NHK「のど自慢」のダメな点と生放送の活かし方

今回の放送では3人の激レアさんを紹介したかなりボリューム満点の構成になっていましたが、今回ピックアップしたいのは2番目にちょこっと出てきた「コウちゃん(ネットでは「養老の星☆幸ちゃん」の表記もあり)」についての話題の中でのことです。

ご存知の通り、NHKのテレビとラジオで日曜のお昼に放送されている「のど自慢」は、日本の国民的な番組で、出演する人だけでなく単に見る人だけでも毎週楽しみにしている方も多いと思います。「コウちゃん」は岐阜県養老町での公開放送に20人中の18番目に出演し、シャ乱Qの「いいわけ」を熱唱したのですが、時間にして30秒あまりで鐘2つの失格となりました。

普通は、どんな個性的なキャラクターが出たとしても話題になるのは放送直後のみでそこまで影響が長続きすることはないのですが、番組によると様々な要因が重なって「のど自慢」の中にとどまらず他局の番組にもオファーがかかり、さらには楽曲を歌っているシャ乱Qとの関係もできるなど人生が一変したとあります。

その話を当時のど自慢の司会だった現在はNHKを退社しフリーアナウンサーになっている宮本隆治さんが話をしていたのですが、たまたま放送日に放送開始前にニュースが入って10分遅れのスタートになり、さらに生放送であったことからコウちゃんの出番になった最後から3番目の18番の出演者をいじる時間がなかった(歌い方に大変な特徴があるので(^^;))ことがその後のブレイクにつながったという考察がされていました。

私自身はのど自慢の本放送は見ていなかったのですが、その放送を見てどうしても「コウちゃん」の素性を知り、フルコーラスでの「いいわけ」が聞きたいという依頼を「探偵ナイトスクープ(朝日放送)」に出したのはしっかり見て、その面白さに大笑いした記憶があります。当時の探偵ナイトスクープでも放送のVTRを見直し、野球で頑張っているということと、会場に来た応援団が「養老の星☆幸ちゃん」という横断幕を掲げていることが画面に映ったことを頼りに本人にたどり着いたわけですが、その後「探偵ナイトスクープ」を見たであろうフジテレビの「めちゃイケ」で取り上げられたことで、本家のNHKでも特別枠での再出演がかなうことになったということで、「ほぼ一分で人生が変わった人」ということでの出演になったのでしょう。

ここで改めて思うのは、NHKのど自慢スタッフの、テレビでもっと注目を浴びてもいい人をことごとく取り上げない「伝統」と言うべきものでしょう。ウィキペディアの「のど自慢」の項目には、のど自慢に出場してからスターとなった歌手の一覧が紹介されていますが、古くは美空ひばりに始まるスターをNHK独自の基準で合格させない(^^;)という仕打ちの歴史が明らかになっています。

逆に言うと、それだけ価値判断に疑問の余地が残るNHKののど自慢であっても、放送局側で編集によるカットができない中でどうしても出てしまうところが注目されてしまう「生放送の特徴」によるものが大きく、今後のテレビを考える上でしっかりと台本があって内容を作り込むものがある中で、その中で何が起こりどんな人が目立つかわからないという生放送での先鋭的な番組作りが増えてもいいのではないかと思えるところがあります。

そういう事について、たまたまその前日の同じテレビ朝日「マツコ有吉のかりそめ天国」の中でテレビの生放送について話していた事について、番組MCのお二人が例として出していたのが番組EXテレビOsaka「低俗の限界」(MC・上岡龍太郎&島田紳助 ゲスト・竹中労(2回目の放送時で前回の放送の抗議がすごかったためこの時は収録放送))でした。お二人の知識とテレビへの考え方について、具体的にすごいと思えたのは、このEXテレビの先鋭的な取り組みをきちんと評価し、まだインターネットも普及していない中でどんなに面白い番組を作ってもそれが作ったそばから消えていく宿命を帯びていた中、きちんと自分たちの先導者としてしっかり仕事をしていた人たちを評価しているという姿勢が見えたからです。

ちなみに「低俗の限界」という番組は、テレビでどこまで低俗的なものが許されるかという事を真面目に論議しているものの、MCおよびゲストが座っている頭をまたぐような形で一糸まとわぬ状態で股を開いた若い女性が座っているというものでした。生放送なのでちょっとでも出演者やカメラの位置がずれれば放送事故になってしまう中、よくこの企画を立ち上げ、さらに出演者もよくこの番組に出たものだと思いますが、現代はどうでしょう。

テレビ局の働き方改革が言われる中、テレビの現場に関わる業務を軽減するためには生放送を増やすことで少なくとも収録は時間内で終わるわけで、その中で面白い番組を作り、さらにはハプニングが起きたとしてもそこから新たな面白さを見出したり、新しいスターを発掘するのもテレビに関わる人の使命ではないかと思うのですが、来年にはそんな先鋭的な志を持った番組の出現を期待したいですね。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。テレビ朝日
2019/11/30 21:54 ~ 2019/11/30 23:10 (76分)
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】高橋克実、広瀬アリス ※50音順

(番組内容)

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