今回紹介する2019年11月3日に放送された「ナニコレ珍百景」において、個人的な感想ではありますが、珍百景でも何でもないと思った投稿が珍百景として認定されました。この番組は過去にも書きましたが、街の中で埋もれた生活の面白さをあぶり出すものとして、極めて学術的であるという風に思っていたのですが、それもきちんとしたものを放送しないと、極めて悪質で不確かな情報の無責任な発信にもつながりかねません。ここでは、なぜ私が「珍百景でも何でもない」と思ったのかということをしっかりと説明させていただこうかと思います。
まず、番組を見ていない人のために、何の投稿について書いているかということを明らかにするため、テレビ朝日の放送内容の個別紹介のページから、今回話題にしたい一件についての説明を紹介します(一部、デリケートな部分についてはこちらの判断で伏せ字にしています)
(引用ここから)
■入りづらいセクシーなパン屋さん(埼玉県さいたま市北区)
★珍百景登録★
投稿:T.R.さん
ピンク色の外観に「○○」「△△」(注・この部分だけでも店舗を特定する材料になり有るので伏せ字化させていただきました)などセクシーなことばが書かれた、店頭販売のみの高級食パン専門店「○○○○○」(注・この部分には実際の店舗名が書かれていました)。
販売しているのはプレーンな食パン「△△」と、1日限定20個のレーズン食パン「□□」の2種類。(注・同様に商品名についても伏せ字にしました)
少しでもお店に興味を持ってもらえるようにパン屋さんらしくない店構えにしたそう。
(引用ここまで)
この文章を書いている2019年の時点ではいわゆる「高級食パン」がブームであり、テレビ東京系で放送されている「ガイアの夜明け」の2019年5月7日放送分でも「膨らむ!”食パン”戦国時代」と題して、全国で増殖する食パン専門店の裏側を取材していました。そこで出てきたのが、全国で素人でもノウハウを覚えれば開業して人気店になることも夢ではないと、素人も参入する様々な食パン専門店をプロデュースする「ジャパン ベーカリー マーケティング(JBM)」の岸本拓也社長という方です。
この方のプロデュースするお店は奇抜な外装と紙袋の装飾、そして思わず二度見してしまうような店名で人をひきつけ、高級食パンのみを持ち帰り用のみで売るというところで共通しています。私が住んでいる地域にも岸本氏がプロデュースしたお店があり、連日行列ができているそうですが、今回「ナニコレ珍百景」で紹介されたお店も岸本氏がプロデュースしたお店なのでは? と思って調べてみたらまさにそうで、2019年10月にオープンした、番組放送時の氏のプロデュースしたお店としては一番新しいお店ではないか(「ジャパン ベーカリー マーケティング(JBM)」のホームページの一番新しい開店情報としてお店の名前が紹介されていたことから)と思えました。
個人的には停滞した地域経済を活性化するため、こうしたお店が全国でオープンすることに不快感をもらすなんて想いは全くなく、おいしい食パンとしていただけるならいい事だと思っていますが、それはあくまで口コミやSNSでの反響を意図してプロデュースされた仕組みの中での「ヘンな店名」であり、そこがプロデュースする際の肝になっています。その点においては他の岸本氏のプロデュースした全国にあまたあるお店と何ら違うことはなく、なぜこのお店だけがテレビに出て「珍百景に登録」されなければならないのか、理解に苦しみます。
ここで、改めて引用されたネット情報に注目してみると、この情報を番組に投稿したのはT.R.さんという匿名の人物で、果たしてこの人がお店の関係者であるのかないのかは視聴者レベルではわからず、番組内は岸本氏の存在も明らかにしなかったため、テレビ局もグルになってお店の宣伝をしたのではないか? という疑念が生まれたというわけです。
もしこの番組が「ナニコレ珍百景」でなく、かの上岡龍太郎氏が出演していた当時の「探偵ナイトスクープ」だったらどうなっていたでしょうか。上岡氏はきちんとスタッフや担当の探偵に厳しい発言をしたはずです。少なくとも「ナニコレ?」と思ったものについてその理由も紹介するのが「ナニコレ珍百景」という番組の命だと思うのですが、このネタに限ってはそうした調査をした感じは画面から感じることはできず、そこにテレビ局と業者との癒着があったのではないのかなどという、実際にはそうした事が行なわれていなかったとしても、ある種の「疑惑」が生まれてしまうのです。
というか、私自身も今回の事例がテレビで出る中で、岸本氏のプロデュースしたお店ではないかと思ったのは単に「ガイアの夜明け」で見たことがあったからという理由だけで、特別に勉強したわけでも何でもありません。同様にこの事を知っていて今回のVTRを作ったスタッフがいたのか? という事については、テレビ製作を生業にしている人がこうした事実を知らないでいたことはないと考える方が普通だろうと思うのですが、私の考え方がおかしいのでしょうか。
話はポンポン飛んで申し訳ないのですが、こんな時代だからこそ、「探偵ナイトスクープ」の局長にダウンタウンの松本人志さんが就任されるというニュースを聞き、少なくとも、局長に就任後、なあなあの姿勢でいい加減なVTRを作ったスタッフと出演者に対しては、それこそかつての上岡龍太郎局長のように、ビシッとした一言を決めて視聴者に納得させて欲しいと期待します。それが今回のような適当な番組作りをしている人にも響いてくるのではないかと思うからです。
(番組データ)
ナニコレ珍百景 近所の人が風呂に入りにくる家&怪獣が鳴き叫ぶ住宅街SP テレビ朝日
2019/11/03 18:30 ~ 2019/11/03 19:58 (88分)
【MC】名倉潤・堀内健(ネプチューン)
【珍定委員長】原田泰造(ネプチューン)
【進行】森葉子(テレビ朝日アナウンサー)
【珍定ゲスト】ビビる大木・川島海荷
【ナレーター】奥田民義・広居バン
(番組内容)
★長崎・雲仙…130年前から他人が風呂に入りにくる民家
▼名古屋…小さな象が踊るように歩く商店街
▼岐阜・瑞穂…超巨大スーパー
▼神奈川・川崎…夕方になると怪獣が鳴き叫ぶ住宅街
▼さいたま市…ピンクの外装&セクシー看板…入りづらいエッチな○○店に大行列
▼長野・大町…ラブレターを売る自動販売機
▼青森・十和田…個人特定の交通安全看板「中野渡さんスピード落として」の謎
▼名古屋…住宅街の家具店に売値35億円の置物の謎
▼岐阜・美濃加茂…道端に「タバコ」と書かれた謎の石碑【家族じまん珍百景】カワイイ動物&おもしろ家族が大集合
★広島・大竹…散歩中に決まった場所で高速回転する犬
▼三重・津…犬の足に現れるタモリさん?
▼兵庫・明石…お医者さんもビックリ!カエルの顔の動きを忠実にマネする25歳の美人姉vs川島海荷も挑戦
▼三重・松阪…20年前から建物の屋上にずっといる黒ネコ?その正体は?
▼名古屋…木の精?人の顔に見える木を発見