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「気」の世界を無いとするテレビの検証は正しいのか?

かつて、その名も「ガチンコ」というテレビ番組(TBS制作)がありましたが、あまりにあからさまな番組タイトルと違う「ヤラセ」で問題になったという、今となっては笑い話にもならない状況の中でテレビは視聴率を求めてゴールデンのバラエティ番組を作っていた時代もあったのですが、さすがにネットで自由に声を挙げることができるようになったこともあり、節目はさすがに変わっているのではないかと今までは思っていました。

そもそも、この「ガチンコ」という言葉は大相撲やプロレスの中で言われていた言葉で、「真剣勝負」の事を差し、テレビバラエティでは略されて「ガチ」という風にも使われることがあります。元々プロレスは作られたショーではないか? という疑問を持つ人もいたことは事実ですし、最初は週刊ポストだったと思いますが、大相撲の八百長疑惑を報じる際にその反対の行動を取る力士の事を「ガチンコ力士」という風に使っていたのを覚えています。

その後、大相撲では疑惑では済まない形で告発がなされ、多くの力士が処分されたのですが、またぞろ「八百長相撲」をやっているのではないか? というきな臭い話が週刊誌を中心に報じられるようになりました。テレビをずっと見ている立場として面白いと思うのが、いつも「週刊文春」「週刊新潮」のトップで芸能人の不倫についてのスクープが出た時には必ずといっていいほどその週刊誌提供の動画とともに同じスキャンダルを報道するのに、本日のワイドショーは週刊誌でトップ見立しになっていた大相撲の八百長報道について全く触れることなく、相撲に触れても八百長の「八」の字にも踏み込めない始末です。テレビとして大相撲の八百長疑惑に突っ込んでいけないなら、他のもはやどうでもいい個人攻撃をしている様は、テレビの無力さを現しているに過ぎないのではと思う今日このごろですが、今回は別の面から「ガチンコ」にチャレンジしたバラエティーについて報告します。

まず、何よりも素晴しいことは、「本当なのか?」と疑われた上での取材依頼にも関わらず、きちんと取材に応じて館長自らがテレビに出て演武を行なってくれた群馬県太田市の村松気功太田道場の村松館長のご英断です。テレビの裏側がどうなっているかということは見ている側なので私には全てわかるわけではありませんが、明らかに自分達のやっている事に疑いを向けた中での取材であるのに、最後まできちんとその内容を紹介しつつ出演したということは、他の道場や流派と違って信頼に足るべきものがあると思います。

幸いなことにその道場はホームページを持っていて、道場としての告知とともに様々なグッズを売っているのも目に付きます。意地の悪い方はそれが胡散臭く感じるかも知れませんが、何の実体もない「ビットコイン」を売る仲介をして大儲けしている人もいる中で、こうした「気」のためのグッズとしてはそこまで胡散臭くないのではないかと思うのですが、気になる方は以下のリンクからぜひその内容を確認してみて下さい。

http://www.muramatsuqigong.jp/

番組ではこの村松道場にドランクドラゴンの鈴木さんが乗り込み、体に触れないで吹っ飛ぶような体験がしたいということで、とにかく「ヤラセ」なく館長の「気」をあびたのですが、残念ながら全く鈴木さんは反応しませんでした。

恐らく番組MCである有吉さんとマツコさんがいるために番組スタッフも安易に「お約束」である道場のお弟子さんと同じように吹っ飛ぶような演技をせず、MCの二人も取材に応じてくれた館長さんをかばうような苦笑いを浮かべていたのですが、そもそもこうした大きなテーマをテレビで検証するような場合は、専門の番組を作って中国の気功から日本の合気道まで様々なものについて解説しながらやっていかないといけないくらいの複雑な題材であると私には思えます。

番組では実際に演武を行なう前に5分間の「気を送る時間」を設けていましたが、これは催眠術と同じで、いかに相手の精神力を乱すことができるかという事が鍵になっているような気がします。今回の場合は絶対に動かないことを信念とするかのごとく鈴木さんが道場に乗り込んでいるのですから、「気」というものが存在しないという結論になりましたが、実は「気」だけでふっ飛ぶような事はそもそもテレビのバラエティ番組がその瞬間を何回も捉えているのです。

具体的には本当に「ガチ」なドッキリ番組において、本当にターゲットの気が抜けていたり、別の事に意識が集中している中で思わぬ所から仕掛け人が出現するような場合、人によっては決して仕掛け人が体に触れていないのにびっくりしてふっ飛ぶという場面を私たちは年末年始の特番で色々見たのではないでしょうか。

例えば、毎年恒例の日本テレビのドッキリ番組で、ターゲットの自局アナウンサーを待たせておくデスクの中に仕掛け人である上司のアナウンサーを忍ばせて、デスクを壊しながら正面に大声を出しながら登場する場面は、本当にその声と音だけで、ターゲットの新人あるいは入局の浅いアナウンサーは座っていた椅子からころげ落ちるように崩れ去りました。さらに面白いのは、もう一つ後に出てくる仕掛け人です。

いつもはそうしてびっくりさせた後で仕掛け人がアナウンス原稿を読ませるだけなのですが、今年はテレビ朝日の「報道ステーション」を卒業して他局にも出られるようになった古舘伊知郎さんが登場したのです。

若手アナウンサーにとっては古舘アナは実際に目にすることも少ない存在ということで、本当に古舘氏がすぐ目の前にいるということを理解した後でヘナヘナとその場にうずくまってしまったアナウンサーもいたのですが、これこそその人物の持つ「オーラ」や「気」だけで相手にダメージを与えるということの一つの例です。

また、ロケでめったにテレビカメラが入って来ないような所に有名なタレントが出向き、それが本人であるとわかったとたんに一気にその場にしゃがみこんだりその場から無意識に遠のいたりすることがあることも、私たちはテレビバラエティを数多く見る中で出てくるお馴染みの場面であるとわかるでしょう。そうした頭がパニックになってしまった人に、例えば「私は気功の心得がある」とでも言ってその場に立たせた人に気合いとともに空の拳を勢いよく繰り出したら、恐らく演武で見たような触れずに吹っ飛ぶ様をヤラセ無しで見ることができるでしょう。ぜひ自分の事を見て正常でいられなくなるようなファンを持っているタレントさんには試して欲しいものです。

人間の精神世界というものはここまで語ってもなおわけのわからないものなので、ぜひこうした「気」の世界についてヤラセ無しでとことん検証する番組があればいいのにと思います。今回の番組内容について、やっぱりヤラセなんだと思う人も多くいるとは思いますが、個人的には今回の検証を機に、さらに深く掘り下げる別番組が出て来ないかなと期待しています。

(番組データ)

マツコ&有吉 かりそめ天国 テレビ朝日
2018/01/17 23:15 ~ 2018/01/18 00:15 (60分)
【MC】マツコ・デラックス、有吉弘行
【進行】久保田直子(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】ガンバレルーヤ、白鳥久美子(たんぽぽ)、鈴木拓(ドランクドラゴン)、土屋圭市

(番組内容)

◇視聴者からのお耳に入れたい話は…(1)どんなワードを入れればいいかわからない!ネット検索が苦手です(2)甘納豆ブームはいつ来るのでしょうか?(3)回転寿司店のボックス席の上座下座ってどっち?◇欲望!!(1)ステーキ激戦区・六本木で最高のステーキを食べまくる!(2)気功の達人に思いっきり吹き飛ばされたい!(3)ドリフトキング土屋圭市のドライブテクを助手席で体感したい!
視聴者から寄せられた『二人のお耳に入れたい話』や、様々なジャンルの有識者たちから届けられた各業界の幸せニュース、視聴者の皆さんの「こんなことやってみたい、見てみたい!」という“欲望”を叶えるVTRをもとに、マツコ・デラックスと有吉弘行がトークするバラエティ番組!進行は久保田直子アナウンサー。今週は二人からどんな「お言葉」が生まれるのでしょう?お楽しみに!


番組スポンサーは便乗しすぎで逆効果では?

