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地方で起こる災害で被害報道の「ズレ」が出る問題

2018年6月18日の午前7時58分に大阪を震源とするマグニチュード6.1、最大震度6弱を記録した地震について、通常番組を中断して放送する手法が取られたもののしばらくは大きな被害のないライブカメラの映像が流れたこともあり、報道の最初のうちには震度は大きかったものの大丈夫だったのでは? というような誤解を生みやすい報道になってしまっていたように私には思えました。

というのも、朝8時というのは朝ドラのNHKは除いて全て朝のワイドショーを東京のキー局から放送していたため、最初には被害の状況を把握することすらできないような感じでした。さらに、現地から送られてくるヘリからの映像を見てもその場所はどこなのか司会者やコメンテーターにはわからず、「どこで何が起こっているか」ということが使わらないようなケースもありました。この場合はすぐにでも番組進行の主導権を今回なら大阪の放送局に渡してしばらくは伝えた方がいいように思えたのですが、なかなかそうもいかず、結果NHKから情報を得ようとした人が出るということになってしまいがちです。

しかしながらNHKも東京がイニシアチブを取って発信する状況には変わりないので、現地からの生の情報を得たいと思った場合は、もはやテレビ放送からは難しいのではないかと思えてしまいます。

今回、私自身は早いうちからウェザーニュース社の提供するYouTubeの専用チャンネルから流されている生のストリーミング配信による地震情報を見ていたのですが、こちらの方ではウェザーニュース会員が普段から天気の内容について写真付きで投稿することが当り前になっており、今回の地震の被害について知ったのは主にネットのウェザーニュースからの情報によるところが大きいです。

ネット上での報告というのは単に写真や動画の内容を紹介するだけのものになりがちで、総合的に被害がどうなっているのか知るためには、やはりそうして上がってきたネット上からの情報を瞬時に分析し、紹介したり現地からの報告を届けたりするため、やはりテレビ的な報道が必要です。今回の地震の場合でも早いうちからtwitterなどのSNSを分析し、直接情報発信者と連絡を取り、もし可能ならば電話(もしくはメッセージアプリの電話機能)で生の声を伝えてもらうような体制を取らなければ、日本のテレビ局はウェザーニュースにも劣るメディアと思われかねないようなことも今後には出てくるように思えます。

ネット局の仕組みを利用して早くから地震の被害のあった地方局に進行を進められたらどうなるかというのは、6月18日に大阪よみうりテレビの制作で放送された「情報ライブミヤネ屋」を見た方ならおわかりになると思います。地の利に明かるく、コメントもすぐに出るのはやはり地元に密着した情報発信を常に行なっているからこそで、例えばグルメ関連の取材などで多く訪れていて、テレビ局とお店が密に繋がっている地方局であればいざという時にも現地での生の声を直接伝えることも容易になるでしょう。

ですから、今後のテレビには主導権争いにこだわらず、現地からの報道をストレートに伝えられる局が優先して災害報道を行なった方がいいのではないかと思います。もしくは、アベマTVなどネット配信のニュースを配信しているところが地方局と独自に協定を結び、現地から衛星携帯電話を使ってでも配信できるような形が取れれば、地上波の情報よりも早く正確な情報を伝えられるのはネット放送の方だという認識に変わってくる可能性すら感じます。ですから改めて、災害報道についてはあくまで東京中心という仕組みから自由になり、状況に応じて地方局に任せるような方針を作ることもテレビにとっては大切なものになっていくのではないでしょうか。


テレビの企画に真っ向から対抗するタレントはいないのか

過去の番組の話題を出して恐縮ですが、このブログでは機会さえあればテレビの番組として流されたさまざまな企画について、現場まで見に行くこともあります。今回そうしたアンテナに引っかかったのは、タレントで俳優の石田純一さんが沖縄・那覇の沖映通り沿いにお店を出し、そのお店が1年以内に潰れる可能性が何%か? という苦労してお店を出した方にとっては余計なお世話という企画「芸能人の心配な店」です。

ちなみにこの企画は、日本テレビの「有吉ゼミSP」(2018/05/14 19:00 ~ 2018/05/14 21:00 120分)の中で放送されたもので、収録されたのはそれより物理的に前になるので、少なくとも番組内で指摘されたお店としてのダメな点というものを真摯に改良するつもりがあるなら、私の行った5月末から1~2ヶ月の期間があったということがあります。ここからは実際に私が撮ってきた写真とともに紹介しましょう。

お店は、写真の通りですが「沖映通り」(昔は映画館があったためそう呼ばれています)沿いにあるというテレビからの情報だけを鵜呑みにして通りを歩いていったのですが、那覇のメインストリートの国際通りから入ったためか、結構歩きます。お店は石田さんが大好きな冷麺を出す専門店で、コンサルタントの方は、道を歩いていてもお店がどこにあるかわからないという、おしゃれさにこだわった店作りをしているために風景の中に埋もれてしまっていて、隣のメガネ屋さんの大きな看板に負けないような工夫をしないと一見の観光客は入りづらいし入って来ないだろうという意見を言っていました。すると、5月31日現在下の写真のようになっていました。

恐らく「有吉ゼミSP」を見てなかった人は、この写真のどこに石田純一さんのお店があるかわからないと思います。私もうっかり見落しそうになってしまったのですが、この状況はテレビ放送時(ということはオンエア時よりも前)と全く同じ状況になっているのです。木を張りつめた一角がメガネ屋さんの手前にあると思いますが、六角形が二つ重なったところから地下に向かって入るお店が石田さんのお店です。そして、正面に回ると残念ながらお店は昼休憩に入っている時間のようでクローズしていたため、実際にメニューやお店の内装、冷蔵庫の位置について確認することはできませんでしたが、この外観を見ただけで石田さんの「ある思想」というものを感じないわけにはいきませんでした。

