01NHK総合」カテゴリーアーカイブ

ナーバスな題材でも事実隠蔽は反発を招くだけ

このカテゴリーで前回書かせていただいた「ベルリンオリンピック陸上競技」の内容がドラマについにのってきました。前回のロサンゼルスオリンピックと比べるとベルリンオリンピックでは公式の記録映画が作られたこともあり、選手は吹き替えではなく一部本当の競技の内容を記録した映画のシーンを使っていました。

一部というのは実は、当時の機材では日没後に競技が延長されて続いた棒高跳びについては記録できなかったためで、映画や当番組で使われた日本の大江季雄、西田修平の跳躍については、翌日改めて競技の様子を映画用に録り直したものでありました。

ただ、前回の内容でちょっと触れましたが、やはりというかこの大河ドラマでは、メダル獲得者以外は興味がないようで、三段跳びの田島直人選手は出てきましたが、5千メートルと1万メートルでともに4位に入り、現地でも大人気だった村社講平選手の存在は全く出てきませんでした。

そして、ドラマのコンセプトであるマラソンについては、これも記録映画に残っているものをそのまま流し、金メダル孫基禎選手、銅メダル南昇龍選手のメダル獲得と、それまで日本マラソン界がなしえなかったオリンピックの金メダルと複数メダル獲得の快挙を伝えました。

番組の中では日本の放送席の隣に陣取っていた優勝候補のザバラ選手の母国であるアルゼンチンのクルーが、ザバラ選手の途中棄権がわかると、そのまま放送を終了して帰ってしまったことが出てきましたが、これは当時のNHKアナウンサーの証言そのものです。また、オリンピックのマラソン中継は、スタートの部分を実況したもののそこで放送は中断し、レースが終わってから改めて放送されたということも事実に即しています。当時の取材では全コースの模様をつぶさに実況できるような事はできなかったということで、恐らくドラマで表現されたような怒号のあとの歓喜というものは日本のあちこちで起こったものだと思われます。

マラソン金と銅の孫・南選手は当時は日韓併合の渦中にあった朝鮮半島出身のランナーで、いわゆる「金栗足袋」を履いての快挙であることも間違いありませんが、前回の放送から播磨屋の店頭に両選手が金栗足袋を履いていてオリンピック代表に決まったというくだりが実は正確ではありません。この点は日韓両国にとって実にナイーブな内容を含むのですが、今回の放送でメダルを取ったことがわかった後、一瞬「今回のメダル獲得は朝鮮半島出身ランナーの快挙で日本人選手ではない」ことに残念がる気分が広がったのですが、そうした当時の日本人の気分を忖度したのか、実は日本選手団が出発する時にもマラソン日本代表は決まっていない状態だったのです。

話はマラソン代表の選考会の時にまで遡るのですが、当時孫基禎選手は、以前から他の競技で活躍していた同じ朝鮮半島出身の先輩から、とんでもない情報を入手します。当時、選考会前に孫基禎選手は当時の世界新記録を出しており、マラソン代表は間違いなしと言われていました。朝鮮半島出身のランナーとしては今回紹介された南選手は実力的に孫選手に次ぐ力があっても、出場枠の3には入らず、当時の日本陸連は日本人選手2名を選ぶというのです。その話を逆手に取るような結果に選考会レースはなってしまうのですが、その結果は南選手が一位、孫選手が二位ということになってしまったのです。

普通に考えると世界記録を持っている孫選手を落とすことができず、さらに日本陸連のメンツにかけても朝鮮半島出身のランナーが代表で2名入ることは避けたいと思ったのかどうかはわかりませんが、ベルリンに派遣する選手は朝鮮半島の選手2名、日本選手2名とし、大会出場の3名はベルリン現地で行なう30キロの現地予選で決定するとしました。

こうした当時の日本陸連の選手選考における不可解さはそれこそ最近の日本のマラソン代表選考にも影響を及ぼしていたようにも思います。しかしドラマでは孫・南選手が大会に派遣される前から日本代表になっているかのような流れになっています。

この辺は2019年現在の日本と韓国との主に政府同士の関係の悪さもあり、史実をそのままドラマ化するよりもある程度フィクションを入れながら描いた方がいいという考えあってのことかも知れませんが、日本人が朝鮮半島出身のランナーに勝てないという状況の中で、露骨な日本人贔屓をした事実は事実として、それら多くの忖度による代表選考が続いたことの反省のもとで2020年東京オリンピック代表選考の一発選考「マラソン・グランド・チャンピオンシップ」が生まれたということもあるので、そうした背景とともに過去の歴史を学習する機会になれば良かったのではという気がしてしまうのです。

個人的には今回の内容自体がニュース配信され、さらなる日韓両国の関係悪化につながるような事にはなって欲しくないですね。まさか放送のあるタイミングで日本と韓国に関する騒動が加熱しているとは制作者側にとっては想定外だったかも知れませんが、この問題はシナリオを書く前から問題としては続いていたと思うので、今後に遺恨の種を残す可能性もある一連の放送ではなく、せめてドラマ終了後のミニコーナーの中ででも、きちんと日本側から見た当時の国内の状況をきちんと説明して欲しかったと思っています。

(番組データ)

いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~(35)「民族の祭典」NHK総合
2019/09/15 20:00 ~ 2019/09/15 20:45 (45分)
【出演】阿部サダヲ,中村勘九郎,上白石萌歌,柄本佑,杉咲花,仲野太賀,森山未來,神木隆之介,荒川良々,川栄李奈,トータス松本,リリー・フランキー,三宅弘城,皆川猿時,塚本晋也,薬師丸ひろ子ほか
【作】宮藤官九郎

(番組内容)

ベルリンオリンピックはナチスが総力をあげ運営する大規模な大会となり、田畑(阿部サダヲ)を圧倒し当惑させる。IOC総会では治五郎(役所広司)が日本開催を訴える。

1936年夏。ベルリンで4年後の次回大会の開催地を決めるIOC総会が始まり、嘉納治五郎(役所広司)は「日本で平和の祭典を!」と熱く訴える。その直後に開幕したベルリンオリンピックは政権を握るナチスが総力をあげて運営する大規模な大会となり、田畑政治(阿部サダヲ)を圧倒し当惑させる。マラソンでは金栗四三(中村勘九郎)と同じハリマヤ足袋を履くランナーが出場。水泳では前畑秀子(上白石萌歌)のレースが迫る。


東京オリンピックでも「メダル至上主義」放送は続くのか

今回のNHK大河ドラマは途中で主人公が変わり、注目される種目も変わるというなじみのない展開になり、今回が阿部サダヲ演じる田畑政治氏がメインになって2回目の放送になりますが、まだ金栗四三氏の出番もあります。

