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日本で一番有名なマンネリドラマは次世代への時代劇伝承の切り札

今回紹介するテレビ時代劇「水戸黄門」について感想を述べる前に思い出したのが、NHK BSが「大岡越前」をリメイクして放送したことでした。新しい配役でどんな感じになるかと期待していたのですが、見ていて違和感こそなかったものの、何かひっかかる点を感じていたのです。そのわけというのは、よく考えると新ドラマの脚本だけでなく音楽も同じで、唯一違うのが配役だけ違う形にしてドラマが作られていたことでした。そうなると、TBS版の大岡越前役・加藤剛さんと、リメイク版の東山紀之さんの直接的な比較をせざるを得ず、他にも同心のの源さん役(大坂志郎→高橋長英)、父親の大岡忠高役(片岡千恵蔵→津川雅彦)あたりをどうしても比較したくなります(この部分だけ敬称を略させていただきました)。どちらが好みかというのは様々な意見があるでしょうが、さすがに今の役者の方には厳しい部分も多いのかなとも思えたりします。

ただ、この形でのリメイクは好評なようで、現在は何と第4シーズンの撮影が始まっているそうです。そんな「大岡越前」と比べると今回紹介する「水戸黄門」というのはあまりにドラマの知名度および存在感がありすぎ、演じてきた人たちも多岐にわたるので演じる方も更に大変だと思います。

水戸光圀役の武田鉄矢さんは同じTBSのドラマ、「3年B組金八先生」の坂本金八役で当たりを取りましたが、第一話では早速、ドラマで金八先生の息子役だった佐野泰臣さんが旅のきっかけを作る武者役で出てくるなど、武田黄門のキャラクターはもしかしたら坂本金八色を付けてくるのかという気もしますが、これは継続視聴をしながら確かめるしかなさそうです。

今後のレギュラー出演者としては、すでに第6話からご老公一団を付け狙うくノ一役として元AKB48の篠田麻里子さんが出演決定とのことで、現在はオーディションで決まった助さん角さんに、風車の弥七役に津田寛治さんの4人で色気なく旅をしているだけなのですが、今後は画面も多少は華やかになっていくことが予想されます。BSでの放送ということでまだ水戸黄門がリメイクされたことを知らない方もいるかも知れませんが、今後さらに魅力的なキャスト投入で景気づけが行なわれるのかどうかというのも楽しみです。

ドラマの内容については今さら語ることもないかも知れませんが、ご老公の旅の目的地こそ違いますが、ドラマの構成と配役は過去のTVシリーズの第一部のあらすじを忠実に再現しているとの印象があり、水戸黄門好きな高齢者がまず「安心して見られる」事を最優先にし、その後で徐々に若手俳優目あての世代を取り込もうとする内容です。もちろん印籠も第一回目から出てきます(旧テレビシリーズの第一部では最初から印籠は出てきませんでした)。まさに一分のスキもない内容を、地上波ではなくBS-TBSでやろうとするとは、何としてもこのシリーズだけは無事に終えようと思って始めているのではないかというようにも思えたりするのです。

個人的には「水戸黄門」のTVシリーズというのは、あまりにも有名で若年層にも知名度があることから、民放においては高齢者対象とはうたいつつも、あくまで次世代に時代劇のフォーマットを受け継がせるための「つなぎ」の役割も担っているのではないかと思っています。見る方もそうですが出演者たちも、このドラマをステップにして新しい時代劇が生まれ、新たな時代劇のステージで活躍するような形になって行くことも目指しているような気もするのですが、それははっきり言ってこのシリーズの続編が望まれ、地上波でもそれなりに新作の時代劇としての水戸黄門が復活するというところにまで到達できるかどうか、そこまで温かく見守っていきたいというのが正直なところです。今回の出演俳優で言えば、出演者のテロップにも載っていなませんが、悪役の親玉で出ていた内田勝正さんや同じく悪役で、用心棒の棟梁として出ていた福本清三さんなどは昔のTVシリーズでも活躍しており、今回も主役たちを引き立てる形でしっかりと脇を固めているのが昔から時代劇を見ている側としては大変嬉しいところでした。

逆に言うと、それだけ日本の時代劇をとりまく環境というものは厳しく、役者の層も薄いということです。このまま何も対策をしないで放っておくと伝統が途切れてしまい、再度同じものを作るためには相当の人材育成とお金がかかります。将来時代劇の傑作を作りたいと思っている方がいるなら、水戸黄門なんて時代劇じゃなくホームドラマだなんて言って無視しないで、温かく応援してあげてほしいと心からお願いしたいです。

(番組データ)

水戸黄門 BS-TBS
2017年10月25日(水) 19時00分~19時55分
【出演】武田鉄矢(水戸光圀)、財木琢磨(佐々木助三郎)、荒井敦史(渥美格之進)、津田寛治(風車の弥七)、袴田吉彦(柳沢吉保)、長谷川純(柘植九郎太)ほか
【ゲスト出演】大塚千弘(菊江)、葛山信吾(桜田雄次郎)、田中壮太郎(夏川太十郎)、生島翔(山西数馬)、星由里子(とね)
【語り】生島ヒロシ

(番組内容)

第4話「悪を糺した弥治郎こけし(白石)」


日本の「ものづくり」を守るには口うるさい国内の消費者も一役?

日本のメーカーの不祥事が相次いでいます。自動車メーカーでは三菱自動車やスズキ、日産、自動車部品メーカーのタカタ(エアバック)、さらに最近ではそんな自動車などの製品の材料となる神戸製鋼でも不正が発生したことにより、日本のものづくりに大きな危機が訪れているとも言われています。

今回の「クローズアップ現代+」は、上記のメーカー以外にも、すでに日本のメーカーの出す製品で起こっている「サイレントチェンジ」という事にスポットを当ててその恐ろしさを紹介したのですが、この話はたった25分で語り切れることではありませんが、放送された内容をかみくだいて問題を明らかにするような事をこのブログでやってみることにします。

まず、「サイレントチェンジ」とは何か? ということになるかと思いますが、これは日本のメーカーが製品を作る際、昔なら設計から生産まで全て自社でやっていたのが、コストの問題から製造や部品調達を海外の下請けに出すことで生じるリスクと言えるでしょう。

番組で紹介していたのは主に東南アジアや台湾・中国の下請け・孫受け工場で行なわれることが多いというのですが、メーカーの方ではきちんと部品の種類や組み立て方法や工程を細かく指定するのですが、下請けや孫受けの方で、請け負った金額でより高い利益を上げようと発注元から指定された条件を勝手に変更し、わざと耐久性のない部品を使ったりすることで、見た目には不良でない製品であっても、耐久性が低い製品を完成させてしまうことになります。しかもその不具合は、あくまで部品の劣化によって起こるので、プロでも簡単には見分けが付かず、不具合自体もいつ起こるかはなかなか判断できないのです。劣悪な部品の「静かなる劣化」が起こす番組で紹介された事故例としては以下のようなものがあります。