おしゃれな雰囲気のお店であることはこの外観からはわかりますが、お店が休憩中にしてもメニューの内容すら外からはわからない状況に、この店は何の店なのか、ことによると観光客をぼったくるお店ではないかと思う人がいても不思議ではないでしょう。もちろん、テレビで悪い言われ方をしたものの店内やメニューの紹介をしてもらい、現地でお会いした沖縄在住の方も知らなかったこのお店が石田純一さんのプロデュースでオープンしていることを世間に知らしめる効果は私が訪問したことで十分あったことは間違いないと思います。しかし、これだけテレビの多少ふざけた企画とは言え、辛辣にアドバイスしたことを軽く受け流して営業を続けるというのは、さすが芸能人は副業にも余裕があるなとしか感じることができませんでした。

私自身は、このようなディスられるような企画に乗って自分のお店を何とか宣伝してもらおうと考える芸能人やタレントがいても問題はないと思うのですが、番組で見た石田さんはいちいちもっともだというように番組の用意した専門家の意見を聞いているように見えたので、ここまで意固地に自分の意志を通そうとするのがちょっと意外でした。

でしたら、石田さん自体がスタジオで大見得を切るなどして「自分の店なんだから人に指図される筋合いはない」と対決を煽れば、逆に番組の方でその後はどうなっているのかという追加取材が店が続いているうちに来る可能性だってあったでしょう。お店のTwitterを見たら5月末でオープン半年になり、ドリンクサービス終了という寂しいお知らせが残っていました。このままではお店がだめになった後に取材に来るというのがパターンになってしまう可能性もあります。

個人的には今からでも、石田さんにはご自身で番組登場を直訴してでもテレビの企画の目論見どおりにはならないと主張しつつお店を良い方に変えていって欲しいとこれは本心で思っています。このままテレビのバラエティー班および、視聴者の思い通りの結果になってしまっては、大物俳優としてのメンツも立たないでしょうし、ご自身の経営努力でお店を沖映通りの人気店にすることができれば、石田さんはテレビのバラエティー班の鼻を明かすこともできます。

私自身は次にいつ沖縄に出掛けられるかはわかりませんが、次回訪問時にはきちんと営業時間を調べて行って、お店おすすめのメニューがいただければいいなと思っています。


「ディベートバラエティ」をテレビ局が手掛けないのは何故か

見終わってスッキリするドラマや映画の世界とは違って、現実の世界の中にはこちらがこうあって欲しいと思うことでもうまいことまとまることがなくうやむやのまま終わってしまうことがかなりあります。

そうしたフラストレーションをスカッとさせることができる番組に「痛快TVスカッとジャパン」(フジテレビ)がありますが、これは視聴者からの日常の中でのストレスが溜まる対人関係の内容をミニドラマで再現しながらストレス解消へと持って行く作りになっているものの、ミニドラマでストレスの種となるキャラクターが逆に際立ってしまって、その悪役が人気になってしまってくると、なかなか悪いやつをやり込めてスカッとするという方に行かなくなるという番組としての存在の危うさがあるのではないかと個人的には思っています。

そして、できれば収録したVTRでなくスタジオでのやり取りの中でスカッとする方がたとえそれが収録番組であっても放送中にはそれなりのリアリティを持てます。そんな風に考えてぜひテレビのバラエティ番組の中で実行することができないだろうかと思う事があるのですが、今回はそんなスカっとできるかも知れない私の思い描く番組の姿についてちょっと書きたいと思います。

世の中にはイデオロギーの対立があり、そうした事柄に正面からぶつかろうとした番組に「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)があり、更にそこから派生したと思われる「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)という人気番組も生まれました。しかしこの種の番組というのは、どちらの言っていることが正しいのかという討論というよりは、いかに相手より大きな声を出して自分の言いたいことを時間内に言い尽くしたり、相手の発言をいかに妨害するかという事が大切なような感じになり、逆に見ている人の中には「何が話されているのか多くの人が同時に喋るのでわからない」とか、「話を聞きたい人が喋ろうとしたら妨害するように話をかぶせてくるのにムカついた」とか、かえって番組を見てストレスが溜まるということもあるようです。これは、多くの論者がいて話すので時間の制限があるテレビではどっちみちこうなることはわかっているとはいうものの、もう少し見ている人にわかるような形でディベートをするような番組があればなと思うのです。

討論する内容については、あえて政治的なイデオロギーの論争になって本質がわからなくなるようなことがないように、それこそ「痛快TVスカッとジャパン」のような日常の些細な悪人(シチュエーションを十分理解した役者さんにやってもらう)を尋問して最終的に論破すれば成功とするような形にすれば、番組がイデオロギー論争に巻き込まれることはなくなるでしょうし、政府や各種団体からあからさまに抗議を受けることもなくなるでしょうから、あくまで題材については今の政治についての内容は控えた方がいいと思います。

希望する内容というのはあくまで「一対一」でディベートするということです。その際、一定の時間を区切ったりディベートの場所をリングの上にしたりすればバラエティ色も高まるでしょう。何回かに区切ってディベートを行ない、スポーツで言えば審査員役のタレントがそのディベートを判定するようにすれば、時間制限のあるテレビ番組内でもそれなりに面白くまとめられると思います。

