月別アーカイブ: 2018年1月

地方局は地元視聴者の立場で再放送・再配信を考えてほしい

大きな地震による広域災害でなくても、地域によってはテレビの放送が途切れることがあります。石川県にお住いの方で、1月10日夜から翌11日の間にかけて、同じ送信設備を利用している石川テレビ(フジテレビ系)と北陸放送(TBS系)が40万世帯で16時間以上見られなくなる状況が発生したのです。

これは、送信設備の鉄塔に落雷が起き、その影響で火災が発生したことによるのですが、同時に大雪が降ったことにより復旧に影響が出たようです。実際問題、テレビ放送というのはライフラインの一つに入れてもいいのかというかという事もありますが、フジとTBSの番組を楽しみにしていた方には気の毒としか言いようがありません。

単に、災害のための報道という点で見ると石川県にはこの二局だけではないのでニュースなどの受信には影響がなく、またラジオを使えば情報は入ってくるとは言いつつも、たとえ災害には関係ないバラエティ番組といえども楽しみにしていたものが見られないというのは悲しいことだろうと思います。

北陸放送のフェイスブックを見ると、自社制作の番組については放送できなかった分を翌週に伝える旨のコメントがありましたが、東京制作の放送の再放送をどうするのかという点については二局のホームページやSNS上でも具体的な対策については語られていませんでした。また、北陸放送ではケーブルテレビでは中断することなく全ての番組を放送していたのとことで、地域によってはテレビアンテナに頼るよりも、基本ケーブルテレビで視聴し、もしケーブルテレビに不調があったらワンセグを使って復旧するまでの代替として利用するような方向で考えた方がいいかも知れません。

地上波と比べてBSやCSは局地的な災害に影響されず、アンテナさえ衛星に向けられれば見えるという点で有利なところはあるものの、厚い雲に覆われて天気が悪くなると相当高性能なアンテナを使わないと画面がまっ暗になって見えないトラブルに地域によっては見舞われることがあります。

こうしたトラブルと同じように考えると、テレビ局自体が落雷被害により送信できなかった分の放送については、必ずしも代替放送をしなくてもいいということにもなるので、どうしても当日の番組が見たいと思った人は諦めるしかないかと思うところがあるのは確かです。

ただあくまでテレビ放送を流せなかったテレビ局側が視聴者の事を思って再放送ができるならやって欲しいですし、地域限定で可能にならないかと思うのが、流せなかった番組を一定の期間だけその局のホームページから「見逃し配信」することができないかということです。自社制作の番組なら簡単だと思うのですが、東京や大阪で制作された番組の場合、権利関係がどうなっているかということですね。まず、地元テレビ局には、ドラマや一部バラエティなど既存のインターネットサイト「TVer」や、系列局の見逃し配信を行なうサイトで見られる番組を確認し、視聴者をそのサイトに誘導することです。少なくともこれで、どうしても見たいドラマやバラエティ番組がある人の何割かはネット経由ではありますが番組を見せることができます。

問題になるのは、そうした「見逃し配信」の対象になっていない番組をその地域限定で一定期間でネット配信ができないかということでしょう。もし、こうした事故に関する取り決めがないようなら、地方局とキー局との間ですぐに話し合いを行ない、「TVer」の方で地域限定で流すのか、それとも地方局のホームページに見逃し配信コーナーを臨時に作るのか、そもそも再配信自体が必要ない事として無視をするかをしっかりとアナウンスしていただければ、今後私たちがテレビに固執して地元局を見るようにするのか、地上波は終わったと思ってネット配信を中心に見る視聴者が増えるのか、そんなところにも影響が出てくるのではないかと思います。

現実的には違法にYouTubeにアップされた番組を見ている人は見ていると思うのですが、こうした時にこそきっちりとした判断で正式な形でネット配信の番組を見せるようにしないと、今後も違法にアップされ続けるテレビ番組についてそこまで強く糾弾できなくなることも考えられなくもありません。

このブログでは違法なアップロードを支持するつもりは決してありませんので、地方局が今後生き残って行くためにも、今回の問題で放送中断があった石川テレビと北陸放送には、しっかりとした地元視聴者へのアフターフォローをしていただけることを希望します。


改めて人間の差別的言動について考える

番組はこの後に第二部もあり、紅白歌合戦の裏で行なわれた今は無き新宿コマ劇場での美空ひばりコンサートの様子を伝えるのですが、今回は美空ひばりさんの曲の中でも、放送でそのまま流せるのかと思っていた曲がこの「第一部」で流れたので改めてこの項目を起こしました。

ちなみに、その曲とはテレビ番組サイトが提供するデータの中には入っていませんが、昭和49年の「ひばりワンマンショー」の中の一曲「波止場だよ、お父つぁん」です。この曲は番組が収録された昭和49年には普通に放送で流れていたのですが、ネットで「放送禁止歌」で検索を掛けるとこの曲名が出てくるページがあります。

今回紹介する番組はBSなので地上波だとまた違うのかも知れませんが、今回は「不適切な語句がありますが当時のまま放送します」というようなテロップは入ったものの「ピー音」が入ることもなくそのまま問題の歌詞である「年はとっても盲でも」という部分がそのまま放送されていました。

以前、アニメの「妖怪人間ベム」を再放送したBS11のセリフ処理について紹介したような気がしますが、この辺はあくまで現場の判断に委ねられているような気がしました。ということは、この曲を始めとする「放送禁止歌」というのは言葉の通り放送では絶対に流せないものではないという事も改めてわかったわけです。

美空ひばりさんの「波止場だよ、お父つぁん」は、今の考え方でいくと視覚障害者に対する配慮を欠いた表現を作詞家の先生がしていたということなのですが、それは作詞家の先生の個人的問題だけとは言い切ることはできません。当時の日本の社会全体に、この歌詞に問題があると思う人がいなかったということでもあり、それが様々な議論がされる中で人々の意識が徐々に変わっていったという事として考えた方がいいでしょう。