映画「君の名は。」が地上波で放送されるということで、多くの人がご覧になったと思います。ただここでは掟破りの映画の内容には言及せず、映画の途中に入る民放テレビで映画を見る場合にはどうしても我慢しなければならないコマーシャルについて感想を書きたいと思います。

なぜそんなことをするかというと、テレビ朝日では「地上波初」というあおりで相当営業活動をやっていることが想像され、その結果というか、コマーシャルもこの番組だけの「君の名は」便乗バージョンで流れたものがかなりあったので、もしかしたら途中で席を立ったことにより漏れたコマーシャルがあったかも知れませんが、これもテレビ放送の記録だということで、あえてコマーシャルについて以下にそのおおまかな内容とその感想について書きます。

・Z会

同じ絵柄のアニメを映画本編と間髪入れずにやったので、本編がそのまま続いていると錯覚してしまいました。いきなり受験の場面が出て「Z会」という文字が大写しになったので変な感じがしたと思ったら、見ていてすっかり騙されました。

・ソフトバンク

例の家族全員が登場し、人格が全員それぞれ入れ替わってしまうという映画の主人公の設定をなぞっただけのコマーシャルでした。

・indeed

漫才コンビ「千鳥」のノブと斎藤工さんがコンビになっており、大悟さんは楽屋らしきところでその二人の漫才を見ながら映画のセリフをかなりしつこく長い時間叫ぶというコマーシャルでした。これって見ている人をムカつかせるだけで、逆効果ではないのと今回のコマーシャルの中で一番思ったものでした。

・政府広報(Society 5.0)

映画の主演、宮水三葉役の上白石萌音さんを女子高生として主役にした未来の日本の様子をドラマ仕立てでまるっきり映画を連想させる手法の広報ですが、これって多くの人に見られたという点では税金を無駄には使っていないと思います。ただ、そもそも未来の予想は決してその通りになるわけでもないし、政府の考える未来のイメージを形にしてもらうために、単に大手広告会社に高いお金を払っただけではないの? と思えるものでした。まずは日本のどこでも同じよう環境でインターネットの利用が可能になるようにならないと何も始まらないと思います。

どちらにしてもテレビで映画を見るということは、それが民放だったら映画の途中でコマーシャルが入るのは当り前で、どうしても思考を中断され、さらに映画によってはカットされている部分があることは覚悟しなければならないでしょう。特に今回は映画に寄せたコマーシャルがこれだけあったので、コマーシャルの方に気を取られた人もいたかも知れません。テレビで映画を見る場合にはスポンサーのおかげでテレビで見られることに感謝はしつつも、やはりちょっとやり過ぎだったのではないかと正直思ってしまった事は確かです。

改めて思うのが、しっかりと映画の世界に没頭したいのならお金を払って映画館に行くか、DVDやビデオオンデマンドのためのお金を払羽化をしなければダメだということなのですね。改めて民放のテレビ放送は無料で楽しむ場合には一定の制約があるということを考えさせ、もしかしたらビデオオンデマンドサービスへの加入のきっかけを与えてしまったところもあったのではないかと心配するところもあります。

(番組データ)

映画「君の名は。」[字] テレビ朝日
1/3 (水) 21:00 ~ 23:07 (127分)
立花瀧:神木隆之介 宮水三葉:上白石萌音 奥寺ミキ:長澤まさみ 宮水一葉:市原悦子 勅使河原克彦:成田凌 名取早耶香:悠木碧 藤井司:島崎信長 高木真太:石川界人 宮水四葉:谷花音 ほか
【監督】新海誠
【作画監督】安藤雅司
【キャラクターデザイン】田中将賀
【音楽】RADWIMPS

(番組内容)

山奥の町で憂鬱な日々を送る女子高校生・三葉(上白石萌音)は、夢の中で東京の男子高校生になり、念願の都会生活を満喫!その不思議な夢は度々繰り返されるように…。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧(神木隆之介)も、田舎町に住む女子高校生になるという奇妙な夢を見ることが多くなっていた。やがて、夢の中で入れ替わっていることに気づいた2人は、メモを通して交流を始めるが、ある日を境に入れ替わりが途切れてしまい…!?


時代は「サバイバル」を欲しているか

☆例年テレビ朝日の恒例になりつつある「無人島0円生活」ですが、今年は何といっても火曜日の報道ステーション終わりのバラエティ枠としてゴールデンに昇格した「中居正広のミになる図書館」の代わりの新番組「陸海空 地球征服するなんて」の中の「部族アース」のテレ朝社員のナスDこと友寄隆英氏をメインにしたコーナーが大ブレークしたことで、今回のよゐこさんを含めたタレントの存在感が全て食われてしまった印象があります。

そもそもは無人島0円生活という企画をスタートさせるにあたり、タレントに危険がないのかシミュレーションする必要があり(番組以外にもお仕事のあるタレントに無茶をさせて怪我をさせたら責任問題になるので)、担当の友寄隆英氏が無人島生活でカメラが回っていない中で無人島生活し、モリを使って素潜りで漁をすることもよゐこの濱口優さんと一緒に行ないつつ、ぎりぎりのところで臨場感が出るロケをサポートする裏方であり前面に出てくることはありませんでした。

その後、タレントにU字工事を起用してアマゾンに潜入するロケではタレントのU字工事さんと分かれて多くの部族を取材しようと潜入いしていく中で、本来は入れ墨用に使う果実の液を顔を含む体にすり込んでしまい(現地の人に騙されたという事ですが、今のブレイクを考えると、もしかしたら確信犯かとも疑ってしまいます)現地の人も驚くぐらい人間離れした黒い人になってしまった友寄氏は「ナスD(ディレクター)」と番組内で呼ばれることで人気が爆発しました。テレビ朝日の社員ということで広くは有名にはなりませんでしたが、個人的には十分2017年に印象に残った方の一人だと思っています。

今回改めて黒の染料が落ちた友寄氏の無人島での生活を見ましたが、中味を確かめもせず飲んだり食べたりする行動は相変わらずでしたが、2泊3日の生活を行なう中でよゐこさんが自分達に何が求められているかを感じた上で、まずは魚獲り優先で寝床は持って行ったブルーシートで簡易的に作っただけなのに対し、友寄氏はかなり本格的な住居を建てるための下草刈りから始めました。

何しろ、持って行くものに制限を設けたものの中で、ナタ・ノコギリ・麻紐・乾いた竹(火付け用)のような工具を優先し、よゐこさんのように調味料などは全く持っていかないのもすごいと思いましたが、竹や流木を利用して、さらに極力自然のものを使おうとせっかく持って来た麻紐を使わずにツルを利用して木材を苦戦しながら固定し、アマゾンの部族が作るような床がありベッドもある屋根付きの(屋根は草を束ねて使用)家を自作してしまったのには驚きました。

実は友寄氏の2泊3日の生活は最初の一日を紹介したのみで対決も勝ちになってしまったため、残りの2日間は年明けに改めて放送することになったので、無人島から帰る時に自然に還すためにまた壊したのかどうかはわかりませんが、少なくとも壊すのが惜しくなるほどの出来ばえでした。

私自身、一人でこんな家を作る人を見たこともありませんし、私自身が小学生の頃に無中になって読んだ「冒険手帳」の中でしか見たことがない気もしました(写真の本は後日古本屋さんで見付けたオリジナルの「冒険手帳」です)。

この本の中には山や海での狩りの仕方や調理の仕方、食べられる昆虫など当時もネタとしか思えないサバイバル術が載っていたのですが、今回の無人島での友寄氏のウンチクを伴った家作りや漁について考えてみると、この「冒険手帳」の面白さとの共通性を感じるのです。この本の初版は昭和47年と今から45年前のものですが、すでにこの頃からこんな本が必要だと思われるほど、当時の子供たちには冒険心が欠けていると言われていたのだろうと思います。
今の世の中は、スマホを一日手離すだけでも生きていけないような人が多い中で、ライターも使わずに木の摩擦で火を起こしたり、生活に必要な道具を全て作ってしまうという友寄氏のバイタリティは、単に面白いというだけでなく自分達ができないことでも簡単にやれてしまう憧れでもあるような気がします。

今年はまだそうした友寄氏の片鱗は全て出たわけではないと思うので、今後テレビ朝日の社員という立場でどのくらいテレビに出るのかはわかりませんが、こうなったら1ヶ月単位でのサバイバル生活を追う様子を追いかけるような事をやれば、さらに見る人は増えるのではないかと思います。

