
【制作】 フジテレビ
【制作著作】 ホリプロ

(番組内容)

これまでの2時間サスペンス主演作は100本以上!“サスペンスの帝王”船越英一郎が芸能生活35周年を記念し、初めて本人役で主演に挑みます! 殺人事件に巻き込まれた俳優・船越英一郎は、2時間サスペンスで得た知識と経験を駆使して推理に挑みますが、次々と予想もできない危機に襲われ、船越自身が殺人事件の容疑者に!?本当に船越が犯人なのか!?事件の真相は!?フィクションの中にリアルが織り込まれる2時間サスペンス。船越英一郎芸能生活35周年を記念し、豪華俳優陣も本人役で集結です!

〈あらすじ〉

船越英一郎(船越英一郎)芸能生活35周年記念企画の2時間サスペンス『独身貴族探偵・桜小路優』の撮影が世田谷撮影所で行われていた。撮影現場セットでは、桜小路役の船越が事件のあったカラクリ屋敷について推理をしている。すると開かないはずの扉が開き、そこからテレビプロデューサーの遺体が倒れ込んできた。

悲鳴が飛び交う撮影現場。スタジオは一般人が出入りできない密室であることから、容疑者は撮影関係者・スタッフ・出演者と考えられ、船越自身も容疑者の一人となっていく。ドラマの撮影は中止に、ネットには殺人事件のあらましが詳細に報じられ、船越が殺人犯なのではという憶測が広まっていく。まさしく崖っぷちに立たされた船越は、長年経験した2時間サスペンスで得た膨大な知識を総動員し、難事件に立ち向かう。


単発人気クイズをレギュラー化することによって変わるもの

番組放送前に、この「99人の壁」という視聴者参加型のクイズ番組が2018年10月からゴールデンタイムでのレギュラー化が決定したという報道がありました。前回紹介したように、テレビマンとしての実績のないところから出てきた企画であり、司会となった俳優の佐藤二朗氏もこの展開にはびっくりしているのではないでしょうか。ただ今回の放送は、そうしたレギュラー化を睨んだ内容の手直しが随所に見られるものとなりました。

まずは、2回ほど番組で用意したマニアックなクイズについて、回答者の側からクレームが入るというケースが2件紹介されました。テレビ的には進行について、クイズ作者の作った問題こそが絶対で、それと違う回答をした場合は即座に失格という方向に行くべきなのですが、答えた内容が問題作成者の出した答え以上に詳しかったので不正解になったケースや、問題自体がクイズの問題としては不適切のいうケースが収録中に判明したのです。

このケースはそのまま放送され、番組側は「審議」の上、回答者が納得するような形での対応をして再開しましたが、100万円というお金を掛けてのチャレンジであるということもあり、あらゆる可能性を想定してクイズ問題を作り、少なくともクイズ問題自体の不備を現場で指摘される中で特定のチャレンジャーに対して明らかにえこひいきをしたり、逆に自らの間違いを棚に上げて正当な抗議を却下するような失態があると、レギュラー化した場合にはさらにネットで叩かれるような事も起こるでしょう。週一のレギュラー化を実現することになると、常に100名のマニアに100万円を獲らせないための高度な問題作りのクオリティが必要になります。その点をクリアにできたからこそのレギュラー化の発表なのでしょうが、今回の番組についてはその番組内容を垣間見せるようなクイズも放送されました。

番組前半はガチな一般視聴者に、番組データにあるToshlさんと能町みね子さんだけが入ってクイズを行なっていましたが、後半に出てきた多くの芸能人は私が入手したテレビ番組表の内容でもクレジットされていません。それぞれの人物に思い入れがある100人を集めたということなのですが、実際には勝俣州和さん(萩本欽一)、やくみつるさん(千代の富士)のように、テレビのクイズ番組で見ることの多い人が普通に出てきていて、さらにいわゆる物マネ芸人の方々が多数まじっていましたが、さすがにその方々は芸能人とは言ってもご本人ではないので実際にクイズに関係しなければ司会の佐藤二朗さんが話題にすることもなく、知らないで見ていた人は、「なぜ明石家さんまさんと大竹しのぶさんの娘であるIMALUさんが空気のように番組で触れられないのか?」と思っていた人もいるかも知れませんが、残念ながらその方はご本人ではなくIMALUさんの物マネをされるタレントの方だったのでした。