例えば、今多くの人がおかしいのではないか? と思っているかも知れない「共謀して何かを隠そうとしている人が口裏を合わせて証言をし、さらにその中で追求されたくない質問をされた場合に『記憶にない』と言う人の嘘をどうやって追求するか?」というような事でも、国会で繰り広げられているやり取りを見てもっともらしく「野党は追求が甘い」と言い放つ人が本当にそうした人物を追いつめられるのか見てみたいです。当然そこまで言う方なら自分の実力を示そうとしてくれるでしょうから、弁護士や元刑事、さらに政治評論家という立場の方がガチですごい人なのかが証明されるわけで、本当に自信のある方なら喜んで出演してくれるだろうと思います(^^)。

こうした番組が軌道に乗れば、番組内で卓越したディベート能力を示した人が国会議員としてスカウトされたり、それこそ橋下徹さんのように首長や政党の代表として最初は単なるテレビに出ている人だったのが世間に大きな影響を与えるような人材を輩出するようなものに化けるかも知れません。ただその際、番組出身の国会議員が国会で何かの疑惑で追求した内容が現在と同じように批判されることがないよう、スターを作リ出すためのヤラセは避けてくれれば、見て楽しいし社会にも役に立つかも知れないバラエティになるのではないかと思うのですが、この考えはかなり甘いのでしょうか(^^;)。


テレビ局が関連するニュース報道について

テレビを含むマスコミは事件について取材をする側でありますが、場合によっては自社の社員が事件を起こすようなケースがあります。今回紹介する状況というのは少し毛色は違いますが、社員の行動が注目を浴びるような事が起こってしまった場合、どのように報道すべきなのか、改めて考えることになってしまいました。

簡単に今回の事についてその内容を紹介すると、まず財務次官がマスコミの女性記者にセクハラと思われる言動を行なっているという週刊誌報道があり、財務次官および財務省がその指摘について真っ向から否定をしたことで、真実はどこにあるのかという話になりました。さらに財務省は、調査のために被害を受けたという女性がいたら名乗り出て欲しいと文書で示し、これは女性の人権をないがしろにする行為ではないか? という疑問も出る中、当事者の財務次官は職を辞す事を決めたものの、事実関係については週刊誌を訴えて裁判で争うことを名言しました。

こうした決着の付け方には当の女性記者が憤りを感じたようで、彼女の属する会社であるテレビ朝日に相談の上で出した結論が、4月18日テレビ朝日の看板番組である「報道ステーション」終了前のタイミングで、この件について午前0時から記者会見を行なうことを告知しました。

私はたまたま報道ステーションを見ていたので、テレビ朝日・BS朝日・AbemaTVという関連の会社を含む媒体で記者会見を生中継すると思っていたのですが、普段重要な記者会見があると通常番組を潰してでも生中継することの多いAbemaTVでも通常通り、先立って放送された「報道ステーション」の再放送を行なっていただけでした。

他のテレビ局ではこの記者会見をニュースの中で報じた局もありまして、個人的にはまたいつものパターンかと思いました。自社の社員が関係する事件報道について、今回のテレビ朝日に限らず、自社の報道ではそこまでは深く掘り下げないのに対し、他のテレビ局ではその失態(社員が起こした事件報道の場合)をあげつらうかのように細かく報道することが多いと思います。ただ今回の場合は加害者ではなくセクハラの被害者という立場で、女性記者の話を聞いて一番知っているのがテレビ朝日なだけに、なぜ自分のテレビ局で生中継しないのか不思議に思いました。

もっとも、世間の一部において反体制的だというようなテレビ朝日ではあるものの、自由に誰でも番組が持ててバラエティに豊んだ内容があるAbemaTV自体「体制にまっこうから反発する」というようなポリシーを持って運用されているわけでもないという事実があります。例えば、幻冬舎の見城徹さんがホストをしている「徹の部屋」という番組が放送されており、その番組には安倍晋三首相が出演して自説を述べたりしているということもあるので、テレビ朝日の関係だから全て反体制的な体質であるということは決して言えないでしょう。むしろ体制側に近い勢力も大勢いるという風に考えるのが普通です。

恐らく、テレビ朝日社内においても、この問題について無視を決め込みたいと思っていた勢力が強かったのですぐに声を挙げられず、女性記者が意を決して会社に訴え、会社が記者会見で発表するに至った段階でも自局および系列局での生中継をしなかったのだと思われます。ただ翌日の「モーニングショー」で詳細に報告しているのは反対勢力の揺り戻しのように感じるものの、やはりこの件で問題になった財務省と財務次官と同じようにすぐに対応できなかったことは多くの事が明らかになった時点で考えると隠さずに早く自社の媒体で報道すべきだったように思います。

一般人がマスコミに対する不信感を抱く理由の一つとして、人を追求するときには強気の取材をするものの、自分の身内で何か起きると、身内をかばったり隠そうとしたりして、そんな態度を見せることがしばしばあることです。これはテレビ朝日に限った話ではなく、他の報道機関でも不祥事や事件の主役に自社がなってしまった時にどのような伝え方をするのかというところに、今後のテレビ報道がまともに見られるようになるかどうかがかかっているように思えるのです。


もはや松坂大輔はBSの目玉でもないのか

2018年4月5日、中日ドラゴンズ対読売ジャイアンツの試合に日米のプロ野球で大活躍したかつての日本のエースピッチャー松坂大輔選手が満を持して登場しました。私はその日のニュースか何かで知ってはいたのですが、夕方にヤフーニュースのトップで松坂選手が投げることのニュースが載っていたので、これはテレビで見なくてはとテレビを付けてどのチャンネルで試合が放送されているか探したのですが、おそらく愛知県周辺の地域以外(静岡県はその地域に入っていません)では地上波・BSともに見られない状況であることがわかりました。

