面白い素人をさらに面白く見せるのが芸人の腕?

芸能人がロケに出てその内容について千鳥の二人がロケのVTRに壮絶に突っ込むのがこの番組の真骨頂ですが、今回は大阪の中でも芸人以上にテレビ映えする素人さんの巣窟である(以前「明石家電視台」に出演した大阪のおばちゃんもそうでした(^^))新世界にロケに入り、M-1グランプリ決勝進出者がのきなみ登場し、一番ロケが面白いコンビを決定するという内容でした。

この企画は先週から行われていて、その分を含めた内容で優勝したのが、M-1グランプリ決勝で8位に沈んだ「ニューヨーク」だったのですが、そのVTRでしょっぱなに登場し、昼間から出来上がっているその日に仕事をクビになったというやばそうな若めの女性が出てきたときには、テレビを見ているだけでも新世界とは怖いところだと(^^;)思いそうになったのですが、そこからかなり意外な展開になっていきました。

恐らく他の視聴者の方々も、このように酔った感じでテレビカメラが回っているにも関わらず馴れ馴れしく場に入って主導権を握っていく素人というのは、相当面白くないとテレビで見ている人まで面白くなることはありません。私自身も見ていてそのパターンだったのですが、やはりここは大阪だからかなのか、それともロケをしたテレビスタッフが絶妙のところでVTRを編集したからなのか、この若いお姉さんは途中で破綻することなくニューヨークのお二人と話を続け、街ブラ-1GP初代王者をニューヨークが一点差で獲得するキーパーソンになったような気がします。

なぜそんなにカメラ慣れしているのかというと、出演時にもその人が言っていたのですが、始めたばかりとはいえ、YouTuberとしてスマホのカメラの前に向かって自分で言いたいことを喋って発信するということを以前から実践していたということがあるのではないかと思います。

番組外のネットでは、あのお姉さんのアカウントは何だ? と一部色めき立ち、今では「相席食堂のクビになったお姉さん」で検索すればすぐにその人のYou Tubeチャンネルが出てきます。この辺は実にテレビとネットが連動している感じですね。

その内容を見ると、このお姉さんがなぜ数えきれないほど仕事をクビになっているかということがわかります。単なる酔っぱらいの面白いお姉さんというところしかテレビでは写りませんでしたが、興味のある方はその動画を探せばわかります。ただ、テレビのような面白さを期待しても、やはり固定カメラで自分のしゃべるのを撮影するだけのものと、きちんとテレビを見ている人が面白いと思ってもらえるように編集してあるものとは違います。しかし、そのお姉さんが自らの事を語るさまというのは、やはりカメラ慣れしている感じが半端ではなく、これもスマホを単なる電話として捉えるのではなくいつでもテレビ番組のような動画が撮れるハードとして使いこなしている感じを受けました。

むろん、いくらテレビ慣れしていて、それなりに面白い内容を発信していたとしても、その面白さを知るきっかけがなくては話になりません。しかし、たまたまこのお姉さんは相席食堂のロケに遭遇したことで、一時ではありますが多くの人に知られるチャンスを得ることになりました。このようにして出てきたのがフワちゃんのような芸人への入口にYou Tubeを使う人たちで、今回のお姉さんもこれからどんな形で活動していくのかはわかりませんが、今までと違った入口でテレビ出てくる人はこれからも増えていくのだろうなとふと思いました。結果的にこのお姉さんはニューヨークに出会ったことがラッキーだったという風に思います。

ちなみに前回の前半のロケが低調に終わったのは、出演していた漫才コンビより地元で飲んでいるお兄さんやおじさんの方が面白く、さらには自分からその場を回しに行ったりして、台本を作り込んで面白さを作るようなタイプの芸人さんには大変なロケだったで、多くのコンビがそのプレッシャーの中で潰されてしまったのではないかと思われます。ただ、そうした「天然の面白さ」を持つ素人や、下手な芸人よりエピソードトークが多彩なYouTuberにからみ、普通に相手に話をさせるよりさらなる面白さを引き出すような事が出来ないと、地上波のバラエティでメインの座に座ることはなかなか難しいと思われます。

今回の街ブラー1グランプリは優勝したミルクボーイこそ出ませんでしたが、M-1グランプリとは全く違う意味でテレビで見て面白い芸人は誰かということをはっきりさせることができるロケになると思いますので、この番組がもし来年まで続いていたらぜひ次のM-1グランプリの決勝進出者にオファーして、第二回目を開催して欲しいですね。

(番組データ)

千鳥の相席食堂【M-1ファイナリスト集結!街ブラ-1GP初代王者が今夜決定】
2020/02/18 23:17 ~ 2020/02/19 00:17 (60分)ABCテレビ
【司会】千鳥(大悟・ノブ)
【旅人】インディアンス オズワルド からし蓮根 すゑひろがりず ニューヨーク ぺこぱ(あいうえお順)

(番組内容)

もうひとつのM-1グランプリ「街ブラー1グランプリ」開幕!先週に引き続きファイナリストたちが難攻不落の相席食堂ロケに挑む
▽審査員はロケの修羅・千鳥!初代王者は?
有名人が見知らぬ街で、地元民と突然、相席!
▽偶然の出会いから始まる相席を通じて、街の魅力や新たな自分を発見する新感覚旅バラエティ▽ガチ交流ロケにMC千鳥がツッコミまくる!
M-1ファイナリスト6組が相席食堂のロケに挑む、街ブラ-1GP開幕
▽勝てば名声!負ければ地獄!今週はオズワルド・からし蓮根・ニューヨークが登場
▽「ついにこの大会が爆発しました」審査員千鳥が太鼓判を押した超白熱の後半戦!初代王者に輝くのはいったい!?


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とても民放らしい「ご先祖さま探し」

この番組は2回目の企画で、前回はお笑い芸人の宮川大輔さんが家系図上で日本の映画の祖である牧野省三氏につながり、それはわかる人にとってはすごい事なのですが、あくまでテレビ的にわかる人をということでなのか「津川雅彦さんと親戚」ということで大いに盛り上がりました。ただ、この番組の潔いところは、たとえ養子つながりで血縁が途絶えているような場合でも、つながりが面白ければどんどんその家系図を書き続けていってしまうところにあると思います。

同じように自分の先祖の事を調べる番組にはNHKの「ファミリーヒストリー」がありますが、あちらの方はNHKの綿密な取材力を使ってドキュメンタリータッチで仕上げているという感じなのですが、この番組は親族ご本人にわかっている家系図を書いてもらうところから始まり、思ってもいなかった人物と出演タレントがつながっているという事をメインに楽しむバラエティとしてうまく仕上がっています。