レギュラー化することになると、番組の認知度にもよりますが、当初は参加希望者が集まらない可能性もあります。そのために考えられた一策とも思えます。しかし、基本的にはギャラが発生しているかも知れない芸能人が100万円を獲っても、参加したいと思っている一般視聴者は萎えるだけなので、今後解答者として普通に予選を勝ち抜いた一般応募者の中にタレントを入れ込むのか、そんなところにも注目をしたいと思います。

個人的には毎週、出場者に賞金のチャンスが有るクイズ番組というのは、存在するだけ貴重なものだと思っているので視聴率が良くなって参加者が増えるようになって欲しいですが、マニアックなジャンルをどこまで許すのかというのもちょっと気になります。

というのも、今回の放送の中で「路線図」に特化したクイズに挑戦された方が見事100万円を獲得されたのですが、さすがに残りの99人の中に海外の路線図について少しなりとも知っている人がいなければ、今後は「いかに人がわかりそうもないマニアックなジャンルを設定するか」というキワモノクイズに終わってしまう可能性もあります。この点は十分に制作側でも考えるとは思いますが、視聴者が付いて行けないようなジャンルの場合、見ている人のためになるウンチクが紹介できるとか、あくまでテレビ的に面白いような形にしないと、見ている方でもわけがわからなくなります。

そうしたマニアックな点とのバランスをいかに取るかというのが、この番組が多くの人に支持されるかどうかにもかかってくると思います。今回はテレビ朝日の家族みんなで楽しめる「ミラクル5」の裏にぶつけてきましたが、できれば貴重なクイズ番組同士、お互いをつぶさないような編成で放送して欲しいということも合わせてお願いしたいですね。

(番組データ)

超逆境クイズバトル!! 99人の壁 夏の大花火【全員が敵!勝てば100万円】フジテレビ
2018/08/15 19:00 ~ 2018/08/15 21:00 (120分)
【MC】 佐藤二朗
【解説】 長嶋一茂  YOU  立本信吾(フジテレビアナウンサー)
【“無差別級”芸能人出場者】 Toshl(X JAPAN)  能町みね子  (※五十音順)
【チーフプロデューサー】 濱野貴敏
【プロデューサー】 木月洋介
【演出】 千葉悠矢
【制作】 フジテレビ第二制作室

(番組内容)

昨年の大みそか、今年の4月に特別番組として放送され、一部のテレビマニアやクイズフリークたちの話題をさらった早押しクイズ番組『99人の壁』。2018年夏、満を持して3回目のスペシャル放送が決定!MCは前回・前々回に引き続き俳優の佐藤二朗が務める。 早押しクイズ番組『99人の壁』は、100人の一般公募の参加者の中から選ばれた1名のチャレンジャーが、ブロッカーとなった残り99人の参加者を相手に早押しクイズで対決するというもの。チャレンジャーが5問連続で正解すれば賞金100万円をゲットできるが、1問目は25人のブロッカー、2問目は50人と増えていき、最終的には99人がブロッカーとなった“99人の壁”を乗り越えなければならない。 当然人数で圧倒的に不利なチャレンジャーに与えられた唯一のアドバンテージは、自分の「得意ジャンル」を指定してクイズに挑戦できること。“刀”“イントロ”“カーリング”などジャンルは何でもOK!自分のためだけに作られたクイズで100万円獲得を狙うことができるのだ。 2時間放送の今回は2部構成でお届け。参加者100人の個性あふれるジャンルで対決する〈無差別級〉に加え、平成最後の年にちなんで“安室奈美恵”や“イチロー”など“平成時代に活躍した日本人”に詳しい100人を集めた早押しクイズバトル〈平成の日本人編〉も開催する。


フジテレビの新しい番組制作の試みに拍手

この番組はたまたま新聞のコラムで成り立ちを知ったことをきっかけにここで紹介させていただくものです。現在の民放の視聴率トップと言えは言わずと知れた日本テレビで、春の改変期の現在でも、人気番組が多いためか多くの番組は継続ということになっており、そこまで変化というものが見えませんが、フジテレビだけは違います。

