テレビ局が関連するニュース報道について

テレビを含むマスコミは事件について取材をする側でありますが、場合によっては自社の社員が事件を起こすようなケースがあります。今回紹介する状況というのは少し毛色は違いますが、社員の行動が注目を浴びるような事が起こってしまった場合、どのように報道すべきなのか、改めて考えることになってしまいました。

簡単に今回の事についてその内容を紹介すると、まず財務次官がマスコミの女性記者にセクハラと思われる言動を行なっているという週刊誌報道があり、財務次官および財務省がその指摘について真っ向から否定をしたことで、真実はどこにあるのかという話になりました。さらに財務省は、調査のために被害を受けたという女性がいたら名乗り出て欲しいと文書で示し、これは女性の人権をないがしろにする行為ではないか? という疑問も出る中、当事者の財務次官は職を辞す事を決めたものの、事実関係については週刊誌を訴えて裁判で争うことを名言しました。

こうした決着の付け方には当の女性記者が憤りを感じたようで、彼女の属する会社であるテレビ朝日に相談の上で出した結論が、4月18日テレビ朝日の看板番組である「報道ステーション」終了前のタイミングで、この件について午前0時から記者会見を行なうことを告知しました。

私はたまたま報道ステーションを見ていたので、テレビ朝日・BS朝日・AbemaTVという関連の会社を含む媒体で記者会見を生中継すると思っていたのですが、普段重要な記者会見があると通常番組を潰してでも生中継することの多いAbemaTVでも通常通り、先立って放送された「報道ステーション」の再放送を行なっていただけでした。

他のテレビ局ではこの記者会見をニュースの中で報じた局もありまして、個人的にはまたいつものパターンかと思いました。自社の社員が関係する事件報道について、今回のテレビ朝日に限らず、自社の報道ではそこまでは深く掘り下げないのに対し、他のテレビ局ではその失態(社員が起こした事件報道の場合)をあげつらうかのように細かく報道することが多いと思います。ただ今回の場合は加害者ではなくセクハラの被害者という立場で、女性記者の話を聞いて一番知っているのがテレビ朝日なだけに、なぜ自分のテレビ局で生中継しないのか不思議に思いました。

もっとも、世間の一部において反体制的だというようなテレビ朝日ではあるものの、自由に誰でも番組が持ててバラエティに豊んだ内容があるAbemaTV自体「体制にまっこうから反発する」というようなポリシーを持って運用されているわけでもないという事実があります。例えば、幻冬舎の見城徹さんがホストをしている「徹の部屋」という番組が放送されており、その番組には安倍晋三首相が出演して自説を述べたりしているということもあるので、テレビ朝日の関係だから全て反体制的な体質であるということは決して言えないでしょう。むしろ体制側に近い勢力も大勢いるという風に考えるのが普通です。

恐らく、テレビ朝日社内においても、この問題について無視を決め込みたいと思っていた勢力が強かったのですぐに声を挙げられず、女性記者が意を決して会社に訴え、会社が記者会見で発表するに至った段階でも自局および系列局での生中継をしなかったのだと思われます。ただ翌日の「モーニングショー」で詳細に報告しているのは反対勢力の揺り戻しのように感じるものの、やはりこの件で問題になった財務省と財務次官と同じようにすぐに対応できなかったことは多くの事が明らかになった時点で考えると隠さずに早く自社の媒体で報道すべきだったように思います。

一般人がマスコミに対する不信感を抱く理由の一つとして、人を追求するときには強気の取材をするものの、自分の身内で何か起きると、身内をかばったり隠そうとしたりして、そんな態度を見せることがしばしばあることです。これはテレビ朝日に限った話ではなく、他の報道機関でも不祥事や事件の主役に自社がなってしまった時にどのような伝え方をするのかというところに、今後のテレビ報道がまともに見られるようになるかどうかがかかっているように思えるのです。


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