今回のメインはDAIGOさんで、少し詳しい人なら彼のおじいさんが元総理大臣の竹下登氏ということはわかっているので、そこからの親戚関係はだいたい予想できましたが、意外だった点が何点かありました。まずは、トヨタ自動車創業者と日産自動車創業者が親戚関係にあったということの中で、家系図に書かれていた「豊田佐吉」の文字が無視され、スタジオ内でも全く話題にされなかったことです(^^)。豊田佐吉の自動織機をはじめとした様々な発明が後のトヨタ自動車につながったという意味で、ネームバリュー的にもトヨタ自動車という名前を出すなら豊田佐吉とDAIGOさんが親戚だったという風に紹介した方が面白かったのではないかと思うのですが。

そして、この番組独特の面白さが出た点として、豊田佐吉から安田財閥にも親戚関係が家系図でつながっていく中で、DAIGOさんがロックシンガーである点から「小野洋子(オノ・ヨーコ)」という文字が出た時点で、自動的にその夫である「ジョン・レノン」とも親戚ということになってしまいました。当然、相当遠い親戚でありDAIGOさんとジョン・レノンには血縁関係はないので(^^;)、音楽的な才能がどうこうということは全くないのですが、ビートルズのメンバーが「親戚」という枠で一くくりになってしまうというのは、結構面白いと素直に思えます。

さらに、DAIGOさんの家系図を辿ると何と維新の英雄である西郷隆盛にたどり付き、西郷と親戚関係にあった岩倉具視の直系の子孫ということでスタジオに登場したのが加山雄三さんでした。加山さんのお母さんが岩倉具視のひ孫だということなのですが、これで加山雄三さんとDAIGOさんが遠い親戚で、さらに加えて加山さんとジョン・レノンも親戚関係になっているという事になってしまったのです(^^)。

加山雄三さんは、ザ・ビートルズが来日した時にメンバーに会うことができた数少ない人物の一人でした。ただこの件も番組では加山さんとビートルズが会った時にすき焼きを食べたという話を、単に親戚同士の会食と片付けてしまいましたが、当然その時点では加山さんとジョン・レノンは親戚では有りませんでした(^^;)。その点は見ている人もわかってはいると思うのですが、最初から親戚ということで加山さんとジョン・レノンは会ってはいません(^^;)。

当時の記録を見てみると、周辺の人々が加山さんを何とかビートルズに会わそうとお膳立てをしたそうなのですが、当初加山さん本人は気乗りがしなかったということです。でも何とかヒルトンホテルのビートルズ滞在中の部屋に出向き、一緒にすき焼きを食べるということになったのですが、食べ方のわからないメンバーに加山さんが食べ方を教え(若大将の映画ではすき焼き屋の息子という役をこなしていたから?)、行儀の悪い食べ方をしたジョン・レノンを叱ったという話もあります(^^)。まさか後に親戚になるとはこの時には思わなかったでしょうね。できればそんな話も加山さんに振ってもらえれば、ネットでは出てこなかったビートルズの裏話が加山さんから出てきたかも? と思うとちょっと見ていて残念でした。

で、この番組で一番笑ったのは、次に出てきた俳優の千葉雄大さんの家系図をたどっていく中で、何とまた維新の英雄である木戸孝允に行き付き、西郷隆盛・木戸孝允・岩倉具視(この3人には親戚関係がある)が並んだ写真が出た時点でまさかと思ったのですが、DAIGOさんの時に出て退席したはずの加山雄三さんが再びスペシャルゲストとしてスタジオに登場した時です(^^;)。つまり、DAIGOさん・加山雄三さん・千葉雄大さんは遠い親戚で、3人ともジョン・レノンの親戚だったということで、この時点でお腹いっぱいという感じでしたね。

後から出た壇蜜さんと武田真治さんはそこまでのインパクトが与えられずにかわいそうな気がしましたが、渡部建さんは同じ総理大臣でも決して国民から好かれたとは言い難い山県有朋氏と遠い親戚であることがわかり、これはこれで面白かったです。できれば渡部建さんの芸能界の立ち位置とからめていじってほしいという気もしましたが、これはテレビ上では突っ込むのは無理でしょう。今後もある意味無責任に、とんでもない人物とつながっていそうな芸能人を番組で発掘して紹介して欲しいと思います。これこそ民放のバラエティという感じだったので、次回があることを期待します。

(番組データ)

はじめまして!一番遠い親戚さん【DAIGOと千葉雄大が遠い親戚だと判明SP!】TBS
2020/02/11 19:00 ~ 2020/02/11 20:54 (114分)
【MC】相葉雅紀
【ゲスト】DAIGO・武田真治・壇蜜・千葉雄大・宮川大輔・渡部建(五十音順)
【SPゲスト】加山雄三
【プロデューサー】國谷茉莉
【演出】山森正志(イースト・エンタテインメント)

(番組内容)

芸能人の家系図バラエティー!
▽ DAIGOの親戚はまだまだスゴかった!西郷隆盛にアノ小説家…華麗すぎる偉人の連続に大パニック!
▽千葉雄大の親戚に「1964年東京五輪にまつわるスゴイ方」や「ピカソと交流を重ねた日本人」がいた!
▽DAIGOと千葉雄大が遠い親戚だと判明!2人を繋ぐまさかの人物が登場
▽渡部建が大興奮!「元首相」や「日本が誇る名女優N」との繋がりが!
▽武田真治の親戚&壇蜜の初恋親戚さんも!


普通の「漫画のドラマ化」とは違う「課長バカ一代」

Twitterの方でもつぶやきましたが、愚かなことにこのドラマが放送開始していたことをしばらく知らず、テレビでのオンエアはようやく4回目の今回になって初めてテレビで見ることが叶いました。

原作の漫画をご存知の方には何を今さらという事もあるでしょうが、偶然にこのドラマに遭遇された方は、見た後の処理に困るドラマなのではないかと思ったりします。ある意味偶然なのか、それとも今になって実写ドラマ化を目論んだ関係者の方の思い通りなのかはわかりませんが、漫画の「空手バカ一代」を知っている方ならかろうじてふざけた題名の付け方だくらいの事はわかるでしょう。

しかし、それすら知らずに見てしまった方は、「企業モノ」「国内有数の家電メーカーが舞台」「課長とトップとの関係」など、まさかこんなギャグ満載で、内容などまるでないドラマだとはわからなかったでしょう。それで時間を損したと思うのか、これは一体何だと興味を持つのか、意見が二つに分かれるドラマであると思います。

ドラマ自体は、やはりキャスティングが絶妙だということがまずあります。原作の漫画ではひたすらアジア系のイケメンを描かせたら当代一という池上僚一先生の絵をリスペクトする(?)、野中英次氏のキャラクターの雰囲気を漂わせた尾上松也氏および歌舞伎界から担ぎ出された方々をはじめとするキャストが原作を真面目に消化しようとして演技されている事が、さらにドラマの面白さを醸し出しています。