ちなみに金栗四三氏はオリンピックのマラソンでは全くメダルには手が届かなかった選手で、そういう選手にスポットライトを当てたことで、いわゆる「勝利至上主義」をストレートに押してこないこれまでのドラマ展開をそのつもりで見ていたのですが、けたたましい調子でまくしたてる田畑氏の勢いそのまま、第二部は一気に「オリンピックは参加することに意義がある」ではなく、「オリンピックはメダルを獲ってこそ」という「メダル至上主義」の匂いを感じてしまった今回の放送でした。

今回のメインキャストははからずもアムステルダムオリンピックに日本女子選手として初めて参加し、金メダルを狙っていた100m走の準決勝で敗れたことで、一度も走ったことのない800m出場を役員に直訴し、何とか銀メダルを獲得して面目を施した(当時の期待された状況からするとドラマのようにそこまで手離しで喜べなかったと思うのですが)人見絹枝選手でした。

もちろん、女性の陸上競技の歴史の中では人見絹枝という存在は注目に値するでしょうが、あれほど日本のマラソンのために尽力した金栗四三氏が人見絹枝氏の結果だけを見て喜ぶシーンだけしか出さず、マラソン競技について全く触れなかったのはどう考えてもおかしな事です。落語のシーンをカットしても40キロ付近までトップで通過し、結果四位入賞した山田兼松選手の名前とそのレースの再現は入れないと、何でいままで金栗四三氏をメインで出してきたのか? もしかしてドラマ制作側の意図としては金栗四三氏は「マラソンの先駆者」ではなく「女子陸上普及の立役者」として出したかったのか? という風にも思えてきてしまいます。

それにひきかえ、前回まで全くドラマ的には出てこなかった陸上の三段飛び金メダリストの織田幹雄氏、そして水泳でも唐突に「新人」として出現し、前回出た東大地下の温水プールでは全く練習していないような(前回の筋ではこのプールを作って練習したことで日本の水泳チームが力を付けたように描かれていました)200m平泳ぎの金メダリスト鶴田義行氏はちゃっかりと出番がありました。

まさに、「メダリストはこれまでのストーリーとは無関係でもしっかり役者を付け名前を出すがメダルを取れなければストーリーに関係があっても名前すら出さない」という感じになってくるのです。

その予感が増大するのが、当時まだ小学生だったと思われるベルリン・オリンピックの平泳ぎで金メダリストになる前畑秀子選手が人見絹枝選手に続く日本人女子アスリートの象徴として出てきたことです。前畑選手を出した以上、戦前のベルリン・オリンピックについて触れないわけにはいかないでしょうが、果たしてそこで、当時の日本陸上界にとって悲願であったマラソン金メダルと銅メダルを獲得した朝鮮半島半身のランナー孫基禎・南昇龍の両選手の事はどう扱うのか。また、後のオリンピックチャンピオンになるザトペック選手が陸上を始めるきっかけになったという5000mと10000mでフィンランドの3選手と互角に渡り合うも両方のレースで無念の四位となった村社講平選手は出てくるのか、次回に向けて大変に楽しみになってきました(^^;)。

個人的にはメダルだけに執着し、メダリストばかり注目する状況というのは良いとは思わず、逆に四位入賞者にシンパシーを感じてしまうことがあります。マラソンでは2大会連続四位に入った中山竹通選手の凄さが印象に残っていますし、同じく2大会連続四位ということでは冬季五輪スキーモーグルの上村愛子選手の頑張りはメダリストに全く引けを取りません。しかも上村選手の夫はトリノオリンピックスラロームで四位入賞を果たした皆川賢太郎選手であるというところにもぐっとくるものがあります。

今回の大河ドラマは多くの視聴者を東京オリンピックに向けて盛り上げるために企画されたものだということはわかって見ていますが、今回の内容はあまりにもメダル至上主義が過ぎているという印象でした。次回に向けていくらかの軌道修正があるのか、とにかく次回を楽しみにしておきます。

(番組データ)

いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~(26)NHK総合
7/7 (日) 20:00 ~ 20:45 (45分)
【出演】
阿部サダヲ,中村勘九郎,桐谷健太,斎藤工,三浦貴大,大東駿介,上白石萌歌,柄本佑,森山未來,神木隆之介,荒川良々,川栄李奈,じろう,永山絢斗,菅原小春,根岸季衣,萩原健一ほか
【作】
宮藤官九郎

(番組内容)

アムステルダム五輪が迫り、体協が相変わらず資金難に苦しむ中、田畑政治(阿部サダヲ)は記者人脈を活かし、政界の大物、大蔵大臣の高橋是清(萩原健一)に選手派遣のための資金援助を直談判。本大会では女子陸上が正式種目に。国内予選を席巻した人見絹枝(菅原小春)はプレッシャーに押しつぶされ、期待された100mで惨敗。このままでは日本の女子スポーツの未来が閉ざされるー。絹枝は未経験の800mへの挑戦を決意する。


震災<人災という現実を垣間見せてくれた2つの番組

テレビ局の編成が力を持つのは、まさに今回のNHKの夜の番組の並びを実現できるような選択ができるからだとしみじみ思いました。昨日、2019年6月3日の午後10時から放送された「逆転人生」から「事件の涙」という2つのドキュメンタリーをノンストップで続けられたことで、チャンネルを変えるタイミングを逸してそのまま見てしまったのですが、こういった意見の伝え方があるのかと感じることになったので、ここで改めてその内容について紹介させていただきたいと思います。

まず、「事件の涙」という番組は再放送で、本放送は2018年の5月に初回放送があったもので、初回放送を見た方からすると、単体で見た番組について消化不良な所もあったのではないかと考えられるような番組の構成だったように思います。

最初に「事件の涙」の方の番組内容を紹介すると、この番組自体は大きな事件のその後の関係者の「涙」に焦点を当てて取材する切ないドキュメンタリーなのですが、今回は雪印の食肉偽装(オーストラリア産の肉を和肉として出荷しようとした)を告発した「西宮冷蔵」の社長とその家族のその後にカメラを向けています。

この番組で改めて知った事に、社長の娘さんは衝動的にマンションの14階から飛び降りて命は取り留めたものの下半身不随になってしまっていたということがあります。正義の告発のはずが利用客には契約を打ち切られ、さらに当時の政府には告発をしたのに不正をしばらく黙認していたのではというイジメのような難癖を付けられ、倉庫への強制捜査を入れられるなど、内部告発について告発した側を守るどころか、何の配慮もない行政の理不尽さなどを前にして家族の事までケアできなかったと社長は自分を責め、取材当時には生活のほとんどを娘さんの介護にあてています。

