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思い出の品はどう処分する?

前回の番組も面白かったですが、今回の断捨離シリーズ第3弾もいろいろ考えさせられる番組でした。今回の番組ではそれぞれの「思い出の品」をどう処分するか(処分しないで残すかというケースを含めて)についての話が心に残りました。

出演者として登場した俳優の鈴木正幸さん家族は引っ越しにともなって部屋数が少なくなる関係から断捨離を決断したのですが、その際に捨てようか残そうか悩んだものが、ドラマ「3年B組金八先生」出演時の台本とテレビ放送を録画したテープでした。

鈴木さんにとってはこのドラマに出演したからこそ俳優への夢をあきらめないで今回の取材を含めてテレビの仕事もある「思い出のつまった品」なので、普段見なければいらない品であることには変わらないのですが、捨てるのか残すのかで悩む中で一つの考え方として示されたのは「昔を懐かしんで気分が沈むものは捨てる」ということでした。

いわゆる「過去の栄光にすがる材料」になっているのなら置いていても今後の人生にとっては良くないので捨て、時々そうした品を見て、自分らしく生きて行くための糧になっているなら捨てずにとっておくのもいいという考えでした。

この考えは後に出てきた3家族にもあてはまることがあり、自分の今までの人生や肉親との思い出とともに捨てられないで溜まってしまっているものを捨てるべきか残すべきか選択を迫られます。エステで儲かっている時に飲食店に手を出し失敗した女性の方は、高いお金を出して買ったレストラン用の器具を捨てられなかったのですが、それは捨てるとまだ残っている借金を返すモチベーションが落ちると考えで残しておいたことが仇となり、エステの事業からもお客さんが逃げるという状況になっていたのですが、本来エステに通う人というのは日常の生活感を極力感じたくないものなのに、依頼者のサロンのあちこちに飲食店にあった道具などが散乱しているのを目にすれば、別のサロンに行きたくなってしまうのは仕方のないことでしょう。しかしこの依頼者も番組の力添えで何とか過去の忌まわしい思い出を断ち切り、今後のサロンの復活に期待が持てそうな感じでした。

親族の思い出が詰まった品々というのは魂がこもっていると考えてしまうとなかなか捨てづらいものです。しかし、その魂というものは人間の心の中にあるものでもあるので、番組では出てきませんでしたが、例えば自分の場合なら思い出のものの写真を撮り、それをクラウド上に保管していつでも見られる状況を作っておくことで、本体を捨てられるということもあるかも知れません。そうした「分身」ではダメだと思ったらその分は残せばいいのです。前回の番組もそうでしたが、自分で納得して自分で行動することが断捨離では大切で、決して肉親であっても「人のものを勝手に捨てる」というのはルール違反です。

特に今回の依頼者はそれぞれ断ち難い思い出を持ち、単に捨てたり残したりするのではなく実際に親の所に会いに行って話をする中で何を残し何を捨てるかということを自分で決めた上で断捨離を実行した女性の場合は、母親にずっと反発してきたのは、実は愛情の裏返しだったことにだんだん気付いていく様子というのはテレビを見ている多くの人にとって共感できるところだったのではないでしょうか。

そして、最初に紹介した鈴木正幸さんの大切な台本とビデオテープについては、捨てるというよりも地元の図書館への寄贈ということも考えたみたいですが、結局は自分の俳優人生を作ってくれたものとして台本の梱包の紐を解き、改めてビデオテープと一緒に自分の生活とともに今後も残すということに鈴木さんがご自身で決められていました。今後新生活をスタートするのを機に、いらないものを捨てたいと思っている方は多いと思います。この番組は捨てるための方法というよりも、決断を促すための心の問題を解くことで断捨離が進むことを示してくれています。BS朝日ではまた忘れた頃に再放送があると思いますので、もし放送に気付いた断捨離を行なおうと思っている方は、今回の第三弾はなかなか見ごたえがある回ということでおすすめだと紹介しておきます。

(番組データ)

ウチ、“断捨離”しました!3 BS朝日
3/22 (木) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【出演】やましたひでこ(断捨離 代表/クラター・コンサルタント)、鈴木正幸 他
【ナレーター】平泉成

(番組内容)

大好評企画の第3弾!挑戦するのは、「78歳建具職人が挑む!明るい“終活”にむけて!人生と家族の思い出を閉じ込めたままの家」「隠れモノメタボな家!隠されていたのはモノではなく母娘の確執」「再起不能!?ガラクタで埋め尽くされた名古屋のお城」の3家族。片付けを通じて家族の悩みと向き合う。 さらに、俳優・鈴木正幸さんが登場。母親との同居にむけて、思い出の品や食器類との“断捨離”に向き合う。

不要なモノを減らし、生活に調和をもたらすことを目指す「断捨離」を提唱するクラター・コンサルタントのやましたひでこのアドバイスのもと、片付けに悩む家族が整理整頓に挑む様子を追ったドキュメンタリー。年齢を重ねるに連れて増えていく、「思い出の品」や「捨てられないモノ」を片付けることで、自分が本当に望むものを見つめなおす。


見ながら身につまされる番組もたまには良い

実のところ片付けが苦手な私なのですが、一時期には部屋がゴミ屋敷まっしぐらだった状態を何とか脱して今ではやみくもに物を買ったり、しばらくすると確実にごみになるパンフレット類をもらってこなくなったことで、一応小康状態を保っています。しかし、今まで溜め込んだ物について、多少は処分したもののまだ無駄に物をかかえている状況に変わりはありません。