今回は主人公で尾上松也氏演じる八神と社員前田役の木村了氏とのしりとりからの古今東西ゲームの流れが秀逸でしたが、個人的には尾上松也氏の八神っぷり以上に木村了氏の前田っぷりも気に入ってしまったのですが、木村氏は同時期に開始されたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の告知は彼のブログでしっかり行なっているのに対し、「課長バカ一代」についての記載は一切ないおしゃれな写真入りブログを書いているという現実を知った時、本当におかしくて笑ってしまいました(^^;)。

彼のブログにはドラマの告知以上に劇団の事について書かれていたことで役者稼業に真面目に取り組んでいることがわかるのですが、前回の第3回で出てきた内容の中で、真面目に演劇論を争わす役者を笑うかのような原作の内容に寄っていってしまっているように思えてしまったのです。木村氏演じる前田は、主人公の八神にまるで劇団のオーディションのような無茶振りありの演技実演をドラマの中で披露していまして、そのやり取りが真面目になればなるほど、真剣に演技に取り組んでいる役者を莫迦にするような内容にドラマが進行していくのです。もしかしたら木村氏はこのドラマをあまりファンに向けて告知したくないのかも知れませんが、それはそれで役者魂にあふれた熱演であったことは間違いないので、特に舞台の木村氏を知っている人にこのドラマを見てもらった方が面白いのではないかという気が私にはするのですが。

私は今、前回(第3回)の放送について書きましたが、実はこのドラマはTwellVだけでなく「ひかりTV」でも配信されていて、この「ひかりTV」の見逃し配信をしているのがNTTdocomoが提供する「dtvチャンネル」に契約すると見ることができます。というわけで何とか自分が知らなかった初回からの放送を見た上でこのドラマの評価をすると、漫画と違う部分はありますが、上記に書いたような役者の方々の内面の奮闘の様子が垣間見えるという意味で、自分はがっかりするような事はなく、むしろ漫画の筋とは違う部分でどう役者が存在感を出していくのかという観点で見させていただいています。そういう意味では、役者の方々とともに、制作しているスタッフの方々の存在感が感じられてしまうというところもあります。さらに、今後出てきたり物語の中心となるかも知れない役者さんはどのようなアプローチでこのドラマに当たり、漫画とは違う面白さを出していってくれるのか? という興味が今後も続く事になるのではないかと思ったりします。

(番組データ)

ドラマ「課長バカ一代」第4話 BS12 TwellV
2020/02/02 19:00 ~ 2020/02/02 19:30 (30分)
【出演者】尾上松也、木村了、永尾まりや、板橋駿谷、武野功雄、坂東彦三郎、市川左團次 ほか

(番組内容)

社長・松平からAIロボットの開発を命じられた八神と前田。前田が開発に一心不乱になっている矢先、突如八神がとしりとりを始め、白熱は朝まで続く。そして遂に、八神がロボットのスケッチを書き上げる。しかし「このままではダメだ!」と悟った前田は、一人ロボット工学の権威がいる香港へと飛びだつのだった。香港から戻った前田は、皆にお土産の饅頭を配るが…。


演出され解答を強要するクイズ番組は「忖度」も?

日本テレビのこの時間の番組は、後番組の「沸騰ワード10」のスペシャルが食い込んだり、この番組のために沸騰ワードの方が潰されたりと、連続して見られないのですが、それでも一通り見て、昨年までは一定の流れというものがあると認識していました。

・番組ルールでは10問正解100万円獲得で終了も可だが、それをやった人はいない
・11問目の300万に挑戦した人は難しいランキング問題が答えられず賞金が払われない

ただ、この法則の2つ目については1月10日放送のスペシャルで「番組史上最強の挑戦者」という触れ込みの東大医学部に在籍しながら司法試験に合格したという河野玄斗氏が『子ども年鑑2019』からの出題「JR東日本で1日の平均乗車人数が多い駅トップ3は?」という難問に見事正解し、番組史上初めての300万円獲得となりました(答えは「1位新宿 2位池袋 3位東京」)。こんな問題はクイズ用の知識を持っていても最新のデータを常に見ていないと答えられないような問題で、毎回こんな現在の小学生の教科書に載っているようなデータの順位を11問目に答えさせるえげつなさは変わっていませんでした。

先週は「沸騰ワード10」のタケノコ王のコーナーが伸びて番組は休止になり、今回はスペシャルではない普通の長さの番組になったので、またクイズの方も通常運転に戻るのかなと思って見ていたら、最初に出てきたお笑いコンビのチョコレートプラネットは予想通りだめでした(^^;)。次に出てきたのが新生ジャニーズ事務所イチオシのグループ「Snow Man」から阿部亮平さんが登場し、彼の勉強できるキャラを前面に押し出す中で順調に解答に正解を連ねたところでちょっとしたクイズとは関係ない「演出」が見られたことで、これは「台本」のあるクイズ番組なのか? とちょっと疑ってしまいました。

というのも、回答者をサポートする小学5年生のグループの中の「えいと」くんが、たまたま「バイオリンの弓に使われる毛は何の動物?」という問題に自信満々に回答し、自分はバイオリンを習っていると自慢気に告白しました。普通のクイズ番組ならその話はここで終わりで、すぐにクイズを続けると思うのですが、なぜかえいとくん所有であろうバイオリンが用意されていて(^^;)、演奏を番組内で披露する時間稼ぎ(時間つなぎかも)が行なわれたのです。ちなみに、答えは馬の毛だったのですが、その答えがどうでも良くなるくらいにクイズ以外のところにスポットライトを当てるというのは、この番組のスタッフは何をしたいんだろう? という疑念を生じさせるには十分なところがありました。

そして、阿部さんはうまく小学5年生に回答をさせながら10問をクリアし、止めれば100万円を持ち帰ることができる権利を獲得しました。ここで日本中のテレビを見ている人の反応は、阿部さんはいくら上智大学大学院という学歴を持つジャニーズの頭脳とも言うべき才能はあるにしても、「番組史上最強の挑戦者」くらいの箔が付かないと(ちなみに過去には「東大王」も11問目で敗退しています)正解は難しいから、一緒にデビューするSnow Manの仲間たちと分かち合うためにも、11問目は辞退してくれというものだったと思います(^^;)。しかし、これも台本通りなのか300万円に挑戦する事になり、ああこれでまたスタッフは100万円を出さないで済むのか、まあスペシャルではないからお金は出さないよねと思っていたところ、さらに驚くべき事が起こったのでした。

私が今まで見てきたこの番組の300万円のかかった11問目は、必ず最新のデータを使ったランキング当て問題になっていて、しっかりと予習をしたとしても東大王が答えられなかったことからもわかるように、正解することは非常に困難です。バラエティ番組にこんな事を言うのは野暮かも知れませんが、つい先日の報道で、参加費150万円を支払ってゲームを勝ち抜いたホスト一人に2000万円のランボルギーニをプレゼントするという「欲望の塊」(東京MXテレビ)での賞品およびタレント・スタッフへのギャラ未払い問題が起きているということもあります。番組のルールにのっとって100万円を貰えるのに、ほとんど可能性のない問題を強制的に答えさせるような台本があったとしたら、この番組も大きな問題としてワイドショーのネタになるかも知れません。

