月別アーカイブ: 2018年2月

テレビ脚本から生まれたヒーローに思いを馳せる

紹介する「伝七捕物帳」は、私にテレビ時代劇の面白さを教えてくれた作品です。中村梅之助さんはいい役者さんですが、絶世のスターというわけではなく主役に全ての魅力が詰まっているようなものでなく、あくまでも脇を固めた役者さんとの掛け合いが魅力です。当然本放送ではなく、当時の東京12チャンネルが全ての放送終了前に「夜の時代劇」として放送しているのをたまたま目にし、そのおかげでかなり宵っ張りになってしまいました。

当時はあまり気にしなかったのですが、役者さん以外にも後に別の方面で有名になったりする方が関わっておられるのを知るのも、昔の作品を改めて今見直す場合の楽しさで、ついつい時間がある時には見てしまいます。今回は水戸黄門では悪役の親玉としてすっかり名前が売れてしまった柳沢吉保役で有名な山形勲さんがゲストで登場したのが目を引きました。その役どころは老中になるために年貢を増やして取りたてたお殿様の土蔵から千両箱を盗み出し、最後には市中引き回しを受ける盗賊の役なのですが、伝七とやり取りをする中で、自分の命を投げ出す代わりに、その殿様の年貢取り立てによる圧政によって苦しんでいたお百姓衆に施しを行なう義賊として描かれています。

いつもの悪役を見慣れていても、山形さんの義賊としての演技は素晴らしく、さらにそれを受ける中村梅之助さんの微妙なやり取りも良く、いわゆる「莫逆の友」という感じを醸し出していました。単に毎週消費されるだけの連続ドラマに過ぎないのに、今にも通じるような社会の切なさと男の友情を描いていてすごいなと思っていたら、脚本のテロップに「池田一朗」とありなるほどと思いました。

この池田一朗とは本名で、長くテレビドラマの脚本家として活躍されましたが、多くの方にとってはペンネームの「隆慶一郎」の方が有名でしょう。週刊少年ジャンプに連載された異色の時代劇漫画「花の慶次」は多くの方はご存知でしょうし、前田慶次郎はもちろん、それこそ生涯の友として描かれている直江山城守兼続は、この漫画があって広く知られるようになったのではないかと思われます。今でも米沢市に行けば前田慶次郎関連ののぼりを見ることができますし、時代小説家としては活動期間が少なかった関係で寡作ながらも非常に印象深い作品を多く残した作家として、今後も読まれていく方だと思っています。もし、もう少し長く生きて「花の慶次」や「影武者徳川家康」の漫画原作や、もしそれらの作品がテレビドラマ化された際の脚本を書いていたら今の時代劇の体たらくはなかったのではと思うほどの才能が早くに無くなってしまったのは大変残念だと今でも思います。

最近のテレビは時代劇はお金がかかるとその数が少なくなったと思ったら、現代劇の2時間サスペンスさえも減らす傾向にあるようです。話題のドラマは数々あれど、主役に注目される俳優・女優を起用してその人気で見てもらおうとするものが多かったりして、たとえ時代の人気者が出なくても、脚本や演技で見せ、この作品のように40年以上前の作品であっても陳腐さを感じることもなくむしろその脚本の妙に唸るような作品を作っているということを考え合わせてみると、改めてこれからのテレビは何を発信していくのか? という所にたどり着きます。

生放送のニュース番組にコメンテーターを並べ、出演者のキャラクターに助けられて一通りの政権批判をするのもいいでしょうが、時間を掛けて作るドラマにこそテレビ局の主張が詰まっているとも思えるので、スポンサーを納得させるためには当代一流の俳優を主役に据えるドラマもいいでしょうが、逆にこの伝七捕物帳のようにレギュラーメンバーは地味でも毎回出演するゲストに当代注目を浴びる人物を出すという方法で、地味ではあるが後々の鑑賞にも耐えうるような中味の濃い脚本のドラマを作ることもできるのではないでしょうか。

個人的には「民自党」なんていう自民党だか民主党だかわからない政治家を悪役にして正義の味方が悪党をやっつけるというような現代劇よりも、封建主義で権力をかさにきて好き勝手している地方の小役人の中に現代の悪党を映し出せるような時代劇の方が時の権力者も文句を言えないでしょうし、スポンサーにも迷惑を掛けずに悪い奴を叩ける分、時代劇を今の時代にあえて作るのは無駄ではないように思います。もちろん、そんな意図を視聴者にわからせてくれる良質な脚本が必要になると思いますが、まだ世に出てこない才能はこの世界に埋もれていると思うので、テレビ局はそうした才能を発掘し世に出すという役割も担っていることも忘れないで欲しいですね。先に紹介した隆慶一郎さんの小説を私達が読めるのも、長い間テレビの脚本家として活動してきたからだと思いますし、ぜひ今後のテレビでは年齢性別にこだわらず、いい脚本を書く人を登用して欲しいものです。


「悲運の漁師」山本秀勝さんはなぜテレビにフィットしたのか

この番組はブログを立ち上げた時に新作が放送されたら必ずこの番組について書こうと思ったほど、表題の山本さんの動向に個人的に注目しています。これほど全く自身とは関係のない本州最北端でマグロの一本釣りを行なう漁師の事が気になるのはなぜなのか、今回は世界最高の技術や感動の作りものでない人間ドラマも垣間見える、平昌冬季オリンピックの開催期間中に放送があったので、ちょっとオリンピック関連番組と比較しながら考えてみることにします。