・突然火をふいたビデオプロジェクター

・ユニットを天板に止めていたネジが破損して落ちたため火事の原因になったこたつユニット

・平坦な道を歩いていても極端に転ぶ回数の多くなった滑りやすい靴底素材を使った紳士用の革靴

・パイプをつないでいるネジが壊れ、座ろうとした人が大怪我をしたパイプ椅子

・電気コードやプラグを安全に使うための難燃剤として使われる「赤リン」をコーティングする指示を無視して使ったため絶縁性が劣化して発火事故が起こったACアダプター

この他、パソコンや除湿器でもメーカーの想定する経年劣化の期間を待たずに事故が起きるケースがあり、日本のメーカーはその対応にいちいち追われることになります。こうした事故というのはメーカーが想定した部品と違うものを使ったことによって起こったことがわかれば、自然故障とは言えませんし、もちろんユーザーの使い方の問題で事故が起こったわけでもないので、多くのメーカーの責任として製品の無償交換(リコール)という形での決着が図られることが多く、その費用はメーカーが全て負担しなければなりません。

では、一体どこの下請けや孫請けがそんないいかげんな事をやっているかというと、その背景には産業のグローバル化が暗い影を落としていました。というのも、とある日本のメーカーが台湾のメーカーに生産を委託していた製品で「サイレントチェンジ」と思われる不具合が出た際、直接下請け業者を呼んで業務の改善を求めたところ、実は不正をしていたのは台湾の下請けではなく、さらにその作業の中の一部の工程を請け負わせた孫請けの企業が中国本土にあったことがわかり、その企業が勝手に指示に沿わない方法で部品を調達していたことがわかったのでした。

この種の不正については、海外の工場で生産を委託する日本のメーカーや企業にとっては大変大きな問題になっています。過去に大きなリコールを経験した家具メーカーのニトリでは、自社ブランドの製品のうち海外で生産をしている比率が90%で、下請けや孫請けの会社が約600社もあるそうです。そんな状態で自社ブランドの品質を守るために、製品や使われている部品の検査を行なうための機材を1億円かけて導入し、職員も100人ほどとかなり力を入れてやっているものの、そうした検査だけでは全ての不正を見付けることはできないので、こまめに海外に視察に出向いたり、一部の下請け企業に自社の品質管理マニュアルを渡し、孫請けに対する指導を求めていくなど色々行なっているようです。

しかし、そうした事をいくらやってもいたちごっこのようにコストの問題から不正が生まれることを完全に無くすことはできないとのこと。それはつまり、技術だけをうまく真似たとしても、ものづくりにかける心意気がないといいますか、ものづくりに対する熱い思想の違いというものが海外と日本のかつてのメーカーにはあり、その着を埋めるのがなかなか難しいということです。それなら、いっそのことコスト高になることは承知の上で日本国内で下請けにやってもらうようにするか、品質を向上させた場合に報奨金を払うなどの対策で高品質な製品を作るためにコストを掛けるかというような解決への糸口のような方法が示された時点で番組は終了しました。

最後にゲストコメンテーターが言っていた「安全にはお金がかかることを理解する」という言葉が印象に残りました。とにかく安いものを買うような消費活動に終始していると、どうしても作りの甘いまがい物をつかまされる可能性は高まります。ただ、名の通った日本の一流メーカーの品を信頼して購入しても、全て日本で作っているのか、一部の部品が海外製だったりするともう追跡は個人レベルでは困難で、いつ「サイレントチェンジ」が起こっても不思議ではない事には変わりありません。

番組でもう一つ言われていた事は、主に消費者側が「サイレントチェンジ」を減らすための心構えのようなもので、それは明らに部品の不良があった場合はきっちりとメーカーに苦情を言うということです。多くの苦情が集まることで、生産出荷後どのくらいで不具合が出ているかがわかり、リコールの資料になりますし、メーカーの社内でコスト偏重に陥っていた場合、そのためにクレームが出まくったことがわかれば、方針の転換に向く可能性もあります。

直接言っても何のリアクションもなかった場合には、ネットで報告するような形で多くの人と情報を共有し、同じような不具合で困っている人がいないかもネットで探すことによって、メーカーも把握していない部品の不良による問題が明らかになることもこれから十分考えられます。

そうした情報の蓄積にはネットというものはやはり便利で、あらゆるものを購入する前に、その型番で検索をかけてみて不具合の報告がネットに上がっていた場合は、単なる初期不良の結果なのか、製造段階での下請け・孫請け企業の不正による「サイレントチェンジ」によるものなのか自分なりに考えた上で購入するかどうか決めるというのがいいだろうと思います。なお、番組の中で少しだけ紹介されていたのですが、「製品評価技術基盤機構(NITE)」の事故・リコール情報のページにリンクを張っておきますので、これから買おうと思っている製品や、今使っているものが以下のリンクにないことを確認しておきましょう。

http://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/index.html

このようなことを書くと、いちいち口うるさい消費者として疎んじられるような気もするのですが、日本のものづくりを支えてきたもののうちの一つが、メーカーに厳しい意見を言う世界一細かい消費者の意見であることもまた事実ではないかと思います。最初に紹介した日本企業の不正の様子がショックだったのは、これからは海外での下請けメーカーが関わった製品だけでなく、メイドインジャパンの製品にも不具合が出るかどうか心配しながら使わなければならないという事にもなるかも知れないことです。ただ、恐くて使えないようなメーカーの製品はあえて使わないことで消説者としての意志表示をし、政治に頼らずとも消費者の力で大企業のあり方を変える試みがあってもいいと、今回の番組を見終ってしみじみ感じた次第です。

(番組データ)

クローズアップ現代+ NHK制作
2017年 10/24 (火) 22:00 ~ 22:25
【ゲスト】明治大学名誉教授…向殿政男,品質管理コンサルタント…根本隆吉,
【キャスター】武田真一,鎌倉千秋(NHKアナウンサー)

(番組内容)

▽家電が突然発火する!?~知られざる“サイレントチェンジ”
相次ぐ製品事故。その原因の一つとしていま、メーカーが知らない間に下請けが部品を変えてしまう「サイレントチェンジ」に注目が集まっている。その危うい実態に迫る。


昔の作品の放送時に「ピー音」で逃げるかテロップで説明するか

アニメ「妖怪人間ベム」が来年で50年を迎えるのだそうです。私自身はリアルタイムで見たわけではないのですが、地元テレビ局がコンテンツ不足を埋めるべく、何度も再放送していたのを見ていましたし、全国で同様の再放送を見たであろう人々がテレビ業界に就職し、比較的最近に実写化したことが一般的な再評価につながったのではないかとも思われます。

そんな流れの中、BS無料放送の中でもマイナーなBS11が原作をオマージュしつつもちっとも恐くないギャグ作品としての新作を作り、それに過去のオリジナル版を合わせて深夜2時から放送するということになっています。いかにも民放BSらしい企画だと思いつつ、最近になってこの番組に気付き、続けて見ているのですが、同じように面白く見ているはずの過去のアニメファンからは、私のように過去の再放送を見ていた人が多いのか番組ホームページに数多くの同じ意見が挙がっているのが見ていて逆に面白かったりします。

何が問題かというと、題名に書いた通りオリジナルの音をそのまま流した場合に数多くの「何を言っているかわからない」という「ピー音」が必ず入るのです。なぜこんなことになってしまうのか、BS11で深夜2時からの放送だからオリジナルの音のまま放送してもいいのでないかというような声で番組へのメッセージがあふれてしまっているのです。

この種の問題は、アニメに限らず過去の名作と言われるテレビドラマや映画を現代のテレビで放送する場合にも問題になってきます。この問題に対して取り得る方法は2つあって、一つはこの「妖怪人間ベム」と同じように出しては都合の悪いセリフに「ピー音」をかぶせるか音そのものを消してしまうという昔の「水戸黄門」の再放送でよく遭遇するパターンです。

