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10代の世代にテレビ時代劇をどうすれば見てもらえるか

今回主演した山本耕史さんは、NHKの大河ドラマや、単発の時代劇枠で主役を務めて人気のあるある意味無難な配役で、脇を固める人達もバイプレーヤーが揃っていて、民放での時代劇を何とか復活させようとする作り手の意気込みが感じられる番組だとまずは感じました。ただ、そのNHKでもいわゆるCSの「時代劇専門チャンネル」を契約して見るような人からすれば邪道とも言える10代から20代に人気のアイドルや俳優をキャスティングしたり番組テーマ曲を流したりして、若年層の引き付けに必死である中、BS朝日が行なった手は2つありました。

後に名奉行と呼ばれ、同名のテレビシリーズはTBSの作ったそのままの台本と音楽でNHKがキャスティングを代えただけで再ドラマ化した大岡越前(忠相)に関係する町娘として登場したのがAKB48の元メンバー渡辺麻友さんで、番組中のツイートの時点で「まゆゆ(渡辺麻友さんの愛称)」見たさにこの番組を見ている人がいることを示していました。こうした手法は、とにかく「人」を見るためだけでもいいから時代劇を見てもらいたいというスタッフの気持ちを感じることができました。

これは放送翌日の日本テレビ「メレンゲの気持ち」に親子で出演していた高橋英樹・真麻さんが語る中で高橋英樹さんの言っていたこととかぶる感じでした。英樹さんがいくら時代劇のスターと言っても、娘の真麻さんにとっては自分の好きなジャニーズのタレントと一緒に出ないので、友達に話しても自分の父親のテレビでの活躍を知らないと真麻さんが訴えたところ、すぐに英樹さんは恐らくバラエティ番組だと思いますがSMAPと共演することで自分の存在を娘に見せつけるだけでなく若い人の興味を時代劇に向けさせようと思ったのでしょう。時代劇好きな人にとっては10代20代のアイドルに時代劇のスターがわざわざ歩み寄ることはないだろうと思うかも知れませんが、すでに今回のようなスペシャル番組でしかテレビでの時代劇は見られないという状況を作ったのがそうした思い上がりとは言いませんが、自らファンを獲得する努力を怠った結果だったのではないかという反省があったことは確かでしょう。

恐らくBS朝日では、現在夕方に再放送している松平健主演の「吉宗評判記 暴れん坊将軍」のレギュラー番組での復活を目指しているのかも知れませんが、そのためには毎週続けて見てくれるコアなファンの中に若い世代を取り込んでいかないとだめだという気持ちがあるのでしょう。そうした事のためにもう一つ考えたのが、時代劇が好きでないと良くわからない登場人物同士の因縁や設定などをその都度解説しながらドラマを進めていくことでした。

今回はその解説役を落語家の林家三平さんが行なったわけですが、過去にTBSの「水戸黄門」でのレギュラー主演の経験があり、女優の国分佐智子さんとの結婚のきっかけも水戸黄門での共演だったということもあり、それなりに時代劇復活のために想いはあるのかも知れません。ただ、このキャスティングが10代の若者に刺さるのかどうかということも考えて欲しかったのは私だけでしょうか。10代20代にも良いイメージが有り、学校の歴史の授業のようにいかつくない状態で設定を理解させるようなキャスティングができれば、意外と歴史について興味がある若い世代を引き付けることは可能だと思うのですが。三平さん自体をディスる気は毛頭ありませんが(^^;)、何もかも時代劇を後世に残すためです。それこそ、時代劇出演経験はないものの若手の中で人気のある俳優・女優さんに解説をさせるとか、何とかして時代劇に興味を持つ人の幅を広げる試行が大切ではないかと思います。

もし今後、今のキャストで「吉宗評判記 暴れん坊将軍」として、まだまだ主要なキャストはいます。町火消のキャスティングもそうですが、その中で新たな人材も発掘しながら特に新しい「悪役」についても今有名な人を使うだけでなく、新たなシリーズから知名度が上がるようになれば、その時には世代問わず世に知られるようになり、時代劇の復活の芽も出てくるのではないかと思うのですが。

(番組データ)