ただ、こうした心配は逆の意味で杞憂だったことが明らかになります。というのも、なぜか阿部さんに出題された問題はこれまでの非常に難しい最新データのランキング問題ではなく、それこそ小学生のテストで回答できる知識で解けてしまう優しい問題だったからです。

その問題とは「星座の冬の大三角が含まれる星座の3つを答えよ」というもので、大してしっかり勉強してきていない私でも「おおいぬ座・こいぬ座・オリオン座」と簡単に答えられるものだったのです。

今回の問題の出し方は2020年になってスタッフが突然賞金を出すように方向転換したのか、それとも出演者に賞金を取らせようと「忖度」したのかは次回以降の11問目の出題傾向を見ないと何とも言えませんが、今回の300万円獲得は偶然ではなく、やはり何らかのスタッフの意向が働いたのではないかとつい疑ってしまうのは、私がひねくれているせいなのかも知れません。

とにかく、今回の放送では昨年の放送の流れからは全く考えられないような事が起こったことだけは確かです。300万円獲得者がスペシャルでない通常回でも出たことで、今後も出るかも? という期待は出来ましたが、また次から難しいランキング問題に終始したら、さらに疑念は高まってしまいます。できればそういう方向にこの番組が行かないで欲しいものですが。

(番組データ)

クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?チョコプラとジャニーズ初勉強アイドル登場 日本テレビ
2020/01/24 19:00 ~ 2020/01/24 19:56 (56分)
【MC】劇団ひとり、佐藤隆太
【挑戦者】阿部亮平(Snow Man)、チョコレートプラネット
【解説】寺田心
【小学5年生】えいと、のん、みひろ、ゆうき、りょう

(番組内容)

クイズ初挑戦!チョコレートプラネットとジャニーズ最強の勉強キャラ・Snow Man阿部亮平が登場!間違えたら即終了!11問連続正解して目指せ!賞金300万円!クイズ初挑戦のチョコプラには小5「伝統芸能」から狂言に関する問題!果たして”そろり”長田の答えは…?さらに上智大学院卒、ジャニーズ初の勉強キャラ・阿部亮平の登場で300万円の期待度MAX!
阿部には小6「社会」からQ:日本で一番小さな国宝は?Aハンコ、B仏像、C種…間違えれば即刻終了!あなたは小5より賢いの?Q1億円を千円札にすると何枚?Qバイオリンの弓に使われる毛は何の動物?えいとの特技も初披露
関口 拓
えすと ランブルビー AXON


芸人より面白い素人がいる大阪ローカルの底力

大阪はお笑いの街と言われ、VTRで街を行く素人のインタビューを取ってその面白さをアピールする番組は「秘密のケンミンSHOW」をはじめ多くあるものの、そうした「街のご意見番」は芸人より面白いのか? という事について今回は考えさせる内容になりました。

私自身が関西出身ではないので、仲間うちのそれほど緊張感のない掛け合いを見ていてもそれほど面白さを感じないのですが、今回の明石家電視台は大阪という地域の面白さを余すことなく伝えてくれた素晴らしい構成になりました。

基本的に、明石家さんまさんがMCとなり、トークを行なう番組というのは、有名なところでは日本テレビの「踊る!さんま御殿!!」やフジテレビの「さんまのお笑い向上委員会」があります。前者における芸人の立ち位置はあくまでメインゲストの飾りという感じで、芸人の力量が試されるところがあります。逆に俳優やスポーツ選手、文化人というスタンスの出演者をいじってその面白さを引き出すところにこの番組の面白さがあり、出演する芸人はいかにMCであるさんまさんの意図を汲んで発言をするのかというところに難しさがあるでしょう。

そして、芸人にとってさらに過酷なのが「お笑い向上委員会」でしょう。かなりのトークがカットされる中で、頭の中に何も浮かばずに立ち往生してしまう芸人も多く、番組との相性が良くないと番組自体を敬遠する方もいるのではないかと思います。そんな中、番組後にはその内容についてネット上が炎上するほどの爪痕を残しつつも一般視聴者からほとんど支持されない(^^;)、爆笑問題の太田光さんの懲りない行動は、なかなか真似できないという意味ですごいなあと思うわけです。

ただ、多くの芸人にとっての理想は、その場を壊すことなくごくごく自然にさんまさんとのやり取りを行ない、ある時にはさんまさんが喋っている最中にも容赦なく合いの手を入れ、それなりに笑いを取るというような事だと思います。その普通の人ならほとんど不可能で、芸人さんであっても難しい事をやすやすとしていたのが、番組のネットデータでは名前さえも出ていない新世界のアニマル服専門店「なにわ小町」の名物店長で「声おっさん・顔べっぴん」を自称する高橋真由美さんの素人離れした面白さが半端ない今回の放送でした。

番組レギュラーの中川家・礼二さんもそのキャラクターに食いつき、恐らく近々収録される「お笑い向上委員会」では必ず高橋さんの「笑うてるのに声出てへん」モノマネが実践されるでしょう。そもそも考えると、こうした礼二さんのモノマネの面白さというのは、素人離れした面白さを持つ大阪で生活している素人さんを観察し、それを脚色なしに再現するだけでも面白くなってしまうところもあるのではないかとも思えてきました。少なくとも高橋さんは必死に爪痕を残そうとしたゆりやんレトリィバァさんよりも笑いを取っていましたし、同じ芸人としての土俵で争うことがないことだけが幸いだという感じもしました。

やはり毎日、新世界で丁々発止のやり取りをしているので、ご自身は「日常会話」の延長でしか語っていないにも関わらず、大阪とは縁もゆかりもない多くの人を笑わすことのできる能力が自然と備わってしまったのでしょう。高橋さんがすごいのは、芸人は一部テレビには適さないような言葉を発したりする素人の面白さを切り取って表現することが絶妙なのですが、高橋さんは素人でもきちんとテレビを見ている人にそこまでの不快感を与えずに場を面白く回しているバランス感覚の良さが絶妙なのでした。

最近の明石家電視台はトーク中心で様々な人達が出演されているので、その中から少しテレビの枠から飛び出るくらいの個性を持つ素人さんをスタッフが見付けてきてくれることもあるかも知れません。見逃し配信のTVerならネットされていない地方でも見られるので、現在のお笑いにちょっと不満を持っている方はちぇっくしてみるといいかも知れません。

(番組データ)

