禁断の魔力「マツコ・デラックス」の魅力について考える

2017年11月20日の日本テレビ系「月曜から夜ふかし」は、マツコ・デラックスさんが健康上の問題で休まれた影響が一番早く来た番組になってしまいました。司会としては2人体制で、しかもある程度はマツコ・デラックスさんがいなくてもその場でのやり取りをこなしてくれそうな関ジャニ∞の村上信五さんがいるにも関わらず、過去のVTRを編集して流すだけのものになりました。ただもしかしたらマツコさんの体調不良の症状が意外に軽かったという報道があったので、いっそのこと番組ごと一回休みにしてしまおうと思っての番組観覧中止という形になったのかも知れません。

改めてマツコ・デラックスさんが出ている地上波の番組ということで調べてみましたが、以下の8つ(地域によっては7つ)ということになります。これら全ての番組で影響がしばらく出ると思いますが、単なるコメンテーターの一人として出演する「ホンマでっかTV」は別にして、メインMCを務める番組はどうなるのかということで、各番組担当は頭を痛めていることでしょう。

・月曜から夜ふかし(日本テレビ系)
・5時に夢中!(TOKYO MX系)
・マツコの知らない世界(TBS系)
・マツコ&有吉 かりそめ天国(テレビ朝日系)
・アウト×デラックス(フジテレビ系)
・マツコ会議(日本テレビ系)
・夜の街を徘徊する(テレビ朝日系)
・ホンマでっかTV(フジテレビ系)

今回はそれほど番組に穴を開けるほどの離脱にはならなかったので上記の番組でも総集編を流して終わりという風にするか、マツコさんの穴を他の出演者をMCにして埋めるか(アウト×デラックスのような番組形態ならそうした方法も可能)という方法も取れますが、マツコ・デラックスさんが出ないとどうにもならないメインMC一人番組も中にあります。

まさに、タレントさん一人の能力におんぶにだっこという形の番組というのは、うまく回っている分にはいいですが、少しでも歯車がずれてしまうとそこからマツコ・デラックスさんの芸能活動自体にも影響が出てくるような形にもなってしまいかねず、テレビ局にとってもタレントにとってもなかなか苦しいものです。

改めてこの「マツコ・デラックス」さんの存在というものを考える場合、人的な交換が利かないことが魅力の一つとして挙げられるでしょう。例えば「開運なんでも探偵団」で司会を降板した石坂浩二・島田紳助のコンビが福澤朗・今田耕司に変わったとしても番組のメインは司会者ではなくあくまでお宝であるので、何事もなかったように番組は続いていますが、マツコ・デラックスさんがメインMCをやっている番組を誰にやらせるのか、それこそ細木数子さんくらいしかその存在感を持てるだけの人はいないのではないでしょうか(^^;)。

しかし、細木数子さんの場合は番組に出てもらうだけでマツコ・デラックスさんを相手にする以上に周辺がピリピリすることを覚悟しなければならないでしょう。さらに現在のテレビで発言する場合、言っていいことと悪いことをしっかりと自己規制して言ってくれるかというと、恐らくそんなことはないでしょう。そんな方々の中でぎりぎりバラエティ番組に出演できるような形はデヴィ夫人くらいで、恐らく彼女自身もメインMCを引き受けるようなこともしないでしょうし、「世界の果てまでイッテQ!」では出川哲朗さんとセットになっているからこそ面白いということをご本人も意識されているのではないでしょうか。

マツコ・デラックスさんのメディアの中での発言を聞いていると、まかり間違っても自分の立場が危うくなるような「コメントとしての痛さ」を見ている人に感じさせるようなコメントはしないですし、さらに今から自分が成り上がってやろうという野心も見えず、一部従順にテレビに従う場面もあり(コマーシャル出演など)、見ている方は安心してテレビでの発言を聞いていられます。今でもマツコさんが美味しい! と発言すればその商品が売れるという伝説は続いていますし、とにかく人や企業におもねることなく、基本的に嘘は言わなそうだというある意味誠実さを見ている側に感じさせてくれるという、変なコメントの魅力を持つ方だと思います。

そんなマツコさんの代わりの人材を考える場合、ゲイ関係や女装家と呼ばれる人たちの中で、冠番組を引き継げる人材はいるかということになりますが、ご自身が今までどのような形でテレビに向き合ってきたかということからメインMCをすることが難しいはるな愛さんやIKKOさんのようなケースもあります。ある意味、男のような女であることを生かして、テレビを見ている人たちが面白がるようなスタンスを取る中で、マツコ・デラックスさんくらいのバランス感覚をなかなか保てないというのが正直なところです。それは、最初からテレビコメンテーターとしてテレビに登場された方ではないというところもあるかと思います。

また、カルーセル麻紀さんに任せるにはご本人が大変だと思いますし、クリス松村さんの場合は場面場面によっての顔が全く違うため、かなり真面目な話題もMCとしてこなせる方だとは思いますが、マツコさんのような体つきとは180度違うため、そうした絵面から受ける感じが変わってしまうことでうまくいくかどうかは正直なところわかりません。ミッツ・マングローブさんの場合も背が高くてマツコさんとの体形差があるのが不確定要素になるかと思います。ただ、今挙げた方の中ではポスト・マツコ・デラックスの一番手にいる方なのではないかと思いますが、親戚に徳光和夫さんがいることが番組によってはマイナスに作用することもあるのではないかと思われます。

このように簡単に代わりがない個性で、コメントも正直で文句の付けようのない本音を出しまくる姿を当り前のように見るにつけ、テレビ番組をマツコさんといっしょに作っている人にとっては、マツコさんいつまでも元気でいてくださいと願わずにはおられない大切な存在であるでしょう。

そういう意味からすると、マツコ・デラックスさん以上に長い期間休まずに長年冠番組を続けている明石家さんまさんというのは、テレビ界を席巻するモンスターだとも言えます。しかし、テレビの世界には悲しい掟もあります。というのも、今から50年後、このブログがもし残っていたりしても、今の明石家さんまさんやマツコ・デラックスさんの存在自体を知っている人は少なくなるでしょうし、その面白さがわかる人というのもほとんどいなくなることが予想されます。それは、映画と違ってテレビの番組は数が多いし権利関係で長く見られる状態になるものは少ないという差が出てくるはずです。

さらに時代が進んで今から100年後には北野武さんは映画監督としてまだ名前を残していると思われますが、明石家さんまさんの名前はそこまで残っているかどうかという感じになるでしょう。でもテレビというのは泡沫の夢であることを自覚されて出ているならば、未来に名前が残らなくてもいいと思っている方も少なくないでしょう。恐らくマツコ・デラックスさんも自分の名前が後々まで残るかどうかという点についてはあまり執着せず、それが魅力を多くの人が感じる源になっているのではないかと思っています。

個人的にはマツコ・デラックスさんにはテレビの仕事に忙殺されて年を重ねるよりも、太く短くというならあえてテレビの仕事を全てこなすことにはこだわらずにご自身で好きな事をやっていただきたいと思っています。ただ完全休業という事にはせず、タモリさんのように好きな番組にだけ出ながらも、思わず口から出てくる正直な物言いというものを忘れずに、私達にこれからも面白いコメントの力を見せていただけると有難いです。


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