4K大型時代劇スペシャル 「紀州藩主 徳川吉宗」
2019/02/08 19:00 ~ 2019/02/08 21:54 (174分)BS朝日
【脚本】長谷部幕臣王
【監督】濱龍也
【出演】山本耕史、渡辺大、渡辺麻友、芦名星、戸塚純貴、正名僕蔵、梶原善、津田寛治、宮崎美子、小野武彦、吹越満、中村梅雀 (他)
【解説】林家三平

(番組内容)

主演・山本耕史のほか豪華キャストが集結!徳川吉宗が若き紀州藩主だった時代の新たな吉宗像を描く!!紀州を狙う影の正体を探るため、身分を隠し調査を始めた吉宗は…。

時は宝永2(西暦1705)年、5代将軍徳川綱吉の治世。父、兄が相次いで亡くなり、21歳の若さで徳川御三家・紀州家藩主の座に就いた吉宗。綱吉に招かれた御前試合観覧の場で、のちに大岡越前となる大岡忠相と出会う。その頃、紀州の用人を狙う刺客が吉宗の家来を次々に襲っていた。藩主交代で不安定な紀州家を狙った、何者かの策略か。家来・小次郎からそれを聞かされた吉宗は、紀州の一般藩士を装って市中で調査を始める。

お金のかからない「トリビアの泉」は居酒屋トーク的クイズ

この「クイズ☆モノシリスト」という番組はいかにもBSらしい、お金を掛けずにアイデアだけでそれなりに成り立たせようと考えられた番組のように思えました。一応この番組のジャンルは「クイズ」になっていますが点数を競うわけでもなく、罰ゲームがあるわけでもなく、「モノシリスト」と呼ばれるパネラーがコースターに何らかのウンチクを含んだクイズを書き、そうしたクイズを出して全員で考えていくという、飲み屋ですぐ真似できそうな企画です。

恐らく地上波で同じようなウンチクを披露することになるとフジテレビの「トリビアの泉」のようになって、VTRを作るのにお金を掛けるようになり、別の意味で番組を続けることが大変になるようなことも出てくるのでしょうが、このシステムはゲストの人選をしっかりやっておけば、毎回違うジャンルの権威を連れてきて、翌日周りに話したいようなネタをクイズの形で提供してもらうことは可能でしょう。それはいつもテレビで見る有名な人である必要性はなく、お話好きな大学教授のような方や、マニアの中で有名な方をオファーして、まず視聴者が知らないような知識をクイズにして解説を他の出演者を巻き込んで行なえれば、さらに面白くなるのではないかと思います。

ただ、テレビを見過ぎている私にとっては、今回のBS朝日が満を持して放送した問題の中に、過去に別のテレビで放送した内容とかぶるものを見付けてしまいました。それは名字の「渡辺」さんに関わる問題で、NHKの「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」で放送されたものと全く内容がかぶってしまって興ざめしてしまいました。

この辺は盗作とは違いますが、番組のオリジナル性を出したいと思えば思うほど、番組担当者は他のクイズやバラエティで同じ内容を扱う企画がないかということを調べてから採用されるようにしないと、いかにBSとは言ってもちゃんと見ている人もいるわけですから、今後も内容が他番組とかぶらないように気を付けて欲しいと思います。

また、今回に限ってはスペシャルだからということもあるかも知れませんが、居酒屋のウンチクトークのような番組で2時間は見ていてかなりだれます(^^;)。出演者の方々は濃いメンツでお話される時には楽しいので、長い話も気にならないのかも知れませんが、テレビを見ている方としては、この種の番組の場合1時間が限度のような感じがします。ともあれ、今後のやり方によってはお金を掛けずに化ける可能性のある番組として今後チェックしていきたい番組ではあると思うのでこれから期待して見ます。

(番組データ)

[新]クイズ☆モノシリスト 初回スペシャル BS朝日
4/10 (火) 21:50 ~ 23:44 (114分)
【MC】いとうせいこう(クリエイター)
【モノシリスト】市川猿之助(歌舞伎俳優)、春風亭一之輔(落語家)、竹俣紅(女流棋士)、武井壮(タレント)、田中寅彦(棋士)、鈴木貴博(経済評論家)、原孝寿(KADOKAWA編集長)、能町みね子(コラムニスト)
【制作】BS朝日、イースト・エンタテインメント