古くは「笑っていいとも!」、今年に入ってからは「とんねるずのみなさんのおかげでした」「めちゃイケ」「ウチくる?」、さらにBSで放送されていた「ポンキッキーズ」も終了し、その後の展開をどのようにして視聴率を回復させていくのかというのは、今後地上波のテレビを見ていく中での個人的な興味にもなっています。

新聞のコラムによると、今回紹介する「99人の壁」という番組は2017年の大晦日に放送されて好評を博し、今回が第2回目になりますが、実はこの番組は入社2年目の社員のプレゼンが番組としての形になったものなのだそうです。今回が初見という方の中には番組内容を見ても良くわからないところがある方もいるかも知れませんが、恐らく見続けていくうちにその面白さに引き込まれていくだろうと思います。

クイズとしての面白さももちろんありますが、100人いる出演者でありクイズ回答者がこの番組のキモのように思えます。オーディションをしていかに番組が面白くなるかを考えて人選をしていると思うのですが、100人の回答者にはそれぞれ自分の得意とするジャンルがあり、なぜそのジャンルを選んだのかにもドラマがあり、クイズを答えていく中でパーソナリティがはっきりとしてきます。さらに出演者は司会者にやじを浴びせるガヤとしての役割も持つため、うまく収録を編集していけばかなり面白い部分を抜き出して楽しめるものとなるでしょう。というか、今回の放送はそういう意味でも十分楽しむことができました。

番組を見た方ならお気付きでしょうが、今回の番組ではかなりの部分を切って編集しており、それはあまりにもガチすぎてブロックする側の回答者がつまらないミスを連発したり、どんどんチャレンジャーが変わっていくことが繰り返されるだけの状況が今回の番組でもあったことが想像できます。素人いじりのうまさを見せてMCとしての評価を上げた俳優の佐藤二朗さんでもどうにもならない中だるみの状況があったかとは思いますが、そういった部分は削った方がテレビを見ている側としては有難かったりします。

さらに、今回は特別ゲストとしてギャラを貰って(回答者として出演した方の中にはノーギャラでオーディションから参加した能町みね子さんのような方も出ていたので)クイズに挑戦するゲスト回答者のコーナーも有りました。

今回はゲストが出てくる前に、前回の出演で全く実力を発揮できなかった切手通の出演者が百万円を獲得したこともあり、さらに出演者はゲストの存在を全く知らされていなかったため普通に場内が盛り上がっていましたが、さらにXジャパンのToshiさんのクイズのお題が音楽関係でなく「ガトーショコラ」というのも意外でしたし(結果はまさかの5問連続正解で百万円獲得でした(^^))、そこからゲストの人間性が垣間見える感じがしてチャレンジはかなり見ている人にとっては面白く見られたと思います。

そういう意味でもこの番組は単なるクイズ番組ではなく、1人のチャレンジャーの人間性を見せてくれるものであり、今後のさらなる番組としての発展が期待できると思います。今後も回答者のオーディションを丁寧に行ない新たなキャラクターを開拓し、今までクイズとは無縁だと思われた人と出演交渉をするなどして、今度は秋にでもさらにパワーアップした内容で楽しませていただけると嬉しいですね。

(番組データ)

超逆境クイズバトル!!99人の壁・春の乱【1人VS99人!全員敵の新型クイズ】フジテレビ
4/5 (木) 22:00 ~ 23:34 (94分)
【MC】 佐藤二朗
【スペシャルワンマッチ・ゲスト】 滝沢カレン  Toshl  長嶋一茂  (五十音順)
【チーフプロデューサー】 濱野貴敏
【プロデューサー】 木月洋介
【演出】 千葉悠矢
【制作著作】 フジテレビ

(番組内容)

挑戦者1人VSブロッカー99人の早押しクイズ!挑戦者は5問連続正解で100万円!99人を撃破し100万円を獲得するのは誰か!?俳優・佐藤二朗が司会

MCは、俳優の佐藤二朗が務めます。  この早押しクイズは、100人の一般公募の参加者の中から選ばれた1名のチャレンジャーが、それを阻止しようとする99人のブロッカーを相手に早押しクイズで対決するというもの。

見事5問連続で正解すれば賞金100万円をゲットできるのですが、1問目は25人のブロッカーが2問目は50人と増えていき、最終的に99人となります。その“99人の壁”を乗り越えなければなりません。当然、人数で圧倒的に不利なチャレンジャーに与えられた唯一のアドバンテージは、自分の“得意ジャンル”を指定してクイズに挑戦できることです。“将棋”“刀”“イントロ”“カーリング”などジャンルは何でもOK!