会社を切りもりしていたのは父の想いを受けた息子さんで、必死の努力で何とか売上を最盛期の7割くらいまで回復させたものの、再び当時の大口の顧客から商品の偽装を持ちかけられ、その申し出を断ったところ他の得意先も契約を止めるという、正に日本の企業の底意地の悪さというのか、事無かれ主義というものの犠牲になり、倒産寸前のところまで追い込まれていることが紹介され、まさに倒産寸前の状況を紹介して番組は幕となりました。西宮冷蔵の今後には全く展望が見えないところまで追いこまれているわけですが、これが世の中の現実であることも確かです。

最近のドラマでは「半沢直樹」の大ヒットによる影響もあるのかも知れませんが、中小企業が大企業に対して真っ向から戦いを挑んで勝利する「下町ロケット」や、銀行員が会社の内部で行なわれる理不尽な動きに対して、その妨害にもめげずに自らの行動で状況を変えていくという「集団左遷!」などのドラマが人気になっています。そうしたスカッとするドラマを現実の世界でも行なわれているような形で紹介する番組が、直前に放送された「逆転人生」のようにも思うのですが、今回もやはり最後にはスカッとした結論を導き出すようないわゆるベタな展開になっていました。

別にこの番組で取り上げた岩手県陸前高田市の醤油を作る「株式会社八木澤商店」に罪があるわけではありません。むしろ、東日本大震災の影響で工場にあったもろみと微生物を全て津波で流されてしまったことで会社としてもう二度と震災前と同じ製品を作ることができないということを感じつつも会社を再建しようとする中で奇跡的に4kgだけ残ったもろみから過去と同じクオリティを持つ製品を作ることができた過程は十分感動的でした。

今回、なぜこの番組の後に西宮冷蔵の現在をレポートしたドキュメンタリーを直後にもってきたかということを考えると、あまりにも大きな二つの企業の襲われた災難の「差」というものが浮かび上がってくるのです。

八木澤商店が受けた試練である大きな地震と、それにともなった津波の被害というのは今さら言うまでもなく悲惨な結果を生み出し、多くの人命を奪っただけでなく原子力発電所を壊滅させ、今なおその影響で苦しんでいる人を生み出しています。その被害については大なり小なり違いはあれ、被害を受けた地域では全ての人や企業が同じように受けた災難でありました。それに対して西宮冷蔵が受けた災難というのは自然的な災害では全くなく、西宮冷蔵だけがピンポイントに受けてしまったその全てが「人災」とでも呼ぶべきものでした。顧客の大企業にとって都合の悪いことをしたものの、そのおかげで一般消費者が受ける影響を考えると、誰かがこうした告発者を守ってあげないといけない事例だったのではないでしょうか。

現在西宮冷蔵と同じように営業している同業他社がなぜ問題も起こさず営業を続けているのかということを考えると「決して内部告発などをせず、大人しく産地偽装を黙認していればいい」と考えて社会悪をそのままにしているところが生き残っているという風に少々いじわるに考えてしまうこともできると思います。もしかしたら現在日本の産業全体が低迷しているのは、こうした「正直者が馬鹿を見る」ような状況にあるのではないかという風にも考えられるので、この件についてはまずは西宮冷蔵を貶めた本当の悪はどこにあったかという検証をテレビは行なうべきでしょう。

あの悲惨な東日本大震災よりもひどく、長きにわたって絶望しか生み出さないものが「人災」だというのは本当に悲しいことですし、日本を再生するというのならこの象徴的な事件について、事件の被害者親族を執拗に追い詰めたり、芸能人の不倫事件で関係者のところにしつこく取材するよりも力を注いでいただきたいと思うのですが。

(番組データ その1)

逆転人生「復活!奇跡のしょうゆ 被災地の逆転劇」NHK総合
2019/06/03 22:00 ~ 2019/06/03 22:50 (50分)
【司会】山里亮太,杉浦友紀,
【ゲスト】しょうゆ会社社長…河野通洋,
【出演】村上弘明,秋元才加,しょうゆに詳しい専門家…高橋万太郎

(番組内容 その1)

東日本大震災で壊滅的被害を受けた陸前高田の老舗しょうゆ工場。200年受け継がれてきた“もろみ”を使って醸すしょうゆは全国のファンに愛されていたが、その“もろみ”が津波で全て流され、元の味のしょうゆの製造は絶望的状況となる。しかしたった4キロ、研究用に保管されていた“もろみ”が発見された。しょうゆ会社社長の河野通洋さん(45)は、4億円を借金して工場再建を決意。元の味のしょうゆ復活に挑む。

(番組データ その2)

事件の涙 Human Crossroads選▽正義の告発 雪印食品牛肉偽装事件 NHK総合
2019/06/03 22:50 ~ 2019/06/03 23:16 (26分)
【語り】吉田羊

(番組内容 その2)

2002年、大手食品会社の背信として、社会に衝撃を与えた「雪印食品牛肉偽装事件」。発覚のきっかけは「輸入牛肉を国内産と偽っている」と暴露した、「西宮冷蔵」社長・水谷洋一さんの内部告発だった。しかし、取り引き先は次々と去り、国からも処分を受け、経営危機に。経済的理由で高校進学をあきらめた娘は、心を病み、重い障害を負う。それでも水谷さんは、息子とともに会社を死守、「正義」を社会に問う。


伝え方によって印象の違う事故から見る「逆転人生」

事前に今回の番組「逆転人生」の紹介を見て、栃木県の有名な温泉旅館である「加仁湯」の一家が遭遇した雪崩事故についてNHKが放送するのを知り、まず思い出したのは今回の番組で紹介した一連の雪崩からの救出劇のあらましを語ったテレビ朝日制作の「激レアさんを連れてきた」で今回出演した加仁湯の女将さんが出演した回でした。

激レアさんの方では、58時間の雪中遭難の様子については面白おかしく(それがこの番組のクオリティです(^^))、手作りの工作で紹介し、全員助かったからこそのバラエティ番組の出演だったと思います。実は今回の「逆転人生」のナレーションで、今回の主役の女将さんは加仁湯に入る前に芸能界を目指していたもののうまく行かずに、紹介された加仁湯でバイトすることになったことで今のご主人とご縁ができたという話が出てきました。

なぜわざわざ宣伝する必要がないほど有名な温泉旅館の女将がバラエティ番組に? と思ったのですが、その話を聞けば納得できる部分があったのですが、もしかしたら女将さんとご主人が今回のオファーを受けて、あえて同じ話題で2回目のテレビ出演をしたのには、さすがに今回の番組で紹介したような深刻な状況もあり、その中での葛藤があったということを示すことで、「激レアさんを連れてきた」とは違う事実があることを示したかったのではないかと番組を見始める中で思ったのですが、さらにもう一つの理由があったようにも思いました。