ただ、今年からはネット配信のDAZNが日本のプロ野球中継を充実させてくれることも知っていたので、何とか試合をライブで見られるようになりましたが、何の障害なのだかわかりませんが、動画は見られても音が全く出ないという状況に、見られても嬉しさは半分くらいという感じになってしまっています。

逆に言うと、長時間音が出ない中継をしていても許されるのはネット中継だからこその話なのかも知れません。もし電波を使った放送でこんなことが起これば翌日のトップニュースとして放送事故扱いになってしまったでしょう。有料でネット配信をしているのですから少なくとも契約者にきちんとした放送内容を提供して欲しいですが、そんなひどい中継を見ているからこそ、今の放送における日本のプロ野球のコンテンツの旨味がないということが証明されるということになってしまったように思います。

しかし、松坂大輔選手が高卒のルーキーとして初登板した時には、当時はまだテレビのプロ野球中継はセリーグ重視、ジャイアンツ偏重の形だったのにも関わらず、当時の民放では予定を変更してまでパ・リーグの松坂登板の試合を放送しました。今になって思えば、プロ野球の歴史の中でパ・リーグの試合に焦点を当て、多くのファンを呼ぶきっかけになったのが松坂大輔登板試合のテレビ中継ではなかったでしょうか。ある意味、昨日今日とメジャーでホームランを打って盛り上がっている大谷翔平以上の興奮が当時にはあったような気がします。

個人的にはその時の記憶が今でも思い出され、先日春の甲子園大会が終わったばかりでもありますし、かつての甲子園のヒーローがどのような復活をとげるかということをせめてBSでも放送してあげるべきではなかったかなと普段プロ野球をそこまで見ることのない私でも思うくらいです。

今回私はタイムラグがあるとはいいながらも(しばらくDAZNの音が出なかったので試合を中継しているNHKラジオからの音を掛けているのでよけいそう感じました)、ネット配信で見ているのですが、このまま生中継のスポーツのコンテンツが次々とテレビでは流されずネットだけでしか見られなくなるということになると、スポーツを見る人たちもより細かなジャンルのものや今回の松坂大輔選手の復活登板というストーリーを期待している人がテレビでスポーツを見なくなる可能性も出てきてしまうように思います。

それでいて、日本のプロ野球選手で構成された日本代表チームの出るコンテンツなら単なる親善試合でも優先して放送するというのは何だろうなあと思います。昨シーズン終了前にも一部のクライマックスシリーズを見るためにはDAZNに加入するしかなかった地域があったことも気にかかります。こうした細かなことが一つ一つ積み上がっていくことによって、プロ野球ファンの中には「もうDAZNで見るからいいや」というような流れになって本当にテレビ関係者はいいと思っているのでしょうか。


オリンピックの結果報道で、事前取材を誇られても

多くの競技が開催されているオリンピックの報道において、日本代表からメダリストが出た時には多くの時間を割いて報道したいと思うのは人情であるということに個人的に否定はしないのですが、今回に限ったことではないものの、アスリートの事を報じているような形で、自らの取材能力をひけらかすようなスポーツニュースでの報道がここのところ目に付くので指摘させていただきます。

といっても、朝や昼のワイドショーで大型パネルを使ってそのメダリストの人となりを徹底的に解明するというようなものは、普段のワイドショーとやっていることは変わらないのでそこまで鼻に付いたりはしないのですが、夕方のニュースだったり夜の競技終了後のニュースについては多くの種目で出場している日本選手の結果や(メダリストでなくても活躍して入賞した選手の露出が少ないような気もします)、日本人選手が出ていなくても素晴しいパフォーマンスがあったりあっというドラマがあった種目について紹介してくれるものだと思っていたのですが、なかなかそんな風にはならず、いかに過去からメダリストに取材して肉薄したかという過去に遡って注目していたのだということをひけらかすような過去の取材の様子を延々と流すVTRをオリンピック開催中にわざわざ見せなくてもいいのではないかと思ってしまいます。

どんなに美味しいものであってもそれがいつでも同じようにメインの皿に盛られていると食欲を無くす場合があります。それと同じように、あまりに日本人メダリストへの取材VTRを流し続けるのは、テレビから視聴者を離すきっかけにもなりかねないと思うのですが。

この文章はまだオリンピック開催中に書いているので、個人的に紹介したい前半のハイライトとして実にやるせないと思ったのが日本選手が出場していないリュージュ男子の一人乗りの決勝で、過去3回滑ってトップだった絶対王者、ドイツのフェリックス・ロッホ選手がバンクーバー・ソチに続いての三連覇を賭けた最後の四回目の競技において、最終滑走者のロッホ選手が最後の最後にミスをしてしまい逆転を許し、四位とメダルにも届かなかったことでコーチ役の父親と抱き合って慰めあっていた光景は、ロッホ選手には本当に気の毒ではありますが、これぞオリンピックだという事を感じさせる名場面だと思いました。ちなみにオリンピックだけが全部で4回滑って勝者を決めるものの、世界選手権では4回滑らないということをアナウンサーや解説の方がおっしゃっていたので、今回の四回目でミスをして金メダルどころかメダルも逃すというのはオリンピックであるがゆえの悲劇であるということになります。私などはこの光景を生中継で目にし、まさにソチオリンピックの高梨沙羅さんの事を思い出しました。ロッホ選手にはぜひ次の北京オリンピックでこの借りを返して欲しいと思っています。

このような、事前に盤石の優勝候補だとされている人でも簡単には勝てないのがオリンピックであるものの、本日競技が行なわれた、こちらも日本選手が出場していない男子のスノーボードクロスなどは単なる実力ではなく結果が出るところもある競技なのですが、フランスのピエール・ボルティエ選手がソチに続いて連覇したのは実力とともに相当の運があるということも十分に感じることができます。そのような四年に一度行なわれる大会の様々なドラマを今取材し、今すぐ報道するというところにもスポーツニュースというプログラムの中ではこだわっていただきたいと強く思うのです。