自分のためだけに作られたクイズで100万円獲得を狙うことができるのです。今回のスペシャルではボーナスステージとして芸能界から3人のスペシャルゲストが参戦。Toshl、長嶋一茂、滝沢カレンが、スペシャルワンマッチで「このジャンルならば誰にも負けない自信がある」という得意ジャンルを掲げて、99人の壁に挑戦します。芸能人たちのガチファイトにもご期待ください。


体力勝負で勝てない「卓球」の魅力

現在の日本の卓球ブームは当時小学校に上る前だった福原愛さんがテレビで大人のタレントと卓球勝負をして、「泣き虫愛ちゃん」として有名になったことから始まったのですが、最近は14歳で全日本卓球選手権の男子シングルスのタイトルを取ってしまった張本智和選手の人気もあり、今までの女子だけではなく男子にも注目が集まり、テレビでも卓球をバラエティーの企画にすることは当り前になりつつあります。

そんな中、ここでぜひとも紹介したいほど面白かったのが、元ボクシングの強い世界チャンピオンだった長谷川穂積さんが本格的に卓球の上達を目指して専用の練習場を作ったり、専属のコーチを雇って強化しているという話の中から、長谷川さんが芸能界最強と考える落語家の三遊亭小遊三さんとの芸能界ナンバーワンをかけた11点先取の2セットマッチが実現したのでした。

ちなみに、三遊亭小遊三さんは山梨県から国体に出場したほどの卓球の実力の持ち主で前回の東京オリンピックの聖火ランナーとしても走ったという山梨県内では知られた実力者でした。

ただ、現在の年齢は70歳ということで、37歳の長谷川さんと比べると明らかに脚力やパワーは劣ります。さらに試合前のVTRでは長谷川さんがまさにボクシング仕込みとしか思えない強打を打ち返すブロック技術や、相当威力のあるフォアハンドによる打ち込みを見て、これは小遊三さんも危ないのではないかと思った方も多いでしょう。しかし、対決はある意味勝負にならず、三遊亭小遊三さんの圧勝で終わりました。

まさに今回の番組はこの試合だけで見た甲斐があるというべきもので、単に力自慢の人が強烈な球を打つように練習していても、経験がある人が相手だったら全く歯が立たないスポーツであるということを証明することになりました。これが格闘技系のスポーツであったなら、ここまで長谷川さんもこてんぱんに負けることはなかったでしょうが、卓球はいかに先手を取って攻めるか、さらにその戦術はチェスに例えられるように理詰めなパターンもあります。

番組を見た方ならおわかりでしょうが、小遊三さんは強打は打つものの、その前後には力を抜いて無理をせず打ち返していましたが、長谷川さんは力任せに打つのが目立ちました。さらに、対策をしていないサービスでチャンスボールを呼び込むと、左側に寄って構えている長谷川さんをあざ笑うかのように、台の右端を狙ってストレートの「軽打」を叩き込むのです。正面で受けられれば長谷川さんにも返すすべがあるでしょうが、小遊三さんはできるだけノータッチで抜けるようなコースをねらって自分の体力と相談しながら軽打を打っているのがわかりました。

お二人のプレースタイルは昔の日本選手が採用していたものの、いまでは使う人の少ない「ペンホルダー」のラケットを使う攻撃型同士のものでしたが、私がさらにびっくりしたことがあります。長谷川選手のプレースタイルはフォア側に来たボールは強打で振り抜くものの、バック側に来たボールについては強打ができにくいのでブロックで当てて返すだけというかつての日本卓球の戦術をなぞっていたのに対し、小遊三さんは同じペンフォルダーでも裏面にもラバーを張り、サービスを裏面に当てて出すだけでなく、最近の日本選手がやることで有名になった「チキータ」と呼ばれる裏面を使った打法までものにしていたのです。これではいかに長谷川さんが若くて体力があっても勝てるわけがありません。

