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要は大人は自分の若かった時代を懐かしむものなのだ

この番組は「不良」を正当化したり過去の「不良」の悪行を美化するものなのか? という風に感じる人がいるかも知れませんが、当時のファッションを紹介したり、彼らが住んでいたと思われる部屋を再現したセットに入り、マツコ・デラックスさんと土田晃之さんが懐かしそうにトークしている姿を見ると、単に出演者またはスタッフが青春時代を過ごしたその世代にとっては「古き良き時代」を懐かしんでいる自己満足に近い番組だろうと思いながら見ていました。

というのも、番組の中で「昔はヤンキーの喧嘩は一対一だった」「ヤンキーは今より礼儀正しかった」というような発言がありましたが、それはあくまで出演者の側の感想であり、そうでない思い出を持つ人もいるはずです。思い出は美化されるものだとは言え、いじめられたりカツアゲをされた側の人から見ると、被害を受けたことが「いい思い出」になるとは思えません。その点について、当時の常識からしても正しくない事をやっていただろう人達を持ち上げるこうした番組を作る難しさというのはあると思うのですが、個人的には「不良」の全てを否定的にとらえて糾弾しようとは思いません。番組内のコーナーで過去に販売されていたという本物の女性の暴走族の構成員に取材した紹介VTRなどは、これはこれで当時の風俗の貴重な記録であり、今の時代によく日の目を見たなと個人的には別の感動を覚えたりします。

今では限られた地域によっては残っている「文化」(この番組ではそのように扱っていたのでそのまま書いておきます)は、テレビニュースで中学の卒業式や成人式に「特攻服」を着て現れる若者を非難するようなスタンスで報道する方が多いのが普通なのですが、日本のバラエティーにはこうしたものを「やんちゃ」という言葉で片付けて大目に見るという風潮も一部にはあります。取り上げるテーマとしては興味深いもののクレームが来ることが予想される中でこの番組を成立させるために、この番組ではある技術が使われていました。

それが、番組内できわどい話題をしている時に出てきた注意テロップというもので、私は番組を録画していなかったので一言一句同じような形で再現はできていないかと思いますが、何回も以下のようなテロップが番組内で表示されていました。

「当番組が注目するのは不良の精神性や文化であり法律違反を肯定するのもではないことを明言する」

このようなテロップを出さなければ番組自体が放送できないという事情はあったのだろうと思いますが、まだこうした言い訳をすればギリギリこのような番組を作って放送できるだけいいのかなという風に思ったりもします。そもそも不良が文化なのか? という疑問を持つ方もいるかも知れませんが、例えばビートルズが来日する前後、エレキギターを持つだけで「不良」というレッテルを貼られた時代もありました。ビートルズの来日公演を見に行くだけで「不良」と呼ばれ、泣く泣くコンサートに行くことを諦めたケースもあったといいます。今から考えると、ロックをやったりビートルズを目の敵にする方が新しいカルチャーを理解せずに潰しにかかる勢力として批判されるべき存在ではなかったかと考えることもできます。

今の若い世代の中にも目立とうと莫迦な事をやったり、かなり奇抜な格好をしてみたりする人がいると思いますが、現代はそういう事がインターネットで拡散されることによって、仲間うちの笑い話になることもなくなり、それこそテレビニュースで報道されたり、多くの人を巻き込んで炎上するような事になった話などは、後年になっても「昔はこんなことをして楽しかった」というような思い出にはならないでしょう。それどころか、若気の至りがそのまま未来永劫に動画や写真としてネットにアップされ、さらに名前や住所が特定されることになってしまえば、楽しかった思い出がたちまち消し去ろうとしても消せない暗い過去ということになってしまいかねないのが今の世の中だからです。

そういう意味からすると、今回の番組に出てきた大人たちは、自分達だけ昔話を楽しんでいてずるいというような感想を持つ人もいるかも知れませんが、それはちょっと違います。自分達だけでちょっとまずいかな? と思ったことはtwitterにもInstagramにも投稿しないであくまで仲間うちだけの秘密の楽しみにするような形で行なえばいいだけの話です。ほとばしる感情をより広く伝えられないもどかしさはあるかも知れませんが、それが現代の不良が生き残り新たな文化を作り出していくカギになるような気がします。一つ言えることは、本当にすごいことは自分でネットにアップして拡散するような事をしなくてもテレビの方から取材に来るという事です。そういう意味では、多少世の中からはみ出しているような行動をする若年層のやっている事を一概に糾弾するのではなく、その中に何か光るものがあった場合それを指摘して褒めるような事も今後のテレビはやっていった方がいいのではないかという気がします。