この方法はとにかく不謹慎だとテレビ局に抗議を入れる団体や個人を押さえ込むには有効な手段ではあるのですが、いったんこういった形でテレビ局の方が「放送しない自粛用語」を決めてしまうと(放送禁止用語というのは、後で説明しますが厳密にお上から禁止される言葉というものはほとんどないと思います)、新たな「不謹慎な言葉」を抗議をする団体が見付けてしまった場合、新たに糾弾を受ける余地を残してしまうわけで、どこまでを「不謹慎な言葉」だと決めるのかという問題に突き当たってしまう可能性があります。

そして、もう一つが「当時の著作者の意図と時代背景を考慮した上でそのまま放送します」というようなテロップを入れて、マジでやばい言葉以外はそのまま放送してしまうという方法です。この方法は昔の映画を流す時には良く使われます。時代劇の場合は仕方のない部分もありますし、現代劇であっても撮影当時の風俗が映画で映し出された場合、言葉遣いも当時の様子をそのまま写すことでその時代がどんな時代だったかを実際にその時代に生まれていなかった人にも感じさせることができるでしょう。

そういう意味で、「妖怪人間ベム」の1968年版アニメについても、このアニメが作られた時代ではどんな感じで社会が動いていて、時代的に今の常識から見るとかなり差別的な物言いが普通に行なわれていたということを示した方が、当時の社会情勢を研究する資料として見た場合、より深くこの作品を鑑賞することができるだろうという意見は当然出てきます。しかし、今の世の中というのはなかなか簡単に事が済む世界ではないことも確かです。

この文章を書いているのは2017年の10月ですが、前月の9月に放送されたフジテレビの「とんねるずのみなさんのおかげでした」で登場した過去のキャラクターの中で、とんねるずの石橋貴明氏が扮した「保毛尾田保毛男」というキャラクターが当時のVTRでなく現代にそのまま出現したことで抗議の声が挙がり、フジテレビが謝罪に追い込まれてしまいました。

そもそも問題になったキャラクターの名前の中に入っている「ホモ」という言葉自体がゲイの人に対するいじめを誘発する言葉になっているからと(元々「ホモ」という言葉の意味は「同性愛者」という意味なので、男の人しか愛せないゲイだけを指すような形で使うのはおかしいという指摘もあります)「ホモ」という言葉を使わないようにということも抗議をする側が主張されているという話を聞き、これでまた「放送局の自粛用語」が増えたなと個人的には思いました。

元々放送禁止用語というのは不自然に決まっているような場合もあります。例えば下ネタの場合、現代においても男性の性器の名前は放送に乗せられるのに、女性の性器の名称については一切駄目というのは男女同権という立場からするとおかしいと思う人もいるでしょう。また最近では体のさまざま部分が不自由な人のことを従来の「障害者」という「害」という漢字の入る書き言葉ではなく、「障がい者」や「障碍者」と書くようにしましょうと訴えている方もいます。そうした考えを進めて行くと、今後は明らかに個人の身体的特徴を揶揄する意味で使われている言葉についてもテレビで使うのは自粛すべきだとの風潮が強まるかも知れないと思ったりします。

そんな言葉の最先鋒としては「このハゲ!」という言葉が思い付きます。ここで言う「ハゲ」は、先に紹介した「ホモ」のように、自分ではどうにもならないところで揶揄されいじめの対象になるということに共通点があります。さらに細かい事を言うと、ある程度の年を経て「ハゲ」になるということが全てではありません。元プロ野球の森本稀哲氏のように先天性の病気でなる場合もありますし、幼くして難病にかかり、治療薬の副作用としてカツラを使う状況というのも普通にあります。しかしながら今まで「ハゲ」という言葉については他の言葉がことごとく言葉狩りに遭う中で寛容にテレビの中では扱われてきました。

私自身は「ハゲ」という言葉をほかに置き換えられるだけの言葉が見付からないので、そこまで自主規制する必要はないと思っていますが、近い将来にこの件について見過ごせないとテレビ局に対して糾弾活動を行なうようなところが出てくれば、「ハゲ」という言葉を言う映画やテレビ全てを「ピー音」でかぶせるような作業が必要な時代になってしまうかも知れません。それがテレビの世界だと言われれば仕方ありませんが、そうなったらコアなアニメファンや昔のドラマファンは自主規制の必要ないネット配信の方に流れていく事になるでしょう。かくしてテレビは自ら見てくれる視聴者を失くすという流れになっていきます。

今回のアニメについてはこんなことを書いた割には全く「ピー音」が出て来なかったのですが(^^;)、その分ストーリーに集中して全編を楽しむことができました。やはり見ていて急に思考を中断されることのないのが一番作品を楽しむためには大切なことであることを実感した次第です。

結論めいた事を言えば、そうした「放送禁止すべき用語」が決まるのには社会の状況もありますし、抗議団体が一定の力をテレビ局に対して発揮し、局がその訴えを飲んだ場合に決まると言っていいでしょう。そう考えると、今後もテレビを楽しんで見てくれる人を残すためにはこの番組内の「妖怪人間ベム」のように臭いものにはフタといった感じで安易に「ピー音」をかぶせて逃げるよりも、抗議団体にも一定の理解を示せるようなテロップの文章を考えつつ、直接抗議が来たとしてもたじろがないで、過去の作品を再放送するにあたっては、あえてピー音で消さない理由を理解してもらうように努める方がいいような気が私にはするのです。

(番組データ)

妖怪人間ベム BS11イレブン制作
10/24 (火) 2:00 ~ 2:30
1968年版 (ベム)小林清志 (ベラ)森ひろ子 (ベロ)清水マリ
新作 (ベム)杉田智和 (ベラ)倉科カナ (ベロ)須賀健太

(番組内容)

(1968年版+俺たちゃ妖怪人間)#3「死びとの町」
「はやく人間になりたい!」 国産ホラーアニメの原点にして金字塔『妖怪人間ベム』の50周年プロジェクト始動! 第1弾はオリジナル版の再放送+新作ショートギャグ!


これじゃテレビは政治家の疑惑を追求できない

中国の作家、魯迅の随筆の中に「『フェアプレイ』はまだ早い」という作品があります。魯迅の生きた時代が中国で革命が起こっている時であったため、どのように権力と戦うべきかということを考えて書かれたものかと思いますが、その中の一説で、「打落水狗」という言葉が出てきます。

「狗」とは犬のことで、「水に落ちた犬は打て!」ということになりましょうか。自分達に向かって吠えたり襲ってくる犬は、水に落ちて溺れていたとしてもその姿が可哀想だからと、親切心から水から上げようと手を差しのべたとしたら、そんな親切心など介することのない犬のこと、その攻撃性を再度発揮し差し伸べた手を噛んでくるかもしれない、だから情を捨てて更に打てというわけです。

この辺の感情というのは理解が難しいと思われる方も少なくないかも知れませんが、例えば親切心から弱っている人に施しをしようとしたら、その人は道行く人の懐を狙っていて財布を取られたり最悪の場合は命を失くしたりするようなケースも有りえます。