(番組内容)

「寄席で一番最後に出る資格を持つ演者を表す、落語の真打ち、”真”って何?」「芝居が終わることを意味する、芝居がはねるの”はねる”とは?」など、歌舞伎界・落語界で使われる言葉に関するクイズが博識なモノシリストたちを唸らせる。他にも「動く歩道にスムーズに乗る方法とは?」「若者言葉”絶起”とは?」「142857という数字でしばらく楽しむ方法は?」など、すぐ試してみたい裏ワザ的クイズも!

主宰・いとうせいこう進行の下、各界を代表する知識人=“モノシリスト”たちが、無尽蔵の“とっておきモノシリ知識”をクイズ形式で出し合う、全く新しいクイズ番組!全員が出題者・解答者となって知識合戦を繰り広げる!さらに、問題をきっかけにモノシリストたちの雑学知識が次々連鎖。ここでしか聞けないオールジャンルの雑学クイズ満載で、貴方の知的好奇心をくすぐります。

思い出の品はどう処分する?

前回の番組も面白かったですが、今回の断捨離シリーズ第3弾もいろいろ考えさせられる番組でした。今回の番組ではそれぞれの「思い出の品」をどう処分するか(処分しないで残すかというケースを含めて)についての話が心に残りました。

出演者として登場した俳優の鈴木正幸さん家族は引っ越しにともなって部屋数が少なくなる関係から断捨離を決断したのですが、その際に捨てようか残そうか悩んだものが、ドラマ「3年B組金八先生」出演時の台本とテレビ放送を録画したテープでした。

鈴木さんにとってはこのドラマに出演したからこそ俳優への夢をあきらめないで今回の取材を含めてテレビの仕事もある「思い出のつまった品」なので、普段見なければいらない品であることには変わらないのですが、捨てるのか残すのかで悩む中で一つの考え方として示されたのは「昔を懐かしんで気分が沈むものは捨てる」ということでした。

いわゆる「過去の栄光にすがる材料」になっているのなら置いていても今後の人生にとっては良くないので捨て、時々そうした品を見て、自分らしく生きて行くための糧になっているなら捨てずにとっておくのもいいという考えでした。

この考えは後に出てきた3家族にもあてはまることがあり、自分の今までの人生や肉親との思い出とともに捨てられないで溜まってしまっているものを捨てるべきか残すべきか選択を迫られます。エステで儲かっている時に飲食店に手を出し失敗した女性の方は、高いお金を出して買ったレストラン用の器具を捨てられなかったのですが、それは捨てるとまだ残っている借金を返すモチベーションが落ちると考えで残しておいたことが仇となり、エステの事業からもお客さんが逃げるという状況になっていたのですが、本来エステに通う人というのは日常の生活感を極力感じたくないものなのに、依頼者のサロンのあちこちに飲食店にあった道具などが散乱しているのを目にすれば、別のサロンに行きたくなってしまうのは仕方のないことでしょう。しかしこの依頼者も番組の力添えで何とか過去の忌まわしい思い出を断ち切り、今後のサロンの復活に期待が持てそうな感じでした。

親族の思い出が詰まった品々というのは魂がこもっていると考えてしまうとなかなか捨てづらいものです。しかし、その魂というものは人間の心の中にあるものでもあるので、番組では出てきませんでしたが、例えば自分の場合なら思い出のものの写真を撮り、それをクラウド上に保管していつでも見られる状況を作っておくことで、本体を捨てられるということもあるかも知れません。そうした「分身」ではダメだと思ったらその分は残せばいいのです。前回の番組もそうでしたが、自分で納得して自分で行動することが断捨離では大切で、決して肉親であっても「人のものを勝手に捨てる」というのはルール違反です。

特に今回の依頼者はそれぞれ断ち難い思い出を持ち、単に捨てたり残したりするのではなく実際に親の所に会いに行って話をする中で何を残し何を捨てるかということを自分で決めた上で断捨離を実行した女性の場合は、母親にずっと反発してきたのは、実は愛情の裏返しだったことにだんだん気付いていく様子というのはテレビを見ている多くの人にとって共感できるところだったのではないでしょうか。