メダリストの苦労や過去の映象はオリンピック終了後の特番の中で本人を呼んで作る番組の中で生かすべき性質のものであり、そんな事をやっているから毎日の熱戦の様子をNHKのオリンピックサイトで見る羽目になるということもあるので、これからはその点だけでもネットの方がいいやと思うようになっていかないか心配になるところもあります。それでなくてもオリンピック開催中はメダリスト出演時間が読めないので普通のニュースとオリンピックのニュースの境目がなくなるところがあるので、きっちりと当日の競技をまんべんなく伝えるようにしてほしいと強く思います。このままの状態が東京オリンピックで繰り返されるとしたら、世界から日本にやってくる観光客にとってもいい思いはしないでしょう。


「おしどり夫婦」と「代理母出産」

芸能ジャーナリズムというものの存在意義を問われている現象が2018年になって起こってきています。音楽家の小室哲哉さんが脳梗塞で介護の必要な奥さんのKEIKOさんとの関係がありながら看護師の女性との不倫疑惑を週刊文春により報道されたことによっていや気が差したのか、表舞台からの引退を表明しました。

これは、自分のプライバシーを公にすることで多くのチャンスと利益を得てきた小室氏にとってはご自身の生き方を見付め直すいい機会になったのではないかと思います。一部の方々は週刊文春の報道に怒り心頭に達していますが、文春がやらなかったら他の週刊誌やテレビバラエティに売り込みがあるような事なので、個人的にはどこがやったかということは関係ないのではないかと私は思っています。

ここで、改めて芸能人・アーティスト・俳優・タレントなど、自らの存在を公に晒すことで生活の糧を得ている人(事務所含む)と、そのプライベートを報道する芸能ジャーナリズムとの関係を見ていくと、どちらも金銭的な利益を目標に置いている所は同じでも立場の違いから対立することになる構図が伺えます。

取材を受ける側というのは、自分が出演した映画・コンサート(アルバム)・テレビ番組などを広く日本全国の人に知ってもらいたいという目的で自ら記者会見を開くことがあります。そこでタレントは仮に自分のプライベートが記事になったとして、その事により新たにスポンサーが付いたり、自分の出た媒体がヒットして次の機会を得ることになることを望みますが、逆にスポンサーが撤退したり、今まで見ようと思っていた人が止めるような動機付けになるような情報が流れるとまずいので、都合の悪いプライベートの情報をしつこく聞くような事をする芸能ジャーナリズムにはいい顔はしないでしょう。

ただ、昔の芸能記者の中には狡猾に取材者の本音を小出しにさせるために条件を付けるようなやり方をする人もいました。全て宣伝だらけのコメントなど、記事にしたところで誰も買わないし読まないので、ある程度タレントにとって都合の悪い内容を載せる代わりにさりげなく新しい仕事の内容を紹介するとか、さらに不都合な事をその後深掘りされないように、逃げ道を教えて炎上しすぎないようにある程度の火消しも同時にはかるとか、こうした丁々発止のやり取りの中で芸能スクープが生まれていた時代もありました。

しかし、今の時代はそうしたお約束とは無縁に、事務所の力がある所に所属している人には何も起きないものの、事務所の力がない人には徹底的に報じてフォローもしないという場合もあるかも知れませんので、今後ワイドショーのニュースの主役として出るには覚悟が必要になるでしょう。

そんな中、ちょっと気になったのがフリーアナウンサーの女性と映画評論家の夫との間で、「代理母出産」をして子供ができたことがニュースになったことです。今のところおおむね好意的な報道で、さらにスポーツ新聞での写真には子供を抱いた母親と父親が並んで写っている会見の模様が出ています。

インタビューでは母親が、将来その子に自分がロシア人の代理母から生まれた事を言う事も考えていると述べたとされていますが、ネットでは様々な意見が出ているようです。日本ではできない代理出産というのはお金もかかりますし、うまく行かない場合もあるでしょう。さらに、なまじ芸能ジャーナリズムから取材を受け、テレビのバラエティ番組にも「おしどり夫婦」として出演する機会もあるだけに、こうした「妊活」および子供を授かるという事もネタされることで、さらにテレビから声がかかる場面も増えるという戦略が全くないとは言えないでしょう。

それは逆に、できるだけ自分の子供に健やかに育って欲しいという点においては難しい面も出てくるところもあると思います。もちろん、様々なシミュレーションを重ねた上でのロシア行きだったのでしょうし、少子化社会と言われる中で40代でお子さんを産んで育てるというのは素晴らしいことです。しかし、これだけのネット社会の中、先日出た親子3ショットの写真とともに出したコメントはネット上にずっと残り、親が知らないうちに成長した子供さんが見てショックを受ける可能性も十分に有りえます。

個人的にはお子さんには健やかに伸びやかに成長していってほしいとは思いますが、全ての芸能ジャーナリズムが同じように考えているわけではなく、親が有名人であることの闇というものも今後出てくることが想像されます。そんなわけで、その「おしどり夫婦」の具体名はあえて書きませんでしたが、今後の週刊誌やワイドショーの動向によってはいつバッシングの方向になるやも知れませんので、その事を想定はされているとは思うのですが、一度出してしまった以上はこれまで以上にお二人でバラエティ番組に出まくって、むしろ日本でも代理母出産についての議論が巻き起こるような問題提起をされるのもいいのではないでしょうか。


NHK受信料の徴収が「合憲」との判断 その時テレビは?