最後に一つ、残念だったのが番組が何とも中途半端に終了してしまったことです。コメンテーターの言葉も相当カットされていたような感じがして、最後にVTRが出ていた当時の不良のアイドルという女性が現在の姿を披露したところでもうエンディングロールが出てきたので、この女性は何のために番組に出てきたのか? という疑問が生じてしまったことも確かです。こういったテーマで語りたいことが製作者の側で多すぎ、尺の中に収まり切れないということのなのかも知れませんが、もう少しちゃんと番組を作ることが続編を放送するためには必要なことではないのかという気もして、最後の最後にちょっと違和感が残りました。

(番組データ)

仲村トオルが地井武男にワッパを掛けられた時代…とマツコ 日本テレビ
3/19 (月) 23:59 ~ 0:54 (55分)
【司会】マツコ・デラックス
【ゲスト】土田晃之、岩橋健一郎(青少年不良文化評論家)、中森明夫(アイドル評論家)、阿部真大(東京大学卒・社会学者)
【演出】高橋敬冶(オフィスぼくら)、大輪和孝(ザ・ワークス)
【統轄チーフプロデューサー】森實陽三(日本テレビ)
【プロデューサー】鈴木淳一(日本テレビ)、山口敦司(ザ・ワークス)

(番組内容)

マツコが「不良が最も輝いていた時代」をディープに振り返る!ヤンキーの変形制服や憧れていたアイドルの変遷、そしてヤンキーの部屋を黄金比で完全再現!さらに(秘)ビデオも

パンタレイ…万物は流転する。この番組は「あるモノ」が最も妖しい輝きを放っていた時代をマツコがディープに振り返る。今回のテーマは「不良が最も輝いていた時代」。「変形制服」「裏ボタン」でヒエラルキーを紹介。またヤンキーの部屋を黄金比で完全再現!そしてヤンキー御用達の原付「クレージュタクト」にマツコが試乗!?さらにヤンキーが憧れたアイドルの歴史…工藤静香は凄かった!レディースアイドルの幻のビデオも登場!


オリンピック終わりに他局を巻き込んだとんでもない企画が

番組自体は先月末の放送でしたが、この文章を書くにはとにかく金曜日まで待とうと思っていたので、少々報告が遅くなりました。今回の放送は「長嶋一茂」氏の内面にまで突っ込んだ番組関係者の努力にまずは感謝したいと思います。

プロ野球選手としての長嶋一茂氏を知らない人は、この人はなぜこんなに偉そうなのかと思う場面がテレビを見ているとかなりあるように思えるのですが、朝のモーニングショーで政治や経済について辛口発言をしたり、番組の進行を無視して延々と違う話を振ってきたりしてもずっと金曜レギュラーを続けているこの人は一体何者だと思う一般視聴者に答えるような内容になっていました。

まずびっくりするのが、コメンテーターとして出演するにも関わらず台本も見ないで進行を妨げるようなコメントをするのが普通であるということと、その件で番組を止めさせられるということは今のところないという事実です。もちろん、他の出演者とは全く違うオーラを出してその自由奔放な言動を元日テレの看板アナウンサーであった羽鳥慎一さんがどのように面白おかしくまとめていくのかというのが金曜日のテレ朝のモーニングショーの見どころであるわけで、その役者としての才能は他に真似するような人がいないということもあります。

番組内ではそれだけでなく「長嶋一茂被害者の会」というのが主にテレ朝のモーニングショーのスタッフの中で作られているらしいことを紹介し(^^;)、特に気象予報士の河波貴大さんが、本来は全国の視聴者のために天気を伝えなければならないところを、金曜日には長嶋一茂氏の気まぐれで、彼の行く場所のピンポイント天気について喋らされたというように、本来は日本テレビ製作の番組であるにも関わらず、長嶋一茂氏が収録でなく生放送で暴れ回るテレビ朝日のモーニングショーをひとしきり紹介するような番組になってしまっていたのです。