もし長谷川さんがサービスのときだけでも主導権を取り、相手のバック側を攻めて軽打を打たせないようにできればもう少しいい勝負になったのではないかと思いますが、それにはやはり相当な練習が必要で、すぐに芸能界の卓球の勢力図が変わることはないでしょう。個人的には長谷川さんはペンフォルダーでなく、張本選手や水谷選手のようなシェイクハンドラケットに変えてフォアでもバックでも振り回してパワーで小遊三さんを粉砕するくらい力をつければ面白いと思いますが、それと同時に打球のコースを計算して相手を追い詰めるような戦術も考えていかないと、経験豊富な小遊三さんにあしらわれるだけだと思います。

そう考えると、ある程度の経験を積めば素人に毛が生えたような体力自慢の人との対戦ならめったに負けないのが卓球の醍醐味であり、生涯スポーツとして大人になってから始めてもそれなりに楽しくできるということもあります。実は愛ちゃんがテレビでタレントを相手に試合をした時も、大人が真面目にやっても小学生に歯が立たないというところがあることで、まさに幼稚園児から80歳を超えても試合としてそれなりに成り立ってしまうことがあるというのが今回の特別試合によって多くの人が理解したのではないかと思います。

それとは別に、今後の長谷川穂積さんの卓球修行がどうなるかというのも気になります。おそらく、福澤朗さんあたりと試合をしても勝てないと思いますので、次は長谷川VS福澤というカードをマッチメイクしてくれるテレビ局があればお願いしたいですね。

(番組データ)

アウト×デラックス【夏菜テレビに毒吐きまくり!VS遠野なぎこ朝ドラ女優の悲哀】フジテレビ
2/15 (木) 23:00 ~ 23:40 (40分)
【MC】矢部浩之   マツコ・デラックス   山里亮太(南海キャンディーズ)
【ゲスト】  黒木渚   夏菜   長谷川穂積     (※五十音順)
【特別出演】  三遊亭小遊三
【アウト軍団】  大鶴義丹   加藤一二三   栗原類   ジャンボ織田信長書店ペタジーニ   高橋ひとみ   塚田僚一(A.B.C-Z)   遠野なぎこ   ミラクルひかる   矢部みほ
【チーフプロデューサー】  中嶋優一
【プロデューサー】  瓜生夏美   林田直子   児玉芳郎   大江菊臣   小林靖子
【演出】  鈴木善貴
【監修】  渡辺琢
【制作】  フジテレビ

(番組内容)

独特の世界観を持って生きているこだわりの人たちを招き、矢部浩之、マツコ・デラックスとアウトなトークを展開するトークバラエティー『アウト×デラックス』。バーのようなリラックス空間にリニューアルした新セットで、今回もゲストがアウト・トークを連発します!  ◆シンガーソングライターとして注目される黒木渚が、音楽よりも聞きたい他人の〇〇とは!?アウト軍団No.1に輝くのは!?

◆超高速連打、絶妙なカウンターパンチ、卓越したディフェンステクニックとスピードを誇る元・ボクシング世界三階級制覇王者の長谷川穂積が、現在卓球で芸能界No.1の三遊亭小遊三とマジ卓球対決!果たして気になる結果は!?  ◆最近、バラエティー番組に多く出演している夏菜!元・朝ドラヒロインが、各局のバラエティー番組に出演する中で見つけた局ごとの特性とは!?


「ナショナルジオグラフィック」をそのまま流すのは間が持たないから?