痛快!明石家電視台【大集合!計920kgぽっちゃり美人★ゆりやん珍恋愛】
2020/01/13 23:56 ~ 2020/01/14 00:53 (57分)MBS毎日放送
【レギュラー】明石家さんま 間寛平 村上ショージ 中川家(剛・礼二) 重盛さと美 アキナ(山名文和・秋山賢太)
【ゲスト】 安藤なつ ゆりやんレトリィバァ 五十嵐サキ ほか10人
【アシスタント】 辻沙穂里(MBSアナウンサー)

(番組内容)

新喜劇マドンナ1年でまさか30kg増量!?
▼「ぽっちゃりがゆえの身体の不思議がある」「譲れないこだわりがある」…から「股ずれ」「便器を割った」まで、赤裸々告白!!
「実際どうなん!?ぽっちゃり美人」と題し、メイプル超合金の安藤なつ、ゆりやんレトリィバァ、吉本新喜劇の五十嵐サキらお笑い芸人をはじめ、ぽっちゃりアイドルのびっくえんじぇる、歌手、主婦、販売店員ら70キロ~135キロの10人が登場!テーマに沿ってさまざまなエピソードを披露する。最年長は69歳で80キロの主婦!
●ぽっちゃり以前の写真も披露!「新喜劇のマドンナ」に「栃木の北川景子」!?ビフォーアフターにさんまもビックリ!!
●「ただ食べてるだけ」のユーチューブで「生活できるようになった」
●太っていると外国人からモテる!? …赤裸々な告白やエピソードが次々披露!ぽっちゃり美人10人がとっておきのトーク


テレビ局の有料コンテンツは本当に払うだけの価値あるものなのか

昨年から今年にかけてスポーツ中継を含んでずっとテレビを見ていたのですが、具体的にこの番組というようなものはそこまでなかった代わりに気付いたのは、それまでのDVDシフトから変わって、各テレビ局が過去に放送された番組を局の有料サイトに加入して見ようというキャンペーンの多さでした。
私自身、ネットによる番組の再配信については「TVer」や「You Tube」(あくまで公式チャンネルのものです(^^;))にお世話になっていますが、多くのキー局が行なっているサービス全てに入るというのはなかなかできませんし、そもそも各局の有料コンテンツに月々の利用料金を支払う価値があるのかということをまずは考えてしまいます。

テレビ局的には放送日から最大一週間までの見逃し配信は無料で認めるものの(NHKは除く)、過去の番組のまとめての視聴にはお金がかかるというスタンスのようです。ただこれは、ネット以前にもCS放送で過去の各局の伝説的な番組が放送されていますが、そこまで視聴者を獲得できていないのではないでしょうか。

過去に放送した番組については、個人の努力でも番組を録画したものを保存しておけばわざわざお金を出さなくてもいつでもお気に入りの番組を見られるわけですし、ここで改めて「有料チャンネル」である必要がどこまであるのか疑問に思います。

無料の番組は地域にもよりますが誰でも見られますが、私が毎月お金を払ってまで見たいということになると、すでにシーズンを終了したサッカーのJリーグの全試合をリアルタイムで見ることができるDAZNでした。テレビ放送では代表戦や一部の試合(ほとんどJ1の試合)しか地上波およびBSでは放送されません。今年のJ1リーグで言えば、来季J2リーグに降格してしまうチームの試合を今年も追い掛けたいと思ったら、DAZNへの加入は必要なものになるでしょう。これはテレビ局とは関係なくオリジナルコンテンツの配信を有料で行なっているサービス全般にも言える事だと思います。

しかし、テレビ局が行なっている有料コンテンツの多くは、オリジナルコンテンツの比率は少なく、好きな人ならその都度録画して楽しんでいる過去のバラエティやドラマを自由に見られるくらいでは有料のサイトになかなか登録しないという人がほとんどなのではないでしょうか。特にバラエティに対しての世間からの風当たりが強い現代、昔のバラエティの破天荒さを地上波バラエティに望むことは難しいという感じがあります。

その想いを強く持ったのが、TBS系で2019年12月30日深夜に放送された「クイズ正解は一年後」という毎年年末に放送されるバラエティ番組でした。2019年は主に吉本興業所属のお笑いタレントの不祥事的な行ないがワイドショーを賑わすことになり、それまで数々のバラエティ番組やこの「クイズ正解は一年後」に出演していたタレントも騒動の渦中に巻き込まれました。

例年、ワイドショーで盛り上がった話題や人物について徹底的にこき下ろすことが「クイズ正解は一年後」のキモであったため、主演者自らが渦中の人になった場合、現場ではどのような判断を下しどう伝えるのかということが昨年末の興味だったのですが、番組を見た方はおわかりかと思いますが、例年普通に放送される年末の事を予想する2019年1月収録のパートは、現在は芸能活動を自粛しているタレントが出演していたためかまさかの全部カットになっていました。

さすがにこれでは、あまりにも身内に甘いという状況を明らかにしたに過ぎず、本当はまだ問題が発覚する前の2019年1月に問題のタレントはどんな顔をしてどんな事を言っていたのかを見たいですし、VTRに一部モザイクを掛けてでも面白いやり取りのところは流してくれるだろうと思っていた人を落胆させる出来となってしまいました。

この点について制作サイドを批判するというよりも、それだけ地上波テレビバラエティについてのコンプライアンスがきつくなっているという分析ができるでしょう。大晦日恒例のダウンタウンの年越しバラエティでも、ギャグの一つが過去に黒人差別だというような事でかなり叩かれたことがあり、今の時代本当に現場が面白いバラエティを地上波で流すことは無理なのではないかと最近は思っているところもあります。

だからこそ、「有料チャンネル」や「有料サイト」限定のコンテンツとしてTBSは「クイズ正解は一年後」の一連の不祥事がなければ普通に流れるはずだった2019年1月収録のパートを最低限の画像処理で出すことで、一定の地上波のバラエティのぬるさに不満を持つ視聴者の受け皿になれるのではないかと思うのですが。

もちろん、制限がきびしい中でいかに面白いものを出していくのかというのが番組制作者の力量であるということも十分理解できますが、今年の「クイズ正解は一年後」はある意味交通事故のようなものであり、今後の謹慎しているお笑いタレントはどうなっていくのかということが世間の注目になっているという背景もあります。過去には地上波では全く出演することができなかった極楽とんぼの山本圭壱さんを出したのがアマゾンプライム会員限定のネット配信専用のプログラムであったことを考えると、ネットの有料配信の方向性をはっきりさせる意味でも、「地上波では流せないが、流すこと自体は悪いものではない」コンテンツを出すというやり方も十分あってもいいと思うのです。