最後に、途中友寄氏はテレビ朝日のコンプライアンス部門から生き物を生で食べることについてクレームが付いたと言いつつ食べていましたが、今回の番組では無人島で承諾を得ているといっても一つだけ見過ごせない事がありました。それが、調理をする際に火を起こすかまどを作る時に、直に薪を置いて火を起こしていた事です。昔の飯盒炊爨では川原に番組のような石をかためてかまどを作ってごはんを炊いてカレーを作って食べたりしたものですが、今ではキャンプOKなところでも直火で焚き火をすることは、片付けをしないで帰ってしまう人がいることで問題になり、多くのキャンプ場では芝生養生のためでもあるので直火が禁止されている所がほんんどになっています。

今では焚き火台を利用して地面に焚き火の跡が残らないように片付けて帰ることが当り前になっていると思うので、今回のような野外調理の様子をテレビのゴールデンで流してしまうと、テレビと同じことをやろうと思って実行した人が、テレビに映らない片付けの様子までは真似ずに焚き火の後をそのままにして帰ったり、ゴミを残して帰ってしまうなどするケースも出てくるかも知れず、それこそコンプライアンス的にはまずいのではないかと思います。そういう観点からすると、遊びに行って家を建てても、帰りにはきちんと壊して自然のままの状態に戻すかどうかという興味もあるので、来年の友寄氏の無人島生活の続きを紹介する番組も見てその点も確かめたいなと思っています。

(番組データ)

よゐこの無人島0円生活2017 元祖無人島芸人・よゐこvs破天荒のナスD テレビ朝日
2017/12/29 18:30 ~ 2017/12/29 23:10 (280分)
よゐこ ナスD(テレビ朝日ディレクター)

(番組内容)

よゐこと破天荒のナスDが、真冬の無人島で2泊3日生活。「どちらが無人島で生き残れるか」スペシャリストと審査員の判定で決定します。奇跡のハプニング続々…。

風に吹かれ、雨に濡れる無人島生活も15年目。よゐこ濱口が“最近ナスDは調子に乗っている”と、対戦相手に指名した宿命の対決!よゐこと10年以上一緒に番組をやってきたナスD。たった1人で挑むナスDだが、限界までやってやると上陸から衝撃行動に…。よゐこはスタートからハプニング、上陸から大混乱へ…。いったいどうなる真冬の無人島対決。


テレビは「枕詞」でイメージを植え付ける事もある

この文章を書いている2017年の年末は大相撲界が大荒れに荒れており、番組開始からずっと大相撲の話題になることは致し方ないと思うのですが、今回はその話題には全く関係ないネタです。漫才師の「ウーマンラッシュアワー」がフジテレビの「THE MANZAI」で披露した北朝鮮・原発・災害復興・沖縄基地問題・その他政治問題について全面的に展開した漫才について、番組内コーナーの「そもそも総研」で取り上げていました。

テレビ朝日の玉川徹さんがウーマンラッシュアワーの村本大輔さんにインタビューを取り、話題になっているその漫才の内容を新宿ルミネで披露されているテレビで披露したものと同じネタのVTRを流しながら、「THE MANZAI」を見ていない人にもわかるような形で解説していたのです。個人的にはこのコーナーを通して見て、「そもそも」他局ネタをわざわざ取り上げてまで、「反権力」的なものとして村本さんに斬り込む、極めてテレビ的な意図というものを感じてしまったのです。

私自身は「THE MANZAI」をリアルタイムで視聴しなかったので書くタイミングを逸していたのですが、当日の放送の様子がネットから消される前にネット経由で一通り見ることができ、その後の報道などから大体のあらましは理解した上でこの特集を見たのですが、これだけ話題になった背景にはやはりテレビで全国放送されたことで多くの人がこの漫才を見ることができたということがあったと思います。

このネタ自体、ウーマンラッシュアワーはテレビに関係なく全国を営業で回る中で、それこそ沖縄・熊本のような漫才のネタにしている地域でも何回もやっていたものです。テレビというのはある意味自主規制が求められるメディアなので、いわゆる普通のネタ見せ番組では出演したこと自体全てがカットされてしまう恐れを感じていたのでしょう。録画番組とは言え、有力な漫才コンビを大挙して出演させ、漫才ブームを作り出した歴史がある「THE MANZAI」という番組ならフジテレビも露骨に排除しないだろうという計算もあって、満を持してそのネタを掛けたことが大いなる反響を巻き起こしたわけです。

テレビ朝日が放送後そこそこの時間が経ったにも関わらず、後追いでこんな特集まで組んで紹介する背景として、単にネタの内容が面白かったというのではなく、ウーマンラッシュアワーがあくまで「反権力」をベースにしたネタをやっているから取り上げたと思うのですが、同時に放送された村本さんのインタビューに対しての受け応えを見る中で、私は村本さんの地元が福井でその土地に根ざした「土着」の面白さというものは感じたものの、どうしても「反権力の旗手」という形に印象付けたいとする番組の擦り寄り方には辟易してしまわざるを得ませんでした。

というのも、過去にRCサクセションのアルバム「カバーズ」が当時のレコード会社であった東芝EMIから発売中止になった時の騒動を思い出してしまったからです。時期的には東日本大震災よりはるか前のチェルノブイリ原発事故を受け、海外の有名曲のカバー集を作る中でその歌詞を相当に「意訳」した出したのが「カバーズ」というアルバムでした。発売前にしきりに有線放送やラジオで流れたのがエルビス・プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」のカバーで、「核」や「放射能」という直接的な言葉を散りばめて、ロックミュージシャンらしく音楽で自分の自由な叫びを表現しているのが印象に残っています。また、アルバムの中の「サマータイム・ブルース」ではコーラスに村本さんと同じ福井県出身で現在はあの秋元康さんの妻である高井麻巳子さんがコーラスで参加していたりして、さらにこの曲では直接的な歌詞を散りばめ(「原発はいらねえ」など)、レコード会社の親会社である原発製造もしている東芝にとっては我慢できない内容だったのでしょう。

結局、「このアルバムは素晴しすぎで発売できません」というコピーとともに東芝は「カバーズ」を発売中止にし、RCサクセションは「カバーズ」をレコード会社を移籍して出すことになりました。さらにこの騒動には続きがあって、RCサクセションとは別に、忌野清志郎という個人が主導する「タイマーズ」という覆面バンドを作り、思い切り左翼チックな風貌で反政府・反大企業・反原発という内容の曲を発表、さらに各地のライブにゲリラ出演するなどして大きな話題となりました。さらにはテレビの生放送(フジテレビの「夜のヒットスタジオ」)に出演して歌うことになった時、当時ラジオで自分達の曲を放送禁止にしたFM東京に対しての文句をそのまま歌詞にして一曲披露しました。その時の司会は古舘伊知郎さんでしたが、当時のスタッフも含めあえてその演奏を止めなかったことで、今も私たちはその時の様子をネット動画で見ることができます。

タイマーズが出てきた時にも一部のマスコミや左翼系の反原発活動を行なっている団体などが彼らに擦り寄るような動きを見せ「反原発ロック」などと言う枕詞を付けて紹介していた事はよく覚えています。しかし決してタイマーズのメンバーは反原発のために歌っていたのではなく、自分の好きな事を好きなように歌わせてくれない社会に対してのその場の怒りを表現したに過ぎないのです。そうしたロック歌手の気まぐれを、自分達の運動や政治活動に利用しようとする体制側でない社会の中に別の権力があるのだということを、私に気付かせてくれたという点では彼らに感謝しています。

その上であえて今述べておきたいことは、ウーマンラッシュアワーの村本さんがこうした左翼系の誘いに乗って政治家になって世の中を変えたいと思うならそれでも別にいいと思うのですが、本人にその気がないのに一介の漫才師を「反権力の権化」として祭り上げようとする勢力がいるとしたら、そういう姑息な事をやる前に自分達の力で国民に支持されるような活動をして民衆の支持を得たらどうかということです。少なくとも自分たちでできないことを人にやってもらって、その上で文句を言うような事だけは今後言わないでいただきたいと思います。

テレビというのは、人々を扇動しようと思えば何回も何回も同じ事を放送しているだけで人の心を変えられてしまう影響力を持っています。その事を肝に銘じて、テレビを見る側も安易にそうした思惑に乗らないで一歩下がってテレビを見ることも大切なのではないかと思います。

(番組データ)