ちなみに、金曜日の番組コメンテーターはエッセイストの吉永みち子さんと、テレビ朝日社員でネトウヨもその言動に注目するという玉川徹さんなのですが、特に玉川さんと長嶋一茂さんが一緒に喋りだしてしまうとさすがに制御が効かなくなる場合もあり、テレビ朝日としては玉川さんの発言だけに注目が集まらないように「毒には毒をもって毒を制す」という感じで長嶋一茂さんをキャスティングしているのかなとも思ってしまいます。

ただ、これだけでもすごいのですが、今回の番組ではなかなかテレ朝の番組でも言えない衝撃の事実が明らかになっています。というのも、毎週モーニングショーを見ていると、かなりの回で長嶋一茂さんがお休みしている時があるのですが、普通は番組がある時にはインフルエンザにかかったとかずっと出ていて夏休み冬休みの時期にならなければ休まないのが普通です。

しかし、長嶋一茂さんが番組を休む際には、出演している金曜日にスタッフに「来週は休むので」と言って勝手に休んでしまうのだそうです。その休みの理由は、ハワイでリフレッシュするからだということで、この番組内で他の出演者から大ブーイングを浴びた長嶋一茂氏は、「金曜の夕方から翌木曜の夜までという5泊7日では体が休まらない」「一週間体を慣らしてようやく翌週にリフレッシュできる」という事を話したのですが、本当に単なる遊びでハワイに行く時は番組を休んでまで2週間の予定でバカンスに行くんだということが明らかになったことで、この金曜日にテレ朝のモーニングショー内で羽鳥さんあたりから何か嫌味の一つでもあるかなと思ったのですが、そんな事は全くなく番組は進行していきました。

まさに、日本のプロ野球界に燦然と輝く長嶋茂雄氏の息子である長嶋一茂氏には誰も何も言えないまま来てしまったので、このようなテレビで変な人を見慣れている人からも一目置かれるような人間に進化してしまったのだということが今回の放送を見て良くわかりました。

ただ、今後の事を考えると不安材料がないわけでもありません。番組では「お坊ちゃま」という言葉を多用して2世であることを強調していましたが、今やそのキャラクターは流石に生放送では使うのに勇気がいるものの、何が飛び出してくるかわからず、本当のところ悪気はないだろうと思われる天性の明るさはテレビの企画で必要になってくることも多く、もし長嶋茂雄氏の身に何かあったとしても、長嶋一茂氏のテレビ出演にすぐに影響が出てくることはないと思います。

しかし、今回のテレビ番組ではあくまでも明るく「長嶋一茂被害者の会」という言葉が出ていましたが、年月とともに自分で言いたいことがなかなか言えなくなってしまっているのに更に今と同じように尺を取って自説を延々と語り続けるようになってしまうと、現場の評判もどう変わってくるかはわかりません。

長嶋一茂氏へのツッコミが明るい方に向かうのではなく、何らかのきっかけで暗い方向に向いてしまえば、そこは「文春砲」の出番となり本気の「長嶋一茂被害者の会」の座談会が匿名で語られ、記事として世に出るような事にもなりかねません。テレビを見ている側から言うとかなり不謹慎と取られるかも知れませんが、長嶋一茂氏が究極の素人コメンテーターとして政治家と堂々と渡り合う姿というのはある意味街のおじさんが直接政治や経済に対して物申しているという感じがするところでもあり、思想的なものを飛び越えた爽快感を感じることもあります。

とにかく、こんな面白い人をテレビがまだ十分活躍できるうちにパージすることのないように、週刊誌の方々は忖度し、テレビ業界の方も大変かと思いますが今までのように取りはからっていただければと思います。できればこの番組の感想を、来週あたりしれっと羽鳥さんが長嶋一茂氏のいない時に言っていただけると視聴者としては最高なのですが。

(番組データ)

今夜くらべてみました 長嶋一茂が言いたい放題!中村江里子&羽鳥慎一がクレーム! 日本テレビ
2018/02/28 21:00 ~ 2018/02/28 21:54 (54分)
【MC】徳井義実(チュートリアル)、後藤輝基(フットボールアワー)、指原莉乃(HKT48) 【ゲスト】中村江里子、長嶋一茂、羽鳥慎一/鈴木美羽、河波貴大
【演出】上利竜太
【チーフプロデューサー】伊東修
【統轄プロデューサー】南波昌人
【プロデューサー】原 司、合田伊知郎