全てのテレビニュースを見てはいないのですが夕方のニュースで今回紹介する裁判のニュースを項目として取り上げた民放局はまだ確認していません。実は私はネットや新聞で2017年12月6日に最高裁判所で行なわれたNHKの受信料制度が憲法が保障する「契約の自由」に反するかどうかが争われた上告審判決を注目していました。

今まではテレビを持っていても「NHKを見ないから」、「受信料を払うだけの価値をNHKの番組には見出せない」、「受信料を払っていても教育番組テキストを有料で買わせるのはおかしい」、「4K8Kの費用をなぜ受信機を持っていない世帯に負担させるのか」、など様々な理由を付けて受信料の支払いを行なわない人が全国にいます。そんな中で、一人の男性の起こした裁判で、テレビがあれば義務的に受信料を支払わなければならないのかという判断を初めて最高裁がするということで注目されていたのです。

結論から言いますと、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は受信料制度を「合憲」と判断しました。今後はこの判例を根拠に、同じようにテレビが有るのに受信料を払わない人たちに対して徴収を積極的に行なってくることが予想されます。

ただ、現状では意地でもNHKの受信料を払いたくない場合には、テレビとアンテナを捨てるなり人にあげるなりして部屋から撤去し、常に持っているガラケーやスマホにはワンセグ受信のできるものを使わないようにすれば、とりあえずは受信料の契約を解約することは可能だと思います。しかし、そうした行動についてもしっかり対応するようにNHKは受信料を使って着々と準備を進めているのです。

それは、インターネット回線を使った地上波の番組の常時同時配信と言われるものです。今でも生中継でスポーツなどを中継するサービスはありましたが、何か大きなイベントやニュースが入ったりしてより多くの人が同じサイトから動画を見ようとすると、回線がパンクするようになって動画が止まってしまうということは今でも起こっていますが、恐らくNHKは相当のアクセスが集中しても回線が落ちないくらいの回線設備の増強を行なった上で、満を持してたとえテレビが家にない家庭であってもインターネットが使える環境が整っていれば同時配信のネット経由放送を見られるから受信料の支払義務があると言ってくるだろうと思われます。

すでにテレビがあって現在受信料を普通に払っている場合は関係ありませんが、今の世の中にはテレビも持たないでスマホだけで生活をしている単身の世帯もあったりするので、そうした人からも受信料を取ろうとするNHKの活動は、今回の「受信料は憲法で保障された契約の自由には抵触しない」という最高裁からのお墨付きを得たことで、今後何も対策をしていないと積極的に受信料を払うことになってしまうだろうと思います。

しかし、テレビもなくネットから情報を主に得ている人が見られるからと言ってNHKの配信を長時間見るわけもありませんし、今回の最高裁の判断というのは将来に集金人と特定の世帯主との間に問題を引き起こす可能性があります。

今後NHKは強権的に力で受信料を取ろうとし、NHKから訴訟を起こすような傾向が出てくるかも知れませんが、そのような大きな力が働くと、日本人というのはほとんどが大人しく従って受信料を払うとは思いますが、違う作用を引き起こす可能性もあります。

というのも、インターネットを提供する会社というのはテレビ放送のように免許制ではなく、小さなところは大手キャリアから帯域を借りる中でユーザーにどのような形で回線を提供するかは業者の判断に任されているところがあります。例えばNHKが常時同時地上波放送配信を開始したとして、もしどこか勇気ある業者がNHKの動画配信サイトにのみ国内からの接続ができなくなるような「機能」を付けたSIMカード(eSIMを含む)を出したとしたら、そこに生まれるのが「NHKの受信料が単体のネット利用では発生しないインターネット回線」になるわけです。

恐らくそうした動きはNHKから圧力を掛けて防ぐようにするのかも知れませんが、放送と違ってインターネットは少なくともNHKを見るためにできたものでも使われるべきものでもありませんので、将来民放の同時配信や見逃し配信は見られるが、NHKだけは見られないというプランを出すと宣言するMVNO業者があれば、今後の注目になると思いますが、やはり気になるのが、今回のこのニュースを民放も報道しないことなのですね。触れたら都合の悪い何かがあるのでしょうか?

もし一切の抜け道を作ることが許されず、大手キャリアがMVNOの弱少業者に圧力をかけてNHKだけが見られないSIMカードを出すことができなくなったとしたら、その時も国民は粛々と文句も言わずに受信料を全ての人が払うようになるのでしょうか。まだインターネット回線を引いているだけで受信料が請求されない今、こうした将来を見越したインターネットサービスの提供について多くの人を巻き込んで考えるべきだと思います。そして現在のNHKの地上波常時同時配信の方向性に反対を打ち出している民放の方々の意見も聞きたいところです。

(追記)
夜のニュースの時間となって、ようやくテレビ朝日の「報道ステーション」では2番目のニュースとして取り上げられました。そこで報道されていたことで、「NHKは裁判に勝ったらいつの時点にさかのぼって受信料を請求できるのか?」という裁判官の判断で、テレビを設置した日からなのだそうです。

つまり、もめて裁判の期間が長くなればなるほど、請求される金額が高くなるわけです。報道ステーションでは、そうして取る受信料が公共放送として適切なものかが問われるなどともっともらしい批評をしていましたが、すでに自局のドラマの宣伝のために番組を使ったり、朝ドラで特定の営利企業を利するような内容のものを過去に何度も放送しています。このブログではしっかりとNHKの番組についてはいい所も悪い所もしっかりと見た上で感想という形で紹介し、公共放送としてNHKがふさわしいのかどうかという観点からも今後は問題提起をしていきたいなと思っています。