今回の放送では、番組が始まった当時と比べると出演者の顔ぶれが変わっていることを実感させるように、30代でものすごい量のマグロを揚げる若い兄弟漁師と、彼らと同じ30代ながら大間最年少漁師として海に出ている方の2組に山本さんの近況、さらに見習いで別の師匠の元でマグロ一本釣りに挑戦する山本さんの長男の様子を見せる構成になっています(今回次男の現在については出てきませんでした)。確かに技術も根性も、創意工夫の姿も、漁を離れた時の表情もまさに地元の勝ち組(特に若手No.1の兄弟漁師の方々)なんだなあと思え、好成績を挙げると延々と紹介される日本の人気選手にその存在をだぶらせることができます。

ただ、そういう方がいくら釣果を誇ろうとも、テレビに映し出される映像というのは狙い通りにマグロを釣り上げた場面だけです。オリンピックの金メダリストの競技やそのメダルに至った物語さえ毎日見せられていると辟易してきてしまうので、今回だけでもうお腹いっぱいというのが正直なところなのです。
「悲運の漁師」山本秀勝さんはこれまでの番組出演で、何と一年間全くマグロが釣れない年が3年も続くなど、マグロを面白いように釣る人達と比べて何という悲運続きなんだと涙で枕を濡らしながら見る人がいる一方、半ば莫迦にするように笑いながら見るという人も少なからずいると思います。確かにそういった山本さんの悲運の数々をとらえて笑いにつなげようとする演出上の意図が感じられる作りにもなっているのですが、ここで考えていただきたいのが、山本さんご本人がある意味「無礼」な事もされる中で何故取材を受け入れ、漁船に取材クルーを受け入れる寛容さがあるのかということです。

それが地方の人特有の「人の良さ」であり、その人の好さに付け込んでテレビ局も取材に入ったのかも知れませんが、次第に自分の姿が単なる漁師としてではなく、自分が失敗する様子をクローズアップされて怒りたいことがあったり、さらにマグロ漁船で密着中に釣れないことを突っ込まれることに対して声を荒げたり問い掛けに答えなくなる様子まで画面に映し出されていたこともありました。

ただ、この番組の最初は山本さん個人へ集中した取材をしていたわけではなく、元々は夫婦舟でマグロを釣っていた奥さんを亡くし形見のスカーフを巻いて漁に出る、山本さんの先輩の渡辺さんに密着取材をしている中で、渡辺さんに「助け舟」を出す山本さんにも取材し、その素朴な人柄となかなかやることと釣果が噛み合わない「悲運」をそのまま画面で見せられることで視聴者の興味がどんどん山本さんに集まる中、山本さんの事情としてもお二人のお子さんの結婚や就職という人生のイベントをひかえる中でテレビの存在は大事であることに思い至ったことは考えられます。

今回の密着では、最初から冬の漁に山本さんは出遅れてしまいます。それは、漁船同士の衝突事故を起こし、船体に穴が開いてしまったからで、修理が済むまでの間は漁に出られなかったのです。個人的にはスピードが出ていて衝突したのではなかったので決して「悲運」ということではなく、逆に漁船の穴を塞いで復帰をすぐに果たせたのは「幸運」だったのではないかとも思います。
さらに、若手の漁師が100キロ以上の大間まぐろを水揚げする様子を映し出す中、山本さんも3年振りにマグロを釣り上げたのですが、その大きさは40キロ台という、釣り上げた当の山本さんも手放しで喜べず、番組を継続してご覧になっている方ならおわかりのご自身へのご褒美としての儀式「スーパーのお寿司で夕食」という事もせず、最近買いだしたネコの「ピコ太郎」へのご褒美もなしということで本年は終了でした。

二人の息子が家を出て、その寂しさをまぎらわすために譲り受けたネコのピコ太郎と戯れる山本さんの姿は実に人柄の良いおじさんという感じで見ているだけでもなごんでしまいます。私自身がこの番組にはまる一番の要因は、こうしたどこにでもいそうな、決してずばぬけた能力があるわけではない地方の漁師さんが、一人で乗り続けるには経費がかかるわりに必ずもうかるわけでもなく、冬の荒海に乗り出すため常に命の危険もあるマグロの一本釣りを諦めずに続けているという生き様に励まされるからに他なりません。

オリンピックは勝つことより参加することに意義があるという言葉がありますが、今の世の中はメダルを取るか取らないかでその注目度に大きな差が出て、そもそもオリンピックに出られる事というのはその競技のスペシャリストであることの証で、特に冬の競技はマイナーな種目が多いのでメダリスト偏重でなく、オリンピック終了後でもサポートが少ない中で頑張っている様子を報道して欲しいと思いますが、そんなテレビ界の注目の付け方からすると、この番組の山本秀勝さんの扱いは破格で、それこそ中高年の星のような感じを受けるのは私だけでしょうか。

山本さんは他の出演漁師と比べても使っている装備が古く、要領も一人で船を操縦しながら漁をしている関係もあり必ずしも良いとは言えないのですが、大間に行く観光客も山本さんの船を目指したり、漁協のネットショップでも「山本さんグッズ」を大々的に売り出すくらい私だけでなく多くの人から注目を集めるだけの存在になっています。これはひとえに山本さんの素朴な人柄と、人から「悲運の漁師」と言われてもめげず、今日よりも朝日の希望に向かって出港する生きざまに多くの人がシンパシーを感じていると私には思えます。くれぐれも体調には気を付けて、ゆくゆくは長男の方との親子船で漁をする姿も見てみたいものですが、ドキュメンタリーに予断は禁物です。今後もこの番組が続くということがあるなら、多くの普通の視聴者が生きていくための力が生まれるような山本さんの姿を映していって欲しいですね。