そして、最初に紹介した鈴木正幸さんの大切な台本とビデオテープについては、捨てるというよりも地元の図書館への寄贈ということも考えたみたいですが、結局は自分の俳優人生を作ってくれたものとして台本の梱包の紐を解き、改めてビデオテープと一緒に自分の生活とともに今後も残すということに鈴木さんがご自身で決められていました。今後新生活をスタートするのを機に、いらないものを捨てたいと思っている方は多いと思います。この番組は捨てるための方法というよりも、決断を促すための心の問題を解くことで断捨離が進むことを示してくれています。BS朝日ではまた忘れた頃に再放送があると思いますので、もし放送に気付いた断捨離を行なおうと思っている方は、今回の第三弾はなかなか見ごたえがある回ということでおすすめだと紹介しておきます。

(番組データ)

ウチ、“断捨離”しました!3 BS朝日
3/22 (木) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【出演】やましたひでこ(断捨離 代表/クラター・コンサルタント)、鈴木正幸 他
【ナレーター】平泉成

(番組内容)

大好評企画の第3弾!挑戦するのは、「78歳建具職人が挑む!明るい“終活”にむけて!人生と家族の思い出を閉じ込めたままの家」「隠れモノメタボな家!隠されていたのはモノではなく母娘の確執」「再起不能!?ガラクタで埋め尽くされた名古屋のお城」の3家族。片付けを通じて家族の悩みと向き合う。 さらに、俳優・鈴木正幸さんが登場。母親との同居にむけて、思い出の品や食器類との“断捨離”に向き合う。

不要なモノを減らし、生活に調和をもたらすことを目指す「断捨離」を提唱するクラター・コンサルタントのやましたひでこのアドバイスのもと、片付けに悩む家族が整理整頓に挑む様子を追ったドキュメンタリー。年齢を重ねるに連れて増えていく、「思い出の品」や「捨てられないモノ」を片付けることで、自分が本当に望むものを見つめなおす。

改めて人間の差別的言動について考える

番組はこの後に第二部もあり、紅白歌合戦の裏で行なわれた今は無き新宿コマ劇場での美空ひばりコンサートの様子を伝えるのですが、今回は美空ひばりさんの曲の中でも、放送でそのまま流せるのかと思っていた曲がこの「第一部」で流れたので改めてこの項目を起こしました。

ちなみに、その曲とはテレビ番組サイトが提供するデータの中には入っていませんが、昭和49年の「ひばりワンマンショー」の中の一曲「波止場だよ、お父つぁん」です。この曲は番組が収録された昭和49年には普通に放送で流れていたのですが、ネットで「放送禁止歌」で検索を掛けるとこの曲名が出てくるページがあります。

今回紹介する番組はBSなので地上波だとまた違うのかも知れませんが、今回は「不適切な語句がありますが当時のまま放送します」というようなテロップは入ったものの「ピー音」が入ることもなくそのまま問題の歌詞である「年はとっても盲でも」という部分がそのまま放送されていました。

以前、アニメの「妖怪人間ベム」を再放送したBS11のセリフ処理について紹介したような気がしますが、この辺はあくまで現場の判断に委ねられているような気がしました。ということは、この曲を始めとする「放送禁止歌」というのは言葉の通り放送では絶対に流せないものではないという事も改めてわかったわけです。

美空ひばりさんの「波止場だよ、お父つぁん」は、今の考え方でいくと視覚障害者に対する配慮を欠いた表現を作詞家の先生がしていたということなのですが、それは作詞家の先生の個人的問題だけとは言い切ることはできません。当時の日本の社会全体に、この歌詞に問題があると思う人がいなかったということでもあり、それが様々な議論がされる中で人々の意識が徐々に変わっていったという事として考えた方がいいでしょう。