羽鳥慎一モーニングショー テレビ朝日
12/28 (木) 8:00 ~ 9:55 (115分)
【司会】 羽鳥慎一
【アシスタント】 宇賀なつみ(テレビ朝日アナウンサー)
【コメンテーター】 高木美保(タレント)、玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)

(番組内容)

羽鳥慎一が毎日の様々なニュースを、自分なりの言葉で伝えます。暮らしをよりよくする情報はもちろん、固いこと、難しいことも、何が問題なのか、分かりやすく紹介します。


地方局発の人気バラエティが一極集中を防ぐ

テレビ放送がネットで常時同時放送されるという話も出る中、全国にある地方テレビ局はどのように生き残っていくのか? という問題の一つの答えが、北海道のHTBが全国展開した「水曜どうでしょう」を始めとするTEAM NACSのメンバーを全面に押し出し、各北海道内の民放が独自番組を自前で作るというものです。

そうした全国区になる地方発の人気バラエティ番組が生まれるというのは、少し前なら考えもできなかったことで、当時は夕方の情報番組こそ地方各局が独自に作っていたものの、バラエティ番組を地方局が制作する場合、普通は東京で活躍する全国的にも認知度のあるタレントを呼んできて局の女性アナウンサーと組ませて地元の旅番組をするくらいがせいぜいだったのが、当時は全く東京へ進出するようなことも考えられなかった若手の舞台俳優を深夜番組の主役に抜擢し、出演者やスタッフも楽しんでいるような番組を作ったことで、それが他の地方にも受けたのです。

その番組を全国のテレビ局に買ってもらったり、さらに北海道で放送している内容とかなりずれて放送されている地域に向けて、かなり早いうちから有料のネット配信を行ない、その売上げは上々だったということです。さらに遅れて来た番組ファンのために、過去の番組をそのままDVDにしたものを、通常の流通で扱わず、コンビニ経由で事前予約をしてから売り出したりして、かなりの確実な儲けを出したのではないかと推測します。

少なくともこうした番組を地元民が見ているうちは、いくら東京の放送局がネットで見られることになったとしても、安易に視聴者はネットに流れないでしょう。改めて時代の変化の中、地域性ということだけでなく、東京の放送局とは違うアプローチで人気番組を作ることが地方局生き残りのためには大切ではないかと思います。

しかし、地方の他局が北海道の手法をそのまま真似ることはできませんし、番組を制作しても見て面白い番組でなければ意味がありません。ご当地だけで笑えるネタのみでは他の地域に番組を売ることはできません。そんな中、静岡朝日テレビ制作の「ピエール瀧のしょんないTV」も「水曜どうでしょう」までは行かないものの、今では全国のテレビで多少見られるようになるほど注目を集めています。ネット局は後追いになるため、リアルタイムに見られるのは静岡県のみというローカルな話題だということもあるので、まずは番組のメインである「ピエール瀧」さんとは一体何者か? というところから説明していきたいと思います。

今ではNHKの朝ドラやビートたけしさんの映画などでも主要な役で出演するなど、面白いだけでなくシリアスな芝居もできる役者というイメージが付いているピエール瀧さんですが、元々はメジャーデビューして様々な音楽番組にも出演している「電気グルーヴ」の結成当時からのメンバーとして、そのステージパフォーマンスには定評がありました。今では星野源さんや朝ドラで瀧さんと共演もしていた浜野謙太さんなど、ミュージシャンであり俳優という方がかなり活躍しているという事があるのですが、ピエール瀧さんの場合はそうした方とは決定的に違う部分があります。

というのも静岡県内で過ごした高校時代から付き合いがあり、一緒にバンド活動を行なっていた石野卓球さんがそれまでやっていた地元の友人を中心に集まったインディーズバンドの活動を止めて新たに「電気グルーヴ」を作る時に、唯一誘ったのが当時楽器ができなかった瀧さんであったのだそうです。電気グルーヴの音は基本的にコンピューターソフトによる打ち込み(自動演奏)であることもあり、とにかくステージではじけることのできるパワーを持った瀧さんに白羽の矢を立てたのでしょう。

電気グルーヴはあれよあれよという間に人気が出てメジャーデビューにこぎつけ、さらにその面白さをライブを見たことのない多くの人達に知らしめたのが、石野卓球さんとピエール瀧さんが二人でパーソナリティを務めたニッポン放送のオールナイトニッポンに起用されたことでした。当初はユーミンの後の土曜の2部だったものの当時のとんねるずから引き継ぐ形で火曜1部に昇格し、今でもその面白さについて語られる事も多くなっています。

ですから、ピエール瀧さんの面白さというのは、学生時代からのセンスももちろんあるとは思いますが、電気グルーヴとしてのライブやラジオでの喋りを通して鍛えられた一代限りの叩き上げの芸と言えないこともありません。さらに、彼らの活動が全国的に面白いと評価されたことについて、いわゆるお笑いの本場ということでもない単なる田舎の学校生活や友達同士のバカ話をラジオで喋っていても、受けるものは受けるのだという想いをラジオで人気があった頃から私は持っていました。つまり、日本全国どこで生まれて育ったとしても面白い人は面白いですし、そういう人材を地域で育てることができれば、静岡だろうと北海道だろうと全国区へ出しても十分通用するものが作れるのではないかということです。

しばらくは東京を中心にして電気グルーヴとして活動していたピエール瀧さんでしたが、オールナイトニッポン終了後には私的にはその動向は音楽番組での演奏くらいでしかその活動を確認できなかったのですが、唐突にオールナイトニッポンの時に構成をしていた静岡時代の仲間である椎名基樹さんをスタッフに加えて2010年10月から放送が開始されたのが「ピエール瀧のしょんないTV」だったというわけです。

オールナイトニッポンは収録でなく生でやられていましたし、ライブ自体は生ですので、そうした状況で鍛えられていることもあり、特にピエール瀧さんには共演者いじりのうまさを感じることが多いのですが、この番組を支えてきたもう一つの個性が静岡朝日テレビアナウンサーの広瀬麻知子さんです。

当時彼女は入社したての新人アナウンサーで、テレビ局としては同期入社で後に東京へ仕事の場を移した(セント・フォース)牧野結美アナウンサーとどちらをピエール瀧さんと番組をやるアシスタントとして起用するか二択の中、局側が広瀬さんを選んだというのが彼女らの人生の転機になったような感じが今ではします。彼女は千葉県の出身で静岡県とは何のつながりもありませんが、きっちりその場を仕切るような感じではなく、収録中もぼーっとしていて瀧さんにつっこまれるほどおっとりしている部分と、いざ何かをやらされるような状況になっても本気で取り組むような明るさと真面目さが同居していて、静岡県人的なパーソナリティを持っているのでは? と思える不思議なアナウンサーです。そんな広瀬さんはピエール瀧さんにとっては扱いやすく、番組のマスコット的な存在として二人のコンビがうまく回転していく中、番組自体の人気も出てきたように思います。

そうして「しょんないTV」が地方の放送局に売れて各地て見られるようになる中、広瀬アナウンサーは地元の期待を背負って単身でテレビ朝日の「アメトーーク!」に出演したこともありましたが、やはりというかその魅力をアメトーーク!の中では発揮することはできませんでした。あくまでピエール瀧さんと一緒に番組をやる中で欠くことのできない存在であるということ認識を新たにされることで、彼女自身もその後身の丈をわきまえて努力をし、番組自体がマンネリに陥ることにもならずにここまで続いてきています。

番組の内容はたまには静岡県外へ出ることもありますが、ほとんどが静岡県内でロケをして地元の人たちとからむという、あまり全国的な基準で見ても情報的には得られないのではないかとも思うのですが、ピエール瀧さん自体が全国区で顔が売れているということと、いいコンビの広瀬アナやゲスト、ロケ先で出会った人をいじって笑いを導くことがうまいということと、まだ知名度はないものの面白い出演者を選ぶスタッフの力もあるのではないかと思います。思い出したように出てくる元・電気グルーヴメンバーの砂原良徳さんや、元々は地元が静岡県ということで出場していたピン芸人のハリウッドザコシショウも何回か出場しているうちにすっかりその魅力が引き出され、今では準レギュラー扱いになるなど恐らく番組のファンなら彼がR-1グランプリで優勝する前からその面白さに気付いていたと思われます。