(番組データ)

マグロに賭けた男たち2018 ~あの悲運の漁師は?極寒の死闘スペシャル~ テレビ朝日
2018/02/18 18:00 ~ 2018/02/18 20:00 (120分)
【ナレーション】渡辺篤史

(番組内容)

命とプライドを賭けて、“海のダイヤモンド”=本マグロに真剣勝負を挑む青森・大間のマグロ漁師たちに密着取材。 今シーズンは、番組史上最高の“爆釣”!かつてない大漁を激撮! さらに、あの“悲運の漁師”山本秀勝さんにも密着。昨シーズン4年ぶりに100kg超えの巨大マグロを釣り上げ、男の意地を見せつけてくれた山本さんだが、今シーズンは…? 若手ナンバー1の凄腕漁師や大間最年少の一本釣り漁師も登場!

【“悲運の漁師”山本秀勝さん】 16年追いかけてきた“悲運の漁師”は、今シーズンも悲運が襲い続けていた!今シーズン、長男・剛史さんも一本釣りに初挑戦!巨大マグロに賭ける山本親子の行方は…

【若手No.1の兄弟漁師 南芳和さん・竜平さん】 大間で1、2を争うほどマグロを釣り上げる南兄弟。その神業の秘密とは…

【大間最年少の一本釣り漁師 泉健志さん】 2年前に結婚し、娘も誕生。家族を守るため、必死で戦う最年少船頭の実力とは…


体力勝負で勝てない「卓球」の魅力

現在の日本の卓球ブームは当時小学校に上る前だった福原愛さんがテレビで大人のタレントと卓球勝負をして、「泣き虫愛ちゃん」として有名になったことから始まったのですが、最近は14歳で全日本卓球選手権の男子シングルスのタイトルを取ってしまった張本智和選手の人気もあり、今までの女子だけではなく男子にも注目が集まり、テレビでも卓球をバラエティーの企画にすることは当り前になりつつあります。

そんな中、ここでぜひとも紹介したいほど面白かったのが、元ボクシングの強い世界チャンピオンだった長谷川穂積さんが本格的に卓球の上達を目指して専用の練習場を作ったり、専属のコーチを雇って強化しているという話の中から、長谷川さんが芸能界最強と考える落語家の三遊亭小遊三さんとの芸能界ナンバーワンをかけた11点先取の2セットマッチが実現したのでした。

ちなみに、三遊亭小遊三さんは山梨県から国体に出場したほどの卓球の実力の持ち主で前回の東京オリンピックの聖火ランナーとしても走ったという山梨県内では知られた実力者でした。

ただ、現在の年齢は70歳ということで、37歳の長谷川さんと比べると明らかに脚力やパワーは劣ります。さらに試合前のVTRでは長谷川さんがまさにボクシング仕込みとしか思えない強打を打ち返すブロック技術や、相当威力のあるフォアハンドによる打ち込みを見て、これは小遊三さんも危ないのではないかと思った方も多いでしょう。しかし、対決はある意味勝負にならず、三遊亭小遊三さんの圧勝で終わりました。

まさに今回の番組はこの試合だけで見た甲斐があるというべきもので、単に力自慢の人が強烈な球を打つように練習していても、経験がある人が相手だったら全く歯が立たないスポーツであるということを証明することになりました。これが格闘技系のスポーツであったなら、ここまで長谷川さんもこてんぱんに負けることはなかったでしょうが、卓球はいかに先手を取って攻めるか、さらにその戦術はチェスに例えられるように理詰めなパターンもあります。

番組を見た方ならおわかりでしょうが、小遊三さんは強打は打つものの、その前後には力を抜いて無理をせず打ち返していましたが、長谷川さんは力任せに打つのが目立ちました。さらに、対策をしていないサービスでチャンスボールを呼び込むと、左側に寄って構えている長谷川さんをあざ笑うかのように、台の右端を狙ってストレートの「軽打」を叩き込むのです。正面で受けられれば長谷川さんにも返すすべがあるでしょうが、小遊三さんはできるだけノータッチで抜けるようなコースをねらって自分の体力と相談しながら軽打を打っているのがわかりました。

お二人のプレースタイルは昔の日本選手が採用していたものの、いまでは使う人の少ない「ペンホルダー」のラケットを使う攻撃型同士のものでしたが、私がさらにびっくりしたことがあります。長谷川選手のプレースタイルはフォア側に来たボールは強打で振り抜くものの、バック側に来たボールについては強打ができにくいのでブロックで当てて返すだけというかつての日本卓球の戦術をなぞっていたのに対し、小遊三さんは同じペンフォルダーでも裏面にもラバーを張り、サービスを裏面に当てて出すだけでなく、最近の日本選手がやることで有名になった「チキータ」と呼ばれる裏面を使った打法までものにしていたのです。これではいかに長谷川さんが若くて体力があっても勝てるわけがありません。