番組では丹念に遭難した58時間の様子を再現ドラマで紹介していて、雪崩に車がすっぽり埋まった状態でエンジンを掛けて暖房を付けるという行為は、もしマフラーが雪でふさがってしまったら排気ガスが車内に逆流して全員が一酸化炭素中毒で死亡という最悪の結果も考えられました。再現ドラマでは女将の「頭痛」「吐き気」について言及が有りましたが、結局それが多少でも排気ガスが車内に入ってきたためのものなのか、車を閉め切ったための酸欠のためだったのか、明らかにされることはありませんでした。今回の番組では「危機管理アドバイザー」という肩書の人も番組に参加していたので、少なくともその辺の事は明らかにし、実際に同じように雪崩で埋まった中でどのようにするのが正解なのかという事も伝えて欲しかったと思ったのは私だけではないはずです。

まあその点は気になったものの、子供4人を乗せた状態で58時間も子供をパニックにさせることなく過ごすことができたことは立派で、NHKの番組だからこそ伝えられた点があったことは確かです。しかし、番組のテーマである「逆転人生」という事で言うと、この事故の前と後で女将さんには以前のように自分から動くことのない、受け身で温泉旅館の仕事をするのではなく、温泉旅館の仕事を前向きに行なうような意識の変化があったということがあったそうです。番組としてはその事こそが大事で、番組ではそれを伝えるために事故の内容を詳しく紹介したということも言えます。

この番組自体は過去に「コンビニに入店しただけで逮捕され長期勾留された男性」が裁判で無罪を勝ち取るまでの事を詳細な取材で紹介し、「大きな困難に負けずにそこから逆転する人生の達人」を紹介するドキュメントであることはわかっていました。そういう意味では、今回の加仁湯の家族の物語というのはなかなか継続して営業することの難しさもある山の中の一軒温泉がまだまだ続いていく希望を感じさせてくれた点(ご夫婦の長男が旅館を継ごうかと考えていることがテレビで紹介された)については、実に見ていて嬉しかったです。
こうした番組の命は、いかに多くの視聴者の共感を得られる「人生の逆転」をした人を連れて来られるかという事になるかと思いますが、NHKには毎週放送にこだわらず、しっかりとした取材を行なって番組作りをしてほしいものです。

(番組データ)

逆転人生「母は強し!連続雪崩から奇跡の生還」NHK総合
2019/04/08 22:00 ~ 2019/04/08 22:50 (50分)
【司会】山里亮太,杉浦友紀,
【ゲスト】旅館経営者…小松輝久,旅館女将…小松志保,
【出演】北斗晶,松本伊代,危機管理アドバイザー…サニーカミヤ,
【語り】吉川未来

(番組内容)

栃木県の山あいを走っていた車を連続雪崩が襲った。乗っていたのは母親と子供たち。天上の上2mまで雪に覆われ、酸欠や低体温の危険が。八方塞がりの状況から奇跡の生還。

2014年冬。栃木県の山あいを走っていた車を大きな雪崩が襲った。乗っていたのは母親と子供たち。雪崩は連続しておし寄せ、天井の上2mまで雪に覆われる事態となった。低体温を防ぐため、エンジンをかけて暖房をつけると、排気ガス中毒の危険が。密閉されたため酸欠の恐れもあり、まさに八方ふさがりの状況に陥った。しかし母子は58時間後に、奇跡の生還を果たす。生死を分けたのは、母親が土壇場で固めた“決意”だった。


ドラマのリアリズムは現実にどこまで歩み寄るべきか

NHKの朝の連続テレビ小説の99作目「まんぷく」が終わりました。ここのところNHKでは大手企業やその関連する人物を主人公にした作品を多く作っていますが、この作品も日清食品グループの創始者夫婦と思しき人物を主人公にしたもので、今回の番組終了を機に日清食品グループがどのようなアプローチをするのか、そもそも一切ドラマ便乗の商法を行なわないのか、これを書いているうちはわからないので興味があります。

かつての朝ドラ「マッサン」の時は、日本全国でウィスキーブームが起き、そのためずっとウィスキーを好んで飲んできたような人にとっては特定の銘柄のウィスキーが入手が難しくなり、オークションで価格が上がるなど個人レベルでまでNHKがドラマで「ニッカウヰスキー」を取り上げたことによる影響が出ましたが、そういう状況が生まれるからこそ、どのような「事実に基いたフィクション」を作るかということが大事になってくるような気がするのです。

今回の「まんぷく」は日清食品が「カップヌードル」を作り、さらにそれが大成功して大団円ということになるのですが、ドラマのように歩行者天国での試食イベントだけで全国に広まったわけではありません。それこそ当時でも東京の歩行者天国というのは遠い存在で、一大プロモーションで「カップヌードル」という製品があり、自動販売機で売られているというところまでは知られたとしても、全国津々浦々のスーパーマーケットで売られるようになるには、歩行者天国でのキャンペーン後に起こったもう一つの大きな「事件」の産物で、結果的にカップヌードルには幸いしました。

実はこれにはドラマを制作したNHKも十分関わっているところなので、なぜ今回の脚本にその場面が出て来ないまま終わってしまったのか、かなり消化不良の印象があります。おばあちゃんの生前葬をやる時間があるなら、歩行者天国のくだりは前半に行なってしまい、最終回の一つ手前に「あの事件」を持ってきても良かったのではないかと思います。

ちなみに、歩行者天国でのキャンペーンは1971年11月で、その事件「あさま山荘事件」が起こったのが1972年の2月です。過激派が立てこもった「浅間山荘」の周辺は2月の気温がマイナス15度というとんでもない寒さで、差し入れのあらゆる食品がカチンコチンに凍ってしまい、作りおきしたおにぎりやお弁当という携帯食料では、酷寒の中ではまともに食べられないということが事件を生中継し続けたNHKのテレビを食い入るように見ていた全国の人々が知ることになったのでした。

そこで登場したのが「カップヌードル」でした。これなら犯人と対峙する機動隊も交代時間に食べられました。沸騰したお湯を注いで3分待ってすぐ食べるという、自分で調理し、自分で食べるタイミングを決定できる食品の有効性がきちんと伝わったことになります。本来コマーシャルは流せないはずのNHKで、カップヌードルを食べる姿が大写しになって流れたことで国民は商品の存在とセールスポイントを知り、大きな購入動機が生まれました。当時のテレビにとっては民放・NHKを合わせると現場中継を9割の人が見ていたというデータも残る中、広告費を出していない日清食品の一人勝ちで、実にNHKや他の食品メーカーからすると皮肉な結果になったという、テレビの歴史からするとかなり稀有な事件の主役がカップヌードルだったわけです。

実は最終週は、ナレーションだけでも事実として紹介されるのかなと思って見ていたものの、全く触れられずに、「チキンラーメン」や「カップヌードル」が売れるようになったのは今回の朝ドラヒロインのおかげですというような何か変な結論で終わらせるというのは、いくらフィクションとは言え無理がありすぎです。本当に日本の中でもわずかな地域で行なったキャンペーンだけで大ヒットになった? なんてことが本当なのかはちょっと考えればわかることでしょう。