日本の歴史の中で、体に障がいがある人というのは、現代の人権の考え方からすると不適当と思われるところがあったり、小さなコミュニティの中ではお互いに共生しているようなところもありましたが、基本的には異形の者として見ていたところは確かにあります。今回の放送で歌詞の字幕も付いた状態で「波止場だよ、お父つぁん」を流せたということからここまで考えられ、さらに40年以上前とはいってもそんなに今と変わらないだろうと思われても、やっぱりそこに生きる人の意識というのは今と違うし、社会もそんな感じだったということを現代を生きる人にも知らせることができたということでもあるでしょう。

これは、近代史や近代の風俗を調べたり、当時の社会的状況を知るという意味において大変に重要なところだと思います。ひばりさんの歌が最初から卑猥な表現を使ったり、過激な言葉を使ったりして「放送禁止」を狙うような歌ではなく、この歌がヒットした当時にはそのような差別的な意図がない中で歌われた曲に過ぎないからこそ、現場の判断でそのまま歌も字幕もカットされることなく流されたという事の意味を多くの方に考えていただければと思います。

この年末から年始にかけて、「テレビにおける差別的な表現」について、主にネットにおいてかなりの議論が出ています。ダウンタウンの年越し番組で出演者の浜田雅功さんがエディー・マーフィーさんの真似をするために顔を黒く塗った「ブラックフェイス」について「黒人差別である」と思う人が多くいるという事実をネットに書き込んだ人がいたことから騒ぎになりましたが、この事についても、改めて視聴者やテレビの制作者がこうした指摘を受け止めて、差別されたと感じた方々との相互理解を目指した話し合いが大切になることは言うまでもありません。

日本人が黄色人種として露骨な差別をされたことがあるという体験を持っている方は、海外へ渡った方を中心にしてその数は少なくないと思われますが、そうした事実や海外メディアのステレオタイプ的な日本人像についても議論の中で指摘することも必要ではないかと思う方もいるでしょう。

今回の場合は、アフリカ大陸から有無を言わさず連れて行かれ、奴隷という人間扱いされない扱いを受けたという負の歴史を背負っている国で暮らしている人達からすれば、ダウンタウンの番組は見るからにおぞましいと思う方もいるでしょう。そうした歴史がない中で日本人との交流を持ってきた国の人では肌の色が黒いということだけでは顔を黒く塗っただけでは差別だと思わない人もいることも確かです。今の世の中は日本の国内だけで発するものであってもネットにアップされるとすぐに広まってしまうため、やはりこうした状況になったらどうするかは考えておくべきでしょうし、今後同じような批判が出た時に、作り手の側から主張したいことについても考えておくべきかと思います。

ただ、こうした批判を受ける形でダウンタウンの番組が今年は作られなくなってしまうとしたら、私達はこうした議論の結末を迎えないまま中途半端な形で今後に同じ問題を残してしまうかも知れません。その点だけは避けて新たな問題提起というものを日本のテレビ制作の方々にもお願いしたいところです。例えばの話ですが、今年のダウンタウンの番組が続くとして、今回顔を黒く塗った浜田さんがあえて二年連続でエディー・マーフィーの扮装をすることにして、その際には顔の黒塗りはせず、収録前の何ヶ月か日焼けサロンに通い、松崎しげるさんやたいめいけんの茂出木シェフのような肌の色に焼いた状態でエディー・マーフィーさんの扮装をしたら今回の事で批判した方々はどのような反応をするのかちょっと興味があります。さらに直近でブラックフェイスをした人がテレビに出た例としては、ダウンタウン以前に昨年のテレビ朝日の名物ディレクター友寄氏のちょっと考えられない黒さについて(アマゾンの中で入れ墨に使う染料を顔や体に塗ったため黒くなった)、差別的だと批判を浴びるべき事例になるのかなど、議論をする余地は多く残されているように感じます。

そうした議論を封殺してまで白黒付けようとする人たちが今回の番組の構成に関わっていたとしたら、見ている側からすると不自然な形で「波止場だよ、お父つぁん」をカットしてしれっと放送してしまっていたかも知れません。日本人特色の曖昧さというものはしばしば批判の対象になることがありますが、そこから人間の本質に至る議論に持って行ける方法というものはないものかと、しみじみ感じるところです。

(番組データ)

美空ひばり 特別企画 大晦日・紅白と大勝負!伝説の“新宿コマ劇場ライブ”第一弾 BS朝日
1/8 (月) 16:57 ~ 18:54 (117分)
【ナビゲーター】下平さやか(テレビ朝日アナウンサー)

(番組内容)

紅白歌合戦の真裏でひばりが行った、公開生放送の貴重映像をたっぷりお届け!パート1では、昭和48年のワンマンショーと昭和49年の新宿コマ劇場でのライブをお送りする。

昭和48年から5年間、「紅白歌合戦」の真裏で生出演した、ひばり涙のワンマンライブ。ファンの間でも“極めて希少価値が高い”とされる貴重映像より、圧巻のステージをお届け!パート1となる今回は、昭和48年のスタジオでのワンマンショーと、昭和49年の新宿コマ劇場での大みそかライブをお送りする。

(主な曲名データ)

リンゴ追分、悲しい酒、ひばりのマドロスさん、三味線マドロス、港町十三番地、哀愁波止場、柔、悲しき口笛、東京キッド、私は街の子、ひばりの花売娘、花笠道中、あの丘越えて、真赤な太陽、ある女の詩、影を慕いて、リンゴの唄、星の流れに、王将


「番組単体課金」の実現がエンターテインメントを変えるかも

日本ではどうしても東京中心に人が集まりがちになり、地方から若年層がいなくなってしまうのが問題になっていますが、地方在住の身からするとまだ特に都市部から地方への歩み寄りが足りないのではと思うことがあります。

ただ、インターネットとBSやCSテレビが使えるようになってかなり地方でも買いたいものが買え、見たいものが見られるようになってきたとは思います。楽天やYahoo!、そしてアマゾンで買い物をして、支払いはコンビニを使うことで離島の場合は余分に送料はかかりますが、価格的には十分安いものを直接購入することは可能になりましたし、衛星放送やネット配信なら日本国内にいれば全て同じプログラムを楽しむことができるわけですから、直接見に行けないもの以外は何とか楽しむことができると考えることもできます。

