時代は「サバイバル」を欲しているか

☆例年テレビ朝日の恒例になりつつある「無人島0円生活」ですが、今年は何といっても火曜日の報道ステーション終わりのバラエティ枠としてゴールデンに昇格した「中居正広のミになる図書館」の代わりの新番組「陸海空 地球征服するなんて」の中の「部族アース」のテレ朝社員のナスDこと友寄隆英氏をメインにしたコーナーが大ブレークしたことで、今回のよゐこさんを含めたタレントの存在感が全て食われてしまった印象があります。

そもそもは無人島0円生活という企画をスタートさせるにあたり、タレントに危険がないのかシミュレーションする必要があり(番組以外にもお仕事のあるタレントに無茶をさせて怪我をさせたら責任問題になるので)、担当の友寄隆英氏が無人島生活でカメラが回っていない中で無人島生活し、モリを使って素潜りで漁をすることもよゐこの濱口優さんと一緒に行ないつつ、ぎりぎりのところで臨場感が出るロケをサポートする裏方であり前面に出てくることはありませんでした。

その後、タレントにU字工事を起用してアマゾンに潜入するロケではタレントのU字工事さんと分かれて多くの部族を取材しようと潜入いしていく中で、本来は入れ墨用に使う果実の液を顔を含む体にすり込んでしまい(現地の人に騙されたという事ですが、今のブレイクを考えると、もしかしたら確信犯かとも疑ってしまいます)現地の人も驚くぐらい人間離れした黒い人になってしまった友寄氏は「ナスD(ディレクター)」と番組内で呼ばれることで人気が爆発しました。テレビ朝日の社員ということで広くは有名にはなりませんでしたが、個人的には十分2017年に印象に残った方の一人だと思っています。

今回改めて黒の染料が落ちた友寄氏の無人島での生活を見ましたが、中味を確かめもせず飲んだり食べたりする行動は相変わらずでしたが、2泊3日の生活を行なう中でよゐこさんが自分達に何が求められているかを感じた上で、まずは魚獲り優先で寝床は持って行ったブルーシートで簡易的に作っただけなのに対し、友寄氏はかなり本格的な住居を建てるための下草刈りから始めました。

何しろ、持って行くものに制限を設けたものの中で、ナタ・ノコギリ・麻紐・乾いた竹(火付け用)のような工具を優先し、よゐこさんのように調味料などは全く持っていかないのもすごいと思いましたが、竹や流木を利用して、さらに極力自然のものを使おうとせっかく持って来た麻紐を使わずにツルを利用して木材を苦戦しながら固定し、アマゾンの部族が作るような床がありベッドもある屋根付きの(屋根は草を束ねて使用)家を自作してしまったのには驚きました。

実は友寄氏の2泊3日の生活は最初の一日を紹介したのみで対決も勝ちになってしまったため、残りの2日間は年明けに改めて放送することになったので、無人島から帰る時に自然に還すためにまた壊したのかどうかはわかりませんが、少なくとも壊すのが惜しくなるほどの出来ばえでした。

私自身、一人でこんな家を作る人を見たこともありませんし、私自身が小学生の頃に無中になって読んだ「冒険手帳」の中でしか見たことがない気もしました(写真の本は後日古本屋さんで見付けたオリジナルの「冒険手帳」です)。

この本の中には山や海での狩りの仕方や調理の仕方、食べられる昆虫など当時もネタとしか思えないサバイバル術が載っていたのですが、今回の無人島での友寄氏のウンチクを伴った家作りや漁について考えてみると、この「冒険手帳」の面白さとの共通性を感じるのです。この本の初版は昭和47年と今から45年前のものですが、すでにこの頃からこんな本が必要だと思われるほど、当時の子供たちには冒険心が欠けていると言われていたのだろうと思います。
今の世の中は、スマホを一日手離すだけでも生きていけないような人が多い中で、ライターも使わずに木の摩擦で火を起こしたり、生活に必要な道具を全て作ってしまうという友寄氏のバイタリティは、単に面白いというだけでなく自分達ができないことでも簡単にやれてしまう憧れでもあるような気がします。

今年はまだそうした友寄氏の片鱗は全て出たわけではないと思うので、今後テレビ朝日の社員という立場でどのくらいテレビに出るのかはわかりませんが、こうなったら1ヶ月単位でのサバイバル生活を追う様子を追いかけるような事をやれば、さらに見る人は増えるのではないかと思います。

最後に、途中友寄氏はテレビ朝日のコンプライアンス部門から生き物を生で食べることについてクレームが付いたと言いつつ食べていましたが、今回の番組では無人島で承諾を得ているといっても一つだけ見過ごせない事がありました。それが、調理をする際に火を起こすかまどを作る時に、直に薪を置いて火を起こしていた事です。昔の飯盒炊爨では川原に番組のような石をかためてかまどを作ってごはんを炊いてカレーを作って食べたりしたものですが、今ではキャンプOKなところでも直火で焚き火をすることは、片付けをしないで帰ってしまう人がいることで問題になり、多くのキャンプ場では芝生養生のためでもあるので直火が禁止されている所がほんんどになっています。

今では焚き火台を利用して地面に焚き火の跡が残らないように片付けて帰ることが当り前になっていると思うので、今回のような野外調理の様子をテレビのゴールデンで流してしまうと、テレビと同じことをやろうと思って実行した人が、テレビに映らない片付けの様子までは真似ずに焚き火の後をそのままにして帰ったり、ゴミを残して帰ってしまうなどするケースも出てくるかも知れず、それこそコンプライアンス的にはまずいのではないかと思います。そういう観点からすると、遊びに行って家を建てても、帰りにはきちんと壊して自然のままの状態に戻すかどうかという興味もあるので、来年の友寄氏の無人島生活の続きを紹介する番組も見てその点も確かめたいなと思っています。

(番組データ)

よゐこの無人島0円生活2017 元祖無人島芸人・よゐこvs破天荒のナスD テレビ朝日
2017/12/29 18:30 ~ 2017/12/29 23:10 (280分)
よゐこ ナスD(テレビ朝日ディレクター)

(番組内容)

よゐこと破天荒のナスDが、真冬の無人島で2泊3日生活。「どちらが無人島で生き残れるか」スペシャリストと審査員の判定で決定します。奇跡のハプニング続々…。

風に吹かれ、雨に濡れる無人島生活も15年目。よゐこ濱口が“最近ナスDは調子に乗っている”と、対戦相手に指名した宿命の対決!よゐこと10年以上一緒に番組をやってきたナスD。たった1人で挑むナスDだが、限界までやってやると上陸から衝撃行動に…。よゐこはスタートからハプニング、上陸から大混乱へ…。いったいどうなる真冬の無人島対決。


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