(番組内容)

一茂お坊ちゃま伝説…実家は都内300坪の豪邸で庭に二宮金次郎&小学校でお年玉50万!全く怒らない父長嶋茂雄を一度だけ激怒させた思い上がり事件▽中村江里子パリ豪邸

スーパースター長嶋一茂が面倒くさすぎる!謎行動…朝瞑想で死ぬ&夜風呂でギリギリまで息止め「今日も生きててよかった」▽ネットでサプリ大量買い…80種類愛用の自称「サプラー」!でも正月から風邪気味?▽年7回もハワイ旅行で羽鳥MCのレギュラー番組欠席!羽鳥ボヤキ「みんな麻痺してる」一茂被害者の会も…▽中村江里子がパリの高級マンションでガチ格闘家のマンツー指導!パリで大人気の高級チョコ&ゼリーに徳井興奮!


一つのアイデアで状況は変わるのか

世の中の全てが数学の計算問題のようにはっきりした答えが出れば簡単でいいのですが、なかなかそうはいかないところに、社会の中で生きて行く面白さがあると紋切り型の感想を述べてしまいそうですが、今回紹介する「正解の出ない問題」という番組はまさに何が正解かわからない中、現状をアイデアだけで変えていく事を目指し、当代一流のクリエイターや映画監督、アーティストが1週間という期限の中で知恵をしぼって出したアイデアを実地検証していく番組です。

今回プレゼンをした方々のアイデアはどれも凡人には思い付かないものでしたが、特に関心したのが先日東京オリンピック・パラリンピックの開会式と閉会式の演出を依頼したことでニュースになっていた映画監督の山崎貴さんのアイデアでした。普段花を買ったことがない人に向けて、花に目を付けて極端に指向性のあるスピーカーから女性の声で「私を買って」と情に訴えることで花を買ってもらうというアイデアだったのですが、このようにアイデアを文字に起こしていても、こんな事で都会に暮らす人々が足を止めてくれるのか(検証は新橋駅構内のお花屋さんで行なわれました)とちょっと莫迦にしていたのですが(^^;)、何とCMプランナーの方々の普通にプレゼンを受けて素晴らしいと思ったアイデアよりも多くの売上を叩き出したのが山崎さんの「喋る花」だったのです。

実際に検証のVTRを見たところ、声を出す役の人はお客さんから見えないように隠れていて、お店の人もあえてこの「喋る花」には触れず、お花屋さんの前を歩いている人にピンポイントに呼び掛けるだけで、この売上げには喋りかける人の力量もあるとは思うのですが、見ていてはたと気付いたのが、言ってしまうと「喋る花」と会話している人は日常生活を普通に送っている中に突然ファンタジーな世界に迷い込んでしまった錯覚を覚えたのではないでしょうか。
花が喋るという仕掛けがわかったとしても、花自体はそこにあるわけで、そこで改めて自分の想いを花に託して伝えようという風に考えることによって花が売れていく様子というのはちょっと凡人には考えられない状況でした。と、同時に花屋さんの前でこんな素敵なファンタジーを生み出す山崎さんの力量にも感心しました。もちろん、このアイデアを継続して普通のお花屋さんで行なうことは難しいですが、今後世界に向けて日本をアピールする場で、果たしてどんなアイデアを出すのか、今から楽しみになっただけでもこの番組を見た価値はあったと思います。

他のアイデアにも本当に感心することが多かったですが、今回のアイデアを出した人選がいかにもアイデアを出しそうという人に依頼することで意外性が出なかったのが残念といえば残念でした。というか、この番組を見ながら私はある番組の事を思い出していたのです。アイデアをどんな人に出させるかをプロデュースすることで、単に番組の内容が良くなるだけでなくその後に続く大きな状況の変化を生み出す可能性もあることを覚えていたのです。

その番組とは今はやっていませんがNHK総合で放送されていた「仕事ハッケン伝」という番組です。この番組は基本的にアルバイト程度にしか働いたことがないだろうと思われるお笑い芸人さんにきちんとした企業に研修に行ってもらい、普通に働くことの尊さを芸人さんが感じたり、働くことに対する認識の甘さを企業担当者から指摘されて涙を流す芸人さんがいたり、反対に企業側の人が単にテレビではふざけているとしか思わなかった芸人さんの思わぬ能力に驚いたりするなど、見ている方も様々な「ハッケン」がある番組でした。