たかがドラマにそこまでのリアリズムは必要ないと思う方もいると思いますが、それなら実在の人物で、さらに現在もテレビコマーシャルを民放局で放送している企業について利益を誘導するようなドラマ制作自体について、もう少し考えるべきでしょう。

(番組データ)

連続テレビ小説 まんぷく(151)[終]「いきましょう!二人で!」NHK総合
3/30 (土) 8:00 ~ 8:15 (15分)
【出演】安藤サクラ,長谷川博己,内田有紀,松下奈緒,要潤,大谷亮平,桐谷健太,瀬戸康史,岸井ゆきの,松井玲奈,呉城久美,中尾明慶,深川麻衣,牧瀬里穂,加藤雅也,松坂慶子,
【語り】芦田愛菜
【作】福田靖

(番組内容)

「まんぷくヌードルの価値が理解できるのは頭の柔らかい若者たちではないか」という福ちゃんの気づきをきっかけに、大勢の若者が集まる「歩行者天国」で、社運をかけてヌードルの大試食販売会をすることになりました。いよいよ勝負の日。誰もが成功を願う中、行き交う人々の反応は…。そして福ちゃんと萬平さんは、ある大きな決断をするのです。


傷の付いた怖い顔が人生を変えた伊東四朗さんについて伝えられなかったこと

81才という年齢を感じさせず、今なお舞台やテレビで活躍する伊東四朗さんが今回の出演でした。最近のテレビでは数少ない主演作(羽田美智子さんとのダブル主演ですが)の「おかしな刑事」(テレビ朝日系列)が最近放送されましたが、ひょうひょうとした演技で年齢を感じさせないという感じがします。

また、TBS系列の「十津川警部シリーズ」では、十津川警部の相棒の亀井刑事を演じ、すっかり喜劇役者というイメージとは違っているような感じです。
そんな中、この番組ではやはりNHKということで、朝ドラの「おしん」や大河ドラマの映像を流していたのですが、喜劇ができれば何でもできるというようなニュアンスでVTR出演の小松政夫さんが伊東さんの演技を評価していたものの、個人的には大変残念ですが、もう一つ役者として大きな役を掴みきれなかった不運さというものも感じてしまいます。

というのも、番組内の伊東さんの芸能界に入るきっかけとなった、高校を卒業する際に受けた就職試験が全て駄目で、仕方なく兄の世話をしたアルバイトをしながら劇場に通ったことが紹介されていたのですが、なぜ就職できなかったのかということが番組では明らかにされます。それは、学生の時にトロッコが倒れて顔に骨まで達する大きな傷の残る怪我をしたことから、相当人相が悪くなり、そのために企業は伊東さんをことごとく採用しなかったということだったのでした。私たちはまず「てんぷくトリオ」での伊東さんを先に見たり、最近の柔和な表情の刑事役で見ていることから、そこまでの人相の悪さは感じないと思いますが、ちゃんとその顔を見ると迫力があり、いわゆる悪人顔であったことが伊東さんの人生を切り開いたと言えるわけです。

そんな、迫力ある顔を全面に押し出すことで伊東さんが主演に抜擢された映画がありました。本来はこの番組で伊東四朗さんを語る際に出てくるべき代表作になるはずでしたが、これが伊東さんの顔とは全く関係ない理由で映画が上映されない、いわゆるお蔵入りになってしまった不運があったのです。その映画の題名は「スパルタの海」という作品で、あの戸塚ヨットスクールが大きな問題を起こす前、不登校の生徒を更生させる施設だというような、スクール側の視点から描かれたもので、伊東さんは戸塚校長役としてすごい迫力で主演を全うしています。

現在はソフト化されて見ることができますが、暴力事件で戸塚校長が逮捕される中、さすがに一般の映画館での公開は不可能で、もしこの映画が普通に公開されて、伊東さんの迫真の縁起が広く紹介されていたとしたら、役者としての評価ももう一つ進んだのではないか? と思えます。

さすがにこうした事は「ファミリーヒストリー」という番組とは関係のない話なのですが、これほど自分の顔によって人生が変わった人を知りませんし、テレビと違って映画は現在のビデオオンデマンドでもネット配信で見られるようになるなど、時代を越えて生きのびる永続性を持っています。

最初に紹介した伊東さん主演・助演のTVシリーズは確かに人気ではあるのですが、例えば渡瀬恒彦主演の十津川警部シリーズは内藤剛志さんが引き継いだことによって、十津川警部と言えば渡瀬恒彦というイメージも今後はどうなるかわかりません。常に今が大切なテレビでは過去の人になってしまうととたんに忘れられる宿命を持っているとも言えるわけで、その点を伊東さんがどう考えているのか、そしてやはりビートたけしさんのように、舞台はライフワークとして続けるにしても、テレビより映画の方向に進みたいと思っているのかどうかということも、ちょっと気になります。

こうしたことは、あまり御本人は気に掛けないのかも知れませんが、この番組で紹介されていた「てなもんや三度笠」などは見たいと思っても全編を見ることはかないませんし、逆に映画なら古いものでもフィルムが残っている可能性があり、お蔵入りした「スパルタの海」もネットで今後配信されるようなことがあれば、そこから新たな伊東四朗さんの再評価が起こってくるかも知れません。もっと言うと、テレビ番組のアーカイブもいつでも見たい時に簡単に多くの人が見ることができるようになれば、また状況は変わってくるのではないかと思います。

現在のテレビのアーカイブは、一部YouTubeに違法アップロードされるものが担っている部分があり、そこからどのように誰でも見られるようにしていくかということが大切になってくると思います。時代はすでに一度収録したビデオテープを再利用しなくても保存できるわけですから、テレビの番組であってもいいものは残すことで、本当にいいものを未来に渡っての共有財産として活用することも不可能ではありません。ちょっと大風呂敷を広げすぎたかとも思いますが、テレビ業界に関わる人達には、テレビ番組のアーカイブをどう保存していくかということについても考えて欲しいものです。

(番組データ)

ファミリーヒストリー「伊東四朗~思いがけず平氏と源氏 たどりついた喜劇の道」NHK総合
1/28 (月) 19:30 ~ 20:43 (73分)
【ゲスト】伊東四朗,
【司会】今田耕司,池田伸子,
【語り】余貴美子

(番組内容)

81歳になった今もドラマやバラエティ、舞台で活躍する伊東四朗さん。父は洋服の仕立て職人だった。しかし、仕事をせず極貧生活の中で、一家は夜逃げ同然で転々とする。家族を支えたのは明るく朗らかな母。そんな両親のルーツに、驚きの事実が浮かび上がる。父方は平氏、母方は源氏との関わりを示す証拠が見つかる。さらに、伊東さんの知られざる半生が、数々の証言で明らかになる。激動の歳月に、伊東さんは驚いてばかりだった。