日本の歴史の中で、体に障がいがある人というのは、現代の人権の考え方からすると不適当と思われるところがあったり、小さなコミュニティの中ではお互いに共生しているようなところもありましたが、基本的には異形の者として見ていたところは確かにあります。今回の放送で歌詞の字幕も付いた状態で「波止場だよ、お父つぁん」を流せたということからここまで考えられ、さらに40年以上前とはいってもそんなに今と変わらないだろうと思われても、やっぱりそこに生きる人の意識というのは今と違うし、社会もそんな感じだったということを現代を生きる人にも知らせることができたということでもあるでしょう。

これは、近代史や近代の風俗を調べたり、当時の社会的状況を知るという意味において大変に重要なところだと思います。ひばりさんの歌が最初から卑猥な表現を使ったり、過激な言葉を使ったりして「放送禁止」を狙うような歌ではなく、この歌がヒットした当時にはそのような差別的な意図がない中で歌われた曲に過ぎないからこそ、現場の判断でそのまま歌も字幕もカットされることなく流されたという事の意味を多くの方に考えていただければと思います。

この年末から年始にかけて、「テレビにおける差別的な表現」について、主にネットにおいてかなりの議論が出ています。ダウンタウンの年越し番組で出演者の浜田雅功さんがエディー・マーフィーさんの真似をするために顔を黒く塗った「ブラックフェイス」について「黒人差別である」と思う人が多くいるという事実をネットに書き込んだ人がいたことから騒ぎになりましたが、この事についても、改めて視聴者やテレビの制作者がこうした指摘を受け止めて、差別されたと感じた方々との相互理解を目指した話し合いが大切になることは言うまでもありません。

日本人が黄色人種として露骨な差別をされたことがあるという体験を持っている方は、海外へ渡った方を中心にしてその数は少なくないと思われますが、そうした事実や海外メディアのステレオタイプ的な日本人像についても議論の中で指摘することも必要ではないかと思う方もいるでしょう。

今回の場合は、アフリカ大陸から有無を言わさず連れて行かれ、奴隷という人間扱いされない扱いを受けたという負の歴史を背負っている国で暮らしている人達からすれば、ダウンタウンの番組は見るからにおぞましいと思う方もいるでしょう。そうした歴史がない中で日本人との交流を持ってきた国の人では肌の色が黒いということだけでは顔を黒く塗っただけでは差別だと思わない人もいることも確かです。今の世の中は日本の国内だけで発するものであってもネットにアップされるとすぐに広まってしまうため、やはりこうした状況になったらどうするかは考えておくべきでしょうし、今後同じような批判が出た時に、作り手の側から主張したいことについても考えておくべきかと思います。

ただ、こうした批判を受ける形でダウンタウンの番組が今年は作られなくなってしまうとしたら、私達はこうした議論の結末を迎えないまま中途半端な形で今後に同じ問題を残してしまうかも知れません。その点だけは避けて新たな問題提起というものを日本のテレビ制作の方々にもお願いしたいところです。例えばの話ですが、今年のダウンタウンの番組が続くとして、今回顔を黒く塗った浜田さんがあえて二年連続でエディー・マーフィーの扮装をすることにして、その際には顔の黒塗りはせず、収録前の何ヶ月か日焼けサロンに通い、松崎しげるさんやたいめいけんの茂出木シェフのような肌の色に焼いた状態でエディー・マーフィーさんの扮装をしたら今回の事で批判した方々はどのような反応をするのかちょっと興味があります。さらに直近でブラックフェイスをした人がテレビに出た例としては、ダウンタウン以前に昨年のテレビ朝日の名物ディレクター友寄氏のちょっと考えられない黒さについて(アマゾンの中で入れ墨に使う染料を顔や体に塗ったため黒くなった)、差別的だと批判を浴びるべき事例になるのかなど、議論をする余地は多く残されているように感じます。

そうした議論を封殺してまで白黒付けようとする人たちが今回の番組の構成に関わっていたとしたら、見ている側からすると不自然な形で「波止場だよ、お父つぁん」をカットしてしれっと放送してしまっていたかも知れません。日本人特色の曖昧さというものはしばしば批判の対象になることがありますが、そこから人間の本質に至る議論に持って行ける方法というものはないものかと、しみじみ感じるところです。

(番組データ)

