昔のテレビ局の役割と今後のテレビ局の課題を西城秀樹の歌声とともに

歌手の西城秀樹さんが63才という年齢でお亡くなりになりました。昨日のお昼のバラエティで第一報があった後、さまざまなテレビでその訃報が流れました。多くの夜のニュースではトップ扱いであったということは、少なからず時代の流れをテレビの制作者も感じているからに他ならなかったのではなかったのでしょうか。

私の住んでいる静岡県では少し他の地域の方と違う思い入れがあります。同郷の漫画家のさくらももこさんもその思い出を「ちびまる子ちゃん」の中で形にしていますが、西城秀樹さんがデビューされた1972年から当時の静岡県にあるテレビ局の中の静岡放送が夏休みの時期に合わせたお祭りイベント「フェスタ静岡」を静岡市内の駿府城公園跡で開催していて出店なども出るのですが、オープンステージを作って当時のアイドルや歌手を呼んで入場無料で見せるということをやっていました。

その様子は改めて地元テレビで放送されるのですが、このオープンステージの常連として出演してくれたのが他ならぬ西城秀樹さんだったのです。今のように特定のアーティストのコンサートを見に行くということも地方都市ゆえのハンデというべきかあまりなかった当時、テレビ局のイベントとして無料でその姿を見せてくれる機会というのはそうあるものではありません。もちろん当時のテレビ局としてはそうしたイベントを行なうことにより多くの視聴者を稼ぎ、スポンサーを付けたいということはあったのでしょうが、当時のさくらももこさんのような子供は、ただただ毎年西城秀樹さんが来てくれるのが嬉しくて、多くの人波の中でほとんどその姿が見えなくても無理をして会場まで出向いたのです。それはまだテレビというものが多くの家庭の中で一家団らんで見られていた時代の話です。

こうしたさくらももこさんの経験があったかどうかはわかりませんが、後に西城秀樹さんはアニメ「ちびまる子ちゃん」のエンディングテーマとして「走れ正直者」を歌うことになります。「フェスタ静岡」を主催していた静岡放送(TBS系)とは違いフジテレビでアニメが放送されたのは微妙にイベントの内容をアニメでは紹介しずらかったということはあるでしょうが、西城秀樹さんにとっては単なる一地方での営業でしかなかった事が後年のヒット曲の題材になるというのもまたこれはテレビの力によるところが大きかったように思います。

ただ、ワイドショーやニュースでの西城秀樹さんの楽曲を紹介する時には仕方ないもののどうしても曲が一定のものに固まってしまい、もっと多くの曲が聴きたいという声に応えられないというのもまたこれは現代のテレビの限界であると思えてしまうわけです。

西城さんを悼む新聞のコラムを読んでいて個人的にもう一回聴きたくなった曲がありました。その追悼文は作曲家の小林亜星さんが書いたもので、ドラマ「寺内貫太郎一家」(TBS系)での共演が懐かしいですが、氏の西城さんに関する思い出の歌にちょっとぐっと来ました。小林さんが書いているのですから自作の曲について書いていたのですが、それはいわゆる歌謡曲ではないアニメ『∀ガンダム』のオープニング主題歌「ターンAターン」で、小林さんは西城さんに歌唱を指名し、西城さんも仕事の合間の強行スケジュールの中での収録となったものの、追悼文で「彼は(歌の世界を)完璧に理解して完璧に歌ってくれました」「音楽を通じて理解し合いました」「僕の作ったアニメの曲では一番だと思う」とまで書いています。

私もこんなに難しい曲を完璧に歌いこなす西城さんのすごさを以前から感じていましたが、追悼をしているどのテレビでも(私が見た範囲なのでもしかしてどこかのテレビ局が流しているようだったらすみません)この曲は出てきませんでした。

こうしたテレビでは出てこないものをどうしても見たいという場合、現代はインターネットというものがあるので、そちらの方から検索すればしっかりと西城秀樹さんの歌う「ターンAターン」がフルコーラスで聞けてしまうという現実があります。ただこの話は私が読んだ当日の新聞で見た話題だったので、もしかして『∀ガンダム』を放送したフジテレビだったらやってくれていたのかも知れませんね。

どちらにしても、テレビにはネット動画のように今見たいと思ったものをすぐに見ることができないという事があるわけで、その補完ということではありませんが、自局の番組を見ている人にとって他の情報番組やニュース内のコーナーと横並びにしない、テレビで発信できる情報を出すだけの力がこれからますます求められるのではないかという感じがするのです。恐らく今後は地上波やBSで追悼番組が放送されるとは思いますが、ぜひ『∀ガンダム』の映像とともに西城さんの歌声を流して欲しいものであります。


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