いつから「ゆるキャラグランプリ」が国民の関心事になったのか

この文章の最後にまとめてある「番組内容」の中には出てきませんが、当日のニュースの中に「ゆるキャラグランプリで特定の市が組織票を大量に投票している」ということがニュース種になっていました。この「ゆるキャラグランプリ」というのは、一年に一回ネットからの投票によってエントリーしたご当地のキャラクターの一番を決めるイベントなのですが、今年の投票についてのみクレームを付けるような形で報道することにまずは違和感を覚えてしまいます。

この「ゆるキャラグランプリ」は2010年から開始されましたが、投票がインターネットに一本化された2011年から組織票についてのニュースはちゃんと出ていました。もっとも、当時は組織票といってもあまりに自治体がゴリ押しして一位を取ってしまいそうなキャラへの組織票ではなく、どう見ても一位は取れなさそうな変なキャラクターをネット民の力で一位にして、お金を掛けてキャラクターを作って「町おこし」のために活躍してもらおうという自治体や広告代理店の考えを粉砕するために、東京・西国分寺の有志が作ったキャラ「にしこくん」に大量に投票し、その時に二位だった「くまモン」がいくら組織票を入れても届かないほどのネット投票をしたことで話題になったのです。

今回、2018年の四日市市のゆるキャラ「こにゅうどうくん」への組織票については、他の自治体などが今までさんざん行なってきた事なのでさすがに手は加えないようですが、2011年の「にしこくん」に対しては得票の8割を無効にするという、まさに第一位は「くまモン」に決まっている出来レースだったかのような処置が取られ、結局「にしこくん」は第三位に留まりました。当然、当時の熊本県庁や関連の団体による多くの投票はあり、くまモンへの投票を呼び掛けるためにそれなりのお金が使われたはずですが、その事は問題にもされませんでした。

さらに、2015年のグランプリを取った静岡県浜松市のキャラ「出世大名家康くん」についても、その一昨年の2013年に栃木県佐野市の「さのまる」に逆転され第二位になった恨みを晴らすかのように、大手広告代理店とのタイアップで市民に「毎日投票」と呼び掛け、さらに開催地を誘致してまでも組織票による投票や現地での一大キャンペーンを繰り広げ、念願のグランプリを取ったのですが、そのために3年もかけて税金をいくら使ったのかということを考えると、今回の四日市市の事など比較にならない組織とお金が動いていたものと思われます。この辺をきちんと取材して報道していれば良いレポートとして評価もできるのですが、今回のようなニュアンスで当時NHKが伝えたようには全く記憶していません。

さらに今回のNHKによるニュースが姑息だと思ったのは、ニュース番組なのに面白おかしく伝えようとしたのか、記者が電話で「くまモン」にこの件についてのインタビューを取ろうとして熊本県町に電話して、担当者が「くまモンは小さい子で喋れないので私が代理で……」と語せるようなくだりがあったことです。現在のくまモンの人気がどうということではなく、最初の取り決めで言えば2011年のゆるキャラグランプリは「にしこくん」に譲らねばならなかったはずの「くまモン」を引き合いに出す事自体がきちんと問題の本質に向き合おうとしないNHKの立場を表していると言えるでしょう。

そもそも「ゆるキャラ」というのは漫画家のみうらじゅん氏が付けた名称で、決してお金を掛けてデザインや宣伝を外部に委託してクオリティを上げたキャラクターを作るものではなく、お金のない自治体や団体が担当者の考えたとてもクオリティが低いデザインを形にすることで、何とも言えずほのぼのとした残念感があるキャラクターの事だったと思います。ですから、本当は投票による優劣でグランプリをそもそも決めるべきではないものなのです。もしそうしたやり方がいやなら、みうら氏が付けた「ゆるキャラ」という名称を返上して「ご当地キャラグランプリ」とでもして開催すればいいのにと思います。

もし「ゆるキャラ」という名前で続けたいのなら、そもそも投票制はやめにしないと、今後ももすます中に入った広告代理店やデザイナーの益になるだけであり、住民の払った税金を無駄に使われるだけでしょう。もし今年までのような大がかりなグランプリを取るための行動が全く役に立たなくなるような選考が行なわれることになったら(流行語大賞がその方式でグランプリを決めています)、改めてそこで「ゆるキャラ」としての面白さが出てくるようになり、全国的な人気者も生まれてくるように思えるのですが。

とにかく、今回のNHKをはじめとして、今までの「ゆるキャラグランプリ」の歴史を何も勉強せずに「組織票」だと煽るテレビの姿には絶望を禁じえません。

(番組データ)

ニュースウオッチ9 NHK総合
2018/11/09 21:00 ~ 2018/11/09 22:00 (60分)
【キャスター】有馬嘉男,桑子真帆,
【スポーツキャスター】一橋忠之,
【リポーター】栗原望,高橋篤史,今井翔馬,上原光紀,
【気象キャスター】斉田季実治

(番組内容)

▽平成を彩った招待者 両陛下・最後の園遊会
▽ダンパー不正発覚・まもなく1か月 現場は
▽再登板!巨人 原監督


「白米離れ」で心配になること

番組の題名にもなっていない、後半でちょっと触れられた内容がかなり重大なことなのにサラッと流されたのが気になりました。というのも、現代の学生の中には味の付いている主食を好むあまり、パンや麺類を好む食生活になっていて、学校の給食ではあえて「パン」と「ごはん」を選べるようにしているところがあるというレポートを報じていました。さらに状況の変化に個人的にびっくりしたのが、濃い味が付いていない白米が「嫌い」だと公言する児童や生徒がいるという事実です。

別にここで、日本の農業の将来を憂うとかそういう事ではないのですが、いつもパンを中心の食生活をしていても、白米が嫌いだから食べないというような人が増えているということになると、それで本当にいいの? という気持ちになってしまいました。番組は時間が30分と短かく、さらにVTR中心の番組であるので、いまいち白米そのものが嫌いな日本人が増えつつあることについての話はないまま番組は終了しました。

この文章を書いている2018年9月から10月にかけて、北海道で大きな地震があり、さらに台風24号と25号の接近により長期の停電に見舞われたケースが立て続けに起きました。何もない日常でなら菓子パンも買え、冷凍食品を電子レンジで温めて食べることもできます。しかし、北海道の地震では停電の影響で現金を引き出すためのATMすら動かなかったところもありました。番組ではおじいちゃんに送ってもらったお米が余ってしまって困っているという小さい子供のいる主婦に取材していましたが、もしそんな家で長期間の停電に襲われた場合にどうなるのかを考えてみてください。