美空ひばり 特別企画 大晦日・紅白と大勝負!伝説の“新宿コマ劇場ライブ”第一弾 BS朝日
1/8 (月) 16:57 ~ 18:54 (117分)
【ナビゲーター】下平さやか(テレビ朝日アナウンサー)

(番組内容)

紅白歌合戦の真裏でひばりが行った、公開生放送の貴重映像をたっぷりお届け!パート1では、昭和48年のワンマンショーと昭和49年の新宿コマ劇場でのライブをお送りする。

昭和48年から5年間、「紅白歌合戦」の真裏で生出演した、ひばり涙のワンマンライブ。ファンの間でも“極めて希少価値が高い”とされる貴重映像より、圧巻のステージをお届け!パート1となる今回は、昭和48年のスタジオでのワンマンショーと、昭和49年の新宿コマ劇場での大みそかライブをお送りする。

(主な曲名データ)

リンゴ追分、悲しい酒、ひばりのマドロスさん、三味線マドロス、港町十三番地、哀愁波止場、柔、悲しき口笛、東京キッド、私は街の子、ひばりの花売娘、花笠道中、あの丘越えて、真赤な太陽、ある女の詩、影を慕いて、リンゴの唄、星の流れに、王将

見ながら身につまされる番組もたまには良い

実のところ片付けが苦手な私なのですが、一時期には部屋がゴミ屋敷まっしぐらだった状態を何とか脱して今ではやみくもに物を買ったり、しばらくすると確実にごみになるパンフレット類をもらってこなくなったことで、一応小康状態を保っています。しかし、今まで溜め込んだ物について、多少は処分したもののまだ無駄に物をかかえている状況に変わりはありません。

そんな私にとって、物を溜め込んでとんでもない事になっている3家族が、いかにして断捨離を実行し、物を捨てていくのかという番組のコンセプトには興味がありました。多くの人達がそうだと思いますが、片付けの重要性をわかっていても、日々の忙しさにかまけて十分に片付ける時間があるにも関わらず、私の場合はテレビを見ながらその内容をパソコン上でメモしながらブログネタを書いているうちに時間はあっという間に経ってしまうのです。

そもそも、物が捨てられないと悩んで、この番組に連絡した人たちが番組に登場しているわけで、まず大事なのは、今の生活を変えなければという意識をどう変えるかということが大切だとしみじみ思いました。そうして番組に登場した三家族は自らの問題点を挙げることができた時点で、問題の多くは解決に向かって動き出していたとも言えるでしょう。

ただし、家族の中に問題意識を持つ人がいても、全ての家族の意志が統一されているわけではありません。2番目に出てきたひたすらふなっしーとリラックマを二人の娘に買い与え、さらに自分の服や趣味の物をひたすら買い込んで溜め込むご主人は本当にいい味を出していました。番組に出て断捨離をしたいと考えた奥さんはご主人の行動が悩みのタネで、当初あまりにご主人の理解がなく、遂には本気の夫婦喧嘩をカメラを前にしてやってしまう始末でした。

ただ、本当に離婚の危機まで行かなかった理由というものが断捨離を提唱するやましたひでこ氏のアドバイスの中にあって、ご家族と生活している中で断捨離を実行しようと思っている方には参考になるのではと思います。というのも、親が子供の物を勝手に捨てたり、奥さんがご主人のものを捨てたり(逆も当然あります)するというのは断捨離のルール違反で、あくまで自分の持ち物だけを出したり捨てたりして、他人の物には手を付けず、自分の物は自分で考えた上で捨てるか残すかの判断をさせるのが基本なのだそうです。

このままでこの家族はどうなるのかと心配しながら見ていたのですが、時間を掛けながらも最初は全く言う事を聞かなかったご主人も、自分以外の家族の物がどんどん片付くのを見ている中で、ペースは遅いものの徐々に物が少なくなっていきました。

もうひとつ、断捨離を行なう場合のルールとして、ある程度空間に余裕ができるまでは、いらないものは全て捨てるようにし、時間も手間もかかる「売る」という行為に走らないというこのをやましたさんはおっしゃっていました。