逆に、有料サイトであるNetflixで配信されることで多くの人に認知されたドラマコンテンツ「全裸監督」は、その本編でなくオリジナルを面白がって真似するシチュエーションやお笑い芸人が地上波のバラエティで出てきています。そうなると本来はドラマのターゲットではない層の人たちの間にまで「あれは何だ?」ということでその内容と元ネタが広がってしまうことになり、それはオリジナルコンテンツの制作者からしても必ずしもいい事だとにはならないかも知れません。2020年は無料と有料コンテンツをごっちゃにせず、それぞれのテリトリーの中でそれぞれ楽しむようにしないと、どちらのメディアもネットによる批判にさらされるような状況が起こってくることも予想されます。少なくとも有料サイトをうたうなら、毎月の料金に見合うだけのコンテンツを用意した上でおすすめして欲しいものです。


テレビがカバーしにくい「天体ショー」こそネットの独断場か

2019年12月26日の午後2時過ぎから、普段は全国の天気を伝え続けているウェザーニューズのYou Tubeチャンネルはライブの特別番組に切り替わりました。というのも、この日は日本で部分日食が見られる日で、さらにアジアの一部地域では金環日食が見られたのでした。

番組は日本国内の天気を紹介しつつ、国内での日食の画像を伝えようとしましたが、あいにく日本のほとんどの地域で曇りないし雨の天気で、北海道や東北、沖縄など限られた地域でしか部分日食は見られませんでした。

しかし、多くの会員を持つウェザーニューズの番組内では会員が雲の向こうがわでかろうじてその姿を見せている部分日食の様子が紹介されました。こうした事がリアルタイムで行なわれることは重要です。というのも、今回のような基本的に日本国内では見られないながらも、奇跡的に雲の切れ間から太陽が顔をのぞかせることはあるわけで、番組では会員からの写真や気象衛星からの雲の画像を紹介しつつ、番組を室内で見ている人であっても番組内の情報で自分の回りが晴れているのに気付けば、自ら外に出て部分日食の様子を直接見られるような可能性が出てくるわけです。こういうことは、今の日本のテレビではなかなか行なえない事で、今後のネット動画のあり方についての一つの方向性を見せてくれているようです。

番組の方はグアムにカメラを用意していて、たった数分間の金環日食の撮影のために用意したカメラが見事に金環日食の始めから終わりまでを克明に映し出してくれました。私の住んでいるところでは太陽の姿を拝むことはできませんでしたが、大画面のテレビにYou Tubeの動画を映していたので、それなりの迫力で安全に見ることができました。こうしたリアルタイムで天体ショーを生中継してくれるのは本当に有難いことです。

ウェザーニューズでは日食・月食だけでなく、有名な流星群の極大日には結構生中継をやってくれます。この中継も、全国各地にカメラを置いて多元中継を行なうので、全く流れ星が見られないということはなく、スタジオのキャスターの伝える楽しい中継に外で見るよりつい中継の方を見てしまうということも起こり得ます。

このような中継がない時代には、自分で天気を調べて場所を決め、もし到着時に曇っていたとしても一瞬の雲の切れ間を狙うか、さらに移動した方がいいかを自分で決める必要があったのですが、今ではネット中継の様子を見てどこに移動すればいいか判断しやすくなっています。

今後、ネットでの天体ショーの同時中継に期待していることは、一時間に数千個も流れることがあるという「しし座流星群」のリアルタイム観測につながるのではないかということです。しし座流星群は毎年11月というかなり寒い時期に出現するものの、普段は一時間に数個くらいしか流れないのですが、ごくまれにではありますが大出現を見せることがあります。

ちなみに前回の大出現は事前にある程度予測されていて、さらに日本より早く流星が見られるオーストラリアで異常と思えるほどの流星の動画かリアルタイムでウェザーニューズではありませんが配信されてきていたので、深夜から夜明けにかけて出現を確信して待ち、多くの流星を見ることができたのですが、これと同じ事が今後起こるかも知れません。

現代の流星予測の精度は上がっているとは言っても、地域によっては見えない事もあり、果たして日本で見えるのか、見えるとしたらどこへ行けばいいのか、さらに見える時間はいつまでかというような情報を逐一報告してくれるのも天体ショーの同時中継の役割になってくると思います。

ネットでの中継を見ながら暖かい部屋か車の中で待機し、出現し出したら一気に外に出て直に見るということもできますし、本当に大出現があったとしたら時間制限のあるテレビよりも、いくらでも放送延長が可能なネット動画の方が有利です。さらにスマホでどこにいても見られるような形で現在も放送しているので、本当に車で移動しながらいい条件で見られる場所を探すこともできるでしょう。

今回の部分日食は皆既日食や金環食よりはマイナーな天体ショーで、直接的には見られなかったことで世間からの注目は少ないと思われますが、風邪を引かないように自宅からでも動画で事前に確認して出現の確実性が増したところで満を持して外で見るというスタイルをおすすめしたいですね。


結局2019年大河ドラマの「主役」は誰だったのか

ネットではかなりの否定的な意見が飛びかい、視聴率の数字も思うように上がらず、さらに複数の出演俳優の不祥事による急な内容変更など、不運も重なったことが記憶に残ったものになってしまった今回の大河ドラマでしたが、何とか最終回までたどり着きました。ネット上では好評価も見受けられるものの、改めて歴史物とは言っても現代に近い内容を扱うことの難しさを感じてしまった気がします。

基本的には今回のシナリオを書き、役者としても最終回に出演した宮藤官九郎氏の頭の中にあるイメージとストーリーの進め方について、「落語」パートについてついて行けなかったという声も挙がっていますが、通しで視聴させていただき、最後まで主人公がマラソンランナーの金栗四三なのか、1965年の東京オリンピックを招聘した田畑政治なのか、それとも「東京オリンピック」という大会そのものなのかイマイチわかりにくかったという事はあると思います。

前半では何の事やらわからなかった内容について、物語が進むにつれてその伏線を回収した時点で、脚本の妙というものもわかってニヤッとするところはあるものの、やはり語り手として物語を先導する「志ん生」とその弟子「五りん」にスポットを当てることになってしまったことは確かです。宮藤官九郎氏は落語が大好きだと言っているので、こうした構成というのに文句を言っても仕方ないのですが、大河の主題はオリンピックを中心にしたスポーツの歴史です。限られた時間の中であれもこれもということは難しいので、結果的にオリンピックに関係する様々なエピソードを紹介しそびれてしまう部分があったのではないかと考える人がいたとしても仕方ないでしょう。

個人的には、やはりこの大河ドラマは2020年東京オリンピックがあってこそのものだと思うので、日本のスポーツの黎明期から今日までの先人の苦労とその栄光をもっと紹介して欲しかったです。マラソンでは当時日本から出場して金と銅メダルを取った孫基禎・南昇龍選手の扱いは大きくありませんでしたし、ロサンゼルスオリンピック馬術競技金メダルの西竹一選手はその存在すら出てきませんでした。ロサンゼルスオリンピックでは他にも、メダルには届きませんでしたが男子100メートルで決勝に進出した吉岡隆徳選手の最速への挑戦という、現在の日本選手にもつながる話もできたのではなかったとか。