家庭内で小麦からパンを焼くのは大変ですが、お米があれば多少の知識と経験は必要なものの鍋と水とカセットコンロがあれば炊きたてのご飯をいただくことができます。そして常温で保存でき、一食単位のコストも安くて済むお米というのは、ある意味究極の非常食とも言えます。パン食が中心の家庭であっても、お米の品質が低下する前に食べきるくらいの量を備えておけば、少なくともひもじい思いはしなくて済むと思うのですが、その時に白米が死ぬほど嫌いな人が多くなっていたら、災害中の楽しみであるはずの食事がストレスになる可能性もあるわけです。

もちろん、日々の生活の中で何を主食にするかというのは個人の自由ではあるのですが、今回紹介したような災害時の非常食としてだけでなく、日々の生活のためのコストを下げるためにもお米を炊いて食べるという習慣を捨てるのはあまりにも勿体無いという気がして仕方ないのです。できればそこまで番組では突っ込んで欲しかったなと思いますが、問題提起をしてもらい、現在の日本では何が起きているかということを知らせてくれたことには素直に感謝したいですね。

(番組データ)

所さん!大変ですよ「なぜか大人気!?超高級マヨネーズの謎」NHK総合
10/4 (木) 20:15 ~ 20:45 (30分)
【司会】所ジョージ,木村佳乃,久保田祐佳,
【出演】澤口俊之,牛窪恵,モーリー・ロバートソン,マヨネーズコレクター…スー
【リポーター】井上裕貴,
【語り】吉田鋼太郎

(番組内容)

1個百円の卵を使った超高級マヨネーズが売れに売れているという。実は今は空前のマヨネーズブーム。背景にあるのはカット野菜人気だった!激変する日本の食卓の実態とは?

鹿児島の山間部で作られる超高級マヨネーズが、生産が追いつかないほど売れている!?実はマヨネーズの消費量は過去最高を更新中。空前のブームの背景にあるのは、料理の手間いらずの「カット野菜」人気だった。一方子育て世帯の食卓からはコメが姿を消している!?ピザやパスタなど味のついた主食を好む子どもたち「好き嫌いをなくすより楽しい食卓が優先」という保護者…激変する現代日本の食卓、その衝撃の実態をリポート。


番組構成の力を垣間見た「ふたりのビッグショー」

基本的にはこの年に惜しまれつつお亡くなりになった歌手の西城秀樹さんを偲んで、過去に番組でご一緒した野口五郎さんをゲストに招き、当時の話を聞きながら番組は進行するのですが、今回はまるまる番組を再放送した野口五郎さんと西城秀樹さん出演の「ふたりのビッグショー」が圧巻でした。

こんな事を思ってしまうのは、最近のテレビではなかなかしっかりとした構成のショーを見ることがないということがあります。バラエティでも完全に台本があるようなものより、その場での瞬発力を試すようなアドリブが要求される番組というのはそれはそれで面白くで気に入って見ているものもあります。一例としてはフジテレビの「さんまのお笑い向上委員会」などは収録番組ではあるものの、予定されたエピソードからずれる所が面白く、その面白さのためなら用意された台本も飛ばすということもありそうな番組です。

今回の「ふたりのビッグショー」は、アイドルとして「カックラキン大放送!!」(日本テレビ)や「8時だョ!全員集合」(TBSテレビ)あたりの構成のしっかりした歌ありコントありの当時の人気番組に出演することが多かったお二人にとっては真面目に用意された歌を歌うだけではファンが納得しないこともあったのか、コントの要素も取り入れたお互いのノリとツッコミがお二人の仲の良さを印象付ける結果になりました。

ただ、ああしたやり取りはいくらお二人が仲が良くてもすんなりと時間に合わせてできることではなく、そのための演出であったり台本が必要になります。そんな掛け合いの言葉も単に台本の内容を喋っているというのではなく自然にこなされていましたし、スムーズに歌や演奏(野口さんはギター、西城さんはドラムとギター)につなげることもできるのも、きちんとした構成台本があるからで、見る方もハラハラすることなく安心して見ていられました。

こうした番組作りは古いと言われればそれまでかも知れませんが、この番組も収録で行なわれ、ディナーショーのようにその場でのやり直しのきかないものでもあります。ただディナーショーと違うことは、テレビの向こうにはもちろん出演したお二人の大ファンもいるでしょうが、そうでもないと思う人や、たまたまテレビを付けたらこの番組が流れていたという人もいるはずです。そんな中でテレビの向こう側に注目して見続けてもらうだめの番組というよりショーの作り方というのは大変に素晴らしく、単に西城秀樹さんの追悼という意味あいだけではないものが感じられました。

翻って、今の日本の音楽シーンについて考えてみると、当然このようなショーとしての番組を十分に楽しむものにできる方というのは当然いると思います。ただテレビというのはライブと違って時間の制約があるので、嫌う人がいることも事実です。しかしながら、自らの意見と構成担当のスタッフとの連携を取るようにしてこうした番組という形で素晴らしい歌や演奏、そしてその人となりを表わすトークパートをうまくまとめて番組を作ることは決して不可能ではないのではないかと思うのです。紅白歌合戦に頼まれて出場して、自分の好みの演出を押しつけるのは嫌われると思いますが(^^;)、自分のパフォーマンスをテレビ番組の中でどのように伝えるか、そんなことも考えてくれるアーティストが沢山出てくれると、テレビの場合は全国どこでも見ることができますので地方にいてなかなか生のステージを見られないファンにとっては嬉しい話なのですが。

(番組データ)

あの日 あのとき あの番組・選▽西城秀樹歌声熱く 野口五郎語る人生のデュエット NHK総合
9/16 (日) 13:50 ~ 15:00 (70分)
【ゲスト】歌手、俳優…野口五郎,
【司会】森田美由紀

(番組内容)

7月に放送した「西城秀樹 歌声は熱く 野口五郎が語る“人生のデュエット”」をアンコール放送します。西城さんの歌声と、親友・野口五郎さんのお話をご覧いただきます。

「もう一度見たい」というリクエストを数多くいただいた「西城秀樹 歌声は熱く 野口五郎が語る“人生のデュエット”」(7月1日放送)をアンコール放送します。多くのヒット曲で人気を集めた、歌手の西城秀樹さんが5月、63歳で亡くなりました。西城さんのパワフルな歌声と、親友・野口五郎さんのお話をたっぷりとお伝えします。野口さんと西城さんが出演した「ふたりのビッグショー」(1993年放送)もご覧いただきます。


広告がないNHKがあぶり出すネット不正広告の問題

今回紹介する「クローズアップ現代+」の再放送枠というのは、その週に放送された内容で反響が大きかったものが放送されるということですが、この内容についてはNHKの報道に感じることがある「しがらみ」がないせいなのか相当取材している感じがあり、テレビを見ている人が少しわかりずらいようなテーマの問題点を明確にしてくれたように感じます。