もし長谷川さんがサービスのときだけでも主導権を取り、相手のバック側を攻めて軽打を打たせないようにできればもう少しいい勝負になったのではないかと思いますが、それにはやはり相当な練習が必要で、すぐに芸能界の卓球の勢力図が変わることはないでしょう。個人的には長谷川さんはペンフォルダーでなく、張本選手や水谷選手のようなシェイクハンドラケットに変えてフォアでもバックでも振り回してパワーで小遊三さんを粉砕するくらい力をつければ面白いと思いますが、それと同時に打球のコースを計算して相手を追い詰めるような戦術も考えていかないと、経験豊富な小遊三さんにあしらわれるだけだと思います。

そう考えると、ある程度の経験を積めば素人に毛が生えたような体力自慢の人との対戦ならめったに負けないのが卓球の醍醐味であり、生涯スポーツとして大人になってから始めてもそれなりに楽しくできるということもあります。実は愛ちゃんがテレビでタレントを相手に試合をした時も、大人が真面目にやっても小学生に歯が立たないというところがあることで、まさに幼稚園児から80歳を超えても試合としてそれなりに成り立ってしまうことがあるというのが今回の特別試合によって多くの人が理解したのではないかと思います。

それとは別に、今後の長谷川穂積さんの卓球修行がどうなるかというのも気になります。おそらく、福澤朗さんあたりと試合をしても勝てないと思いますので、次は長谷川VS福澤というカードをマッチメイクしてくれるテレビ局があればお願いしたいですね。

(番組データ)

アウト×デラックス【夏菜テレビに毒吐きまくり!VS遠野なぎこ朝ドラ女優の悲哀】フジテレビ
2/15 (木) 23:00 ~ 23:40 (40分)
【MC】矢部浩之   マツコ・デラックス   山里亮太(南海キャンディーズ)
【ゲスト】  黒木渚   夏菜   長谷川穂積     (※五十音順)
【特別出演】  三遊亭小遊三
【アウト軍団】  大鶴義丹   加藤一二三   栗原類   ジャンボ織田信長書店ペタジーニ   高橋ひとみ   塚田僚一(A.B.C-Z)   遠野なぎこ   ミラクルひかる   矢部みほ
【チーフプロデューサー】  中嶋優一
【プロデューサー】  瓜生夏美   林田直子   児玉芳郎   大江菊臣   小林靖子
【演出】  鈴木善貴
【監修】  渡辺琢
【制作】  フジテレビ

(番組内容)

独特の世界観を持って生きているこだわりの人たちを招き、矢部浩之、マツコ・デラックスとアウトなトークを展開するトークバラエティー『アウト×デラックス』。バーのようなリラックス空間にリニューアルした新セットで、今回もゲストがアウト・トークを連発します!  ◆シンガーソングライターとして注目される黒木渚が、音楽よりも聞きたい他人の〇〇とは!?アウト軍団No.1に輝くのは!?

◆超高速連打、絶妙なカウンターパンチ、卓越したディフェンステクニックとスピードを誇る元・ボクシング世界三階級制覇王者の長谷川穂積が、現在卓球で芸能界No.1の三遊亭小遊三とマジ卓球対決!果たして気になる結果は!?  ◆最近、バラエティー番組に多く出演している夏菜!元・朝ドラヒロインが、各局のバラエティー番組に出演する中で見つけた局ごとの特性とは!?


オリンピックの結果報道で、事前取材を誇られても

多くの競技が開催されているオリンピックの報道において、日本代表からメダリストが出た時には多くの時間を割いて報道したいと思うのは人情であるということに個人的に否定はしないのですが、今回に限ったことではないものの、アスリートの事を報じているような形で、自らの取材能力をひけらかすようなスポーツニュースでの報道がここのところ目に付くので指摘させていただきます。

といっても、朝や昼のワイドショーで大型パネルを使ってそのメダリストの人となりを徹底的に解明するというようなものは、普段のワイドショーとやっていることは変わらないのでそこまで鼻に付いたりはしないのですが、夕方のニュースだったり夜の競技終了後のニュースについては多くの種目で出場している日本選手の結果や(メダリストでなくても活躍して入賞した選手の露出が少ないような気もします)、日本人選手が出ていなくても素晴しいパフォーマンスがあったりあっというドラマがあった種目について紹介してくれるものだと思っていたのですが、なかなかそんな風にはならず、いかに過去からメダリストに取材して肉薄したかという過去に遡って注目していたのだということをひけらかすような過去の取材の様子を延々と流すVTRをオリンピック開催中にわざわざ見せなくてもいいのではないかと思ってしまいます。

どんなに美味しいものであってもそれがいつでも同じようにメインの皿に盛られていると食欲を無くす場合があります。それと同じように、あまりに日本人メダリストへの取材VTRを流し続けるのは、テレビから視聴者を離すきっかけにもなりかねないと思うのですが。

この文章はまだオリンピック開催中に書いているので、個人的に紹介したい前半のハイライトとして実にやるせないと思ったのが日本選手が出場していないリュージュ男子の一人乗りの決勝で、過去3回滑ってトップだった絶対王者、ドイツのフェリックス・ロッホ選手がバンクーバー・ソチに続いての三連覇を賭けた最後の四回目の競技において、最終滑走者のロッホ選手が最後の最後にミスをしてしまい逆転を許し、四位とメダルにも届かなかったことでコーチ役の父親と抱き合って慰めあっていた光景は、ロッホ選手には本当に気の毒ではありますが、これぞオリンピックだという事を感じさせる名場面だと思いました。ちなみにオリンピックだけが全部で4回滑って勝者を決めるものの、世界選手権では4回滑らないということをアナウンサーや解説の方がおっしゃっていたので、今回の四回目でミスをして金メダルどころかメダルも逃すというのはオリンピックであるがゆえの悲劇であるということになります。私などはこの光景を生中継で目にし、まさにソチオリンピックの高梨沙羅さんの事を思い出しました。ロッホ選手にはぜひ次の北京オリンピックでこの借りを返して欲しいと思っています。