籾井NHK前会長のご意向が却下された「受信料値下げ」

NHKを語る場合、切っても切り離せないのが公共放送であるということと、受信料の存在であると言えます。NHKの受信料が公共料金かということについても異論を挟む方がいるかも知れませんが、一般家庭が家計を考える場合の固定費としてNHKの受信料を払っているご家庭がほとんどだと思うので、ここでは全てのご家庭で払う必要のある費用として考えていきます。

NHKの受信料についての話の中で出ていた話に、NHKは受信料の値下げを行なうのではないかというものがありました。これは、2016年の2017年予算についての話し合いの中で出てきたものです。東京にある放送センターの建て替え計画を決め新規積み立てが不要になることもあり、50円程度の値下げを籾井前会長が意見したところ、経営委員会の面々は軒並み反対したことで、実現せず今にいたります。

その後、4Kや8Kについての技術開発、さらにネットによる放送の常時同時配信にかかる費用なども持ち出され、足りなくなることはあっても余ることはないという感じで事業を拡大しているという感じもあります。返せる時には返して、必要な時にはもらうという籾井前会長の意見は、それなりに腑に落ちるところはあるのですが、現在のNHKはとにかく値下げはしないで新規事業に走ることを明らかにしたと言えるでしょう。

さらに、最近はこのブログでも何度か指摘させていただいていますが、実に民放チックなドラマの番組宣伝でのタレントや俳優を情報番組やバラエティ番組に呼び出して出演させたり、ドラマ内でも露骨に民放ドラマとのコラボレーションを含んだ脚本を俳優に演じさせたりしています。民放のように視聴率至上主義という雰囲気はまだ現場にはないようですが、作り手やスタッフには一刻ごとに変わる視聴率を意識させるように表示はしているという新聞報道もあります。

そうした行動に対する言い訳というのは、「どんなに良い番組を作っても見てもらえなければ意味がない」というものだそうです。しかし、もしNHKが受信料をまともに払ってくれている人に対してNHKアーカイブスの利用料を一部取らないというようにして、制作者が見せたい番組を番組の放送終了時から一定期間のみ無料でネット経由で見られるようにするとか、改善策はあるはずです。人々がNHKを見たいと思う理由の中には、民放のような落ち着かない類の番組は見たくないというものもあると思いますが、NHKの経営方針で本格的に民放との視聴率競争を行なうような事にでもなれば、元ネタがどこかわからない同じような番組が一気に増えてしまうような懸念も出てきます。

そうなると、あえてテレビは見ないでAbema TVだけで十分という方々も出ると思いますが、その頃にはNHKはインターネット回線を引いていたり、ワンセグはなくても通信できるスマホを持っているだけで受信料を徴収するための仕組みを作り上げていて、テレビを止めても受信料支払いから逃げられないようになっている可能性もあります。

何より頭に来るのが、そうした囲い込みのための環境整備(常時同時番組配信のためのネット回線の整備など)自体を受信料で行なおうとしているところで、そこまで来たら個人的にはテレビ自体をいったん売り、さらにワンセグが見られるガラケー・ガラホ・スマホ・タブレットも全て処分し、さらにインターネット回線も光回線を解約しモバイル通信のデータカードをスマホに入れて高速クーポンもないどう頑張ってもNHKが配信するネット中継動画が見られないくらい遅い回線にして、それでもNHKが受信料契約の解約を認めなかったとしたら、実際に部屋にあるものや、手持ちのスマホを使って動画を見られるかどうかやってもらった上でその様子を動画撮影して公表してやろうかと思いますね(^^;)。

インターネットの利用の観点から見るとかなり利便性が損なわれますが、テレビ受信専用のアンテナを建てるならまだしも、単にNHKから配信されてくる放送を見る目的でインターネットを始める人はほとんどいないわけで、そういう点からもかなり広い解釈で受信料を取ろうとしていることがわかります。こんな解釈が許されるのかと、恐らくこんなことになれば裁判も起こってくるでしょうから、そこで日本の司法がどんな判断をするかでもこの国のテレビの未来が決まってしまうと思いつつ、これからもネット配信についての話題には折に触れて紹介して行こうと思っています。


禁断の魔力「マツコ・デラックス」の魅力について考える

2017年11月20日の日本テレビ系「月曜から夜ふかし」は、マツコ・デラックスさんが健康上の問題で休まれた影響が一番早く来た番組になってしまいました。司会としては2人体制で、しかもある程度はマツコ・デラックスさんがいなくてもその場でのやり取りをこなしてくれそうな関ジャニ∞の村上信五さんがいるにも関わらず、過去のVTRを編集して流すだけのものになりました。ただもしかしたらマツコさんの体調不良の症状が意外に軽かったという報道があったので、いっそのこと番組ごと一回休みにしてしまおうと思っての番組観覧中止という形になったのかも知れません。

改めてマツコ・デラックスさんが出ている地上波の番組ということで調べてみましたが、以下の8つ(地域によっては7つ)ということになります。これら全ての番組で影響がしばらく出ると思いますが、単なるコメンテーターの一人として出演する「ホンマでっかTV」は別にして、メインMCを務める番組はどうなるのかということで、各番組担当は頭を痛めていることでしょう。

・月曜から夜ふかし(日本テレビ系)
・5時に夢中!(TOKYO MX系)
・マツコの知らない世界(TBS系)
・マツコ&有吉 かりそめ天国(テレビ朝日系)
・アウト×デラックス(フジテレビ系)
・マツコ会議(日本テレビ系)
・夜の街を徘徊する(テレビ朝日系)
・ホンマでっかTV(フジテレビ系)