そんな中で、この番組に出たことで新たな才能を多くの人に知らしめた芸人さんがいます。それがお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さんが出演した回だったのです。当時のピースは相方の綾部さんの方が目立っていたように思え、又吉さんはサッカーが上手で北陽高校在学中にインターハイに出た経歴は知っていましたが、まさか企業の中でも十分やっていけるアイデアをひねり出す才能を持っているとはこの番組を見るまで全く意識していませんでした。

彼はローソンで働くことになり、何と「販売促進部」に配属されます。恐しいことに企画会議でアイデアを出すことを要求され、又吉さんはかなり追いつめられるのですが、会議に参加している社員もうなるような素晴しいアイデアを出し、そのアイデアは店頭のディスプレイに採用されることになります。テレビを見ている時には、これだけのアイデアを出せる才能があればお笑い芸人として煮詰まってもすぐにローソンが社員として迎えてくれるだろうと思っていましたが、お笑い芸人として煮詰まってしまったのは相方の綾部さんの方でした(^^;)。その時には執筆した小説が芥川賞を取るとは思いませんでしたが、その才能というのは業界では知っている人は多かったとは思うのですが、単にテレビのネタ番組を見ている人にとっては、この番組発で広く認知されたのではないかと思っています。

そんなこともあり、できれば当初はアイデアの「オチ担当」というようなポジションであっても、この人にアイデアが出せるのか? と思うような人にもオファーをして新たな才能を発掘するような方向でも面白いものになるのではと思いました。今回の番組を見ていると売上げが伸びるなら現実離れした人件費がかかっても面白ければいいという感じなので、職業として企業のためにアイデアを出している人でない人が出すようにした方が個人的には期待が持てます。

それにしても、アイデアを出すだけならお金もかかりませんし、そのアイデアで多くの人が幸せになるようなものが自分でもできるといいのですが。

(番組データ)

正解のない問題 日本テレビ
12/28 (木) 23:00 ~ 23:59 (59分)
【MC】劇団ひとり、佐藤栞里
【ゲスト】伊藤萌々香、小峠英二(バイきんぐ)、高田延彦、滝沢カレン
【キレモノ様】佐藤ねじ、たじまなおこ、松尾卓哉、山崎貴 ※50音順

(番組内容)

『何でもない日に花を買いたくなるアイデアを考えて下さい』世の問題に対し山崎貴監督CMクリエーター、各界の一流達が1週間考えたアイデアをガチプレゼン&実際に検証!

映画監督山崎貴、超有名CMの演出家、各界のキレモノ達に正解のない問題を出題!1週間考えに考え抜いたアイデアをスタジオでガチプレゼン!『何でもない日に花を買いたくなるアイデア』検証してみると心温まる意外な展開に!『バッティングセンターの新サービス』かつてないサービスにお客さんのテンション爆上がりでスタジオ爆笑!さらに!超大物歌手から持ち込まれた意外すぎる問題とは!?アイデア世界を救う…正解のない問題


日テレの「超能力」に関する「いいとこ取り」を敢えて指摘する

視聴率争いのトップを最近は走っている日テレの「いい加減的な面白さ」が濃縮されたような番組で、かなりぎりぎりのVTR出演する素人についてのツッコミがその面白さを支えているような感じもするのですが、放送される人にとってはたまったものではないでしょう。今回はだったら作る側もしっかり突っ込まれないようにしましょうよという話です。

同じような地域の取材や視聴者の投稿を元にしたネタの報告でVTRを作っていると、どうしても過去に他局や同局の番組でやったネタとかぶることもあります。今回出てきた品数の多いお好み焼き屋さんも、しれっと初突入のいうような感じで紹介していましたが、過去に見た事があるものを初めて取材が入ったかのように見せられても、「このネタ知ってる」で終わってしまいます。少なくとも番組制作をされる方は、そういった情報についても当然知っているはずですから、あえて知っていても知らないふりをして放送しているとしか思えない疑惑というのがこの番組については常につきまとってしまうのです。