最終回は1964年東京オリンピック開幕からの記録映像とセットで進行していったので、そのハイライトとして続々と出てくると思っていた東京オリンピックの競技の内容についても放送時間を伸ばした割にはバラエティに豊んではいなかったのも残念でした。過去の回で本人役をドラマに登場させ、ある程度の伏線を出していたマラソンの円谷幸吉選手と女子バレーボールの紹介がほとんどで、残りはやはりと思える落語パートに終始していました。通しでドラマを見てきた人にとってはマラソンはともかく、あれだけ中盤で紹介した「水泳日本」の東京オリンピックはどんな結果だったのかについては全く触れられなかったのは成績が低調だったとは言え、メダル至上主義にも程があるとつい思ってしまいました(ちなみに日本水泳チームは銅メダルをリレーで取っています)。

そして、番組スタートから出てきたキーパーソンの一人である嘉納治五郎が世界に広めた武道であり、東京オリンピックで種目採用された柔道についても、ドラマ内の東京オリンピックの中では全く出てこなかったのは何故でしょう? 無差別級で日本の神永選手が金メダルを取れなかったからという単純な事ではないにしろ、出した方が柔道が世界のスポーツとして認知されたという評価もある試合だったので、神永対ヘーシンクの試合ぐらいは嘉納治五郎の志が花開いた一つのエピソードとして出すのに意味があったのではないかと思えます。

そんな中、個人的に評価したいのはいつの世にもオリンピックを利用してお金もうけをしたり、政治的な駆け引きの道具としてオリンピックを使おうとする輩がうごめいているということを、過去の話の中ではあってもしっかり描いてくれたことです。大会が始まって盛り上がればそれでいいということだけではなく、2020年の大会前の今だからこそオリンピックを利用しようとする悪い奴らの存在についても考えて、冷静に次の東京オリンピックの評価を多くの人にしてほしいものだと思います。

(番組データ)

いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~(47)「時間よ止まれ」NHK総合
2019/12/15 20:00 ~ 2019/12/15 21:00 (60分)
【出演】阿部サダヲ,中村勘九郎,綾瀬はるか,松坂桃李,麻生久美子,安藤サクラ,斎藤工,林遣都,三浦貴大,大東駿介,角田晃広,黒田大輔,平原テツ,須藤蓮,川島海荷,吉川愛,森山未來,神木隆之介ほか
【作】宮藤官九郎

(番組内容)

1964年10月10日。念願の東京五輪開会式当日。田畑(阿部サダヲ)は国立競技場のスタンドに一人、感慨無量で立っていた。そこへ足袋を履いた金栗(中村勘九郎)が現れ、聖火リレーへの未練をにじませる。最終走者の坂井(井之脇海)はプレッシャーの大きさに耐え兼ねていた。ゲートが開き、日本のオリンピックの歩みを支えた懐かしい面々が集まってくる。そのころ志ん生(ビートたけし)は高座で「富久」を熱演していたー


録画放送が当り前のゴルフ中継でも不満が出るところ

様々なスポーツが日本でテレビ放送されていますが、ゴルフほど生中継が難しいスポーツも他にないと思います。ラウンドを全員が一緒に行なえないので、中断するにしても各々の選手が違うホールで止まってしまうのでスコア比較をしたとしても必ずしも順位通りのスコアで終わることはないと思いますし、いわゆる「テレビで見せたい選手」のプレーが早く終わってしまった場合、たとえ生放送で中継されている試合だとしてもその内容が録画放送と変わらないということにもなりかねません。

今回のリコーカップ2019は国内の女子プロゴルフツアーの最終戦で、その結果によってその年の賞金女王が決まるということで、前日から注目されていたので、たまたまその時間にテレビを付けてしばらく見ていたものの、ふと何の気なしにスマホで調べものをしようとポータルサイトを開いた時、すでに試合は終了しており賞金女王が誰になったかという結果が見えてしまいました(^^;)。私自身はそこまでゴルフ一筋というような熱烈なファンではないこともあって、早々とテレビ中継からは離脱してしまいました。

ちなみに、日本テレビの直前の番組は「1億人の大質問!?笑ってコラえて!傑作選」という過去の放送の再放送を含めた総集編で、編成の決断があればもう少し早くからゴルフを生中継で流すという選択肢もあったと思います。日本のメジャー大会についてはNHKが生中継を行なうためネットに先に結果がのるということはないのですが、民放のゴルフ生中継というのは海外のメジャートーナメント以外はほとんどなく、あくまでコアなゴルフファン向けの中継になっている現状があります。生の緊張感があればこそ、それまでほとんど試合を見たこともなかったラグビーのワールドカップが盛り上がったということもあったと思うので(過去のバスケットボール世界選手権との違いはそこでしょう)、最終戦の盛り上がりを考えての英断はあっても良かったのではないかと思うのですが。

現在、日本の男子ゴルフはスター不在とスポンサーの撤退により女子と比べると厳しい状況があるという事ですが、今元気のいい女子ゴルフだとは言っても、今回のように途中で結果がわかってしまって興ざめということが続き、さらに有望な選手が拠点を海外に移すことが起きてくればすぐに男子と同じような事が起こるでしょう。さらに女子ゴルフについてはアメリカに行かないであえて日本ツアーに参加する多くの韓国人選手の存在が盛り上がりの一つになっていますが、今後の日本と韓国との関係によってはどうなるかわからないところもあります。そう考えるとまずはエキサイティングな瞬間を何とかテレビで伝えられるように、一応の放送時間は決めていてもその前か後にはサブチャンネルで生放送を行なうとかの方法もあるでしょう。

せめて多くの人が関心がある試合ではどの局に中継が割りふられてもそうした放送を行なうようにするとか、そういう事も考えていかないと、今回の私のように中継放送が録画だとわかったとたん見るのを中断し、別の局に変えてしまう視聴者が増えるでしょうし、その結果が具体的に視聴率という数字で示されたらスポンサーも撤退していくでしょう。そうなると、それでもあえて録画中継を見る人というのはコアなファンだけになりゴルフをテレビで見る人自体が減っていき、プロスポーツとしての存続にも影響が出る可能性もあるのではないでしょうか。そうなれば有望な新人は国内より国外に活動の場を求め、ますますテレビでの中継が難しくなります。

たまたまゴルフからチャンネルを変えた先でやっていたのは民放のBSをまたいで笑福亭鶴瓶さんとTBSアナウンサーの安住紳一郎さんがぶっ通しで中継する一連の「放送局漫遊記」を見てしまったのですが、スポーツ中継でもこうしたリレー中継が実現するようなら人々は地上波よりBSという選択をもっとしていくのではとも思えます。ちょっと話は飛んでしまいましたが、このままではネット動画のLIVE配信がさらに普及すれば、もはやテレビでなくパソコンにモニターを接続した状況で多くのネット動画やネット放送局の番組を見る状況になることも考えられる中、まずは注目の素材を地上波で扱うなら、いかに多くの人が見てくれるように流すかということを考えていただきたいと強く思うのです。