このサイトでも導入している「ネット広告」について、不正を行ない広告主から支払われるお金のうちの一部を手に入れている個人や組織を突き止めるための取材を軸に番組は進んでいきます。番組で紹介されているネット広告というのは、かなり具体的な話になりますが、事業者の「ヤフージャパン」が企画したネット広告について広告代理店の「電通」が「広告主」をとりまとめた上で契約を行ない、主にネットを見る人にピッタリと当てはまる種類の広告をウェブサイトに「ヤフージャパン」が表示することで、その広告が見られている回数に応じて掲載サイトの所有者に広告料の一部を支払うという流れになっています。取材したところ、広告主の多くは自らの広告が見られないまま広告料だけが「中抜き」されていること自体を全く知らないケースがほとんどでした。

実際、このサイトでも多くの人が見てくれればそれなりの広告料が入るはずですが、広く知られているサイトでは全くなく、個人的に努力する事にも限りがあります。その結果あまりにもサイトを見てくれる人が少なければ一切そうした広告料は入ってきませんし、サイトに広告を載せても利益など出せないサイトが大多数であるということ普通に言われています。しかし、不正をするような人は、ある巧妙な仕組みを使って多くの人のパソコンやスマホに自分のサイトを表示させるような仕組みを実行しているのです。

番組の説明によると、ターゲットは成人男性がほとんどだと思うのですが、その筋の人なら知っているアダルトコンテンツを扱う人気サイトにアクセスすると、表面上はそのアダルトサイトが表示されるのですが、実はその裏でブラウザが複数開くプログラムが実行されるように仕組まれていて、主サイトの後ろに回り込むような形で多くの広告が掲載されたサイトが利用者には見えないまま表示されるということなのです(番組では具体的には言っていませんでしたが、不正グループの本丸として「アダルトサイト」と「広告掲載サイト」、さらに「不正サイトを巧妙に隠すプログラムを開発する業者」を結ぶ業者の存在が示されていました)。

そして番組が取材した広告掲載サイトについて月のアクセスが3,000万ページビューにもなるところもあったそうで、単純に計算するとそのくらいのアクセスが有れば、サイトに支払われる広告料は条件によっては月に450万円くらいにもなる場合もあるという話です。実際にはそうしたアダルトコンテンツを隠れ蓑にした仕組みを提案し、連携する作業を行なっている元締めの業者にいくらかのフィードバックを行なう契約が行なわれていると思いますので、実際にどのくらいの利益を広告掲載サイトが得ているのかは不明ですが、サイト構築と維持にかかる費用はそこまで高くないので、一連の不正に参加している人たちは、かなりの金額を荒稼ぎしているだろうということが想像できます。

しかしここで考えていただきたいのは、普通の利用者はアダルトコンテンツを目的にサイトを訪れ、実際は自分が見ているサイトの裏で表示されているにも関わらず、その広告は一切見ないでコンテンツを見終ったらブラウザを閉じてしまいます。そうなると、広告主は本来ターゲットとすべき人に自社の広告を見てもらいたいためお金を払うのに、全体からすると9.1%もの広告費が不正な業者を通じて「多くのユーザーが広告を見たことにして」不正サイト管理者らに支払われてしまうという事実です。

ヤフージャパンの広告を利用している広告主の中には多くの人に知られた大企業や、さらに国や地方公共団体もいるということで、余分な広告費の支払いというのは企業が発売する商品の代金に跳ね返ってくるだけでなく、特に公の行政を行なっている団体の予算から広告費が出ていれば、回り回って国民が払う税金の中から不正業者にお金が流れてしまうことにもなります。

番組取材班は更にこうした広告料の不正取得を提案し、契約したユーザーとともに広告費を横取りするような不正の本丸にいる人達について、追加取材の予定も報告しています。今後こうした不正に対策をすることなくネット広告費を横取りする人たちを野放しにしておくようだと、ネットを見ても面白くなさそうなコンテンツが増えることで、今のようなネットへの興味が失せてしまう可能性があります。現代の子どもにとっての一番の人気職業と言われている「YouTuber」としてネットで生活しようといくら努力したとしても、中抜きされる広告費が多すぎて、広告主がネット広告を止めたり規模を縮小したりすると、これから初めたばかりの拙い内容のサイトまではお金は回って来ず、せっかく盛り上がったサイト構築への意欲をそいでしまうことにもなりかねません。

それはブログについてもまさにそうで、ドメインの維持手数料(年間数千円程度)ぐらいも年間に稼げないということになると、今まで有益な情報を提供してくれていた良サイトがいきなり閉鎖なんてことも起こってくるかも知れません。正直なところ、自分のサイトが多くの人に読まれるだけでなく、いくらかの収入を見込めるということになれば、自然と更新の意欲も高くなる方もいるでしょう。しかし多少の努力をしたとしても、不正にアクセスを稼ぐ不正サイトの陰に隠れてしまい、さらに広告料の儲けを持っていかれるということになると、今後面白いコンテンツを作る才能を持っている人がブログを書かなくなることも考えなければいけないでしょう。そうなるとインターネットの一つの魅力が無くなってしまうような感じにもなります。

せめてインターネット広告に関わる方々には、不正に多くのアクセス数を稼いで広告料をかすめとる中味のないサイトなのか、オリジナルのコンテンツで勝負しているサイトを分け、悪質なサイトへの広告配信を中止するなどネット自体の信頼性の構築にも協力していただきたいところです。不正利用者とは技術革新のたびにいたちごっこになるかも知れませんが、そこをきちんと分けないとネット広告にお金を出そうと思う人が減る可能性もあります。少なくとも今回の番組が本放送で評判になり、深夜ではありますが再放送されたことに希望を感じます。今後の取材でさらなる真実が明らかになるような続編が放送されることを期待したいですね。

(番組データ)

クローズアップ現代+選「追跡! ネット広告の”闇”」NHK総合
2018/09/08 01:40 ~ 2018/09/08 02:05 (25分)
出演者
中川淳一郎さん (ネットニュース編集者・元博報堂社員)
NHK記者
武田真一・田中泉 (キャスター)

(番組内容)

2018年9月4日の再放送。
急成長を遂げ、年間1兆5千億円を突破したネット広告市場。この巨大市場に不正の闇が広がっていることが分かってきた。4月に取り上げた海賊版サイト「漫画村」では、広告が実際には見られていないにも関わらず、大企業が広告費をだまし取られる“裏広告”の実態が明らかに。その後も取材を続けると、次から次へと新たな手法が浮き彫りになってきた。 被害は企業だけでなく、国や自治体にも広がり、税金がだまし取られていた可能性も浮上してきた。番組では、サイトに残された手がかりから、不正に関わると見られる業者を複数特定。個人か?それとも組織的な行為か?謎に包まれたネット広告の「闇」に迫る。