今回は年末特番ということでこの一年の放送を紹介しながら振り返るという内容なので、あえてこの内容に感想を語ることもないのですが(^^;)、番組が始まってから丸7年というのですからよく続いていると思いますし、今後ピエール瀧さんがテレビで露出度を増やせば、さらに面白い展開も出てくるように思います。番組の公式ページによると、静岡県を除く全国の14局でも見ることができているようです。元々全国進出の戦略を練って作られた番組ではないと思うので、「水曜どうでしょう」のように爆発的な人気になることはないとは思いますが、単に地元愛にあふれた一人よがりの番組ではなく、出演者やスタッフが面白がりながらやっている番組として、見る機会がありましたらとりあえず最後まで見ていただきたい番組であると思っています。

今回はあえて私の住む静岡県での事例を紹介させていただきましたが、全国の他の地方のテレビ局も、もっと地元の面白い人や、地元から巣立って全国で活躍している人を呼び戻す形で東京にはない新たな番組作りに挑戦していただきたいと思います。特に地方からテレビを見ていると、どうしても地方民にとってはわからない東京周辺の範囲の狭いネタで盛り上がっているだけのバラエティを購入して放送している地方局もあるので(実際行こうと思っても放送している地方によってはそのお店に簡単には行けませんし、放送時期がずれているとテレビに出ていた特典が終了していることもしょっちゅうです)、それならその空いた時間に自社制作の番組をぶつけてもっとテレビ局が主導して地元を盛り上げるような事があってもいいのではないかと思うのです。特に東京に行くのがなかなか難しいような地域の場合は、多くのチャンスに恵れていると思うのですが。

(番組データ)

ピエール瀧のしょんないTV 年末1時間SP今年のしょんない瞬間一挙大公開スペシャル 静岡朝日テレビ
12/22 (金) 0:20 ~ 1:15 (55分)
【出演】ピエール瀧、広瀬麻知子(あさひテレビアナウンサー)

(番組内容)

しょんないことに真実がある!「くだらないけどどこか許せる」「取るに足らないけど、どこか愛嬌があって憎めない」そんな“愛すべきくだらなさ”『しょんない』を追求する番組です。

なんだかんだ色々あった、この1年間を総ざらい!今年も大胆に「ピエール瀧のしょんないTV」1時間スペシャルを放送しちゃいます。気になる「瞬間最高占拠率ランキング」や「瀧さんの○○映像」、「広瀬アナの2017年」などなど、貴重な映像を一挙大公開!! 果たして、あなたが選ぶ”しょんない名場面”はノミネートされているのか…さぁ皆さん、これを見て、ゆる~く年の瀬を迎えちゃおう!


今年は「ブリリアン」が地獄を見た‥‥

2017年にはこの番組の後に黒柳徹子さんの自伝ドラマ「トットちゃん」が放送されている中、テレビ創成期から今までのテレビに関わっているテレビ界の伝説とも言えない事もない黒柳徹子さんの存在は誰もかなわないところがあります。そんな黒柳さんの司会をする「徹子の部屋」に、まだ自分たちの足元もおぼつかないと思われる、その年にブレイクした芸人を迎えて、その「芸」を披露するという触れ込みで紹介し話を聞くのが毎年のパターンなのですが、そこは芸人にとっては大変な試練の場としても多くの人から認識されるようになってきました。これは同じテレビ朝日系の深夜番組「アメトーーク!」によって黒柳徹子さんが「芸人殺し」だという禁断の事実を公表したことにはじまります。

元々、黒柳さんは自分のタレントとしての才能だけではなく、新たなお笑いの才能を見付け出すことにおいてもその才能を発揮してきました。有名な話として、タモリさんがまだ全くの素人だった頃、ジャズピアニストの山下洋輔さんのツアー先の打ち上げで面白芸を披露し、そのままメンバーと一緒に上京して山下さんの行き付けのバーでその芸を披露していたのを漫画家の赤塚不二夫さんが面白がり、自分の出る予定のテレビ番組にいきなり出してその宴会芸をさせたことがあったのだそうです。放送されたそのテレビを見ていた黒柳さんがすぐに関係者に電話で連絡を取ったという話があり、ある意味タモリさんの芸をテレビで見て一番早く評価した人間として一部では認知されているということもあります。

そんな過去があるからだと思うのですが、その年に売れた芸人を自分の番組に呼んでネタをしてもらうのですが、とにかくお笑いに関する勘が鋭いので、多少のノリで面白いことをやってもまるで笑わず、それまで受けたネタを一通りやり尽くした芸人たちに向かって、改めて「面白い事をやって」とお願いするという、地獄のネタ披露が番組内で毎年繰り広げられる状況が続いています。

そうした状況をネタにしたのが先に挙げた「アメトーーク!」で、小島よしおさんが徹子の部屋の収録をする直前に、どうすれば地獄から逃れられるかという風な相談からシミュレーションが繰り広げられたのです。そのシミュレーションの中で、小島よしおさんが、黒柳徹子さんがどのゲストに話を聞くために作った(恐らくスタッフが事前に調べた内容なのではないかと個人的には思います)メモがぞんざいにテーブルの上に何枚も広げられているので、自然な感じでテーブルの上の飲み物をこぼしてしまい、インタビューのためのメモを台無しにすれば黒柳さんはメモがないと番組は進行できないだろうからネタの無茶振りもなくなるのではないかと考えたものの、実際の出演時にはメモを台無しにはできませんでした(^^;)。

しかし、誰かがその後干されることを覚悟して黒柳さんのメモを破ったり食べてしまったりしたらどうなるのか? という期待は大変無責任な発言とはわかっていてもテレビを見ている側としてはそこでアタフタする黒柳さんが見たいという気持ちもあります。

さて、今年の生贄となったのは2017年の1月1日放送の「おもしろ荘」からブレイクした「ブルゾンちえみwithB」でした。そのネタは案外黒柳さんのお気に召したようだということと、意外とブルゾンちえみさんがしっかりとインタビューに答えていたのでそんなに波風も立たずに番組は進んだのですが、さすが芸人殺しと陰口を叩かれる黒柳さんだけあって、「withB」としてブルゾンちえみさんとセットで出ている男性二人が「ブリリアン」というお笑いコンビであることを知ると、テレビを見ている人のほとんどがネタをやらせない方がいいと思いながら見ているのに、「ネタをやって見せて」という禁断の一言を口にしてしまったのでした。

私自身はブリリアンが今回披露したネタは「しゃべくり007」(日本テレビ)の中のコーナーでやって思いっ切りすべっているネタと同じだと思いながら見ていましたから、冗談ではなく「ここからが地獄の始まりだ」と思いながら見ていましたが案の上でした。その半面、ブルゾンちえみさんはうまく地獄を免れたとも思えました。毎年の恒例とは言っても、来年ブレイクした芸人さんがまた無茶振りをされて地獄を見ることが既定路線になっている中ではありますが、あえて来年の今頃に地獄を見る芸人は誰なのかを考えながら、まずは年またぎの「おもしろ荘」を見るのもいいのではないでしょうか。

(番組データ)

徹子の部屋 ブルゾンちえみwithB テレビ朝日
12/21 (木) 12:00 ~ 12:30 (30分)
【司会】黒柳徹子
【出演】ブルゾンちえみwithB(ブリリアン)

(番組内容)

今年大ブレイクを果たしたブルゾンちえみwithBが満を持して登場!黒柳さんはブルゾンさんの独特なメイクに視線が釘付け。そして、ブルゾンさんの脇を固めるネクタイ姿の男性“ブリリアン”のダイキさんとコージさんにも興味津々の様子…。今日は、お茶の間の大反響を呼んだ「キャリアウーマン」のネタはもちろんのこと、特別に用意したという“黒柳徹子”のネタも披露する!