このような、事前に盤石の優勝候補だとされている人でも簡単には勝てないのがオリンピックであるものの、本日競技が行なわれた、こちらも日本選手が出場していない男子のスノーボードクロスなどは単なる実力ではなく結果が出るところもある競技なのですが、フランスのピエール・ボルティエ選手がソチに続いて連覇したのは実力とともに相当の運があるということも十分に感じることができます。そのような四年に一度行なわれる大会の様々なドラマを今取材し、今すぐ報道するというところにもスポーツニュースというプログラムの中ではこだわっていただきたいと強く思うのです。

メダリストの苦労や過去の映象はオリンピック終了後の特番の中で本人を呼んで作る番組の中で生かすべき性質のものであり、そんな事をやっているから毎日の熱戦の様子をNHKのオリンピックサイトで見る羽目になるということもあるので、これからはその点だけでもネットの方がいいやと思うようになっていかないか心配になるところもあります。それでなくてもオリンピック開催中はメダリスト出演時間が読めないので普通のニュースとオリンピックのニュースの境目がなくなるところがあるので、きっちりと当日の競技をまんべんなく伝えるようにしてほしいと強く思います。このままの状態が東京オリンピックで繰り返されるとしたら、世界から日本にやってくる観光客にとってもいい思いはしないでしょう。


テレビ映りの良い「顔」について考える

2017年から2018年にかけて、特にテレビに出てくる人の「顔」について考えることが多くなりました。その象徴として挙げられるのが、冬期平昌オリンピックに突如出現した朝鮮民主主義人民共和国の「美女応援団」についての話題です。ここで大切なのは「美男」ではなく「美女」という女性であることと、限りなく「整形」ではない自然な美だと言われていることです。これは、お隣の韓国が誰でも整形して美しい顔を作っているということで、そうしたコンプレックスがあるということなのでしょう。

日本の芸能人でも整形の噂が絶えないタレントさんがいるのですが、今の日本のテレビの現状を見ると、そうした整形は悪でも何でもなく、テレビの前に登場するための準備事項の一つであると思うこともできます。なぜなら、韓流ブームで数多くのユニットが日本でもデビューした韓国のアイドルについて考えてみても、整形していることを前提にして画面の見栄えを考えた中で、世界戦略が功を奏しているという面もあるからです。

日本のテレビについても、醜いよりも綺麗な方がいいという事は決して表面では言われないものの、全国のテレビ局が採用しているアナウンサーや天気予報で出てくる気象予報士はほぼ例外なく男性でもイケメンと言われる人がほとんどで、現在のアナウンサーやテレビに登場する気象予報士の試験には顔の綺麗さというのがあるのではないかと疑ってしまうところもあります。

そんな美男美女の局関係者がMCとして登場するワイドショーで平昌オリンピックの美女応援団について批判的な論調で話を進めようとしてもあまり意味がありません。顔が美しい女性を多く集めて行動させれば多くの人々が熱狂するということは、すでに日本のアイドル界を見ても当り前の話で、しかも今回平昌を訪れた女性たちは歌や楽器のレッスンをして優秀な技量を持っている、いわばアジアでも例のないようなアイドルグループとしてもやっていけるポテンシャルを持っています。彼女らの所属する国家の都合によって利用されているということはあるにしても、人工的な美を作り出し世界戦略を持って売り込んで行こうとする隣国と、考え方自体にはそう違いがあるとは思えませんし、逆に「テレビは高解像度になるので顔が全てだ」と言ってくれた方がかえってすっきりするところはあります。

そんな風に考えてみると、例えば大相撲の貴乃花親方と八角理事長・春日野親方とついその風貌を比べてお互いの発言への感じ方が変わってしまう事があるのかとか、素人のカラオケバトル番組での注目を浴びる出場者が必ずしも歌唱力でなくその風貌でも審査されているのではないかと思う点も出てきたり、そうした流れが「キングオブコント」で「かまいたち」を差しおいて「にゃんこスター」がテレビの人気者として番組出演回数が増えたことと関係あるのかというような、テレビ映えする風貌が大事ということがいつの世でも議論の対象になるということはあるのです。

こうした評価というのは一見顔とは関係なさそうな政治やスポーツの世界でもあり、小泉進次郎さんがもしイケメンでなく都会的でもなければあそこまでの人気が出たかは疑問ですし、今回の平昌オリンピックでは「開会式の出場者一の美女」なんていうものを競技の実力と関係なく挙げているのがテレビのワイドショーなのですから、これからはテレビに出て多くのスポンサー料を獲得するために、若い頃から日本のアスリートや政治家を目指す人たちも本気で整形を考える方が、よりテレビに取り上げられて成功する可能性が出てくるのではないかとも考えられます。