今回はそれほど番組に穴を開けるほどの離脱にはならなかったので上記の番組でも総集編を流して終わりという風にするか、マツコさんの穴を他の出演者をMCにして埋めるか(アウト×デラックスのような番組形態ならそうした方法も可能)という方法も取れますが、マツコ・デラックスさんが出ないとどうにもならないメインMC一人番組も中にあります。

まさに、タレントさん一人の能力におんぶにだっこという形の番組というのは、うまく回っている分にはいいですが、少しでも歯車がずれてしまうとそこからマツコ・デラックスさんの芸能活動自体にも影響が出てくるような形にもなってしまいかねず、テレビ局にとってもタレントにとってもなかなか苦しいものです。

改めてこの「マツコ・デラックス」さんの存在というものを考える場合、人的な交換が利かないことが魅力の一つとして挙げられるでしょう。例えば「開運なんでも探偵団」で司会を降板した石坂浩二・島田紳助のコンビが福澤朗・今田耕司に変わったとしても番組のメインは司会者ではなくあくまでお宝であるので、何事もなかったように番組は続いていますが、マツコ・デラックスさんがメインMCをやっている番組を誰にやらせるのか、それこそ細木数子さんくらいしかその存在感を持てるだけの人はいないのではないでしょうか(^^;)。

しかし、細木数子さんの場合は番組に出てもらうだけでマツコ・デラックスさんを相手にする以上に周辺がピリピリすることを覚悟しなければならないでしょう。さらに現在のテレビで発言する場合、言っていいことと悪いことをしっかりと自己規制して言ってくれるかというと、恐らくそんなことはないでしょう。そんな方々の中でぎりぎりバラエティ番組に出演できるような形はデヴィ夫人くらいで、恐らく彼女自身もメインMCを引き受けるようなこともしないでしょうし、「世界の果てまでイッテQ!」では出川哲朗さんとセットになっているからこそ面白いということをご本人も意識されているのではないでしょうか。

マツコ・デラックスさんのメディアの中での発言を聞いていると、まかり間違っても自分の立場が危うくなるような「コメントとしての痛さ」を見ている人に感じさせるようなコメントはしないですし、さらに今から自分が成り上がってやろうという野心も見えず、一部従順にテレビに従う場面もあり(コマーシャル出演など)、見ている方は安心してテレビでの発言を聞いていられます。今でもマツコさんが美味しい! と発言すればその商品が売れるという伝説は続いていますし、とにかく人や企業におもねることなく、基本的に嘘は言わなそうだというある意味誠実さを見ている側に感じさせてくれるという、変なコメントの魅力を持つ方だと思います。

そんなマツコさんの代わりの人材を考える場合、ゲイ関係や女装家と呼ばれる人たちの中で、冠番組を引き継げる人材はいるかということになりますが、ご自身が今までどのような形でテレビに向き合ってきたかということからメインMCをすることが難しいはるな愛さんやIKKOさんのようなケースもあります。ある意味、男のような女であることを生かして、テレビを見ている人たちが面白がるようなスタンスを取る中で、マツコ・デラックスさんくらいのバランス感覚をなかなか保てないというのが正直なところです。それは、最初からテレビコメンテーターとしてテレビに登場された方ではないというところもあるかと思います。

また、カルーセル麻紀さんに任せるにはご本人が大変だと思いますし、クリス松村さんの場合は場面場面によっての顔が全く違うため、かなり真面目な話題もMCとしてこなせる方だとは思いますが、マツコさんのような体つきとは180度違うため、そうした絵面から受ける感じが変わってしまうことでうまくいくかどうかは正直なところわかりません。ミッツ・マングローブさんの場合も背が高くてマツコさんとの体形差があるのが不確定要素になるかと思います。ただ、今挙げた方の中ではポスト・マツコ・デラックスの一番手にいる方なのではないかと思いますが、親戚に徳光和夫さんがいることが番組によってはマイナスに作用することもあるのではないかと思われます。

このように簡単に代わりがない個性で、コメントも正直で文句の付けようのない本音を出しまくる姿を当り前のように見るにつけ、テレビ番組をマツコさんといっしょに作っている人にとっては、マツコさんいつまでも元気でいてくださいと願わずにはおられない大切な存在であるでしょう。

そういう意味からすると、マツコ・デラックスさん以上に長い期間休まずに長年冠番組を続けている明石家さんまさんというのは、テレビ界を席巻するモンスターだとも言えます。しかし、テレビの世界には悲しい掟もあります。というのも、今から50年後、このブログがもし残っていたりしても、今の明石家さんまさんやマツコ・デラックスさんの存在自体を知っている人は少なくなるでしょうし、その面白さがわかる人というのもほとんどいなくなることが予想されます。それは、映画と違ってテレビの番組は数が多いし権利関係で長く見られる状態になるものは少ないという差が出てくるはずです。

さらに時代が進んで今から100年後には北野武さんは映画監督としてまだ名前を残していると思われますが、明石家さんまさんの名前はそこまで残っているかどうかという感じになるでしょう。でもテレビというのは泡沫の夢であることを自覚されて出ているならば、未来に名前が残らなくてもいいと思っている方も少なくないでしょう。恐らくマツコ・デラックスさんも自分の名前が後々まで残るかどうかという点についてはあまり執着せず、それが魅力を多くの人が感じる源になっているのではないかと思っています。

個人的にはマツコ・デラックスさんにはテレビの仕事に忙殺されて年を重ねるよりも、太く短くというならあえてテレビの仕事を全てこなすことにはこだわらずにご自身で好きな事をやっていただきたいと思っています。ただ完全休業という事にはせず、タモリさんのように好きな番組にだけ出ながらも、思わず口から出てくる正直な物言いというものを忘れずに、私達にこれからも面白いコメントの力を見せていただけると有難いです。