ただ、地方だとどうしても叶わないのが生のライブを直接見られなかったり、大都市でなければ商売にならない映画や演劇・演芸を見る機会が持てないことではないでしょうか。こうしたディメリットを払拭するために、全国各地には多くのイベンターのような事をやっている人がいて、自分で映画やコンサートを企画してしまうというケースもあったわけですが、それはそれで素晴らしいことではあると思いつつも、皆のために呼んでくれる個人がいなくなってしまえばなかなか続かないことも事実です。

そんな中で、テレビの薄型化・高画質画が進み、インターネットも高速回線が普通になっていくとエンターテインメントについてはテレビで出来ることは相当あるのではないかと思うことがあるので、ここで書かせていただきたいと思います。

すでにあるテレビ番組の場合、今後東京でしか放送されていない深夜枠の番組や、そもそも地方に系列局のないテレビ東京をどうするのかという問題がありますが、今回書きたいのはその種のことではありません。例えば落語の好きな人だったら有名な寄席であったり、音楽であればライブハウスであったりします。演劇なら小劇場でもあったりするのですが、要は今まで東京へ行かなければ見られなかった様々なエンターテインメントをカメラに映したものをそのまま中継することで見せる方法はないのか? ということです。

大きなコンサートの場合にはBSやCSで生中継をしている場合が多いですが、ユーザーからするとちょっと使い勝手が悪いと感じるところがあります。例えば、局の番組の中でも一つのコンサートやスポーツ中継が見たいという場合、多くの有料サービスは月単位の契約を要求するわけですが、月額の料金を支払うことについてはしょうがないと思うものの、自らサービスに入会した場合に改めてサービスを解約しないと見もしないプログラムについての毎月の負担が生まれてしまいます。

東京でコンサートやスポーツを見に行く場合は予約するにしろ当日券を購入するにしてもその日一回のためのチケットを購入するだけで済むので、その点が気楽でお手楽な都市生活の強みだと思えるとともに、もしCSでもネット配信でも、見たいプログラム1つからでも利用できるエンタメ系サービスがあれば、自分の興味に沿ったサービスを展開していればかなり生活の質が都市でのそれと近くなるのではないでしょうか。

例えば、「ジャズ」というジャンル一つ取っても様々な嗜好の差があります。有名な海外のミュージシャンが来日したセッションなら見たいが、わけのわからない国内アーティストには見向きもしない人もいれば、国内でも特定のライブハウスでしか演奏しない人が位好きな人もいます。それが「ブルーノート東京」と「新宿ピットイン」のような通うライブハウスの違いになってくるのなら、各ライブハウスに簡単な中継設備を置き、毎日のライブを連日配信する中で、見たい人は月間のスケジュールを見てそのメンツによって1ライブからでも番組配信を購入できるようなサービスがあれば、ネット配信を大画面テレビに映すことで、生の臨場感までは行かなくても地方在住でもかなり都会並みに楽しめるのではないかと思います。

多くのエンターテインメントで、特に地上波やBSでもめったに見られないミュージシャンや劇団、落語、地下アイドルなど、太い回線を用意しなくても良さそうなジャンルであれば設備投資(特に中継回線)の問題は回避できると思いますし、演ずる側にもその料金の一部が行き渡るというなら「絶対にテレビでは見られない」という人の出演となれば、コンサートのチケットより少し安いような金額でも売れるのではないかと思うのです。

料金の支払いを電子マネーにして、送金完了したらその番組だけを見るためのワンタイムパスワードを送るようにするとか、何かしら使えるアイデアはあると思うので、個人的にはCS放送でもこうした一番組だけの視聴が実現できないかなと思います。こうした視聴方法が一般化すれば、逆にテレビは地方にはなくてはならないものになっていくかも知れません。


チャンバラ活劇ではない時代劇への期待

年末年始には一挙放送された、落語家の語る口に合わせて口パクで噺の内容を演じる「超入門!落語THE MOVIE」(NHK)が好評なようですが、昔からの時代劇ファンからしてみると、時代劇のおいしいところを全てNHKが持って行ってしまっているようでちょっと複雑な気持ちがしています。

このブログでは過去にBSTBSで新作が放送された武田鉄矢主演による「水戸黄門」について紹介させていただきましたが、時代劇は全て「水戸黄門」に代表されるようなチャンバラ劇ではありません。NHKが実現させた落語の人情噺のドラマ化が受けたのは、単に江戸時代の侍が豪快に斬り合うものだけが時代劇ではないということを示したと言えます。

民放でもBSジャパンが一話完結型のミステリータッチで山本周五郎さんなどの小説を題材にしたシリーズを放送していますが、今回紹介する「ぶらり信兵衛 道場破り」(フジテレビ)も原作は山本周五郎(「人情裏長屋」)さんですが、こちらはコミカルな人情噺で、さらに時代劇ファンとしては必須であり、決してNHKでは真似出来ない定番(一部には「マンネリ」と言う方もいますが(^^;))の「道場破りシーン」と主人公の信兵衛に想いを寄せる町娘・おぶんによる「妄想シーン」がからまってそれが番組にいい影響を与えてくれています。さらに、悪人が出てきて殺陣により人が斬られるシーンが全くないという意味でも安心して見ていられますし、今回改めて見ても十分面白いのです。

この「道場破り」という設定は、私がオリジナル放送を見ていた時には全く気付かないで楽しんでいたのですが、よくよく考えてみるとあの名監督である山中貞雄氏の今にも残る傑作時代劇「丹下左膳餘話 百万両の壺」を彷彿とさせる作りになっています。本来、丹下左膳と言えば伊藤大輔監督のシリーズですが、主演こそ大河内傳次郎であるものの、ストーリーは全くオリジナルの林不忘の原作とは関係のない作品で、映画の中の丹下左膳も今の言葉で言うと「ツンデレ」だったり、道場破りをしてわざと道場主に敗れて金を要求するような小遣い稼ぎをするなど、原作者の林不忘としては許せないものだったらしく製作の日活に猛抗議をしたことから題名が「丹下左膳餘話」となっているいわく付きの作品なのですが、その作品の面白さは今でも語り継がれ、さらにはこの作品にも影響を与えているわけで、つくづく山中貞雄という才能を奪った社会情勢が恨めしくなります。