「ナニコレ珍百景」は単に面白いバラエティでなく「教養番組」でもある

唐突な話ですが、この文章を読んでいる方の中で「トマソン」という言葉の意味(語源は人名ですがここで語る内容は違うもの)をご存知の方はいらっしゃるでしょうか。この言葉は、ちくま文庫で「超芸術トマソン」という題名で1980年代に赤瀬川原平氏の雑誌「写真時代」で連載された時の内容がまとまっているので、手に取った方もいるかと思います。

恐らく同時代を生きていた人でなければ、よほどサブカルチャーに詳しい人でなければ知らないと思いますが、この「トマソン」とは、折しもビートルズのジョン・レノンが暗殺された日のスポーツ紙に事件と同時に掲載されたことのある、日本のプロ野球の中でも当時から球界の盟主と言われた読売巨人軍にロサンゼルス・ドジャースから現役大リーガーがやって来ると大いに期待されたゲーリー・トマソン(Gary Thomasson)氏の事です。トマソン氏はメジャーリーグでのキャリアが11シーズンあり、当時の年齢は30才と日本のプロ野球での活躍が大いに期待できる偉大な経歴を引っさげて読売巨人軍の門を叩いたのです。

その年の読売巨人軍は王貞治さんが引退した後だったので、その代わりとなる活躍をも期待されて読売が大金を払って日本に呼んだのですが、81年の来日一年目のシーズンには年間132の三振を喫し、「舶来扇風機」とテレビ中継でも揶揄されたメジャーリーグから日本プロ野球への移籍の失敗例として記憶されている方も少しはいるかと思います。ただ、三振数としては日本記録を持つのはシーズン204も三振した93年の近鉄(当時)・ブライアントで、数としてはそこまで多くありません。来日初年度のトマソンの他の打撃成績としては打率.261、ホームランは20本とそこまで悪くないとデータだけを見れば思います(120試合出場)。

しかし、当時のテレビのイメージを固定させる威力というのはものすごいもので、多くの人のイメージではトマソンが豪快に三振して「トマソン三振!」と連呼するアナウンサーの声を覚えている方も少なくないでしょう。これは、当時のプロ野球のテレビ中継は読売巨人軍の試合を全試合、NHKを含む民放が持ち回りでゴールデンタイムに中継していたので、特に鳴り物入りでやってきたメジャーリーガーのトマソンがより注目されることになり、多くの人の目が集中したところに肝心な所で全くタイミングの合わない三振を操り返す姿を試合だけでなくスボーツニュースでも多くの人が見ていたことにより、「トマソン=役立たず」という意識が多くの日本人の中に宿ってしまったというところが実際のところあったのです。そう考えると当時のテレビとプロ野球の甘い関係がなければ、今でも「トマソン」という言葉が独り歩きしていることもなかったわけで、改めてテレビで取り上げられることの多かった人気球団を選んでしまったトマソン氏が可哀想だと思わざるを得ません。

話を「超芸術」の「トマソン」の話に戻しますが、こうした「トマソン」の役立たず感を赤瀬川さんも知っている中で、彼が路上を観察し、面白いものを写真に収めている中で、道路や家が変更や改築を繰り返す中で、まるで芸術のオブジェのように何の役に立っているかわからないものに変化してしまった現象に「トマソン」と赤瀬川さんが命名したのでした。以降、「路上観察学会」なる団体もできたりして、ふと日常生活の中では見逃してしまう町の風景に埋没しているような「変な」ものを見付ける事が流行となりました。そしてこうした超芸術というものは、常に芸術を理解しない人から見れば、早く壊して更地にしたり建て直したりした方がいいと思われる存在として危ういものであることも確かだったのです。

そうした「超芸術トマソン」を許容し楽しむ人たちの中では、別の取り組みで「ヘンなもの」を世に出した方々もいました。この時期に多くの「街のヘンなもの」や「雜誌・新聞の誤植」などを写真に撮って送ると、雑誌に掲載してくれる雑誌「宝島」の中のコーナー「VOW」です。その単行本は今でもブックオフに行けば、そうした街のヘンなものが満載の、雑誌の面白い投稿をまとめた単行本を見付けることができるはずです。

このVOWの単行本に添えられた文章で印象的だったものがあります。こういった「街のヘンなもの」として集められたものこそ教科書に載る歴史とは違いますが、その時代の空気がわかる「物証」になり得ると書かれていて、当時はそんなものかと思いながら見ていたのですが、今でいう「昭和」の遺構というものは現在取り壊されたり撤去されてしまってないものを含め、「VOW」に収められているものの中にも沢山あると思うようになりました。

同じような現在までに残る時代に打ち捨てられた遺物の中には、今になってその作者とともに再評価されつつある「狛犬」や、最近はカードにもプレミアが付くと言われている「マンホールの蓋」のようなものもありますが、これらはテレビ番組に取り上げられる場合はNHKあたりが「教養番組」として取り上げることでそれらしい「文化遺産」だと多くの人が納得するようなところもありますが、そうでない「時代のしょうもない遺構」や「ヘンな人の話」を民放がお笑い系の番組を作る中で紹介したところでなかなかアーカイブされるべき番組だという風には思われないところに、私たちが少し前の時代の「空気」を将来に残す難しさがあると言えます。

レギュラー放送としては終わってしまったものの、番組改編期にスペシャル版として放送されることの多いこの「ナニコレ珍百景」は、「超芸術トマソン」や「VOW」の流れを継承する街のしょうもないものを多くの人が見ているテレビで紹介してくれる、ある意味大変に稀有な番組で、笑いながら見る中でもその内容をかみしめて見ると新たな発見になるかも知れません。今の時代は雑誌や単行本で発信しても多くの人の目に触れるものでもありませんし、VOWは現在ウェブサイトで細々と運営されているものの、昔の事を知っている人以外にはなかなか輪が広がらないというのが正直なところです。それを、テレビのゴールデンタイムで放送してくれるのですから、こうした仕事の意義をテレビ朝日や制作会社が忘れないで続けようと思ってくれている証だと思うので、素直に嬉しいです。

ちなみに、今回の放送で見た「トマソン」らしき物体として人工物が変化して「珍百景」となったものに、とある喫茶店の看板として作られた大きなコアラのオブジェがありました。このオブジェは先代の店主が約250万円を出して作ったのだそうですが、時間の経過とともに世にも奇妙で恐いコアラの姿になってしまっていました。今の店主の方はこのオブジェを撤去する予定はないようですが、そもそも今の店主がお店をたたんだら地域においてはこのコアラのオブジェは存在することができなくなるでしょう。その時点でコアラの「超芸術」としての生命は途切れるということになります。

その時がいつ来るのかはわからないながら、今回の放送で全国的に不気味なコアラのオブジェが流れたことで、物としては残らなくても映像としては残すことができたということも言えるわけです。今までの番組では個人の努力で作ったもの系の珍百景も多くありましたが、すでに番組のアーカイブスを見て訪れてもその場からなくなってしまっている事もかなりあるのではないかと思います。しかし、その時にそこにあり、さらにその珍百景があるところにどんな人がいたのかということを番組を見て思い出すことはできます。

実は珍百景は有料のCSチャンネルの「テレ朝チャンネル」で「激レア 珍百景」として放送されているのですが、やはり見る人が限られるCSと地上波は違うわけですから、今後もスペシャルでの番組は続けて欲しいですし、見ている方々も単に珍百景を見て笑うだけでなく、その周辺に思いをめぐらしたり、近くだったら実際に行ってみて改めてテレビで誇張された部分を感じてみるのも研究みたいで面白くなると思います。

(番組データ)

ナニコレ珍百景 2時間スペシャル テレビ朝日
12/6 (水) 19:00 ~ 20:54
【MC】名倉潤・堀内健(ネプチューン)
【珍定委員長】原田泰造(ネプチューン)
【進行】森葉子(テレビ朝日アナウンサー)
【珍定ゲスト】石坂浩二、岡江久美子、サンドウィッチマン(伊達みきお・富澤たけし)、高橋みなみ
【ロケ出演】杉村太蔵(珍百景党は岐阜へ…地獄うどん&怪しすぎる森の通学路)、もえのあずき(青森で巨大すぎるパンにチャレンジ)

(番組内容)

日本全国から驚きの光景が続々!人面崖!?…自然が生んだ奇跡の光景、カワイイ動物、ご当地あるある、超人ご長寿から崖っぷち駐車場、爆笑店主まで衝撃風景の新作一挙公開


「M-1グランプリ」には常に採点の進化を望みたい

私自身、お笑いの専門家ではなく、単にテレビを見て楽しんで、このブログでは単に感想を書いているだけなので、今回の題材である「M-1グランプリ」について何か書けるとしたらあくまで自分の好みの芸人さんの話とかになってしまうのですが、ここでは「お笑い」の話というよりも、その審査について改めて考えてみたいと思いました。