いわゆるコレクションをする方の中には自分が高いお金を出して買ったものだからと、衣類を含めて今は中古ショップで買い取ってくれるものなら売りたいという気持ちはわかります。しかし、自分が中古品を買う時の事を考えた場合、やはりホコリの付いたまま売りに行くなんてのはできないので売る前の多少のメンテナンスをする時間が必要になり、それが空間をすぐに空けたい時間を阻害することになるのだそうです。

そして、よほどのブランド品や人気の品であればわかりませんが、普通の中古品はメンテナンスをしたところで「一山いくら」の世界である可能性が強く、お店まで行くための車のガソリン代にもならないかも知れません。そう考えると、そのままゴミとして何のメンテナンスもせずに出してしまった方が家計的にもお得になると考え方の転換をした方がいいのではとも思えてきます。

確かに家にある「いつかは使うだろう」と思って買ったものの中には、一度も使わないでホコリを被っていたり、ダブって存在するものもたくさんあるので、自宅でも使わないものは処分するということと、新しく気に入ったものについても何か買ったら何か処分するとかを考えて買わないと駄目だろうと思います。

そうした考えを突き詰めすぎるとまた問題が出るかも知れませんが、そもそも人間はそんなに広くない所であっても雨風をしのいで寝られる場所さえあれば生活はできますので、例えばキャンピングカーの中に収納できるものだけを残して、いざとなれば移動しながら生活することもできるくらいになれれば、それはそれなりに人生は楽しく過ごせるのではないかとすら思えるようになってしまいました。この番組はそう考えると実に深く「断捨離」という事について考えさせてくれる番組であり、次回の放送がもしあるようなら、その時には多少でも自分の部屋についてもいらないものは捨てるようにしておきたいなと思わせてくれた大変いい番組だったと思います。マンネリ気味の地上波のバラエティを避けてこちらを見て得るものは大きかったと感じています。

(番組データ)

ウチ、“断捨離”しました!第2弾~捨てられない3家族 片づけ密着ドキュメント~ BS朝日
12/7 (木) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【出演】やましたひでこ(断捨離 代表/クラター・コンサルタント)
【ナレーター】平泉成

(番組内容)

今年6月に放送して大好評だった「ウチ、断捨離しました!」第2弾!不要なモノを減らし、生活に調和をもたらすことを目指す「断捨離」を提唱するクラター・コンサルタントのやましたひでこのアドバイスのもと、片付けに悩む3家族が整理整頓に挑む様子を追ったドキュメンタリー。年齢を重ねるに連れて増えていく、「思い出の品」や「捨てられないモノ」を片付けることで、自分が本当に望むものを見つめなおす。

今回挑戦するのは…「あわや離婚!?もったいない!収集癖の夫で占領される家」「共働き・子供4人・祖父母同居 時間とモノがカオスな家」「女三世代受け継がれた婚礼布団に悩む家」の3家族。片付けることを通じて、家族の悩みと向き合う。

新基軸の音楽バラエティは面白かったが仁義は切らなくて大丈夫?

過去にはCDで、さらに前の時代にはレコード盤で楽しんでいた音楽も、今ではインターネットのストリーミングでいつでも聴ける時代になってしまいました。しかし、その分楽曲を所有することに固執する人は減ってきたような気がしています。

さらに、一部のコレクターによるものかYouTubeには蓄音機にSPレコードを載せて演奏するところを動画にして公開しているものも少なからずあり、そうしてアップされている楽曲については十分パソコン上からも楽しむことができます。将来的にAIスピーカーに聴きたい曲名を喋ると、ネット上のサービスの中から該当の曲を流してくれるようなサービスが行なわれる可能性すらある今、「レコード発掘の旅」というのはどんなものかということで見てみたのがこの番組です。

現在のテレビ番組のスタイルというのは、例えば「路線バスの旅」というものが受けたらすぐに同じような番組が他の放送局でも作られて拡散されていく中で元祖の番組も埋没してしていってしまう傾向があります。そんな中で、なかなか新しいパターンの旅をテレビがやることは難しい部分もあると思いますが、今回のレコード発掘の旅は、一般庶民が集めたレコードの思い出をその演奏とともに蘇らせることのできるドキュメンタリーとしても見ることができます。