話を「ぶらり信兵衛 道場破り」に戻しますが、現在では娘さんの影響もありバラエティ番組でしか見る機会のない高橋英樹さんの魅力が十分に詰まっているものになっています。すでに民放が時代劇から総撤退になっている(先述のBS JAPANの番組などかろうじてあることはあるのですが)中、NHKの「金曜時代劇」の枠の中で「慶次郎縁側日記」のような人情時代劇を演じてはいるものの、「ぶらり信兵衛 道場破り」のようなお笑い要素はありません。もちろん、NHKで無理に「おもしろ要素」を入れ込んだ時代劇を作ったとしたらかつての「お江戸でござる」のようなものになってしまう可能性がありますので、やはりこういった笑える時代劇というのは民放でしか作れないなと、月一回の無料放送の中で一挙放送という形でCSにお金も払っていない人にも魅力的なプログラムを見せてくれたホームドラマチャンネルには感謝です。

過去のドラマの再放送というのはお金を掛けずに放送できる放送手法であるのですが、最近ではBS日テレだけでなくTwellVでも中村梅之助主演の「伝七捕物帳」を再放送するなど、古き良き時代劇を好む人達というのは今もいます。それが冒頭に紹介した「超入門!落語THE MOVIE」の好評さにもつながっていると思うのです。

昨年新編が放送された「水戸黄門」に主演された武田鉄矢さんは、水戸黄門でなくむしろ人情味あふれる長屋に暮らす浪人の方がはまっている気がするのは私だけでしょうか。何しろ映画「刑事物語」で木製ハンガーをヌンチャクのように操ってアクションをされた方ですから、そんな風にして新たな民放の時代劇を再考していただくのも面白いと思うのですが。

(番組データ)

ぶらり信兵衛 道場破り 【一挙放送】ホームドラマチャンネル
1/7 (日) 7:30 ~11:30
演出:松尾正武
原作:山本周五郎
脚本:飛鳥ひろし
出演:高橋英樹 浜木綿子 武原英子
大宮敏充 柳沢真一 渡辺篤史

(番組内容)

≪時代劇一挙放送≫
高橋英樹が武士を捨てた浪人を好演した人情時代劇!(全50話)
1973-1974年 47分(一話分)


新旅番組のキーワードは「同郷」

昨年末から出川哲朗さんの「充電させてもらえませんか?」(テレビ東京)が人気になったこともあり、新たな旅番組のパターンを求めて様々な番組が誕生しています。今回新番組ということと、まさにこの文章を書いている私の出身地である静岡県を最初の舞台としてスタートした「同郷どらいぶ」について、どんな形に仕上がっているのか気になったので拝見しました。

最初から「富士山は静岡のものだ!」という事と、静岡県側から見た富士山が「表富士」だと、出演した筧利夫さんと中山雅史さんが一致し(^^;)、山梨県人の方が見たらこの部分だけで番組を見るのを止めてしまうかも知れませんね。お二人はこれが初対面だとは思えないほど打ちとけていましたが、番組を見ている人が静岡県の人がお二人のようなテンション高過ぎの人間ばかりではないということはわかって欲しいと思いながら見ていました。

お二人は三保の松原で富士山からパワーを受けた後、中山さんの実家のある静岡県藤枝市(中山さんが何度も番組内でおっしゃっていましたが、実家があるのは平成の大合併で藤枝市の一部となった「岡部町」です)に訪れ、母校の藤枝東高を訪れてグラウンドでサッカーを楽しみます。芝のグラウンドのある練習場は立派ですが、中山さんがいた当時は土のグラウンドだったとのこと。

番組からの「ルール」としてスマホの自撮りをピンポイントで取るということと、自分の故郷で「おもてなし」をするということが基本なのだそうです。最初に故郷にやってきた中山さんが筧さんをおもてなすためにしたことは、サッカーワールドカップの時には中山さんのことを「小僧!」と呼び、中山さんからも「儀助!」と呼ばれていた父親の中山儀助さんのいる実家に招待することでした。

静岡の方言丸出しの儀助さんは、たまたま同時のゴールデンタイムに見た静岡の有名人「たけのこ王」と同じ静岡方言の面白さがあり、同郷の旅の魅力の片鱗は感じられたかなという感じもします。

翌日に浜松に移動して筧さんの地元のお宮で小学生当時からの友人とともに三角ベースを遊んでいるところをじっくり映したりしているのを確認し、これはもはや観光のための番組ではないと思ったら、コンクリの「マンモス滑り台」が出てきて、ここは県外の方でも一度は来て滑ってみたいと思えるものでした。適当に回っているところでも外から見て魅力的な場所を見付けることができれば、他にない旅番組になるかも知れないなと思った瞬間でした。

筧さんの「おもてなし」は「いそやき」という浜松のお祭りの屋台で出たソウルフードでした。一本100円のいそやきはお好み焼きのようなものですが、イカのすり身に海のものを入れ、ハマグリの型に入れて焼きソースをかけていただくものでした。おもてなしにしてはかなりしょぼいものだと思う方も多いと思いますが、小さい頃においしいと食べていたものというのは案外そういうものが多く、かえって事業化された「B級グルメ」として昔と違う洗練された物になってしまうのも地元民からするとちょっと違うと思えますし、次回以降にもこのセンスで地元のソウルフードを紹介していってくれる方が、他の番組との差別化ができるのではないかと思えます。

最後に訪れたのは、2002年のサッカーワールドカップ日本チームの合宿地として使われた宿泊施設「北の丸」でしたが、ようやく普通の旅番組になってきたかなと思ったら終了という感じでした。

果たしてこの番組を見た方々が静岡県を訪ねてみたいと思うだろうかという疑問がわくというのが正直なところなのですが、全国に知られた観光地は三保の松原しか行っていませんし、最後に出てきた「北の丸」で食事をするというのもなかなか難しいことを考えると、番組でキャスティングする人選によっても変わってきますし、決して有名でないところであっても、番組を見た人が行きたくなるような場所とソウルフードを紹介してくれるなど、普通の旅番組では決して出てこないものが生まれるような番組として化けて欲しいと思います。

(追記)