というのも、芸歴15年までという制限を付けて、優勝賞金が1,000万円で、優勝者には相当のテレビ番組出演や営業のオファーが来ると思うので、皆の総意でチャンピオンを決めなければならず、本来そこには「情」というものを入れてはいけないものであると考えます。

例えば、過去に坂本博之さんというボクシング選手がいまして、この方は児童養護施設の出身で努力の結果世界タイトルマッチにまでこぎつけたものの、残念ながら世界チャンピオンになることはできませんでした。世界戦の会場には彼の出た児童養護施設の児童が応援に来ている姿が大写しになる中、心情的にはどうしても彼にチャンピオンになってボクサーとしてのストーリーを完結させて欲しいと思っていたのですが、現実というのはある意味残酷です。勝負の世界というのはメロドラマとは全く異質のもので、結局はKOするか、ポイントで1ポイントでも勝っているかしなければダメなのです。ですから、そんな真剣勝負の場で審判の買収や不可解な判定があれば大きな問題になります。

私自身は「M-1グランプリ」という場は1,000万円の賞金を出した時点で、決して後から疑われるような判定を出してはならず、参加者が不正を働いてもいけないと思っています。今回の審査がダメだからということでは決してないことをまずはお断わりさせていただきます。その上でテレビを見ている側としては、常に公平なジャッジをしているという部分に揺らぎが出ることのないよう、大きな問題が今後も出ないように続けていって欲しいと思います。

私が「M-1グランプリ」を見るのは実は前々回からとかなり後になって見出したのですが、前々回は敗者復活で最後に出た「トレンディエンジェル」が優勝しました。彼らは敗者復活からの勝ち上がりの勢いのまま、最後にネタをやった評価が高く優勝までつっ走ったという印象でしたが、この時に思ったのは演技順によってかなり審査員や観客の印象が変わっているなと思いました。

これは採点競技全てに言われることですが、最初は点が出過ぎないようにセーブされ、一番最後の演技者はその後に出る人はいないので見たままの印象でそのまま採点されるという有利さがあります。トレンディエンジェルについては、そうした勢いをうまく利用したということになるわけですが、そもそも敗者復活から本選に出られるなんてことはその時には想像もしない中でほんの少しの可能性に賭けていたわけですし、単に敗者復活者はずるいとまでは思わないものの、冷静に見てやはり誰が来ても敗者復活から出場する方が有利だということになれば、そうした文句が出ないように審査方法も変えていく必要が出てきます。

今回の審査方法も、すでに順番を決めて待機するのではなく、その場でくじを引くまで誰がどの順番で出るかわからない方法にしていたというのは評価でき、これで一番バッターになってしまったら、それはそれで仕方ないと諦められる範囲の事だと思えました。人気者になるには運も必要だとは確か萩本欽一さんの言葉だと思いますが、もし今回優勝した「とろサーモン」さんが一番バッターだったら違った展開だったかも知れませんし、結果として「とろサーモン」さんには実力だけでなく「運」もあったという風にも言えると思います。

審査員は前回の5人から7人に戻り、一人の点数が100点満点で合計700点満点で審査されましたが、この「満点方式」についても今後は一考の余地はあるのではないかと思います。これについても先例があります。オリンピックにおける体操競技は以前は満点を10点としてそこから減点をしていく方式でした。そのため、それまでの判定基準を超えるようなとんでもない才能を持ったルーマニアのコマネチ選手が出てきた時には、その演技評価を10点にせざるを得ず、その後のロサンゼルスオリンピックでは10点満点が連発されてしまいました。

そうした事を考えた上で体操競技は今の審査方法になったのですが、このように、満点という制限の中で全てを決めるよりも、「演技者の勢い」のようなものは審査点の中でも別に分けた加点方式にするとか、逆に言葉が早すぎたり聞こえづらかったりして何を言っているかわからないとか、明らかにミスがあったというような場合の減点基準をはっきりさせたほうが更に多くの人が納得する審査になるかと思うのですが。もちろん、審査員個人の「好き嫌い」で決めてもいいのですが、審査員も出場者も同じ舞台やテレビでご一緒されることもあると思いますので、できるだけ客観的な部分も入れた評価で点数を出したほうが個人的には納得できます。もちろん、ここまで私が書いた事よりももっと公平さを演出できるような審査方法があればどんどん採用すべきですし、そうして常に審査方法や審査員を変えながら出演者にM-1グランプリ対策をさせないというのも大事だと思います。

それから、M-1グランプリを一日でスターを作る番組として考えた場合、いつもテレビで見ているコンビが多く出てくるので、その分プロでないアマチュアが残るという下克上がなかなか見られないというのは残念です。この点についてはこれまでの主張と比べるとかなり甘いと言われるかも知れませんが、テレビ東京の大食い決定戦のように新人戦を開催し、そこで優勝したコンビに本戦参加についての何らかの優遇策(一部予選を免除したシードのようなこと)を考えるというのもさらに競争を促して面白くなるような気がします。

駆け出しでもみっちり漫才の基本を仕込まれたプロのルーキーコンビと、単なる娯楽のために組んだ社会人や学生のコンビとの差は果たしてどのくらいあるのかとか気になりますし、何よりテレビを見ていて面白いのは「ジャイアント・キリング」がガチ勝負で実現することでもあるのです。サッカーの天皇杯で市立船橋高校がプロチームや大学チームを倒し、当時日本トップの実力があったと思われる横浜マリノスとの対戦でも2点のビハインドから追い付き、延長戦まで戦い抜いてPK戦までもつれこんだことでマリノスを敗戦の危機にまで追い込んだ事は今でも強烈に覚えています。

もし新人戦経由で本戦に出場したアマチュアコンビがグランプリを取ったら、その盛り上がりはどうなってしまうのか考えただけでもワクワクします。あくまでアマチュアやルーキーを優遇せず、これまで通り最初から実力で這い上がれなければダメだというなら、あえて提案したいのがコンビの名前だけで騒がれて有利になることの無いよう、敗者復活戦も含めて完全な無観客漫才にするという方法です。お客さんがいない中で漫才をするというのは劇場で漫才をしてきたコンビにとってはとてもできないと思われるかも知れませんが、それでこそ過去の名声やイメージを廃して評価することができるとも考えられます。少なくとも人気があったり知名度があるから有利にはなりないような配慮もしていただいた方が、今よりもずっとエンターテイメント系競技という感じで楽しめるものになると思うのですが。

(番組データ)

M-1グランプリ2017 テレビ朝日
12/3 (日) 18:57 ~22:10
【司会】今田耕司、上戸彩
【審査員】 オール巨人、上沼恵美子、春風亭小朝、中川家・礼二、博多大吉、松本人志、渡辺正行 ※50音順
【出場者】 かまいたち、カミナリ、さや香、ジャルジャル、とろサーモン、マヂカルラブリー、ミキ、ゆにばーす、和牛 ※50音順【敗者復活枠】スーパーマラドーナ

(番組内容)

4094組を勝ち抜いた最強の10組が最後の決戦へ!出番順はその都度、抽選で決められる新ルールも導入され、展開は予測不能!M-1第13代王者誕生の瞬間を目撃せよ!
【出番順】 ファーストラウンドの出番順は、その都度「笑神籤(えみくじ)」と呼ばれるクジを引き、呼ばれたコンビがそのままネタを披露するという新ルールを導入!手に汗握る予測不能の展開となるでしょう!!
【大会ルール】 ファーストラウンドは審査員1人につき100点、700点満点で採点。上位3組が最終決戦に進出し、再びネタを披露。審査員7人が最もおもしろかった組に1票を投じ、最多票が優勝となる。


会見の主に「本日の怒られたさん」が何をどう伝えたかを記録する

今回このブログで初めて「報道ステーション」に関しての感想を書こうと思ったのは、本日の夕方にたまたま生中継の元横綱日馬富士関と伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)が多くの記者を集めて行なわれた引退会見の様子を見て、強い違和感を覚えたからです。その時の事については以下のリンクをご参照下さい。

https://tvkansou.net/201711291355ytv

というわけで、番組が始まってメインキャスターの富川悠太アナウンサーは何と言うのか、涙目になって何も言わないのか、それとも苛立って殺気立っていた親方と弟子について批判すべきところはしっかり批判するのか、注目するところはまさにそこにありました。