また、本人にはそんなに意識することがなくても、同じ土俵に上がるライバルが美女やイケメンであった場合、その実力に開きがあればあるほど、自分が悪役的に見られてしまうというのは先代の貴乃花と北の湖との関係が証明しています。こうした考えを進めていくと、テレビを使って多くの人に自分の事を知ってもらいたいと思っている人は、早めにテレビ映りのよい顔を目指して整形も辞さないようなところまで考えておくべきなのかとも思ったりします。

ちなみに個人的には「顔」そのものが大事だと思って活動する「アイドル」や「美女応援団」が究極の美を求めてテレビ映りを良くする事が悪いことだとは思いませんが、直接顔の良さや美しさとは関係ない事で有名な方は、あくまでその仕事や技術で勝負すべきで、その魅力をわかってくれる人がいれば美男美女である必要はないと思っています。ただ、ここまで書いた通りテレビの解像度が4K8Kと増えてくる中、年齢の進行とともにテレビに出られない人が出たりするなど、バグルスの楽曲「ラジオスターの悲劇」そのままの現実が条件を広げて出てくるだろうと予想します。

だからこそ、テレビ制作者の中には「顔など関係なく最高のパフォーマンスを出してくれる人をテレビに出す」番組もわずかながら残していただける事を期待するのです。画一的な番組ばかりになり、テレビドラマでもお笑い芸人やミュージシャン以外の「非美形俳優」がなかなか出てこないというのは、少なくとも現実の社会を反映させたドラマではないことも確かでしょう。様々な価値感のある中で、最高のパフォーマンスを出す顔こそが美しいというような、テレビ映えする「顔」の基準そのものを変えてくれるような力技を持つテレビ制作者の出現を期待したいところです。


テレビカメラに身を晒す時期とその効果

2017年の鳥取巡業の時に起こった貴乃花部屋の幕内力士・貴ノ岩が頭に怪我を負った事件で、一部のマスコミでは全くしゃべらない姿ばかりがテレビに映っていたことから、かなり不快感を持ってテレビであげつらっていた人もいた貴乃花親方が、今までの沈黙は何だったのかと思えるほど饒舌に語るというこの番組は本当にテレビらしいと言えます。

翌日のワイドショーだけでなく、当日の報道ステーションでもこのインタビューの事が放送されるなど、かなり多くの人の目に今回のインタビューが触れたと思うので、今回改めてこの番組を見ていて色んな貴乃花親方についての人物評がされたことでしょう。なぜこのように急に貴乃花親方がカメラの前で喋ったのかというと、番組内で親方は、理事選挙で落選するまでは自分は協会側の人間だったので、協会の意見に反する想いを公の場で述べることは協会と関係なくなるまで喋ることができなかったのだそうです。

そうは言っても大相撲好きな方なら、貴乃花親方というのは現役時代、土俵で対戦する可能性がある力士とは付き合わないなどかなりストイックにご自身の道を生き抜いたという感じで、昔から真面目ではあるが融通がきかないというようなイメージを持たれている方も少なくないと思います。この番組で語るまでは、そうしたイメージ通りに何を考えているかわからないという方も、こんなに饒舌に喋るし、相撲協会へも逐一文書での連絡をしていたことがわかった中で今回の騒動を見ていくと、今まで貴乃花親方に対して思っていたイメージとは変わってしまうこともあるのではないかとも思えます。

ただ、この番組のスタンスは、マフィアのようだとまで言われた「マフラーをする理由」まで細かくフォローするなどインタビューをお願いした貴乃花親方寄りに立って情報を出しているようなところもあるので、ある程度は差し引いて見ることは必要だと思います。番組の中で強調されていたのは、今回のインタビューで出た貴乃花親方の見解について、相撲協会側には質問状を提出したことでした。しかし、番組放送翌日の羽鳥さんのモーニングショーでもテレ朝の方に相撲協会からの回答は送られてこなかったそうです。今回の放送を受けて、相撲協会側の反論が出てきたらさらに盛り上がると思いますが、さすがに相撲協会の方々は番組を見ていても直接カメラの前で問いに答えることは難しいでしょう。実はそれこそが貴乃花親方がテレビカメラの前で沈黙を通した理由なのだと考えると、まともな回答は今後も出てこないのではないかとも思えます。

テレビというものは恐しいもので、このようにテレビカメラの前でインタビューに答えたありのままの姿というのは、これまでの貴乃花親方に対する不信感を払拭するかもしれない力を今後生じさせるかも知れません。というのも昨日の今日でも何回も番組内のシーンが出てきましたし、その言葉がこれまでの協会側の主張を崩すようなものであれば、何度でもリピートされます。と同時に、テレビは貴乃花親方と対立する協会側の親方の姿も映すことになるでしょうが、それは貴乃花部屋まで来てみたものの親方に会わせてもらえず仕方なく帰る姿の繰り返しであったり、どうしても「正義の味方」と「悪の軍団」という風にはっきりとした区分けをするのが好きなのがテレビであり、現状では貴乃花親方に反論するためにカメラの前に出て行けば自分が「悪の軍団」として認識されかねないと恐れている方も少なくないでしょう。

実際のところはそう簡単に善と悪が分かれるものではないということも、多分そんな番組を作っているテレビ制作側の人間もわかっているのではないでしょうか。なぜなら、今回の貴乃花親方が選んだ道と同じように、大きな企業に内部告発をして大企業の悪を訴えようと思った人がいても、その人を必ずしも正義のヒーローとして扱わず、もしかしたら企業の論理に従わない不良社員(または取引先)という風に扱うことも過去にはあったからです。