番組に登場した「マンモス滑り台」について補足します。改めて観光地ではありませんので、地元の方に配慮した楽しみ方がされるといいと思います。このすべり台のある公園というのは、静岡県浜松市中区中沢町54-8の「住吉公園」にある滑り台かと思われます。ちなみに、ネット口コミによる情報によると駐車場なしということなので、周辺への駐車にもご注意下さい。

(番組データ)

<金曜+1>『同郷どらいぶ』筧利夫・中山雅史 静岡編 BSフジ
1/5 (金) 23:00 ~ 23:55 (55分)
<出演者>筧利夫、中山雅史

(番組内容)

同郷の芸能人が、一緒にふるさとへ帰郷。同郷を通じて、お互いが新たな一面を引き出しあう予測不能でハートフルな“帰郷旅バラエティー”が誕生する! 番組には、3つのルールがある。 レンタカーに乗って、ドライブで帰郷。 帰省した際に必ず立ち寄る店や、地元で一番の絶景、再会したい人などを紹介。 同郷人だからこそ、お互いを最高のもてなしで親睦を深める。 普段では見られない異色の組み合わせが、化学反応を引き起こすとき、地方の新たな魅力が見えてくるハズ~ 記念すべき第1回の舞台は、静岡県。浜松市出身の俳優・筧利夫と藤枝市出身のサッカー・中山雅史が、それぞれの故郷を案内してまわる。


香川照之氏の「チャンネルをぶっ壊す宣言」とは

まず、先日紹介した俳優の香川照之氏がカマキリの着ぐるみを付けて、昆虫についての授業を行なう「香川照之の昆虫すごいぜ!」(NHK Eテレ)の元ネタはこの「櫻井・有吉THE夜会」にあったということが紹介されてびっくりしました。番組のコーナーでカマキリの着ぐるみを着て登場した香川氏はEテレで昆虫に関する番組をやりたいと訴えたのをNHKの関係者が見ていて、すぐに香川さんの事務所にオファーを出したことから「香川照之の昆虫すごいぜ!」が始まったのだそうです。

今回のスペシャルでは新ドラマ『99.9-刑事専門弁護士- SEASONII』の番宣のために訪れた松本潤さんが虫嫌いということで強引にカマキリの着ぐるみを着て出演したのが香川照之氏で(ちなみに表題のドラマには香川氏も出演されているので、番宣で出演することについてはおかしい事はないのです(^^))、どこかで見た着ぐるみだと思っていたら、何とNHKが作った着ぐるみをそのまま着てTBSに出てきたのです。その時に香川氏が言っていたのは「チャンネルをぶっ壊す」という宣言だったのです。

恐らく、TBSのスタッフとしても自分の番組で香川氏の面白さを発掘したのに、美味しいところを全てNHK Eテレに取られてしまったことは悔しさがあったのだと思います。Eテレの正月特番では雨季ということもあってか、香川氏が直接つかまえたいと思っていた「ハナカマキリ」の美しい姿を見せることはできず、まだ花のように美しい姿に脱皮する前のまっ白なハナカマキリをジャングルではなく番組コーディネーターの力を使って視聴者に見せただけだったので、香川氏は、美しい花のような模様が付いたハナカマキリの着ぐるみに着替えて登場し(何とTBSがお金を出して着ぐるみにしてもらったのだそう)、マレーシアにロケをして実際にハナカマキリの姿を撮影する番組を特番でやろうというプレゼンテーションをドラマの番宣と一緒に行なっていました。

今のところ、番組では「乞うご期待」となっていましたので全く可能性がないということでもないのかも知れませんが、もしTBSでスペシャル番組ができればとにかくテンション高めで面白いし、大人だけでなく子供にも安心して見せられる番組になるでしょう。元々TBSからのネタだというのならNHKの方も内容さえかぶらなければ文句も言わないでしょうし、すぐに実現はしないでしょうが、今後のTBSの特番が実現するのかということを大いに期待しながら続報を待ちましょう。

(番組データ)

櫻井・有吉THE夜会SP★梅沢富美男・松潤・田中将大・吉岡里帆…豪華ゲスト集結 TBS
1/4 (木) 21:00 ~ 22:54 (114分)
【M C】櫻井翔 有吉弘行
【ゲスト】 松本潤 香川照之 木村文乃 田中将大 吉岡里帆 梅沢富美男
【準会員】 長嶋一茂・島崎和歌子・小峠英二(バイきんぐ)・吉村崇(平成ノブシコブシ)・斎藤司(トレンディエンジェル)・サンシャイン池崎・ギャル曽根・藤田ニコル・池田美優

(番組内容)

☆完璧男・松潤に弱点発覚!○○を触れない?怒りの香川照之が大暴れ☆木村文乃が超気になる“瞬間蒸し野菜”老舗シェフが秘伝のレシピ公開☆マー君こと田中将大投手は超貴重!(秘)私生活語る!愛妻料理公開&1歳息子仰天エピソード☆吉岡里帆は超節制生活を激白!200日ぶり食欲解禁で1ポンドステーキ爆食い☆梅沢富美男が第二の故郷へ!35年ぶり感動の再会&娘の結婚式をリハーサル!藤田ニコルがウェディングドレス姿に!


番組スポンサーは便乗しすぎで逆効果では?

映画「君の名は。」が地上波で放送されるということで、多くの人がご覧になったと思います。ただここでは掟破りの映画の内容には言及せず、映画の途中に入る民放テレビで映画を見る場合にはどうしても我慢しなければならないコマーシャルについて感想を書きたいと思います。

なぜそんなことをするかというと、テレビ朝日では「地上波初」というあおりで相当営業活動をやっていることが想像され、その結果というか、コマーシャルもこの番組だけの「君の名は」便乗バージョンで流れたものがかなりあったので、もしかしたら途中で席を立ったことにより漏れたコマーシャルがあったかも知れませんが、これもテレビ放送の記録だということで、あえてコマーシャルについて以下にそのおおまかな内容とその感想について書きます。

・Z会

同じ絵柄のアニメを映画本編と間髪入れずにやったので、本編がそのまま続いていると錯覚してしまいました。いきなり受験の場面が出て「Z会」という文字が大写しになったので変な感じがしたと思ったら、見ていてすっかり騙されました。