番組の最初に富川アナウンサーは会見時に最前列にいたということを話した後にVTRに入りましたが、横綱による被害者への明確な謝罪はないことを報道したものの、テレビ朝日のカメラが富川アナウンサーも映しながら問題の場面に入る直前までの場面を映すも、生中継では流れた富川アナウンサーが怒られたシーンはバッサリカットしてそれでおしまいという大変残念な結果となりました。

テレビ朝日はかつて「大相撲ダイジェスト」という生ではありませんが、その日の幕内の全取組を解説付きで流した番組をやっていたこともあるので、大相撲界と良好な関係を続けていきたいという勢力の方が強かったと言うことができると思いますが、夕方の会見を生で見ていた者として言わせていただければ、何をびびって忖度してんのと思います。散々マスコミの役割だなんぞと言いながら、本日のような歯抜けの放送を良くやれたものだと逆に感心します。

そう考えると、よくこの「報道ステーション」を目の敵のようにしてネットで叩いている人達がいるかと思いますが、今回の報道姿勢を見る限りは、叩く価値がないだけでなく、話題に挙げることすら番組のエネルギーになってしまう可能性があるので、無駄に批判することは相手を利することだと思った方がいいような気がします。

とにかく、一番大切な部分をカットしたVTRの後でいくらもっともらしい事を言っても、あの親方のイライラした状況をそのままVTRでも伝えることができないようなら、報道番組たる看板を降ろすべきではないかと、そのくらい個人的には失望しています。このまま行けば日本相撲協会や力士らの悪い慣習は変わらず、正直者が莫迦を見るようなところに相撲界は陥っていってしまうかも知れません。もし今、自分の子供を大相撲に入れようか悩んでいる方々がいましたら、少なくともこの騒動の評価が出るまではご子息の進路については保留にしておくことを強くおすすめします。

(2017.11.30 追記)

テレビ朝日系の番組としてもう一つの注目は、朝のワイドショーである「モーニングショー」でどのように報道するかということでした。結果は同じくVTRで流すことはありませんでしたが、パネルの中で親方のイライラした言動については一応触れていました。

しかし、これはテレビの世界においてちゃんとした素材があって、その部分を流すことによって誰にも同じようにわかるという点で、流さなければいけなかったVTRだったのではないかという思いは変わりません。何の後ろ盾もない兵庫県会議員の野々村議員のVTRや船場吉兆の会見のVTRはもういいといえるほど繰り返し流すのに、きちっとした後援会の組織があり、中には直接テレビ局に圧力をかけられる可能性がある場合は、あくまで伝聞の形でVTRを流すことができないのだというのが今回の騒動から見えてきたことでもあります。

(番組データ)

報道ステーション テレビ朝日
11/29 (水) 21:54 ~ 23:10
【メインキャスター】富川悠太(テレビ朝日アナウンサー)
【サブキャスター】小川彩佳(テレビ朝日アナウンサー)
【コメンテーター】後藤謙次(ジャーナリスト、共同通信社元編集局長)
【スポーツ】松岡修造、澤登正朗、中山雅史、稲葉篤紀、前田智徳、寺川綾、寺川俊平(テレビ朝日アナウンサー)
【気象情報】喜田勝(気象予報士)、森川夕貴(テレビ朝日アナウンサー)

(番組内容)

横綱・日馬富士が引退届を提出、午後には会見…自らの思いをどう語るのか▽挑発を止める手立ては?北朝鮮が弾道ミサイル発射…どうする?日本とアメリカ


番組は激レアさんが最初に行った歯医者を公表せよ(^^;)

世の中でテレビでエピソードトークをしてもらって面白い人というのは限られていると思うので、どうしても「どこか別のテレビで見た」という人の「かぶり」が発生することがあります。今回の「激レアさんを連れてきた。」で最初に出てきた方も、恐らくTBSの「がっちりマンデー!!」でその事業が紹介されていたのを見た気がしました。こういう時にインターネット検索というのは有難いもので、番組名と内容で検索したらがっちりヒットしました(^^;)。というわけで、最初の方は私にとっては激レアさんではなかったということになります。

ただ、続いて出てきた激レアさんについては初見で、この方は確かに「激レア」さんでした。「消しゴム差し歯」を4年間はめ続けている(へたってきたら新しいものに替えることを繰り返しているそうです)という方で、突っ込みどころ満載でしたが、なぜ4年間も消しゴムを加工した前歯(仮)を付け続けなければならなかったというと、治療のために訪れた歯医者さんで、前歯を一本作るのに30万円かかると言われたので、それは無理だと諦めて消しゴムで代用することになったとのことでした。

普通の社会人ならある程度お金はためてあるのではないか? と思ったのですが、この方は芸人として身を立てようと努力していて、毎月の生活費に7万円を捻出するのが精一杯で、とても30万というお金を用立てることはできなかったということです。

ここで、賢明な方は気付いた方もおられると思いますが、前歯が一本30万円というのには実はカラクリがあるのです。お茶やコーヒーをよく飲む方だとその色が人工の歯では付いてしまうので、そうした汚れが付きにくく落としやすいセラミック製の歯を付けると30万だということで、これには健康保険が効かないため高値になってしまっているのです。

番組では健康保険を使って入れられるプラスチック製の差し歯についてもその価格を調べていて、保険使用の歯なら1万5千円で入れられたとのことです。激レアさんが出掛けた歯医者さんでどんな風に聞いたかはわからないものの、普通の歯医者さんなら、保険使用と不使用の場合の料金を教えてくれ、どちらにするかを患者の意志で決めさせてくれると思うのですが。

もし、そうした保険不使用の金額を提示しないまま高額な治療代がかかるとしかその歯医者さんが言ったとしたら、これはバラエティ番組ではありますが大きな社会的な問題になってくるのではないでしょうか。

というのも、番組内で専門医に差し歯の代わりに消しゴムを使うことについての安全性について尋ねたところ、雑菌が混入する危険やかみ合わせが悪くなるので歯だけでなく姿勢が悪くなるのだそうで、今後腰などにも悪い影響が出る可能性があるということを話していました。

さらに、この激レアさんは前歯だけでなく奥歯も5本ないのだそうで(^^;)、だったら歯医者へ行って保険の適用内で直せよと思うのですが、おそらく前歯一本で30万と言われたら、差し歯と奥歯で6本を直すお金がないと思ったのでしょうね。もし良心的な歯医者さんに当たっていれば、安い費用でとりあえず仮歯を入れてもらう中で治療の計画を立て、差し歯と奥歯を全て保険で直す場合の費用と期間を示し、治療開始時からいつ1万円以上の負担がかかるのかというところまで打ち合わせをしてくれていたはずでしょう。

ロケで激レアさんのお宅に訪れていたのは、朝のワイドショーにも出ていた山本アナウンサーだったので、今回の内容について同じようにどんな人にも保険を使わない場合の治療費しか教えず、高額の治療代でないと診察をしないような歯医者が現実に存在するならその実態をあぶり出して欲しいと最後には思ってしまいました。

最初は消しゴムを差し歯にし続けるエビソードトークを笑って見ていたのですが、さすがに彼女と別れる原因になったりするという、激レアさんにとっては人生を左右するような事態にこの歯医者さんの言葉が影響を及ぼしているというなら、「貧乏人は歯も入れられないのか」ということになってしまいます。もし本当にこんな医者がいるのだとしたら、ぜひ朝のワイドショーの独自取材で明らかにして欲しいと思います。

(番組データ)

激レアさんを連れてきた。 テレビ朝日
11/27 (月) 23:15 ~ 0:15
【研究員】若林正恭(オードリー)
【研究助手】弘中綾香 山本雪乃(テレビ朝日アナウンサー)
【客員研究員】志尊淳

(番組内容)

とんでもなく珍しい体験をした“激レアさん”を研究室に連れ込んで、体験談を聞きまくる!驚きと笑いにリアルに役立つ知識も交えて激レア体験をトコトン研究します!!

本日の激レア研究はこちら・・・

【激レアさん(1)】 派手に漏らしてしまった苦い経験をバネにトイレのタイミングを予知してくれるマシーンを発明した人。

【激レアさん(2)】 差し歯が取れてしまったが貧乏なので自作の“消しゴム差し歯”を発明し、それをハメて4年間粘っている人。