さらに、私の家でもそうですが、レコードがあってもそれを聴くための機器がなく、単にその場を占拠する粗大ごみと化している場合が多く、その中から想い出の一枚をターンテーブルに乗せたとたん、まさに時が戻ったように当時の曲が再生されるというシチュエーションは、それはそれでドラマチックであり、安い制作費でも魅力ある番組作りができるという一つの例であると思います。

番組ではまず、ディレクターがマイクを持って東京の商店街からスタートして色んな所にインタビューに出て、その方の思い出の曲を聴きながら、実際に自宅にレコードを置いている人を探して自宅へ直行、持ってきたプレーヤーでその曲を直接聴くという形で進行していきます。

ちなみに、番組データにあるMCの野口五郎さんはこの取材に直接同行しておらず、スタジオ収録でVTRを見ながら喋ったり、収録場所にギターを持ち込んで歌いながら喋ったり、おすすめのレコードを紹介したりという形での登場の仕方で、さらにMCのアシスタントとして犬山紙子さんが出ていたのですが、テレビ番組表のデータでは犬山さんの名前が漏れていて、これはちょっと可哀想なので、ここで改めて番組データの方でも紹介させていただきます(^^;)。

一通り見終ってみて、この番組は旅番組ではなくテレビ東京のやるインタビュー系の番組に近いと思いましたが、まずこの人がこんな曲やジャンルのものを聴くのかという意外性がまず面白いですし、ジャケットはCD時代とは違いテレビ映りが良く、同じものを買って持っていた人なら思わず懐かしいとMCの野口五郎さんのように叫んでしまうような感じでもあります。さらに、番組が用意したプレーヤーでない自前のプレーヤーを使おうとしたら回転数を間違えたり針の調子が悪かったりでまともに聴けなかったというレコードを実際に聴いている人であれば必ず通る「あるある」を実践したりと、やはりBSはバラエティでも対象年令が高いなと思わせるものがあります。

取材先のお宅は、それでも50代から60代くらいなので思い出の曲ということではほとんどが歌謡曲でしたが、ラストのお宅訪問で茅ヶ崎の78才の女性が少し前に亡くなったばかりのご主人の事について、残してあるクラシックのレコードを聴いていたと、しみじみ話している時にバックグラウンドで流れていた曲がビートルズの「レット・イット・ビー」で、ご自宅にお邪魔してインタビューというシチュエーションに合わせると(本当にその状況が放送されました)この番組が急にテレビ東京の「家ついて行っていいですか?」になってしまったような気がしたのは私だけの事ではないでしょう。

こんな演出をして、テレビ局同士の争いの種にならないかなと思ったのですが、まあビートルズのレット・イット・ビーはテレビ東京のものじゃないしいいのかと思いつつも、レコードを探しての旅というコンセプトは今までテレビ東京でもやらなかった画期的なものなのに、収録した後の編集の現場で、安易にテレビ東京の番組に近づけようとそれなりの雰囲気に乗った番組作りはどうなのかなと思いました。

しかし、その後に奥様がご主人の生前を思い出すように流れた曲がチャイコフスキーの「悲愴」だったというのは実に取材者の心情を突いていて、個人的にも感動を覚えました。できればもう少しじっくりと曲を聴かせて欲しかったですが。次回はテレビ東京的な編集はまずやめてもらって、お気に入りの一枚が日本の歌謡曲に偏らないように多くのサンプルを確保した上で第二弾をお願いしたいところです。

(番組データ)

お宝レコード発掘の旅 あなたの思い出の曲かけさせてください BS朝日
11/9 (木) 21:00 ~ 22:54
【MC】野口五郎 犬山紙子

(番組内容)

プレーヤーがなく、何十年も押入れにしまいっ放しのシングルレコード…息子の思い出の品だからと、捨てられなかったLPレコード…様々な理由で見向きもされなくなっていた思い出のメロディーが、よみがえる!さらに、再生したその場で持ち主にレコードにまつわるエピソードを聞いてみると、笑いあり、涙あり、感動あり…!“お宝レコード”と当時の思い出を発掘する、新感覚の旅番組!