米村でんじろうさんのショーアップされた科学実験というのはなかなかテレビ映えするもので、これまで多くのバラエティ番組で披露されてきました。基本的には超魔術よりわかりやすく、自分でも同じことがやれそうなものでもあるわけて、教育番組としても見ることができます。

放送前に何度も流された番組の宣伝に使われていた映像というのが、バイキングの小峠英二さんやあばれる君の頭にジェルを塗り、その上でキャンプファイヤーのような木を組んでそこに点火した様子で、番組ではその炎でオムレツを作るのには笑ってしまいましたが、実は面白かったのは実験ではなくて出演したタレントさんのリアクション芸にあったというところもあります。もっとも、そんな面白さを狙って作られたのがこの番組なのですが、流石に3時間スペシャルにするとそれだけでは間が持たなくなるので、「VS世界の科学者」として世界各国から様々な科学実験ビデオをYoutubeやInstagramあたりを中心に拾ってきて、出演した方々皆で見てリアクションを取ったり、実験のからくりをでんじろう先生が見やぶり、素材よりももう一つ味を付けて再現してみるという、いかにもお金を節約したという感じの番組になっています。

その中でも驚いたのが、日本ではCSで有料放送されている「ナショナルジオグラフィック」の番組のハイライトをそのまま皆で見ていた時間があったことです。「世界の面白ビデオ」を皆で見るという方がより安直なのですが、今回の場合は別に「ナショナルジオグラフィック」を見て楽しむという番組ではないので、どうせならでんじろう先生にもっとギャラをはずんでやって「ナショナルジオグラフィック」やインターネットの動画を省いて本格的な実験番組にしたらいいのにと思ったのは私だけでしょうか。

私自身途中から見たので偉そうな事は言えないかも知れませんが、あえて印象に残ったといえば小峠さんの熱がり方と、村上佳菜子さんは今後もバラエティ番組に呼ばれて人気者になっていくだろうなということだけでした(^^;)。彼女は日本テレビ「メレンゲの気持ち」でもメインMCとして出演されていますし、オリンピックのメダルとは縁がなかったものの、今後はタレントとして花が開いていくんだろうなという感じがします。

と、本来の実験以外のところに興味が向いてしまうバラエティというのはどうなんだろうと見ていて思いましたし、「VS世界の科学者」の部分をなくした1時間番組くらいで見るべき番組だったのではないかというのが偽らざる見ての感想でした。今のテレビというのは今回取り上げられたような、ネット上にあふれる動画に負けているから見られなくなっているわけですから、テレビでしか見られないもので少なくとも勝負して欲しいですね。

(番組データ)

金曜プレミアム・でんじろうVS世界の科学者!実験トリックを全て解き明かすぞ3時間SP フジテレビ
2/2 (金) 19:00 ~ 21:49 (169分)
【進行】 米村でんじろう  新井恵理那
【ゲスト】 梅沢富美男  松坂桃李  村上佳菜子  澤部佑(ハライチ)  小峠英二(バイきんぐ)  あばれる君

(番組内容)

米村でんじろう先生の代名詞でもある「笑えて学べる科学実験」をもとに、世界中の科学者が自慢の科学を持ち寄り登場し、検証していくサイエンス・バラエティー番組。 スタジオに登場する芸人たちとでんじろう先生による“爆笑実験”の数々だけでなく、日本全国、さらには世界の科学者たちがでんじろう先生に挑戦状を突きつける!科学者だけでなく、YouTuberや東大生の発明家らが、最新のユニークな実験を次々と披露。

果たして、でんじろう先生はその科学的な原理を解明できるのか!?また、TV初公開となるでんじろう先生とっておきの「科学実験」を披露!


お笑いは筋書きのないドラマもいい

今年の「明石家サンタ」は、プロ野球ドラフト会議で、番組レギュラーの木田優夫さんが明石家さんまさんのアドバイス通り左手でくじを引いたら注目の高卒ルーキー、早稲田実業の清宮幸太郎君を引き当てたのを生で見ていて、今年のクリスマスイブは何とか時間を作って見なくてはと思っていました。

案の上、毎年不幸な人に贈るプレゼントの中味の中に、交渉権獲得の書かれたカードが書かれていた封筒と、木田さんの左手を使ったグッズ類というものが混じっていて、その商品が当たった芸人さんが受け取りを拒否するということになり、果たしてこの商品をもらっていく人は出るのか? という興味の中番組は始まりました。

この番組の事を知らない人のために簡単に番組のルールを説明すると、一般の方と芸能人で受付電話番号を分け、毎年芸能人を含めたクリスマスイブの不幸自慢を行ない、深刻で笑えない不幸や、明らかにネタの不幸とか、純粋に面白くない不幸はNGとし、明石家さんまさんが認定した「笑える不幸」を告白した人には豪華賞品獲得のチャンスが与えられます(ハズレも有)。