見ないふりをして無視するということはかっこ悪い事だと思い親切心から人を許してしまう人の方が好意的に受け入れられるかも知れませんが、いつ自分が裏切られてもいいと思って行動しないと、裏切られる度に心に深い傷を負うことになるでしょう。

これは政界とマスコミの関係でも同じような事があったりします。ある時には全マスコミとネットまで含めて対象の人物に向けて大バッシングをしたものの、一切そうしたバッシングに対して答えず、追求しても逃げ出した上に引きこもって表舞台から消えてしまった人物がいたとします。しばらくはテレビでもその人物に対する批判はするかもしれませんが、一定以上の時間が経った頃を見計らうように、今まで糾弾してきた相手をすぐに許して騒動が起こる前のようにテレビ出演させている事例には事欠きません。ここでは、たまたま本日のテレビを付けていて出演していることを確認した前東京都知事の舛添要一氏がTBSのワイドショーに出ていて、正面から小池現都知事を批判するコメントを言ったり、同席しているタレントが舛添氏擁護のコメントを出しているのを見て、さもありなんと思った次第です。

既に舛添氏は日曜午前のトークバラエティ「サンデー・ジャポン」に出演していますが、この番組は情報番組と言ってもバラエティに近く、ある程度出演者の人選については批判の来るのを承知でキャスティングを行なっており、出演するのに不快感を感じる人がいたとしても、「あの番組だから」と許されるような感じの番組に過ぎませんが、朝の情報バラエティではかなり真剣に当の舛添前都知事の疑惑追求を行なっていたはずです。

今回の衆議院選挙では、主に自民党や安倍首相を中心に、TBSを含めたマスコミを「安倍首相の印象を悪くするような操作をした報道をしている」事をマスコミ名を名差しして批判したプラカードを持って演説会に参加していた方がいらっしゃったと思いますが、この主張はある意味正しいと言わねばなりません。なぜなら、あれだけ別荘を売却すると言ったことや、チャイナ服がどうの(前知事は墨を使って字を書くために公費でチャイナ服を購入したとのこと)や、ホテル三日月でどんな会議が行なわれたのか(実際は家族で遊びに行っただけなのを自費で払わなかっただけなのではとの疑惑があります)というような事は未だに舛添氏が公に向かって説明されない中、まるで全てが許されたかのようにコメンテーターとして出演させ、ギャラまで払っているのです。

現在自民党および安倍晋三首相にまつわる「森友学園の国有地払い下げについての疑惑」や、「加計学園が獣医学部を愛媛県今治市で新設することになった経緯」についてマスコミの中でも朝や昼のワイドショーではどの局も一斉に報道していた時がありましたが、これらの事も、今回の舛添要一氏のテレビコメンテーターへの復帰を認めたということから考えると、テレビ報道のスタンスとしては時間とともに「水に落ちた犬に手を差しのべる」という結果になっていくだろうことが見えてきてしまいます。

もし、森友学園の問題が何らかの決着を得たとしたら、元理事長の籠池氏夫妻をどのようにしてテレビのコメンテーターやバラエティ番組の出演者として引っぱリ出そうかと手ぐすねを引いて待っているというのがテレビ局の思惑であると考えることもできます。そうすると、テレビ局には「水に落ちた犬に手をさしのべる」覚悟はあるものの、自分が怪我をしないように万全の体制を整え、歯向かってきたら徹底的に打ちすえるだけの用意があった上での親切であるということになるのかも知れません。

これは、テレビが単にニュースを伝えるだけの新聞のようなメディアではなく、四角四面の真面目な事を言っていても、次の瞬間にはバラエティ番組で悪ふざけをする番組もあるなど、振り幅の広さを持っているからだと思っていますが、そうした振り幅に応じて複数のキャラクターを使い分けることができるテレビ慣れした人と比べると、今回紹介した疑惑の渦中にあった中でテレビに出てくる人というのは、なまじ渦中にいた人だけに、脇を固めて当たり障りのない事だけを言ってお茶を濁すようなコメントの仕方をするということは難しいでしょうし、テレビ局にとっては「いいお客さん」として視聴者が食い付いている間だけでも使っておけと思っているのかも知れません。

もしかしたら今後の舛添氏も、過去の栄光を取り戻すことなく人気が落ちればお払い箱になってしまうかも知れませんが、これではとても彼の疑惑を視聴者の前で明らかにすることはできませんし、かつての疑惑に答えて欲しいと思って見ている視聴者にとっても見ていてあまり面白い存在ではなくなるでしょう。

このあたりは、同じテレビ局内でもきちんと疑惑を追求したい派と、視聴者が食い付いてくれればそれでいいと思う派との葛藤があるとは思いますが、疑惑について徹底的に追求するぞと正義感をふりかざしていた当のテレビ局が、それほど期間も空かないうちに同じ番組のコメンテーターをやってもらう事をお願いするような番組の作り方をしているならば、最初から正義感を見せない方がいいでしょう。今回のケースは、報道とバラエティでやっていることが違うということではなく、過去に舛添氏を直接批判していた番組が本人のほとぼりが冷めた頃を見はからって、それまで彼を批判してきたコメンテーターと並べて番組に出すところに、テレビ番組だからいいかという感情が作り手にあるのかはわかりませんが、見てる方としては作り手のこざかしさを感じてしまうのです。

少なくとも番組で公人の疑惑を批判するなら(ネットで「ビビット 舛添批判」というキーワードで検索すると具体的な当時の批判について書かれたページがヒットします)、魯迅の書く「打落水狗」の姿勢を貫いてきちんと過去の疑惑について明らかにした上でテレビに出すことで、視聴者も納得するのではないでしょうか。

今後は同様な事が起こった時に過去の内容を振り返ることができるように、気付いた点があった番組については、その内容を記録するような形でブログを更新していきたいと思います。制作に携わっている方も、テレビ番組で過去にやったことは視聴者も忘れてくれるだろうと軽々しく考えない方がいいのではないでしょうか。

(番組データ)

ビビット TBS制作
10/23 (月) 8:00 ~ 9:55 (115分)
国分太一 真矢ミキ 堀尾正明 カンニング竹山 雪野智世 増田雅昭(気象予報士)上路雪江 ゲスト 舛添要一 有馬晴海 赤荻歩 古谷有美 吉田明世(以上TBSアナウンサー)

(番組内容)

舛添要一元都知事がスタジオ生出演!失速・希望の党、二足のわらじ・小池知事に吠える? ▽新潟4区 菊田VS金子 女の戦いは意外な結末に! ▽不倫報道で逆風の戦い 大激戦を制した無所属・山尾志桜里氏の選挙戦に雪野智世が密着! ▽暴言・暴行の豊田真由子氏 リポーター初挑戦の上西小百合が直撃! ▽東京で全敗「希望の党」に風吹かず!小池知事のおひざ元をカンニング竹山が取材! ▽全国で進次郎フィーバー


池上無双の「選挙特番」が地上波とBSの関係に投じた一石

今回、池上彰氏をメインキャスターにして選挙特番を行なったテレビ東京は一つの大きな決断をしたと思います。というのも、前回までも地上波でテレビ東京が見られない地域でもBSアンテナとチューナー付きテレビがあれば全国で見ることのできるBSジャパンの番組として「池上彰の総選挙ライブ」を開票スタートと同時の午後8時前からスタートさせていたのですが、前回まで多くの人が見たいと思われる池上彰氏と自民党総裁(安倍晋三首相)との掛け合いの激しいインタビューが行なわれる午後10時を前にして番組は終了してしまっていたのでした。今回はそうした制限をなくし、まるまる地上波と同じ内容の放送を最後まで行なったのです。