結局のところ、テレビは大手スポンサーにしろ視聴者にしろ、番組を見てくれてその流れに乗ってくれる層に合わせたような情報を出していくことがあります。もしテレビ朝日はそうでないと言うなら、決して相撲協会の意見をはなから否定するようなことはせず、公平公正に両者の主張を戦わせる続編をやるために、関係者を口説き落として朝まで生テレビ!で徹底的に討論させるというのも一つの手かも知れません。

(番組データ)

独占緊急特報!!貴乃花親方105日沈黙破りすべてを語る
2/7 (水) 19:00 ~ 20:54 (114分)テレビ朝日
【出演】貴乃花光司(貴乃花部屋)
【聞き手】山本晋也(映画監督)
【スタジオ司会】渡辺宜嗣アナウンサー 大下容子アナウンサー

(番組内容)

(1)覚悟の理事選“敗れて悔いなし”全胸中を激白
(2)貴ノ岩関傷害事件とケガ全真相
(3)協会と深い溝…無言の裏で提出文書数十通 猛抗議
(4)“独りに立ち返る”相撲道貫く信念


美輪明宏さんはテレビの外で「一発屋」を脱した

お笑い芸人の小島よしおさんが、そろそろテレビでは飽きられてきた時の話から今回は始めさせていただきます。たまたま何かの番組内で小島よしおさんが美輪明宏さんとご一緒する時があり、小島さんが美輪さんに「一発屋にならないためにはどうしたらいいのですか?」ということを尋ねたのですが、小島さんの脳裏には美輪さんは芸能界の重鎮としての地位があり、自分とは全く違う雲の上の存在だと思ってそんな常人にはなかなか答えが見付からないような問いを発したのですが、その時に美輪さんが発した言葉というものを覚えています。

「あら、私だって一発屋だったのよ」

その時は私自身も美輪さんが言われるように「一発屋」という存在だったことを知りませんでした。この番組を見れば、それが真実であり、さらに苦労を重ねて歌い続けてきたからこそ今の美輪明宏という存在があることがわかります。

番組を見ていない方のために簡単に説明すると、東京に出て銀座の「銀巴里」の専属歌手になりフランスのシャンソンを自分で訳詞して歌ったのが評判になり、出したレコード「メケ・メケ」がヒットしたのですが、人気絶頂の時に同性愛者であることをカミングアウトしたことで芸能マスコミからの大バッシングを受けて全く仕事が無くなります。

無一文になった美輪さんが全国のキャバレー回りをする中で生まれたのが時代的にもシンガーソングライターのはしりのように自分で作詞作曲した曲で、多くの売れている時に擦り寄ってきた人々が手のひらを返すように去っていく中、当時「上を向いて歩こう」がヒットしていた作曲家の中村八大さんのところでした。このくだりを中村八大さんの息子さんが語るところは、やはり一流の仕事をしている人はホンモノを理解できるのだなあとしみじみ思いました。その結果、美輪さんは中村八大さんが音楽を担当するNHKのバラエティ「夢で逢いましょう」の「今月の歌」に登場。その姿は黒のセーターに黒のスラックスという、後に同じNHKの「SONGS」や「紅白歌合戦」に出演した時に見せた姿のようで、これが美輪さんの本気の姿なのかなと思ったりしました。

その後、番組のテーマである「ヨイトマケの唄」をNET(現テレビ朝日)「木島則夫モーニングショー」でノーカットで歌ったことが話題になったことでレコードが出て、40万枚の大ヒットになり、見事「一発屋」から脱したわけなのですが、この後、さらに理不尽な境遇に美輪さんも「ヨイトマケの唄」も晒され、美輪さんが「ヨイトマケの唄」をテレビで歌うことはしばらくできなくなってしまったのです。

それは、当時様々なメディアで起きていた「差別的な用語」についてのかなり強硬な抗議活動をする団体があったため、この「ヨイトマケの唄」の中にある「土方」という呼び方にクレームが付き、「放送禁止歌」という名前の「放送を自粛すべき歌」としてテレビ局にリストアップされたことで、曲および美輪さん自身もテレビに呼ばれなくなってしまったというわけです。

普通ならそこまでバッシングを受け、テレビの中からもはじき出された中で復活することは難しいと思うのですが、まさに不死鳥のように美輪明宏さんはテレビに復活し、史上最高齢での初の紅白歌合戦出場を「ヨイトマケの唄」で果たすことになるわけですが、そこに至るまでにもかなりの長い期間、テレビではない外の世界でどさ回りのように日本中を旅して回り、多くの人達と語り合い、そんな中でさらなる歌の説得力を持って行ったように思います。テレビというのはある種のショーウィンドウだとするならば、「一発屋」から抜け出すためにはテレビに固執することなく自分の実力をテレビでない所で磨くことが一番の近道のように思うのです。

冒頭で紹介した小島よしおさんも、今や小さな子どもたちのためにテレビでないステージをこなす中で「ごぼうのうた」を作り、今やデビュー当初とは違った顔を見せています。実際に小島よしおさんが美輪さんに受けたアドバイスからそうなったのかどうかはわかりませんが、恐らく今後も小島さんは「一発屋」というネタをうまく使いながらこれからも安定した芸能生活を行なってくれると思います。