そんな私にとって、物を溜め込んでとんでもない事になっている3家族が、いかにして断捨離を実行し、物を捨てていくのかという番組のコンセプトには興味がありました。多くの人達がそうだと思いますが、片付けの重要性をわかっていても、日々の忙しさにかまけて十分に片付ける時間があるにも関わらず、私の場合はテレビを見ながらその内容をパソコン上でメモしながらブログネタを書いているうちに時間はあっという間に経ってしまうのです。

そもそも、物が捨てられないと悩んで、この番組に連絡した人たちが番組に登場しているわけで、まず大事なのは、今の生活を変えなければという意識をどう変えるかということが大切だとしみじみ思いました。そうして番組に登場した三家族は自らの問題点を挙げることができた時点で、問題の多くは解決に向かって動き出していたとも言えるでしょう。

ただし、家族の中に問題意識を持つ人がいても、全ての家族の意志が統一されているわけではありません。2番目に出てきたひたすらふなっしーとリラックマを二人の娘に買い与え、さらに自分の服や趣味の物をひたすら買い込んで溜め込むご主人は本当にいい味を出していました。番組に出て断捨離をしたいと考えた奥さんはご主人の行動が悩みのタネで、当初あまりにご主人の理解がなく、遂には本気の夫婦喧嘩をカメラを前にしてやってしまう始末でした。

ただ、本当に離婚の危機まで行かなかった理由というものが断捨離を提唱するやましたひでこ氏のアドバイスの中にあって、ご家族と生活している中で断捨離を実行しようと思っている方には参考になるのではと思います。というのも、親が子供の物を勝手に捨てたり、奥さんがご主人のものを捨てたり(逆も当然あります)するというのは断捨離のルール違反で、あくまで自分の持ち物だけを出したり捨てたりして、他人の物には手を付けず、自分の物は自分で考えた上で捨てるか残すかの判断をさせるのが基本なのだそうです。

このままでこの家族はどうなるのかと心配しながら見ていたのですが、時間を掛けながらも最初は全く言う事を聞かなかったご主人も、自分以外の家族の物がどんどん片付くのを見ている中で、ペースは遅いものの徐々に物が少なくなっていきました。

もうひとつ、断捨離を行なう場合のルールとして、ある程度空間に余裕ができるまでは、いらないものは全て捨てるようにし、時間も手間もかかる「売る」という行為に走らないというこのをやましたさんはおっしゃっていました。

いわゆるコレクションをする方の中には自分が高いお金を出して買ったものだからと、衣類を含めて今は中古ショップで買い取ってくれるものなら売りたいという気持ちはわかります。しかし、自分が中古品を買う時の事を考えた場合、やはりホコリの付いたまま売りに行くなんてのはできないので売る前の多少のメンテナンスをする時間が必要になり、それが空間をすぐに空けたい時間を阻害することになるのだそうです。

そして、よほどのブランド品や人気の品であればわかりませんが、普通の中古品はメンテナンスをしたところで「一山いくら」の世界である可能性が強く、お店まで行くための車のガソリン代にもならないかも知れません。そう考えると、そのままゴミとして何のメンテナンスもせずに出してしまった方が家計的にもお得になると考え方の転換をした方がいいのではとも思えてきます。

確かに家にある「いつかは使うだろう」と思って買ったものの中には、一度も使わないでホコリを被っていたり、ダブって存在するものもたくさんあるので、自宅でも使わないものは処分するということと、新しく気に入ったものについても何か買ったら何か処分するとかを考えて買わないと駄目だろうと思います。

そうした考えを突き詰めすぎるとまた問題が出るかも知れませんが、そもそも人間はそんなに広くない所であっても雨風をしのいで寝られる場所さえあれば生活はできますので、例えばキャンピングカーの中に収納できるものだけを残して、いざとなれば移動しながら生活することもできるくらいになれれば、それはそれなりに人生は楽しく過ごせるのではないかとすら思えるようになってしまいました。この番組はそう考えると実に深く「断捨離」という事について考えさせてくれる番組であり、次回の放送がもしあるようなら、その時には多少でも自分の部屋についてもいらないものは捨てるようにしておきたいなと思わせてくれた大変いい番組だったと思います。マンネリ気味の地上波のバラエティを避けてこちらを見て得るものは大きかったと感じています。

(番組データ)

ウチ、“断捨離”しました!第2弾~捨てられない3家族 片づけ密着ドキュメント~ BS朝日
12/7 (木) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【出演】やましたひでこ(断捨離 代表/クラター・コンサルタント)
【ナレーター】平泉成

(番組内容)

今年6月に放送して大好評だった「ウチ、断捨離しました!」第2弾!不要なモノを減らし、生活に調和をもたらすことを目指す「断捨離」を提唱するクラター・コンサルタントのやましたひでこのアドバイスのもと、片付けに悩む3家族が整理整頓に挑む様子を追ったドキュメンタリー。年齢を重ねるに連れて増えていく、「思い出の品」や「捨てられないモノ」を片付けることで、自分が本当に望むものを見つめなおす。

今回挑戦するのは…「あわや離婚!?もったいない!収集癖の夫で占領される家」「共働き・子供4人・祖父母同居 時間とモノがカオスな家」「女三世代受け継がれた婚礼布団に悩む家」の3家族。片付けることを通じて、家族の悩みと向き合う。