前回の選挙特番まで制限を付けてBSで放送していたのはなぜかということになるかと思いますが、政治的な何かがあるというのではなく、地上波と全く同じ内容の番組を系列の局とは言えBSで同時配信することで、テレビ東京系の民放のない地域においては、自分の地元の地上波テレビ局を見てくれないということで地方で放送している民放局からのプレッシャーがきつかったのではないかと類推します。というのも、BS放送が始まった時に、特に地上波の難視聴地域に対して行なわれたBSによるキー局の同時配信というシステムが存在したものの、その配信されたものを見るためには申告が必要であると同時に、かなりの制約があったのです。

これは「BS17問題」というもので、詳しく知りたい方はネットで検索をかけていただければ過去にあったこの問題について書かれているものに辿り着けると思いますが、要は難視聴地域に住んでいた人が地上波が見られずBSのチャンネルで代替の形で見る場合、全てのチャンネルが見られるわけではなく(BSで見られたのは東京で見られる地上波の全チャンネルでした)、同じ県内でネットしていないキー局を見ようとするとスクランブルが掛けられていたということです。

これは好意的に解釈すれば、同じ地域に住んでいる人が地元局を見なくなると、地元局に入ってくる広告収入が減って放送局としての経営が維持できなくなるからと言えるのかも知れません。ただ現在ではテレビすら見ないと公言する人がいるほどのテレビ受難の時代であることも考慮されたのかも知れませんが、選挙特番について池上彰氏の番組が見たいと思った人には天気の影響さえなければ平等に見られる環境というものができたわけです。

ちなみに、私の住む静岡県ではテレビ東京系の民放がない地域なので、今回の特番の途中カットなしという放送形態は歓迎すべきものでした。特に今回の安倍晋三氏と池上彰氏との中継については、自民党が完膚なきまでに他の勢力を引き離して勝利した結果がすでに出ていて、余裕の状況でやり取りをされるかと個人的には思っていました。しかし、必要以上に池上氏の質問を恐れたと思われてもしようがないような感じで、花付けの実施およびマイクによる花付けについてのアナウンスをインタビューに被せるように行なったのがまるまる中継されてしまいました。

いくらなんでもここまで露骨な中継妨害はしないだろうと思ってチャンネルを替えたところ、安倍晋三氏に次につないだNHKではそのアナウンスがぴたっと止んでしまったのでさらにびっくりした事は言いまでもありません。さすがに露骨すぎると思われたのか、後で池上氏が自民党政調会長の岸田文雄氏とやりとりをする前にクレームを入れたところまでしっかり全国に流れてしまったので、こうした与党自民党が選挙結果の大勝利にを関わらず必要以上に東京ローカルの局の報道にナーバスになっていることがわかってしまったわけです。

こうした状況は、以前の状態でもYouTubeに番組をアップするなどして動画が出回ることで広まることはあるでしょうが、今回はネットが使えない人でもリアルタイムに一連の内容を見てしまった人が少なからずいたわけで、今後の政局にも影響が出てくるかも知れません。

テレビ東京の番組については、ネット局のない私のいるところでも、深夜などの空き時間や土曜日曜の昼間などの時間を使ってテレビ東京著作の番組はかなり多く放送されていますし、ニーズ自体はあるわけですし、テレビ東京がないと生中継が見られないスポーツ中継のうちでも卓球の世界選手権を見たいという要望はあるはずです。地元の民放がテレビ東京が放映権のあるスポーツの生中継を行なう事はまず不可能ですから、今後はそういったソフトについても、BSジャパンを使って同時放送する流れができてくれればいいなと思っています。

(番組データ)

池上彰の総選挙ライブ テレビ東京制作
2017年10月22日(日) 19時50分~23時48分
キャスター 池上彰、大江麻理子(テレビ東京キャスター)
サブキャスター 大浜平太郎(テレビ東京キャスター)
アシスタント 相内優香(テレビ東京アナウンサー)
ゲスト 峰竜太、宮崎美子、東貴博、坂下千里子、小島瑠璃子、宮澤エマ

(番組内容)

池上彰が政治家に鋭い質問で迫り「無双ぶり」を発揮。さらには「候補者の面白プロフィール」、どこまでも追いかける「池上バスツアー」等々…これまで築いてきた“分かりやすく家族皆で楽しめる池上選挙特番”に今、危機が迫っています。それは各局に真似され始めたから…そこで先日、池上彰&テレ東の報道局が知恵を絞って、過去のヒットを超える企画を思いつきました。それは何なのか…番組開始すぐにわかります。池上彰の総選挙ライブはさらに進化!投票した人もしなかった人も楽しめる、これまで見たことがない選挙特番を目指します。


テレビ体操60年で将来に期待したいこと

この番組「どーも、NHK」はいわゆるNHKの広報番組です。最近はバラエティ番組の出演者にドラマの出演者を入れて番組告知をさせるような事が見ている側もあからさまにわかるような形で番組が作られている場合が多いですが、この番組の前半ではまさしく「おすすめ番組の紹介」ということで、これからの注目番組を番組進行役のアナウンサーとタレントが行なう形で進んでいきます。

さらに、NHKが受信料を徴収するための根拠としてどのような事を今までやってきたのかなどNHKの取り組みを紹介する「もっとNHK」のコーナーで紹介されたのが、今年で開始から60年になるという長寿番組「テレビ体操」についてでした。

現在の収録風景をまずは映し出し、広いスタジオに出演者とピアノ伴奏の方が音と動きを合わせるために、何回も体操の動作を行ない、VTRチェックなども入念に行なわれる様子が紹介されました。取材時の体操指導として出演された多胡肇さんによると、ピアノを含めた全員がぴったり合う美しい体操を目指しているものの、本当に満足する出来になるのは一年に一度くらいしかないとのことでした。

出演者は体育大学で体操を専門にやっている方が選ばれており、過去の資料映像ということで出演者がまだレオタードではなくショートパンツに体操指導者が着るようなポロシャツという出で立ちながら、オープニングは新体操さながらのボールを使ったパフォーマンスを行なっていたところを見ると、女子新体操の選手であると思われます。新体操の団体ではかなりの一致性を見るのに、そうした出演者の動きでさえも納得しないということになると、かなり要求が高いだろうということを視聴者に印象付けるような形で報じていたということになるでしょうか。

ただ最初に述べたようにこの番組自体がNHKがこんなことをやっているという広報番組であるので、現在の体操指導者以外の出演者や、過去に人気のあった出演者へのインタビューや言及すらもなく(^^;)、前の体操指導者の長野信一氏によるテレビ体操の転機になったとされる、ラジオ体操をするのは大変な高齢者や体に不自由なところがある人に向けての「みんなの体操」を作った話や、実際にそのみんなの体操を毎日行なっている脳性麻痺のある少女に取材したり、副音声で目の不自由な人向けに解説放送をしていることの方をしっかりアピールしていました。