そうして事前に募集したはがきや、当日電話をくれた人の中から適当に選んで番組でさんまさんが直接電話をし、不幸判定をしていくのです。毎年恒例で、さらにアシスタントの八木亜希子アナウンサーも局アナ時代からの安定したツートップで不動のキャストとして番組は進みます。

2017年の内容を一通り見終って感じたことは、仕込んだりネタを事前に考えていろいろやるのも面白いものの、偶然の面白さにはかなわないという事でした。最初の頃にさんまさんの番組をほとんど見て「予習」しているような男性がいまして、名前・年齢・職業の全てに真面目に答えずに、今年テレビでさんまさんがいじった特定のネタ話を連発した男性がいました。

個人的にはこの方の不幸話も作りものくさいと思ったのですが(^^;)、ともかくさんまさんから合格のお墨付きをもらって、豪華賞品のパネルの番号を選ぶ際、「娘の誕生日が10月10日なので‥‥4番」とここでもボケをかましたところ、何と4番のパネルの裏には「ハズレ」の文字が(^^;)。ちなみにそのまま10番を選んでいたらその方は「ジュエリー」を獲得するはずでした。あんまり調子に乗り過ぎると後でしっぺ返しに遭うという危惧が現実のものになってしまったのですが、さんまさんのテレビを良く見ていない人が一連の下りを見たら最後に大爆笑できたと思います。

さて、今回のハイライトは職業自体が不幸ネタということで、「東芝」という社名を言ったとたんに合格になった男性です。この方は前の方とちがってハズレでなく豪華賞品が当選したのですが、当たったものが事もあろうに、東芝が身売りを発表した白物家電のメーカーで三洋電機を過去に買収して世界シェアNo.1になったハイアールの家電セットだったのでした。

ちなみに東芝の白物家電の身売り先は、ハイアールに続き世界No.2のシェアを持つ同じ中国企業の「美的集団」です。さらに言うと、ハイアールが三洋電機を買収する2011年以前には、家電量販店のブランド評価では、日本企業からは大きく劣り、品質も安かろう悪かろうという印象がありましたが、最近では三洋のAQUAというブランドを手に入れた同社の製品は日本製品と同じくらいの値段で売られています。

そんなわけで、ハイアールといっても決してばかにするようなものではなく、企業としての信頼性も相当上がっているので、東芝の社員さんはいいものを当てたと思います。しかし改めてハイアールの製品を使ってみれば、今まで東芝を含む日本企業は何をやってきたのだろうと真剣に悩んでしまうかも知れません。もしかしたら今後ハイアールや美的集団の製品の方が日本の製品を凌駕する可能性だってあるわけですから。

しかし、こうした事を私が書けるのも東芝社員の方が豪華賞品の中からハイアールの家電セットを当ててしまったから起こったことなので、改めて偶然は恐ろしいと思うとともに、偶然出てきたお笑いには勝てないところも多いなという事を改めて感じてしまいました。元々この番組はそうした偶然性に支配されたお笑いを追求するようなところもあるので、今年の番組としては成功だったのではないかと思います。

(番組データ)

明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー2017【生放送で不幸話募集】 フジテレビ
12/25 (月) 1:00 ~ 3:00 (120分)
【司会】 明石家さんま  八木亜希子
【出演】 村上ショージ  松尾伴内  木田優夫
【プロデューサー】 中嶋優一  高橋味楓

(番組内容)

今年も、明石家さんま&八木亜希子司会でおなじみの『明石家サンタ史上最大のクリスマスプレゼントショー2017』を生放送でお送りします。  聖なる夜を寂しく、幸薄く過ごされている方の「不幸せ告白生電話」に明石家サンタが優しく耳を傾けるスペシャルナイト!ゲストや芸能人からの告白電話が突如かかってくるハプニング的サプライズは、生放送ならではの見どころ。

各電話の不幸せレベルに応じ、真心のこもったプレゼントを笑いの包装紙に包んでお届けします。番組ではクリスマスにひとり寂しくしているあなたの「今年1年間に身の周りで起こった寂しい話」を募集。クリスマスの夜に明石家サンタからステキな電話が入るかもしれません。