テレビに出てくる人の言葉遣いは大丈夫か

この番組は、東日本大震災の特別番組の直後に放送されたのですが、それまでの雰囲気とはかけ離れたバラエティーで、これはこれで考えさせられました。表現を抑えると「かかあ天下なご家庭」、かつて流行った言葉に置き換えると「鬼嫁のいるご家庭」に訪問し、女性の元で耐えるような生活を送っている男性の意見をテレビカメラが入ることによって聞いてもらおうという企画で、基本的には強い女性の姿を見て驚いたり男性に同情したり、パネリストの男女が様々な意見を面白おかしくまとめるという番組になるでしょうか。

この手の番組は過去にも他局で放送されていましたが、男性が暴力的で女性がその暴力に耐えているような場合は番組にならないのか、今回の2家族も女性の方が強いという設定でより強烈なご家庭にはプレゼントを持って再度訪問という形で女性のごきげんを取って番組は終了していました。

実際にテレビカメラを前にしたら普段の行動なり態度はそこまで出ないものですが、この番組に出てきた最初の「元ヤンキー」の女性は、もしカメラが入らずに男性とその中をとりもとうとして知らない人がいきなり入ってきたらどうなってしまうのか、心配してしまうほど「テレビ向き」のリアクションをされていました。元来、こうした状況を画に収めたかったのでしょうし、女性にやりこめられる男性という姿というのはそこまでテレビ局に抗議の電話やメールが来ないということなのかも知れませんが、この家庭での父親たる男性の訴えは、最初こそ「仕事で遅くなる時には洗濯物を取り込んで欲しい」とか、「食べ終わった食器を洗うのに、水に浸けておいて欲しい」というような当たり障りのないものでしたが、その後男性の口から出て来た言葉に、かなり深刻なものを感じました。

どういう事かというと、自分達の子供に女性の荒くて厳しい言葉遣いが移ってきたので、できれば普段使いの言葉については子供の前では気を付けて欲しいというのが最終的に男性の想いだったという事だったのです。子どもにとってはお父さんお母さんという形で見るとどうしてもお母さんの方とより多く接し(このご家庭の場合は男性が営業職で帰りが遅いのでなおさら)、母親である女性とのコミュニケーションが多くなる傾向にあります。就学前ならなおさら、さらに学校へ行く段階になってもこうした家庭内での言葉遣いが当り前のように育ってしまった場合、特に女のお子さんだったらこのケースでは男女の力関係的には女性の方がかなり荒い言葉遣いをしてしまっても許されると誤解する可能性が多くなります。

個人的にはご家庭によって父親と母親の間で力関係に差が出ることは当り前だと思いますが、ここまで極端になってしまうとそのお子さんが集団生活を送るようになって友人や先生、近所の人達とトラブルになった場合に解決をするための手段というのは当然自分の家族の中で見本とする人に求めるようになると思いますので、あくまでそのご家庭独自のものに過ぎない価値感の行使が、どこまで社会に受け入れられるのか心配になります。恐らくテレビで男性が主張したかったことは、特に営業職として自分で正しいと思っていることが通らずに、その想いを押し殺しても家族のために仕事を続けなければならないような事を自分の子が迫られた場合、今のまま大人になってしまって大丈夫なのかと思ったからテレビにまで出て伝えようとしたのではないかと思ってしまいました。

ただ、そのテレビではここまで紹介したような事に類する乱暴な言葉遣いをする番組があったりします。今回紹介した番組を含め、これはあくまでバラエティ番組で、番組を盛り上げるためのエッセンスが入っているかも知れないので、その点についてはお子さんと一緒に見ている場合にはその都度のフォローをしていけば、かえって番組の内容が反面教師のようになる可能性もあります。しかし、そう考えると同じバラエティとは言え、イデオロギーの対立で自説を訴えたいあまりに相手の人格まで攻撃するような論客の出演するニュース番組やニュース系バラエティというのは、その内容によっては大人が子どもに配慮して見せないということも必要になってくるのかなと思います。普通に考えて社会的地位の高い方が罵り合う姿というのは、大人への尊敬を失いかねないかも知れませんし。

よく夏休みの時期に小学生を国会に招いて子ども国会というイベントが開かれることがありますが、国会中継および地上波の政治バラエティの内容を小学生に授業の一環として見せても大丈夫なのか? という風にテレビを作る側の方が考えることが今後は必要になりのではないでしょうか。テレビに出演されたり国会に出たりする方々も、罵り合いでなく皮肉を効かせた「ディベート」で視聴者を唸らせていただきたいものです。

(番組データ)

夫はつらいよ ~鬼嫁直談判バラエティ 願い事を一つだけ聞いてください!~ テレビ朝日
2018/03/11 15:20 ~ 2018/03/11 16:30 (70分)
【スタジオ出演者】 ヒロミ 榊原郁恵 小峠英二(バイきんぐ) 平井理央
【ロケ出演者】
1組目 ~タレント応援団~ 飯尾和樹(ずん)、りゅうちぇる ~ご夫婦~ 河原夫婦(元ヤン鬼嫁)
2組目 ~タレント応援団~ 流れ星(瀧上・ちゅうえい) ~ご夫婦~ 尾崎夫婦(犬好き鬼嫁)

(番組内容)

鬼嫁に歯向かえない気弱な夫が、タレント応援団の後押しを受けて勇気を振り絞って願い事を妻に直談判するバラエティ「夫はつらいよ」。今回、世の気弱夫の背中を押すのは、先日おめでた発表をしたばかりのりゅうちぇる、愛妻家の飯尾和樹(ずん)の2人と、コンビ共に既婚者の流れ星。また鬼嫁お宅ロケの様子を既婚者であるヒロミ&榊原郁恵&平井理央、そして独身者のバイきんぐ小峠がスタジオから見守り鬼嫁度を判定!!

最初の依頼は、元ヤン鬼嫁を持つ32歳の夫から。つらいと思っているのは、「嫁が怖すぎて家族全員がビビってしまっている」こと。元ヤン鬼嫁の口撃にノックアウト寸前の夫をりゅうちぇるとずん飯尾は助けながらも願い事を直談判させることができるのか!?2組目の依頼者は「嫁が勝手に飼い始めた犬によって家庭崩壊の危機を迎えている」26歳の夫から。果たして犬より愛されていない夫から溢れ出る直談判したい切なる願いとは!?


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