「おしどり夫婦」と「代理母出産」

芸能ジャーナリズムというものの存在意義を問われている現象が2018年になって起こってきています。音楽家の小室哲哉さんが脳梗塞で介護の必要な奥さんのKEIKOさんとの関係がありながら看護師の女性との不倫疑惑を週刊文春により報道されたことによっていや気が差したのか、表舞台からの引退を表明しました。

これは、自分のプライバシーを公にすることで多くのチャンスと利益を得てきた小室氏にとってはご自身の生き方を見付め直すいい機会になったのではないかと思います。一部の方々は週刊文春の報道に怒り心頭に達していますが、文春がやらなかったら他の週刊誌やテレビバラエティに売り込みがあるような事なので、個人的にはどこがやったかということは関係ないのではないかと私は思っています。

ここで、改めて芸能人・アーティスト・俳優・タレントなど、自らの存在を公に晒すことで生活の糧を得ている人(事務所含む)と、そのプライベートを報道する芸能ジャーナリズムとの関係を見ていくと、どちらも金銭的な利益を目標に置いている所は同じでも立場の違いから対立することになる構図が伺えます。

取材を受ける側というのは、自分が出演した映画・コンサート(アルバム)・テレビ番組などを広く日本全国の人に知ってもらいたいという目的で自ら記者会見を開くことがあります。そこでタレントは仮に自分のプライベートが記事になったとして、その事により新たにスポンサーが付いたり、自分の出た媒体がヒットして次の機会を得ることになることを望みますが、逆にスポンサーが撤退したり、今まで見ようと思っていた人が止めるような動機付けになるような情報が流れるとまずいので、都合の悪いプライベートの情報をしつこく聞くような事をする芸能ジャーナリズムにはいい顔はしないでしょう。

ただ、昔の芸能記者の中には狡猾に取材者の本音を小出しにさせるために条件を付けるようなやり方をする人もいました。全て宣伝だらけのコメントなど、記事にしたところで誰も買わないし読まないので、ある程度タレントにとって都合の悪い内容を載せる代わりにさりげなく新しい仕事の内容を紹介するとか、さらに不都合な事をその後深掘りされないように、逃げ道を教えて炎上しすぎないようにある程度の火消しも同時にはかるとか、こうした丁々発止のやり取りの中で芸能スクープが生まれていた時代もありました。

しかし、今の時代はそうしたお約束とは無縁に、事務所の力がある所に所属している人には何も起きないものの、事務所の力がない人には徹底的に報じてフォローもしないという場合もあるかも知れませんので、今後ワイドショーのニュースの主役として出るには覚悟が必要になるでしょう。

そんな中、ちょっと気になったのがフリーアナウンサーの女性と映画評論家の夫との間で、「代理母出産」をして子供ができたことがニュースになったことです。今のところおおむね好意的な報道で、さらにスポーツ新聞での写真には子供を抱いた母親と父親が並んで写っている会見の模様が出ています。

インタビューでは母親が、将来その子に自分がロシア人の代理母から生まれた事を言う事も考えていると述べたとされていますが、ネットでは様々な意見が出ているようです。日本ではできない代理出産というのはお金もかかりますし、うまく行かない場合もあるでしょう。さらに、なまじ芸能ジャーナリズムから取材を受け、テレビのバラエティ番組にも「おしどり夫婦」として出演する機会もあるだけに、こうした「妊活」および子供を授かるという事もネタされることで、さらにテレビから声がかかる場面も増えるという戦略が全くないとは言えないでしょう。

それは逆に、できるだけ自分の子供に健やかに育って欲しいという点においては難しい面も出てくるところもあると思います。もちろん、様々なシミュレーションを重ねた上でのロシア行きだったのでしょうし、少子化社会と言われる中で40代でお子さんを産んで育てるというのは素晴らしいことです。しかし、これだけのネット社会の中、先日出た親子3ショットの写真とともに出したコメントはネット上にずっと残り、親が知らないうちに成長した子供さんが見てショックを受ける可能性も十分に有りえます。

個人的にはお子さんには健やかに伸びやかに成長していってほしいとは思いますが、全ての芸能ジャーナリズムが同じように考えているわけではなく、親が有名人であることの闇というものも今後出てくることが想像されます。そんなわけで、その「おしどり夫婦」の具体名はあえて書きませんでしたが、今後の週刊誌やワイドショーの動向によってはいつバッシングの方向になるやも知れませんので、その事を想定はされているとは思うのですが、一度出してしまった以上はこれまで以上にお二人でバラエティ番組に出まくって、むしろ日本でも代理母出産についての議論が巻き起こるような問題提起をされるのもいいのではないでしょうか。


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