個人的はそこまでやるなら、現在多くの運動不足でメタボ体型の人が運動する習慣を付け、実際に成人病にならないような運動についての指導も期待したいと思うのですが。現在ではお金を出して直接トレーナーに指導を受けるタイプの驚きの効果がコマーシャルによってクローズアップされたり、通販番組では相も変わらず本当に効果があるのか素人ではわからないサプリメントやダイエット系食品や、寝ながらテレビを見ていても腹筋が鍛えられるマシンなど、楽に痩せられる方法をお金で何とかしようという方のニーズに応える品物があふれています。

元々、ラジオ体操が作られたのは、アメリカの生命保険会社が、自社の保険金の支払いを抑えるために加入者向けに健康な体を維持させようという目的で始まったという説があります。ラジオ体操の健康な体を作るための効果について語られることも多いですが、せっかくNHKに受信料を払うならば、ラジオ体操が誕生した当時の思想に立ち戻り、テレビ体操という番組の中で一年間なら一年間通しての指導をしてくれるような事があってもいいように思うのです。

もし、そうした指導で実際に痩身の効果が出ることになれば、その点だけでもNHKに対して受信料を払う価値があるという考えになる人も出てくるのではないでしょうか。恐らく、今後は国の健康保険が破綻する可能性なども言われるほど高額になる傾向のある成人病に悩まされる人が増加する事が予想されますので、今回の「テレビ体操60周年」を機に、もう少しこの国の問題について突っ込んだ番組作りを期待したいところです。

(番組データ)

どーも、NHK NHK制作
2017年10月22日(日) 11時20分~11時54分
司会 豊田エリー,中條誠子

(番組内容)

番組独自のキャッチコピーでおすすめ番組を紹介!週刊どーもナビ:「秘境中国 謎の民 天頂に生きる~長江文明を築いた悲劇の民族~」「超入門!落語 THE MOVIE」「サイエンスZERO イグ・ノーベル賞」「子どもたちの夢」など、1週間の見たい番組、気になる番組が見つかるかも▽NHKの取り組みを紹介!もっとNHK:テレビ体操60年の歩み▽あなたの街のNHK:気まぐれ旅で地域の魅力再発見・鳥取局


映画は残りテレビは消えゆくものなのか……

初回放送から毎回楽しみにして、裏番組を見ている時も録画までして全回を通して見終えたのがNHKの土曜ドラマ、原作にボードビリアンの小松政夫さんの自伝的長編小説を使った「植木等とのぼせもん」でした。

ドラマの前説には小松政夫さん本人が出演し、当時の「ハナ肇とクレイジーキャッツ」のメンバーに扮した役者さん達は全て自前の演奏ができるという、かなりリアルな形での小松政夫さんと植木等さんの関係を中心に物語が進んでいきます。

恐らく、クレージーキャッツや植木等さんの事をよく知らない人は何だと思うかも知れませんが、当時の事については渡辺プロダクションの渡辺美佐氏が一切出て来ないことをのぞけば、良く作られていたと思います。

最終回に出てきた中では、勝村政信さんが演じるクレージーキャッツの映画「無責任シリーズ」の監督をされた古澤憲吾さんが植木さんの出したCD「スーダラ伝説」に関してのインタビューを受けている時に突然登場し、放った言葉が印象的でした。

「映画は、残るね」

というのがそのセリフですが、圧倒的なドリフターズ世代であった人たちも、年を経るにしたがってその記憶も薄れていきます。特にバラエティ番組において、テレビ番組のアーカイブス化ということについてはあまりにも権利者が多すぎるため、現代でもなかなか難しいところがあるのに比べ、映画というのはその辺はしっかりしており、ソフト化されたものをレンタルして見たり、最近ではビデオオンデマンドでも見ることができます。

私がこのブログをテレビをテーマにしてオープンさせたというのも、せっかくいいドラマを作ってもテレビドラマというものはなかなか後世に残らないというような、テレビの特性が前提にあります。人気ドラマもそれほど人気ではなかったドラマでも、映画のように番組終了後にDVD化されることが当り前になりつつも、全て見終わるまでは何シーズンもあると長いですし、2時間前後で一つの物語が終わる映画とはちょっと違って、よっぽど好きな人でなければ全巻揃えて見ないですし、それがお子さん世代や孫の世代まで受け継がれるかというと疑問な点があります。

そういう「映画」と「テレビ」の違いについていち早く気が付いたのが、北野武氏だと言えるかも知れません。今から50年後くらいに北野武氏の事は知っている人が多かったとしても、明石家さんまさんはどうかと考えてみてみましょう。いわゆる、伝説のコメディアンと呼ばれた人たちを活字では知っていても、一体どんなことをしていて、何が面白かったかというのは、実際にその映像を見なければわかりません。

特に戦前に活躍していた人などは役として出演している映画を見て当時の活躍を空想するしかなく、テレビ創成期に大活躍した芸人さんやコメディアンであっても、さすがにおじいちゃんがよく知っている人でお孫さんまでよく知っているという例というのは僅かなものです。テレビの出演というのは断片的なもので、そうした断片をつなげてまとめてもらえるような人でない限り、今大人気の人であっても将来的に名前が広く知られ続けるということはテレビに出ているだけでは難しいと思われます。

そうしたテレビの特徴に気づき、テレビはあくまで映画の宣伝として出て、メインの活動は映画にシフトするような北野武氏の生き方の方が名は残せるかなとも思います。しかし、放送しては消えゆくテレビの方が、世の中の今というものを直接的に映していることは確かなので、このような形で記録を残すことで、テレビ放送直後の想いというものをブログという場でキープしておきたいという気持ちがあるのだとご理解いただければ幸いです。

さて、ドラマの本編は満足いくものだったことは述べましたが、唯一残念だったのが番組のエンディングがひどくあっさり「スーダラ節」が流れただけで終わってしまったことです。せっかくなら紅白歌合戦のステージセットを作り、植木等さんの声色を作って必死に役作りしていた山本耕史さんに1990年の紅白のステージの再現をしてもらっても良かったですし、まだ植木等さんの物凄さを感じられていないかも知れない人に向けて、当時の紅白の資料映像を時間の許す限り流して欲しかったという想いもあります。

その年の紅白歌合戦はステージ裏での話題にも事欠くことなく、当の植木等さんも予定の時間よりもかなり巻きが入っている中でかなりストレスがたまっていた出演者もいたようなのですが、植木等さんがステージに登場するやいなやそんなステージ裏の雰囲気は一瞬で消えたように盛り上がって、まだ第2部が始まったばかりなのに大トリのようなステージで見ている人を十分に楽しませてくれたまさに「伝説となった紅白出演」だったと思っています。NHKのアーカイブスは有料ですのでなかなかその様子を見ようと思っても難しいので、せめてドラマのエンディングとしてあのステージの一部でも流してくれたら、クレージーキャッツの黄金期を知らない世代にも植木等さんの凄さを感じられたでしょう。

ただ、この文章を書いている現在では、Googleで「紅白歌合戦 スーダラ伝説」と検索をかけると、その時の様子がYouTubeでしっかり出てきます。リアルタイムでこの書き込みを見ていない方が同じように検索をしても動画は消されてしまっているかも知れませんが、このドラマを一通り見て、植木等さんの事に興味が出てきた方はぜひその動画を視聴してみることをおすすめします。

(番組データ)

土曜ドラマ 植木等とのぼせもん NHK制作
2017年10月21日(土) 20時15分~20時45分
山本耕史,志尊淳,山内圭哉,浜野謙太,武田玲奈,でんでん,高橋和也,優香,伊東四朗,中島歩,坂井真紀,富田靖子,勝村政信