(番組データ)

LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ2019 最終日 日本テレビ
2019/12/01 15:00 ~ 2019/12/01 16:25 (85分)
【解説】 塩谷育代
【ゲスト解説】 服部道子(2020東京五輪女子代表コーチ)
【ラウンド解説】 平瀬真由美 古閑美保
【実況】 中野謙吾

(番組内容)

令和初の賞金女王争いは3人に絞られた。 全英女子OP優勝・スマイルシンデレラ 渋野日向子。 17年賞金女王・今季7勝 鈴木愛。 元世界ランキング1位 シンジエ。 今年の女子ツアーを牽引した3人が、最終戦メジャーで相対する。 鈴木愛=史上7人目の日本人複数回賞金女王なるか。 シンジエ=史上初の日米韓賞金女王なるか。 渋野日向子=史上最年少賞金女王なるか。 歴史的な瞬間が、まもなく訪れる。


NHK「のど自慢」のダメな点と生放送の活かし方

今回の放送では3人の激レアさんを紹介したかなりボリューム満点の構成になっていましたが、今回ピックアップしたいのは2番目にちょこっと出てきた「コウちゃん(ネットでは「養老の星☆幸ちゃん」の表記もあり)」についての話題の中でのことです。

ご存知の通り、NHKのテレビとラジオで日曜のお昼に放送されている「のど自慢」は、日本の国民的な番組で、出演する人だけでなく単に見る人だけでも毎週楽しみにしている方も多いと思います。「コウちゃん」は岐阜県養老町での公開放送に20人中の18番目に出演し、シャ乱Qの「いいわけ」を熱唱したのですが、時間にして30秒あまりで鐘2つの失格となりました。

普通は、どんな個性的なキャラクターが出たとしても話題になるのは放送直後のみでそこまで影響が長続きすることはないのですが、番組によると様々な要因が重なって「のど自慢」の中にとどまらず他局の番組にもオファーがかかり、さらには楽曲を歌っているシャ乱Qとの関係もできるなど人生が一変したとあります。

その話を当時のど自慢の司会だった現在はNHKを退社しフリーアナウンサーになっている宮本隆治さんが話をしていたのですが、たまたま放送日に放送開始前にニュースが入って10分遅れのスタートになり、さらに生放送であったことからコウちゃんの出番になった最後から3番目の18番の出演者をいじる時間がなかった(歌い方に大変な特徴があるので(^^;))ことがその後のブレイクにつながったという考察がされていました。

私自身はのど自慢の本放送は見ていなかったのですが、その放送を見てどうしても「コウちゃん」の素性を知り、フルコーラスでの「いいわけ」が聞きたいという依頼を「探偵ナイトスクープ(朝日放送)」に出したのはしっかり見て、その面白さに大笑いした記憶があります。当時の探偵ナイトスクープでも放送のVTRを見直し、野球で頑張っているということと、会場に来た応援団が「養老の星☆幸ちゃん」という横断幕を掲げていることが画面に映ったことを頼りに本人にたどり着いたわけですが、その後「探偵ナイトスクープ」を見たであろうフジテレビの「めちゃイケ」で取り上げられたことで、本家のNHKでも特別枠での再出演がかなうことになったということで、「ほぼ一分で人生が変わった人」ということでの出演になったのでしょう。

ここで改めて思うのは、NHKのど自慢スタッフの、テレビでもっと注目を浴びてもいい人をことごとく取り上げない「伝統」と言うべきものでしょう。ウィキペディアの「のど自慢」の項目には、のど自慢に出場してからスターとなった歌手の一覧が紹介されていますが、古くは美空ひばりに始まるスターをNHK独自の基準で合格させない(^^;)という仕打ちの歴史が明らかになっています。

逆に言うと、それだけ価値判断に疑問の余地が残るNHKののど自慢であっても、放送局側で編集によるカットができない中でどうしても出てしまうところが注目されてしまう「生放送の特徴」によるものが大きく、今後のテレビを考える上でしっかりと台本があって内容を作り込むものがある中で、その中で何が起こりどんな人が目立つかわからないという生放送での先鋭的な番組作りが増えてもいいのではないかと思えるところがあります。

そういう事について、たまたまその前日の同じテレビ朝日「マツコ有吉のかりそめ天国」の中でテレビの生放送について話していた事について、番組MCのお二人が例として出していたのが番組EXテレビOsaka「低俗の限界」(MC・上岡龍太郎&島田紳助 ゲスト・竹中労(2回目の放送時で前回の放送の抗議がすごかったためこの時は収録放送))でした。お二人の知識とテレビへの考え方について、具体的にすごいと思えたのは、このEXテレビの先鋭的な取り組みをきちんと評価し、まだインターネットも普及していない中でどんなに面白い番組を作ってもそれが作ったそばから消えていく宿命を帯びていた中、きちんと自分たちの先導者としてしっかり仕事をしていた人たちを評価しているという姿勢が見えたからです。

ちなみに「低俗の限界」という番組は、テレビでどこまで低俗的なものが許されるかという事を真面目に論議しているものの、MCおよびゲストが座っている頭をまたぐような形で一糸まとわぬ状態で股を開いた若い女性が座っているというものでした。生放送なのでちょっとでも出演者やカメラの位置がずれれば放送事故になってしまう中、よくこの企画を立ち上げ、さらに出演者もよくこの番組に出たものだと思いますが、現代はどうでしょう。

テレビ局の働き方改革が言われる中、テレビの現場に関わる業務を軽減するためには生放送を増やすことで少なくとも収録は時間内で終わるわけで、その中で面白い番組を作り、さらにはハプニングが起きたとしてもそこから新たな面白さを見出したり、新しいスターを発掘するのもテレビに関わる人の使命ではないかと思うのですが、来年にはそんな先鋭的な志を持った番組の出現を期待したいですね。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。テレビ朝日
2019/11/30 21:54 ~ 2019/11/30 23:10 (76分)
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】高橋克実、広瀬アリス ※50音順

(番組内容)

『ママチャリで娘を幼稚園に毎日送り迎えしていたら驚くほど脚力がつき、史上最年長の50歳でプロ競輪選手になっちゃった人』ほか今夜は豪華3本立て!
豪華3本立て激レアさん…
◆ママチャリで娘を幼稚園に毎日送り迎えしていたら驚くほど脚力がつき、史上最年長の50歳でプロ競輪選手になっちゃった人
◆『のど自慢』で、衝撃的なシャ乱Qの『いいわけ』を披露したら、人生が180度変わっちゃった人
◆宝くじが2億円当せんしたものの、それを誰にも言わずひたすら食べることだけで5年で使い切った人