・ソフトバンク

例の家族全員が登場し、人格が全員それぞれ入れ替わってしまうという映画の主人公の設定をなぞっただけのコマーシャルでした。

・indeed

漫才コンビ「千鳥」のノブと斎藤工さんがコンビになっており、大悟さんは楽屋らしきところでその二人の漫才を見ながら映画のセリフをかなりしつこく長い時間叫ぶというコマーシャルでした。これって見ている人をムカつかせるだけで、逆効果ではないのと今回のコマーシャルの中で一番思ったものでした。

・政府広報(Society 5.0)

映画の主演、宮水三葉役の上白石萌音さんを女子高生として主役にした未来の日本の様子をドラマ仕立てでまるっきり映画を連想させる手法の広報ですが、これって多くの人に見られたという点では税金を無駄には使っていないと思います。ただ、そもそも未来の予想は決してその通りになるわけでもないし、政府の考える未来のイメージを形にしてもらうために、単に大手広告会社に高いお金を払っただけではないの? と思えるものでした。まずは日本のどこでも同じよう環境でインターネットの利用が可能になるようにならないと何も始まらないと思います。

どちらにしてもテレビで映画を見るということは、それが民放だったら映画の途中でコマーシャルが入るのは当り前で、どうしても思考を中断され、さらに映画によってはカットされている部分があることは覚悟しなければならないでしょう。特に今回は映画に寄せたコマーシャルがこれだけあったので、コマーシャルの方に気を取られた人もいたかも知れません。テレビで映画を見る場合にはスポンサーのおかげでテレビで見られることに感謝はしつつも、やはりちょっとやり過ぎだったのではないかと正直思ってしまった事は確かです。

改めて思うのが、しっかりと映画の世界に没頭したいのならお金を払って映画館に行くか、DVDやビデオオンデマンドのためのお金を払羽化をしなければダメだということなのですね。改めて民放のテレビ放送は無料で楽しむ場合には一定の制約があるということを考えさせ、もしかしたらビデオオンデマンドサービスへの加入のきっかけを与えてしまったところもあったのではないかと心配するところもあります。

(番組データ)

映画「君の名は。」[字] テレビ朝日
1/3 (水) 21:00 ~ 23:07 (127分)
立花瀧:神木隆之介 宮水三葉:上白石萌音 奥寺ミキ:長澤まさみ 宮水一葉:市原悦子 勅使河原克彦:成田凌 名取早耶香:悠木碧 藤井司:島崎信長 高木真太:石川界人 宮水四葉:谷花音 ほか
【監督】新海誠
【作画監督】安藤雅司
【キャラクターデザイン】田中将賀
【音楽】RADWIMPS

(番組内容)

山奥の町で憂鬱な日々を送る女子高校生・三葉(上白石萌音)は、夢の中で東京の男子高校生になり、念願の都会生活を満喫!その不思議な夢は度々繰り返されるように…。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧(神木隆之介)も、田舎町に住む女子高校生になるという奇妙な夢を見ることが多くなっていた。やがて、夢の中で入れ替わっていることに気づいた2人は、メモを通して交流を始めるが、ある日を境に入れ替わりが途切れてしまい…!?


NHKのトーク番組は生放送でないと本音が出ない

NHKが民放のプロデューサーやAbemaTVの仕掛人、タレントさんを集めて2017年のテレビについて語るトーク番組ですが、まず疑問に思ったのはNHKへの表立った批判が出てこなかったことです。これは、過去に聞いた話ですが全国放送でない地方局のトーク番組に知り合いで身体障害のある方が出演した際に、事前にあれやこれやの制約が多すぎて、自分が喋りたかったことについてはほとんど喋ることができなかったと憤懣やるかたない感じで話を聞いたことを思い出します。

地方でしか放送されないトーク番組でさえこれですから、今回の番組についても事前にきついお達しがあった事が想像されます。本気でテレビの行く末を心配するのなら、まずは1月2日の夜からやるなら生放送にして自局のテレビ離れの象徴とも言える「紅白歌合戦」についてのパネラーの意見を伺うようなことができないなら、少なくともNHK自体が何も変わらないということになってしまいます。また、生放送ならもしNHKからきついお達しが出ていたとしても、後で怒られることを覚悟した人がいれば、かなりの本音を吐ける訳で、それだけでも番組は数倍面白くなったと思います。というわけで、今回の番組にある程度の制約があると仮定した中で、番組で話された内容について、気付いたことを書いていこうと思います。

まず出てきたのは「視聴率以外に番組を評価する別の指標はないのか?」という話です。私の家にはもちろん視聴率を計る機械が付けられたことはありませんが、もしそうしたお宅があったらテレビを付けてさえいれば、その前で居眠りしていようとネコがリモコンのスイッチを押してしまっても視聴率の数字としてカウントされてしまいます。

最近ではリアルタイムで見ないで録画したものを見る人や、ネットの見逃し配信で見るようなケースも有るのですが、一般的に若い人ほどリアルタイムでの視聴にこだわらないような感じになっているそうです。ただ、録画された回数についてそれを番組の評価の指標にしたとしたら、番組を提供しているスポンサーの広告は飛ばされてしまうようになるだけです。ビデオデッキによる視聴の習慣が一般的になってもリアルタイムでテレビを見ることにこだわった背景は、こうしたこともあると思います。

さらに悪いことに、昔なら一社提供の番組という番組の内容を意気に感じてスポンサーが援助してくれるような番組もあったわけですが、今ではそんな番組は数えるほどしかないというのも問題でしょう。松下・東芝など一社提供のドラマをなくしてしまった頃からテレビの凋落は激しくなり、番組でも出ていましたが視聴者のクレームに及び腰になりやすい体質が生まれてきてしまったようにも思えます。

実際、テレビを見ている視聴者はテレビ局のスポンサーはどのような経緯で付くのか、さらにスポンサーの意向がどの程度番組に反映されるのかということについては知ることができないため、はっきりとした事は言えないながらも、テレビの制作だけに日が当たり、営業部については紹介されることがない今の状況が変わらない限り、視聴率至上主義が払拭されることはないのではないかと思うのです。営業の手法で、視聴率以外の一定の条件さえクリアできればあとは自由な番組作りが一定の期間できる(つまりスポンサーが付く)という形でスポンサー契約をし、その経緯が公開されるようなら、営業職にも日が当たることになるだけでなく、視聴者もスポンサーの想いを感じることにもなり、結果としてもっと面白いものができる可能性があります。

