今回このブログで初めて「報道ステーション」に関しての感想を書こうと思ったのは、本日の夕方にたまたま生中継の元横綱日馬富士関と伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)が多くの記者を集めて行なわれた引退会見の様子を見て、強い違和感を覚えたからです。その時の事については以下のリンクをご参照下さい。
https://tvkansou.net/201711291355ytv
というわけで、番組が始まってメインキャスターの富川悠太アナウンサーは何と言うのか、涙目になって何も言わないのか、それとも苛立って殺気立っていた親方と弟子について批判すべきところはしっかり批判するのか、注目するところはまさにそこにありました。
番組の最初に富川アナウンサーは会見時に最前列にいたということを話した後にVTRに入りましたが、横綱による被害者への明確な謝罪はないことを報道したものの、テレビ朝日のカメラが富川アナウンサーも映しながら問題の場面に入る直前までの場面を映すも、生中継では流れた富川アナウンサーが怒られたシーンはバッサリカットしてそれでおしまいという大変残念な結果となりました。
テレビ朝日はかつて「大相撲ダイジェスト」という生ではありませんが、その日の幕内の全取組を解説付きで流した番組をやっていたこともあるので、大相撲界と良好な関係を続けていきたいという勢力の方が強かったと言うことができると思いますが、夕方の会見を生で見ていた者として言わせていただければ、何をびびって忖度してんのと思います。散々マスコミの役割だなんぞと言いながら、本日のような歯抜けの放送を良くやれたものだと逆に感心します。
そう考えると、よくこの「報道ステーション」を目の敵のようにしてネットで叩いている人達がいるかと思いますが、今回の報道姿勢を見る限りは、叩く価値がないだけでなく、話題に挙げることすら番組のエネルギーになってしまう可能性があるので、無駄に批判することは相手を利することだと思った方がいいような気がします。
とにかく、一番大切な部分をカットしたVTRの後でいくらもっともらしい事を言っても、あの親方のイライラした状況をそのままVTRでも伝えることができないようなら、報道番組たる看板を降ろすべきではないかと、そのくらい個人的には失望しています。このまま行けば日本相撲協会や力士らの悪い慣習は変わらず、正直者が莫迦を見るようなところに相撲界は陥っていってしまうかも知れません。もし今、自分の子供を大相撲に入れようか悩んでいる方々がいましたら、少なくともこの騒動の評価が出るまではご子息の進路については保留にしておくことを強くおすすめします。
(2017.11.30 追記)
テレビ朝日系の番組としてもう一つの注目は、朝のワイドショーである「モーニングショー」でどのように報道するかということでした。結果は同じくVTRで流すことはありませんでしたが、パネルの中で親方のイライラした言動については一応触れていました。
しかし、これはテレビの世界においてちゃんとした素材があって、その部分を流すことによって誰にも同じようにわかるという点で、流さなければいけなかったVTRだったのではないかという思いは変わりません。何の後ろ盾もない兵庫県会議員の野々村議員のVTRや船場吉兆の会見のVTRはもういいといえるほど繰り返し流すのに、きちっとした後援会の組織があり、中には直接テレビ局に圧力をかけられる可能性がある場合は、あくまで伝聞の形でVTRを流すことができないのだというのが今回の騒動から見えてきたことでもあります。
(番組データ)
報道ステーション テレビ朝日
11/29 (水) 21:54 ~ 23:10
【メインキャスター】富川悠太(テレビ朝日アナウンサー)
【サブキャスター】小川彩佳(テレビ朝日アナウンサー)
【コメンテーター】後藤謙次(ジャーナリスト、共同通信社元編集局長)
【スポーツ】松岡修造、澤登正朗、中山雅史、稲葉篤紀、前田智徳、寺川綾、寺川俊平(テレビ朝日アナウンサー)
【気象情報】喜田勝(気象予報士)、森川夕貴(テレビ朝日アナウンサー)
(番組内容)
横綱・日馬富士が引退届を提出、午後には会見…自らの思いをどう語るのか▽挑発を止める手立ては?北朝鮮が弾道ミサイル発射…どうする?日本とアメリカ