そもそも、この番組で「再び」有名になった千葉のローカルタレントのJAGUARさんについて全国に紹介したのは、「ゆるキャラ」や「マイブーム」の名付け親としても有名なみうらじゅん氏であって、彼のテレビでの設定(JAGUAR星で生まれJAGUAR号で地球にやってきたなど)についてもみうらじゅんさんがそのストーリーに関与しているというのは公然の秘密であって業界の方なら知らないとは言えないでしょう。MCのマツコ・デラックスさんが千葉出身で見ていたということはあっても、初めてこの人を取リ上げるというような体で番組内紹介をするというのも何だかあざといと思ってしまったのでした。

最近ではそのJAGUARさんと千葉テレビの特番を行なったフリーアナウンサー田中美和子さんのことを、さもMCの2人が「あのおばさん誰?」というようなテンションで紹介していましたが、元東京ディズニーランドのアンバサダーということで千葉県とも大きな関わりがあり、長年ニッポン放送のお昼の番組「鶴光の噂のゴールデンアワー」でアシスタントを務めていて、多くのファンのいる有名人であることについては全くスルーしているのを見て、そんな番組のスルー疑惑は一層高まったのでありました。

そして、今回放送された視聴者からの投稿に答えるVTRの中で、「変な宿特集」というのがあったのですが、その中の一つとして出てきたのが、「その宿に泊まると誰でもスプーン曲げができるようになる」という宿を調べてきて欲しいという内容がありました。

私はテレビと関係なくこの宿の事は知っていたのですが、その宿は愛媛県松山市にある「松山ユースホステル」で、現在までこの宿が「ユースホステル」という形態を変えずに営業し続けているという事の方がびっくりしました。私自身はそのスプーン曲げを体験したことはありませんでしたが、宿主(昔から変わっていない)の集客を減らさないための営業努力という面は当然あるでしょう。

番組の中でその「誰でもできるスプーン曲げ」というものの種明かしをされてしまったのは残念ですが、そのVTRの中で流れていたのが、その昔「木曜スペシャル」という日本テレビの番組で、超能力者来たるということで日本に大ブームを起こした「ユリ・ゲラー」の出したレコード(現在はCDもあり)「ユリ・ゲラー」から「ムード」というBGMに乗せて彼が日本語で語っているだけの曲(?)でした。この曲をマツコ・デラックスさんが絶賛したのですが、それはそれとしてVTR上での松山ユースホステルの宿主の事をさもインチキのように紹介したのは、それは天に向かってつばを吐くような真似だと言わねばならないでしょう。

というのも、ユリ・ゲラーの曲げるスプーンこそ普通の人では曲げられない硬い材質のスプーンを使ってショーを行なっていたのだろうと思いますが、この番組をきっかけにして生まれたのが、家のスプーンをしこたま曲げてしまう「超能力少年・少女」の出現です。自宅だったり学校の給食で出たスプーンの中には軸が細く、子供の力でも簡単に曲がってしまうものもありました。その事に気付いた少年少女の中には、本当は力を入れて曲げているのに、さも超能力のように徐々に曲っていくように「演技」をすることで、自分にも超能力があるのだと周囲の大人に認めさせ、それでテレビにも出た人もいると思います。

その時、恐らくテレビ局スタッフの中には、これは明らかにインチキだと思っても、面白いからとそのままテレビでスプーン曲げをさせて、その子の人生を狂わせてしまった大人もいたはずではないかと思います。松山ユースホステルでの超能力ショーも、種を明かせば子供でも簡単に曲がるスプーンを一個500円で買わせて曲げさせるというたわいのないお遊びなのですが、そうした「インチキではないか?」と疑わせるには十分な宿の超能力ショーを全否定しながら、ユリ・ゲラーについては曲がらなかったら自分が調子が悪いからという言い訳を飲んでしまう(上記「ムード」という楽曲の中にそうした意味の言葉をご丁寧にユリ・ゲラー自身が日本語で喋ってくれています。YouTubeで「ユリ・ゲラー」と検索すれば誰でも聴けるので興味のある方は聴いてみて下さい。)日本テレビというのは、過去の番組制作への反省なしに今も番組を作り続けているのかと思ってしまいます。

(番組データ)

月曜から夜ふかし 日テレ
11/13 (月) 23:59 ~ 0:54
【MC】村上信五(関ジャニ∞)、マツコ・デラックス

(番組内容)

関ジャニ∞村上信五とマツコ・デラックスの2人がMC…世間で話題の件をあれこれ語り合うバラエティー