では視聴率以外の評価点とは何かということで言うと、今ならSNSでつぶやかれる回数であったり、見逃し配信で見られた回数であったりするかも知れません。コマーシャルを流さない代わりに、スポンサーの製品を番組内で使い、それをわかるように映すことにも注意して番組を作っても(昔の西部警察でよくあったタイアップ手法)、ドラマならストーリーに影響がなければコマーシャルで切らずに民放でもノンストップで番組が作れるかも知れません。この点については視聴率に関係ないNHKでそんな話をしている事自体は面白かったです。

後、気になったのは、今の日本のテレビではテレビ東京の伊藤プロデューサーの言う「企画の保険」が必要で、それが安定した人気のあるキャストの出演だったりする場合、その時点で他のテレビ番組と似たものになってしまって詰まらなくなるというお話は、具体的な芸能事務所には触れなくてもかなりテレビが詰まらなくなる原因の核心を付いていたのではないかと思えました。

また、出演者の方々の発言の中で気付いた点として、フジテレビが「とんねるずのみなさんのおかげでした」と「めちゃイケ」を終了させる点について話が及んだ時、フジテレビは高齢者向けのバラエティでも始めたらどうかと言っているパネラーの方がいらっしゃいましたが「クイズ脳べるShow」はBSフジの番組で、このブログでも特番を11月に11時間ぶっ続けでやったことについて書かせていただきました。今回の番組ではBSの番組について語られる事はありませんでしたが、地上波とネット配信(ネットテレビも含む)の間にはBS放送があるという根本的なことを理解しなければ地上波はさらにおかしな方向に行ってしまうのではないかという危惧も持ったことをお知らせしておきます。

また、文春と新潮という週刊誌が芸能人の不倫現場や事故などの動画を撮影してその動画をテレビ局に売り込むことで利益を上げているという指摘をされているパネラーの方がいましたが、そうなると一般の視聴者には無料で動画を流す権利をもらおうとスクープ映像を募集する各テレビ局の所業とは何だと改めて問いたくなります。もし個人で撮影したスクープ映像があれば、自分でYouTubeに流す方が良いということに視聴者が気付いたら、そちらの方面でも地上波テレビ局は困ることになります。ただそれは本当に自業自得でしかないでしょう。

もしNHKが今回の内容で、深夜から早朝まで生放送の枠で自局への批判も受けて立つという形で番組を作ったとしたら、他の民放も焦るだろうと思いますが、この程度で毎回終わってしまうトーク番組であれば、来年も紅白歌合戦ではその年のヒット局や視聴者が見たい人の歌が聞かれない「国民的番組」というおかしな方向性のまま迷走していくだけだと思います。さらにAbemaTVの藤田氏を出すなら、亀田興毅氏でなく朝青龍のあの番組(朝青竜に勝ったら1,000万円)とNHKとの相撲中継をからめての話をしなければ、相撲協会もNHKも変わらないまま問題はさらに根深くなっていくだけだと思います。他の民放でもいいので、そんな題材の生トーク番組をぜひ実現させて欲しいものだと思いますね。

(番組データ)

新春TV放談2018 NHK総合
1/2 (火) 22:55 ~ 0:15 (80分)
【パネリスト】テリー伊藤,ヒャダイン,カンニング竹山,藤田晋(サイバーエージェント),高橋真麻,品田英雄,伊藤隆行(テレビ東京プロデューサー),小田玲奈(日本テレビプロデューサー),
【司会】千原ジュニア,首藤奈知子(NHKアナウンサー),
【語り】サンシャイン池崎

(番組内容)

放送局の垣根を越え、今のテレビをぶった斬る討論番組。今年も熱く語ります。2017年の人気番組ランキングを発表!あの感動ドラマは何位に?池が舞台の民放バラエティーはどのように生まれたのか?第一線の制作者たちが秘密を明かす。ネット業界からは72時間番組の仕掛け人が登場。過激な企画の狙いとは?テレビ離れ、長寿番組終了、課題いっぱいのテレビ界はどうなる?テレビのこれからがわかる78分。


年に一回年の初めはクラシックで楽しもう

毎年、年末は外に出ることが多くなったので紅白歌合戦もダウンタウンも、ベートーベン第九も縁のない年越しになっているのですが、その分1月1日くらいはバラエティー番組を見てだらだら過ごすよりもクラシックの演奏を聴こうということで、1日の夜のテレビはウィーンフィルのニューイヤーコンサートを見るようになりました。

今年は指揮者がリッカルド・ムーティ氏で、さらにNHKの中継に力を注ぐ状況が半端ではなく、本放送開始の1時間前から高橋克典さんが登場するウィーン紹介の事前番組を流し、さらに本編に入っても、例年は毎年東京のスタジオからアナウンサーが細かな内容を伝えるのですが、今年は現地ウィーンに鎌倉千秋アナウンサーが出向き、さらに今回出演者の欄に記載のあるヘーデンボルク直樹氏のお兄さんが当日ニューイヤーコンサートで演奏する直前にテレビ出演したり、第一部と第二部の休憩の最中に、どうしても日本の視聴者にお話ししたいとウィーンフィルの楽団長さんまで出てきました。

何がウィーンフィルをそうさせるのかとも思いますが、日本でのウィーンフィルのニューイヤーコンサートの注目度は毎年生中継していることもあってかなり高く、私もそうなのですが、アンコールの「美しき青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」の二曲を聴き、ラデツキー行進曲を聴きながら手拍子を取らないと年が明けた気がしないという方も少なくないと思うので、そんな国内での盛り上がりが伝わっていたのだとしたら本当に有難いことです。

今年の放送ではおよそ2時間半の第一部・第二部を通しで見ることができました。過去には第一部を地上波で放送しない年もあったような気がしましたが、今では普通に全ての内容を見ることができるのは有難いものです。今年は第一部の最後に「ウィリアムテル序曲」も流れたりして、クラシック好きという人だけでなく会場の雰囲気や華やかなバレエが曲に合わせて流れるなど、見出してしまえば飽きずに最後まで行けるのではないかと思われます。