(番組内容)

(8)「スーダラ伝説」


自分のやりたいことを押し付けられても見ている方は困惑するばかり

番組の正式名称は『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』ということで、SMAPは一切関係ないのでタイトルが変わらなくても大丈夫なことを今回番組について書くためにデータを調べていて初めて気付きました。この番組は今回の放送で何と17年目に突入するということで、一時間すべてをパネラーの大竹しのぶさんにスポットを当てる構成になっていました。

放送された10月から3ヶ月も前の7月に行なわれたブルーノート東京を借り切り、友人や関係者でいっぱいの「大竹しのぶ還暦パーティ」の模様をメインに番組は進行していきます。パーティ当日は他のテレビ局の取材は一切シャットアウトしたにも関わらず、ご自身がパネラーをしている番組の放送局で、なおかつ死別した最初の夫(元テレビディレクター)が勤めていた関係からかTBSのカメラだけを入れてその様子と、過去のVTR(最初の夫との披露宴の様子)を流すという、かなり出演タレントとテレビ局の関係がわかるような構成になっていたというのは仕方ないとは言え、当日は完全にシャットアウトされ中の様子を報じることができなかった他のテレビ局は悔しかったでしょう。

恐らくほとんどの人が見たいのは、パーティの主役である大竹しのぶさんと前夫の明石家さんまさんとの「爆笑トーク」であるのですが、番組用に編集された一部分を見ただけでも十分お金が取れるだけのエンターテインメント性を持ったトークでありました。ただ、お二人が暮らしていたのは4年間だけのため、常に二人で求められればやるのではなく、何かの行事の時のスペシャルイベントとして出すくらいがちょうどいいのかも知れません。

もっとも、大竹さんが明石家さんまさんと結婚し、娘のIMALUさんが生まれた頃には、その様子を見ていた私のような素人でもさんまさんが面白いことをカメラに向かって言わなくなったことに、これでさんまさんも終わりかと思うほどでした。当時の大竹さんは完全にさんまさんの面白さを食っていましたので、今のようにお二人の会話が最高のエンターテインメントになっているというのは不思議な感じもします。逆に言うと、身内という関係から自由になったことであれだけ面白く話が弾むのに、身内として暮らしているとお二人の仲は悪くなるしさんまさん自体の面白さはなくなってしまいましたし、つくづく男女の関係というものは難しいものだと思います(^^;)。

番組後半にはガンでお亡くなりになったTBSディレクターとの関係にスポットを当ててその生涯を紹介するような構成でしたが、この点についてはコメントは差し控えます(^^;)。少なくともお二人の間に生まれた息子さんは遺伝的なこともあるので、きちんとがん検診だけはしっかり受けておいた方がいいでしょうね。大竹しのぶさんの人生にスポットライトを当てるというコンセプトのため、こういうパートも必要になってくるのはわかりますが、これを見ている私たちはどう処理をすればいいのか、困ってしまったというのが正直なところです。

そして更に困ってしまったのは、番組の最後に、山崎まさよしさんに曲を作ってもらい、最初の夫の事を想って作られた曲「願い」を大竹しのぶさんがスタジオで歌ったということです。すでにパーティのVTR内でブルーノート東京で歌っているのを見たばかりなのに、さらにテンションがアップした状況で大竹さんの歌を目一杯聴かされるさまは、過去に同じTBSの番組『キミハ・ブレイク』で自作の歌を熱唱した泰葉さんの姿とだぶってしまいました(^^;)。やはり、テレビでは見る人が見たいものを中心に放送して欲しいという当り前の事を番組を見終えて考えてしまった今回の番組でした。

(番組データ)

中居正広の金曜日のスマイルたちへ TBS制作
2017年10月20日(金) 20時57分~22時00分
MC 中居正広
パネラー 大竹しのぶ 假屋崎省吾 室井佑月 (他)
安住紳一郎(TBSアナウンサー) 山本匠晃(TBSアナウンサー)

(番組内容)

大竹しのぶ誕生パーティーに金スマだけが潜入!
豪華すぎる…!と話題の大竹しのぶ還暦パーティーに金スマが独占潜入! あの元夫とステージで爆笑トーク 感動の新曲も披露

 


もしもワイドショーの司会者自らが文春砲の餌食になったら???

今回の題名は昔懐かしい「ドリフ大爆笑」のコント、「もしもシリーズ」にならって付けさせていただきました。普段の番組では週刊文春をはじめとする週刊誌やスポーツ新聞などで数々のスキャンダルが報道された場合、後追いで笑いのエッセンスなども入れながらスマートにその内容を伝えるフリーアナウンサーの宮根誠司さんですが、今回のスキャンダルは過去にあった「隠し子発覚」というような個人的なものではなく、読売テレビの看板番組である「ミヤネ屋」という自身の名前の付いた番組自体が無くなってしまう可能性があり、状況によっては宮根さん自身が窮地に追い込まれないとも限らない「フジテレビへの移籍問題」の報道を受けてのものです。

すでに宮根さんはフジテレビ日曜夜の「Mr.サンデー」という番組を持っていて、その事を言っているのではないかと思われる方も少なくないかと思いますが、フジテレビでは新たに始める予定の月曜から金曜まで夕方に放送される報道番組の司会としてヘッドハンティングしたのではないかと週刊文春は報じています。もしその仕事を宮根さんが本当に受けるなら、物理的に「ミヤネ屋」を続けることはできなくなります。

となると、「ミヤネ屋」という番組名は無くなることについて読売テレビとの話し合いはどうなっているのだとか、どうして大阪を裏切るような形で東京へ出て行ってしまうのかなど、「ミヤネ屋」を楽しみに見ている方々にとっては、報道が出てしまった以上、本人の口からはっきりと事の真相について話してほしいと思いながらこの日の放送を見ていたのではないでしょうか。
そうして始まった「ミヤネ屋」ですが、リアルタイム視聴したその内容は、以下のような項目で進んでいきました。

・オープニング 台風と天気の話題
・いしだ壱成(タレント)の二度目の離婚
・本田三姉妹揃ってフィギュアスケートで読売新聞のCM出演
・中国の宇宙ステーション地球落下の危機?
・少子高齢化や人口減少によって起こる可能性を指摘した恐ろしい「未来の年表」(ボードによる解説あり)
・日本テレビより最新ニュース
・「未来の年表」ネタの続き
・北朝鮮への対応とともに各党の安保法制のあり方を探る
・お天気コーナー エンディング

番組最初からしばらくは報道された話題に触れずに番組は進み、このまま最後まで触れないまま終わってしまうのかと思いながら見ていました。そして番組中盤の最新ニュースの最後に出てきたAI囲碁のコンピューターに関するニュースに触れる中で宮根さんは、今年3月まででミヤネ屋降板、4月から(フジ新番組が開始されるので)司会がAIを駆使したロボットになって「AI屋」として番組名が変わってしまうのではないかと文春砲を笑いに変えた後に、4月以降も宮根さんは「ミヤネ屋」を続けるということを明言しました。この発言を受ける形でアシスタントの林マオアナウンサーが、朝から電話が掛かってきて大変だったというような話をし、テレビの画面からでもほっとしている感じが伝わってきました。その場の状況から類推すると、この言葉をもって全くのデマであったというような形で番組は決着したように思えます。