最後に、私が考える「ヨイトマケの唄」の魅力について書いておきたいと思います。その歌詞において、たいがいの曲というのは時代とともに古びていきます。すでに現代の人にとって電話といえば「スマホ」のことで、ダイヤル式の電話など全くその存在も知らない人が存在する中、「電話のダイヤル回して」なんて歌詞があったら何の事かわからずに古びていくのが普通です。「ヨイトマケの唄」の歌詞の以下の部分が、この曲を今でも歌い継がれるものにしている素晴らしい歌詞だと思います。

「今じゃ機械の世の中で おまけに僕はエンジニア」

「機械」と「エンジニア」という言葉はレコードが出て50年以上経っても「死語」になって辞書の記述から消えるようなことにはなっていません。数ある言葉の中からこの二つの言葉を選んで歌詞にした美輪さんの才能というのはそれだけでも素晴しいと感心するしかありません。

(番組データ)

美輪明宏 ヨイトマケの唄 その愛と秘密 NHK BSプレミアム
2/3 (土) 19:30 ~ 21:00 (90分)
【出演】シャンソン歌手…美輪明宏,
【語り】石澤典夫,久保田祐佳

(番組内容)

美輪明宏の伝説の名曲「ヨイトマケの唄」。この歌が人々に愛されるまでには数々のドラマがあった。その謎をひもとく未公開テープが作曲家・中村八大の遺品に残されていた。そこには若き日の美輪の肉声が。美輪が自らの人生を投影し、底辺で精一杯生きる人々の姿に心を動かされ、書き上げたこの曲は数奇な運命をたどりながら時代を越えて歌い継がれていく。美輪本人や関係者の証言からこの歌が人々の心をとらえ続ける秘密に迫る。


「ナショナルジオグラフィック」をそのまま流すのは間が持たないから?

米村でんじろうさんのショーアップされた科学実験というのはなかなかテレビ映えするもので、これまで多くのバラエティ番組で披露されてきました。基本的には超魔術よりわかりやすく、自分でも同じことがやれそうなものでもあるわけて、教育番組としても見ることができます。

放送前に何度も流された番組の宣伝に使われていた映像というのが、バイキングの小峠英二さんやあばれる君の頭にジェルを塗り、その上でキャンプファイヤーのような木を組んでそこに点火した様子で、番組ではその炎でオムレツを作るのには笑ってしまいましたが、実は面白かったのは実験ではなくて出演したタレントさんのリアクション芸にあったというところもあります。もっとも、そんな面白さを狙って作られたのがこの番組なのですが、流石に3時間スペシャルにするとそれだけでは間が持たなくなるので、「VS世界の科学者」として世界各国から様々な科学実験ビデオをYoutubeやInstagramあたりを中心に拾ってきて、出演した方々皆で見てリアクションを取ったり、実験のからくりをでんじろう先生が見やぶり、素材よりももう一つ味を付けて再現してみるという、いかにもお金を節約したという感じの番組になっています。

その中でも驚いたのが、日本ではCSで有料放送されている「ナショナルジオグラフィック」の番組のハイライトをそのまま皆で見ていた時間があったことです。「世界の面白ビデオ」を皆で見るという方がより安直なのですが、今回の場合は別に「ナショナルジオグラフィック」を見て楽しむという番組ではないので、どうせならでんじろう先生にもっとギャラをはずんでやって「ナショナルジオグラフィック」やインターネットの動画を省いて本格的な実験番組にしたらいいのにと思ったのは私だけでしょうか。

私自身途中から見たので偉そうな事は言えないかも知れませんが、あえて印象に残ったといえば小峠さんの熱がり方と、村上佳菜子さんは今後もバラエティ番組に呼ばれて人気者になっていくだろうなということだけでした(^^;)。彼女は日本テレビ「メレンゲの気持ち」でもメインMCとして出演されていますし、オリンピックのメダルとは縁がなかったものの、今後はタレントとして花が開いていくんだろうなという感じがします。

と、本来の実験以外のところに興味が向いてしまうバラエティというのはどうなんだろうと見ていて思いましたし、「VS世界の科学者」の部分をなくした1時間番組くらいで見るべき番組だったのではないかというのが偽らざる見ての感想でした。今のテレビというのは今回取り上げられたような、ネット上にあふれる動画に負けているから見られなくなっているわけですから、テレビでしか見られないもので少なくとも勝負して欲しいですね。

(番組データ)

金曜プレミアム・でんじろうVS世界の科学者!実験トリックを全て解き明かすぞ3時間SP フジテレビ
2/2 (金) 19:00 ~ 21:49 (169分)
【進行】 米村でんじろう  新井恵理那
【ゲスト】 梅沢富美男  松坂桃李  村上佳菜子  澤部佑(ハライチ)  小峠英二(バイきんぐ)  あばれる君

(番組内容)

米村でんじろう先生の代名詞でもある「笑えて学べる科学実験」をもとに、世界中の科学者が自慢の科学を持ち寄り登場し、検証していくサイエンス・バラエティー番組。 スタジオに登場する芸人たちとでんじろう先生による“爆笑実験”の数々だけでなく、日本全国、さらには世界の科学者たちがでんじろう先生に挑戦状を突きつける!科学者だけでなく、YouTuberや東大生の発明家らが、最新のユニークな実験を次々と披露。

果たして、でんじろう先生はその科学的な原理を解明できるのか!?また、TV初公開となるでんじろう先生とっておきの「科学実験」を披露!