そして、新年の挨拶の後にはアンコールで「美しき青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」となります。今年のラデツキー行進曲は、見ている方がついつい先走りがちになりそうなところ、聴いている人達を落ちつかせるようなゆったりしたテンポでのラデツキーになりました。この辺は、まさにリッカルド・ムーティ氏だからこそのものでしょうし、あまり日頃クラシックを聴く機会のない素人のような私にも、指揮者の違いによってこれだけ曲の印象も変わってくるということを気付かせてくれました。

このウィーンフィルのニューイヤーコンサートは、今後も何回も再放送されるので、見逃したという方は機会があればご覧になってほしいです。あと、番組を見終っての感想として、改めて感じたのは日本とオーストリアの文化・芸術に関する援助の違いでした。番組で紹介されたウィーン市内の様子で、広場に大きなスクリーンが置かれて劇場で行なわれているオペラを同時中継(当然無料です)していたのですが、入手困難だったり高価なためなかなかチケットを買えない人でも、スクリーンの前で年末の恒例のオペラ「こうもり」を楽しんでいる姿は、機会があれば野外で見るのにいい時期になったらウィーンに行ってみたいと多くの人が思うだけの魅力がある企画ですし、日本でも歌舞伎で同じようなパブリックビューイングをやれば、海外からの観光客だけでなく、国内の地方在住の人たちも東京まで行ったついでに有名な歌舞伎の演目に触れられるようになるのにとかなり羨ましく思いました。

来年の今頃も、多くの人とともに笑いながらラデツキー行進曲を手拍子を取りながら聴くことのできる環境であることを祈りたいですね。

(番組データ)

ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2018 NHKEテレ
1/1 (月) 19:00 ~ 22:00 (180分)
【出演】
管弦楽…ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,
指揮…リッカルド・ムーティ,
ウィーン・フィルチェロ奏者…ヘーデンボルク直樹,
バレエダンサー…橋本清香,
【司会】鎌倉千秋

(番組内容)

世界中が熱狂!新年クラシックの祭典を現地から生中継!巨匠ムーティ円熟のタクト。ウィーン・フィル日系団員ヘーデンボルク直樹が明かす舞台裏。あの大物団員も生出演?

ワルツなくては年も明けぬ?現地スタジオからお伝えする2018年のウィーンの年明けの瞬間▽華やかなバレエは苦労の結晶だった…ウィーン国立バレエ団トップダンサー橋本清香が明かす秘話。▽今年の舞台にはイタリアの風が!ナポリ出身巨匠ムーティえりすぐり・初登場の名曲▽100年前の街に思いをはせて…ウィーン激動の1918年にちなんだ名曲や歴史的建築が登場。現代のウィーン・フィルの姿の源は100年前にあった?


元旦に「昆虫特番」をもってきたNHK教育の思惑

役者としての香川照之さんしか知らない人にとって、昨年いきなり「キンチョール」のコマーシャルに小学生らしき扮装で出演したのを見てびっくりしたと思いますが、実はあのコマーシャルは今問紹介するNHK教育テレビの「昆虫すごいぜ!」という番組のテンションそのままなのです。

昨年末に、過去3回放送された番組を一気に放送していたので、復習の意味でつい見てしまいましたが、コマーシャルのように途中でテンションのおかしな部分がありつつも昆虫の凄さを生徒役である子役の寺田心くんに伝えようと必死でやっている印象があります。

今回はお正月の特別プログラムでスタジオでの収録はなく、前編マレーシアにロケに行くという豪華な内容なのですが、そこまでして行ってもなかなか珍しい昆虫をご自身で捕まえることができず、恐らくスタッフが用意したであろう専門家のところに集まった虫を見せたり、現地の虫取り名人に獲ってもらうなどして一応お正月番組を成立させるだけの珍しい虫の「撮れ高」は何とかキープしていました。

この辺は人気俳優のキャラクターを前面に押し出して番組を進行させるところの功罪であると思うのですが、どうしても長期ロケをマレーシアで敢行し本人が珍しい虫を獲る瞬間の画像を抑えるようなことができれば、見ている方としてはさらにテンションが上がったと思うのですが、今のテレビでは露骨な演出も「やらせ」と非難される場合があるので、何とか力技で昆虫を調達したものの、ちょっと中途半端で消化不良な感じがしたことも事実です。

番組を見た正直な感想として、せっかくNHK教育の教育番組なのですから、もう少し現地マレーシアでの滞在時間を増やし、お正月番組どうしてもしなくてもいいので、お正月にタレントさんの予定を抑えてロケ期間を確保し、マレーシア現地で教室を開くような形で寺田心くんにもマレーシアで虫獲り網を振ってもらって視聴者にもその成果がわかるような形のものにして欲しかったというところはあります。

もちろん、香川さん寺田くんのスケジュールを一定期間抑えるというのはそれほど難しいということなのでしょうが、次回には国内で十分なので、ぜひロケをするのが香川さん一人ではなく、出演者全員でロケをするような形での内容も見たいです。たまたまこの番組をお正月に見たことで虫の事に対する興味がわいた子供たちのためにも、スケジュール調整は大変かと思いますが、続編も期待しています。

(番組データ)

香川照之の昆虫すごいぜ!特別編「カマキリ先生☆マレーシアへ行く」NHKEテレ1
1/1 (月) 9:00 ~ 9:45 (45分)
【出演】香川照之,寺田心,伊藤優衣,
【語り】石澤典夫

(番組内容)

カマキリ先生が冬の日本を離れ、マレーシアの熱帯雨林で特別授業。ねらうは美しき国蝶、三本角のカブトムシ、そして多様なカマキリたち。どんな授業をしてくれるのか。

あけまして、昆虫すごいぜ!カマキリ先生が虫の少ない冬の日本を離れ、マレーシアで出張授業を開く。初の海外、熱帯雨林で探すのは美しき国蝶アカエリトリバネアゲハに三本角のアトラスオオカブト、そして、日本ではお目にかかれない多種多様のカマキリたち。異国の地でカマキリ先生はどんな昆虫を見つけ、どんな授業をしてくれるのか。放送枠も拡大、44分の特別編でお伝えする。