しかし、普通に考えるとこのような宮根さんの対応はちょっとおかしいのではないかと思わざるを得ません。普通なら自分でも思ってもいないことを活字という形で番組開始直前に出されたのですから、例えば大阪を裏切って東京へ行くのかと宮根さんに対する悪い感情を持つ人が今回の報道で生まれてしまった可能性があります。今後、宮根さんならびに宮根さんの所属事務所が週刊文春編集部に対してどのような対応をされるかはわかりませんが、もし本当に根も葉もない話を記事にされたとしたら、宮根さんは自分の意見をテレビ上で出し、週刊文春の記事を書いた責任者に対して何らかのアクションをしなければおかしいのではないかと思うのです。

もし、週刊文春に対して何のリアクションも取らなかった場合、もしかしたらこの記事は本当で、すぐにではなくてもフジテレビに電撃的に移籍するというシナリオが起こる可能性はまだ完全に消えたわけではないとも思われます。何しろ、過去には「出馬は20,000%ない」と言いながらも大阪府知事選挙に出た橋下徹氏のケースもあります。今回は政治に関することでもありませんし、生き馬の目を抜くような芸能界の移籍の話でありますから、今回の言動をそのまま宮根さんが通すことで筋を通すのか、不義理をしてまで移籍に舵を切るのかということは、まだはっきりとはわからないということだけは確かなのではないでしょうか。

ともあれ、番組終了時には単なる週刊文春が間違った事を書いて発表したとしか思えない結末に落ち着いてしまった感があります。しかし文春が白旗を挙げてそのまま終わるのか更に「ミヤネ屋」で取リ上げざるを得ないような騒動になっていくのか、今後の状況に興味を持ってテレビを見ていくのも面白いのではないでしょうか。

(番組データ)

情報ライブ ミヤネ屋 ytv(大阪)制作
2017年10月19日(木) 13時55分~15時50分
宮根誠司、林マオ、手嶋龍一、住田裕子、春川正明、城下尊之(他)敬称略

(番組内容)

▽台風21号最新&さらに寒い ▽いしだ壱成何語った ▽少子高齢の未来に何が…話題本の著者生出演 ▽争点(4)外交・安保(他)

 


プロ野球中継の衰退はクライマックスシリーズとともに

2017年10月18日の新聞のテレビ欄を見て、ちょっとした違和感を持ちました。昨年も同じ対戦カードだったのでまさかとも思ったのですが、日本のプロ野球というのは対戦カードによって中継がされないのかと思ったのがリーグ戦1位の広島カープと同3位の横浜ベイスターズが日本シリーズ出場を掛けて争うセ・リーグの「クライマックス第2シリーズ」です。

同日行なわれているパ・リーグの方のクライマックス第2シリーズ「福岡ソフトバンク対東北楽天ゴールデンイーグルス」の方は衛星放送の設備は必要になるもののNHK BS1で中継をしていますし、同日に行なわれているもう一つの大きなスポーツ中継、プロサッカーの「FIFAクラブワールドカップ アジアチャンピオンリーグ準決勝2ndレグ 浦和レッズ対上海上港」の試合は同じBSですが民放の無料放送であるBS日テレで見られているのです。

そんな中、なぜか昔から人気のあるはずのプロ野球のセ・リーグの試合が同じように見られないという事実をここでしっかりと書かせていただきたいと思います。

その試合はたまたま、私がサッカーJリーグの試合を見るために有料で加入している「DAZN」で、広島県外からネットに接続している人には広島ホームの試合を配信しているのでそちらの方で試合経過は見ることができます。それ以外にリアルタイムに見る方法としては、有料のBS放送であるJ-Sportsに加入して見るしか方法がないという状況です。

個人的には、まだ衛星放送がそれほど普及していなかった頃、サッカーワールドカップアメリカ大会のアジア地区最終予選「日本対イラク」の試合を請け負ったのがあろうことかテレビ東京で、テレビ東京をリアルタイムで見られない地域に住んでいた人は衛星放送の設備がない人はあの「ドーハの悲劇」をリアルタイムで見ることができなかったことを思い出します。

プロ野球中継といえば一昔前には視聴率の取れる優良コンテンツで、野球中継を見たくない人の方が少数派であり、中継を延長しても最後まで見たいと思う人達が家庭内でテレビを占拠していたということがあったのでしょう。それが今では、プロ野球にしろバレーボールにしろ番組が後ろにずれるということは、ドラマやニュース・バラエティを見たいと思う人の数が多くなったため、夜から深夜にかけて通販番組をやっている事が多いBS放送を中心に野球中継が行なわれるようになってきました。

そう考えれば、NHKでも民放でもBSの無料放送のどこかでセ・リーグのクライマックスシリーズを放送する事はできたはずです。事実、クライマックスシリーズのファーストラウンドはNHK BS1がサブチャンネルを使ってセ・リーグとパ・リーグの試合を両方中継していたのですから、NHKに任せることもできたはずです。

ホームチームのある広島県内では地上波の民放で試合が中継されているのに、神奈川県内をカバーする独立局のTVKでは中継をしないというのも、横浜ベイスターズファンからすると不公平感が拭えないでしょう。もし横浜ベイスターズがリーグ戦一位になっていたとしたら、もしかしたら地上波の全国放送で見られていたかも知れなかったとか、色々考えると、これは単にテレビの話ではなく、プロ野球のあり方を変えていかないと、リーグ戦一位のチームがどこになるかによって、今回のように地上波だけでなく無料のBS放送でも見られないようになるなら考えてもいいのではないかとすら思います。

ちなみに、試合は5回終了後に雨のために長い中断を経て、5回終了しているということでホームの広島カープの勝利になりました。有料チャンネルで見ていた人たちはいつ再開するともわからないまま雨の降るグラウンドを延々と見続けなければならなかった分、大変だったと思いますし、今回の結果だけで言うと、ストレスが残りそうな横浜ファンにとっては見なくて良かったと思えるような事になってしまいました。しかしそれでも、長い中断をイライラしながら待つのも生中継をテレビで見ることの面白さであると思うので、もう少し国内のテレビ局もせっかくのクライマックスシリーズを大事に考えて、全国どこでも見られるような中継を行なっていただきたいと切に思います。

(2017.10.24 追記)

その後、広島対横浜のクライマックスシリーズは地上波のフジテレビによって中継放送が行われたので、このまま決着が付くまで全国のファンが見られるのかなと思っていたのですが、第五試合目の横浜が日本シリーズに王手を掛けた試合も、第一試合と同じくテレビでは有料チャンネルでしか見られなくなる状況が生まれてしまっています。

ネットのスマホやタブレットでも良ければ、この状況を見てDAZNの無料お試しを使って見ることはできます(広島県のエリアは除く)。もしドコモの携帯を家族の誰かが契約していれば、税抜980円ごとの月額でサッカーJリーグも見られるわけですから、今のテレビのスポーツ中継の有様に絶望してテレビで日本のプロ野球を見なくなる可能性すらあります。

DAZNはアメリカのワールドシリーズも生配信するそうなので、外出していて衛星放送が見られない場合のバックアップにもなるでしょう。こうしてかつてはテレビの独壇場だったプロ野球中継も無料のテレビでは見られなくなるのかと思ってしまうような状況をしみじみと感じています。現在私はDAZNのライブを大型テレビに映しながら今この文章を書いています。